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JP4012575B2 - 炎症の影響を低減するための組成物および物品 - Google Patents
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JP4012575B2 - 炎症の影響を低減するための組成物および物品 - Google Patents

炎症の影響を低減するための組成物および物品 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は一般に薬物療法学の分野に関し、そして光力学療法(「PDT」)を傷害組織に起因する炎症を低減または防止するために使用することに関し、この傷害組織は、腸管傷害(例えば手術)によるもの、または事故傷害(例えば、皮膚の裂傷、関節および腱に対する傷害、および火傷の被害者の処置)によるもの、のいずれによるものでもよい。好ましい実施態様では、本発明は「低用量」PDTを眼組織の処置に使用することに関し、ここで炎症は眼組織の操作に起因し、特に、炎症が患者が必要な手順から回復するのに複雑な要因を提示する場合である。通常の適用は、炎症性眼疾患および種々のタイプの眼科手術またはレーザー処置、例えば、移植、および緑内障の処置に通常使用される濾過眼手術を包含する。特に好ましい実施態様では、本発明は濾過手術の結果を向上させるための濾過胞(filtration bleb)の残存(survival)の延長に関する。
背景技術
炎症一般
一般に炎症に関連する4つの主要な徴候は:(1)赤み、(2)腫脹、(3)熱および(4)疼痛であり、任意の5番目の主要な症候は影響を受けた部分の機能の損失である。傷害は事象の複雑な系列の引き金となり、これらの多くは同時に起こり、そして種々の様式で相互関連しているが、小血管が炎症の誘発に重要な様式で関与していることが知られている。実際、炎症は身体の価値ある防御機構の1つであり、そして通常3つの相を有していると考えられる:変性相(degenerative phase)、血管相(vascular phase)、および治癒相(healing phase)である。Klein,「作動する防御反応(Defense Reactions in Action)」, Immunology, The Science of Self-Nonself Discrimination, 第14章、577-84(1982)を参照のこと。この開示は本明細書中に参考として援用される。
詳細には、変性相において、影響を受けた細胞(主として上皮細胞および線維芽細胞)が腫脹して、その細胞質は空胞化し、そしてその核は拡大および断片化する。損傷を受けた血管中の血小板のいくらかは分解し、そしてセロトニンおよびその他の交感神経末端で作用するメディエーターを放出する。
血管相は血管の変化、いわゆる炎症細胞(顆粒球−特に好中球、リンパ球、単球、およびマクロファージ)の広範囲な移動および活性、ならびに変性細胞および細胞細片(cellular debris)の除去で特徴づけられる。毛細管網および後毛細管小静脈は、活性充血において、血液で溢れ、鬱血し、そして怒張する。毛細管の数もまた増加するので、炎症組織は赤みを帯びた外観(ときどき「発赤」と呼ばれる)が観察される。血流の増加はまた、炎症領域の温度を周囲の正常組織と比べて温度の高い大動脈血の温度に近づけ、熱感を与える。
傷害をうけると、損傷組織は、H物質と呼ばれるヒスタミンに関連することが知られている物質を放出する。これは破壊された組織の肥満細胞によって放出されるヒスタミンおよびセロトニンの混合物である。H物質は血管の活性な拡張を引き起こし、そして拡張した血管の内皮細胞は互いに分離し、その結果、内皮細胞間の空隙が大きくなる。血管を内張りする内皮は徐々に白血球で覆われ、流体のうちのいくらかを周囲組織中に出させる。血管から周囲組織中に漏出するタンパク質に富む流体は組織を腫脹させる。漏れた流体はまた、細菌毒素を中和する物質を含み、そしてこれは炎症を起こす因子の破壊を補助する。
白血球、特に好中球および単球は、血管周囲構造および組織空間中に遊出し得る適切な空隙が見つかるまで血管壁に沿って動く。白血球は死滅した細胞および死滅しつつある細胞を攻撃し、それらを細胞内で食作用によって消化するか、または細胞外でタンパク質分解酵素(これはそれら自体が死滅するときにそれらのリソソームから放出される)によって消化する。白血球の遊出のための刺激は傷害組織から走化因子の形態でもたらされると考えられる。
血小板は組織の傷害によって大いに影響を受ける別の細胞型である。傷害のすぐ後、血小板は単独または塊で血管壁に接着する。同時に、フィブリン繊維が現れはじめ、微細な網目を形成し、これが細胞の捕捉を助ける。得られた血餅が崩壊した組織の端を共に引っ張る。
好中球および単球による壊死組織の細胞内および細胞外の消化により流体が生じ、これが血管から押し出される漿液物質と組み合わされる。膿瘍が形成すると、窩洞は発熱性の膜で内張りされ、これが、細菌に感染した創傷においては、病原性微生物の血中への播種および増殖を防ぐ。
炎症プロセスの最初の2相において、外来体は、破壊されるか(例えば、外来体が有機体の場合)、またはその周囲の組織が弛緩する(loosen)(例えば、外来体が断片(splinter)の場合)かのいずれかである。治癒相において、炎症が鎮静しはじめ;個々の血管および脈管パターンがもう一度正常になり;そして創傷の修復が開始する。修復プロセスにおける3つの主事象は、(1)線維芽細胞の増殖による新しい結合組織の形成;(2)上皮の再生;および(3)新しい毛細管の成長である。
炎症の鎮静の前でさえ、線維芽細胞は周囲の正常組織(ここでは線維芽細胞は通常休眠状態で存在する)から傷害領域中に移動しはじめる。線維芽細胞はアメーバ様運動でフィブリンのストランドに沿って移動し、そして自身を治癒領域全体に分布させる。一旦、傷害組織中の位置に固定されると、線維芽細胞はコラーゲンを合成しはじめ、そしてこのタンパク質を分泌し、これがそれ自身を繊維として配列する。この繊維はその長軸で応力が最も高い方向に自身を配向させる。コラーゲンの束が成長して堅固になるにつれ、線維芽細胞はしだいに変性し、そしてこの束に密接に付着し、そして傷害領域は瘢痕組織に変形する。
瘢痕組織の形成と同時に、創傷の端の無傷の上皮細胞が増殖しはじめ、そして1枚のシートとして傷害領域の中心に向かって動きはじめる。炎症が鎮静するにつれ、血液の直接供給の必要性が生じ、そして新しい血管が創傷中に成長しはじめる。
炎症を分子的に見ると、多くの活性化合物が互いに複雑な様式で相互作用していることが公知である。傷害によって損傷を受けた細胞の中でもとりわけ肥満細胞が、初期相の血管拡張の引き金となるメディエーターを放出し、これに内皮細胞の分離および内皮下層中のコラーゲン繊維の露出が伴う。血管中に形成される細胞間の空隙の線維が血小板を捕捉し、そしてこれらの細胞からのメディエーターの放出の引き金となる。
血小板に加えて、露出したコラーゲン繊維もまた拡張された血管壁の孔を通ってしみ出す血漿のタンパク質と相互作用し、これは血液凝固カスケードの引き金となる因子を含む。これらのタンパク質はまた、キニン−ブラジキニンカスケードを開始し、ブラジキニンを産生し、これが血管拡張に関与するようになり、血管の浸透性、および走化性を高める。
第4の分子系である補体カスケードは、いくつかの刺激によって活性化され得る:傷害を受けた血管、損傷細胞により放出されるタンパク質分解酵素、いずれかの関与する細菌の膜成分、および抗原−抗体複合体。活性化された補体成分のうちのいくつかは走化因子として作用し、白血球が炎症領域へと流入する原因となる。他のものは食作用を促進し、そして細胞溶解に関与する。
眼の炎症
緑内障は眼の傷害であり、ここで高い眼内圧が個人の視力を損なう。正常な眼では、房水は毛様体の上皮細胞により産生される。毛様体は虹彩の内側の円周に沿って(眼球の内側に向かって)位置する。この房水の機能は、眼の細胞に栄養を与えること、および眼球内を陽圧に保持することを包含し、これは像形成のために必要な視覚のパーツを正確な空間的配置に維持するために必要であり、写真用カメラにおけるカメラのボディの支持構造と同様である。
房水は正常には、線維柱帯を通って濾過により眼から除去される。線維柱帯は眼の前方部分の虹彩と角膜との間の隅角中に円周にそって位置する環状体である。
房水は典型的には線維柱帯中の顕微的な孔からシュレム管中に排出され、そして次に接続管(connector channel)を通り、これが房水を上強膜(episcleral)静脈の中、そして眼の外へと導く。緑内障の病理においては、眼からの房水の流出が減少し、その結果、眼内圧が激しく上昇し、内部眼組織に損傷を与え、そして最終的に視力が完全に失われる。
緑内障処置における治療目的は常に同一である。すなわち、房水の産生を減少させるか、あるいは眼から外に排出または「濾過」される房水を増加させるかのいずれかによって、眼内圧を低下させることである。この目的を達成するための多くの手段があるが、薬物療法が常に最初に試みられる。薬物療法では上昇する眼内圧の制御が成功しない場合、他のより侵襲的な技術が用いられる。例えば、レーザー処置または外科的処置(intervention)である。
レーザー処置は線維柱帯形成術(trabeculoplasty)を包含し、ここでレーザーを用いて線維柱帯中に孔を焼く。外科的技術には、以下が挙げられる:(1)線維柱帯切開術(trabeculotomy)、これは金属のプローブまたは「トラベクロトーム(trabeculotom)」を用いて、シュレム管と眼の前房との間に、正常な排出角の円周のおよそ1/3の開口部を作製する;(2)線維柱帯切除(trabeculectomy)、これは線維柱帯を切開することを伴う;および(3)虹彩切除(iridectomy)、これは虹彩の一部を切除することを意味する。強膜切開(sclerostomy)は、レーザーまたは外科的器具のいずれかで強膜を切開することを伴う。線維柱帯切除、虹彩切除および強膜切開は全て、濾過「胞」(filtration“bleb”)の形成を伴う。濾過胞は小さい嚢であり、その中に過剰の眼流体が分流して、眼からの排出を促進する。
緑内障濾過手術は通常、進行性の緑内障の損傷を有する患者、および現在の眼圧のレベルでは疾患の進行のリスクが顕著である患者に対して推奨される。重篤な損傷の患者では、眼内圧(「IOP」)が20mmHg未満に低減され得、そしてこのレベル未満に維持され得る場合、長期の予後が改善される。従って、進行性の損傷を有し、かつ眼圧が18-20mmHgを越える患者には、濾過手術は通常、強く推奨される。
この手術は通常以下の2つのカテゴリーのうちの1つに入る:(1)全層法(fullthickness procedure)または(2)保護痩管法(guarded fisula procedure)。より基本的には、保護瘻管法は典型的には以下の線維柱帯切除工程を包含する:
a.眼瞼を引っ込ませる(retracting)工程;
b.角膜輪部(半透明の組織であり、眼の不透明な強膜と透明な角膜との変わり目を表す)を穿通して、眼の前方部分の外側から前房(着色した虹彩と虹彩を被覆する透明の角膜とで区切られている)内への開口部を形成する工程;
c.虹彩の下の位置で、結膜の外層を剥がし、そして三角形の強膜弁(flap)(三角形の底辺を角膜輪部とする)を切る工程;
d.三角形の強膜弁の底辺から前房に進入する工程;
e.下にある線維柱帯の一部を切除して、瘻管または接続管を形成する工程;
