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JP4013492B2 - 磁場遮蔽装置及びこれを用いる生体磁場計測装置 - Google Patents
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JP4013492B2 - 磁場遮蔽装置及びこれを用いる生体磁場計測装置 - Google Patents

磁場遮蔽装置及びこれを用いる生体磁場計測装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,検査対象から発生する磁場を,高感度な量子干渉素子(SQUID:superconducting quantum interference device)からなる複数の磁束計を用いて計測するための磁場遮蔽装置,及び,これを用いる磁場計測方法,磁場計測装置に関する。本発明は,特に,生体の心臓の心筋活動等により発生する生体磁場を計測するための磁場遮蔽装置,及び,これを用いる生体磁場計測方法,生体磁場計測装置に関する。
【0002】
【従来技術】
径の異なる複数の円筒形シールドを順次同芯状に配置し,各円筒形シールドの間に間隙を形成した磁気シールドが報告されている(従来技術1:特開平9−214166号公報)。
【0003】
従来技術1に記載の技術では,厚さ0.1mm〜0.5mm,幅20cm〜50cmのテープ状のパーマロイからなる磁気シールド材を用い,軽量なプラスチック円筒を芯として磁気シールド材をスパイラル状に巻きつけ,隙間なく重ね合わせたオーバーラップ部の幅を5cm〜10cmとって円筒形に形成されている。オーバーラップ部は,実質的に2層〜5層となり,その厚みの合計が0.5mm〜3mm程度となるようなスパイラル状に巻きつけられている。また,オーバーラップ部には,周方向の長さで30cm間隔にリベットが設けられ,締め付け固定され,オーバーラップ部の接着面は,金属と金属の接触となっている。
【0004】
なお,従来技術1には,従来の技術として,Ni−Fe系の高透磁率の合金材料であるパーマロイの板を多数枚用いてプレハブ部屋のようなシールドルームを製作するの記載があり,この従来技術には,磁気シールドの製作に長時間を要し,部品点数が多く,磁気シールドが非常に高価になるという問題があり,生体磁気計測機器の価格で磁気シールドの占める割合は大きく,磁気シールドの低価格化が望まれているとの記載がある。
【0005】
パーマロイの板の代わりに,磁気シールド材として,軟磁性アモルファス合金の膜とポリマーフィルムとを貼り合わせた磁気シールドシートを用いて,軽量なシールドルームを製作することが報告されている(従来技術2:特開平2000−077890号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
パーマロイの板を組合せてシールドルームを製作する従来技術,従来技術1では,加工後のパーマロイの焼鈍処理を必要とするという問題,広い面積を必要とするという問題,シールドルームの重量が大きくシールドルームを設置する場所に制限があるという問題,シールドルームが高価格となるという問題等があった。 従来技術2では,パーマロイの板を組合せてシールドルームを製作する従来技術1よりも,シールドルームの重量が軽量化され,低価格化が実現できるが,広い面積を必要とするという問題は解決されておらず,シールドルームのより軽量化,より低価格化が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は,高透磁率を持つ高透磁率シートを用いて,軽量,小型の高性能な磁場遮蔽装置を低コストで提供し,検査対象,特に,生体から発生する磁場を計測するための磁場計測方法,磁場計測装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の代表的な磁場計測装置は,外来磁場の第1の方向に垂直な方向の成分が遮蔽される磁場遮蔽装置と,検査対象から発生する磁場の第1の方向に垂直な方向の成分を検出する複数のSQUID磁束計を低温に保持するクライオスタット,クライオスタットを保持する装置と,SQUID磁束計を駆動し,SQUID磁束計からの信号を検出する駆動検出回路と,駆動検出回路の出力を収集し演算処理を行なう演算処理装置と,演算処理装置の出力を表示する表示装置とから構成される。
【0009】
本発明の磁場遮蔽装置は,中空部をもつ非磁性の複数の筒形部材が第1の方向の軸を同心状に囲み配置され形成される。各筒形部材の面(内面又は/及び外面)に,高透磁率を持つ高透磁率シートの複数枚が,相互に一部分が重複するように貼付して配置される。
【0010】
最も内側に配置される筒形部材は,第1の方向の一端に第1の開口を,第1の方向の他端に第2の開口を持っている。第1の方向の軸に垂直な方向で複数の筒形部材を貫通する第3の開口が形成されている。最も内側に配置される筒形部材の内側の空間で,外来磁場の第1の方向に垂直な方向の成分が遮蔽される。最も内側に配置される筒形部材の内側の空間に,検査対象が生体である場合には,検査対象部位の体軸方向を第1の方向の軸にほぼ平行にして生体(被験者)を搭載する生体搭載装置(ベッド,椅子)が配置される。
【0011】
クライオスタットの一部が第3の開口に挿入され,クライオスタットの底面が内側の空間に配置される。第3の開口の直径を,クライオスタットの底面の直径よりも小さくして,クライオスタットの径が小さい部分を第3の開口に挿入する構成により,第3の開口の直径を大きくする必要がないので,外来磁場の磁場遮蔽率を向上させることができる。第3の開口は,検査対象が生体である場合には,生体(被験者)の胸面,又は,背面に対向し,クライオスタットの底面は,生体の胸面,又は,背面に対向して上記内側の空間に配置されている。
【0012】
クライオスタットの底面と検査対象の表面との位置関係は位置調整装置により調整され,第1の方向に垂直な方向で位置関係が調整される。位置調整装置は,第1の方向に垂直な第2の方向で,クライオスタットの位置,又は検査対象を搭載する搭載装置の位置を変化させることができる。更に,位置調整装置は,第1及び第2の方向に垂直な第3の方向,及び第1の方向で,搭載装置の位置を変化させることができる。
【0013】
更に,磁場遮蔽装置には,第1の方向の軸に垂直な方向で各筒形部材を貫通する第4の開口が形成されており,検査対象が生体である場合には,第4の開口は被験者の視野内にあり,開放感を被験者に与えている。
【0014】
【実施の形態】
以下の説明では,検査対象として,代表的な例として生体の心臓を対象として説明する。本発明は,生体の心臓に限定されるものではなく,例えば,一般の検査対象に含まれる磁性体の有無,磁性体の分布の検査にも適用できることは言うまでもない。本発明の装置の構成は大きな面積を必要としないので,例えば,磁性体を含む危険物の検査装置として使用でき,飛行場,港等での手荷物の検査にも適用可能である。
【0015】
本発明の磁場遮蔽装置では,非晶質又は多結晶質から構成される高透磁率の磁性材料の薄層を含み,柔軟性と薄い厚さを持つ複数の高透磁率シート,あるいは,Niを含む合金から構成される高透磁率の磁性材料を使用した複数の高透磁率シートが使用される。本発明で使用される高透磁率シートはフレキシブルである。
【0016】
複数の高透磁率シートは,中空部をもつ非磁性の2個から5個の筒形部材に高透磁率シートの一部分が重複して配置されている。複数の筒形部材は,第1の方向の軸を同心状に囲むように相互に固定され配置される。高透磁率シートには,磁性材料が配置される領域が,非磁性の保持シート(例えば,紙,高分子フィルム,金属フィルム)の間に挟まれて短冊の形状に形成され,複数の短冊は隣接する短冊の長辺で重複し,更に,複数の短冊の長辺がほぼ平行に配列されている。
【0017】
各高透磁率シートの複数の短冊の短辺は,第1の方向の軸にほぼ平行に配置され,高透磁率シートが複数の各筒形部材の面(内面又は/及び外面)に,各高透磁率シートの複数の短冊の長辺が第1の方向の軸を内側に取り囲むように貼付され,保持されている。このような短冊の形状を持つ磁性材料が配置される複数の領域を配置することにより,外来磁場の磁場遮蔽率を向上させている。
