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JP4010894B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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JP4010894B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP4010894B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤに関する。より詳細には、本発明は、老化防止剤のトレッド表面への浸出による変色が少なく、かつ、トレッド表面に形成されている溝の底部におけるクラックの発生も少ない、空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤの表面、特にトレッド表面に形成されている溝の底部においては、経時に伴い、オゾンの作用によって、クラックが発生し易いことが知られている。当該技術分野においては、トレッド部等のタイヤ表面において使用されるゴム組成物に対して、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤であるN−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(以下、「6PPD」と称する))を配合して、タイヤ表面におけるクラックの発生を抑制し、耐オゾンクラック性を改善しようとする試みがなされてきた。
【0003】
例えば、特開平6−191221号公報においては、老化防止剤が配合されているトレッド部において、キャップゴムやベースゴムと比較して更に多量の老化防止剤が配合されているゴム組成物からなる溝底ゴムを、少なくとも溝の底部に配置することによって、トレッド表面に形成されている溝の底部におけるクラックの発生を抑制しようとする試みが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記の如く、タイヤ表面において使用されるゴム組成物に対して老化防止剤を配合すると、経時と共に、老化防止剤がタイヤの表面に浸出し、タイヤの表面を変色させ、その外観を損ねることもまた、当該技術分野においてよく知られている。特に、上記特開平6−191221号公報に記載されている発明においては、老化防止剤の配合量が、キャップゴム≧ベースゴムとされており、かかる配合処方においては、老化防止剤のトレッド表面への浸出を有効に防止することができない。
【0005】
一方、上記タイヤ表面の外観の悪化を防止するには、タイヤ表面において使用されるゴム組成物における老化防止剤の配合量を低減することが効果的であるが、タイヤ表面において使用されるゴム組成物における老化防止剤の配合量を低減すると、当然のことながら、タイヤ表面におけるクラックが発生し易くなる。
【0006】
特に、トレッド表面に形成されている溝の底部においては、走行時のタイヤの変形に起因する応力の集中により、上記傾向が更に助長される傾向がある。
【0007】
すなわち、老化防止剤の浸出に起因するトレッド表面の外観の悪化の防止と、トレッド表面に形成されている溝の底部におけるクラックの発生の抑制とは、二律背反の関係にある。そこで、当該技術分野においては、上記の如く二律背反の関係にある2つの目的を同時に達成すべく、種々の工夫がなされてきた。
【0008】
例えば、特開平11−278008号公報においては、トレッド表面に形成されている溝の底部の下部に、老化防止剤が多量に配合されているゴム組成物からなる部材(老化防止剤増量材)をタイヤの周方向に配置し、当該部材からの溝の底部への老化防止剤の移行を利用することにより、トレッド部全体としての老化防止剤の配合量を低減して上記外観の悪化を抑制しつつ、溝の底部におけるクラックの発生を抑制しようとする試みが開示されている。
【0009】
しかしながら、上記特開平11−278008号公報に記載されている発明の如く、タイヤ構成において新たな部材を追加することは、タイヤの製造工程をより複雑なものとし、製造の困難性及びコストを更に高めることにつながる。また、上記老化防止剤増量材はタイヤの周方向に配置されるため、周方向の溝に対しては有効であるが、排水性の確保等を目的として、周方向に対して特定の角度をなすように形成される、斜め方向の溝に対しては、十分な効果を呈することはできない。更に、隣接する部材の間での老化防止剤の移行量及び移行速度は、各々の部材における老化防止剤の配合量及び各々部材の厚みに大きく依存するが、上記特開平11−278008号公報に記載されている発明においては、これらの要因については何等考察されていない。
【0010】
