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JP4016536B2 - 燃料電池車の出力診断装置 - Google Patents
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JP4016536B2 - 燃料電池車の出力診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池車の出力診断装置に関し、特に、燃料電池に長期劣化が生じている場合でも、警告を発生するまで車両の運転を継続させることができる燃料電池車の出力診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃料電池車としては、燃料電池と二次電池から出力される電力を駆動モータに供給して走行するハイブリッド型燃料電池車が知られている。このような燃料電池車には、燃料電池と二次電池の出力状態を診断するために出力診断装置が搭載されている。
【0003】
この出力診断装置は、運転中に、燃料電池および二次電池の各セルの下限電圧や、代表セルグループの上限電圧や下限電圧を監視して、それらが一定の限界値を越えた場合に、充放電を停止して燃料電池や二次電池を保護するようにしている。
【0004】
このような技術は、例えば、燃料電池に関しては特開平6−223859号公報に報告されており、また、二次電池に関しては特開平8−168183号公報に報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、二次電池のセル電圧が低下した場合は、必ずしもセル劣化を示しているのに対し、燃料電池のセル電圧が低下した場合、必ずセル劣化を示しているわけではなく、例えば燃料の流量不足に起因することもある。この場合、燃料電池に供給する燃料の流量を増加すれば、セル電圧も増加するので、燃料電池の運転停止を回避することができる。
【0006】
このように燃料電池では、セル電圧が一時的に減少しても、それが直ちにセル劣化を示すものでなく、回復可能なことがある。一方、二次電池では、セル電圧の低下はセルそのものの劣化を意味し、一旦、セル電圧が低下した場合、充電しない限りセル電圧が回復することはない。従って、燃料電池と二次電池の出力状態を診断する場合、両者に同一の方法を適用することはできない。
【0007】
ところが、従来の燃料電池車にあっては、燃料電池の出力電圧が降下した原因が、セルの長期劣化に起因するものか確実に判断することができなかった。このため、実際の運転上、車両負荷は常に変化しているので、燃料電池のセル電圧が変動して所定範囲から外れた場合には、燃料電池の運転を停止するようにしていた。
【0008】
この結果、従来の燃料電池車にあっては、燃料電池のセル電圧によっては、本来不要な運転の停止をせざるを得ないといった問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、燃料電池に長期劣化が生じている場合でも、警告を受けるまで車両の運転を停止することなく走行を継続することができる燃料電池車の出力診断装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、燃料電池と二次電池から出力される電力を駆動モータに供給して走行する燃料電池車に対して、燃料電池の出力状態を診断する燃料電池車の出力診断装置において、車両停止時に、燃料電池内部の温度及び圧力を規定範囲内として所定の運転条件を設定した上で、燃料電池から所定電流を所定時間だけ二次電池に出力するように制御する燃料電池制御手段と、燃料電池から出力される出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、前記燃料電池制御手段により車両停止時に燃料電池から所定電流を所定時間だけ出力させる制御を行った際の当該燃料電池の出力電圧を記憶する出力電圧記憶手段と、燃料電池の出力電圧に関して、前記出力電圧記憶手段に記憶された最新の値である現在値と前もって記憶された初期値を比較して出力低下率を算出する算出手段と、燃料電池から出力可能な最大電力を出力低下率に応じて補正する補正手段とを備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、前記出力電圧検出手段により検出される燃料電池の出力電圧が所定値以下になるかを判断する出力電圧判断手段と、燃料電池から出力される出力電圧が所定値以下になった場合には、燃料電池の点検又は交換を促す警告を報知する報知手段とを備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記課題を解決するため、前記出力電圧検出手段は、燃料電池を構成する個々のセル、又は、複数個のセルから前記出力電圧を検出することを要旨とする。