【0018】
最も内側に配置される筒形部材には,第1の方向の一端に第1の開口が,第1の方向の他端に第2の開口が形成されている。第1の方向の軸に垂直な方向で複数の筒形部材を貫通し,複数のSQUID磁束計を低温に保持するクライオスタットが挿入される第3の開口が形成されている。最も内側に配置される筒形部材の内側の空間で,外来磁場の第1の方向に垂直な方向の成分が遮蔽される。
【0019】
複数の筒形部材の第1の方向の軸に垂直な断面のより好ましい形状は,外来磁場の磁場遮蔽率を向上させる観点から,対称性が高い形状がより好ましく円とするが,円を第1の方向の軸に垂直な方向に,例えば,円の直径の約10%だけ押しつぶした形状でも良い。
【0020】
最も内側に配置される筒形部材の第1の方向の軸に垂直な断面のより好ましい形状は,直径が約50cm以上約200cm以下の円であり,最も内側に配置される筒形部材の内部に挿入される被験者に圧迫感を与えないようにする。小児を専用に検査する装置の場合には,もっと間も内側に配置される円筒部材の内径は約50cmであれば良く,小児,大柄な大人を検査対象とする装置の場合には,もっと間も内側に配置される円筒部材の内径は約50cmであれば良い。
【0021】
複数の非磁性の筒形部材として,磁場遮蔽装置の製作,コストの観点から,厚さ0.5mmから1mmをもつ,FRPの中空円筒,アルミニウムの中空円筒を使用するのがより好ましい。
【0022】
外来磁場の第1の方向に垂直な方向の成分が遮蔽される,最も内側に配置される筒形部材の内側の空間に,以下に示す3つの何れかの態様で被験者が楽な状態で置かれ,生体磁場を検出しようとする被験者の部位の体軸方向が第1の方向の軸にほぼ平行となるようにして,例えば,被験者の胸部,腹部内の胎児等から発生する生体磁場が検出される。
(1)第1の方向の軸を床面に対してほぼ水平とする場合には,被験者が横たわるベッドが,ほぼ水平の状態で,最も内側に配置される筒形部材の内部に配置される。
(2)第1の方向の軸を床面に対してほぼ垂直とする場合には,被験者は椅子に座っている状態で,最も内側に配置される筒形部材の内部に配置される。
(3)第1の方向の軸を水平面に対して角度が20度以上30度以下で傾斜させた場合には,被験者が横たわるベッドを傾斜させた状態で,あるいは,被験者が座っている椅子の背持たれの角度を傾斜させた状態で,最も内側に配置される筒形部材の内部に配置される。
【0023】
第3の開口及び/又は第4の開口は,以下の3つの何れかの態様で形成される。(1)各筒形部材に穴が開けられており,複数の筒形部材を,第1の方向の軸を同心状に囲むように相互に固定し一体化することにより,各筒形部材の穴により第3の開口が形成される。(1)の態様の他に,各筒形部材の一部分が移動可能に構成され,各筒形部材の一部分の移動により第3及び/又は第4の開口が形成される。
【0024】
即ち,各筒形部材の一部分が,第1の方向,第1の方向の軸を囲む周方向,第1の方向に交叉する方向の何れかの方向で移動可能であり,各筒形部材の一部分の移動により第3及び/又は第4の開口が形成される。具体的な態様を以下に示す。
(2)各筒形部材が第1の方向で,第1の部分と第2の部分との2つに分割される。第1及び第2の部分の各筒形部材はそれぞれ第1の方向の軸を同心状に囲むように相互に固定し一体化して構成される。第1の部分は第2の部分に対して第1の方向に移動して分離可能である。
【0025】
第1の部分の各筒形部材は,端部に開口する半円状の部分をもつ第1の切欠き部を持つ。第2の部分の各筒形部材は,端部に開口する半円状の部分をもつ第2の切欠き部を持つ。
【0026】
第1の部分の第2の部分に対する第1の方向での移動により,第1の部分の端部と第2の部分の端部とが第1の方向で重複する結果,第1及び第2の切欠き部により,第3及び/又は第4の開口が形成される。
【0027】
第1の部分の第2の部分に対する第1の方向の第1の移動に加え,更に,第1の方向に交叉する方向の第2の移動も可能である。第1の移動,あるいは,第1の移動及び第2の移動により,磁場遮蔽装置に開放部が形成される。
(3)各筒形部材が第1の方向の軸を囲む周方向で,第1の部分と第2の部分との2つに分割される。第1及び第2の部分の各筒形部材はそれぞれ相互に固定し一体化して構成される。第1の部分は第2の部分に対してを囲む周方向に移動可能に構成される。
【0028】
第1の部分の各筒形部材は,第1の方向にほぼ平行な1辺に開口する半円状の部分をもつ第1の切欠き部を持つ。第2の部分の各筒形部材は,第1の方向にほぼ平行な1辺に開口する半円状の部分をもつ第2の切欠き部を持つ。
【0029】
第1の部分の第2の部分に対する第1の方向の軸を囲む周方向での移動により,第1の部と第2の部分とが第1の方向の軸を囲む周方向で重複する結果,第1及び第2の切欠き部により,第3の開口が形成される。
【0030】
第1の部分と第2の部分は,第1の方向にほぼ平行な2辺でそれぞれ,第1の方向の軸を囲む周方向で約10度から約15度の範囲で重複する。第1の部分の移動により,第1の方向の軸を囲む周方向で約90度の範囲の開放部が,磁場遮蔽装置に形成される。
【0031】
磁場遮蔽装置の他の構成では,上記の(2),(3)で説明したように,各筒形部材が,第1の部分と第2の部分との2つに分割されて形成され,上記の第3の開口を形成するが,上記で説明した第3の開口を形成しない構成とする。クライオスタットの底部は,第1の開口,又第2の開口から挿入される。第4の開口は,被験者の検査対象部位から遠い位置に形成されるので,外来磁場の磁場遮蔽率を劣化させることはない。
【0032】
以下,本発明に於ける磁場計測の手順について説明する。
【0033】
まず,磁場遮蔽装置の各筒形部材の一部分を,第1の方向,第1の方向の軸を囲む周方向,第1の方向に交叉する方向の何れかの方向で移動させることにより,開放部を形成する。
【0034】
第1の方向の軸に交叉する方向から開放部を通して,生体が,磁場遮蔽装置の内側の空間に置かれる生体搭載装置(ベッド,椅子)に搭載される。あるいは,生体が搭載される生体搭載装置が,第1の方向の軸に沿って,第1の方向にほぼ平行な方向,又は,第1の方向の軸に交叉する方向から,開放部を通して磁場遮蔽装置の内側の空間に搬入される。
【0035】
次に,各筒形部材の一部分を,第1の方向,第1の方向の軸を囲む周方向,第1の方向に交叉する方向の何れかの方向の移動させることにより,開放部を閉鎖する。この結果,第3及び/又は第4の開口部が形成され,第3の開口部に,クライオスタットの一部が挿入された形となる。
【0036】
磁場遮蔽装置の内側の空間に配置されるクライオスタットの底面と,生体の表面との位置関係を,磁場信号が大きく検出されるように,第1の方向に垂直な方向で調整する。複数のSQUID磁束計により,生体から発生する磁場の第1の方向に垂直な方向の成分が検出される。
【0037】
本発明によれば,軽量,小型,低コストで高性能な,外来磁場の高い磁場遮蔽率を持つ磁場遮蔽装置を提供することができ,更に,この磁場遮蔽装置を用いる生体磁場を計測するための磁場計測方法,磁場計測装置を提供できる。
【0038】
また,本発明の磁場遮蔽装置は,軽量,小型であるため,設置する場所に耐加重性が特に要求されず,小さい面積があれば設置が可能であるので,磁場遮蔽装置,即ち,磁場計測装置を設置する場所に制限がなくなる。
【0039】
ここで,時間変数をt,生体の面を(x,y)面,生体の面に垂直な方向をz方向とする。クライオスタットの内部で底面の近傍に等間隔で2次元に格子状に配列されるSQUID磁束計の位置を(x,y),SQUID磁束計により検出される生体磁場の磁場成分(法線成分)をBz(x,y,t)とする。
【0040】
