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JP4016438B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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JP4016438B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非水電解質二次電池に関し、特に負極集電体の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラやラジオカセット等のポータブル機器の普及に伴い、使い捨てである一次電池に代わって繰り返し使用できる二次電池に対する需要が高まっている。
【0003】
現在使用されている二次電池の殆どは、アルカリ電解液を用いたニッケルカドミウム電池である。しかし、この電池は、電圧が約1.2Vであるのでエネルギー密度を向上させることが困難である。また、常温での自己放電率が1ケ月で20%以上と高いという欠点もある。
【0004】
一方、電解液に非水溶媒を使用し、また、負極にリチウム等の軽金属を使用した非水電解質二次電池が提案されている。この非水電解質二次電池は、電圧が3V以上と高いため高エネルギー密度が得られ、しかも自己放電率も低く抑えられる。
【0005】
しかし、この非水電解質二次電池では、充放電の進行に伴って負極の金属リチウム等がデンドライト状に結晶成長して終には正極と接触し、この結果、電池内部において短絡が生じる。このため、短寿命であり実用化が困難である。
【0006】
このため、リチウム等を他の金属と合金化し、この合金を負極に使用するようにした非水電解質二次電池も検討されている。しかし、この場合には、この負極に用いた合金が充放電を繰り返すことにより微細粒子となり、やはり短寿命である。このため、実用化も難しいと言える。
【0007】
そこで、特開昭62−90863号公報等に開示されているように、コークス等の炭素質材料を負極活物質として使用する非水電解質二次電池が提案されている。この非水電解質二次電池は、炭素質材料の炭素層間あるいは微細孔へのリチウムイオンのドープ・脱ドープを電池反応に利用するものであり、リチウムのデンドライト状の結晶成長や負極の微細化といった問題が生じず、長サイクル寿命を得ることができる。特に、正極活物質として、特開昭63−135099号公報において提案されているようなLixMO2(但し、Mは1種類または1種類よりも多い遷移金属を表し、xは0.05<x<1.10である)を用いると、電池寿命がより一層向上し、エネルギー密度も向上する。
【0008】
しかしながら、この炭素質材料を負極活物質として使用する非水電解質二次電池は、金属リチウム等を負極活物質として用いる場合に比べると、サイクル寿命、安全性には優れるものの、エネルギー密度において幾分劣るという欠点がある。
【0009】
エネルギー密度が劣る原因の一つとして、粉末状の炭素質材料を結着するためのバインダーの使用が挙げられる。
【0010】
すなわち、粉末状の炭素質材料で電極を構成するには、炭素質材料の粉末同士、あるいは粉末と集電体を結着させるためのバインダーを10〜20%程度添加する必要がある。このバインダーは、固形有機物からなるものであり、サイクル寿命や安全性を確保する上では必須であるが、電池の充放電には直接寄与しない。そのため、このバインダーの添加分だけ電池容量が減少する。
【0011】
かかる問題点を改善する方法として、例えば特開平6−150908号公報、特開平7−288126号公報等に開示されているように、バインダーを用いる代わりに、加熱によって炭素化し、充放電に対して可逆性を有するようになる固形有機物または各種ピッチ類を活物質保持剤として用いることが提案されている。
【0012】
この場合、負極を作製するには、負極活物質となる炭素質材料と、固形有機物または各種ピッチ類、及び溶剤よりなる負極合剤を、金属集電体の両側に塗布した後、加熱する。この加熱過程で、負極合剤中の固形有機物または各種ピッチ類は炭素化し、焼結する。この炭素化した固形有機物は、負極炭素質材料を結着する働きを有するとともに、それ自体、充放電に対して可逆性を有し、電池容量に寄与する。さらに、この炭素化した固形有機物は負極炭素質材料粒子間を三次元的に集電する役目を果たす。したがって、このような焼結複合体では、結着剤の分が容量損にならず、また強度も大きく、電池に高エネルギー密度を付与することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして固形有機物あるいは各種ピッチ類を用いた負極複合焼結体では次のような問題が生じている。
