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JP4011366B2 - 成形材料の製造方法、および製造装置 - Google Patents
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JP4011366B2 - 成形材料の製造方法、および製造装置 - Google Patents

成形材料の製造方法、および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形材料の製造方法、および製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平7−25679号公報、特開平7−284628号公報等に開示されているように、ケイ酸カルシウムを含有する軽量気泡コンクリート等の粉粒体を炭酸化処理し、吸放湿性に優れた成形材料(以下、「炭酸硬化体」と称することがある)を得る技術が知られている。この炭酸硬化体は、主として軽量気泡コンクリートの粉粒体からなる原料に水を混合した混合原料を、加圧下で板状に成形し、得られた板体を炭酸ガス雰囲気下で養生することにより製造される。
【0003】
このような成形材料の製造において、板体の養生は、一般に板体を養生釜中で高濃度の炭酸ガス雰囲気下に曝露することにより行われる。このとき、原料中に含まれるカルシウム化合物と炭酸ガスとが反応して炭酸カルシウムが析出する(炭酸化反応)ことにより、原料粒子同士の結合が起こり、硬化が進行すると考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この養生工程において、成形材料に寸法のばらつきが生じたり、反りや側反りが大きくなったり、また亀裂や割れが生じたりする場合があった。その原因は、以下のようであると考えられる。
【0005】
炭酸化反応は、養生釜中の炭酸ガス濃度、圧力、温度、湿度、および板体中の水分量によって影響を受ける。一般的に、炭酸ガス濃度が高いほど、また圧力が高いほど反応は良好に進行することが知られている。また、炭酸ガスは水に溶け込んで炭酸イオン、あるいは炭酸水素イオンとなり、板体内部に浸透していくことから、板体に含まれる水分は炭酸化反応の促進に大きな役割を果たす。さらに、炭酸化反応は温度が高いほど促進される一方、高温になると炭酸ガスの水への溶解度が下がり、板体内部への炭酸ガスの浸透度が下がることから、温度の調整も炭酸化反応の促進のために重要である。
【0006】
しかし、養生釜の内部では、▲1▼液化炭酸ガスを気化装置を介して養生釜中に導入する場合、炭酸ガスの流量が多いと温度が低下する、▲2▼炭酸ガスを高圧ガスボンベから低圧雰囲気の養生釜中に直接に導入する場合には、断熱膨張により温度が低下する、▲3▼炭酸ガスは空気より重いため、養生釜の底部に滞留し易い、▲4▼炭酸化反応の反応熱により板体中の水分が蒸発して水蒸気が生じ、この水蒸気が養生釜の上部に滞留し易い、等の現象が起こる。これにより、養生釜内部での炭酸ガス濃度の分布、温度分布、および湿度分布にむらが生じる。このために、板体の設置箇所によって炭酸化反応の進行にばらつきを生じ、成形材料の寸法のばらつき、反り、割れ等が引き起こされると考えられる。
【0007】
また、炭酸化反応の反応熱により板体が高温になると、水分が蒸発して板体内で局所的な水分不足が起こる場合がある。このような場合には、板体内部への炭酸ガスの浸透度が局所的に下がってしまうため、反応むらが生じる。あるいは、上記▲1▼、▲2▼のように冷却された炭酸ガスが直接に板体に吹き付けられると、吹き付けられた部分の温度が局所的に低下するため、反応むらが生じる。このために、成形材料の寸法のばらつき、反り、割れ等が引き起こされると考えられる。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、養生不良を抑制できる成形材料の製造方法、および製造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、養生不良を抑制できる成形材料の製造方法および製造装置を開発すべく鋭意研究してきたところ、容器内で炭酸ガスを流動させつつ炭酸化反応を行わせることにより、容器内の炭酸ガス濃度、温度、湿度を平均化させて炭酸化反応の不均一化を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、石灰質成分および/または珪酸カルシウムを含む原料を成形して板体を作製する成形工程と、前記板体を容器内に収容して炭酸ガス雰囲気下で養生する養生工程とを経る成形材料の製造方法であって、前記容器内で前記炭酸ガスを流動させつつ養生を行うことを特徴とする。