本発明の磁場計測装置では,生体磁場の接線成分Bx(x,y,t),By(x,y,t)をそれぞれ,計測された法線成分Bz(x,y,t)のx方向の変化率∂Bz(x,y,t)/∂x,y方向の変化率∂Bz(x,y,t)/∂yに比例する値として求める。比例定数を1とすると,接線成分Bx(x,y,t),By(x,y,t)は,(数1),(数2)によって与えられる。
【0041】
【数1】
Bx(x,y,t)=−(∂Bz(x,y,t)/∂x) …(数1)
【0042】
【数2】
By(x,y,t)=−(∂B(x,y,t)z/∂y) …(数2)
次に,x方向の変化率とy方向の変化率の2乗和の平方根に比例する値St(x,y,t)を求める。比例定数を1とすると,磁場波形St(x,y,t)は,(数3)によって与えられる。
【0043】
【数3】
St(x,y,t)=√[{∂Bz(x,y,t)/∂x}2+{∂Bz(x,y,t)/∂y}2] …(数3)
St(x,y,t)は,生体内部の磁場発生源を(x,y)面に投影した磁場強度情報を与える。tとして,Q,R,Sの各波のピーク位置をとり,St(x,y,t)のデータから内挿,外挿により同じ磁場強度を与える(x,y)点を結ぶ等磁場線図を求める。
【0044】
次に,各点(x,y)について任意の期間での磁場波形St(x,y,t)の積分値I(x,y)を(数4)により求め,内挿,外挿により積分値I(x,y)が同じ値の点を結ぶ等積分図を求める。
【0045】
積分範囲として,例えば,心臓を測定の対象とする時には,Q,R,Sの各波の発生する期間,Q波からS波の発生するQRS波(QRS complex)の期間,T波の発生する期間等をとる。
【0046】
【数4】
I(x,y)=∫│St(x,y,t)│dt …(数4)
更に,x,y,zの3方向の磁場成分を合成した磁場強度の時間波形V(x,y,t)を,(数5)により求めることにより,特に,胎児のように動きが激しい場合でも,安定した磁場波形を得ることができる。
【0047】
【数5】
V(x,y,t)=√[{∂Bz(x,y,t)/∂x}2+{∂Bz(x,y,t)/∂y}2+{Bz(x,y,t)}2]…(数5)
St(x,y,t)の代わり,V(x,y,t)を使用して,上記と同様にして,等磁場線図,等積分図を求めることができる。
【0048】
各SQUID磁束計により計測された磁場波形St(x,y,t),V(x,y,t)を表示すると共に,磁場分布図として,等磁場線図,等積分図を,表示装置の表示画面に表示する。等磁場線図,等積分図を,それらの等高線の高低により色分けをして3次元カラー表示して,診断に有用なデータを得ることができる。
【0049】
即ち,本発明の磁場計測装置では,接線成分Bx(x,y,t),By(x,y,t)を計測することなく,法線成分Bz(x,y,t)の計測のみから,電流源の直上にピークパターンが出現する磁場分布図を得ることができる。この結果,生体内の複数の電流源の位置を直読できるので,心筋梗塞,虚血,不整脈,心筋肥大等の診断,術前術後の心筋状態の変化の評価等の心臓に関する疾患の診断に有用なデータを得ることができる。本発明の磁場計測装置は,特に,成人,胎児の心臓の診断のためのデータ(磁場分布)を,10秒ないし5分程度の短時間で計測して表示できる。
【0050】
以下,より具体的に,代表的な実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0051】
図1は本発明の各実施例で使用される高透磁率を有する高透磁率シート23の構成例を説明する図である。図2は本発明の各実施例に於ける磁場遮蔽装置を構成する中空円筒への高透磁率シートの配置例を説明する斜視図である。図3は本発明の各実施例に於ける磁場遮蔽装置を構成する中空円筒への高透磁率シートの配置例を説明する断面図である。
【0052】
フレキシブルな高透磁率シート23は,短冊の形状の磁性材料(磁性材リボン,磁性材テープ)25が非磁性の保持シート26−1,26−2の間に挟まれて構成される。この高透磁率シート23は,従来技術2に記載される高透磁率シートと同じである。高透磁率材料として軟磁性アモルファス合金が使用される。
【0053】
短冊の形状の磁性材リボン25は,隣接する短冊の長辺で重複して配列され,複数の短冊の長辺はほぼ並行に配列さる。複数の磁性材リボン25は,保持シート26−1,26−2の間に可撓性を有する樹脂,又は接着剤24により固定されている。保持シート26−1,26−2の材質として代表的にPET(ポリエチレンテレフタレート)シートが使用される。高透磁率シート23の大きさは,例えば,縦450cm,横600cmである。
【0054】
軟磁性アモルファス合金は,最大比透磁率が50000以上であるFe−Cu−Nb−Si−B系(Fe:73.5%,Cu:1%,Nb:3%,Si:13.5%,B:9%)合金であり,結晶粒界の大きさが100nm以下の超微結晶組織をもっている。
【0055】
使用した磁性材リボン25の厚みは約20μm,保持シート26−1,26−2の厚さは30μmであり,高透磁率シート23の全厚は100μmである。磁性材リボン25の厚さを約10μm〜100μm,保持シート26−1,26−2の厚さを10μm〜500μmとし,高透磁率シート23の全厚を50μm〜1.5mmとすると,高透磁率シート23の貼付,折り曲げ作業が容易となる。
【0056】
本発明の各実施例に於ける磁場遮蔽装置は,同軸に配置される複数の磁場遮蔽円筒60から構成される。各磁場遮蔽円筒は,内半径の異なる高透磁率シート支持円筒80と,高透磁率シート支持円筒80の内周面及び/又は外周面に配置される高透磁率シート層82から構成される。
【0057】
各磁場遮蔽円筒には,各実施例に対応して,最も内側に配置される磁場遮蔽円筒の内部にクライオスタットの底面を挿入するための円形の第3の開口43が形成され,最も内側に配置される磁場遮蔽円筒の内部に配置される患者の視野内に,円形の第4の開口44が形成され,患者は医師と視線を合わせて対話ができる。
【0058】
図2には1つの磁場遮蔽円筒60が示され,高透磁率シート支持円筒80の外周面に,複数の高透磁率シート23が接着剤等を用いて貼付されて高透磁率シート層82が形成されている。高透磁率シート支持円筒80は,内半径rの厚さ0.5mmのアルミニウムの中空円筒を使用している。
【0059】
高透磁率シート23の貼付は次ぎの何れかの方法による。(1)複数の高透磁率シート23が相互に重なり部分を持つように貼付する。(2)下層の高透磁率シート23の重ね部分を覆うように上層の高透磁率シー23を貼付する。(3)(1)の方法と(2)の方法とを組合せて貼付する。何れの貼付方法に於いても,高透磁率シート23の相互の重なりにより,磁性材リボン25の部分が相互に重なるように,複数の高透磁率シート23を重ねて貼付する。
【0060】
各高透磁率シート23は,各磁性材リボン25の短辺が高透磁率シート支持円筒80の中心軸にほぼ平行になるように,各磁性材リボン25の長辺が保持円筒21の中心軸を内側に取り囲み,高透磁率シート支持円筒80の中心軸に垂直な面にほぼ平行になるように,高透磁率シート支持円筒80に接着剤などを用いて貼付して,高透磁率シート23の複数層を形成する。
【0061】
図3は2層の高透磁率シート23により形成された高透磁率シート層82を示す。図3では第1層,第2層の各層での高透磁率シート23の重なりは省略している。
【0062】
本発明の各実施例に於ける磁場遮蔽装置は,同軸に配置される複数の磁場遮蔽円筒60のそれぞれを構成する高透磁率シート支持円筒80は異なる内半径を持つ。隣接する高透磁率シート支持円筒80の間隔は,1cmから20cmである。 以上説明した磁場遮蔽装置の構成により,外来磁場の複数の磁場遮蔽円筒60の中心軸に垂直方向の成分を,最も内側の磁場遮蔽円筒の内部で外来磁場を高い磁場遮蔽率で遮蔽する。以下の各実施例では,図面を単純化するために2個の磁場遮蔽円筒を持つ磁場遮蔽装置の構成を例示するが,2個から5個の磁場遮蔽円筒を持つ磁場遮蔽装置の構成としても良い。
【0063】
