JP4015909B2 - 圧電/電歪デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対向する一対の薄板部と、これら薄板部を支持する固定部と、前記一対の薄板部の先端部分に可動部を有するセラミック基体を具備した圧電/電歪デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電/電歪層を用いたアクチュエータ素子やセンサ素子等の圧電/電歪デバイスでは、セラミック基体上に一方の電極層からなる配線パターンを、例えば印刷にて形成し、更にその上に、圧電/電歪層を印刷によって形成した後、焼成にて固着させ、その後、他方の電極層からなる配線パターンを形成するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
そして、配線パターンに対する電気信号の供給により、圧電/電歪層に電界が印加され、その結果、当該圧電/電歪層を変位させるというアクチュエータ素子として使用される他、前記圧電/電歪層に加えられた圧力に応じて発生した電気信号を配線パターンより取り出すセンサ素子として使用することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−320103号公報(図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような圧電/電歪デバイスにおいて、耐衝撃性を高めることができる圧電/電歪デバイスを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る圧電/電歪デバイスは、矩形体である固定部と、前記固定部の一面の相対向する端部に設けられた相対向する一対の矩形板状の薄板部と、前記薄板部の前記固定部が設けられるのと対向する端に、相対向する一対の矩形体状の可動部とを有するセラミック基体を具備し、前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に圧電/電歪素子が形成された圧電/電歪デバイスであって、前記可動部は、前記固定部に対向する端面からそれに対向する先端面にかけて階段状に高さが変化するように段差が形成されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、薄板部と可動部との境界部分での応力集中点を増やし、分散させることで、1箇所に集中する応力を小さくすることができ、耐衝撃性を高めることができる。
【0008】
前記段差の高さは、薄板部の厚みをdとしたとき、該厚みd以下がよく、好ましくはd/2以下である。具体的には2〜100μmの範囲がよく、好ましくは5〜70μmの範囲である。
【0009】
前記段差の前記可動部の前記端面から前記先端面に向かう長さは、d/2以上がよく、具体的には、2μm以上、好ましくは10μm以上、更に好ましくは50μm以上である。
【0010】
また、本発明に係る圧電/電歪デバイスは、矩形体である固定部と、前記固定部の一面の相対向する端部に設けられた相対向する一対の矩形板状の薄板部と、前記薄板部の前記固定部が設けられるのと対向する端に、相対向する一対の矩形体状の可動部とを有するセラミック基体を具備し、前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に圧電/電歪素子が形成された圧電/電歪デバイスであって、前記可動部と前記薄板部との境界部分が湾曲形成されていることを特徴とする。
【0011】
これにより、薄板部と可動部との境界部分での応力集中点をなくすことができ、耐衝撃性を高めることができる。
【0012】
前記湾曲形成された境界部分の曲率半径が5μm以上であるとよく、好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上である。
【0013】
また、本発明に係る圧電/電歪デバイスは、矩形体である固定部と、前記固定部の一面の相対向する端部に設けられた相対向する一対の矩形板状の薄板部と、前記薄板部の前記固定部が設けられるのと対向する端に、相対向する一対の矩形体状の可動部とを有するセラミック基体を具備し、前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に圧電/電歪素子が形成された圧電/電歪デバイスであって、前記可動部と薄板部との境界部分の角度が鈍角に形成されていることを特徴とする。
【0014】
これにより、薄板部と可動部との境界部分での応力集中点を増やし、分散させることで、1箇所に集中する応力を小さくすることができ、耐衝撃性を高めることができる。
【0017】