f.虹彩の小片を瘻管を通して切除する工程;
g.縫合を用いて強膜弁を閉じる工程;
h.結膜を縫合して閉じる工程;および
i.生理学的に受容可能な流体(例えば塩基性塩溶液(「BSS」))を角膜輪部を穿通する外部開口部(これは工程bで作製した)を通じて前房中に注入し、角膜輪部に沿って形成された胞を上昇させて(elevated)、瘻管が遮断されないことを確実にし、そして胞に漏れがないことを確実にする工程。
全層法は、強膜弁なしで直接開口部を作製して、前房と結膜下の空間とを角膜輪部を通して接続する点で異なる。角膜の外層を剥がした後、瘻管を強膜切除術(sclerectomy)(組織の縁を角膜輪部で強膜から切り取る)、熱的強膜切開術(浅い溝を強膜中に角膜輪部表面に平行に切る)、レーザー強膜切開術、または穿孔術によって作製する。Stewart、「濾過手術_術式および手術合併症(Filtering Surgery--Techniques and Operative Complications)」、Clinical Practice of Glaucoma, 第10章、333-61(1990)、この開示は本明細書中に参考として援用される。
手術の後、濾過胞の状態を定期的に注意深く観察する。最初は、胞は通常は強膜から十分上昇して離れている(elevated off)。多くの眼では、術後1日目に結膜中の無血管状態の始まりの領域を通常は瘻管部位の周囲に示す。無血管性領域は毛細管および細静脈の局在化した損失に注目することによって同定される。しかし、前房を検査すると、少量の赤みまたは発赤が存在し得、炎症を示す。IOPは術後1週目では通常5mmHg未満であるが、6〜10mmHgの範囲であり得る。初期検査の後、患者は典型的には抗生物質−ステロイドの併用を開始される。Stewart、「濾過手術の術後合併症(Postoperative Complications of Filtering Surgery)」、Clinical Practice of Glaucoma, 第11章、363-90(1990)、この開示は本明細書中に参考として援用される。
術後第2週から第4週では、結膜および胞は炎症が少なくなり、そして前房は発赤の量が鎮静して「平静」になる。また、瘢痕化の結果として、胞は通常、少し小さくなる。加えて、胞は一般に無血管領域を示し続け、これはサイズが増大し得る。IOPは術後第2週から第4週で通常10mmHg以上に上昇する。Stewart、「濾過手術の術後合併症」、Clinical Practice of Glaucoma, 第11章、363-90(1990)。
4週間の無併発性の術後の経過の後、結膜は通常は炎症がほとんどまたは全くない。良好に機能している胞は典型的には無血管性領域を維持し、そして強膜から最小限または十分に上昇してのいずれかで離れ得る。加えて、IOPはこの期間の間、理想的には10mmHgと15mmHgとの間で安定すべきである。局所的な術後のステロイドを濾過胞および前房の炎症の量に従ってゆっくりと漸減する。胞が血管および炎症を残している場合、任意の前区の炎症の回復を早め、それにより瘢痕形成を制限するために、ステロイドは通常は維持され、そしてときには増やされることさえある。Stewart、「濾過手術の術後合併症」、Clinical Practice of Glaucoma, 第11章、363-90(1990)。
不運なことに、濾過手術の後の早期術後期間の間に、患者は種々の異なる合併症に罹患し得る。これらのひとつは胞不全(bleb failure)である。多くの患者において、胞不全は術後1〜6ヶ月の間に起こり、そして胞は最終的に眼圧を制御しなくなる。臨床的には、機能に劣る濾過胞は通常、範囲が小さく、上昇が少なく、そして少なくとも部分的に血管新生し、そしてIOPは再び正常範囲より高く上昇してくる。Stewart、「濾過手術の術後合併症」、Clincal Practice of Glaucoma, 第11章、363-90(1990)。
濾過手術の成功は、術後、胞がどれだけ長く機能したままでいるかによる。患者は典型的には、瘻管部位での遮断、あるいは結膜と強膜との間の界面での瘢痕化のいずれかから胞不全を発症する。瘻管部位が遮断された場合、いくつかのレーザー治療技術または従来の外科技術のうちの1つが使用され得る。しかし不運なことに、たとえこのようにして瘻管を開けても、房水の流出(aqueous outflow)は強膜に対する以前の胞の瘢痕化によって制限され得る。これらの手順が失敗に終わり、そして患者のIOPが最大限の医学的治療でも制御されなければ、別の場所に他の濾過手順を行うことが必要であり得る。瘻管が開口したままでも胞が小さければ、IOPの上昇はおそらく結膜と強膜との間の瘢痕化の結果であり、これは依然として胞不全の最も一般的な原因である。Stewart、「濾過手術の術後合併症」、Clinical Practice of Glaucoma, 第11章、363-90(1990)。
濾過手術における眼組織、特に結膜の手技は必然的に炎症を引き起こし、そして最終的には瘢痕化を引き起こす。一般に、手技が多いほど、胞の寿命は短くなる。緑内障に対するハイリスクの患者における濾過手術がしばしば術後の瘢痕化の結果として失敗に終わるので、線維芽細胞がこのプロセスにおける決定的な役割を果たしているように見える。Katzら、「ハイリスク緑内障濾過手術におけるマイトマイシンC対5-フルオロウラシル(MitomycinC versus 5-Fluorouracil in High-risk Glaucoma Filtration Surgery)」、Ophthalmology, 102:9, 1263-68(1995)。緑内障濾過手術の失敗のひとつの主要な原因は結膜下組織における線維芽細胞の存在であり(Berlinら、「緑内障手術におけるレーザー強膜切開の役割(The Role of Laser Sclerostomy in Glaucoma Surgery)」、Current Opinion in Ophthalmology, 6:102-114(1995))、そして手術が失敗した場合、それは通常は濾過部位に線維芽細胞の増殖および瘢痕化が存在するからである(Moraら、「術中にスポンジ5-フルオロウラシルを用いた線維柱帯切除術(Trabeculectomy with Intraoperative Sponge 5-Fluorouracil)」、Ophthalmology, 103:963-70(1996))。
いわゆる「ハイリスク」患者において、線維化に起因する胞不全が高い割合で存在する場合、濾過胞の残存を延長するための、手術と併用する処置がときとして有用である。炎症および瘢痕化を低減するために多くの技術が工夫されており、これにより濾過手術で作製された濾過胞の機能が延長される。この技術は例えば、単なる指による眼のマッサージを手術の後に約4週間にわたって周期的に行うことなどである。
炎症応答を阻害し、そしてコラーゲンの形成をその合成系路の特定の工程で阻止することにより瘢痕化を制限する薬理学的技術もまた試みられている。コルチコステロイドがしばしば、点眼薬として、あるいは結膜下注射としてのいずれかで局所的に使用され、炎症応答および線維芽細胞増殖を阻害することによって胞の瘢痕化の予防を補助する。Stewart、「濾過手術_術式および手術合併症」、Clinical Practice of Glaucoma, 第10章、333-61(1990)。通常、局所ステロイドは前区の炎症が解消するまで瘢痕化を最小にするために続けられる。Stewart、「濾過手術の術後合併症」、Clinical Practice of Glaucoma, 第11章、363-90(1990)。典型的な処置プログラムは術後の局所的な使用を3時間毎に20日位にわたって急速に漸減しながら行うことを示しているかも知れない。Araujoら、「線維柱帯切除後の術後コルチコステロイドの期待される無作為試行に対する10年のフォローアップ(A Ten-year Follow-up on a Prospective, Randomized Trial of Postoperative Corticosteroids after Traveculectomy)」、Ophthalmology, 102:1753-59(1995)。
5-フルオロウラシル(「5-FU」)は抗代謝活性を有するフッ素化ピリミジンアナログであり(チミジル酸シンターゼの競合的阻害剤)、これはまた線維芽細胞の増殖を減少させることによる抗線維性効果を及ぼし、これにより濾過胞の瘢痕化を防止する。典型的には、5-FUは手術の予後が良くない場合に使用される。2年後の時点で、5-FUは60から70%の間の濾過手術の成功率を示している。5-FUは通常は一連の結膜下注射で投与される。
しかし、頻回の反復的な術後注射の不便さおよび不快感に加えて、結膜下5-FUで多くの重篤な合併症が報告されており、これには上皮欠陥、上皮下瘢痕、角膜潰瘍形成、結膜創傷の漏出(leak)、胞漏出、脈絡膜上出血、網膜剥離および眼内炎が含まれる。このように、5-FUは胞の寿命を延長し得るが、この薬剤の一般的な毒性のせいで、角膜上皮欠陥、瘢痕、および血管新生の発生率もまた高い。Stewart、「濾過手術_術式および手術合併症」、Clinical Practice of Glaucoma, 第10章、333-61(1990)。また、Khawら、「フルオロウラシル、フロキシウリジン、およびマイトマイシンによる5分間の処置はヒトテノン被膜線維芽細胞に対する長期的効果を有する(Five-minute Treatment with Fluorouracil, Floxuridine, and Mitomycin Have Long-term Effect on Human Tenon's Capsule Fibroblasts)」、Arch. Ophthalmol., 110:1150-54(1992);Kupinら、「Adjunctive Mitomycin C in Primary Trabeculectomy in Phakic Eyes」、Am. J. of Ophtalmology, 119:30-39(1995);およびKatzら、「ハイリスク緑内障濾過手術におけるマイトマイシンC対5-フルオロウラシル」、Ophthalmology, 102:9, 1263-69(1995)も参照のこと。また、Kayら、「濾過手術に対する補助剤としての抗線維芽細胞剤の送達−第II部:コラーゲンインプラント中への5-フルオロウラシルおよびブレオマイシンの送達:ウサギにおける試験的研究(Delivery of Antifibroblast Agents as Adjuncts to Filtration Surgery-Part II: Delivery of 5-Fluorouracil and Bleomycin in a Collagen Implant: Pilot Study in the Rabbit)」、Ophthalmic Surg., 17:796-801(1986);およびKhawら、「ウサギにおける緑内障濾過手術に対する術中の5-フルオロウラシルまたはマイトマイシンCの効果(Effects of Inoperative 5-Fluorouracil or Mitomycin C on Glaucoma Filtration Surgery in the Rabbit)」、Opthalmology; 100:367-72(1993)も参照のこと。