従って、当該技術分野においては、老化防止剤のトレッド表面への浸出による変色の防止及びトレッド表面に形成されている溝の底部におけるクラックの発生の抑制が両立されている空気入りタイヤに対する要求が存在する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、老化防止剤のトレッド表面への浸出による変色が少なく、かつ、トレッド表面に形成されている溝の底部におけるクラックの発生も少ない、空気入りタイヤを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、タイヤの径方向の外側に配置され、外側に開口している溝が形成されているキャップゴム(C)と、その内側に配置されているベースゴム(B)とからなる2層構造のトレッド部を有する空気入りタイヤであって、
前記キャップゴム(C)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φc [重量部]、前記ベースゴム(B)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φb [重量部]、前記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部における前記キャップゴム(C)の厚みdc [mm]、及び前記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部の直下における前記ベースゴム(B)の厚みdb [mm]が、以下の式(1)及び(2):
Φb /Φc ≧ 1.2 (1)
(Φc ×dc +Φb ×db )/(dc +db ) ≧ 1.4 (2)
の関係を同時に満足することを特徴とする空気入りタイヤによって達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記の如く、本発明に係る空気入りタイヤは、タイヤの径方向の外側に配置され、外側に開口している溝が形成されているキャップゴム(C)と、その内側に配置されているベースゴム(B)とからなる2層構造のトレッド部を有する空気入りタイヤであって、
前記キャップゴム(C)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φc [重量部]、前記ベースゴム(B)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φb [重量部]、前記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部における前記キャップゴム(C)の厚みdc [mm]、及び前記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部の直下における前記ベースゴム(B)の厚みdb [mm]が、以下の式(1)及び(2):
Φb /Φc ≧ 1.2 (1)
(Φc ×dc +Φb ×db )/(dc +db ) ≧ 1.4 (2)
の関係を同時に満足することを特徴とする空気入りタイヤである。
【0014】
ここで、上記関係式(1)及び(2)について、図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0015】
図1に示す如く、上記Φb 及びΦc は、それぞれ、上記ベースゴム(B)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量[重量部]及び上記キャップゴム(C)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量[重量部]を意味する。
【0016】
従って、上記関係式(1)は、上記ベースゴム(B)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φb [重量部]が、上記キャップゴム(C)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φc [重量部]の1.2倍以上であることを意味する。
【0017】
上記ベースゴム(B)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φb [重量部]が、上記キャップゴム(C)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φc [重量部]の1.2倍未満である場合には、上記ベースゴム(B)から上記キャップゴム(C)へのアミン系老化防止剤の移行量及び移行速度が不十分となり、上記キャップゴム(C)において形成されている溝の底部における経時に伴うクラックの発生を抑制する効果が維持されないので好ましくない。より好ましくは、Φb /Φc の値は1.4以上であり、もっとも好ましくは、Φb /Φc の値は、1.4以上、25以下である。
【0018】
また、図1に示す如く、上記dc 及びdb は、それぞれ、上記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部における上記キャップゴム(C)の厚み及び上記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部の直下における上記ベースゴム(B)の厚みを意味する。
【0019】