矩形体である固定部と、前記固定部の一面の相対向する端部に設けられた相対向する一対の矩形板状の薄板部と、前記薄板部の前記固定部が設けられるのと対向する端に、相対向する一対の矩形体状の可動部とを有するセラミック基体を具備し、前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に圧電/電歪素子が形成された圧電/電歪デバイスであって、前記薄板部の外側面のうち、前記可動部と前記薄板部との境界部分に対応する箇所に補強材が形成されていることを特徴とする。
【0018】
これにより、薄板部と可動部との境界部分での強度が大きくなり、耐衝撃性を高めることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る圧電/電歪デバイスの実施の形態例を図1〜図5を参照しながら説明する。
【0021】
この実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10は、圧電/電歪素子により電気的エネルギと機械的エネルギとを相互に変換する素子を包含する概念である。従って、各種アクチュエータや振動子等の能動素子、特に、逆圧電効果や電歪効果による変位を利用した変位素子として最も好適に用いられるほか、加速度センサ素子や衝撃センサ素子等の受動素子としても好適に使用され得る。
【0022】
そして、第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Aは、図1に示すように、相対する一対の薄板部12a及び12bと、これら薄板部12a及び12bを支持する固定部14とが一体に形成されたセラミック基体16を具備し、一対の薄板部12a及び12bの各一部にそれぞれ圧電/電歪素子18a及び18bが形成されて構成されている。
【0023】
つまり、この圧電/電歪デバイス10Aは、前記圧電/電歪素子18a及び18bの駆動によって一対の薄板部12a及び12bが変位し、あるいは薄板部12a及び12bの変位を、圧電/電歪素子18a及び18bにより検出する構成を有する。従って、図1の例では、薄板部12a及び12bと圧電/電歪素子18a及び18bにて機能部19a及び19bが構成されることになる。このことから、一対の薄板部12a及び12bは、固定部14によって振動可能に支持された振動部として機能することになる。
【0024】
更に、一対の薄板部12a及び12bは、各先端部分が内方に向かって肉厚とされ、該肉厚部分は、薄板部12a及び12bの変位動作に伴って変位する可動部20a及び20bとして機能することになる。以下、一対の薄板部12a及び12bの先端部分において互いに内方に突出する前記肉厚部分(突起部としての形状を含む)を可動部20a及び20bと記す。
【0025】
なお、可動部20a及び20bの互いに対向する端面34a及び34b間には、空隙(空気)36を介在させるようにしてもよいし、図示しないが、これら端面34a及び34bの間に可動部20a及び20bの構成部材と同じ材質、あるいは異なる材質からなる複数の部材を介在させるようにしてもよい。この場合、各可動部20a及び20bの互いに対向する端面34a及び34bは、取付面34a及び34bとしても機能することになる。従って、端面34a及び34bを取付面34a及び34bとも記す。
【0026】
セラミック基体16は、例えばセラミックグリーン積層体を焼成により一体化したセラミック積層体で構成されている。これについては後述する。
【0027】
このようなセラミックスの一体化物は、各部の接合部に接着剤が介在しないことから、経時的な状態変化がほとんど生じないため、接合部位の信頼性が高く、かつ、剛性確保に有利な構造であることに加え、後述するセラミックグリーンシート積層法により、容易に製造することが可能である。
【0028】
そして、圧電/電歪素子18a及び18bは、後述のとおり別体として圧電/電歪素子18a及び18bを準備して、セラミック基体16に膜形成法を用いることにより、直接セラミック基体16に形成されることとなる。
【0029】
この圧電/電歪素子18a及び18bは、圧電/電歪層22と前記圧電/電歪層22の両側に形成された一対の電極24及び26とを有して構成され、前記一対の電極24及び26のうち、一方の電極24が少なくとも一対の薄板部12a及び12bの上に形成されている。
【0030】
本実施の形態では、圧電/電歪層22並びに一対の電極24及び26をそれぞれ多層構造としている。即ち、一方の電極24と他方の電極26とを櫛歯状の断面となるようにそれぞれ互い違いに積層し、これら一方の電極24と他方の電極26が圧電/電歪層22を間に挟んで重なりあった結果、多段構成とされた圧電/電歪素子18a及び18bとした多層構造となっている。しかし、このような多層構造に限らず単層構造であってもよい。
【0031】
次に、第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Aの各構成要素について説明する。
【0032】