何人かの著者が、不慮の眼内曝露に起因する角膜浮腫が、低濃度、例えば、0.5mLの10mg/mLの5-FUを通常の結膜下注射で使用することによって防止され得ることを報告している。Chalfinら、「フルオロウラシル針による胞の修正手術に二次的な角膜内皮毒性効果(Corneal Endothelial Toxic Effect Secondary to Fluorouracil Needle Bleb Revision)」、Arch. Opthalmol., 113:1093-94(1993)。他の人々は、5-FUの使用を、50mg/mLの化合物を浸漬したスポンジを用いた術中投与、およびこのスポンジを胞部位に短時間接触させておくことによって、より安全かつより効果的になし得ることに注目している。Moraら、「術中にスポンジ5-フルオロウラシルを用いた線維柱帯切除術」、Ophthalmology, 103:963-970(1996))。しかし、その後でさえも、補充の術後注射がいくつかの場合では必要とされ、そしてその注射もまた所望されない高発生率の角膜上皮の損傷を伴う。
フルオロウラシルのデオキシリボース糖であるフロキシウリジンは眼の線維芽細胞の長期間の阻害においてフルオロウラシルの約100倍強力であり、そのため単一用量で投与され得る。しかし、阻害ではなく細胞死を引き起こす差異は比較的小さい。従って、フロキシウリジンの使用は、正常組織が比較的高用量の潜在的な細胞毒性物質に曝露される危険の影響を受けやすい。Khawら、「フルオロウラシル、フロキシウリジン、およびマイトマイシンによる5分間の処置はヒトテノン被膜線維芽細胞に対する長期的効果を有する」、Arch. Ophthalmo1., 110:1150-54(1992)。
同様の効果はマイトマイシンまたはマイトマイシンC(「MMC」)でも知られている。MMCは5-FUよりも強力であるので、MMCもまた単回の術内適用で投与され得、典型的には接触時間は約1分間から5分間であり、その後、大量に洗浄される。
MMCはアルキル化抗増殖剤であり、Streptomycesの特定の種の発酵濾液から単離される。これは抗線維性、抗新生物性の抗生物質であり、これは線維芽細胞の増殖を阻害することによって濾過胞の瘢痕化を防止する。これは術後の結膜下線維化を低減するのに通常有効であり、それゆえ、濾過胞の残存時間を延長し、そしてIOPを低下させる傾向にある。
しかし、MMCもまた高濃度では細胞破壊的であり、そして所望されない眼の低張(IOPが5または6mmHg未満)をこれにより処置された患者のうちの1/3もの患者に生じさせる。他の所望されない副作用としては、結膜創傷漏出、脈絡膜剥離、および低張性黄変症(hypotony maculopahy)が含まれ、遅発性胞漏出は約25%の確率である。Khawら、「フルオロウラシル、フロキシウリジン、およびマイトマイシンによる5分間の処置はヒトテノン被膜線維芽細胞に対する長期的効果を有する」、Arch. Ophthalmol., 110:1150-54(1992);Zachariaら、「マイトマイシンCを用いた線維柱帯切除後の眼の低張(Ocular Hypotony after Trabeculectomy with Mitomycin C)」、Am. J. of Ophthalmology, l16:314-26(1993);Kupinら、「Phakic Eyeにおける初期線維柱帯切除における付属のマイトマイシンC」、Am. J. of Ophthalmology, 119:30-39(1995);Katzら、「ハイリスク緑内障濾過手術におけるマイトマイシンC対5-フルオロウラシル」、Ophthalmology, 102:9, 1263-69(1995);Shinら「緑内障の三重手順における付属的な結膜下マイトマイシンC(Adjunctive Subconjunctival Mitomycin C in Glaucoma Triple Procedure)、Ophmalmology, 102:10,1550-58(1995);Nouri-Mahdaviら、「原発性開放隅角緑内障のための線維柱帯切除の成果(Outcomes of Trabeculectomy for Primary Open-angle Glaucoma)」、Ophthalmology, 102:12, 1760-69(1995);およびMoraら「術中にスポンジ5-フルオロウラシルを用いた線維柱帯切除術」、Ophthamology, 103:963-70(1996)参照。研究者のグループの1つは、線維柱帯切除の間にMMCで局所処置した後、重篤な疼痛および強膜の赤みを伴う強膜炎の発生率が上昇することさえ報告した。Fouman, 「マイトマイシンCを用いる緑内障濾過手術後の強膜炎(Scleritis after Glaucoma Filtering Surgery with mitomyc in C)」、Ophthalmology, 102:10, 1569-71(1995)。Liangら、「ウサギの眼において成功した濾過手術でのマイトマイシンCと5-フルオロウラシルとの比較(Comparison of Mitomycin C and 5-Fluorouracil on Filtration Surgery Success in Rabbit Eyes)」、J. Glaucoma, 1:87-93(1992)。
他の化学者らは、5-FUまたはMMCのいずれかに加えてレーザー強膜切開を使用することを報告している。レーザー処置の後に5-FUを2週間にわたって投与することが成功であるとしてBerlinら、「緑内障手術におけるレーザー強膜切開の役割(The Role of Laser Sclerostomy in Glaucoma Surgery)」、Current Opinion in Ophthalmology, 6:ll, 102-l14(1995)に記載されたが、これはレーザー処置に加えて多くの異なる経路(結膜下注射、結膜下ゲルフォーム、局所点眼薬、または吸収スポンジ)により投与されるMMCの使用がさらになお効果的であり得ることを示唆している。しかし、通常の合併症、すなわち角膜毒性、創傷漏出、慢性低張、脈絡膜剥離、および低張性黄変症もまた言及されている。
ベータ-アミノプロピオナイトライト(beta-aminopropionitrite)(「BAPN」)およびD-ペニシラミンはコラーゲン線維の架橋を阻害するために使用されており、これは濾過手術の後、コラーゲンを未成熟状態に保持することを補助し得、そしてその結果、胞の瘢痕化を制限する。術後に局所BAPN軟膏を用いた初期の報告では、これが74%の患者においてIOPを22mmHg未満に保持したことが見いだされた。しかし、BAPNおよびD-ペニシラミンの両方を用いた動物実験は限られた効力を示したのみであった。Stewart、「濾過手術_術式および手術合併症」、Clinical Practice of Glaucoma, 第10章、333-61(1990)。
ブレオマイシンの考察に関してはKhawら、「ウサギにおける緑内障濾過手術に対する術中の5-フルオロウラシルまたはマイトマイシンCの効果」、Ophthalmology; 100:367-72(1993)を参照のこと。シトシンアラビノシド含浸ポリマーの考察に関しては、Leeら、「ウサギにおける緑内障濾過手術に対するシトシンアラビノシド含浸生体浸食性ポリマーの効果(Effects of Cytosine Arabinoside-impregnated Bioerodible Polymers on Glaucoma Filtration Surgery in Rabbits)」、J. Glaucoma, 2:96-100(1993)を参照のこと。
光力学療法
光力学療法(「PDT」)は許容された癌の処置として知られており、これは多くの目的、例えば固形腫瘍の処置(例えば米国特許第4,932,934号および同第5,283,255号);血液由来の標的(例えば白血病細胞)、免疫反応性細胞(同時係属中の出願番号第07/889,707号;同第08/309,509号、同第08/374,158号および同第08/174,211号)、および望ましくない微生物(米国特許第5,360,734号)の障害(impairment);再狭窄の防止(米国特許第5,422,362号);特定の新生血管性眼障害の診断および処置(同時係属中の出願番号第08/209,473号、同第08/390,591号および同第08/613,420号);アテローム硬化型プラークの除去(同時係属中の出願番号第08/663,890号);および移植拒絶反応の防止(同時係属中の出願番号第08/371,707号)のために使用され得る。
PDTは、光吸収性の感光剤(通常はポルフィリン誘導体)を局所または全身に適用することに関与し、これは標的組織に選択的に蓄積する。活性化波長の可視光を照射すると、光増感剤を含む細胞中に反応性酸素種が生成され、これが細胞死を促進する。例えば、腫瘍の処置では、光増感プロセスにより分子酸素の活性化誘導体である一重項酸素が生じると考えられ、これが細胞および組織中の多くの特定の部位と酸化的に反応し得る。結果として、腫瘍細胞は細胞下レベル、特に細胞膜およびミトコンドリア中で不可逆の損傷を受ける。インビボでは、腫瘍の破壊は、腫瘍の支質を物理的に支持する結合組織の枠組みおよび腫瘍に栄養を与える血管組織に影響を与える複数の因子の複雑な相互作用の結果である。Zhou、「光力学療法によって誘導される腫瘍壊死の機構(Mechanisms of Tumor Necrosis Induced by Photodynamic Therapy)」、J. of Photochem. and Photobiol., B.Biology, 3, 299-318(1989)。
光増感剤が腫瘍組織中に優先的に取り込まれ、蓄積し、そしていくつかの腫瘍支質細胞の壊死がPDTによって選択的かつ直接的に引き起こされることは明白である。しかし、血管の傷害とそれに続く腫瘍細胞の無酸素状態もまたPDTによって誘導される腫瘍壊死プロセスに関与する。特に後者の事象では、PDT誘導腫瘍壊死は、血管壁における物理化学的変化に対する急性炎症反応の結果であると考えられている。血液供給の急速な低下、ならびに腫瘍における炎症性浮腫の開始により、光傷害を受けた新生物細胞は低酸素状態あるいは無酸素状態にさえ至り、最終的には壊死を起こす。この全体としての損傷プロセスは、腫瘍支質中の光損傷を受けた肥満細胞および好中球からの血管作動性または組織溶解性物質(例えばヒスタミン、プロテアーゼおよび酸性ホスファターゼ)の放出によって増大し、これもまた炎症プロセスに関連する。Zhou、「光力学療法によって誘導される腫瘍壊死の機構」、J. of Photochem. and Photobiol., B. Biology, 3, 299-318(1989)。
許容された癌処置プロトコルにおいてPDTによって通常誘導される急性炎症相は諸刃の剣であることが認識されている。実験的な腫瘍モデルの研究は、PDTが投与された後、タンパク質および中性脂質に富む浸出液が細胞外空間に浸潤し、そして壊死周囲の生活細胞(perinecrotic vital cell)(「低酸素細胞」)の「壁」に対して蓄積し、これは壊死細胞の「ゴースト」に対して固着することを示す。ポジティブな癌処置の観点からは、炎症性浸出液はタンパク質に結合した光増感剤を腫瘍の内側の領域に送達することを補助し得る。これはさもなければ内側に到達するのは困難である。他方、炎症性浸出液のこの流れは、酸素および栄養もまた運搬し得、それにより、創傷修復プロセスに関わる細胞に栄養を与えることを補助する。従って、PDTに関連する炎症状態の発生が癌性腫瘍の処置をしばしば複雑にすることは紛れもない事実として認識される。Freitas、「炎症および光力学治療(Inflammation and Photodynamic Therapy)」、J. Photochem. and Photobiol., B: Biology, 8:340-41(1991)。
