JP4011282B2 - 電磁式可変バルブタイミング装置の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁式可変バルブタイミング装置の制御装置に関し、詳しくは、電磁ブレーキを用いてクランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変化させる構成の電磁式可変バルブタイミング装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両用エンジンにおいて、電磁ブレーキの摩擦制動によりクランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を進角変化させる構成のエンジンの電磁式可変バルブタイミング装置が知られている(特開平10−153104号公報参照)。
【0003】
前記電磁式可変バルブタイミング装置においては、回転位相を遅角方向に付勢するコイルばねを有すると共に、遅角方向への回転位相の変化を規制するストッパとを備え、前記コイルばねによる付勢力に抗する制動力を電磁ブレーキによって発生させることで、前記ストッパ位置(基準位置)から回転位相を進角変化させるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、回転位相を前記ストッパ位置に戻す場合には、電磁ブレーキを構成する電磁コイルに対する通電を遮断すれば良いが、このときストッパ位置にまでコイルばねの付勢力で戻るため運動エネルギーが大きく、ストッパが当たったときに大きな当たり音が発生し、これが車室内の乗員にまで伝播し、乗員に不快感を与えてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、電磁式可変バルブタイミング装置において、ストッパで規制される基準位置にまで回転位相を戻すときに、大きな当たり音が発生することを回避できる制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明では、電磁ブレーキの摩擦制動によりクランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を進角変化させる構成であって、前記回転位相を遅角方向に付勢する弾性体と、前記遅角方向への回転位相の変化を規制するストッパとを備え、運転条件に応じた目標回転位相と実際の回転位相との偏差に基づいて前記電磁ブレーキの制御信号をフィードバック制御する電磁式可変バルブタイミング装置において、前記ストッパで規制される基準位置の回転位相が要求される運転条件に切り変わったときに、前記目標回転位相を、前記基準位置の回転位相にまで徐々に変化させる構成とした。
【0008】
かかる構成によると、運転条件が回転位相を基準位置することを要求する状態であっても、目標の回転位相を直ちに基準位置に切り替えるのではなく、徐々に基準位置にまで変化するように、目標回転位相が基準位置にまで遅角変化するときの変化速度を遅くし、該目標回転位相に応じて制御される実際の回転位相の基準位置への変化速度を遅らせる。
【0009】
請求項2記載の発明では、前記ストッパで規制される基準位置の回転位相が要求される運転条件に切り変わったときに、前記目標回転位相を、前記基準位置よりも進角側の所定回転位相から前記基準位置の回転位相にまで予め設定された速度で徐々に変化させる構成とした。かかる構成によると、例えば所定回転位相よりも進角側を目標とする状態から、基準位置を目標とすることが要求される運転条件に切り換わると、前記所定回転位相までは制限なく変化させるが、その後、基準位置の回転位相までは徐々に目標を変化させる。
【0016】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、基準位置に向かう目標回転位相の変化速度を遅くすることで、目標回転位相に基づいて制御される実際の回転位相が基準位置に向かう速度を遅くし、ストッパが当たるときの当たり音を小さくすることができるという効果がある。
【0017】
請求項2記載の発明によると、基準位置付近での目標回転位相の変化速度を遅くすることで、目標回転位相の変化速度が過剰に制限されることを回避しつつ、ストッパが当たるときの当たり音を小さくすることができるという効果がある。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は実施の形態におけるエンジンのシステム構成図である。