従って、上記関係式(2)は、上記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部における、上記キャップゴム(C)及び上記ベースゴム(B)からなるトレッド部全体としての、ゴム成分100重量部あたりの老化防止剤の平均配合量[重量部]が1.4重量部以上であることを意味する。
【0020】
上記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部における、上記キャップゴム(C)及び上記ベースゴム(B)からなるトレッド部全体としての、ゴム成分100重量部あたりの老化防止剤の平均配合量[重量部](すなわち、関係式(2)の左辺)が1.4重量部未満である場合には、上記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部における老化防止剤が不足となり、当該溝の底部における経時に伴うクラックの発生を十分に抑制することができないので好ましくない。より好ましくは、関係式(2)の左辺の値は1.5[重量部]以上であり、もっとも好ましくは、関係式(2)の左辺の値は、1.5[重量部]以上、3.5[重量部]以下である。
【0021】
上記アミン系老化防止剤は、当該技術分野において一般的に使用されている、いずれのアミン系老化防止剤であってもよいが、本発明の更なる好ましい態様においては、前記アミン系老化防止剤は、以下の構造式:
【0022】
【化2】
Figure 0004010894
【0023】
によって表される構造を含んでなる芳香族第二級アミン系老化防止剤であるのが望ましい。
【0024】
上記の好ましいアミン系老化防止剤の例としては、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、及びN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
また、本発明の更なる好ましい態様において、前記キャップゴム(C)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対する前記アミン系老化防止剤の配合量Φc [重量部]は、1[重量部]以下であるのが望ましい。
【0026】
上記キャップゴム(C)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対する上記アミン系老化防止剤の配合量Φc [重量部]が1[重量部]を超える場合には、上記キャップゴム(C)の表面への上記アミン系老化防止剤の浸出による上記キャップゴム(C)の表面の変色が増大するので好ましくない。より好ましくは、上記キャップゴム(C)を構成するゴム組成物における上記アミン系老化防止剤の配合量Φc [重量部]は、ゴム成分100重量部に対して0.9重量部以下である。
【0027】
本発明の更なる好ましい態様において、前記空気入りタイヤは、濡れた路面における排水性の向上を目的として、前記キャップゴム(C)に形成されている溝の少なくとも一部が、タイヤの周方向に対して、10〜70°、好ましくは20〜65°の角度を有するのが望ましい。
【0028】
上記角度が10°未満である場合には、周方向の溝と比較して、排水性の向上効果が不十分となるので好ましくない。また、上記角度が70°を超える場合には、排水性向上効果が不十分となるので好ましくない。
【0029】
尚、本発明に係る空気入りタイヤにおいては、上述の上記特開平11−278008号公報に記載されている、老化防止剤増量材が特定の溝の底部の下にタイヤの周方向に配置されているタイヤとは異なり、トレッド部を構成するベーストレッドの全域にわたって老化防止剤が比較的多量に配合されているので、上記の如く、キャップゴムに形成されている溝の少なくとも一部が、タイヤの排水性を向上するのに十分な角度を有するタイヤにおいても、所望の耐クラック性を発揮することができるのである。
【0030】
本発明の更なる好ましい態様において、前記空気入りタイヤは、前記ベースゴムの内側に、ベルト又はブレーカーが配置されているものであってもよく、この場合、当該ベルト又はブレーカーにおけるコード(例えば、スチール製コード又は合成繊維製コード)を被覆するためのコード被覆用ゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φs [重量部]と、前記ベースゴム(B)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φb [重量部]とが、以下の式(3):
Φs ≧ Φb (3)
の関係を満足するのが望ましい。
【0031】
上記Φs と上記Φb とが式(3)の関係を満足せず、上記Φs が上記Φb よりも小さい場合には、上記ベースゴム(B)を構成するゴム組成物中に含有されているアミン系老化防止剤が、上記キャップゴム(C)のみならず、上記ベルト又はブレーカーに対しても移行するため、上記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部へのアミン系老化防止剤の供給が不十分となり、当該タイヤの耐クラック性の改良効果が不十分となるので好ましくない。
【0032】
