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JP4010668B2 - 木質様樹脂組成物及びそれを用いた色相の安定した木質様樹脂成形物 - Google Patents
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JP4010668B2 - 木質様樹脂組成物及びそれを用いた色相の安定した木質様樹脂成形物 - Google Patents

木質様樹脂組成物及びそれを用いた色相の安定した木質様樹脂成形物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質様樹脂組成物及びその成形物に関し、詳しくは木質感に優れた樹脂組成物及びそれを溶融成形してなる色相の安定した木質様樹脂成形物に関すものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(以下、ABS樹脂と記す。)は優れた物性を有する樹脂として知られ、成形加工材料として用いられている。例えば、自動車部品、家庭用電気部品、事務機器部品、機械部品などに利用されている。一方、最近では自動車用内装材や住宅の内装材として、例えば窓枠、扉枠、床、天井、階段手すりなどに天然の木材に近い質感を有する木質系の材料を使用するケースが増えてきている。また建材分野では住宅などの外装材についても高級感のある天然木材に近い木質感のあるものを取り付けて、暖かみのある住宅の要望が増えてきている。
【0003】
従来、この要望に答えるためにはABS樹脂そのものでは木質感が得られないため木粉や紙などのセルロース系の添加剤を加えた組成物を用いた検討が行われている。例えばABS樹脂を用いて木質感を得るために、木粉を含有させた硬質の樹脂組成物が製造されている。しかしながらABS樹脂に一般の木粉を添加すると、木粉より発生する木酸などのためにABS樹脂の劣化が進行する問題があり、衝撃強度が低下するだけでなく、特に色調の低下が激しく木粉を添加したABS樹脂組成物は茶色になり易く、天然物の木粉の色が一定しないこともあり、製品の色管理が難しいという問題があった。また、上記のABS樹脂組成物を用いた押出成形物は濃茶色となるために、着色に要する顔料が多量に必要であるという問題もあった。
【0004】
これらの問題を解決する手段として、特公平8−30382号公報には、白色無機顔料をボールミルを用いて木質粉末の表面に担持する方法により木酸の放出を抑制する方法が開示されている。しかし、この方法では、白色顔料の木粉への担持が必要で、その工程が増加し、しかも処理効率が低く、経済的には不向きで木酸を本質的に抑制することができなかった。また、木粉に含まれるリグニン等の不純物が黄色味を有しているため、着色に要する顔料が多量に必要になることや、発泡成形をする際には、このリグニンが発泡を阻害する傾向があった。この問題を解決するために白度の高いセルロース粉末をABS樹脂に混合してなる木質様樹脂組成物が、本出願人より提案されている。
【0005】
一方では地球環境保持の観点から一般に使用されるこれらのプラスチック材料はリサイクルされることが望まれており、リサイクル化の検討が行われているが、ABS樹脂を使用した場合には繰り返し行われる成型時にゴム相の熱分解による物性の低下が生じる。特に通常ABSとして知られているスチレン系樹脂の製造方法として乳化重合法が多く用いられており、製造時に用いられる乳化剤や凝固剤が樹脂に残留するため、リサイクルして用いようとしてもABS樹脂に含まれる不純物により樹脂自体の劣化が起こって物性が低下したり、熱による樹脂の変色が起こるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の方法での問題点を解決し、色管理を簡単にし、物性の安定性と色相の変化を少なくし、木質感に優れた樹脂組成物を、さらには、該組成物を溶融成形してなる色相の安定した木質様樹脂成形物を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる問題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、少なくともスチレン系単量体及び不飽和ニトリル系単量体、必要であれば前記単量体と共重合可能な他の単量体より成る重合体を海相成分として、さらに少なくともこれらの単量体をグラフト及び上記単量体の共重合体をオクルードしたゴム状重合体成分よりなる島相成分を5ないし35%含み、かつ海相成分の13C−NMRを測定したときに観察される海相成分中の不飽和ニトリル系単量体成分(A)の連鎖分布のうち3重連鎖であるAAA連鎖成分が1%以下、2重連鎖であるAA連鎖成分が、観測される全てのA成分のうちの多くとも10%以下の割合で観測され、しかもゴム状重合体からなる島相成分の重量平均粒子径が0.1ないし3μmであり、周期律表第1族または第2族の金属成分が100ppm以下、かつイオウ成分が0.01重量%以上0.5重量%未満含まれ、さらに海相成分の還元粘度(ηsp/c)が0.4〜0.9dl/gであるABS樹脂40〜99重量%と白度80%以上のセルロース粉末1〜60重量%からなる混合物100重量部に対し、5重量部以下の着色剤を混合してなる木質様樹脂組成物。