【0014】
まず、この負極複合焼結体では、加熱過程で固形有機物あるいは各種ピッチ類が炭素化するが、この炭素化の際に、これら炭素層が収縮しようとする。しかし、炭素層の間には金属集電体が介在していることから、この金属集電体が炭素層の均一な収縮を阻害し、その結果、炭素層がひび割れてしまったり、集電体から炭素層が剥離するといった問題が生じる。
【0015】
このようにひび割れた負極を、そのまま電池に用いると、ひび割れ部分にリチウムが析出し、デンドライト状に結晶成長して内部短絡を引き起こす可能性がある。また、部分的に炭素焼結層が剥離している場合には、均一に集電を行うことができず、電池性能が不安定になる。
【0016】
特に、この炭素層はバインダーを含まないことから柔軟性に乏しい。このため、充放電に際しても、それに伴った当該炭素層の膨張・収縮が集電体によって阻害されることによって、電極がひび割れたり、炭素層と集電体の密着性が低下し、炭素層が集電体から剥離してしまう。
【0017】
そこで、本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、負極複合焼結体において、炭素層のひび割れや剥離を防止し、高エネルギー密度を有し、安定な電池特性が得られる非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明の非水電解質二次電池は、負極と、正極及び非水電解液を有してなる非水電解質二次電池であって、上記負極は、炭素焼結体がエキスパンドメタルに保持されてなる複合焼結体よりなり、エキスパンドメタルを構成する板材の厚さをT(mm)、メッシュ長目方向中心距離をLW(mm)、メッシュ短目方向中心距離をSW(mm)、メッシュ長目方向最大目開きをa(mm)、メッシュ短目方向最大目開きをb(mm)としたときに、
0.05mm≦T<0.20mm
1.0≦(LW/SW)≦3.0
0.5mm2≦(LW×SW)≦12.5mm2
0.43≦(a×b)/(SW×LW)≦0.90
なる条件を満たすことを特徴とするものである。
【0019】
すなわち、この非水電解質二次電池では、負極複合焼結体の集電体としてエキスパンドメタルを使用する。このエキスパンドメタルは、柔軟であるため、焼結過程で生じる炭素層の収縮や充放電に伴った炭素層の膨張・収縮に追従して変形することができる。特に、T,LW,SW,a,bが所定の条件を満たしていると、この炭素層の膨張・収縮に追従して集電体が良好な変形性を示すとともに、集電体としての強度も確保され、また炭素層の活物質としての利用効率も充分なものになる。
【0020】
したがって、このようなエキスパンドメタルを集電体とする複合焼結体では、炭素層にひび割れや剥離が生じず、安定な負極性能を発揮する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の非水電解質二次電池の実施の形態について説明する。
【0022】
本発明が適用される非水電解質二次電池は、炭素質材料を負極の活物質として用いるものであり、この負極は炭素焼結体がエキスパンドメタルに保持されてなる複合焼結体として構成されている。
【0023】
上記エキスパンドメタルは負極の集電体となるものである。このエキスパンドメタルは、金属板に多数の切り込みが入れられ、その金属板が両方向に引き延ばされることで得られるものであり、図1に示すように略ひし形状の多数の目開き20を有して網目が形成されている。なお、図1のエキスパンドメタルを図中D−D′線で切断した断面図を図2に示す。
【0024】
本発明では、この集電体となるエキスパンドメタルについて、当該エキスパンドメタルを構成する板材の厚さをT(mm)、メッシュ長目方向中心距離をLW(mm)、メッシュ短目方向中心距離をSW(mm)、メッシュ長目方向最大目開きをa(mm)、メッシュ短目方向最大目開きをb(mm)としたときに、以下の条件を満たすようにする。
【0025】
0.05mm≦T≦0.15mm
1.0≦(LW/SW)≦3.0
0.5mm≦(LW×SW)≦12.5mm
0.43≦(a×b)/(SW×LW)≦0.90
なお、このうちメッシュ長目方向中心距離LWとメッシュ短目方向中心距離SWは、このエキスパンドメタルの目開き周りを構成している板材21の対角線の長さであり、前者はいずれか長い方の対角線、後者はいずれか短い方の対角線の長さに相当する。また、メッシュ長目方向最大目開きaとメッシュ短目方向最大目開きbは、目開き20自体の対角線の長さであり、前者はいずれか長い方の対角線、後者はいずれか短い方の対角線の長さに相当する。
【0026】