上述の如く、本発明は、空気入りタイヤのトレッド部を構成するキャップゴム(C)及びベースゴム(B)におけるアミン系老化防止剤の配合量及びそれぞれのゴムの厚みを制御することによって、経時に伴う老化防止剤のトレッド表面への浸出による変色を防止し、トレッド表面に形成されている溝の底部におけるクラックの発生を抑制しようとするものである。
【0033】
従って、本発明に係る空気入りタイヤの製造においては、前記キャップゴム(C)又は前記ベースゴム(B)の厚みを正確に制御することができる製造方法を採用するのが望ましい。当該技術分野においては、かかる製造方法を具現化する手段として、多種多様な方法が知られているが、それらの中でも、「ストリップワインド方式」と呼ばれる方法が望ましい。
【0034】
上記ストリップワインド方式は当該技術分野において周知の方法であり、目的とするタイヤ構成部材を構成すべきゴム組成物を細い(例えば、幅10〜20mm×厚み1mm)ストリップとして射出して、このストリップを巻き付けることにより、目的とするタイヤ構成部材を成型する方法である。
【0035】
すなわち、本発明の更なる好ましい態様においては、前記キャップゴム(C)又は前記ベースゴム(B)が、ストリップワインド方式によって成型されたものであるのが望ましい。
【0036】
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部において使用されるゴム組成物において使用されるゴム成分としては、上記規定を満足する限りにおいては特に限定されず、天然ゴム(NR)またはジエン系合成ゴムのいずれか、あるいはこれらの混合系を用いることができる。ジエン系合成ゴムとしては、例えば、各種ブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられる。特に好ましいゴム成分は、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)である。
【0037】
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部に使用されるゴム組成物では、カーボンブラックは、上記規定を満足する限りにおいて特に限定されず、当該技術分野において既知のものを、当該技術分野において知られている好適な配合量で配合することができる。
【0038】
例えば、キャップゴムにおいては、比較的小粒径のカーボンブラックを使用して、キャップゴムの耐摩耗性及び硬度を高め、一方、ベースゴムにおいては、比較的大粒径のカーボンブラックを使用して、ベースゴムの発熱性を抑制することは、当該技術分野において一般的に行われていることである。
【0039】
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部において使用されるゴム組成物には、更に、充填材(例えば、シリカ)、プロセスオイル、可塑剤、軟化剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫活性化剤等、及び/又はゴム配合技術分野において一般的に使用される他の各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0040】
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部において使用されるゴム組成物は、公知のゴム用混練機械(例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等)を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
【0041】
以下に記載する比較例及び実施例によって本発明を更に詳しく説明するけれども、本発明の技術的範囲は、これらの例に限定されるものではない。
【0042】
【実施例】
従来例、比較例1〜3、並びに実施例1及び2
配合成分
後述する各種試験タイヤのトレッド部を構成する各種ゴム組成物の調製において使用される各種配合成分を、以下に列記する。
【0043】
スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR):日本ゼオン株式会社製「Nipol 1502」
天然ゴム(NR):RSS 3号
カーボンブラック1(CB−1):昭和キャボット株式会社製「ショウブラック N339」(HAF−HS)
カーボンブラック2(CB−2):三菱化学株式会社製「ダイアブラック E」(FEF)
【0044】
アロマオイル:昭和シェル石油株式会社製「デゾレックス 3号」
ワックス:大内新興化学工業株式会社製「サンノック」
亜鉛華:正同化学工業株式会社製「酸化亜鉛 3種」
ステアリン酸:日本油脂株式会社製「ビーズステアリン酸」
加硫促進剤(CZ):Flexsys社製「SANTOCURE CZ」(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)
硫黄:株式会社軽井沢精錬所製「油処理硫黄」
老化防止剤(6PPD):Flexsys社製「SANTOFLEX 6PPD」(N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン)
【0045】
各種試験タイヤの調製