【0011】
ここで、石灰質成分を含む原料としては、生石灰(酸化カルシウム)、消石灰(水酸化カルシウム)等が挙げられる。なかでも消石灰が好ましい。また、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムが固溶、混在したスラグも使用できる。また、珪酸カルシウムを含む原料としては、非晶質珪酸カルシウム化合物(CSHゲル)、トバモライト、ゾノトライト、フォッシャジャイト、ヒルブレンダイト、ジャイロライト、ジェナイト、ウォラストナイト、セメント鉱物、ポルトランドセメント、γ−C2S等を使用できる。なお、ポルトランドセメントを使用する場合には、そのセメントの一部または全部が水和反応したものであっても構わない。これらの原料は、単独で、あるいは複数種を混合して使用することができる。
【0012】
また、リサイクルの観点から、上記した成分を含む材料であるセメントサイジング板、セメント押出成形板等のセメント二次製品、軽量気泡コンクリート、ケイカル板等の珪酸カルシウム製品、コンクリート硬化体、セメントモルタル硬化体、セメントペースト硬化体、生コンスラッジ等の破砕粉粒体、あるいは切削粉体を、原料として好ましく使用することができる。
【0013】
また、炭酸ガスとしては、純度100%の二酸化炭素を用いてもよく、他の気体と混合された混合ガスを用いてもよい。具体的には、市販の液化炭酸ガスを気化したもの、ドライアイス、燃焼ガス、排気ガス等を用いることができる。混合ガスを用いる場合には、二酸化炭素濃度が3%以上100%未満であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。炭酸ガス濃度が低すぎれば、反応速度が遅くなり、効率的でないためである。また、混合される他の気体としては、窒素、酸素、不活性ガスが好ましい。硫酸系または硝酸系(ともに亜酸系を含む)のガスは極力低濃度とされることが好ましい。これらのガスはカルシウムと結合し、成形材料の強度に寄与しない硫酸カルシウムや硝酸カルシウムを生成させるためである。
【0014】
容器内の炭酸ガスを流動させるための手段としては、例えば炭酸ガスを容器の上部から導入することが挙げられる。炭酸ガスは空気より重いため、容器の下方へ移動しようとする。あるいは、例えば高圧ガスボンベから低圧雰囲気の容器内に導入される場合には、断熱膨張により温度が低下するために、容器の下方へ移動しようとする。一方、炭酸化反応の反応熱により温められた容器内の気体は、上方へ移動しようとする。このことを利用して、容器内に流動を生じさせることができる。
【0015】
特に、炭酸ガスを容器内へ注入するための注入口にノズルを設け、このノズルを介して炭酸ガスを容器内へ導入することにより、炭酸ガスの流速を高め、容器内への炭酸ガスの拡散をより速やかに行わせることができる。この際に、ノズルの形状により炭酸ガスの噴出パターンを調節することができる。噴出パターンは、扇形、円環型、直進型等どのような形であっても構わないが、容器の容量が大きい場合には、炭酸ガスの拡散をより速やかに行うという観点から、直進型とすることが好ましい。さらに、炭酸ガスの流動をより円滑に行わせるとの観点から、炭酸ガスの噴出方向を容器の内壁面に沿う方向とすることが好ましい。なお、ノズルの種類としては特に制限はなく、例えばブローオフノズル、スプレーノズル等を使用できる。
【0016】
また、容器内に設けた撹拌装置により炭酸ガスを流動させてもよい。撹拌装置としては、容器内の気体を撹拌可能なものであれば特に制限はなく、例えばプロペラ型あるいはシロッコ型の送風機を使用することができる。
【0017】
炭酸ガスの流動は、少なくとも養生開始時から容器内の温度が最高温度に達するまでの間に渡って行わせることが好ましい。容器内の温度が最高温度に達する前に流動を止めてしまうと、その後の板体からの熱や水分の発散に伴って、容器内の温度分布や湿度分布に偏りが生じ、炭酸化反応の不均一化が招来されるためである。
【0018】