このように集電体としてエキスパンドメタルを用いるとともに、その厚さTやメッシュ長目方向の中心距離LW、メッシュ短目方向の中心距離SW、メッシュ長目方向の最大目開きa、メッシュ短目方向の最大目開きbを規制するのは、焼結に際する炭素層の収縮あるいは充放電に伴う炭素層の膨張・収縮に集電体の変形が追従できるようにし、炭素層の膨張・収縮を集電体が妨げることによる炭素層のひび割れや剥離を防止する目的からである。
【0027】
すなわち、メッシュ長目方向の中心距離LWとメッシュ短目方向の中心距離SWの比LW/SWは、1.0〜3.0の範囲とされる。LW/SWが3を上回る場合にはメッシュの形状変化に異方性が現れ、炭素層の焼結に際する収縮あるいは充放電に伴う炭素層の膨張・収縮に、エキスパンドメタルの変形が充分に追従できなくなる。これにより、炭素層にひび割れが生じたり、炭素層が剥離したりする。
【0028】
メッシュ長目方向中心距離LWとメッシュ短目方向中心距離SWの積LW×SWは0.5〜12.5mmであることが必要である。LW×SWが0.5mmよりも小さいと目開きが細かくなり過ぎ、焼結に際する炭素層の収縮あるいは充放電に伴う炭素層の膨張・収縮に、エキスパンドメタルの変形が追従できなくなる。また、LW×SWが12.5mm超える場合には、目開きが大きくなり過ぎ、目開き中心部の活物質利用率が低くなる。
【0029】
(a×b)/(SW×LW)の範囲は0.43〜0.90である。(a×b)/(SW×LW)が0.43未満であると、メッシュ自体の太さが太くなることから、エキスパンドメタルの両側に形成された炭素層同士の接合面積が小さくなり、結着が弱くなる。その結果、負極の焼結に際する収縮あるいは充放電に伴う負極の膨張・収縮によって炭素層が剥離する。また、(a×b)/(SW×LW)が0.90より大きい場合には、メッシュ自体の太さが細くなり、強度が不足する。このため、炭素層の膨張・収縮によってメッシュに破断が生じ、電池特性が不安定になる。なお、電池容量を高める点から、この(a×b)/(SW×LW).は0.6以上であるのが望ましい。
【0030】
エキスパンドメタルの厚みTは、0.05mm以上0.15mm以下とされる。厚みTが0.05mm未満であると、メッシュ強度が小さくなり、成形時の圧力や炭素層の焼結に際する収縮あるいは充放電に伴う炭素層の膨張・収縮によってメッシュが破断し、電池特性が不安定になる。また、厚みTが0.15mmを超えると、メッシュ強度が大き過ぎ、炭素層の焼結に際する収縮、充放電に伴った炭素層の膨張・収縮にエキスパンドメタルの変形が追従できなくなる。
【0031】
なお、このエキスパンドメタルの材質としては、銅、ニッケルあるいは鉄等のようなリチウムと合金化しない金属が用いられ、電池内部抵抗を低くでき、しかも融点が高いという点から銅またはニッケルを用いるのが望ましい。
【0032】
一方、炭素層の材料には、焼結によって炭素化する材料が単独で、あるいは焼結によって炭素化する材料と炭素質材料を混合した混合物、焼結によって炭素化する材料と有機高分子材料を混合した混合物、炭素質材料と有機高分子材料を混合した混合物、さらには焼結によって炭素化する材料と炭素質材料及び有機高分子材料を混合した混合物が用いられる。
【0033】
焼結によって炭素化する材料としては、石油ピッチ、バインダーピッチ、高分子樹脂、グリーンコークス等のような樹脂分をある程度含んだものが適している。これらの材料は単独で使用しても、炭素質材料と混合して使用しても良い。これらの材料と混合する炭素質材料としては、完全に炭素化した黒鉛、熱分解炭素類、コークス類(石油コークス、ピッチコークス等)、カーボンブラック(アセチレンブラックなど)、ガラス状炭素、有機高分子焼成体(有機高分子材料を不活性ガス気流中または真空中で500℃以上の適当な温度で焼成したもの)あるいは炭素繊維等が挙げられる。また、これらの炭素質材料に、例えばフラン樹脂、ジビニルベンゼン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン等を混合した混合物を炭素層の材料として用いるようにしても良い。
【0034】
さらに、メソフェーズカーボン粉末を用いることも可能である。この場合、メソフェーズカーボン粉末を300℃程度の低温で熱処理したものと、メソフェーズカーボンを300℃程度で熱処理した後、900℃程度の高温で処理することによってコークス状としたものの混合物が上記炭素層の材料として用いられる。
【0035】