また本発明は、該木質様樹脂組成物を溶融成形したなる色相の安定した木質様樹脂成形物である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明でいうABS樹脂は、ゴム状重合体とスチレン系単量体、不飽和ニトリル系単量体及び、必要であれば他の単量体の共重合体からなる樹脂である。ここでスチレン系単量体としては、スチレン、α−アルキルモノビニリデン芳香族単量体(例えばα−メチルスチレン;α−エチレンスチレン;α−メチルビニルトルエン;αメチルジアルキルスチレン;等)、環置換アルキルスチレン(例えばo−m−及びp−ビニルトルエン;o−エチルスチレン;p−エチルスチレン;2,4−ジメルスチレン;p−第三級ブチルスチレン;等)、環置換ハロスチレン(例えばo−クロロスチレン;p−クロロスチレン;o−プロモスチレン;2,4−ジクロスチレン;等)環−アルキル、環ハロ−置換スチレン(例えば2−クロロ−4−メチルスチレン;2,6−ジクロロスチレン;等)ビニルナフタレン、ビニルアントラセンの一種または混合物が用いられる。上記の置換アルキル基は1〜4個の炭素原子を有し、そしてイソプロピル及びイソブチル基を含む。このうちモノビニリデン芳香族単量体の一種もしくは混合物が好ましく用いられる。
【0009】
また、不飽和ニトリル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0010】
また、ゴム状重合体は共役1,3−ジエン(例えばブタジエン;イソプレン;等)等のポリブタジエン類やスチレン−ブタジエン共重合体またはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンメチレンリンケージ)等又はこれらの混合物が挙げられる。
【0011】
本発明でいう他の単量体とは、スチレン、アクリロニトリルと共重合可能な単量体であれば特に限定しないが、メチルメタクリレート等のアクリレート類や、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸誘導体が挙げられる。
【0012】
本発明のABS樹脂のゴム状重合体成分よりなる島相成分は、ゴム状重合体にスチレン系単量体、アクリロニトリル系単量体、あるいはこれらの単量体と共重合可能な他の単量体の共重合体をグラフト及びオクルードしたゴム状重合体成分であり、ゴム状重合体に対するグラフト結合している単量体から構成される樹脂成分の割合(グラフト率)が50ないし300%の範囲にあるものが特に好ましい。さらにこれらの島相成分を5ないし35重量%含むことが必要である。島相成分が5重量%以下では衝撃強度が十分でなく、35重量%以上では成形性が低下したり耐熱性が劣るので好ましくない。
【0013】
本発明の特徴である成形品の色相を安定させるためには、ABS樹脂の海相成分に含まれる不飽和ニトリル系単量体成分の連鎖分布の構造が重要である。ここで海相成分とはABS樹脂から、メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた成分であり、不飽和ニトリル系単量体成分の連鎖成分は海相成分を重水素化クロロフォルムに溶解し、13C−NMRを測定して不飽和ニトリル系単量体成分のα−炭素のシグナルシフトが隣接する単量体成分の違いによりシフトして分裂して観測されることを利用して、それぞれの積分値からそれぞれの連鎖成分割合を求めた。
【0014】
本発明におけるABS樹脂中の海相成分の13C−NMRを測定した時に観察される海相成分中の不飽和ニトリル系単量体成分(A)の連鎖分布うち3重連鎖であるAAA連鎖成分が1%以下、2重連鎖であるAA連鎖成分が、観測される全てのA成分のうちの10%以下、好ましくは7%以下である。海相成分中の不飽和ニトリル系単量体成分の連鎖分布AAAが1%以上観測されたり、AA連鎖が観測されるA成分の10%以上の割合のものでは加熱時に熱変色を起こし易く、衝撃強度が低下するため好ましくない。
【0015】
また、本発明ではABS樹脂から、メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた海相成分の還元粘度の範囲は、0.4〜0.9dl/gであり、好ましくは0.4〜0.80dl/g、さらに好ましくは0.45〜0.75dl/gである。還元粘度が0.4dl/gより小さいと衝撃強度が著しく低下するので好ましくなく、また0.9dl/gを越えると流動性が低下し、成形可能な温度が高くなり、そのために色相の悪化が起こるため好ましくない。