さらに、炭酸ガスの容器内への導入前に、あらかじめ容器内を減圧しておくことが好ましい。容器内の炭酸ガス濃度を高めることによって、濃度分布の偏りによる炭酸化反応の不均一化を抑制することができるためである。また、板体の内部に存在する空気をあらかじめ抜いておくことにより、炭酸ガスを浸透しやすくさせ、炭酸化反応を促進することが可能となるためである。減圧は、容器内の圧力が0.01MPa以上0.07MPa以下の範囲内となるように行うことが好ましい。0.01MPa以下とすることは現在の技術では困難であり、一方、0.07MPaを超えると、容器内に残留する空気のために炭酸ガスの濃度分布の偏りを生じやすくなるためである。また、容器内の圧力を上記の範囲内に到達させるまでの排気時間が10分以上1時間以下となるように、排気を行うことが好ましい。10分未満では圧力の低下が急激となりすぎることから、板体に損傷を与えるおそれがあるためである。一方、1時間を超えると製造効率が下がり、好ましくないためである。
【0019】
このように容器内で炭酸ガスを流動させつつ養生を行うためには、容器の上部に設けられて炭酸ガスを容器の内部へ導入可能な注入口と、容器の内部に設けられてこの容器内の気体を撹拌可能な撹拌装置とを備えた成形材料の製造装置を用いることができる。
【0020】
本発明に使用される製造装置の材質は、特に限定されるものではないが、使用される炭酸ガス、および板体から発散される水分等により劣化しない材料であることが好ましい。具体的には、ステンレス製、あるいは鋼製であることが好ましく、テフロン(登録商標)、耐酸性塗料等によりコーティングされていることがより好ましい。樹脂・セラミックス等は劣化により破損を生じるおそれがあるため好ましくない。
【0021】
また、炭酸ガスの容器内への導入前に、あらかじめ容器内を減圧しておく場合には、容器に耐圧性があり、かつ密閉可能であることを要する。容器の形状には特に制限はなく、例えば円筒状、球状、方形状とすることができる。特に、容器内部の空間を効率的に利用して板体の充填率を高めるという観点からは、円筒状あるいは方形状であることが好ましく、耐圧性を高めるという観点からは円筒状あるいは球状であることが好ましい。したがってこれら双方の要件を満足する形状として、円筒状であることが最も好ましい。また容器が円筒状である場合、板体の搬入のし易さという観点から、円筒の軸方向を水平方向にして設置されることが好ましい。
さらに、注入口の設置数としては特に制限はないが、炭酸化反応を円滑に進行させるために、養生釜の大きさに応じて適当な間隔を設けて設置されることが必要であるため、3箇所以上設けられていることが好ましい。
【0022】
【発明の作用、および発明の効果】
本発明の成形材料の製造方法および製造装置によれば、容器内で前記炭酸ガスを流動させつつ養生を行うことにより、容器内の炭酸ガス濃度分布、温度分布、湿度分布の偏りを抑制することができる。また、板体における温度、水分量の局所的な低下を抑制することができる。これらにより、炭酸化反応を均一に行わせて、養生不良や板体の変形を抑制し、良好な品質の成形材料を製造することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
以下、本発明の成形材料の製造方法および製造装置を具体化した第1実施形態について、図1〜図4を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
図1および図2には、本実施形態における成形材料を製造するための製造装置1を示した。製造装置1の養生釜2(本発明の容器に該当する)は、ステンレスにより左右方向に開口する略円筒状に形成され、その内部に板体17を収容可能とされている。養生釜2の開口部には、略円盤状に形成されてこの開口部を緊密に塞ぐことが可能な蓋部3が、開閉自在に装着されている。
【0025】
養生釜2の内部には、撹拌羽根4(本発明の撹拌部材に該当する)が設けられている。この撹拌羽根4は、養生釜2の内壁面から内側に向かって突出された回転軸に、4枚の羽根部が90度間隔で設けられた形状となっている。そして、回転軸は図示しないモータに接続され、このモータを駆動させることによって撹拌羽根4を回転させることができるようになっている。
【0026】
また、養生釜2の上部には、炭酸ガスを養生釜2内に導入するための注入口5が、均一ピッチで3箇所に設けられている。各注入口5は、上下方向に開口する筒状に形成されて、養生釜2内部の空間と外部空間を連通させるようになっている。この注入口5の上側の開口には、炭酸ガスを供給するためのチューブ6が接続され、このチューブ6は図示しない液化炭酸ガスボンベ並びに気化装置に接続されている。また、下側の開口には、チューブ6から供給された炭酸ガスを養生釜2の内部に噴射するためのノズル7が取り付けられている。ノズル7は、略円筒状に形成されるとともに、その下側面は、略円形の噴射面とされており、ここには多数の噴射口(図示せず)が開設されている。