各種試験タイヤのトレッド部におけるキャップゴム(C)及びベースゴム(B)を構成する各種ゴム組成物の基本的な配合処方を、以下の表Iに示す。表Iに記載されているように、キャップゴム(C)を構成するゴム組成物は、概して、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)に比較的小粒径のカーボンブラック(CB−1)を配合してなるゴム組成物であり、ベースゴム(B)を構成するゴム組成物は、概して、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)と天然ゴム(NR)とからなるゴム成分に比較的大粒径のカーボンブラック(CB−2)を配合してなるゴム組成物である。これらはいずれも、当該技術分野において一般的に使用される配合処方である。
【0046】
【表1】
Figure 0004010894
【0047】
また、各種試験タイヤのトレッド部におけるキャップゴム(C)及びベースゴム(B)を構成する各種ゴム組成物における老化防止剤(6PPD)の配合量(Φc 及びΦb )[重量部]並びに各種試験タイヤのトレッド部の溝の底部におけるキャップゴム(C)及びベースゴム(B)の厚み(dc 及びdb )[mm]については、以下の表IIに示す。更に、各種試験タイヤにおける上記式(1)及び(2)の左辺の値についても、以下の表IIに併せて列記する。
【0048】
【表2】
Figure 0004010894
【0049】
上記表I及びIIに示す硫黄及び加硫促進剤以外の成分を、上記表I及びIIに示す配合量で、バンバリーミキサーで混合し、165±5℃に達したときにマスターバッチを放出した。このマスターバッチに、以下の表Iに示す配合量の硫黄及び加硫促進剤を添加し、14インチのオープンロールで混練して、従来例、比較例1〜3、並びに実施例1及び2のキャップゴム(C)及びベースゴム(B)を構成する各種ゴム組成物を得た。
【0050】
更に、上記の如く得られた従来例、比較例1〜3、並びに実施例1及び2のキャップゴム(C)及びベースゴム(B)を構成する各種ゴム組成物を、それぞれ、トレッド部におけるキャップゴム(C)及びベースゴム(B)に使用して、当該技術分野において知られている従来の成形・加硫方法によって、205/65R15サイズの乗用車用タイヤを製造し、それぞれ、従来例、比較例1〜3、並びに実施例1及び2の試験タイヤとした。
【0051】
各種試験タイヤの各種タイヤ性能の測定
上記各種試験タイヤの各種タイヤ性能を、以下の試験方法に従って測定した。
【0052】
1)耐変色性:
上記各種試験タイヤを、南向きの、陽の当たる窓際に、タイヤトレッド部が当該窓に向くようにして、4週間放置した後、トレッド部におけるキャップゴム(C)の表面の変色の程度を目視評価し、以下の等級に従って格付けした。以下に示すように、◎の等級が耐変色性がもっとも高く、×の等級が耐変色性がもっとも低い。尚、◎又は○の等級が合格レベルである。
◎=キャップトレッド表面のゴムの変色が殆ど無く、色むらも無い。
○=キャップトレッド表面のゴムに、変色及び/又は色むらが部分的に認められる。
△=キャップトレッド表面のゴムが全体的に茶色に変色している。
×=キャップトレッド表面のゴムが全体的に茶色に変色しており、色むらも認められる。
【0053】
2)クラック:
上記各種試験タイヤを15×6JJのサイズのリムに装着し、内圧を250kPaとして、オゾン濃度100ppm及び温度50℃の雰囲気に96時間にわたって暴露し、トレッド部におけるキャップゴム(C)に形成されている溝の底部におけるクラックの発生状況を目視評価し、クラックの発生の有無を記録した。当然のことながら、このクラックが認められない方が、耐クラック性が良好であることを意味する。
【0054】
各種試験タイヤの各種タイヤ性能の評価
従来例の試験タイヤは、キャップゴム(C)における老化防止剤の配合量が多く(具体的には、2.5重量部)、ベースゴム(B)における老化防止剤の配合量が少ない(具体的には、1重量部)、従来技術のトレッド部を有する試験タイヤであり、式(2)の関係は十分に満足されるものの、式(1)の関係は満足することができていない。その結果、耐クラック性は良好であるものの、耐変色性は不良となった。
【0055】
比較例1の試験タイヤは、従来例の試験タイヤと比較して、耐変色性を向上させるべく、キャップゴム(C)における老化防止剤の配合量を1重量部に減らし、これに伴う耐クラック性の低下を抑制すべく、ベースゴム(B)における老化防止剤の配合量を1.5重量部に増やした試験タイヤである。しかしながら、当該試験タイヤにおいては、式(1)の関係は満足されるものの、式(2)の関係は満足することができず、その結果、耐変色性は良好であるものの、耐クラック性は不良となった。
【0056】
次に、比較例2の試験タイヤは、比較例1の試験タイヤと比較して、耐クラック性を向上させるべく、キャップゴム(C)における老化防止剤の配合量を1.5重量部に増やした試験タイヤである。しかしながら、当該試験タイヤにおいては、式(2)の関係は満足されるものの、式(1)の関係は満足することができず、その結果、耐クラック性は良好であるものの、耐変色性は不良となった。