光増感剤としてスズエチルエチオプルプリン(tin ethyl etiopurpurin)([SnET2」)を用いて、PDTで緑内障濾過手術に関連して抗線維化効果を達成するいくつかの研究がなされている。詳細には、結膜下にSnET2の注射を受けたウサギに濾過手術を施し、次いで術後に光照射を行った。Hillら、「緑内障濾過手術後に代替の抗線維処置としてスズエチルエチオプルプリンを用いた光力学療法(Photodynamic Therapy with Tin Ethyl Etiopurprin as an Alternative Anti-Fibrotic Treament Following Glaucoma Filtering Surgery)」、Photochem. Photobiol, 61 Suppl., 68S, TPM-E9(1995);およびHillら、「濾過手術のウサギモデルにおける抗線維化のための光力学療法(PDT)(Photodynamic Therapy(PDT)for Antifibrosis in a Rabbit Model of Filtration Surgery)」Investigative Ophthalmology and Visual Science, 36:4, S877(1995)。しかし、この予備的な研究では、著者らはコントロールデータをなんら示していないので、従って、Hillらの処置が濾過胞の寿命を未処置の胞に比べて実際にどの程度延長したのかを決定することは困難である。
さらに、Hillらは、手術および照射工程を行う前に光増感剤を注射してから3時間より長い時間を経過させることを開示し、これは光増感剤が傷害に関連する組織に吸収されるのに十分な時間を与えるが、しかしまた光増感剤が眼の他の非標的領域にまで広がらせる。著者らは、広い過渡的な無血管性結膜の領域が生成され、この無血管領域が手術の完全に4週間後まで濾過胞に限定されなかったことを報告するので、眼の所望されない広い領域がこの処置によって影響を受けたことは明らかである。他の適用におけるPDTの周知の潜在的な破壊的な壊死効果を考えると、薬理学的活性を確実に制御し得るような程度および範囲で炎症を低減または防止することが必要である。
発明の開示
驚くべきことに、傷害組織に迅速に吸収されるが光の非存在下では非毒性の光増感剤を適切に選択することによって、PDTは予期できる、かつ有益な抗炎症効果を有し得、これは眼領域のようなデリケートな組織にさえも有用であることが今や明らかになった。これはPDTが炎症を低減または防止する能力を有するよりもむしろ炎症応答を実際に引き起こす原因となるという過去の教示から見て、特に驚くべき発見である。
具体的には、傷害組織から発生する炎症の影響が低用量のPDTによって低減または防止され得ることが今や発見された。具体的には、このような炎症を低減または防止するための本発明の方法は:
a.傷害組織または傷害前(pre-injured)の組織を該組織に浸透し得る光増感剤と接触させ、その結果、1時間未満で所望の度合いの体内分布を得る工程;および
b.このように接触させた組織を、この光増感剤によって吸収される波長を有する光に、曝露した組織中の炎症を低減または防止するに十分な時間であるが曝露した組織の壊死または紅斑を引き起こすほど長くない時間、曝露する工程を包含する。
本発明の方法は、傷害組織がさらなる傷害または炎症に対して高度に感受性である場合(例えば眼組織)に特に有利である。なぜなら、適切な光増感剤それ自体は、活性な照射なしでは、デリケートな組織に対して抗増殖性または細胞毒性ではないからである。さらに、大部分の光増感剤は光で活性化されない限りヒトの組織に対して非毒性であるので、そして本発明の光増感剤は傷害組織中に比較的迅速に浸透し得るので、薬理学的活性の度合いは、照射の程度によって、および光増感剤との物理的接触の程度またはその照射時の(例えば血流中の)濃度のいずれかによっての両方によって容易に制御され得る。結果として、本発明の治療的効果は公知の薬理学的抗線維性技術よりもより容易に調節される。
別の実施態様において、本発明は傷害組織から発生する炎症の影響を低減または防止するための組成物に関し、これは:
a.傷害組織、または傷害前の組織に浸透し得、その結果、約1時間未満で所望の度合いの体内分布が得られる、約1μg/mLから約2mg/mLまでの光増感剤、および;
b.薬学的に受容可能なキャリア、
を含む。
さらに他の実施態様において、本発明は傷害組織から発生する炎症の影響を低減または防止するための物品に関し、この物品は:
a.該傷害組織、または傷害前の組織に浸透し得、その結果、1時間未満で所望の度合いの体内分布が得られる、光増感剤;および
b.吸着剤アプリケーター、
を含む。
【図面の簡単な説明】
図1は、4群の各々のウサギの残存する濾過胞の百分率を示すグラフである。
図2は、術後12日目までの各検査日における胞の範囲に関する群間の違いを示すグラフである。
図3は、術後12日目までの各検査日における胞の高さに関する群間の違いを示すグラフである。
図4は、術後12日目までの各検査日における濾過胞上の結膜浮腫の違いを示すグラフである。
図5は、本発明の方法、組成物、および物品において有用な典型的なグリーンポルフィリンの式を示す。
図6は、本発明の光増感剤として特に有用な4種のBPD型化合物の構造を示す。
発明の詳細な説明
本出願における用語「炎症」は、生体において傷害に続いて生じる一連の変化を示す。傷害は、物理的作用因(例えば、過大な熱または冷気、圧、紫外線またはイオン化照射、切断または摩擦)により;広範な無機または有機化学物質により;あるいは生物学的作用因(例えば、ウイルス、バクテリア、および他の寄生生物)により、生じ得る。
光増感剤
「光増感剤」は、光増感剤により吸収され得る波長の光にさらされた時に、光エネルギーを吸収して所望の生理学的効果(例えば、制御された抗炎症効果)を生じる化学化合物である。好ましくは、本発明の光増感剤は350nmと1200nmとの間の、より好ましくは400nmと900nmとの間の、そして最も好ましくは600nmと800nmとの間の波長の範囲内である吸収スペクトルを有し、ここで吸収スペクトルはそれ自体で知られる様式で所望の透過(penetration)に調整され得る。
一般に、本発明の実践において特に重要である光増感剤の別の性質は、光化学効果が無いことにより細胞毒性が相対的に無いこと、および特定の細胞と光増感剤との間に標的特異的相互作用が無いことによる組織からの迅速な排出である。
本発明の光増感剤は、1時間未満で処置されるべき傷害した組織内へ浸透し、そして所望の程度の生体分布を起こし得る、光力学的治療(「PDT」)に適した任意の光増感剤であり得る。この基準が潜在的光増感剤候補により満たされるかどうかは、以下の簡単な試験により容易にかつ素早く決定され得る:
1.生きている培養細胞(好ましくは懸濁成長培養物から;任意の細胞株が適する)を調製する。
2.試験される光増感剤を、10%血清の存在下、1〜3ug/mLの濃度で細胞に添加する。
3.遠心分離、次いで以下の種々のインキュベーション期間(例えば、5、15、30、および60分)により過剰の光増感剤薬物を除去する。
4.細胞をリン酸緩衝化生理食塩水で洗浄し、そして凍結解凍によりそれを溶解させる。
5.適切な標準に対する蛍光により細胞溶解物中の試験した光増感剤の濃度を測定する。
特に強い光増感剤の群は、Levyら、米国特許第5,171,749号(1992年12月15日発行、これは本明細書中で参考として援用される)において詳細に記述されるグリーンポルフィリンを含む。用語「グリーンポルフィリン」は、ポルフィリン核をアルキンと、ディールス-アルダー型反応で反応させてモノヒドロベンゾポルフィリンを得ることにより得られるポルフィリン誘導体を示す。代表的には、グリーンポルフィリンは、プロトポルフィリンIX-環系(環AおよびB)に存在する2つの利用可能な共役した非芳香族ジエン構造のうちの1つのみにおいて反応を促進する条件下、アセチレン誘導体のプロトポルフィリンとのディールス-アルダー反応により得られるポルフィリン誘導体の群から選択される。
いくつかの代表的なグリーンポルフィリンの構造を図5に示す。図5の式1および2において示されるように、ディールス-アルダー反応は最初にAまたはBピロール環と縮合したシクロヘキサジエン(本明細書中では「ヒドロベンゾ」として表す)を形成する。ヘキサジエン環のπ系の再配置は、式3および4の化合物を形成し、そして還元により式5および6の化合物を提供する。しかしながら、実用的理由のため、式5および6の化合物は、好ましくは通常のアセチレン化合物と置換される対応するオレフィンを用いる既に議論されたディールス-アルダー反応を行うことにより作成され、従ってより還元された型の生成ポルフィリン環構造を生成する。これらの化合物は、環内窒素を占有する水素とともに式1〜6に示される。しかしながら、カチオンがこれらの水素の1個または両方と置換した金属化形態もまた使用され得ることが理解されるべきである。本発明において有用なグリーンポルフィリン化合物の調製は、米国特許第5,095,030号において詳細に記載される。
簡便のため、用語ヒドロモノベンゾポルフィリン誘導体の省略形−「BPD」−を、図5の式3および4の化合物とを表すために一般的に使用する。式3および4の化合物ならびにそれらの混合物が特に好ましい。
図5において示されるように、R1、R2、R3、およびR4は、本発明の方法および組成物において化合物の活性に認めうる程に影響しない、非干渉置換基である。より明確には、用語「非干渉置換基」は、グリーンポルフィリンの、傷害した組織により吸収され得、1時間未満で薬理学的効果を働かせる光増感剤として振る舞う能力を消失させない置換基を意味するとして使用される。図5および6の化合物について、一般に、R1およびR2はそれぞれ独立して、電子吸引性置換基またはディールス-アルダー反応速度を増加するために十分に電子吸引性である任意の他の活性化置換基であり、これらはAおよびB環の両方から発生し得るが、しかし好ましくは1つの環のみで生じる。適したR1およびR2基の例は、カルバルコキシ(2〜6C)、アルキル(1〜6C)スルホニルまたはアリール(6〜10C)スルホニル、アリール(6〜10C)、シアノ、および-CONR5CO-(ここでR5は、アリール(6〜10C)またはアルキル(1〜6C)である)を含む。R1およびR2の1つはまた、他方がデイールス-アルダー反応を促進するために十分な強さの電子吸引性置換基である限り、水素であってもよい。もっとも一般的には、R1およびR2はカルバルコキシ基、好ましくはメチルまたはエチルカルボキシエステルである。好ましい化合物は、R1およびR2が同じであり、そしてカルバルコキシ、特にカルボエトキシであるものである。