【0027】
養生釜2内においてノズル7の下方には、フード部8が設けられている。フード部8は、ステンレス製の板材を山形に折り曲げ加工することにより形成されて、注入口5が設けられた養生釜2の天井面と、それよりも下部側の板体17が設置される空間とを仕切るように設けられている。このフード部8は、板体17に含まれている、あるいは炭酸化反応によって生じた水が蒸発してできた水蒸気が、養生釜2の天井面に接することによって冷やされて水滴となり、板体17上に滴り落ちるのを防止する役割を果たしている。
【0028】
また、養生釜2の底部には、養生釜2の内部に連通する筒状の排出筒9が備えられており、ここから養生釜2内の空気を外部へ排出することが可能となっている。
【0029】
養生釜2内には、板体17を支持するための製造用治具10が設置されている。この製造用治具10には、板体17を設置するための底板部11と、この底板部11から立接された複数の立て掛け部12とが備えられている。(図3および図4参照)
【0030】
底板部11は、ステンレスにより上下方向に開放された長方形の枠状に形成されている。この底板部11には、複数の立て掛け部12が立接されている。立て掛け部12は、棒状のステンレス部材を曲げ加工することにより下向きコの字状に形成されて、底板部11の開口部分を跨ぐようにして取り付けられ、コの字の両端部がそれぞれ底板部11の長辺部分に接続されている。また、この底板部11の短辺部分からは、中央部分が開口したロの字状の側壁13がそれぞれ立接されている。そして、板体17が各立て掛け部12の間隙に挿入され、立て掛け部12に立て掛けられることで縦置きに支持されるようになっている。各立て掛け部12は、所定の間隔をおいて設けられており、板体17同士を間隔をおいて支持することができるようにされている。
【0031】
この製造用治具10は、台車14により養生釜2内に搬入される。台車14は、平板状の基板部15と、この基板部15の下側に備えられた車輪16とを備えており、基板部15上に製造用治具10を載置した状態で、養生釜2内への搬入−搬出ができるようにされている。
【0032】
次に、この製造装置1を使用した成形材料の製造方法について説明する。本実施形態において製造される成形材料は、石灰質成分および/またはケイ酸カルシウムを含有する粉粒体を水と混合し、成形、炭酸化処理して得られる炭酸硬化体である。
【0033】
本実施形態の成形材料の原料として使用される粉粒体としては、平均粒子径1〜1000μmとされたものが好ましい。この粉粒体には、必要に応じて繊維、顔料、臭気吸着剤等の機能性材料、珪石粉、長石粉、雲母、軽石、珪藻土、建設廃土、骨材等の副原料が添加されていてもよい。粉粒体に対する副原料の添加量は、加えられる副原料の種類により異なり一概に限定されないが、副原料が繊維、無機顔料、機能性材料のような微粉体であれば、粉粒体の5重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましい。また、副原料がスラグ、骨材等のように粒径100μm以上のものであれば、粉粒体の5重量%以下であることが好ましい。
【0034】
まず、混合工程において、粉粒体に水を添加して混合し、混合原料を調製する。水の添加量は、粉粒体の粒径および多孔性により異なり一概に限定されないが、粉粒体が粒径10〜200μmの軽量気泡コンクリート粉粒体である場合には、粉粒体の乾燥重量に対して30重量%〜50重量%であることが好ましい。また、粉粒体がサスペンジョン式オートクレーブで水熱合成されたCSHゲル、トバモライト、ゾノトライトである場合には、粉粒体の乾燥重量に対して30重量%〜70重量%であることが好ましい。また、粉粒体が平均粒径10〜数百μmの廃コンクリート粉粒体、モルタル粉粒体、ウォラストナイトである場合には、粉粒体の乾燥重量に対して10重量%〜30重量%であることが好ましい。水の添加量が少なすぎると、成形時の板体の保形性が低下するためである。また、添加量が多すぎると、成形時に板体からの水の搾出に時間がかかるため、また、板体内に過剰の水分が残留することにより、成形材料に剥離が引き起こされるおそれがあるためである。
【0035】
粉粒体と水との混合は、撹拌容器の内部にアジテータ等の撹拌部材を備えた通常のミキサ等を用いて行うことができる。なお、粉粒体に副原料を添加する場合には、均一な混合という観点から、水を加える前に粉粒体と副原料とをあらかじめ混合しておくことが好ましい。