【0016】
ここで還元粘度とは海相成分の0.25gを精秤し、ジメチルホルムアミド50mlに2時間かけて溶解させた溶液を、溶媒の流下時間が20〜100秒のウベローデ粘度計を用いて30℃の環境で測定して得られる値で、還元粘度は溶媒の流下秒数(t0 )と溶液の流下秒数(t)から次式(数1)によって求める。
【0017】
【数1】
還元粘度(ηsp/c)={(t/t0 )−1}/0.5
【0018】
これらABS樹脂としては乳化重合、溶液重合または、塊状重合法で製造された周期律表第1族または第2族の金属成分が100ppm以下、好ましくは70ppm以下、より好ましくは50ppm以下で、かつイオウ成分が0.01重量%以上0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%以上0.3重量%未満含まれる重合体である。周期律表第1族または第2族の金属成分が100ppm以上またはイオウ成分が0.01重量%未満であるとABS樹脂に含まれるゴム成分が熱により分解し易くなるので好ましくない。またイオウ成分が0.5重量%以上の場合には熱による着色が起こりやすく、成型時の熱分解による異臭が発生するため好ましくない。このような周期律表第1族または第2族の金属成分が少なくかつイオウ成分が0.01重量%以上0.5重量%未満含まれるABS樹脂としては溶液重合または、塊状重合法で製造されたものが乳化剤等の不純物が製品中に残ることがないので好ましい。
【0019】
ゴム状重合体成分が、溶液重合または、塊状重合法により、溶液重合で合成されたゴム状重合体を溶解した、少なくともスチレン系単量体及び不飽和ニトリル系単量体、必要であれば前記単量体と共重合可能な他の単量体を重合する際にゴム状重合体成分が0.1μmないし3μmの粒子として、好ましくは0.3μmないし1.5μmの粒子として島相を形成する工程より製造されるものであることが特に好ましい。ゴム状重合体成分の粒子の大きさがこの範囲よりも大きくても小さくても成型物の衝撃強度が低下するので好ましくない。ゴム状重合体成分の粒径が0.1μmよりも小さいと衝撃強度の向上が少なく、また3μmより大きくても衝撃強度が低下するだけでなく、成型品の表面が荒れるので好ましくない。
【0020】
また必要に応じて他のABS系重合体やその他のポリマー、または添加剤等を混合することも本発明の構成に含まれる。例えば、他のポリマーとして、スチレン−アクリロニトリル樹脂、ブタジエンゴム、SBR、エチレン−プロピレンゴム、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体などのアクリル系エラストマー等が好ましい。
【0021】
本発明におけるABS樹脂の製造方法としては、公知の溶液重合または塊状重合法が好ましく利用でき、一例を挙げるとアクリロニトリル系単量体、スチレン系単量体及び必要であればエチルベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶液重合で合成されたゴム状重合体を溶解し、分子量調節剤、重合開始剤等を添加するか、あるいは添加しないで、該ゴム状重合体の単量体溶液を攪拌式反応器に連続的に供給し、該単量体の一部または全量を共重合させゴム状重合体成分の粒子を形成する。得られた重合体混合液を脱揮発分槽に導入し、未反応単量体、溶剤を含んでいる場合は溶剤を重合体成分から分離する。その後造粒工程を経てペレット状のABS樹脂が得られる。
【0022】
本発明における白度80%以上のセルロース粉末とは、木、パルプ及び紙を酸及びアルカリで処理をすることにより、木酸、リグニン等の不純物を取り除いた白度80%以上のセルロース粉末であり、ここでの酸又はアルカリ処理は、例えば、木、パルプ及び紙を適度な大きさのチップに粉砕・選別して、そのチップを塩酸或いは硫酸での酸加水分解し、濾過・水洗・脱水・乾燥、さらに粉砕・選別して木酸、リグニン等の不純物を取り除く方法、或いは石灰石と硫黄から調製された亜硫酸と重亜硫酸カルシウムの混合液で100〜115℃での加熱蒸解、水洗、離解、スクリーニング、塩素−アルカリ−塩素−アルカリ−次亜塩素酸漂白−亜硫酸水或いは塩素酸処理のような一連の精製漂白、脱水・乾燥・選別して得る酸性重亜硫酸カルシウム法。その他に水酸化ナトリウムと硫酸ナトリウムが主成分である硫酸塩での加熱蒸解−洗浄−スクリーニング−二酸化炭素漂白−次亜塩素酸漂白−スクリーニング−徐塵工程−亜硫酸水溶液処理をしたのち脱水・乾燥・選別して得る硫酸塩法や硝酸とアルカリ処理からなる硝酸法、ヒドロトロピ塩溶液を用いたヒドロトロピ法等が挙げられる。
【0023】