可動部20a及び20bは、上述したように、薄板部12a及び12bの駆動量に基づいて作動する部分であり、圧電/電歪デバイス10Aの使用目的に応じて種々の部材が取り付けられる。例えば、圧電/電歪デバイス10Aを変位素子として使用する場合であれば、光シャッタの遮蔽板等が取り付けられ、特に、ハードディスクドライブの磁気ヘッドの位置決めや、リンギング抑制機構に使用するのであれば、磁気ヘッド、磁気ヘッドを有するスライダ、スライダを有するサスペンション等の位置決めを必要とする部材が取り付けられる。
【0033】
固定部14は、上述したように、薄板部12a及び12b並びに可動部20a及び20bを支持する部分であり、例えば前記ハードディスクドライブの磁気ヘッドの位置決めに利用する場合には、VCM(ボイスコイルモータ)に取り付けられたキャリッジアーム、前記キャリッジアームに取り付けられた固定プレート又はサスペンション等に固定部14を支持固定することにより、圧電/電歪デバイス10Aの全体が固定される。また、この固定部14には、図1に示すように、圧電/電歪素子18a及び18bを駆動するための接続端子28及び30その他の部材が配置される場合もある。
【0034】
可動部20a及び20b並びに固定部14を構成する材料としては、剛性を有する限りにおいて特に限定されないが、上述したように、セラミックグリーンシート積層法を適用できるセラミックスを好適に用いることができる。
【0035】
具体的には、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニアをはじめとするジルコニア、アルミナ、マグネシア、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化チタンを主成分とする材料等が挙げられる他、これらの混合物を主成分とした材料が挙げられるが、機械的強度や靱性が高い点において、ジルコニア、特に安定化ジルコニアを主成分とする材料と部分安定化ジルコニアを主成分とする材料が好ましい。
【0036】
薄板部12a及び12bは、上述したように、圧電/電歪素子18a及び18bの変位により駆動する部分である。薄板部12a及び12bは、可撓性を有する薄板状の部材であって、表面に配設された圧電/電歪素子18a及び18bの伸縮変位を屈曲変位として増幅して、可動部20a及び20bに伝達する機能を有する。従って、薄板部12a及び12bの形状や材質は、可撓性を有し、屈曲変形によって破損しない程度の機械的強度を有するものであれば足り、可動部20a及び20bの応答性、操作性を考慮して適宜選択することができる。
【0037】
薄板部12a及び12bを構成する材料としては、可動部20a及び20bや固定部14と同様のセラミックスを好適に用いることができ、ジルコニア、中でも安定化ジルコニアを主成分とする材料と部分安定化ジルコニアを主成分とする材料は、薄肉であっても機械的強度が大きいこと、靱性が高いこと、圧電/電歪層22や電極材との反応性が小さいことから最も好適に用いられる。
【0038】
前記安定化ジルコニア並びに部分安定化ジルコニアにおいては、次のように安定化並びに部分安定化されたものが好ましい。即ち、ジルコニアを安定化並びに部分安定化させる化合物としては、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム、酸化カルシウム、及び酸化マグネシウムがあり、少なくともそのうちの1つの化合物を添加、含有させることにより、あるいは1種類の化合物の添加のみならず、それら化合物を組み合わせて添加することによっても、目的とするジルコニアの安定化は可能である。
【0039】
なお、それぞれの化合物の添加量としては、酸化イットリウムや酸化イッテルビウムの場合にあっては、1〜30モル%、好ましくは1.5〜10モル%、酸化セリウムの場合にあっては、6〜50モル%、好ましくは8〜20モル%、酸化カルシウムや酸化マグネシウムの場合にあっては、5〜40モル%、好ましくは5〜20モル%とすることが望ましいが、その中でも特に酸化イットリウムを安定化剤として用いることが好ましく、その場合においては、1.5〜10モル%、更に好ましくは2〜4モル%とすることが望ましい。また、焼結助剤等の添加物としてアルミナ、シリカ、遷移金属酸化物等を0.05〜20wt%の範囲で添加することが可能であるが、圧電/電歪素子18a及び18bの形成手法として、膜形成法による焼成一体化を採用する場合は、アルミナ、マグネシア、遷移金属酸化物等を添加物として添加することも好ましい。
【0040】
なお、機械的強度と安定した結晶相が得られるように、ジルコニアの平均結晶粒子径を0.05〜3μm、好ましくは0.05〜1μmとすることが望ましい。また、上述のように、薄板部12a及び12bについては、可動部20a及び20b並びに固定部14と同様のセラミックスを用いることができるが、好ましくは、実質的に同一の材料を用いて構成することが、接合部分の信頼性、圧電/電歪デバイス10Aの強度、製造の煩雑さの低減を図る上で有利である。
【0041】