以下の各実施例の説明では,同軸に配置される複数の磁場遮蔽円筒60の中心軸を,簡単のために「磁場遮蔽装置の中心軸」と呼ぶ。更に,以下の各実施例の説明では,複数の磁場遮蔽円筒60の各円筒が,その中心軸の垂直方向で2個の部分に分割されて構成され,又は,その周方向で2個の部分に分割されて構成され,これら2個の部分を相互に重複させて,複数の磁場遮蔽円筒60の各円筒が構成される場合にも,重複させて構成され,共軸に配置される複数の磁場遮蔽円筒の中心軸を,同様に,「磁場遮蔽装置の中心軸」と呼ぶ。
(実施例1)
図4は本発明の実施例1の生体磁場計測装置の構成例を示す斜視図である。図5は図4に示す磁場遮蔽装置40の斜視図である。図6は図4に示す生体磁場計測装置の計測視野の中心を通る面での断面図である。
【0064】
生体磁場計測装置は,磁場遮蔽装置40,検査対象(生体)から発生する磁場(生体磁場)を検出する複数のSQUID磁束計57を低温に保持するクライオスタット50と,クライオスタット50を支持するガントリ30−2と,磁場遮蔽装置40及びガントリ30−2を支持する磁場遮蔽装置・ガントリ支持台30−1と,クライオスタット50の内部を冷却するための冷媒供給装置又は冷却装置55及び冷媒供給線又は冷却伝達線54,データ収集・センサ制御線51を介してSQUID磁束計57を駆動制御し検出された生体磁場を収集しデータ処理を行なうデータ収集処理・センサ制御装置52と,データ処理の結果を表示する単数又は複数の表示装置53から構成される。
【0065】
クライオスタット50の内部は,冷媒供給線54を介して冷媒供給装置55から供給される液体Heにより冷却されるか,又は,冷却装置55として冷凍機を使用してコンプレッサにより冷却伝達線54を介して冷却されたHeガスをクライオスタット50の内部に配置されるコールドヘッドに供給して冷却される。
【0066】
磁場遮蔽装置40は,図2,図3で説明した複数の磁場遮蔽円筒60から構成され,複数の磁場遮蔽円筒の中心軸(y方向)の正方向に第1の開口41を,y方向の負方向に第2の開口42を,中心軸に垂直方向(z方向)の上部にクライオスタット50を挿入するための,複数の磁場遮蔽円筒を貫通する第3の開口43を,ベッド20に横たわる検査対象を観察するための,複数の磁場遮蔽円筒を貫通する第4の開口44をそれぞれ有する。複数の磁場遮蔽円筒の中心軸(y方向)(磁場遮蔽装置40の中心軸)は床面に水平である。
【0067】
磁場遮蔽装置40は,外来磁場の磁場遮蔽装置40の中心軸に垂直方向の成分を,最も内側の磁場遮蔽円筒60−1の内部で,高い磁場遮蔽率で遮蔽する。この結果,SQUID磁束計57は,磁場遮蔽装置2の内部で発生する生体磁場のz方向の成分を高感度で検出できる。
【0068】
ガントリ30−2の高さはガントリの高さ制御装置31により制御固定され,検査者(医師)35は,第4の開口44からベッド20に横たわる検査対象(患者)36の検査部位とクライオスタット50の底面との位置関係を観察しながら,ガントリの高さ制御ボックス32を操作する。ガントリの高さ制御ボックス32からの信号により,ガントリの高さ制御装置31が制御され,クライオスタット50の底面のz方向の位置が固定される。x方向はy方向及びz方向に直交する方向に設定される。
【0069】
クライオスタット102の内部の底部近傍にxy面に平行な面(計測面)に配置される複数のSQUID磁束計57は,データ収集処理・センサ制御装置52のFLL回路によって駆動される。FLL回路は,SQUID磁束計57で検出された生体磁場信号を出力する。FLL回路の出力は,フィルタリング,増幅され,AD変換器によってデジタルデータに変換され,データ収集処理・センサ制御装置52の記憶装置に保存される。データ収集処理・センサ制御装置52によりデータ処理された結果,例えば,磁場波形St(x,y,t)((数3)),V(x,y,t)((数5))による等磁場線図,等積分図等が,表示装置53の表示画面に表示される。
【0070】
検査対象36が搭載されるベッド20はx及びy方向移動装置21に搭載されており,x及びy方向移動装置21はx及びy方向移動装置の支持台22に固定されている。ベッド20は磁場遮蔽装置40の最も内側の磁場遮蔽円筒の内部に配置される。
【0071】
なお,クライオスタット50の底面の高さを固定された位置として,x及びy方向移動装置21の代りに,x,y,z方向移動装置を使用することもできる。この場合には,ガントリ30−2と磁場遮蔽装置40との位置関係が,複数のSQUID磁束計57の検出コイルが配列される計測面がもっとも内側の磁場遮蔽円筒60−1の中心軸にほぼ一致するように,ガントリ30−2の位置が固定される,又は,ガントリ30−2と磁場遮蔽装置・ガントリ支持台30−1とが一体で構成される。勿論,ガントリの高さ制御装置31,ガントリの高さ制御ボックス32は不要となる。
【0072】
検査者(医師)35は,第4の開口44からベッド20の上の検査対象(患者)36の検査部位とクライオスタット50の底面との位置関係を観察しながら,ガントリの高さ制御ボックス32に代えて,ベッド20のx,y,z方向移動制御ボックス(図示せず)を操作する。x,y,z方向移動制御ボックスからの信号により,ベッド20のx,y,z方向移動装置が制御され,ベッド20のx方向,y方向及びz方向の位置が固定される。
【0073】
以上の説明では,検査者(医師)35が,第4の開口44を通して患者36を観察したが,第4の開口44を設けない構成として,第1の開口41又は第2の開口42を通して患者36を観察しても良いことは言うまでもない。
【0074】
患者36の視野内に設けられる第4の開口44は,患者36に開放感を与えるとともに,検査者(医師)35は,第4の開口44を通して患者36と近いで対話ができ,正確に患者の状態を観察できる。検査者(医師)35は,患者36への指示を容易に伝達できる。患者36は第4の開口44を通して磁場遮蔽装置40の外部を見ることができ,心理的な不安感等を低減する効果がある。
【0075】
図5に示すように,複数の磁場遮蔽円筒を貫通する第3の開口43の中心軸と,複数の磁場遮蔽円筒を貫通する第4の開口44の中心軸とは,約45度の角度をなしている。図6に示すように,クライオスタット50の内部の底部には,SQUID磁束計57が2次元に配列され,クライオスタット50の内部は冷媒56が満たされている。
【0076】
磁場遮蔽円筒60は,第1の磁場遮蔽円筒60−1,第2の磁場遮蔽円筒60−2から構成される。第1の磁場遮蔽円筒60−1と第2の磁場遮蔽円筒60−2との間には,充填剤70が充填され,第1の磁場遮蔽円筒60−1,第2の磁場遮蔽円筒60−2の形状を安定に保持している。図6に示す例では,充填剤70を下半分に充填しているが,更に,第3の開口43,第4の開口44を除く上半分の部位にも充填しても良い。充填剤70としては,発泡剤を含む硬質ポリウレタン等が使用できる。発泡剤を含む硬質ポリウレタンは,軽量なので第3の開口43,第4の開口44を除く上半分の部位にも充填しても,第1の磁場遮蔽円筒60−1,第2の磁場遮蔽円筒60−2の形状を変形させることはない。
(実施例2)
図7は本発明の実施例2の生体磁場計測装置の構成例を示す斜視図である。図8は図7に示す磁場遮蔽装置の斜視図である。図9は図7に示す生体磁場計測装置の計測視野の中心を通る面での断面図であり,一部拡大断面を含む。
【0077】
以下,実施例1との相違点を中心に説明する。実施例2の生体磁場計測装置の構成では,実施例1で説明した磁場遮蔽装置40を,y方向で2分割して,磁場遮蔽装置の第1の部分40−1,磁場遮蔽装置の第2の部分40−2により構成する。磁場遮蔽装置の第1の部分40−1は,磁場遮蔽装置の第2の部分40−2に対して,y方向に移動可能な構成とする。実施例1と同様に,ガントリ30−2,磁場遮蔽装置の第2の部分40−2は,磁場遮蔽装置・ガントリ支持台30−1に支持される。
【0078】
磁場遮蔽装置の第1の部分40−1は,磁場遮蔽装置支持台92に支持固定され,磁場遮蔽装置支持台92の下部に配置される複数の車輪91は,床117の面に配置されたレール90−1,90−2の上に搭載されている。磁場遮蔽装置の第1の部分40−1は,レール90−1,90−2の上でy方向に移動できる。この移動により磁場遮蔽装置の第1の部分40−1と磁場遮蔽装置の第2の部分40−2とを分離できる。