また、これら木酸、リグニン等の不純物を取り除いたセルロース粉末は、市場で容易に入手可能であり、例えば、日本製紙(株)社製の100メッシュパスの粒度を持つKCフロックW100(10N塩酸処理)、あるいは200メッシュパスの粒度を持つKCフロックW200(10N硫酸処理)などが挙げられる。特に、このセルロース粉末では、白色の微粉末であるため、着色剤などによる調色は自由にできる。
【0024】
本発明のセルロース粉末のABS樹脂への添加量比は、セルロース粉末1〜60重量%に対してABS樹脂40〜99重量%である。セルロース粉末の添加量が1重量%未満であると、成形物の木質感が得られず、60重量%超過であると、樹脂組成物の加工性が低下し、成形が困難になる。
【0025】
本発明における着色剤とは、プラスチック用着色剤であり、公知のものは何れでもよく、例えば、染料や顔料が挙げられ、添加剤入りとして具体的にはドライカラー;染料・顔料+分散剤(金属石鹸、ワックス)、ペーストカラー;染料・顔料+液体の分散剤(可塑剤、ポリエステル、ポリオール)、リキッドカラー;染料・顔料+高沸点液状分散剤(ノニオン系界面活性剤)である。これら顔料として無機顔料の具体例としては、クレー、雲母、黄土、チタンホワイト、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、アルミナ白、黄色酸化鉄、カドミニウム黄、カドミニウム赤、硫化亜鉛、アンチモン白、銀朱、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、群青、タルク、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄、モリブデン赤、硫酸バリウム、硫酸鉛、硫酸ストロンチウム、紺青、水酸化アルミニウム、カーボンブラック、松煙、グラファイト、アルミニウム粉、ブロンズ粉など。また、有機顔料としては、具体的にはマダーレーキ、ロックウッドレーキ、コチニールレーキ、カミン6B、レッド2B、レーキレッドC、ジスアッゾイエロー、ハンザイエロー、ナフトールレッド、ポリアゾイエロー、ポリアゾレッド、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジンバイオレット、ペリレンレッド、キナフタロンイエローなど、他に塩基性染料、酸性染料、建て染め染料および媒染染料等が挙げられる。
【0026】
本発明の樹脂組成物を得る方法としては、上述のABS樹脂40〜99重量%とセルロース粉末1〜60重量%の混合物100重量部に対し、着色剤5重量部以下、好ましくは0.001〜3重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部を混合し、さらには必要に応じてその他添加剤を添加し、必要に応じて例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンブレンダーなどにより攪拌・混合を行って得た配合粉として、さらには、例えば、コニカル二軸押出機、パラレル二軸押出機、単軸押出機、コニーダー型押出機、ロール混練機などの混練機により造粒したペレットとして得ることができる。
【0027】
上記で得た配合粉又はペレットを用いて、シリンダー温度、ダイス温度共に200℃以下の条件下で押出成形、異形押出成形、射出成形、カレンダー成形、真空成形、ブロー成形等の溶融成形することにより、容易に木質感に優れ、色相の安定した木質様樹脂成形物を得ることができる。ここで重要なことは、シリンダーとダイスの温度が200℃を越えると、セルロース粉末の焼けが生じることから、その温度を200℃以下に設定することである。
【0028】
また、本発明の木質様樹脂組成物の特徴として、従来の木粉やセルロースとABS樹脂の混合物においては押し出し時や成形加工時にダイスや金型にヤニ状物質が付着するという問題が生じるが、本発明の木質様樹脂組成物は、このヤニ状付着物質が大幅に低減されるものであり、これも本発明の大きな効果である。この効果についての原理は明確ではないが、本発明のABS系重合体の海相成分に含まれる不飽和ニトリル成分が特定の分布であること、特定のゴム状重合体を用いることが、かかるヤニ状物質の発生量の低減につながると推定される。
【0029】
本発明における木質様樹脂組成物には、一般に用いられる充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、核剤、耐衝撃改良剤、加工助剤、発泡剤、エラストマーなどを必要に応じて用いることができ、しかも市場で容易に入手可能な一般に用いられる添加剤である。ここで酸化防止剤としては、公知のものの何れでもよく、例えば、アルキルフェノール型、アルキレン・ビスフェノール型、アルキルフェノール・チオエーテル型、β,β’−チオプロピオン酸エステル型、有機亜リン酸エステル型、芳香族アミン型、フェノール・ニッケル複合体などが挙げられる。紫外線吸収剤としては、公知のものの何れでもよく、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシベンゾフェノン系などが挙げられる。