この図1において、車両に搭載されるエンジン101の各気筒の燃焼室には、エアクリーナ102,吸気通路103,モータ104aで開閉駆動される電子制御式スロットル弁104を介して空気が吸入される。
【0021】
各気筒の燃焼室内に燃料(ガソリン)を直接噴射する電磁式の燃料噴射弁105が設けられており、該燃料噴射弁105から噴射される燃料と吸入空気とによって燃焼室内に混合気が形成される。
燃料噴射弁105は、コントロールユニット131から出力される噴射パルス信号によりソレノイドに通電されて開弁し、所定圧力に調圧された燃料を噴射する。
【0022】
そして、噴射された燃料は、吸気行程噴射の場合は燃焼室内に拡散して均質な混合気を形成し、また圧縮行程噴射の場合は点火栓106回りに集中的に層状の混合気を形成する。燃焼室内に形成される混合気は、点火栓106により着火燃焼する。
但し、エンジン101を上記の直接噴射式ガソリンエンジンに限定するものではなく、吸気ポートに燃料を噴射する構成のエンジンであっても良い。
【0023】
エンジン101からの排気は排気通路107より排出され、該排気通路107には排気浄化用の触媒108が介装されている。
また、吸気バルブ109を駆動する吸気側カムシャフト110には、電磁ブレーキの摩擦制動によりクランクシャフト112に対するカムシャフト110の回転位相を進角変化させ、作動角一定のまま吸気バルブ109のバルブタイミングを変更する電磁式可変バルブタイミング装置115が備えられている。
【0024】
尚、電磁式可変バルブタイミング装置115は、排気側カムシャフトに備えられる構成であっても良いし、また、排気側カムシャフトと吸気側カムシャフトの双方に備えられる構成であっても良いし、更に、シングルカムに適用される構成であっても良い。
コントロールユニット131は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インターフェイス等を含んで構成されるマイコンを備え、各種センサからの入力信号を受け、これらに基づいて演算処理して、燃料噴射弁105,点火栓106及び前記電磁式可変バルブタイミング装置115を制御する。
【0025】
前記各種センサとして、エンジン101のクランク角を検出するクランク角センサ121、カムシャフト110から気筒判別信号を取り出すカムセンサ122が設けられており、前記クランク角センサ121からの信号に基づきエンジン101の回転速度Neが算出される。
この他、吸気通路103のスロットル弁104上流側で吸入空気流量Q(質量流量)を検出するエアフローメータ123、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度)APSを検出するアクセルセンサ124、スロットル弁104の開度TVOを検出するスロットルセンサ125、エンジン101の冷却水温Twを検出する水温センサ126、排気中の酸素濃度に応じて燃焼混合気の空燃比を検出する空燃比センサ127、車速VSPを検出する車速センサ128などが設けられている。
【0026】
ここで、前記電磁式可変バルブタイミング装置115の構造を、図2,3に基づいて説明する。
図2,3において、シリンダヘッド120に対して回転可能に支持されるカムシャフト110の端部111の軸周に回転可能にプーリ(又はスプロケット)2が支承される。プーリ2はカムシャフト110に対して相対回転可能に支承され、エンジン101のクランクシャフト112の回転に連動して回転する。
【0027】
カムシャフト110の端部111の延長線上には、軸周にギヤが形成される伝達部材3がボルト31により固定され、プーリ2の回転が、以下に説明する伝達機構を介して伝達部材3に伝えられる。
カムシャフト110と同軸に、フランジを有する筒状のドラム41が設けられ、このドラム41とプーリ2との間には、ドラム41の回転位相を遅らせる方向に付勢するコイルばね42(弾性体)が介装されている。
【0028】
即ち、プーリ2にはケース部材44が固定され、コイルばね42の外周側端部は、このケース部材44の内周面部分に固定され、コイルばね42の内周側端部は、ドラム41の外周面に固定されている。