これらの材料によって炭素層を形成するには、(1)これらの材料粉体を溶剤に分散させて分散液を調製し、この分散液をエキスパンドメタルに塗布、圧縮成形した後、焼結させる方法、あるいは(2)これらの材料粉体を造粒し、エキスパンドメタルとともに圧縮成形した後、焼結させる方法等が用いられる。なお、(2)の方法において、造粒は溶剤を用いる湿式造粒であっても溶剤を用いない乾式造粒であっても構わない。また、湿式造粒においては、造粒物を完全に乾燥させて用いても良く、半乾燥状態あるいは乾燥を施さない状態で用いても差し支えない。
【0036】
このような材料よりなる複合焼結体は、それ自体の厚さが0.2〜1.5mmであることが望ましい。複合焼結体の厚さが0.2mmを下回る場合には、電極強度が充分に得られず、電池組立時や炭素層の焼結に際する収縮あるいは充放電に伴う炭素層の膨張・収縮によって炭素層にひび割れが生じる。また、複合焼結体の厚さが1.5mmを超えた場合では、電池内部抵抗が増大してしまう。
【0037】
本発明では、以上のような複合焼結体が負極に用いられるが、正極や非水電解液としては、この種の非水電解質二次電池で通常用いられているものがいずれも使用可能である。
【0038】
まず、正極の活物質としては、例えばLixMO2(但し、Mは1種類以上の遷移金属を表し、好ましくはCoまたはNi、Feである。また、xは0.05≦x≦1.10である。)で表される複合酸化物が用いられる。かかる活物質としては、具体的にはLiCoO2、LiNiO2、LiNiyCo(1-y)2(但し、xは0.05≦x≦1.10であり、yは0<y<1である。)で表される複合酸化物やLiMn24等が挙げられる。
【0039】
これらの複合酸化物は、例えばリチウム、コバルト、ニッケル等の炭酸塩を目的合成物の組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気下600℃〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得られる。なお、出発原料は炭酸塩に限定されず、水酸化物、酸化物からも同様に合成することができる。
【0040】
非水電解液は、有機溶剤に電解質としてリチウム塩が溶解されたものが用いられる。
【0041】
有機溶剤としては、プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート,γ−ブチロラクトン等のエステル類や、ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,置換テトラヒドロフラン,ジオキソラン,ピラン及びその誘導体,ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエーテル類や、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の3置換−2−オキサゾリジノン、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で使用しても2種類以上混合して使用しても構わない。
【0042】
また、電解質としては、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、リンフッ化リチウム、塩化アルミン酸リチウム、ハロゲン化リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等が使用される。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を適用した実施例ついて実験結果に基づいて説明する。
【0044】
実施例1
本発明で作製した角型電池を図3に示す。このような角型電池を次のようにして作製した。
【0045】
まず、正極7を以下のようにして作製した。
【0046】
正極活物質(LiCoO2)を合成するために、炭酸リチウムと炭酸コバルトをLi/Co(モル比)=1となるように混合し、空気中、温度900℃で5時間焼成した。得られた生成物についてX線回折測定を行った結果、JCPDSカードのLiCoO2とよく一致していた。このLiCoO2を自動乳鉢を用いて粉砕した。なお、このLiCoO2粉末の平均粒径は、10μmであった。
【0047】
次に、このLiCoO2の91重量部と、導電剤となるケッチェンブラック3重量部、結着材となるポリフッ化ビニリデン2.5重量部とを混合し、これにジメチルホルムアミドを分散剤として加えることによって正極合剤スラリーを調製した。そして、この正極合剤スラリーを、有機溶剤用スプレードライヤー(坂本技研社製)によって粉霧しながら150℃の熱風にて乾燥し、平均粒径約100μmの略真球状のパウダーを作製した。そして、この正極合剤パウダーをアルミニウムメッシュ(正極集電体)とともに角型形状に成形することによって、39.5mm×31.0mmの短冊状の正極7を作製した。なお、この正極7の正極合剤層の体積密度dは3.1g/mlである。