【0079】
この結果,開放された空間で,医師35は楽な姿勢で患者36をベッド20に搭載でき,又は,患者36は楽にベッド20横たわることができる。患者は,足部が先にクライオスタットの下部を通過し,最終的に胸部がクライオスタットの下部に到達するように搭載される。医師35は,患者36の検査部位とクライオスタット50の底面との位置関係を,効率良く調整できる。調整後,分離された磁場遮蔽装置の第1の部分40−1を移動させて,磁場遮蔽装置の第1の部分40−1と磁場遮蔽装置の第2の部分40−2とをy方向で重複させて,第3の開口43,第4の開口44を形成できる。
【0080】
この結果,外来磁場の磁場遮蔽装置40の中心軸に垂直方向の成分を,最も内側の磁場遮蔽円筒40−1−1,40−2−1の内部で,高い磁場遮蔽率で遮蔽できる。高い磁場遮蔽率で外来磁場が遮蔽された空間で,検査部位からの生体磁場のz方向の成分を高感度で検出できる。
【0081】
図8に示すように,磁場遮蔽装置の第1の部分40−1を構成する磁場遮蔽円筒,磁場遮蔽装置の第2の部分40−2を構成する磁場遮蔽円筒はそれぞれ,重複させた時に第3の開口43,第4の開口44を形成するように,円周の一部をもつ切欠き部分を持っている。
【0082】
図9に示すように,磁場遮蔽装置40は,磁場遮蔽装置の第1の部分40−1,磁場遮蔽装置の第2の部分40−2とから構成される。磁場遮蔽装置の第1の部分40−1は,第1の磁場遮蔽内側円筒40−1−1,第1の磁場遮蔽外側円筒40−1−2とから構成される。磁場遮蔽装置の第2の部分40−2は,第2の磁場遮蔽内側円筒40−2−1,第2の磁場遮蔽外側円筒40−2−2とから構成される。
【0083】
第2の磁場遮蔽外側円筒40−2−2の内側に,第1の磁場遮蔽外側円筒40−1−2が重複して配置され,第2の磁場遮蔽内側円筒40−2−1の内側に,第1の磁場遮蔽内側円筒40−1−1が重複して配置される。図9にはこの重複部分に第3の開口が示されている。
【0084】
拡大断面に示すように,第2の磁場遮蔽内側円筒40−2−1,第2の磁場遮蔽外側円筒40−2−2の各高透磁率シート支持円筒80の内側に,高透磁率シート23により高透磁率シート層82が形成されている。第1の磁場遮蔽内側円筒40−1−1,第1の磁場遮蔽外側円筒40−1−2の各高透磁率シート支持円筒80の外側に,高透磁率シート23により高透磁率シート層82が形成されている。この結果,重複部分で,高透磁率シート層82を近接させる構成として,漏れ磁束を減少させて磁場遮蔽効果を高めている。
【0085】
また,磁場遮蔽装置40の中心軸に平行な方向で第3の開口の外側に於ける,第2の磁場遮蔽外側円筒40−2−2と第1の磁場遮蔽外側円筒40−1−2とが重複する距離,第2の磁場遮蔽内側円筒40−2−1と第1の磁場遮蔽内側円筒40−1−1とが重複する距離は,第3の開口の直径の約1/2から約1/4とする。重複部分を充分大きくして磁場遮蔽効果を高めている。
【0086】
ベッド20,x及びy方向移動装置21を搭載するベッド及び移動装置の支持台22は,スペーサ140−1を介して第2の磁場遮蔽内側円筒40−2−1の内部に配置される。実施例1と同様の目的で,第2の磁場遮蔽内側円筒40−2−1と第2の磁場遮蔽外側円筒40−2−2との間の下半分に,充填剤70−1が充填され,第1の磁場遮蔽内側円筒40−1−1と第1の磁場遮蔽外側円筒40−1−2間の下半分に,充填剤70−2が充填されている。図9示す例では,充填剤70−1,70−2を下半分に充填しているが,更に,第3の開口43,第4の開口44を除く上半分の部位にも充填しても良いことは言うまでもない。
【0087】
なお,実施例1と同様に,クライオスタット50の底面の高さを固定された位置として,x及びy方向移動装置21の代りに,ベッド20のx,y,z方向移動装置を使用できるとは言うまでもない。更に,実施例1と同様に,第4の開口がない構成としても良いことは言うまでもない。
(実施例3)
図10は本発明の実施例3の生体磁場計測装置の構成例を示す斜視図である。図11は図10に示す磁場遮蔽装置の斜視図であり,一部拡大断面を含む。図12は図7に示す生体磁場計測装置への検査対象(患者)の出し入れを説明する断面図であり,一部拡大断面を含む。
【0088】
以下,実施例1との相違点を中心に説明する。実施例1で説明した磁場遮蔽装置40を,周方向で2分割して,磁場遮蔽装置の第1の部分40−3,磁場遮蔽装置の第2の部分40−4により構成する。磁場遮蔽装置の第1の部分40−3は,磁場遮蔽装置の第2の部分40−4に対して,周方向に移動可能な構成とする。実施例1と同様に,ガントリ30−2,磁場遮蔽装置の第2の部分40−4は,磁場遮蔽装置・ガントリ支持台30−1に支持される。
【0089】
図11,図12に示すように,磁場遮蔽装置の第1の部分40−3は,y方向の正方向及び負方向の端部で結合板150−1により結合された,第1の磁場遮蔽内側円筒40−3−1,第2の磁場遮蔽外側円筒40−3−2から構成される。同様に,磁場遮蔽装置の磁場遮蔽装置の第2の部分40−4は,y方向の正方向及び負方向の端部で結合板150−2(図示せず)により結合された,第2の磁場遮蔽内側円筒40−4−1,第2の磁場遮蔽外側円筒40−4−2から構成される。図10,図11,図12に示すように,第1の磁場遮蔽内側円筒40−3−1,第2の磁場遮蔽外側円筒40−3−2を貫通する第4の開口40が形成されている。
【0090】
第4の開口40の第1の磁場遮蔽内側円筒40−3−1の内側,及び,第2の磁場遮蔽外側円筒40−3−2の外側はそれぞれ,透明な曲面板でカバーがされており,磁場遮蔽装置の第1の部分40−3の,磁場遮蔽装置の第2の部分40−4に対する周方向の移動の時,手,着衣等を挟み込まないようにしている。
【0091】
磁場遮蔽装置の第1の部分40−3は約110度の円周部を持ち,磁場遮蔽装置の第2の部分40−4は約270度の円周部を持ち,相互に両端部でそれぞれ約10度の範囲で重複する構成とする。即ち,第1の磁場遮蔽内側円筒40−3−1と第2の磁場遮蔽内側円筒40−4−1,及び,第2の磁場遮蔽外側円筒40−3−2と第2の磁場遮蔽外側円筒40−4−2はそれぞれ,磁場遮蔽装置の中心軸に平行な両端部で約10度の範囲で重複する時,閉じた状態の磁場遮蔽装置を形成し,約110度の範囲で重複する時,開口部を有し,開放された状態の磁場遮蔽装置を形成する。閉じた状態で重複部分を充分大きくして磁場遮蔽効果を高めている。
【0092】
第2の磁場遮蔽外側円筒40−3−2の高透磁率シート支持円筒80の外面の周面には,拡大断面に示すようにTの字型の細長い板がガイド105−2として配置されており,第2の磁場遮蔽外側円筒40−4−2の高透磁率シート支持円筒80の内面の周面にガイド105−2を受け入れるTの字型の細長い溝が形成されている。
【0093】
同様に,第1の磁場遮蔽内側円筒40−3−1の高透磁率シート支持円筒の外面の周面には,Tの字型の細長い板がガイド105−1として配置されており,第2の磁場遮蔽内側円筒40−4−1の高透磁率シート支持円筒の内面の周面にガイド105−1を受け入れるTの字型の細長い溝(図示せず)が形成されている。
【0094】
なお,高透磁率シート23により高透磁率シート層82は,第2の磁場遮蔽内側円筒40−4−1,第2の磁場遮蔽外側円筒40−4−2の各高透磁率シート支持円筒の外面に,第1の磁場遮蔽内側円筒40−3−1,第2の磁場遮蔽外側円筒40−3−2の各高透磁率シート支持円筒の内面に,それぞれ形成されている。
【0095】
図11に示すように,磁場遮蔽装置の第1の部分40−3を構成する磁場遮蔽円筒,磁場遮蔽装置の第2の部分40−4を構成する磁場遮蔽円筒はそれぞれ,重複させた時に第3の開口43を形成するように,円周の一部をもつ切欠き部分を持っている。
【0096】