【0030】
充填剤としては、一般的に使用される無機充填剤を使用しても良く、例えば、炭酸カルシウム、クレー、含水珪酸、無水珪酸、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムアスベスト粉、酸化アンチモン、タルク、三水和アルミニウム、水和硼酸亜鉛、マグネシャ、重曹、硝酸加里、水酸化カルシウム、雲母、合成フッ素雲母等が挙げられる。また加工助剤としては、公知のものの何れでもよく、例えば、ポリメチルメタクリレートが挙げられる。
【0031】
本発明で必要に応じて使用できる発泡剤としては、公知のものの何れでもよく、例えば、空気、水、窒素、炭酸ガス、ブタンガス、ペンタン、フロンガスなどのガス類や炭酸塩や重炭酸塩などの無機発泡剤やイソシアネート類、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジド化合物、ニトロソ化合物、トリアゾール化合物等の有機発泡剤、たとえばp,p’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的にする。この実施例は単なる例示であって本発明はこれらに限るものではない。
本実施例でセルロース粉末とABS樹脂と着色剤からなる組成物はコニーダー型押し出し機を用いてシリンダー温度・ダイス温度は190℃に設定してペレット化した。成形は東洋精機製作所(株)社製ラボプラストミル−コニカル二軸押出機2D−20C型を使用し、ダイスにはスリットダイ(W=40mm、H=1mm、L=60mm)を使用して、シリンダー温度・ダイス温度は200℃を越えないそれぞれの樹脂により任意の温度に設定し、幅40mm、厚み1mmの平板成形物を成形し、この成形物を用いて木質感について以下のように評価した。
【0033】
木質感については、成形物の艶を測定し評価した。測定は、堀場製作所(株)社製ハンディー光沢計グロスチェッカーIG−320を使用して行った。ここでは、グロス値が15以下で木質感があると判断した。また、成形物と天然の杉板を本研究者以外の研究者10名に目視と触診で比較観察してもらい、そのときその成形物が天然の杉板に近い木質感があると判断した研究者の人数も結果に示す。
【0034】
樹脂の分子量としては、メルトフローインデックス(特定の温度のもと一定の加重で10分間押し出しさ樹脂の重量で表した。)で表し、JISの測定(JIS−K7210、試験温度200℃、加重5.00kgf)に準じた。
ABS樹脂の海相成分に含まれる不飽和ニトリル系単量体成分の連鎖分布の構造はABS樹脂から、メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた成分(ABS樹脂を溶剤、メチルエチルケトンとメタノール7:3よりなる混合液に、樹脂1gに対して溶剤30g加え室温で2時間攪拌して溶解し、遠心分離で可溶分と不溶分に分け、上澄みの可溶分をメタノール中で再沈させて得る。)を重水素化クロロフォルムに溶解し、13C−NMRを測定して不飽和ニトリル系単量体成分のα−炭素のシグナルシフトが隣接する単量体成分の違いによりシフトして分裂して観測されることを利用して、それぞれの積分値からそれぞれの連鎖成分割合を求めた。
【0035】
実施例1
ABS樹脂として連続塊状重合法で製造したメルトフローレートが0.70g/10分のABS樹脂(メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が24重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)が0.72dl/gであり、ゴム状重合体成分の平均粒径が2.2μmのサラミ状の構造であり、29.2%であった。また重合体成分(A)の不飽和ニトリル系単量体成分の連鎖成分は海相成分を重水素化クロロフォルムに溶解し、13C−NMRを測定してアクリロニトリル単量体成分のα−炭素のシグナルシフトの分裂より、それぞれの積分値からそれぞれの連鎖成分割合を求めたところアクリロニトリル単量体成分(A)の連鎖分布うち3重連鎖であるAAA連鎖成分は観測されず、2重連鎖であるAA連鎖成分が観測されるA成分の6.8%であった。また周期律表第1族または第2族の金属成分は35ppmであり、硫黄成分は0.3重量%であった、)100重量部に白度80%以上のセルロース粉末(日本製紙(株)社製、KCフロック W100)30重量部に、着色剤としてアントラキノン系のオレンジ顔料0.02重量部を三井三池(株)社製ヘンシェルミキサーにて混合し、ブッス(株)社製コニーダー押出機にて190℃で造粒し、ペレット状の組成物を得た。