【0048】
次に、負極複合焼結体5を次のようにして作製した。
低膨張性のメソフェーズカーボン粉体の250メッシュアンダー品[大阪化成社製、商品名LEC−1(固定炭素:88.5%、石炭の熱膨張試験に用いられるディラトメータによる全膨張率:0%)]を、酸化雰囲気中(空気中)、温度300℃で1時間熱処理を行うことで平均粒径20ミクロンの粉末を得た。これを炭素粉末Aとする。
【0049】
さらに、同じメソフェーズカーボン粉体を、酸化雰囲気中(空気中)、温度300℃で1時間熱処理を行った後、窒素ガス雰囲気中、温度900℃の温度で3時間焼成し、コークス状とした。このコークスを粉砕し、平均粒径20μmの粉末を得た。これを炭素粉末Bとする。
【0050】
次に、この炭素粉末Aと炭素粉末Bを、70:30(重量比)で混合し、この炭素混合粉末に、バインダーとなるポリビニルアルコール(分子量500)と水を加え、混練することで負極合剤を調製した。そして、この負極合剤について、メッシュを用いて150μm以上250μm以下の粒径に造粒及び粒度調整した。
【0051】
この造粒品を負極集電体となる銅メッシュ(エキスパンドメタル)とともに、1〜5ton/cm2で角型形状に加圧成形した。そして、このメッシュ一体化電極体を、平滑な炭素板で挟み込み、不活性ガス雰囲気中、温度1000℃で3時間熱処理することで39.5mm×31.0mmの負極複合焼結体を作製した。なお、炭素混合粉末に混合したポリビニルアルコールはこの熱処理過程で揮発除去される。また、集電体として用いた銅メッシュの形状は以下の通りである。
【0052】
板材の厚みT:0.05mm
メッシュ長目方向中心距離LW:1.50mm
メッシュ短目方向中心距離SW:0.75mm
メッシュ長目方向最大目開きa:1.35mm
メッシュ短目方向最大目開きb:0.60mm
【0053】
作製された負極複合焼結体5において、炭素層は体積密度が1.25g/mlであり、真比重が1.75g/mlであった。
【0054】
以上のようにして作製された負極複合焼結体5枚と正極4枚とを、30μmの微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを間に挟んで、交互に積層した。なお、この場合、外側は負極複合焼結体であり、この外側の2枚の負極複合焼結体の厚みは0.38mmに、それ以外の負極複合焼結体の厚みは0.76mmとした。そして、幅40mmの粘着テープ9により終端部を固定することで電極積層体素子を作製した。
【0055】
次に、ニッケルメッキを施した鉄製の電池缶10に、スプリング板12とともに、上記電極積層体素子を収納し、素子体上下両面に絶縁板11を配置した。そして、負極の集電をとるために銅製の負極リード13の一端を電極に圧着し、他端部を集電板15を介して電池缶10に溶接した。また、正極の集電を取るためにアルミニウム製の正極リード4の一端をアルミニウム製サブリード14を介して正極端子3にとりつけ、他端を電池内圧に応じて電流を遮断し、かつ開裂弁を有する安全装置を内装する電池蓋1にレーザ溶接した。
【0056】
次いで、この電池缶10の中にプロピレンカーボネート50容量%とジエチルカーボネート50容量%混合溶媒中にLiPF6を1mol溶解させた電解液を注入した。そして、レーザにより電池蓋1を溶接し厚み8mm高さ48mm幅34mmの角型電池を作製した。
【0057】
実施例2,実施例3
負極集電体として用いる銅メッシュの厚さTを表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして角型電池を作製した。
【0058】
比較例1〜比較例3
負極集電体として用いる銅メッシュの厚さTを表1に示すように変えたこと、すなわちTを所定範囲外としたこと以外は実施例1と同様にして角型電池を作製した。
【0059】
以上のようにして作製された電池について、電池内部抵抗、放電容量、容量維持率及び充放電サイクル後の電極外観の変化について調べた。なお、電池容量、容量維持率、電池外観の評価方法は以下の通りである。
【0060】
放電容量:
充電電流400mAで2.5Vから終止電圧4.25Vの範囲で定電流充電を行った後、放電電流200mAあるいは400mAで終止電圧2.5Vまで定電流放電を行った。この放電電流200mA条件、放電電流400mA条件のそれぞれで放電容量を測定した。
【0061】
充放電サイクル:
充電電流400mAで2.5Vから終止電圧4.25Vの範囲で定電流充電を行った後、放電電流200mAで終止電圧2.5Vまで定電流放電を行うといった充放電サイクルを50回繰り返し行い、初期容量に対する50サイクル目の放電容量の割合(容量維持率)を測定した。