【0057】
一方、比較例3の試験タイヤは、比較例1の試験タイヤと比較して、耐クラック性を向上させるべく、ベースゴム(B)における老化防止剤の配合量を2.5重量部に増やし、これに伴う耐変色性の低下を抑制すべく、ベースゴム(B)の厚みを半減させた(具体的には、0.5mm)試験タイヤである。しかしながら、当該試験タイヤにおいては、式(1)の関係は満足されるものの、式(2)の関係は満足することができず、その結果、耐変色性は良好であるものの、耐クラック性は不良となった。
【0058】
そこで、本発明に係る実施例1の試験タイヤにおいては、比較例3の試験タイヤと比較して、耐クラック性を向上させるべく、ベースゴム(B)の厚みを倍増させた(具体的には、1mm)。その結果、当該試験タイヤにおいては、式(1)及び(2)の関係を両方とも満足させることができ、良好な耐変色性及び耐クラック性を両立することができた。
【0059】
更に、本発明に係る実施例2の試験タイヤにおいては、実施例1の試験タイヤと比較して、キャップゴム(C)の表面への老化防止剤の浸出を更に抑制して、耐変色性を更に向上させるべく、キャップゴム(C)における老化防止剤の配合量を0.8重量部に減らし、これに伴う耐クラック性の低下を抑制すべく、ベースゴム(B)における老化防止剤の配合量を3重量部に増やした。その結果、当該試験タイヤにおいては、式(1)及び(2)の関係を両方とも満足させることができ、良好な耐クラック性を維持しつつ、耐変色性を更に改良することができた。
【0060】
以上の如く、タイヤのトレッド部において、キャップゴム(C)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φc [重量部]、ベースゴム(B)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φb [重量部]、上記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部における上記キャップゴム(C)の厚みdc [mm]、及び上記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部の直下における上記ベースゴム(B)の厚みdb [mm]を、上記の式(1)及び(2)の関係を満足するように制御することによって、良好な耐変色性及び耐クラック性を兼備する空気入りタイヤを提供することができることが明らかとなった。
【0061】
【発明の効果】
本発明により、老化防止剤のトレッド表面への浸出による変色が少なく、かつ、トレッド表面に形成されている溝の底部におけるクラックの発生も少ない、空気入りタイヤが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部の、溝付近における断面を表す略図である。
【符号の説明】
1…キャップゴム(C)
2…ベースゴム(B)
3…溝
4…溝の底部

Claims (2)

  1. タイヤの径方向の外側に配置され、外側に開口している溝が形成されているキャップゴム(C)と、その内側に配置されているベースゴム(B)とからなる2層構造のトレッド部、及び前記ベースゴム(B)の内側に配置されているベルト又はブレーカーを有する空気入りタイヤであって、
    前記キャップゴム(C)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φc [重量部]、前記ベースゴム(B)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φb [重量部]、前記ベルト又はブレーカーを構成するコード被覆用ゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対するアミン系老化防止剤の配合量Φ s [重量部]、前記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部における前記キャップゴム(C)の厚みdc [mm]、及び前記キャップゴム(C)に形成されている溝の底部の直下における前記ベースゴム(B)の厚みdb [mm]が、以下の式(1)、(2)及び(3)
    Φb /Φc ≧ 1.2 (1)
    (Φc ×dc +Φb ×db )/(dc +db ) ≧ 1.4 (2)
    Φ s ≧ Φ b (3)
    の関係を同時に満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記アミン系老化防止剤が、以下の構造式:
    Figure 0004010894
    によって表される構造を含んでなる芳香族第二級アミン系老化防止剤であり、そして
    前記キャップゴム(C)を構成するゴム組成物におけるゴム成分100重量部に対する前記アミン系老化防止剤の配合量Φc [重量部]が、1[重量部]以下である、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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