【0036】
得られた混合原料は、次の成形工程に運ばれる。成形方法としては、乾式プレス成形、脱水プレス成形、押出し成形、丸網・長網の抄造成形等が使用できる。なかでも、原料性状(粒子径、粒子強度、含水率等)への依存度が比較的低く、かつ生産性の高い乾式プレス成形が好ましい。乾式プレス成形を行う場合には、例えば一軸プレス機などの加圧成形機の型枠内に混合原料を流し入れ、加圧力5〜40MPaで成形して板体17を作製する。
【0037】
成形工程により得られた板体17は、加圧成形機から取り出され、次の養生工程に運ばれる。養生工程においては、まず、製造用治具10に板体17を設置する。具体的には、板体17をその板面17Aが製造用治具10における底板部11の板面11Aに対して略垂直方向となる縦置き状として、各立て掛け部12の間隙に挿入し、立て掛け部12に立て掛けることによって安定に支持させる。ここで、各立て掛け部12は所定の間隔をおいて設けられているため、各板体17はそれぞれ所定の間隔をおいて支持される。
【0038】
このようにして板体17を設置した製造用治具10を、台車14に載せて養生釜2内に搬入する。そして、養生釜2を密閉し、排出筒9につないだ真空ポンプを作動させて、養生釜2内を0.07MPa以下に減圧する。このようにあらかじめ養生釜2内の空気を抜いておくことにより、養生釜2内の炭酸ガス濃度を高め、濃度分布の偏りによる炭酸化反応の不均一化を抑制することができる。また、板体17の内部に存在する空気をあらかじめ抜いておくことにより、炭酸ガスを浸透しやすくさせ、炭酸化反応を促進することが可能となる。
【0039】
減圧後、撹拌羽根4の運転を開始するとともに、ガスボンベのバルブを開いて、養生釜2上部の注入口5から炭酸ガスを導入する。すると、板体17に含有されるカルシウム化合物が炭酸ガスと接触することによって炭酸化反応が起こり、板体17が硬化を始める。このとき、注入口5にはノズル7が設けられ、このノズル7を介して炭酸ガスが養生釜2内へ導入される。これにより、炭酸ガスの流速を早め、養生釜2内への炭酸ガスの拡散を速やかに行わせることができる。さらに、ノズル7の取り付け方向を調節することにより、炭酸ガスの噴出方向が養生釜2の内壁面に沿うようにすれば、炭酸ガスの拡散をより速やかに行わせることができる。
【0040】
炭酸化反応の速度は、ガス圧力が高くなるほど速くなるため、高圧の雰囲気下で養生を行うことが好ましい。このとき、養生釜2内の圧力が高くなるほど炭酸化反応を促進することができるのであるが、0.8MPaを超えると、養生釜2の耐圧性を上げなければならず、経済性の観点から好ましくない。一方、0.1MPa未満では大気圧以下となり、炭酸化反応の進行が遅くなってしまうため好ましくない。このため、養生釜2内部の圧力を0.1MPa以上0.8MPa以下とすることが好ましい。
また、養生釜2内部の温度は0℃以上で水蒸気の飽和温度以下、好ましくは室温〜飽和温度マイナス20℃の範囲内とすることが好ましい。
【0041】
ここで、養生釜2の上方から注入された炭酸ガスは、ガスボンベから比較的低圧雰囲気の養生釜2内に導入されることにより断熱膨張を起こし、温度が低下すること、また、空気より重いことから、養生釜2の下方へ移動しようとする。一方、炭酸化反応の反応熱により温められた養生釜2内の気体は、上方へ移動しようとする。このことを利用して、養生釜2内に炭酸ガスの流動(図2中矢印方向)を生じさせることができる。
【0042】
また、養生釜2内への炭酸ガス導入開始と同時に、撹拌羽根4の運転を開始し、養生釜2内の気体を撹拌することによっても、炭酸ガスの流動を行わせることができる。このとき、炭酸化反応により生じた反応熱が板体17から発散されることにより、養生釜2内部の温度が上昇していく。また、これに伴い、板体17から水分が蒸発していく。このため、養生釜2内の温度が最高温度に達するまで撹拌羽根4の運転を継続し、養生釜2内部の温度分布や湿度分布の偏りを抑制する。
【0043】
このように養生釜2内で炭酸ガスを流動させつつ養生を行うことにより、養生釜2内の炭酸ガス濃度分布、温度分布、湿度分布の偏りを抑制することができる。また、板体17における温度、水分量の局所的な低下を抑制することができる。これらにより、炭酸化反応を均一に行わせて、養生不良や板体17の変形を抑制し、良好な品質の成形材料を製造することができる。
【0044】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について、図5および図6を参照しつつ詳細に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