ここで、前記ドラム41に形成されたストッパ41aと、前記プーリ2に形成されたストッパ2aとが当接して、コイルばね42による付勢方向(回転位相を遅らせる方向)への回転位相の変化が規制されるようになっており、後述する電磁ブレーキの摩擦制動力によって前記ストッパ位置(以下、基準位置という)から回転位相が進角方向に変化し、電磁ブレーキによる摩擦制動力が無くなると、前記基準位置にまでコイルばね42の付勢力によって戻るようになっている。
【0029】
また、伝達部材3の軸周に形成されたギア32と、筒状のピストン部材43の内周に形成されたギア433とが、はす歯ギヤによるヘリカル機構により噛み合っている。
ピストン部材43の外周面の対向する2箇所に、係合部431,431が突出形成されていて、プーリ2の回転中心部分からカムシャフト110の軸方向に延出している爪部材21,21の間に前記係合部431,431が係合している。この係合によりピストン部材43とプーリ2とは同位相で回転する。
【0030】
ピストン部材43の前記係合部431,431には、ピストン部材43の軸を中心とする雄ねじ432が各々形成され、ドラム41の内周面には雌ねじ411が形成されていて、この両者はねじ作用により噛み合っている。
ドラム軸受部材45は、伝達部材3の外周とドラム41の内周との間に介装され、この両者の相対回転を軸受する。このドラム軸受部材45とドラム41の内周面との間には、爪受部材7aが介装されている。
【0031】
この爪受部材7aはドラム41の内周面に支持され、爪部材21,21の先端部の外周面側に形成されている段部22,22に当接して、カムシャフト110の径方向に爪部材21,21を係止している。
被吸引部材46は、その回転中心部分に内歯の平ギヤ461が形成され、このギヤ461には、伝達部材3の先端部に形成されている平ギヤ33に噛み合っている。
【0032】
これにより、被吸引部材46は伝達部材3に対し、その軸方向に摺動可能に構成されると共に、被吸引部材46と伝達部材3とは同位相で回転する。
ドラム41のフランジ部分412の側面にはギア413が形成され、被吸引部材46の一方の面462に形成されているギア463と対峙していて、この両ギヤは噛み合うことで、ドラム41と被吸引部材46とが回転方向に係合するようにしてある。
【0033】
第1の電磁ソレノイド5bと第2の電磁ソレノイド5aは、カムシャフト110の軸芯線を囲むように、カムシャフト110の端部111に固定されている伝達部材3や、この伝達部材3を固定しているボルト31の外周面を囲むように軸受部材6を介して配置されている。
すなわち、スペーサ部材47が、ボルト31の頭部311と伝達部材3の先端部との間に嵌合固定されていて、このスペーサ部材47の外周側には、第2の電磁ソレノイド5aがスペーサ部材47との間に軸受部材6を介して配置されている。
【0034】
さらに、第2の電磁ソレノイド5aと被吸引部材46の外周側には、電磁ブレーキを構成する第1の電磁ソレノイド5bが配置されている。第2の電磁ソレノイド5aはボルト51aにより、ケース8に固定されている。
次に作用について説明する。
カムシャフト110の回転位相を進角側に変更するためには、第1の電磁ソレノイド5bが発生する磁界によりピストン部材43をカムシャフト110の軸方向に移動することにより行う。
【0035】
すなわち、まず、第2の電磁ソレノイド5aの発生磁界により、被吸引部材46が吸引されて、被吸引部材46のギア463と、ドラム41のギア413とが離れ、ドラム41がプーリ2に対して相対的に回転できるようにする。
そして、第1の電磁ソレノイド5bの発生磁界により、ドラム41を吸引することで、ドラム41を第1の電磁ソレノイド5bの端面に押し付けて、摩擦制動を作用させる。
【0036】
これにより、ドラム41はコイルばね42の付勢力に抗してプーリ2に対して回転遅れを生じて相対回転し、ねじ411とねじ432とで噛み合っているピストン部材43はカムシャフト110の軸方向に移動する。
ピストン部材43と伝達部材3とは前記のヘリカル機構により噛み合っているので、ピストン部材43の移動により、伝達部材3引いてはカムシャフト110の回転位相がプーリ2に対して進角側に変わることになる。
【0037】