本明細書中で使用されるように、用語「カルボキシ」は、慣例上定義されるように、-COOHであるが、一方「カルバルコキシ」は-COOR(ここでRはアルキルである)を表す。「カルボキシアルキル」は置換基-R'-COOH(ここでR'はアルキレンである)を表す。「カルバルコキシアルキル」は-R'-COOR(ここでR'はアルキレンであり、そしてRはアルキルまたはアルカノールである)を表す。一般に、「アルキル」は1〜6個の炭素原子の直線状または分岐鎖の飽和ヒドロカルビル部分(例えば、メチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、t-ブチル、n-プロピルなど)を表す。「アルキレン」は、基が一価ではなく二価であることを除いて「アルキル」と同じである。「アリール」は、フェニル、ナフチル、ピリジルなどの芳香族環式基を表す。本発明のアリール基は必要に応じて、1-3置換基で置換され、これは独立してハロ(例えばフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード);低級アルキル(1〜4C);および低級アルコキシ(1〜4C)からなる群より選択され得る。「アリール」または「アルキルスルホニル」基は、式-SO2Rを有し、ここでRは上記で定義されるようなアルキルまたはアリールである。
R3は独立して、ω-カルボキシアルキル基(2〜6C)、またはその塩、アミド、エステル、もしくはアシルヒドラゾンであるか、またはアルキル(1〜6C)である。好ましくは、R3は2-カルボキシエチルまたはそのアルキルもしくはアルカノールエステルであり、そしてR4はビニルである。しかしながら、生物学的効果の考慮により要求されるというよりも天然のポルフィリンの入手可能性のために、これらの実施態様のほとんどは好ましい。図5において示されるように、R1-C≡C-R2のプロトポルフィリン-IX環系との反応により形成する(ここでR3は、2-カルボメトキシエチルまたは2-カルボエトキシエチルのような2-カルボキシエチルの保護型であり、R4は-CH=CH2である)付加生成物は、式1および2の化合物である。式1の化合物は、A環への付加から生じ、そして式2の化合物はB環への付加から生じる。
本発明のグリーンポルフィリン化合物のための簡便な出発物質は、天然に生じるポルフィリンを含み、ここでR3は-CH2CH2COOH、-CH2CHRCONR2、またはCH2CHRCOORのいずれかである(ここでRはアルキル(1〜6C)またはアルカノール(1〜6C)である)。しかしながら、R3のまさにその性質は、それが環のπ-結合と共役したπ-結合を含まない限り、通常、ディールス-アルダー反応の進行に、または得られる生成物の有効性に関係しない。従って、R3は広範な種々の基、例えば低級アルキル(1〜4C);およびω-カルボキシアルキル(2〜6C)ならびにそれらのエステルおよびアミドなどのいずれか1つであり得る。R3置換基はまた、ヒドロキシ基;ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードなど)で;または他の非反応性置換基で置換され得る。
R3が-CH2CHR-COORである場合、エステル化カルボキシ基を加水分解、または部分加水分解することが有利であることが見いだされている。代表的には、R3-位における加水分解が、都合の良いことにR1またはR2のエステル基における加水分解よりも非常に速く生じる。さらに、得られる化合物の溶解性および生体分布(biodistribution)特性は、非加水分解型のものよりも望ましい。加水分解は二酸または一酸生成物(またはその塩)を生じる。
式1および2の化合物において、R4は通常、少なくとも最初は、-CH=CH2であるが、しかしこのビニル基は、式1または2それぞれの環BまたはAのビニル環置換基への付加、またはその酸化により、容易にR4の他の実施態様へ誘導体化される。従って、R4は容易な付加反応により形成されるものと矛盾しない広範な種々の置換基のいずれか1つであり得る。例えば、例としての付加剤はHXの型のものであり得、ここでHはR4-位を提供するために環に隣接した炭素に付加し、以下の式を有する:
Figure 0004012575
従って、1つの実施態様において、付加した置換基の1つは水素であり、そして他の1つは水素;ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードなど);ヒドロキシ;低級アルコキシ;アミノ;アミド;スルフヒドリル;またはオルガノスルフィドからなる群より選択される。例えば、水のマルコフニコフ付加は、関連した環についてヘマトポルフィリン環系と類似した置換基構造を提供する。ビニル基はまた、R4-位の置換基として、-CH2OH、-CHO、もしくは-COOH、またはその塩もしくはエステルを得るために酸化され得る。付加または酸化生成物自身もまた、付加した置換基が官能性脱離基である場合、置換され得る。例えば、Brが置換基である場合、それは、-OH、-OR(ここでRは上記で記載されるようなアルキル(1〜6C)である)、ハロ-NH2、-NHR、-NR2などのような部分により置換され得る。
従って、一般に、R4は、ビニル基-CH=CH2が開裂または付加により容易に変換される任意の置換基、および良い脱離基と付加部分との反応により形成されるさらなる置換基を表す。しかしながら、好ましくは、R4は以下のものである:ビニル(-CH=CH2);-CHOR4'、ここでR4'はHまたはアルキル(1〜6C)であり、必要に応じて-CH2OHのような親水性置換基で置換される;-CHO;COOHまたは-COOCH3のような-COOR4';-CH(OH)CH3または-CH(OCH3)CH3のような-CH(OR4')CH3;-CH(OR4')-CH2OR4';-CH(OH)CH2OH;-CH(SCH3)CH3のような-CH(SR4')CH3およびそのジフルフィド;-CH(NR4')CH3;-CH(CN)CH3;-CH(ピリジニウムブロミド)CH3;-CH(COOR4')CH3;-CH(COOCR4')CH3;-CHBrCH3のような-CH2(ハロ)CH3;あるいは-CH(ハロ)CH2(ハロ)。あるいは、R4はビニルの直接または間接誘導体化から生じる12個未満の炭素原子の有機の基であり得る。または、R4は、以下で定義されるような式-L-Pの1-3テトラピロール型核を含む基のような、付加ポルフィリンまたはポルフィリン関連環系を提供し得る。R4が-CH=CH2、-CH(OH)CH3、-CH(ハロ)CH3、または以下で定義される式-L-Pの1-3テトラピロール型核を含む基である、これらの化合物が好ましい。
本明細書中で使用されるように、用語「テトラピロール型核」は以下の4環系の骨格:
Figure 0004012575
またはそれらの塩、エステル、アミド、またはアシルヒドラゾンを表し、これらは非常に共役している。これは、事実上完全共役系であるポルフィリン系;事実上ポルフィリンのジヒドロ型であるクロリン系;および共役ポルフィリン系のテトラヒドロ型である還元クロリン系を含む。「ポルフィリン」が指定される場合、完全共役系が意図される。グリーンポルフィリンは実際上ポルフィリン系のジヒドロ型である。
1つの実施態様において、置換基R4は、少なくとも1つの付加テトラピロール型核を含む。本発明の生成化合物は、ダイマーまたはオリゴマーであり、ここでテトラピロール型環系の少なくとも1つはグリーンポルフィリンである。R4-位でのグリーンポルフィリン部分と付加テトラピロール型環系との間の連結は、エーテル、アミン、またはビニル結合によるものであり得る。R4と対応する2つの利用可能な置換基位置(AおよびB環の両方において)を有するポルフィリン環系は、以下に説明されるようにさらに誘導体化され得る。
R4が「-L-P」である場合、-L-は以下からなる群より選択され:
Figure 0004012575
そしてPは、ポルフィリン構造または、任意の第二のR4基が上記のLにより置換されていることを除いて、図5に示される式1〜6の第二のグリーンポルフィリンである。
(-L-が上記に示される式(e)または(f)である場合、二重結合が接続される環系は、示されるように、二重結合が接続される環において以下と対応する共鳴系を有することもまた理解される:
Figure 0004012575
上記で記載されるディールス-アルダー反応から直接生成するヒドロ-モノベンゾポルフィリンはまた、図5の式3および4のBPD化合物に異性化され得る。図5の化合物3および4の描写は、R2置換基に関して環外メチル基(式3の環Aおよび式4の環B)の相対的位置を示していない。いずれの異性体も利用可能である。式3および4の化合物は、本発明の方法および組成物において特に好ましい。
さらに、デイールス-アルダー生成物は触媒(例えば、パラジウム炭素)の存在下水素で処理することにより選択的に還元されて、それぞれ環AおよびBのディールス-アルダー生成物と対応する図5の式5および6として示されるような飽和環アナログを与え得た。しかし、上記で説明されるように、より一般的な実践は、通常のアセチレン出発物質の代わりにオレフィン出発物質で開始するディールス-アルダー反応を行い、より還元された型の生成ポルフィリン環系を得ることである。残存するビニル置換基(R4)の変換による誘導体化に関して式1および2の化合物について、およびR3の変更可能性(variability)について上記に記載される記述は、式3、4、5、および6の化合物について同じように適用される。
本発明のグリーンポルフィリンの好適な実施態様は、ディールス-アルダー生成物が再編成され、そして部分加水分解されているものである。さらにより好ましいのは、R3-位におけるカルバルコキシ基もまた加水分解または部分加水分解されている、式3および4の化合物(BPD)である。-COOHを含む本発明の化合物は、遊離の酸または有機もしくは無機塩基との塩の形態でのいずれかとして調製され得る。
図6は式3および4により包含される4つの特に好適な本発明の化合物を示し、これらはベンゾポルフィリン誘導体、すなわち、BPD-DA、BPD-DB、BPD-MA、およびBPD-Mbとして集合的に示される。これらは、式3および4の再編成生成物の加水分解または部分加水分解型であり、ここでR3の保護カルボキシル基の1つまたは両方が加水分解されている。R1およびR2におけるエステル基は相対的にゆっくりと加水分解するので、図6において示される型への変換は容易に果たされる。これらのグリーンポルフィリン化合物でもっとも好適なものはBPD-MAである。
図6において、R3は-CH2CH2COOR3'であり、ここでR3'は、個々の化合物により変化する。詳細には、BPD-DAにおいて、R1およびR2はカルバルコキシであり、R3'は水素であり、そして誘導体化は環Aにおいてである。BPD-DBは、環Bにおいて誘導体化した対応する化合物である。BPD-MAはBPD-DAの部分加水分解型を表し、そしてBPD-MBはBPD-DBの部分加水分解型を表す。従って、これらの後者の化合物において、R1およびR2はカルバルコキシであり、1つのR3'は水素であり、そして他方のR3'はアルキル(1〜6C)である。
式BPD-MAおよびBPD-MBの化合物は同種であり得、ここでC環カルバルコキシエチルのみ、またはD環カルバルコキシエチルのみが加水分解されるか、またはCおよびD環置換基加水分解物の混合物であり得る。さらに、任意の2つ以上のBPD-MA、-MB、-DA、および-DBの混合物が、本発明の方法および組成物において使用され得る。
図5の化合物の多くが少なくとも1つのキラル中心を含み、従って、光学異性体として存在し得ることが注記されるべきである。本発明の方法は、化合物が単一の立体異性体の単離体として供給されるか、またはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物である、キラル炭素の両方の配置を有する化合物を使用し得る。ジアステレオマー混合物の分離は、任意の従来手段により果たされ得る。エナンチオマー混合物は、任意の通常の技術により、例えばそれらを光学活性調製物と反応させて得られるジアステレオマーを分離することにより、分離され得る。