圧電/電歪素子18a及び18bは、少なくとも圧電/電歪層22と、該圧電/電歪層22に電界をかけるための一対の電極24及び26を有するものであり、ユニモルフ型、バイモルフ型等の圧電/電歪素子を用いることができるが、薄板部12a及び12bと組み合わせたユニモルフ型の方が、発生する変位量の安定性に優れ、軽量化に有利であるため、このような圧電/電歪デバイス10Aに適している。
【0042】
前記圧電/電歪素子18a及び18bは、図1に示すように、薄板部12a及び12bの側面に形成する方が薄板部12a及び12bをより大きく駆動させることができる点で好ましい。
【0043】
圧電/電歪層22には、圧電セラミックスが好適に用いられるが、電歪セラミックスや強誘電体セラミックス、あるいは反強誘電体セラミックスを用いることも可能である。但し、この圧電/電歪デバイス10Aをハードディスクドライブの磁気ヘッドの位置決め等に用いる場合は、可動部20a及び20bの変位量と駆動電圧、又は出力電圧とのリニアリティが重要とされるため、歪み履歴の小さい圧電材料を用いることが好ましく、抗電界が10kV/mm以下の材料を用いることが好ましい。
【0044】
具体的な圧電材料としては、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、ニオブ酸カリウムナトリウム、タンタル酸ストロンチウムビスマス等の単独、又はこれらの適宜の混合物等を挙げることができる。
【0045】
特に、高い電気機械結合係数と圧電定数を有し、圧電/電歪層22の焼結時における薄板部(セラミックス)12a及び12bとの反応性が小さく、安定した組成のものが得られる点において、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛を主成分とする材料、又はチタン酸ナトリウムビスマスを主成分とする材料が好適に用いられる。
【0046】
更に、前記圧電材料に、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、スズ等の酸化物等を単独で、もしくは混合したセラミックスを用いてもよい。
【0047】
例えば、主成分であるジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛に、ランタンやストロンチウムを含有させることにより、抗電界や圧電特性を調整可能となる等の利点を得られる場合がある。
【0048】
なお、シリカ等のガラス化し易い材料の添加は、圧電/電歪体に対して2重量%以下とすることが望ましい。2重量%以上添加すると、シリカ等の焼結助剤となる材料は、圧電/電歪層22の熱処理時に、圧電/電歪材料と反応し易く、その組成を変動させ、圧電特性を劣化させるからである。一方、適量のシリカの添加は、圧電/電歪体の焼結性を改善する効果がある。
【0049】
一方、圧電/電歪素子18a及び18bの一対の電極24及び26は、室温で固体であり、導電性に優れた金属で構成されていることが好ましく、例えばアルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛等の金属単体、もしくはこれらの合金が用いられ、更に、これらに圧電/電歪層22あるいは薄板部12a及び12bと同じ材料を分散させたサーメット材料を用いてもよい。
【0050】
圧電/電歪素子18a及び18bにおける電極24及び26の材料選定は、圧電/電歪層22の形成方法に依存して決定される。例えば薄板部12a及び12b上に一方の電極24を形成した後、前記電極24上に圧電/電歪層22を焼成により形成する場合は、一方の電極24には、圧電/電歪層22の焼成温度においても変化しない白金、パラジウム、白金−パラジウム合金、銀−パラジウム合金等の高融点金属を使用する必要があるが、圧電/電歪層22を形成した後に、前記圧電/電歪層22上に形成される最外層の電極は、低温で電極形成を行うことができるため、アルミニウム、金、銀等の低融点金属を主成分として使用することができる。
【0051】
また、電極24及び26の厚みは、少なからず圧電/電歪素子18a及び18bの変位を低下させる要因ともなるため、特に圧電/電歪層22の焼成後に形成される電極には、焼成後に緻密でより薄い膜が得られる有機金属ペースト、例えば金レジネートペースト、白金レジネートペースト、銀レジネートペースト等の材料を用いることが好ましい。
【0052】
そして、この第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Aは、超音波センサや加速度センサ、角速度センサや衝撃センサ、質量センサ等の各種センサに好適に利用でき、端面34a及び34bないし薄板部12a及び12b間に取り付けられる物体のサイズを適宜調整することにより、センサの感度調整が容易に行えるという更なる利点がある。
【0053】