【0036】
このペレットを東洋精機製作所(株)社製ラボプラストミルコニカル二軸押出機2D−20C型を使用し、ダイスにはスリットダイ(W=40mm、H=1mm、L=60mm)を使用して、シリンダー温度を190℃、ダイス温度を190℃設定で、幅40mm、厚み1mmの平板成形品を得た。この平板成形物を上述の通りに木質感について評価した。結果を表1に示す。また金型付着物質の観察を行い、成形後ダイスに付着物がなければ無し、有ると有りの判断を行った。
【0037】
実施例2
ABS樹脂として、連続塊状重合法で製造したメルトフローレートが1.20g/10分のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が18重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)は0.45dl/g、ゴム状重合体含有量は27.2%であった。ゴム状重合体成分の粒径は1.1μmであった。また重合体成分(A)を重水素化クロロフォルムに溶解し、13C−NMRを測定してアクリロニトリル単量体成分のα−炭素のシグナルシフトの分裂より、それぞれの積分値からそれぞれの連鎖成分割合を求めたところアクリロニトリル単量体成分(A)の連鎖分布うち3重連鎖であるAAA連鎖成分は観測されず、2重連鎖であるAA連鎖成分が観測されるA成分の2.03%であった。また周期律表第1族または第2族の金属成分は30ppmであり、硫黄成分は0.4重量%であった。)100重量部に白度80%以上のセルロース粉末20重量部とリン系加工安定剤(日本チバガイギー(株)社製、IRGAFOS−168)0.1重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)社製、イルガノックス1010)0.1重量部を、さらに着色剤としてアントラキノン系のオレンジ顔料0.02重量部を混合後、造粒してペレット状の組成物を得た以外は実施例1と同様にして平板成形品を得て評価した。結果を表1に示す。
【0038】
実施例3
白度80%以上のセルロース粉末を80重量部に代えた他は実施例2と同様にしてペレットを得て、さらに平板成形物を得て評価した。結果を表1に示す。
【0039】
実施例4
ABS樹脂として乳化重合法で製造したメルトフローレートが2.1g/10分のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(メチルエチルケト1とメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が26重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)が0.64dl/gであり、ゴム状重合体成分の平均粒径が0.45μmで、また重合体成分(A)を重水素化クロロフォルムに溶解し、13C−NMRを測定してアクリロニトリル単量体成分のα−炭素のシグナルシフトの分裂より、それぞれの積分値からそれぞれの連鎖成分割合を求めたところアクリロニトリル単量体成分(A)の連鎖分布うち3重連鎖であるAAA連鎖成分は0.8%であり、2重連鎖であるAA連鎖成分が観測されるA成分の6.8%であった。また周期律表第1族または第2族の金属成分は90ppmであり、硫黄成分は0.45重量%であった。)100重量部に白度80%以上のセルロース粉末50重量部とリン系加工安定剤(日本チバガイギー(株)社製、IRGAFOS−168)0.1重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)社製、イルガノックス1010)0.1重量部を用い、着色剤としてアントラキノン系のオレンジ顔料0.05重量部を混合後、造粒してペレット状の組成物を得た以外は実施例1と同様にして平板成形品を得て評価した。結果を表1に示す。
【0040】
実施例5
発泡剤として、p,p’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を0.1重量部添加した他は実施例1と同様にして平板成形品を得て評価した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004010668
【0042】
比較例1
白度80%以上のセルロース粉末を0.5重量部に代えた他は実施例1と同様にペレットを得、平板成形品を評価した。結果を表2に示す。
【0043】
比較例2
白度80%以上のセルロース粉末を160重量部に代えた他は実施例2と同様にしたところ、ペレットとして得ることが出来なかった。結果を表2に示す。
【0044】
比較例3