図12(a)は,ベッド20に患者36が横たわり,検査部位からの生体磁場が計測される時の状態を示す。磁場遮蔽装置の第1の部分40−3を構成する磁場遮蔽円筒,磁場遮蔽装置の第2の部分40−4を構成する磁場遮蔽円筒はそれぞれ重複している。第1の部分40−3と第2の部分40−4の位置関係はロックにより固定されている。この状態で,外来磁場の磁場遮蔽装置40の中心軸に垂直方向の成分を,最も内側の磁場遮蔽円筒40−3−1,40−4−1の内部で,高い磁場遮蔽率で遮蔽できる。高い磁場遮蔽率で外来磁場が遮蔽された空間で,検査部位からの生体磁場のz方向の成分を高感度で検出できる。
【0097】
図12(b)は,磁場遮蔽装置の第1の部分40−3が,第1の部分40−3に取り付けた取っ手(図示せず)を用いて手動で,又は自動で,周方向に移動され,第1の部分40−3の位置がロックされ,開口部が形成され,約90度の角度範囲で開放空間が形成された状態を示す。この結果,開放空間で,医師35は楽な姿勢で,ベッド移動台103から患者36をベッド20に搭載でき,もしくは,患者36は楽にベッド20横たわることができ,医師35は,患者36の検査部位とクライオスタット50の底面との位置関係を,効率良く調整できる。
【0098】
なお,実施例1と同様に,クライオスタット50の底面の高さを固定された位置として,x及びy方向移動装置21の代りに,ベッド20のx,y,z方向移動装置を使用できるとは言うまでもない。更に,実施例1と同様に,第4の開口がない構成としても良いことは言うまでもない。
(実施例4)
本発明の実施例4の生体磁場計測装置は,実施例3の生体磁場計測装置の構成の一部を変更した,病室のベッドの近傍まで移動可能な構成としたベッドサイド用生体磁場計測装置である。
【0099】
磁場遮蔽装置・ガントリ支持台30−1には,移動可能なように複数個の車輪100が配置されており,また,ベッド及び移動装置の支持台22にも移動可能なように複数個の車輪29−1,29−2,29−3,29−4(図示せず)が配置されている。複数個の100−1を持つ台車に,データ収集処理・センサ制御装置52,表示装置53,冷媒供給装置又は冷却装置55が搭載される。
【0100】
実施例4のベッドサイド用生体磁場計測装置では,クライオスタット50の底面の高さを固定された位置として,x及びy方向移動装置21の代りに,ベッド20のx,y,z方向移動装置21’を使用する。
【0101】
図12(c)に示すように,車輪29’−1,29’−2,29’−3(図示せず),29’−4(図示せず)を持ち,搭載するベッド移動台103の近傍に,ベッドサイド用生体磁場計測装置を移動させた後,図12(b)に示すように,磁場遮蔽装置の第1の部分40−3が周方向に移動されその位置がロックされ,約90度の角度範囲で,開放空間が形成された状態とする。
【0102】
ベッドサイド用生体磁場計測装置のベッド20のx,y,z方向移動装置21’と,ベッド移動台10のベッド20−1,x,y,z方向移動装置21’とを使用して,x,y,z方向の各方向での,ベッド20及びベッド20−1の位置を調整して,容易に患者36をベッド20−1からベッド20に移動させることができる。
【0103】
ベッド20−1,x,y,z方向移動装置21’を使用して,医師35は,患者36の検査部位とクライオスタット50の底面との位置関係を調整する。その後,図12(a)に示す状態で,患者36の検査部位からの生体磁場が計測される。生体磁場の計測終了後,図12(b)に示す状態として,ベッド20のx,y,z方向移動装置21’と,ベッド移動台10のベッド20−1,x,y,z方向移動装置21’とを使用して,x,y,z方向の各方向での,ベッド20及びベッド20−1の位置を調整して,容易に患者36をベッド20からベッド20−1に移動させることができる。
【0104】
実施例4のベッドサイド用生体磁場計測装置は,自由に移動でき,病院内を移動して入院患者のベッドサイドでの検査が可能となる。従って,救急患者,ベッドに寝たきりの患者を測定する際,患者は,生体磁場計測装置が設置された検査室へ移動する必要がなく,患者の負担が軽減される。
(実施例5)
図13は本発明の実施例5の実施例であり,実施例3又は実施例4で説明した生体磁場計測装置を自動車に搭載した検診車(移動式生体磁場計測装置)の例を示す一部破断部を含む斜視図である。生体磁場計測装置の全体が,車内の床110に置かれた除振台111の上に配置固定され,外部の振動を遮断している。自動車は,固定用のアンカー112を備えており,生体磁場の計測の時にはアンカー112を地面に下ろして自動車を地面に固定する。この検診車は,学校,保健所等の地域コミュニティーへ移動して定期的な集団検診等に利用される。
(実施例6)
図14は本発明の実施例6の生体磁場計測装置に使用される磁場遮蔽装置の構成例を示す斜視図であり,一部拡大を含む。図15は,図14に示す磁場遮蔽装置を使用する生体磁場計測装置の計測視野の中心を通る面での断面図である。
【0105】
図14に示す磁場遮蔽装置は,実施例1で説明した磁場遮蔽装置40を周方向で2分割して,磁場遮蔽装置の第1の部分40−5,磁場遮蔽装置の第2の部分40−6により構成する。磁場遮蔽装置の第1の部分40−5は,磁場遮蔽装置の第2の部分40−6に対して周方向に移動可能な構成とする。
【0106】
第2の磁場遮蔽内側円筒40−6−1,第2の磁場遮蔽外側円筒40−6−2の下部には複数の車輪118が固定されており,図14の拡大断面の示すように,車輪118は,床117に形成された移動ガイド溝119の内部に配置されている。第2の磁場遮蔽内側円筒40−6−1,第2の磁場遮蔽外側円筒40−6−2の上部は結合板115により結合されている。結合板115にには,天井に配置される円形のガイドレールに連結させるための移動のための上部結合部116が固定されている。
【0107】
図14の拡大断面に示すように,第2の磁場遮蔽内側円筒40−6−1,第2の磁場遮蔽外側円筒40−6−2の各高透磁率シート支持円筒80の内側に,高透磁率シート23により高透磁率シート層82が形成されている。第1の磁場遮蔽内側円筒40−5−1,第1の磁場遮蔽外側円筒40−5−2の各高透磁率シート支持円筒80の外側に,高透磁率シート23により高透磁率シート層82が形成されている。この結果,重複部分で,高透磁率シート層82を近接させる構成として,漏れ磁束を減少させて磁場遮蔽効果を高めている。
【0108】
図15に示すように,第1の磁場遮蔽内側円筒40−5−1は磁場遮蔽円筒支持体128により,第2の磁場遮蔽外側円筒40−5−2は磁場遮蔽円筒支持体120により,それぞれ床117に固定される。SQUID磁束計57が2次元に配列される側のクライオスタット50−1は,ガントリ124に移動可能に固定される。x,y方向にそれぞに移動可能な椅子122に座った患者36の検査部位と,SQUID磁束計57が配列される側のクライオスタット50−1の面との位置関係,クライオスタット50−1の高さ位置が調整された後に,クライオスタット50−1は,クライオスタット位置固定ロック126により固定される。
【0109】
磁場遮蔽装置の第2の部分40−6の高さは,磁場遮蔽装置の第1の部分40−5の高さよりも高くして,磁場遮蔽装置の第2の部分40−6を回転させるための構造を単純にする。磁場遮蔽装置の第2の部分40−6は約200度の円周部を持ち,磁場遮蔽装置の第1の部分40−5は180度の円周部を持ち,相互に両端部でそれぞれ約10度の範囲で重複する構成とする。即ち,第1の磁場遮蔽内側円筒40−5−1と第2の磁場遮蔽内側円筒40−6−1,及び,第2の磁場遮蔽外側円筒40−5−2と第2の磁場遮蔽外側円筒40−6−2はそれぞれ,磁場遮蔽装置の中心軸に平行な両端部で約10度の範囲で重複する時,閉じた状態の磁場遮蔽装置を形成し,約180度の範囲で重複する時,開放された状態の磁場遮蔽装置を形成する。
【0110】
閉じた状態で重複部分を充分大きくして磁場遮蔽効果を高めて,外来磁場の磁場遮蔽装置40の中心軸に垂直方向の成分を,最も内側の磁場遮蔽円筒40−5−1,40−6−1の内部で,高い磁場遮蔽率で遮蔽できる。高い磁場遮蔽率で外来磁場が遮蔽された空間で,検査部位からの生体磁場のx方向の成分を高感度で検出できる。
【0111】
磁場遮蔽装置の第2の部分40−6を回転させて開放空間を作り,患者36が椅子122に座った状態で,医師は,患者36の検査部位とクライオスタット50−1の外面との位置関係を調整する。