また、薄板部12a及び12bの表面に圧電/電歪素子18a及び18bを形成する方法として、上述したスクリーン印刷法のほかに、ディッピング法、塗布法、電気泳動法等の厚膜形成法や、イオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相成長法(CVD)、めっき等の薄膜形成法を用いることができる。
【0054】
このような膜形成法を用いて圧電/電歪素子18a及び18bを形成することにより、接着剤を用いることなく、圧電/電歪素子18a及び18bと薄板部12a及び12bとを一体的に接合、配設することができ、信頼性、再現性を確保できると共に、集積化を容易にすることができる。
【0055】
この場合、厚膜形成法により圧電/電歪素子18a及び18bを形成することが好ましい。特に、圧電/電歪層22の形成において厚膜形成法を用いれば、平均粒径0.01〜5μm、好ましくは0.05〜3μmの圧電セラミックスの粒子、粉末を主成分とするペーストやスラリー、又はサスペンションやエマルジョン、ゾル等を用いて膜化することができ、それを焼成することによって良好な圧電/電歪特性を得ることができるからである。
【0056】
なお、電気泳動法は、膜を高い密度で、かつ、高い形状精度で形成できるという利点がある。また、スクリーン印刷法は、膜形成とパターン形成とを同時に行うことができるため、製造工程の簡略化に有利である。
【0057】
そして、第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Aは、図1及び図2に示すように、可動部20a及び20bのうち、固定部14に対向する部分が階段状に形成されて、各取付面34a及び34bに段差210が設けられている。また、固定部14の内壁のうち、薄板部12a及び12b近傍にそれぞれ切込み(切欠き)212が形成され、更に、切込み212の内壁のうち、薄板部12a及び12b側の内壁に段差214が設けられている。なお、可動部の取付面34a及び34bは、該圧電/電歪デバイス10Aの使用目的に応じて部品を取り付ける部分である。
【0058】
このような構成により、薄板部12a及び12bと可動部20a及び20bとの境界部分並びに薄板部12a及び12bと固定部14との境界部分での応力を分散させることで、1箇所に集中する応力を小さくすることができ、耐衝撃性を高めることができる。
【0059】
そして、段差210及び214の数としてはそれぞれ1以上が好ましい。また、図2において、段差210及び214の高さHは薄板部12a及び12bの厚みd以下がよく、好ましくはd/2以下である。具体的には2μm〜100μmの範囲がよく、好ましくは5μm〜70μmの範囲である。
【0060】
また、図2において、段差210の長さLは、d/2以上がよく、具体的には、2μm以上、好ましくは10μm以上、更に好ましくは50μm以上である。長さLが長すぎると変位の低下が引き起こされるが、逆に共振周波数が高くなる傾向にある。
【0061】
上述のような段差210及び214を有する圧電/電歪デバイス10Aを作製するには、セラミックグリーン積層体を焼成してセラミック基体16を作製する、あるいはグリーンシートに部分印刷でパターンを形成し、その後、グリーンシートを積層してセラミックグリーン積層体を作製し、該セラミックグリーン積層体を焼成することによってセラミック基体16を作製するという方法が好ましく採用される。
【0062】
次に、第2の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Bは、図3に示すように、上述した第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Aとほぼ同様の構成を有するが、可動部20a及び20bと薄板部12a及び12bとの境界部分216が湾曲形成されている点と、固定部14と薄板部12a及び12b間に設けられた切込み(切欠き)212のうち、該切込み212の薄板部12a及び12b側の内壁と切込み212の底部との境界部分218が湾曲形成されている点で異なる。
【0063】
この構成により、薄板部12a及び12bと可動部20a及び20bとの境界部分216並びに薄板部12a及び12bと固定部14との境界部分218で応力を分散することができ、耐衝撃性を高めることができる。
【0064】
そして、湾曲部分(境界部分216及び218)の曲率半径Rは5μm以上であるとよく、好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上である。
【0065】
上述のような湾曲部分216及び218を有する圧電/電歪デバイス10Bを作製するには、ペーストの塗布を利用する。即ち、グリーンシートを積層した状態で角部(後に湾曲部分216及び218となる部分)にセラミック材料のペーストを塗布あるいはディップすることで、該ペーストが表面張力によって湾曲形状になることを利用して、上述の湾曲部分216及び218を形成する。その後、グリーンシートを積層してセラミックグリーン積層体を作製し、焼成することにより、図3に示すように、湾曲部分216及び218を有するセラミック基体16を得ることができる。