ABS樹脂として、連続塊状重合法で製造したメルトフローレートが2.20g/10分のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が29重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)は0.65dl/g、ゴム状重合体含有量は27.2%であった。ゴム状重合体成分の粒径は1.2μmであった。また重合体成分(A)を重水素化クロロフォルムに溶解し、13C−NMRを測定してアクリロニトリル単量体成分のα−炭素のシグナルシフトの分裂より、それぞれの積分値からそれぞれの連鎖成分割合を求めたところアクリロニトリル単量体成分(A)の連鎖分布うち3重連鎖であるAAA連鎖成分が1.2ppm、2重連鎖であるAA連鎖成分が観測されるA成分の11.3%であった。また周期律表第1族または第2族の金属成分は30ppmであり、硫黄成分は0.5重量%であった。)100重量部に白度80%以上のセルロース粉末20重量部とリン系加工安定剤(日本チバガイギー(株)社製、IRGAFOS−168)0.1重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)社製、イルガノックス1010)0.1重量部を用い、着色剤としてアントラキノン系のオレンジ顔料0.02重量部を混合後、造粒してペレット状組成物を得た以外は実施例1と同様にして平板成形品を得て評価した。結果を表2に示す。
【0045】
比較例4
白度80%以下の市販の木粉に代えた他は実施例1と同様にペレットを得、平板成形品を評価した。結果を表2に示す。
【0046】
比較例5
ABS樹脂として乳化重合法で製造したメルトフローレートが2.5g/10分のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(メチルエチルケトンとメタノール7:3の混合液に不溶解な成分を除いた重合体成分(A)中のアクリロニトリル成分が26重量%であり、かつ重合体成分(A)の還元粘度(ηsp/c)が0.62dl/gであり、ゴム状重合体成分の平均粒径が0.4μmで、また重合体成分(A)を重水素化クロロフォルムに溶解し、13C−NMRを測定してアクリロニトリル単量体成分のα−炭素のシグナルシフトの分裂より、それぞれの積分値からそれぞれの連鎖成分割合を求めたところアクリロニトリル単量体成分(A)の連鎖分布うち3重連鎖であるAAA連鎖成分は0.98%であり、2重連鎖であるAA連鎖成分が観測されるA成分の9.8%であった。また周期律表第1族または第2族の金属成分は3000ppmであり、硫黄成分は0.55重量%であった。)100重量部に白度80%以上のセルロース粉末50重量部とリン系加工安定剤(日本チバガイギー(株)社製、IRGAFOS−168)0.1重量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)社製、イルガノックス1010)0.1重量部を用い、着色剤としてアントラキノン系のオレンジ顔料0.05重量部を混合後、造粒してペレット状組成物を得た以外は実施例1と同様にして平板成形品を得て評価した。結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0004010668
【0048】
【発明の効果】
本発明の木質感に優れる木質様樹脂組成物を用いることにより、色相の安定した木質様樹脂成形物を提供でき、産業上さらには地球環境の面からも極めて優位である。

Claims (2)

  1. 少なくともスチレン系単量体及び不飽和ニトリル系単量体、必要であれば前記単量体と共重合可能な他の単量体より成る重合体を海相成分として、さらに少なくともこれらの単量体をグラフト及び上記単量体の共重合体をオクルードしたゴム状重合体成分よりなる島相成分を5ないし35重量%含み、かつ海相成分の13C−NMRを測定したときに観察される海相成分中の不飽和ニトリル系単量体成分(A)の連鎖分布のうち3重連鎖であるAAA連鎖成分が1%以下、2重連鎖であるAA連鎖成分が、観測される全てのA成分のうちの多くとも10%以下の割合で観測され、しかもゴム状重合体からなる島相成分の重量平均粒子径が0.1ないし3μmであり、周期律表第1族または第2族の金属成分が100ppm以下、かつイオウ成分が0.01重量%以上0.5重量%未満含まれ、さらに海相成分の還元粘度(ηsp/c)が0.4〜0.9dl/gであり、溶液重合または連続塊状重合で製造されたABS樹脂40〜99重量%と白度80%以上のセルロース粉末1〜60重量%からなる混合物100重量部に対し、5重量部以下の着色剤を混合してなる木質様樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の木質様樹脂組成物を溶融成形してなる色相の安定した木質様樹脂成形物。
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