【0062】
電極外観:
焼結直後に負極複合焼結体の外観を観察するとともに、充放電サイクルを50サイクル繰り返した後に電池を解体し、負極複合焼結体の外観を観察した。
【0063】
以上の評価結果を表1,表2に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0004016438
【0065】
【表2】
Figure 0004016438
【0066】
表1、表2を見てわかるように、負極集電体となる銅メッシュの厚さTを0.05mm以上0.20mm未満とした実施例1〜実施例3の電池では、焼結直後そして充放電50サイクル後においても負極が良好な形状を維持しており、良好な電池特性が得られている。
【0067】
これに対して、銅メッシュの厚みTが0.05mm未満の場合(比較例1)には、銅メッシュの強度が小さく、成形時の圧力や焼結に際する炭素層の収縮、さらには充放電に伴う炭素層の膨張・収縮によって、この銅メッシュに破断が生じる。そのため、電池特性も不安定になる。
【0068】
また、銅メッシュの厚みTが0.2mm以上の場合(比較例2,比較例3)では、銅メッシュの強度が大き過ぎ、焼結に際する炭素層の収縮や充放電に伴う炭素層の膨張・収縮に銅メッシュの形状変化が追従できない。このため、炭素層の収縮が銅メッシュによって妨げられ、炭素層にひび割れや剥離が発生してしまう。このようにひび割れた負極をそのまま組み込んだ電池では、充放電の繰り返しによって負極のひび割れ部分にリチウムが析出し、デンドライト状に成長することによって内部短絡を生じる恐れがある。
【0069】
このことから炭素層のひび割れや剥離を抑え、良好な電池特性を得るためには、負極集電体として用いるエキスパンドメタルの厚さTは、0.05mm以上0.20mm未満とする必要があることがわかる。
【0070】
実施例4〜実施例10
負極集電体として用いる銅メッシュについて、板材の厚さT、メッシュ長目方向中心距離LW、メッシュ短目方向中心距離SW、メッシュ長目方向最大目開きa、メッシュ短目方向最大目開きbを表3に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして角型電池を作製した。
【0071】
比較例4〜比較例6
負極集電体として用いる銅メッシュについて、板材の厚さT、メッシュ長目方向中心距離LW、メッシュ短目方向中心距離SW、メッシュ長目方向最大目開きa、メッシュ短目方向最大目開きbを表3に示すように変えたこと、すなわちLW/SWあるいはLW×SWを所定範囲外としたこと以外は実施例1と同様にして角型電池を作製した。
【0072】
以上のようにして作製された電池について、上述と同様の条件で電池内部抵抗、放電容量、容量維持率及び充放電サイクル後の電極外観の変化について評価した。その結果を表3,表4に示す。
【0073】
【表3】
Figure 0004016438
【0074】
【表4】
Figure 0004016438
【0075】
表3、表4を見てわかるように、負極集電体となる銅メッシュについてLW/SWを1.0〜3.0、LW×SWを0.5〜12.5mm2とした実施例4〜実施例10の電池では、焼結直後そして充放電50サイクル後においても負極が良好な形状を維持しており、良好な電池特性が得られている。
【0076】
これに対して、銅メッシュのLW/SWが3より大きい場合(比較例6)では、充放電に伴う炭素層の膨張・収縮によって負極にひび割れが生じる。これは、メッシュ長目方向中心距離LWとメッシュ短目方向中心距離SWの比が大きい銅メッシュでは、形状変化に異方性があり、炭素層の膨張・収縮に際してそれに追従した形状変化が長目方向と短目方向で不均一になるためである。
【0077】
一方、銅メッシュのLW×SWが12.5mm2より大きい場合(比較例4,比較例5)では、電池特性が著しく不安定になる。これは、目開きが大きいために、目開き中心部の活物質の利用率が低くなるからと考えられる。特に、LW×SWを18.0mm2とした場合では、充放電に伴って炭素層が剥離してしまう。
【0078】
これらのことから、炭素層のひび割れや剥離を抑え、良好な電池特性を得るためには、負極集電体として用いるエキスパンドメタルのメッシュ長目方向中心距離LWとメッシュ短目方向中心距離SWは、LW/SWが1.0〜3.0、LW×SWが0.5〜12.5mm2の範囲となるように設定する必要があることがわかる。
【0079】
実施例11〜実施例15