【0112】
実施例6で使用する磁場遮蔽装置を構成する各磁場遮蔽円筒60の中心軸は共軸に配置され,各磁場遮蔽円筒は中心軸に対して平行な面で分割されている。各磁場遮蔽円筒は垂直に配置される。実施例6で使用する磁場遮蔽装置では,患者36は,容易に磁場遮蔽装置の内部に入ることができ,検査部位の位置合わせ効率よくできる。実施例6で使用する磁場遮蔽装置は小型であり,生体磁場計測装置の設置面積が小さくてすむ。
【0113】
なお,クライオスタット50−1の高さを固定された位置として,x及びy方向移動装置の代りに,検査対象36が座る椅子122のx,y,z方向移動を制御するx,y,z方向移動装置を使用して,SQUID磁束計57が配列される側のクライオスタット50−1の面と検査対象36の検査部位の面との位置合わせを行なうことができるとは言うまでもない。
(実施例7)
図16は本発明の実施例7であり,図14,図15に示す磁場遮蔽装置を使用する生体磁場計測装置の計測視野の中心を通る面での断面図である。実施例7の生体磁場計測装置では,図14,図15に示す磁場遮蔽装置を,床117に対して20度以上30度以下で傾斜している床117−1に配置する。その他の構成は,実施例6と同じである。
(実施例8)
図17は本発明の実施例8の生体磁場計測装置の構成例を示す斜視図である。図18は図17に示す生体磁場計測装置の計測視野の中心を通る面での断面図である。
【0114】
以下,実施例1との相違点を中心に説明する。磁場遮蔽装置40−7は,磁場遮蔽内側円筒40−7−1,磁場遮蔽外側円筒40−7−2から構成され,磁場遮蔽装置40−7は,床117に固定される磁場遮蔽装置支持体130により保持されている。
【0115】
実施例8では,磁場を検出する検出コイルが薄膜で掲載される平面型のSQUID磁束計を使用するので小型のクライオスタットを使用できる。実施例8では,実施例1で説明した磁場遮蔽装置40の構成で,クライオスタット50を挿入する第3の開口43を形成せず,SQUID磁束計が底部に2次元に配置されるクライオスタット50−2を磁場遮蔽内側円筒40−7−1の内部に配置する。クライオスタット50−2は,クライオスタット保持板132により保持され,クライオスタット保持板132は,床117に固定されるクライオスタット保持板の固定台131に保持される。
【0116】
ベッド20,x及びy方向移動装置21を搭載するベッド及び移動装置の支持台22は,スペーサ140−2を介して磁場遮蔽内側円筒40−7−1の内部に配置される。図18示す例では,充填剤70−3を下半分に充填しているが,更に,上半分の部位にも充填しても良いことは言うまでもない。
【0117】
実施例8では,実施例1で説明した第3の開口を形成しないので,外来磁場の磁場遮蔽装置40の中心軸に垂直方向の成分を,最も内側の磁場遮蔽円筒40−7−1の内部で,実施例1に示す磁場遮蔽装置よりも高い磁場遮蔽率で遮蔽できる。より高い磁場遮蔽率で外来磁場が遮蔽された空間で,検査部位からの生体磁場のz方向の成分を高感度で検出できる。
【0118】
ベッド20に載せられた患者は,第2の開口42から磁場遮蔽内側円筒40−7−1の内部に,より好ましくは,足部が先にクライオスタット50−2の下部を通過するようにし,その後,胸部がクライオスタットの下部に到達するようにして,圧迫感をできるだけ少なくするようにして,挿入される。勿論,図18に示すように,頭部から先に,磁場遮蔽内側円筒40−7−1の内部に搬入しても良い。医師は,患者36の検査部位とクライオスタット50−2の底面との位置関係を,ベッド20のx及びy方向移動装置21と,クライオスタット保持板の固定台131に組み込まれた高さ方向移動装置(位置調整装置)とを使用して調整した後に,検査部位からの生体磁場を計測する。
【0119】
実施例1と同様にして,クライオスタット50−2の高さを固定された位置として,x及びy方向移動装置21の代りに,ベッド20のx,y,z方向移動装置を使用できるとは言うまでもない。更に,実施例1と同様に,第4の開口がない構成としても良いことは言うまでもない。
(実施例9)
図19は本発明の実施例1に示す生体磁場計測装置によって計測された磁場波形の例を示す図である。図19はクライオスタットの内部の底部で正方形の各頂点に配置された合計4チャンネルのSQUID磁束計を用いて検出した健常者の心臓から発生する磁場を示し,1チャンネルの磁場波形を示す。図19の横軸は時間(sec),縦軸は検出された磁場の微分値(pT/m)を示す。
【0120】
実施例8の計測結果を得る時に使用した磁場遮蔽装置40の構成は以下の通りである。使用した磁場遮蔽装置は,内側から外側に向け,共軸に配置された第1,第2,第3の磁場遮蔽円筒60から構成され,高透磁率シート支持円筒80の外側に,高透磁率シート23により高透磁率シート層82を形成した。使用した磁場遮蔽装置では,第4の開口は設けていない。第3の開口は,4チャンネルのSQUID磁束計が配置される断面が円形のクライオスタットを挿入するため,半径30cmの円形とした。
【0121】
第1の磁場遮蔽円筒,第2の磁場遮蔽円筒,第3の磁場遮蔽円筒としてそれぞれ内半径80cm,90cm,100cmを持ち,厚さ0.5mm,長さ200cmのアルミニウムの中空円筒を使用した。第3の開口は,各中空円筒の長さ方向の中心部に設けた。
【0122】
使用した高透磁率シート23は市販品(日立金属株式会社,商品名ファインメット)を使用した。この高透磁率シート23は,高透磁率材料として,結晶粒界の大きさが100nm以下の超微結晶組織をもち,最大比透磁率が50000以上のFe−Cu−Nb−Si−B系(Fe:73.5%,Cu:1%,Nb:3%,Si:13.5%,B:9%)の軟磁性アモルファス合金を使用している。
【0123】
使用した高透磁率シートの構成は,磁性材リボン(高透磁率材料)25の厚み約20μm,保持シート26−1,26−2の厚さ30μm,高透磁率シート23の全厚100μmである。面積610cm×240cmの高透磁率シート23を重複させて各アルミニウムの中空円筒の外周面に貼付し,厚さ約1mmの高透磁率シート層82を形成した。
【0124】
フレキシブルな高透磁率シート23は,図2に示すように,磁性材リボン25の短辺が各中空円筒の中心軸にほぼ平行になるように,各磁性材リボン25の長辺が各中空円筒の中心軸を内側に取り囲み,各中空円筒の中心軸に垂直な面にほぼ平行になるように,各中空円筒の周面に接着剤を用いて貼付して高透磁率シート23の複数層を形成した。
【0125】
簡単な構成の磁場遮蔽装置を使用することにより,外来磁場の磁場遮蔽装置の中心軸(第1,第2,第3の磁場遮蔽円筒の中心軸)に垂直方向の成分を,最も内側の第1の磁場遮蔽円筒の中心軸の位置で,−35dBに減衰することができた。即ち,最も内側の第1の磁場遮蔽円筒の中心軸の位置で,外来磁場の,磁場遮蔽装置の中心軸の垂直方向の成分を,−35dBに減衰させることができる。この結果,SQUID磁束計は,磁場遮蔽装置の内部に置かれた生体の検査部位から発生する生体磁場のz方向の成分を高感度で検出できる。
【0126】
使用した磁場遮蔽装置の磁場遮蔽率は,磁場遮蔽装置の中心軸の位置で1/56であり,成人健常者の心臓から発生する磁場をR波の出現時点でSN比10以上で計測できることが判明した。
【0127】
なお,磁性材リボン25の長辺が各中空円筒の中心軸に平行となるように,高透磁率シート23を各中空円筒の周面に貼付して高透磁率シート23の複数層を形成して各磁場遮蔽円筒を形成した場合には,外来磁場の,磁場遮蔽装置の中心軸に垂直方向の成分を,最も内側の第1の磁場遮蔽円筒の中心軸の位置で,約−31dBに減衰できた。
【0128】
以上説明した,実施例1,実施例2,実施例3,実施例4,実施例5,実施例8の構成に於いて,第4の開口を設ける場合,最も内側の磁場遮蔽円筒の内直径が約1mの時,第4の開口の直径は約30cmとすることができる。
【0129】