反応生成物が分離されていないAおよびB環付加の混合物、例えば式1および2、または3および4、または5および6の混合物であり得ることが、さらに注記されるべきである。分離型(例えば式3単独または4単独)あるいは任意の比の混合物のいずれかが、本発明の方法および組成物に使用され得る。
なおさらに、グリーンポルフィリンのダイマー型およびグリーンポルフィリン/ポルフィリン組合せのダイマーおよびマルチマー型が、1モルあたりを基準にしてさらに光を吸収するために使用され得る。本発明のダイマーおよびオリゴマー化合物は、ポルフィリンそれ自体でのダイマー化およびオリゴマー化のためのものと類似した反応を使用して調製され得る。グリーンポルフィリンまたはグリーンポルフィリン/ポルフィリン連結物は直接作成され得るか、またはポルフィリンがカップリングされ、続いて末端ポルフィリンのいずれかもしくは両方のディールス-アルダー反応によりそれらを対応するグリーンポルフィリンに変換し得る。
薬学的組成物
代表的には、本発明の光増感剤は、光増感剤を、代表的には周辺温度で適切なpHおよび所望の純度において、1つ以上の生理学的に受容可能なキャリア、すなわち用いられる投薬量および濃度において被検体(recipient)に対して非毒性であるキャリアと混合することにより薬学的組成物へ処方される。適した組成物は、全身的または局所的投与に適したものを含み、注入、経粘膜(transmucosal)投与、または経皮投与を含む。
好ましくは、本発明の組成物は、主として投与形態に依存して、約1μg/ml〜約2mg/mlの光増感剤を含む。局所投与については、好ましくは約0.1〜約2.0mg/mLが使用される。全身投与(例えば、静脈注射)については、光増感剤の濃度は好ましくは約0.3〜約0.5mg/mLで変化する。
好ましくは、光増感剤は、水とともに単独で、または他の薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton Pennsylvania(Gennaro、編、1990)において開示され、これは本明細書中で参考として援用される)と一緒にのいずれかで、液体、ゲル、またはゼラチン状個体の薬学的組成物で投与される。液体の場合、光増感剤を含む薬学的組成物は、懸濁液または乳濁液であり得る。特に、リポソーム性または脂肪親和性処方物がしばしば望ましい。本発明の光増感剤は、リポソーム内に含まれるか、その表面に付着されるか、またはその両方であり得る。リポソームを調製するのに適した方法は当該分野で周知である。そのような調製物へグリーンポルフィリン化合物を含めることが、例えば、Allisonら、米国特許第5,214,036号(1993年5月25日発行)およびDesaiら、同時係属中の出願番号第08/489,850号(1995年6月13日提出)において記載されており、これらは本明細書中で参考として援用される。懸濁液または乳濁液が使用される場合、適した賦形剤は、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールなどを含む。これらの薬学的組成物はまた、少量の非毒性補助剤(例えば、湿潤剤または乳化剤、抗酸化剤、pH緩衝化剤など)を含み得る。
処方物のpHは、光増感剤の特定の使用および濃度に主に依存するが、しかし好ましくは約3〜約8の範囲である。好ましくは、光増感剤は、それが入っている容器(contain)への光増感剤の付着を防ぐために、生理学的レベルに近いpH値において生じるように、そして光増感剤の活性化を確実にするために、中性pH(例えば、約6.5〜約7.5)で保持される。従って、pH6.5で平衡化された塩緩衝液を含むが、ウシ胎児血清(「FBS」)を含まない、電解液中の光増感剤処方物が適した実施態様である。FBSが省略される理由は、それが炎症反応を悪化させ得る抗原成分を含むからである。光増感剤が、それを含む薬学的組成物が保存されている容器に付着した場合、適切な非抗原成分(例えば、ヒト血清アルブミン)が、必要に応じて、処置される傷害した組織に付着する光増感剤と抵触しない量で加えられ得る。
光増感剤は、傷害した組織への抗炎症効果を増強するために、1つ以上の免疫抑制剤とあわせられてもよい。本明細書中で使用されるように、用語「免疫抑制剤」は、T-リンパ球応答を抑制またはマスクするように振る舞う物質を表す。これは、サイトカイン生成を抑制するか、自己抗原発現を下方調節もしくは抑制するか、またはMHC抗原をマスクする物質を含む。
そのような薬剤の例は、以下を含む:2-アミノ-6-アリール-5-置換ピリミジン;アザチオプリンまたはシクロホスファミド;ブロモクリプチン(bromocryptine);グルタルアルデヒド;MHC抗原に対する抗イディオタイプの抗体;シクロスポリンA;1つ以上のステロイド、好ましくはコルチコステロイドおよびグルココルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、およびデクサメタゾン);抗インターフェロンγ抗体;抗ガン壊死因子-α抗体;抗ガン壊死因子-β抗体;抗インターロイキン-2抗体;抗サイトカイン受容体抗体(例えば、抗IL-2受容体抗体);異種抗リンパ球グロブリン;パンT(pan-T)抗体、好ましくはOKT-3モノクローナル抗体;CD4に対する抗体:ストレプトキナーゼ;ストレプトドルナーゼ;または宿主由来のRNAもしくはDNA。
この免疫抑制剤は、光増感剤と同じ投薬量、または少ない投薬量で組み合わせて補うかまたは使用され得、そして同時にもしくは別々に、全身にもしくは局所に、投与され得る。そのような他の薬剤の有効量は、多大に治療的判断の問題であり、そして処方物に存在する光増感剤の量、傷害の型、免疫抑制剤の型、送達部位、投与方法、投与計画、上記で記載される他の要因、および実施者に公知の他の要因に依存する。しかしながら、本発明とともに使用するのに適した免疫抑制剤の量は、代表的には類似の傷害した組織の処置のために通常適するものよりも少ない。
免疫抑制剤が使用される場合、それは任意の適した手段により投与され得、非経口および、局所免疫抑制処置が望まれる場合には、病巣内(intralesionally)(すなわち、傷害した組織に局所的に)を含む。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内、皮下、結膜下投与を含む。
本発明の薬学的組成物が局所的に適用されるべきである場合、例えば、それが傷害した組織に塗布されるべきである場合、非粘性の溶液ではなく粘性の溶液、例えばゲルを使用することが好ましいだろう。ゲルは、例えば、所望の光増感剤溶液をポリサッカライドのようなゲル化剤、好ましくは水溶性ポリサッカライド(例えば、ヒアルロン酸、スターチ、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなど))と混合することにより、調製され得る。ポリサッカライドがゲル処方物中に存在する場合、通常存在する用は、ゲルの約1〜90重量%の範囲であり、より好ましくは約約1〜20重量%の範囲である。この目的のための他の適したポリサッカライドの例およびポリサッカライドの溶解性の決定は、欧州特許第267,017号(1988年5月11日発行)において見られ、その開示は本明細書中で参考として援用される。
適した界面活性剤の例は、ポロキサマー(poloxamer)界面活性剤を含み、これは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーであって、単独または卵レシチンのような脂質と混合されている、一連の分子を表す。Green Crossから市販されている乳濁液の別の例は、Fluosol-DA 20%があり、これはポロキサマー界面活性剤、Pluronic F-68で乳化されたペルフルオロデカリンおよびペルフルオロトリプロピルアミンを含む。ペルフルオロ化合物乳濁液および哺乳動物におけるそれらの効果は、Bollandsら、J. Pharm. Pharmacol.、39:10-21〜24(1987)において、より詳細に記載され、その開示は本明細書中で参考として援用される。
本発明の薬学的組成物は、好ましくは滅菌されている。滅菌(Sterility)は0.2ミクロンの膜を通した滅菌濾過により容易に達成される。いったん処方されて滅菌されると、組成物は酸化的変性に対して安定では無くなり得る。しかしながら、例えば、BPDを含む再構成のための凍結乾燥された処方物は貯蔵に適する。
組織を感光剤と接触させる様式
本発明の炎症の軽減または予防は、光増感剤と標的組織との間の強い会合を形成し得るが、一方で感光剤の濃度を最小化し、そして実践可能である限り、標的の創傷した組織との接触範囲を限定し得る条件下で、創傷した組織(または創傷するはずのもしくは創傷している組織)を光増感剤と接触させることにより、相対的に直接的な様式で果たされる。
炎症から保護されるべき細胞が、生きているインタクトな動物内に含まれている場合、感光剤は、局所的または全身的に投与され得る。光増感剤は、注入の特定の様式が感光剤の身体からの迅速なクリアランス(clearance)を可能にする限り、注入により投与され得る。例えば、静脈内注射が適する。あるいは、感光剤は、例えば処置される組織の表面に塗布または噴霧されることにより、あるいはパッチまたは移植物(これらは、代表的には予定した感光剤接触時間の終わりに除去可能である)を介して、局所的にまたは経腸的に適用され得る。
炎症から防御されるべき標的組織が、傷つきやすい眼組織である場合、局所外部投与が、局所投与で達成可能な限定された眼との接触の性質のために好ましく、これは安全性のより大きな限度をもたらす。特に好適な実施態様において、本発明の感光剤は、本発明の物品とともに適用され、これは感光剤および吸収剤アプリケーター(applicator)を含む。吸収剤アプリケーターは、滅菌されているか、または滅菌され得る、創傷した組織との接触で容易に感光剤を放出し、そして光増感剤と化学的に反応しない、任意の吸収剤材料を含む。好ましくは、吸収剤材料はまた、費用がかからず、そして廃棄可能である。適切な吸収剤アプリケーターの例は、薬物含浸スポンジおよびリント(lint)を生成しない柔軟織布を含む。Weck細胞のような薬物含浸スポンジは、好ましい吸収剤アプリケーターである。そのようなアプリケーターが使用される場合、それは好ましくは本発明の薬学的組成物で飽和しており、そして創傷の生じている間またはその直後(例えば、外科手術の間)、標的組織に局所的に適用される。
接触工程は、創傷した組織を変性するかそうでなければ有害な影響を及ぼすのに十分な高温、および感光剤の細胞による取り込みを最小化するのに十分な低温のみを避けて、広範な温度にわたり行われ得る。好ましくは、接触工程は約5℃〜約40℃の範囲の温度で、好ましくは約15℃〜約37℃の範囲の温度でそしてもっとも好ましくは周囲温度で行われる。
投薬
本発明の方法において、被検体は1回のまたは数回の投薬において、ある量の光増感剤、または光増感剤の混合物を投与される。本発明の光増感剤は、予防または軽減されるべき炎症の性質、被検体の種および医薬的条件、被検体の身体における任意の他の薬物の存在、感光剤の純度および化学的形態、投与の様式、予想される吸収速度および程度、ならびに開業医に公知の他の要因を考慮に入れて、良好な医薬的実践と一致する様式で投薬される。感光剤の治療的有効量は、光の照射に際して、線維芽細胞の増殖が明らかに減少するのに有効な量であり、従って、炎症応答および炎症に伴い得る望ましくない効果(例えば、血管分布の増加および/または瘢痕組織形成など)を改善する。