負極集電体として用いる銅メッシュについて、板材の厚さT、メッシュ長目方向中心距離LW、メッシュ短目方向中心距離SW、メッシュ長目方向最大目開きa、メッシュ短目方向最大目開きbを表5に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして角型電池を作製した。
【0080】
比較例7,比較例8
負極集電体として用いる銅メッシュについて、板材の厚さT、メッシュ長目方向中心距離LW、メッシュ短目方向中心距離SW、メッシュ長目方向最大目開きa、メッシュ短目方向最大目開きbを表5に示すように変えたこと、すなわち(a×b)/(LW×SW)を所定範囲外としたこと以外は実施例1と同様にして角型電池を作製した。
【0081】
以上のようにして作製された電池について、上述と同様の条件で電池内部抵抗、放電容量、容量維持率及び充放電サイクル後の電極外観の変化について評価した。その結果を表5,表6に示す。
【0082】
【表5】
Figure 0004016438
【0083】
【表6】
Figure 0004016438
【0084】
負極集電体となる銅メッシュについて(a×b)/(LW×SW)を0.43〜0.90とした実施例11〜実施例15の電池では、焼結直後そして充放電50サイクル後においても負極が良好な形状を維持しており、良好な電池特性が得られている。
【0085】
これに対して銅メッシュの(a×b)/(SW×LW)が0.43未満である場合(比較例7)では、炭素層の焼結による収縮及び充放電に伴う炭素層の膨張・収縮によって炭素層が銅メッシュから剥離してしまう。これは、銅メッシュの(a×b)/(SW×LW)が0.43未満であると、メッシュの目開きの割合が小さくなるために、当該銅メッシュを挟んで両側にある炭素層同士の接合面積が小さくなり、結着が弱くなるからと考えられる。
【0086】
また、銅メッシュの(a×b)/(SW×LW)が0.90より大きい場合(比較例8)では、銅メッシュ自体が細くなるため、炭素層の成形時や焼結時あるいは充放電に伴って銅メッシュに破断が生じ、電池特性が不安定になる。
【0087】
このことから、炭素層のひび割れや剥離を抑えるとともにエキスパンドメタルの破断を防止し、良好な電池特性を得るためには、銅メッシュの板材の厚さT、LW/SW及びLW×SWを所定範囲内に規制するとともに、(a×b)/(SW×LW)を0.43〜0.90の範囲となるように設定する必要があることがわかる。なお、電池容量を高める点から、(a×b)/(SW×LW)は0.6以上であるのが望ましい。
【0088】
実施例16〜実施例18
負極集電体として表7に示す材質の金属メッシュを用いること以外は実施例1と同様にして角型電池を作製した。なお、金属メッシュの板材の厚さT、メッシュ長目方向中心距離LW、メッシュ短目方向中心距離SW、メッシュ長目方向最大目開きa、メッシュ短目方向最大目開きbは実施例2で用いた銅メッシュと同様である。
【0089】
以上のようにして作製された電池について、上述と同様の条件で電池内部抵抗、放電容量、容量維持率及び充放電サイクル後の電極外観の変化について評価した。その結果を表7,表8に示す。
【0090】
【表7】
Figure 0004016438
【0091】
【表8】
Figure 0004016438
【0092】
表7,表8を見てわかるように、実施例16〜実施例18の電池では、焼結直後そして充放電50サイクル後においても負極が良好な形状を維持しており、良好な電池特性が得られている。
【0093】
このことから、板材の厚さT、メッシュ長目方向中心距離LW、メッシュ短目方向中心距離SW、メッシュ長目方向最大目開きa、メッシュ短目方向最大目開きbが所定の条件を満たしていれば、エキスパンドメタルの材質は特に問わないことがわかる。但し、この電池では、電解質塩としてリチウム塩を用いていることから、リチウムと合金化しない金属であることは必要である。また、電池の内部抵抗が低められるとともに融点が高いことから、実施例16あるいは実施例17のように銅メッシュあるいはニッケルメッシュを負極集電体として用いることが望ましい。
【0094】
実施例19〜実施例23
負極複合焼結体の厚さ及び積層電極体素子における負極複合焼結体及び正極の枚数を表9に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして角型電池を作製した。但し、銅メッシュの形状は以下の通りである。
【0095】
板材の厚みT:0.1mm
メッシュ長目方向中心距離LW:1.50mm
メッシュ短目方向中心距離SW:0.75mm
メッシュ長目方向最大目開きa:1.35mm
メッシュ短目方向最大目開きb:0.60mm
【0096】
比較例9,比較例10