【0066】
他の方法としては、まず、セラミック基体16を作製した後、あるいはその途中工程で、湾曲部分216及び218とすべき部分に樹脂やガラスあるいは金属のペースト等を注入して、角部を湾曲形成するようにしてもよい。
【0067】
次に、第3の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Cは、図4に示すように、上述した第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Aとほぼ同様の構成を有するが、可動部20a及び20bと薄板部12a及び12bとの境界部分216の角度θが鈍角に形成されている点と、固定部14と薄板部12a及び12b間に設けられた切込み(切欠き)212のうち、該切込み212の薄板部12a及び12b側の内壁と切込み212の底部との境界部分218の角度が鈍角に形成されている点で異なる。
【0068】
そして、前記境界部分216及び218の角度は90°よりも大であるとよく、好ましくは135°以上である。
【0069】
この構成により、第1の実施の形態と同様に、薄板部12a及び12bと可動部20a及び20bとの境界部分216並びに薄板部12a及び12bと固定部14との境界部分218での応力集中点を増やし、分散させることで、1箇所に集中する応力を小さくすることができ、耐衝撃性を高めることができる。
【0070】
この第3の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Cを作製するには、薄板部12a及び12bとなるグリーンシートにペーストをパターン印刷し、該印刷されたペーストによるパターンの端部がテーパ状になることを利用する。
【0071】
つまり、前記パターンのテーパ部分が前記境界部分216及び218となるように、グリーンシートを積層してセラミックグリーン積層体とし、焼成してセラミック基体16を作製する。これにより、セラミック基体16における前記境界部分216及び218の角度が鈍角として形成されることとなる。
【0072】
前記角度の制御は、ペーストの粘性や印刷条件で調整するか、長さの異なる複数のグリーンシートを重ねることで実現させることができる。また、ペーストは、セラミック基体16の材料と同じ材質のセラミック材料でもよいし、他のセラミック材料や高融点金属あるいはサーメットでもよい。
【0073】
また、図4に示すように、この第3の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Cにおいては、可動部20a及び20bの先端面222が薄板部12a及び12bの先端面224よりも固定部14寄りに位置している。そのため、部品を取付面34a及び34b間に挟むように取り付ける際に、前記可動部20a及び20bは、取り付けに使用する接着剤の量(厚み)と位置(接着面積)を規定するための機能を果たすこととなる。また、薄板部12a及び12bと部品との間に介在して該部品を接着する接着剤の部分も可動部として作用することになり、該接着剤と部品との境界面も可動部の取付面として機能することになる。
【0074】
次に、第4の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Dは、図5に示すように、上述した第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10Aとほぼ同様の構成を有するが、薄板部12a及び12bのうち、可動部20a及び20bと薄板部12a及び12bとの境界部分216の厚みが厚くなっている点で異なる。
【0075】
前記境界部分216の厚みを厚くする手法としては、薄板部12a及び12bの側面のうち、前記境界部分216に対応する箇所に補強材220を形成することが好ましく採用される。具体的には、セラミック基体16とした後に、例えばスクリーン印刷で補強材220のペーストを印刷し、焼成するか、あるいは、積層したセラミックグリーン積層体の所定位置に補強材220のペーストを印刷し、その後、焼成してセラミック基体16としてもよい。
【0076】
補強材220は、セラミック基体16と同じセラミック材料でもよいが、他のセラミック材料、金属やガラスあるいは樹脂でもよい。
【0077】
上述した圧電/電歪デバイス10A〜10Dによれば、各種トランスデューサ、各種アクチュエータ、周波数領域機能部品(フィルタ)、トランス、通信用や動力用の振動子や共振子、発振子、ディスクリミネータ等の能動素子のほか、超音波センサや加速度センサ、角速度センサや衝撃センサ、質量センサ等の各種センサ用のセンサ素子として利用することができ、特に、光学機器、精密機器等の各種精密部品等の変位や位置決め調整、角度調整の機構に用いられる各種アクチュエータに好適に利用することができる。