従って、第1の電磁ソレノイド5bへの電流値を増大させ、コイルばね42の付勢力に抗する制動力(滑り摩擦)を増大させるほど、カムシャフト110の回転位相が進角側に変更されることになる。
上記のように、電磁ブレーキによる制動力に応じて決まるドラム41の回転遅れ量によってカムシャフト110の回転位相がプーリ2(クランクシャフト112)に対して変わるものであり、前記電磁ブレーキによる制動力は、第1の電磁ソレノイド5bに供給される電流値をデューティ制御することで制御されるようになっており、前記電流値の制御デューティDutyを変化させることで、回転位相の変化量(進角量)を連続的に制御できる。
【0038】
尚、本実施形態では、電磁ブレーキの制御信号に相当する制御デューティDuty(%)の増大に応じて、前記第1の電磁ソレノイド5bに供給される電流値が増大し、該電流値の増大に応じてカムシャフト110の回転位相が進角方向に変化するものとする。
前記コントロールユニット131は、後述するようにして、第1の電磁ソレノイド5bの通電をフィードバック制御してカムシャフト110の回転位相を変化させ、目標回転位相に一致すると、第2の電磁ソレノイド5aへの通電を遮断することで、被吸引部材46のギア463と、ドラム41のギア413とを噛み合わせ、ドラム41をプーリ2に対してそのときの位相状態で固定し、第1の電磁ソレノイド5bへの通電を遮断する。
【0039】
図4は、コントロールユニット131による回転位相制御の実施形態を示すフローチャートである。尚、図4のフローチャートに示すルーチンは一定時間毎に実行されるものとする。ステップS1では、エンジン負荷及びエンジン回転速度を読み込む。
【0040】
ステップS2では、予めエンジン負荷及びエンジン回転速度に応じて目標回転位相を記憶したマップを参照し、そのときのエンジン負荷及びエンジン回転速度に対応する目標回転位相を検索し、これをマップ目標値とする。
尚、前記目標回転位相は、前記コイルばね42の付勢力によって戻るストッパ2a、41aによる基準位置を0とする進角角度で示されるものとする。
【0041】
ステップS3では、前記マップ目標値が0、即ち、前記コイルばね42の付勢力によって戻るストッパ2a、41aによる基準位置であるか否かを判別する。
前記マップ目標値が0(基準位置)ではないときには、ステップS4へ進み、前記マップ目標値を制御目標値にセットする。
そして、次のステップS5では、第1の電磁ソレノイド5bの制御デューティ(制御信号)の基本値(フィードホワード分)を、前記制御目標値に従って設定する。
【0042】
また、ステップS6では、前記クランク角センサ121及びカムセンサ122からの検出信号に基づいて検出される実際の回転位相と、前記制御目標値との偏差に基づき、フィードバック分を、例えば比例・積分・微分動作によって設定する。
そして、ステップS7では、前記基本値(フィードホワード分)とフィードバック分との加算値を最終的な制御デューティ(制御信号)として求め、次のステップS8で、前記最終的な制御デューティを第1の電磁ソレノイド5bに出力する。
【0043】
一方、ステップS3で、マップ目標値が0(基準位置)であると判別されると、ステップS9へ進む。
ステップS9では、前回の制御目標値が0(基準位置)であったか否かを判別し、前回の制御目標値が0(基準位置)であったときには、前回の制御目標値=0(基準位置)の状態を保持したまま、ステップS5以降へ進む。
【0044】
また、前回の制御目標値が0(基準位置)でなかったときには、ステップS10へ進み、前回の制御目標値が閾値S/Lよりも大きかったか否かを判別する。
ここで、前回の制御目標値が閾値S/Lよりも大きかった場合には、ステップS11へ進み、制御目標値に前記閾値S/Lをセットした後、ステップS5以降へ進む。
【0045】
これにより、閾値S/Lよりも大きいマップ目標値が設定される運転条件から、マップ目標値として基準位置が設定される運転条件に切り換わったときには、まず、制御目標値を閾値S/Lにまでステップ的に変化させる設定が行われ、該閾値S/Lを目標とする制御が行われる。
一方、ステップS10で、前回の制御目標値が閾値S/Lよりも小さかったと判別された場合には、ステップS12へ進み、前回の制御目標値から所定値Δθだけ小さい回転位相を今回の制御目標値とする。
【0046】