負極複合焼結体の厚さ、及び負極複合焼結体と正極の枚数を表9に示すように変えたこと、すなわち負極複合焼結体の厚さを所定範囲外としたこと以外は実施例1と同様にして角型電池を作製した。但し、銅メッシュの形状は以下の通りである。
【0097】
板材の厚みT:0.1mm
メッシュ長目方向中心距離LW:1.50mm
メッシュ短目方向中心距離SW:0.75mm
メッシュ長目方向最大目開きa:1.35mm
メッシュ短目方向最大目開きb:0.60mm
作製された電池について、上述と同様の条件で電池内部抵抗、放電容量、容量維持率及び充放電サイクル後の電極外観の変化について評価した。その結果を表10に示す。
【0098】
【表9】
Figure 0004016438
【0099】
【表10】
Figure 0004016438
【0100】
表9,表10を見てわかるように、外側以外で負極複合焼結体の厚さを0.2〜1.5mmとした実施例19〜実施例23の電池では、焼結直後そして充放電50サイクル後においても負極が良好な形状を維持しており、良好な電池特性が得られている。
【0101】
これに対して1.5mmより厚い負極複合焼結体のみを用いた場合(比較例9)では、電池内部抵抗が著しく増大する。
【0102】
また、負極複合焼結体の厚みが0.2mmより小さいと(比較例10)、電極強度が充分に得られず、電池組立時に負極複合焼結体が割れてしまったり、炭素層の焼結に際する収縮あるいは充放電に伴う炭素層の膨張・収縮によって炭素層にひび割れが生じてしまう。
【0103】
このことから、電池内部抵抗を低く抑えるとともに電極に充分な強度を付与するためには、負極複合焼結体の厚みは、0.2mm〜1.5mmとするのが望ましいことがわかった。
【0104】
なお、本実施例では、負極の炭素質材料としてメソフェーズカーボンを用い、正極にはLiCoO2を用いているが、負極として他の炭素質材料を用いたり、正極として他の遷移金属複合酸化物を用いた場合でも同様の効果が得られる。
【0105】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明の非水電解質二次電池では、炭素焼結体がエキスパンドメタルに保持されてなる複合焼結体を負極に用い、この複合焼結体自体の厚さや、エキスパンドメタルについて板材の厚さT、メッシュ長目方向の中心距離LW、メッシュ短目方向の中心距離SW、メッシュ長目方向の最大目開きa、メッシュ短目方向の最大目開きbが所定の条件を満たすように規制するので、高エネルギー密度が得られるとともに、炭素層の焼結に際する収縮あるいは充放電に伴う炭素層の膨張・収縮によって生じる炭素層のひび割れや剥離が防止され、安定な電池特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】負極複合焼結体で用いるエキスパンドメタルを示す斜視図である。
【図2】上記エキスパンドメタルの断面図である。
【図3】本発明を適用した非水電解質二次電池の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
5 負極複合焼結体、6 セパレータ、7 正極、20 目開き、21 エキスパンドメタルの板材、T 板材の厚さ、LW メッシュ長目方向中心距離、SW メッシュ短目方向中心距離、a メッシュ長目方向最大目開き、b メッシュ短目方向最大目開き

Claims (3)

  1. 負極と、正極及び非水電解液を有してなる非水電解質二次電池において、
    上記負極は、炭素焼結体がエキスパンドメタルに保持されてなる複合焼結体よりなり、
    上記エキスパンドメタルを構成する板材の厚さをT(mm)、メッシュ長目方向中心距離をLW(mm)、メッシュ短目方向中心距離をSW(mm)、メッシュ長目方向最大目開きをa(mm)、メッシュ短目方向最大目開きをb(mm)としたときに、
    0.05mm≦T<0.15mm
    1.0≦(LW/SW)≦3.0
    0.5mm≦(LW×SW)≦12.5mm
    0.43≦(a×b)/(SW×LW)≦0.90
    なる条件を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 上記複合焼結体の厚さが、0.2〜1.5mmであることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 上記エキスパンドメタルが、銅またはニッケルよりなることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
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