【0078】
なお、この発明に係る圧電/電歪デバイスは、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る圧電/電歪デバイスによれば、耐衝撃性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスの構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスを示す正面図である。
【図3】第2の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスを示す正面図である。
【図4】第3の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスを示す正面図である。
【図5】第4の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスを示す正面図である。
【符号の説明】
10A〜10D…圧電/電歪デバイス
12a、12b…薄板部 14…固定部
16…セラミック基体 18a、18b…圧電/電歪素子
20a、20b…可動部 22…圧電/電歪層
24…一方の電極 26…他方の電極
210、214…段差 216、218…境界部分
220…補強材 222、224…先端面
Claims (10)
- 矩形体である固定部と、前記固定部の一面の相対向する端部に設けられた相対向する一対の矩形板状の薄板部と、前記薄板部の前記固定部が設けられるのと対向する端に、相対向する一対の矩形体状の可動部とを有するセラミック基体を具備し、
前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に圧電/電歪素子が形成された圧電/電歪デバイスであって、
前記可動部は、前記固定部に対向する端面からそれに対向する先端面にかけて階段状に高さが変化するように段差が形成されていることを特徴とする圧電/電歪デバイス。 - 請求項1記載の圧電/電歪デバイスにおいて、
前記段差の高さは、薄板部の厚み以下であることを特徴とする圧電/電歪デバイス。 - 請求項2記載の圧電/電歪デバイスにおいて、
前記段差の高さは、薄板部の厚みをdとしたとき、d/2以下であることを特徴とする圧電/電歪デバイス。 - 請求項2記載の圧電/電歪デバイスにおいて、
前記段差の高さは、2〜100μmであることを特徴とする圧電/電歪デバイス。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電/電歪デバイスにおいて、
前記段差の前記可動部の前記端面から前記先端面に向かう長さは、薄板部の厚みをdとしたとき、d/2以上であることを特徴とする圧電/電歪デバイス。 - 請求項5記載の圧電/電歪デバイスにおいて、
前記段差の前記長さは、2μm以上であることを特徴とする圧電/電歪デバイス。 - 矩形体である固定部と、前記固定部の一面の相対向する端部に設けられた相対向する一対の矩形板状の薄板部と、前記薄板部の前記固定部が設けられるのと対向する端に、相対向する一対の矩形体状の可動部とを有するセラミック基体を具備し、
前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に圧電/電歪素子が形成された圧電/電歪デバイスであって、
前記可動部と前記薄板部との境界部分が湾曲形成されていることを特徴とする圧電/電歪デバイス。 - 請求項7記載の圧電/電歪デバイスにおいて、
前記湾曲形成された境界部分の曲率半径が5μm以上であることを特徴とする圧電/電歪デバイス。 - 矩形体である固定部と、前記固定部の一面の相対向する端部に設けられた相対向する一対の矩形板状の薄板部と、前記薄板部の前記固定部が設けられるのと対向する端に、相対向する一対の矩形体状の可動部とを有するセラミック基体を具備し、
前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に圧電/電歪素子が形成された圧電/電歪デバイスであって、
前記可動部と薄板部との境界部分の角度が鈍角に形成されていることを特徴とする圧電/電歪デバイス。 - 矩形体である固定部と、前記固定部の一面の相対向する端部に設けられた相対向する一対の矩形板状の薄板部と、前記薄板部の前記固定部が設けられるのと対向する端に、相対向する一対の矩形体状の可動部とを有するセラミック基体を具備し、
前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に圧電/電歪素子が形成された圧電/電歪デバイスであって、
前記薄板部の外側面のうち、前記可動部と前記薄板部との境界部分に対応する箇所に補強材が形成されていることを特徴とする圧電/電歪デバイス。
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