本実施形態の製造装置20の第1実施形態との相違点は、製造装置20において、略円筒型のノズル7の代わりに、平型のノズル21が取り付けられている点である。ノズル21は、断面L字型の筒状に形成されており、その一端側は注入口6と接続可能とされている。一方、その他端側は、先端へ行くほど拡幅されており、先端部は扁平な噴出口21Aとされている。そして、このノズル21は、噴出口21Aが養生釜20の円周方向を向くようにして注入口5に取り付けられている。
【0046】
この製造装置20を用いて成形体を製造する際には、第1実施形態と同様に、板体10を養生釜2内部に設置し、炭酸ガスを注入する。このとき、ノズル21は、その噴出口21が養生釜20の円周方向を向くようにして取り付けられているため、炭酸ガスの噴出方向が養生釜2の内壁面に沿う方向とされる。したがって、炭酸ガスは、図6中矢印で示すように、養生釜2の内壁面に案内されて拡散し、養生釜2の円周方向に沿って円を描くような炭酸ガスの流れが生じる。これにより、炭酸ガスの拡散をより速やかに行わせることができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0048】
<実施例1>
原料として軽量気泡コンクリートを使用した。この軽量気泡コンクリートを破砕し、1.5mm以下に分級した平均粒径100μmの粉粒体100重量部に水40重量部を添加し、均一に混合して混合原料を得た。なお、この軽量気泡コンクリートは、70重量%の珪酸カルシウム水和物トバモライトを含んでおり、酸化カルシウム換算で33重量%のカルシウムを含んでいる。
この混合原料を300mm角のプレス型枠に流し入れ、プレスにより25MPaの加圧力で加圧して、厚さ8mmの板体372枚を得た。
【0049】
得られた板体を、各板体間に15mmの間隔をおいた状態で製造用治具に縦置きに設置した。この製造用治具を、台車上に横2列、縦3列、高さ方向2段に整列した。この台車3台を、上記第1実施形態に示したものと同様の形状のステンレス製の養生釜中に搬入した。なお、養生釜は容積3.7m、耐圧0.7MPaであり、養生釜内の充填率は8%であった。充填率は以下の式1により算出した。
【0050】
充填率=[板体の体積の合計/{養生釜の容積−(製造用治具の体積+台車の
体積)}]…(式1)
【0051】
この養生釜を密閉し、真空ポンプによって養生釜の内部を30分かけて0.05MPaまで脱気した。その後、養生釜の上部に設けられたノズルから、市販の炭酸ガスを養生釜中に導入した。そして、養生釜内部の圧力が0.5MPaに達した時点で炭酸ガスの注入を止め、そのまま2時間保持して、炭酸化反応を行わせた。この間、上段側の製造用治具と下段側の製造用治具にそれぞれ取り付けられた熱電対により、温度を測定した。反応終了後、養生釜の内部を大気圧まで戻して、完成された成形材料を取り出し、割れ、反りの発生を観察した。
【0052】
<実施例2>
養生釜の注入口に、上記第2実施形態に示したノズル21と同様の平型形状のノズルを取り付け、噴き出し方向が養生釜の内壁面に沿うようにして炭酸ガスの注入を行った他は、実施例1と同様にして炭酸硬化体を製造し、割れ、反りの発生を観察した。
【0053】
<比較例>
養生釜の下部側に注入口を取り付けて炭酸ガスの注入を行った他は、実施例1と同様にして炭酸硬化体を製造し、割れ、反りの発生を観察した。
【0054】
<結果と考察>
表1には、実施例および比較例における養生釜内部の温度、成形材料の反り、および割れの発生状況を示した。反りについては、各実施例および比較例について、全板体の反りの平均値および標準偏差を、割れについては、割れが発生した成形材料の枚数を示した。
【0055】
【表1】
Figure 0004011366
【0056】
表1より、養生釜の下部から炭酸ガスを注入した場合(比較例)には、上段側、下段側の熱電対による測定温度はそれぞれ72℃、50℃であり、下段側の製造用治具の周辺温度が上段側に比べて著しく低くなっていた。また、完成した成形材料の反りは平均0.74mmであり、割れは372枚中44枚に観察された。これは、炭酸ガスは空気より重く、養生釜の下部側から注入されるとそのまま釜内の底部に滞留するために、養生釜内での炭酸ガスの流動が起こらず、炭酸ガス濃度分布、温度分布、湿度分布に偏りが生じたためであると考えられる。
【0057】