ステップS13では、前記ステップS12における制御目標値の減算処理で、制御目標値が基準位置である0よりも小さくなったか否かを判別し、制御目標値が基準位置である0よりも大きいときには、そのままステップS5以降へ進むが、制御目標値が基準位置である0よりも小さくなっているときには、ステップS14で制御目標値を基準位置とする設定を行った後、ステップS5以降へ進む。
【0047】
上記処理により、閾値S/Lよりも大きいマップ目標値が設定される運転条件から、マップ目標値として基準位置が設定される運転条件に切り換わったときには、まず、制御目標値を閾値S/Lにまでステップ的に変化させる設定が行われた後、本ルーチンの実行周期毎(一定時間毎)に制御目標値が所定値Δθずつ減少設定され、最終的にはマップ目標値である基準位置まで変化する(図5参照)。
【0048】
また、閾値S/Lよりも小さいマップ目標値が設定される運転条件から、マップ目標値として基準位置が設定される運転条件に切り換わったときには、切り換わり前のマップ目標値を初期値として、本ルーチンの実行周期毎(一定時間毎)に制御目標値が所定値Δθずつ減少設定され、最終的にはマップ目標値である基準位置まで変化する。
【0049】
従って、運転条件の変化によって回転位相を基準位置とする要求が発生しても、回転位相の制御目標値が基準位置にまでステップ的に変化することがなく、制御目標値が単位時間当たり一定角度ずつ減少して徐々に基準位置に近づくことになる。
このように、徐々に基準位置に近づく制御目標値に従って、第1の電磁ソレノイド5bに出力する制御デューティ(制御信号)を演算させれば、実際の回転位相も徐々に基準位置に近づくことになり、基準位置を規定するストッパが当たるときの運動エネルギーが小さくなり、ストッパの当たり音を小さくできる。
【0050】
また、閾値S/Lよりも大きい領域では、制御目標値のステップ的変化が許容されるため、回転位相が基準位置に戻るのが過剰に遅くなることを防止できる。尚、上記実施形態では、回転位相の制御目標が基準位置に到達するのを強制的に遅らせることで、実際の回転位相が基準位置に到達するときの速度を遅らせるようにしたが、第1の電磁ソレノイド5bに出力される制御デューティ(制御信号)の変化を強制的に鈍らすことで、実際の回転位相が基準位置に到達するときの速度を遅らせることができ、係る構成とした参考例を、図6のフローチャートに従って説明する。
【0051】
図6のフローチャートに示すルーチンは一定時間毎に実行され、ステップS21では、エンジン負荷・エンジン回転速度を読み込み、ステップS22では、前記エンジン負荷・回転に基づいて目標回転位相を設定する。
ステップS23では、第1の電磁ソレノイド5bの制御デューティ(制御信号)の基本値(フィードホワード分)を、前記目標回転位相に従って設定する。
【0052】
また、ステップS24では、前記クランク角センサ121及びカムセンサ122からの検出信号に基づいて検出される実際の回転位相と、前記目標回転位相との偏差に基づき、フィードバック分を設定する。
そして、ステップS25では、前記基本値とフィードバック分とを加算して、制御デューティ(制御信号)を求める。
【0053】
ステップS26では、そのときの目標回転位相が0(基準位置)であるか否かを判別する。
目標回転位相が0(基準位置)でない場合には、ステップS31へ進み、ステップS25で演算された制御デューティをそのまま第1の電磁ソレノイド5bに出力するが、目標回転位相が0(基準位置)である場合にはステップS27へ進む。
【0054】
ステップS27では、そのときの実際の回転位相が、閾値θsよりも小さいか否かを判別する。
実際の回転位相が閾値θs以上である場合、即ち、目標回転位相は0(基準位置)であるが、未だ回転位相が所定以上進角された状態にある場合には、ステップS31へ進むことで、制御デューティ(制御信号)に制限を加えることなく、ステップS25で演算された制御デューティをそのまま出力させる。
【0055】
一方、実際の回転位相が閾値θsよりも小さくなると、ステップS28へ進み、実際の回転位相が0(基準位置)になっているか否かを判別する。
実際の回転位相が0(基準位置)になるまでは、ステップS29以降へ進んで、制御デューティに制限を加えるが、実際の回転位相が0(基準位置)になると、ステップS31へ進むことで、制御デューティ(制御信号)に制限を加えることなく、ステップS25で演算された制御デューティをそのまま出力させる。