光増感剤の投薬は、標的組織とともに変化し、経静脈でまたは全身的に投与される場合、動物の体重および最適血液レベルにより制限される。1回の投薬あたりの適切な全身の量は、代表的には約1.0mg/体重kg未満であり、好ましくは1回の投薬あたり約0.25〜0.75mg/kgであり、もっとも好ましくは1回の投薬あたり約0.15〜約0.50mg/kgである。感光剤としてのBPDの全身的投薬は、通常ではない状況下でのみ0.3mg/kgを越える。これらの投薬量範囲は、示唆的であることを意図し、そして制限するものとみなされる必要はないべきである。というのは特定の被検体の個々の反応もまた変化するからである。
光増感剤および投与の形態に依存して、最適な全身性血液レベルの当量が確立され得るが、しかしそうすることは困難である。なぜならば、感光剤は好ましくは非常に迅速に排出するからである。従って、注入の瞬間における血流中の感光剤濃度と光を用いる処置の時点における濃度との間には劇的な差異が存在し得る。例えば、静脈注射の瞬間におけるBPD濃度は、約1〜10mg/mLの範囲であり得るが、一方、光照射の時点において、0.5〜0.05ug/mLの範囲でしかあり得ない。局所的投与による場合、代表的には、感光剤は血中で全く検出され得ない。
局所的に、または全身的に投与される場合、投薬は、組成物の濃度および標的組織との接触時間の長さによってもっとも良く記述される。光増感剤のための一般に効果的な濃度範囲は、約0.1〜約10mg/mL、好ましくは約0.1〜約5mg/mL、そしてもっとも好ましくは約0.25〜約2.0mg/mlである。この接触は、適切には、組成物を、本発明の薬学的組成物とともに1つ以上の創傷した組織の表面に塗布することを含む。一般に、感光剤との局所的接触は少なくとも1分間、好ましくは5分以下、そしてさらにより好ましくは約1〜2分行われる。接触時間は、組成物中の光増感剤濃度、処置されるべき組織、および組成物の特定の型のような要因に依存する。
感光剤との予定した接触時間の後、好ましくは、過剰の感光剤は、処置領域から除去される。感光剤が全身的に投与されている場合、感光剤は迅速な薬物動態特性のみでなく、身体からの迅速なクリアランスに対する感受性もまた有するように選択される。感光剤が局所的に投与されている場合、好ましくは、過剰量は、生理学的に受容可能な化学的に不活性な流体(例えば、通常の生理食塩水またはBSS(塩基性塩溶液)など)を用いる灌注または流出により、あるいは水またはいくつかの他の溶媒を用いる洗浄により除去される。再び、これらのプロトコルは、プロトコルの設計において許容される広範な変更の観点において、制限することを意図しない。
創傷した組織または創傷前の組織を本発明の感光剤を含む組成物と接触させる工程に続いて、組織は、光増感剤により吸収される波長を有する光での照射に供され、炎症の軽減または予防を導く。本出願における用語「低用量PDT」は、明らかな細胞の損傷、壊死、または紅斑を引き起こさないが、抗炎症効果のみを表す用量を表す。全PDT用量は光増感剤の用量と照射光の用量との組合せに依存するので、低用量PDTは相対的に高感光剤用量と低光用量との組合せにおいて、または一方では、相対的に低感光剤用量および高光用量との組合せにおいて投与され得る。後者の低い感光剤/高い光の組合せはまた、相対的に高用量の感光剤の投与に続いて、光で照射される前の異常な長い「インキュベーション」時間により達成され得る。従って、全て全体として相対的低用量PDTを生成する広範な条件が本発明に適する。
同様に、感光剤用量、接触時間、および投与形態の、広範な異なる組合せが適する。しかしながら、以下の大まかな指針が有用であり得る。高感光剤用量(例えば、局所的に塗布される2mg/mL)との短い接触(1時間未満)は、一般に低用量の感光剤(例えば、静脈内で投与される0.15mg/kg)と同等である。しかしながら、高用量の感光剤が静脈内で投与された後でさえも、光増感剤投与後、より遅い時間まで(例えば3時間より長く)光照射を遅らすことがまた、低用量PDTをもたらし得る。なぜならば、感光剤が迅速にクリアランスされ得る場合、3時間後にまだ組織に存在し得るのは、きわめて少量でしかないからである。
「低用量PDT」の特定の実施例は以下を含む:
・2mg/mL未満のベンゾポルフィリン誘導体(「BPD」)感光剤の、局所的塗布または局所的注入、これは10分間未満、標的組織と接触したままにされる;
・BPD投与の任意の時間後における照射を伴う0.15mg/kg未満のBPDの静脈内投与;または
・BPD投与の6時間後より後の照射を伴う0.15〜0.50mg/kgのBPDの静脈内投与;
以下の条件下の照射と組み合わされる:
・感光剤投与後0〜3時間の間適用される15J/cm2未満;または
・感光剤投与後、6時間より遅くに適用される100J/cm2まで。
照射工程の間、感光剤が吸収する(すなわち、創傷した組織とともに使用するのに適している)任意の光(例えば約380〜約850nm、好ましくは約400〜約700nm)が、感光剤および所望の組織透過の深さに依存して使用され得る。一般の抗炎症的適用のために、電磁スペクトルの可視部分における光(例えば、赤色光、青色光、またはUVA光さえも)が使用され得る。400nmよりも短い波長を有する光は、受容可能であるが、UVA光の潜在的損傷効果のために好ましくない。700nmよりも長い波長を有する光もまた受容可能であるが、それが見づらく、従って、照射の可視的制御を行うことがほとんど不可能であるために、特には好ましくない。眼への適用のためには、赤色光が好ましい。なぜならば、これは眼の敏感な網膜に対する青色およびUVAスペクトル範囲由来の任意の潜在的に有害な効果を取り除いているからである。
濾過手術(filtration surgery)の間使用される、特に好適な手順の例は、以下のとおりである:
1.薬物含浸スポンジを、リポソームBPDの2mg/mL水性分散体で飽和させる;
2.BPD飽和スポンジを処置されるべき組織と2分間接触させて置く;
3.過剰のBPDを、おびただしい量の滅菌生理食塩水または平衡塩類溶液で洗浄することにより除去する;および
4.BPD処置組織を、約7〜12J/cm2の光で照射する。
この時点で、単一のプロトコルは全ての場合に対して望ましくはないように見える。しかしながら、代表的なプロトコルは、単一の処置または必要に応じて1〜4のさらなる処置を続ける初期処置のいずれかを含む。局所的感光剤投与を用いる局所的処置は、3または4日ごとに繰り返され得る。しかしながら、感光剤の全身的投与を用いると、一般に繰り返し処置は、過剰の感光剤の蓄積による任意の望ましくない影響を避けるために、約1週間またはそれよりも長い間が空けられる。
以下の実施例は、本発明を例示することを意図しているが、本発明を制限することを意図しない。
実施例
実施例1 -光用量(light dosing)
6匹の正常なウサギの1つの眼において、濾過手術を行った。Weck細胞スポンジを2mg/mLの感光剤ベンゾポルフィリン誘導体一塩基酸環A(BPD-MA、「BPD-ベルテポルフィン(BPD-verteporfin)」としても知られる)の水溶液で飽和させた。手術の間、飽和したWeck細胞を使用してBPD-MAを手術域の強膜および結膜に2分間局所的に付与した。過剰の薬物をBSSで洗浄した後、強膜および結膜の両方を約690nmの波長を有する赤色光(これは、照射されるべき組織から約1cmの距離で位置する発光ダイオード(「LED」)より届く)に曝露した。この実験において使用された6匹のウサギのそれぞれが、異なる用量(詳細には、30秒〜4分の期間にわたる0、3、6、12、18、および24J/cm2)の光を受けた。処置されたウサギを、濾過胞の高さ、胞の血管分布(炎症の徴候)、および眼内圧(「IOP」)の低下を測定するために、手術後11〜12日間追跡した。第5日目および第11日目において得られたデータをそれぞれ以下の表1Aおよび1Bに示す。
Figure 0004012575
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結果は、濾過胞の残存が、中程度の範囲の用量(すなわち、相対的に低用量の薬物および光(「低用量PDT」))において光で処置した眼においてもっとも長かった。データは、特定のレベルのPDTが必要とされるが、しかし一般により高い用量はより低い用量よりも有効ではないことを示した。BPDを用いる短いインキュベーション時間および12J/cm2の低用量の光の組合せは、処置される細胞に大きな損傷を引き起こすとは予想されなかった。それにもかかわらず、処置は明確な薬理学的作用を有した。胞の残存は、無血管状態(avascularity)および色の薄い、(pale-colored)胞により示されるように、炎症の欠乏を伴った。
一方で、低すぎるまたは高すぎる光の用量を用いると、胞の高さおよび眼内圧の低減された量は、減少した。胞不全は炎症を伴った。
対応する濾過胞を比較した。コントロール(未処置)胞において、胞の血管分布は手術の3日後において顕著であった。PDT処置胞において、極小の血管分布および高い隆起が手術の4日後に観測された。
実施例2-PDT投与の時間
実施例において使用される感光剤を、以下のように調製した:リポソームに処方されたべンゾポルフィリン誘導体、一塩基酸環A、BPD-MAまたはBPD-ベルテポルフィンは、QLT Photo Therapeutics, Inc. により、凍結乾燥した粉末として供給され、使用の直前に滅菌蒸留水で再構成された。1.98mg/mLに再構成されたBPDを使用して、Weck細胞の3mm切片を飽和させた。コントロール群において、Weck細胞を塩基性塩溶液(「BSS」)で飽和させた。
第0日目において、全厚(full-thickness)濾過手術を、48匹(4つのグループそれぞれに12匹)のウサギにおいて無作為に選択された1つの眼で行った。各ウサギにおいて、未処置の他方の眼をコントロールとして供した。濾過手順は、以下の様式で行った:各動物を、ケタミンおよびキシラジンの混合物で麻酔した。ワイヤー検鏡を使用して瞼を分離した。円蓋ベースの(fornix-based)結膜弁を、上位鼻または上位側頭部四分円のいずれかにおいて創製した。円蓋ベースの弁の創製に続いて、BPD-MA(またはBSSプラセボ)で飽和したWeck細胞を、フィステルが創製されるべきである辺縁の後方である強膜に設置した。結膜をWeck細胞にかぶせた。従って、Weck細胞は結膜および強膜の間にあり、また2分間にわたって上強膜およびテノン鞘と接触する。次いで、Weck細胞を除去し、そして領域をBSSで灌注した。器具およびグローブもまた、眼に入る前にリンスし、そして1.0mmのトレフィン(trephine)を使用して前眼房に入れた。
次いで、結膜弁を、2本の7-0縫合糸(vicryl suture)を使用して辺縁に固定した。手術後すぐに、各ウサギに、眼から1cmに位置した実施例1で使用された光源(Quantum Devices, Inc.)を用いて、690nmの波長を有する光を2分間照射した。光源を、最大出力(100W/cm2)で使用し、これはほぼ7.2Jの全用量を提供する。
次いで、トブラマイシン1滴を、手術後、各眼の中に置いた。トブラマイシンおよび酢酸プレドニゾロンを、手術後、1週間にわたって、1日4回両眼に点眼した。