また,実施例1,実施例2,実施例8の構成に於いて,磁場遮蔽装置の最も内側の磁場遮蔽円筒の内部空間への検査対象(患者)の搬入は,足部が先にクライオスタットの下部を通過するようにし,最終的に胸部がクライオスタットの下部に到達するようにして,圧迫感をできるだけ少なくするように行なう。
【0130】
【発明の効果】
本発明によれば,高透磁率を持つ高透磁率シートを用いて,軽量,小型,低コストで高性能な高い磁場遮蔽率を持つ磁場遮蔽装置を実現できる。本発明の磁場遮蔽装置は軽量,小型であるため,設置する場所に耐加重性が特に要求されず,小さい面積があれば設置が可能であり,磁場遮蔽装置,即ち,磁場計測装置を設置する場所に制限がなくなる。
【0131】
本発明の磁場計測装置では,磁場の2方向の接線成分を計測することなく,磁場の法線成分の計測のみから,電流源の直上にピークパターンが出現する磁場分布図を得ることができる。この結果,検査対象,特に,生体内の複数の電流源の位置を直読できるので,検査対象を生体とする場合,成人,胎児の心臓に関する疾患の診断に有用なデータを得ることができる。本発明の磁場計測装置は,短時間で検査対象からの磁場を計測して表示できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施例で使用される高透磁率を有する高透磁率シートの構成例を説明する図。
【図2】本発明の各実施例に於ける磁場遮蔽装置を構成する中空円筒への高透磁率シートの配置例を説明する斜視図。
【図3】本発明の各実施例に於ける磁場遮蔽装置を構成する中空円筒への高透磁率シートの配置例を説明する断面図。
【図4】本発明の実施例1の生体磁場計測装置の構成例を示す斜視図。
【図5】図4に示す磁場遮蔽装置の斜視図。
【図6】図4に示す生体磁場計測装置の計測視野の中心を通る面での断面図。
【図7】本発明の実施例2の生体磁場計測装置の構成例を示す斜視図。
【図8】図7に示す磁場遮蔽装置の斜視図。
【図9】図7に示す生体磁場計測装置の計測視野の中心を通る面での断面図。
【図10】本発明の実施例3の生体磁場計測装置の構成例を示す斜視図。
【図11】図10に示す磁場遮蔽装置の斜視図。
【図12】図7に示す生体磁場計測装置への検査対象(患者)の出し入れを説明する断面図。
【図13】本発明の実施例5の実施例であり,実施例3又は実施例4の生体磁場計測装置を自動車に搭載した検診車の例を示す一部破断部を含む斜視図。
【図14】本発明の実施例6の生体磁場計測装置に使用される磁場遮蔽装置の構成例を示す斜視図。
【図15】図14に示す磁場遮蔽装置を使用する生体磁場計測装置の計測視野の中心を通る面での断面図。
【図16】本発明の実施例7であり,図14に示す磁場遮蔽装置を使用する生体磁場計測装置の計測視野の中心を通る面での断面図。
【図17】本発明の実施例8の生体磁場計測装置の構成例を示す斜視図。
【図18】図17に示す生体磁場計測装置の計測視野の中心を通る面での断面図。
【図19】本発明の実施例1の生体磁場計測装置によって計測された磁場波形の例を示す図。
【符号の説明】
20,20−1…ベッド,21…x及びy方向移動装置,又はx,y,z方向移動装置,21’…x,y,z方向移動装置,22…ベッド及び移動装置の支持台,23…高透磁率シート,24…可撓性の樹脂又は接着剤,25…磁性材リボン,26−1,26−2…保持シート,29−1,29−2,29−3,29−4…車輪,29’−1,29’−2,29’−3,29’−4…車輪,30−1…磁場遮蔽装置・ガントリ支持台,30−2…ガントリ,31…ガントリの高さ制御装置,32…ガントリの高さ制御ボックス,35…検査者(医師),36…検査対象(患者),40…磁場遮蔽装置,40−1…磁場遮蔽装置の第1の部分,40−1−1…第1の磁場遮蔽内側円筒,40−1−2…第1の磁場遮蔽外側円筒,40−2…磁場遮蔽装置の第2の部分,40−2−1…第2の磁場遮蔽内側円筒,40−2−2…第2の磁場遮蔽外側円筒,40−3…磁場遮蔽装置の第1の部分,40−3−1…第1の磁場遮蔽内側円筒,40−3−2…第2の磁場遮蔽外側円筒,40−4…磁場遮蔽装置の第2の部分,40−4−1…第2の磁場遮蔽内側円筒,40−4−2…第2の磁場遮蔽外側円筒,40−5…磁場遮蔽装置の第1の部分,40−5−1…第1の磁場遮蔽内側円筒,40−5−2…第2の磁場遮蔽外側円筒,40−6…磁場遮蔽装置の第2の部分,40−6−1…第2の磁場遮蔽内側円筒,40−6−2…第2の磁場遮蔽外側円筒,40−7…磁場遮蔽装置,40−7−1…磁場遮蔽内側円筒,40−7−2…磁場遮蔽外側円筒,41…第1の開口,42…第2の開口,43…第3の開口,44…第4の開口,50,50−1,50−2…クライオスタット,51…データ収集・センサ制御線,52…データ収集処理・センサ制御装置,53…表示装置,54…冷媒供給線又は冷却伝達線,55…冷媒供給装置又は冷却装置,56…冷媒,57…SQUID磁束計,60…磁場遮蔽円筒,60−1…第1の磁場遮蔽円筒,60−2…第2の磁場遮蔽円筒,70,70−1,70−2,70−3…充填剤,80…高透磁率シート支持円筒,82…高透磁率シート層,90−1,90−2…レール,91…車輪,92…磁場遮蔽装置支持台,100,100−1…車輪,101…結合部,103…ベッド移動台,105…ガイド,110…車内の床,111…除振台,112…アンカー,115…結合板,116…移動のための上部結合部,117…床,117−1…傾斜した床,118…車輪,119…移動ガイド溝,120,128…磁場遮蔽円筒支持体,122…椅子,124…ガントリ,126…クライオスタット位置固定ロック,130…磁場遮蔽装置支持体,131…クライオスタット保持板の固定台,132…クライオスタット保持板,140−1,140−2…スペーサ,150−1,150−2…結合板。

Claims (6)

  1. 第1、第2の所定の角度の円周部をもち高透磁率の材料から構成され1軸を同心状に囲み配置される第1、第2の円筒部材により円周方向で2分割して構成され、前記第2の円筒部材の前記1軸の周りの回転により、前記第1の円筒部材と前記第2の円筒部材が前記1軸に平行な両端部で第3の所定の角度で重複し円周方向に閉じた状態が構成され、外来磁場の前記1軸に垂直な方向の成分が遮蔽されることを特徴とする磁場遮蔽装置。
  2. 請求項1に記載の磁場遮蔽装置において、前記1軸は床に水平方向の軸であり、前記第1の円筒部材を前記1軸に垂直に前記床面に固定する手段を有することを特徴とする磁場遮蔽装置。
  3. 請求項1に記載の磁場遮蔽装置において、前記1軸は床に垂直方向の軸であり、前記第1の円筒部材を前記1軸にほぼ平行に前記床面に固定する手段を有することを特徴とする磁場遮蔽装置。
  4. 第1、第2の所定の角度の円周部をもち高透磁率の材料から構成され1軸を同心状に囲み配置される第1、第2の円筒部材により円周方向で2分割して構成され、前記第2の円筒部材の前記1軸の周りの回転により、前記第1の円筒部材と前記第2の円筒部材が前記1軸に平行な両端部で第3の所定の角度で重複し前記円周方向に閉じた状態が構成され、外来磁場の前記1軸に垂直な方向の成分が遮蔽される磁場遮蔽装置と、該磁場遮蔽装置の内部で体軸方向を前記1軸にほぼ平行にして生体を保持する手段と、前記磁場遮蔽装置の内部に配置され複数のSQUID磁束計を低温に保持するクライオスタットとを有し、前記第2の円筒部材の回転により前記第1の円筒部材と前記第2の円筒部材が前記第3の所定の角度で重複し前記円周方向で閉じた状態で、前記複数のSQUID磁束計は前記生体から発する磁場の前記1軸に垂直な方向の成分を検出することを特徴とする生体磁場計測装置。
  5. 請求項4に記載の生体磁場計測装置において、前記1軸は床に水平方向の軸であり、前記第1の円筒部材を前記1軸に垂直に前記床面に固定する手段を有することを特徴とする生体磁場計測装置。
  6. 請求項4に記載の生体磁場計測装置において、前記1軸は床に垂直方向の軸であり、前記第1の円筒部材を前記1軸にほぼ平行に前記床面に固定する手段を有することを特徴とする生体磁場計測装置。
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