【0056】
ステップS29では、前回第1の電磁ソレノイド5bに出力された制御デューティと、今回ステップS25で演算された制御デューティとの偏差が、所定値ΔDutyよりも大きいか否かを判別する。
前記偏差が所定値ΔDuty以下であれば、ステップS31へ進むことで、ステップS25で演算された制御デューティをそのまま出力させるが、前記偏差が所定値ΔDutyよりも大きい場合には、ステップS30へ進み、前回第1の電磁ソレノイド5bに出力された制御デューティから所定値ΔDutyを減算した値を今回の出力デューティとして、ステップS31へ進む。
【0057】
上記構成によると、目標回転位相が0になると、実際の回転位相が閾値θsよりも大きい状態では通常の制御で制御デューティ(第1の電磁ソレノイド5bに供給される電流値)が減少変化することになるが、実際の回転位相が基準位置に近づいて閾値θsよりも小さくなると、制御デューティの減少速度を制限して徐々に減少させるようにするので、実際の回転位相は、閾値θsよりも大きい状態では比較的早く減少変化するものの、閾値θsよりも小さくなると基準位置に向かう速度が緩くなり、基準位置を定めるストッパの当たり音を小さくできる。
【0058】
上記参考例においては、ステップS27で実際の回転位相と閾値θsとを比較させることで、制御デューティの減少速度の制限を開始するタイミングを判断させる構成としたが、図7のフローチャートに示す第2の参考例に示すように、ステップS27aにおいて、目標回転位相が0(基準位置)に切り換わってからの時間が所定時間になったか否かを判別させ、所定時間が経過してから制御デューティの減少速度の制限を開始させる構成としても良い。
【0059】
尚、図7のフローチャートにおいて、ステップS27a以外の各ステップは、図6のフローチャートと同じ処理を行うので、同じステップ番号を付して説明を省略した。以下に示す第3〜第6の参考例においても、図6のフローチャートと同じステップ番号が付されたステップは、同じ処理を行うものとして説明を省略する。
【0060】
図8のフローチャートに示す第3の参考例に示すように、ステップS27bにおいて、目標回転位相が0(基準位置)に切り換わってから制御デューティが所定値S/Lよりも小さくなったか否かを判別させ、所定値S/Lから規準位置相当値である0までの制御デューティの領域内で、制御デューティの減少速度を制限させる構成としても良い(図9参照)。
【0061】
また、上記第1〜3の参考例においては、制御デューティの単位時間当たりの減少変化量を所定値以下に制限する構成としたが、実際の回転位相が単位量だけ変化するときの(単位実回転位相当たりの)制御デューティの変化量を制限する構成としても良い。図10のフローチャートは、単位実回転位相当たりの制御デューティの変化量を制限する第4の参考例を示すものであり、ステップS29a及びステップS30aの部分以外の各ステップは、図6のフローチャートと同じである。
【0062】
この第4の参考例において、ステップS29aでは、前回の制御デューティと今回ステップS25で演算された制御デューティとの偏差を、前回の実際の回転位相と今回の実際の回転位相との偏差で除算して、単位実回転位相当たりの制御デューティの変化量を求め、該単位実回転位相当たりの制御デューティの変化量が所定値D/θよりも大きいか否かを判別する。
【0063】
そして、単位実回転位相当たりの制御デューティの変化量が所定値D/θよりも大きい場合には、ステップS30aへ進んで、単位実回転位相当たりの制御デューティの変化量を所定値D/θとすべく、前回の実際の回転位相と今回の実際の回転位相との偏差に前記所定値D/θを乗算して許容される制御デューティの変化量を求め、前回の制御デューティから前記許容変化量を減算した結果を、今回の出力デューティとする。
【0064】
ここで、図11のフローチャートの示す第5の参考例のように、単位実回転位相当たりの制御デューティの変化量を制限する構成において、制限の開始タイミングを判定するステップS27aを、目標回転位相が0(基準位置)になってからの経過時間が所定時間以上になっているか否かを判断させる構成としても良い。
【0065】