コントロールの眼は、手術した眼と同じ感光剤および結膜下(subconjunctivally)照射を受けたが、フィステラを形成しなかった。コントロールの眼を、毒性を試験するために、および手術した眼のためのIOP減少の検出の基準として使用した。BPD-MAを付与した時間を、以下のように変化させた:
1群:手術中、プラセボ処置;
手術後48時間、プラセボ処置;
2群:手術中、BPD処置;
手術後48時間、プラセボ処置;
3群:手術中、プラセボ処置;
手術後48時間、BPD処置;
4群:手術中、BPD処置;および
手術後48時間、BPD処置;
手術後48時間におけるBPD処置は、濾過胞の上の結膜に2分間置いた、2mg/mLのBPD-MA水性溶液(またはプラセボ)で飽和したWeck細胞の3mmの切片の適用、続いて過剰の感光剤の洗浄、および688nmの波長を有する赤色LED光の1分間にわたる照射からなった。
手術に続いて、手術後第0日、および2日ごとに、ウサギを細隙灯生体顕微鏡で検査して、濾過胞の大きさ、濾過胞の高さ、胞にわたる結膜紅斑、前眼房細胞拡大(flare)、および前眼房深さを評価した。局所麻酔に続くにIOP測定のための圧平眼圧測定。主観的な眼の不快評価もまた、以下に示される等級付け尺度により、動物の安楽および食事の習性を測定することにより行った:
0:通常の挙動
1:頭を振る、頭を傾ける、斜視である
2:眼を掻く
3:損傷を作る/自己切断(爪で)
胞の残存を、胞の大きさおよび高さにより、およびコントロールの眼との比較としてのIOPにより評価した。炎症応答の程度を、濾過胞にわたる紅斑により測定し、そして0〜3の尺度で記録した。胞不全が記録されると(すなわち手術した眼の眼内圧がコントロールの眼のものと等しく、そして濾過胞が平坦になると)ウサギを屠殺した。
図1のグラフに、この研究で評価した、4つの群のそれぞれにおけるウサギの濾過胞残存の割合を示す。平均残存時間(±SD)は以下;
1群:10.3±8日;
2群:23.8±12日;
3群:10.1±9日;および
4群:23.2±8日であった。
統計的差異が大部分の群の間で観測されたが(P<0.001)、しかし第2群と第4群との間では観測されなかった(P<0.05)。手術中BPDおよび光での処置(第2群および第4群)は、プラセボコントロール(群1)または手術48時間後のみ処置(第3群)と比較して延長された胞残存をもたらした。48時間におけるBPDおよび光での第二の処置(第4群)は、任意のさらなる効果を有するようには見えなかった。非パラメトリック分析(non-parametric)のためのKruskal-Wallis検定を使用して、群の間の濾過胞残存時間における差異を評価した。
IOPをANOVA試験により評価して、BPDが手術中に与えられた場合により低いIOPになる傾向を観測した(P=0.057)。しかしながら、ウサギにおけるIOPを測定するために使用した眼圧計に伴う問題のために、もっとも信頼性のあるパラメーターは胞の大きさ(図2)および高さ(図3)であり、その両方が手術中の低用量PDT処置の有効性を示した。胞にわたる紅斑の測定(図4に示される)は、群1および3におけるより高い炎症応答を示し、これらにおいて、胞は手術後早くになくなった。図2、3、および4において、統計的差異が群の間で観測された(P,0.001)。水泡の高さおよび大きさ、ならびに他の細隙灯特徴が、χ-二乗試験により分析された。反対の事象もまたχ-二乗試験により分析された。コックスの比例ハザードモデル(Cox Proportional Hazard Model)を使用して、各試験日の濾過水泡残存をもっとも正確に予測するパラメーターを評価した。
表2において以下に示されるように、線維柱帯切開のための補助医薬を調査した以前のウサギの研究と比較した場合、結果は、BPDが通常のコントロール、Ara-Aおよび5-フルオロウラシルと比較して濾過胞残存を延長することを示した。
Figure 0004012575
Figure 0004012575
結果はまた、BPDが、ウサギにおける濾過水泡の寿命を、マイトマイシンCを受けた何匹かのウサギにおけるよりも長く延長したことを示した。マイトマイシンCを用いる研究の平均残存時間はより長く、そしてこれは、PDTが、マイトマイシンC程に大きい過濾過(over-filtration)を臨床的に引き起こさないが、しかしより大きな安全性とともに同様の適用しやすさを有するという仮説と一致した。
このデータは、より長い水泡残存が紅斑または極小の紅斑のみを伴わず、従って、炎症応答の減少を伴うことを明らかに示した。データはまた、比較的低い範囲での用量におけるBPDおよび光での処置が、特に手術中に投与された場合に、炎症の進行を妨げることも示唆した。
反対の事象はほとんどなく、そして感光剤の使用に特に関連しなかった。最初の4日以内でフィブリン凝塊が6匹のウサギにおいて観測され、そのうちの3匹は第2群におり、そして3匹は第3群にいた。各場合において、フィブリンは最初の週の終わりまでには後遺症無しに溶解した。1匹のウサギが第0日目において死亡し、これは麻酔の合併症であると思われた。他の不利な事象は報告されなかった。
第7日目において各群からの1匹のウサギを、そして胞不全後に各群より2匹のウサギを屠殺して、組織学的分析および透過型電子顕微鏡(「TEM」)分析を行った。組織学的評価を、最初に死体の眼を10%緩衝化中性ホルマリンで固定した後に行った。眼を処理し、切片化し、次いでヘマトキシリンおよびエオシン、ならびにMassonトリクロームで染色した。標本を、別個の観測者により、隠蔽された様式(masked fashion)で試験した。
透過型電子顕微鏡検査を、7%のショ糖を含む0.1Mのカコジル酸で緩衝化した2.5%のグルタルアルデヒド中で組織サンプルを固定することにより行った。組織を2%の四酸化オスミウムで1時間後固定(post-fix)し、そして100%エタノールまで濃度勾配を付けたアルコールを通して脱水した。次いで、2×5mmの組織片を触媒化エポキシ樹脂で浸潤させた。厚い部分(0.5μm)を切断し、そしてトルイジンブルーで染色し、そして光学顕微鏡で検査して適切な領域を決定した。次いで、TEM評価のため、薄い部分(80nm)を切断し、銅グリッド上につまみ上げ、そして酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛で染色した。Hitachi H7000透過型電子顕微鏡を使用して、これらの部分を検査した。
手術においてプラセボではなくてBPDを受けた濾過胞における手術後第7日目における光学顕微鏡検査は、線維芽細胞および穏やかなリンパ球応答が、第0日目および第2日目の両方においてプラセボを受けたウサギに存在することを示した。さらに、第7日目に、これらの眼は、いくらかの脈管増殖および新しいコラーゲン沈着を示した。
対照的に、第2日目においてのみBPDを受けたウサギ(第3群)は、線維芽細胞に加えてリンパチャネルの増加を示したが、血管増殖を示さなかった。手術でBPDを受けた両眼において、濾過胞は穏やかなリンパ球応答を有することが記された。しかしながら、線維芽細胞、脈管増加、またはリンパ球チャネル増加は記されなかった。この研究の終わり(手術後3週間)において、BPDを受けていた眼フィステルには、フィステルにおいて、ごくわずかのリンパ球が見られ、血管の増殖は見られなかった。
第2群および第4群において、第7日目および屠殺においての両方で、薄くなった上皮が観測された。しかしながら、これは、PDT処置に由来する毒性効果とは反対に、涙の充満により上がった胞および付随する崩壊によるものと思われる。
コントロールの眼において、プラセボとBPD処置した眼との間には、眼前区(anterior segment ocular)試験において差異が観測されず、本発明の方法または組成物が臨床的に毒性を欠如していることを示した(P>0.05)。さらに、組織学的および透過型電子顕微鏡分析は、手術およびコントロールの眼のいずれにおいても、濾過部位とは別の毒性または炎症の証拠を示さなかった。従って、BPD由来の毒性は臨床的にも、組織学的にも、または透過型電子顕微鏡分析によっても観測されなかった。

Claims (10)

  1. 以下の化学式
    Figure 0004012575
    の光増感剤を含有する組成物であって、
    ここで、R 1 およびR 2 は、カルバルコキシ(2〜6C)、アルキル(1〜6C)スルホニルまたはアリール(6〜10C)スルホニル、アリール(6〜10C)、シアノ、−CONR 5 CO−(ここでR 5 は、アリール(6〜10Cまたはアルキル(1〜6C)である)、および水素からなる群より独立して選択され、
    該組成物は、該傷害組織から発生する炎症の影響を低減または防止するための方法に用いられ、該方法が、以下:
    a.該傷害組織、または該傷害前の組織を光増感剤と局所的に接触させ工程;および
    b.該接触をさせた組織を690nmの波長を有する光で7−21J/cm 2 曝露する工程、
    を包含する、組成物。
  2. 前記傷害組織が薬物を浸漬したスポンジによって前記光増感剤と接触される、請求項に記載の組成物。
  3. 前記接触工程a.において、前記光増感剤が5分未満、前記傷害組織と接触したままにされる、請求項に記載の組成物。
  4. 前記接触工程a.と前記曝露工程b.との間で、前記傷害組織に接触した過剰の前記光増感剤が除去される、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記除去が、前記光増感剤を滅菌生理食塩水または平衡塩類溶液によって流し去ることによって達成される、請求項に記載の組成物。
  6. 前記接触工程a.と前記曝露工程b.との間の時間が0時間と3時間との間であ、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記接触工程a.と前記曝露工程b.との間の時間が6時間より長、請求項1に記載の組成物。
  8. 傷害組織から発生する炎症の影響を低減または防止するために光力学治療において使用するための組成物であって:
    a.以下の化学式
    Figure 0004012575
    の光増感剤であって、
    ここで、R 1 およびR 2 は、カルバルコキシ(2〜6C)、アルキル(1〜6C)スルホニルまたはアリール(6〜10C)スルホニル、アリール(6〜10C)、シアノ、−CONR 5 CO−(ここでR 5 は、アリール(6〜10C)またはアルキル(1〜6C)である)、および水素からなる群より独立して選択される、光増感剤;および
    b.薬学的に受容可能なキャリア、
    を含む、組成物。
  9. 傷害組織から発生する炎症の影響を低減または防止するために光力学治療において使用するための物品であって:
    a.以下の化学式
    Figure 0004012575
    の光増感剤であって、
    ここで、R1およびR2は、カルバルコキシ(2〜6C)、アルキル(1〜6C)スルホニルまたはアリール(6〜10C)スルホニル、アリール(6〜10C)、シアノ、−CONR5CO−(ここでR5は、アリール(6〜10C)またはアルキル(1〜6C)である)、および水素からなる群より独立して選択される光増感剤;および
    b.吸着剤アプリケーター、
    を含む、物品。
  10. 前記吸着剤アプリケーターが薬物浸漬スポンジである、請求項に記載の物品。
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