これに対して、養生釜の上部から炭酸ガスを注入した場合(実施例1)においては、上段側、下段側の熱電対による測定温度はそれぞれ70℃、58℃であり、下段側の製造用治具の周辺温度が上段側に比べてやや低くなっているものの、その差は12℃と僅かであった。このことから、養生釜内で炭酸ガスの流動が起こり、温度分布の偏りが抑制されていることが分かった。また、完成した成形材料の反りは平均0.17mmであった。さらに、割れは観察されなかった。これは、炭酸ガスを流動させることにより、養生釜内の炭酸ガス濃度分布、温度分布、湿度分布の偏りが抑制されるとともに、板体における温度、水分量の局所的な低下が抑制され、炭酸化反応が均一に行われたためであると考えられる。
【0058】
また、平型のノズルを取り付け、噴き出し方向が養生釜の内壁面に沿うようにして炭酸ガスを注入した場合(実施例2)においては、上段側、下段側の熱電対による測定温度はそれぞれ73℃、64℃であり、その差は9℃と、実施例1よりも小さくなった。これは、ノズルを取り付けて、炭酸ガスの噴出方向を容器の内壁面に沿う方向とすることにより、炭酸ガスの流速が速めらるとともに、養生釜内への炭酸ガスの拡散がより速やかに行われ、その結果、養生釜内の炭酸ガス濃度分布、温度分布、湿度分布の偏りがいっそう抑制されたためであると考えられる。また、完成した成形材料の反りは平均0.05mmと、実施例1よりも小さくなっていた。さらに、割れについては、実施例1と同様、観察されなかった。このように、炭酸ガスの拡散を速やかに行わせることにより、炭酸化反応の不均一化を効果的に抑制し、成形材料の品質を確保できることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の製造装置の概略図−1
【図2】第1実施形態の製造装置の概略図−2
【図3】第1実施形態の製造用治具の斜視図
【図4】第1実施形態の製造用治具に板体を設置した側面図
【図5】第2実施形態の製造装置の概略図−1
【図6】第2実施形態の製造装置の概略図−2
【符号の説明】
1、20…製造装置
2…養生釜(容器)
4…撹拌羽根(撹拌装置)
5…注入口
7、21…ノズル
8…フード部
17…板体

Claims (8)

  1. 石灰質成分および/または珪酸カルシウムを含む原料を成形して板体を作製する成形工程と、前記板体を容器内に収容して炭酸ガス雰囲気下で養生する養生工程とを経る成形材料の製造方法であって、
    前記容器の上部から前記容器内に炭酸ガスを導入することにより前記容器内で前記炭酸ガスを流動させつつ養生を行うことを特徴とする成形材料の製造方法。
  2. 前記炭酸ガスの撹拌を少なくとも養生開始時から前記容器内の温度が最高温度に達するまでの間に渡って行うことを特徴とする請求項1に記載の成形材料の製造方法。
  3. 前記炭酸ガスをノズルを介して前記容器内に導入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成形材料の製造方法。
  4. 前記容器内に撹拌装置を設けて前記容器内の気体を撹拌することにより前記炭酸ガスを流動させることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の成形材料の製造方法。
  5. 前記炭酸ガスの前記容器内への導入前に前記容器内を排気することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載の成形材料の製造方法。
  6. 前記容器が円筒状であるとともに、前記容器の上部から前記容器内に炭酸ガスを導入する注入口が3箇所以上設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の成形材料の製造方法。
  7. 前記容器内に、前記容器の天井面と前記容器内に設置される板体との間を仕切るフード部を設けた状態で養生を行うことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の成形材料の製造方法。
  8. 石灰質成分および/または珪酸カルシウムを含む原料を成形して作製された板体を炭酸ガス雰囲気下で養生するための成形材料の製造装置であって、
    内部に前記板体を設置可能な容器と、
    前記容器の上部に設けられて前記炭酸ガスを前記容器の内部へ導入可能な注入口と、
    前記容器の内部に設けられてこの容器内の気体を撹拌可能な撹拌装置とを備えたことを特徴とする成形材料の製造装置。
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