更に、単位実回転位相当たりの制御デューティの変化量を制限する構成において、前記図8のフローチャートと同様に、ステップS27bで制御デューティが所定値S/Lよりも小さくなった否かを判別させて、所定値S/Lよりも小さい領域で制限を加える構成とすることができ、係る構成とした第6の参考例を図12のフローチャートに示してある。
【0066】
尚、上記実施形態及び参考例では、一定速度で制御目標値又は制御デューティを減少変化させるようにしたが、制御目標が基準位置に近づくほど又は制御デューティが基準位置相当値に近づくほど、より減少速度を遅くするようにしても良い。また、目標回転位相(マップ目標値)が基準位置に切り換わった時点から、直ちに、制御目標の変化或いは制御デューティの変化を制限させるようにしても良い。
【0067】
また、電磁式可変バルブタイミング装置115は、電磁ブレーキの摩擦制動によりクランクシャフトに対するカムシャフトの回転遅延を制御して、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変化させる構成であれば良く、図2,3に示した構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態におけるエンジンのシステム構成図。
【図2】実施の形態における電磁式可変バルブタイミング装置の断面図。
【図3】実施の形態における電磁式可変バルブタイミング装置の分解斜視図。
【図4】電磁式可変バルブタイミング装置の回転位相制御の実施形態を示すフローチャート。
【図5】上記実施形態における制御特性を示すタイムチャート。
【図6】電磁式可変バルブタイミング装置の回転位相制御の第1の参考例を示すフローチャート。
【図7】電磁式可変バルブタイミング装置の回転位相制御の第2の参考例を示すフローチャート。
【図8】電磁式可変バルブタイミング装置の回転位相制御の第3の参考例を示すフローチャート。
【図9】上記第4実施形態における制御特性を示すタイムチャート。
【図10】電磁式可変バルブタイミング装置の回転位相制御の第4の参考例を示すフローチャート。
【図11】電磁式可変バルブタイミング装置の回転位相制御の第5の参考例を示すフローチャート。
【図12】電磁式可変バルブタイミング装置の回転位相制御の第6の参考例を示すフローチャート。
【符号の説明】
2…プーリ
2a…ストッパ
3…伝達部材
5a…第2の電磁ソレノイド
5b…第1の電磁ソレノイド
41…ドラム
41a…ストッパ
42…コイルバネ
43…ピストン部材
46…被吸引部材
110…カムシャフト
101…エンジン
115…電磁式可変バルブタイミング装置
121…クランク角センサ
122…カムセンサ
131…コントロールユニット
Claims (2)
- 電磁ブレーキの摩擦制動によりクランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を進角変化させる構成であって、前記回転位相を遅角方向に付勢する弾性体と、前記遅角方向への回転位相の変化を規制するストッパとを備え、運転条件に応じた目標回転位相と実際の回転位相との偏差に基づいて前記電磁ブレーキの制御信号をフィードバック制御する電磁式可変バルブタイミング装置において、
前記ストッパで規制される基準位置の回転位相が要求される運転条件に切り変わったときに、前記目標回転位相を、前記基準位置の回転位相にまで徐々に変化させることを特徴とする電磁式可変バルブタイミング装置の制御装置。 - 電磁ブレーキの摩擦制動によりクランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を進角変化させる構成であって、前記回転位相を遅角方向に付勢する弾性体と、前記遅角方向への回転位相の変化を規制するストッパとを備え、運転条件に応じた目標回転位相と実際の回転位相との偏差に基づいて前記電磁ブレーキの制御信号をフィードバック制御する電磁式可変バルブタイミング装置において、
前記ストッパで規制される基準位置の回転位相が要求される運転条件に切り変わったときに、前記目標回転位相を、前記基準位置よりも進角側の所定回転位相から前記基準位置の回転位相にまで予め設定された速度で徐々に変化させることを特徴とする電磁式可変バルブタイミング装置の制御装置。
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