【0015】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、車両停止時に、燃料電池から所定電流を所定時間だけ二次電池に出力するように制御しておき、燃料電池から出力される出力電圧を検出して記憶する。そして、燃料電池の出力電圧に関する現在値と前もって記憶された初期値を比較して出力低下率を算出し、燃料電池から出力可能な最大電力を出力低下率に応じて補正することで、負荷変動の少ない車両停車時に燃料電池の出力低下率を精度よく求めて最大電力を補正するようにしているので、燃料電池に長期劣化が生じている場合でも、車両の運転を停止することなく走行を継続することができる。
【0016】
また、請求項2記載の本発明によれば、燃料電池の出力電圧が所定値以下になった場合には、燃料電池の点検又は交換を促す警告を報知することで、燃料電池に長期劣化が生じている場合でも、警告を受けるまで安心して車両を運転することができ、警告を受けたときに速やかに燃料電池の点検又は交換をサービスセンタに依頼することができる。
【0017】
また、請求項3記載の本発明によれば、燃料電池を構成する個々のセル、又は、複数個のセルから出力電圧を検出するようにしているので、個々又は複数個のセル単位で燃料電池の点検又は交換を促す警告を報知することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池車の出力診断装置が適応可能なシステムの構成を示す図である。
【0022】
燃料改質器11では、炭化水素やアルコール等から水素ガスを含む改質ガスを生成させている。一方、コンプレッサ13では、空気を圧縮して燃料電池スタック15や燃料改質器11に供給している。
【0023】
燃料電池スタック15は、固体高分子膜型燃料電池からなり、燃料改質器11からの改質ガスに含まれる水素、コンプレッサ13からの空気に含まれる酸素を用いて発電する。電力分配器17では、燃料電池スタック15が発電した電力を車両負荷19と二次電池21に分配する。
【0024】
車両負荷19は、車両を駆動するモータやその他の補機を駆動する場合に生じる負荷である。二次電池21は、リチウムイオンやメタルハイドライドからなり、車両負荷と並列に接続され、制動時の回生によってモータから回収された電力を充電するとともに、急加速時にモータへ供給する電力を補助する。
【0025】
燃料改質器11から燃料電池スタック15に流入される改質ガスの配管途中には、燃料電池スタック15に流入する改質ガス空気の圧力を調整するために圧力調整弁23が設けられている。また、燃料改質器11から燃料電池スタック15に流入される空気の配管途中には、燃料電池スタック15に流入する空気の圧力を調整するために圧力調整弁25が設けられている。
【0026】
燃料電池スタック15から燃料改質器11に排出される排空気の配管途中には、燃料電池スタック15に流入する改質ガスの圧力を調整するために圧力調整弁31が設けられている。また、燃料電池スタック15から燃料改質器11に排出される排改質ガスの配管途中には、燃料電池スタック15に流入する空気の圧力を調整する圧力調整弁33が設けられている。
【0027】
スタック電圧センサ35及びスタック電流センサ37は、燃料電池スタック15により発電された電圧及び電流をそれぞれ検出して燃料電池制御装置51に出力する。
【0028】
なお、燃料電池スタック15は、複数のセルからなるスタック構造を有しており、スタック電圧センサ35は、個々又は複数のセル単位で出力電圧を検出するように構成され、それぞれの検出電圧が燃料電池制御装置51に入力される。
【0029】
圧力センサ41は、燃料改質器11から燃料電池スタック15に流入する改質ガスの配管途中に設けられ、改質ガスの圧力を検出して燃料電池制御装置51に出力する。圧力センサ43は、コンプレッサ13から燃料電池スタック15に流入する空気の配管途中に設けられ、空気の圧力を検出して燃料電池制御装置51に出力する。
【0030】
温度センサ45,47は、燃料電池スタック15から燃料改質器11に排出さる排改質ガス及び排空気の配管途中にそれぞれ設けられ、排改質ガス及び排空気の温度を検出して燃料電池制御装置51に出力する。
【0031】
燃料電池制御装置51には、制御データを記憶する内部RAMと、制御プログラムを記憶する内部ROMと、制御プログラムに従って燃料電池システムを制御するCPUとを内部に備えている。
【0032】
駆動制御装置53は、車両負荷19をなすそれぞれの補機が要求する電力を総和して車両負荷電力を算出し、二次電池21に残存する電力容量と車両負荷電力に基づいて、燃料電池スタック15に要求する要求出力を算出して燃料電池制御装置51に発信するとともに、燃料電池スタック15が発電した電力を車両負荷19と二次電池21に分配するための分配比を算出して電力分配器17に発信する。
【0033】
放電用固定抵抗55は、燃料電池スタック15に設けられた出力端子間に接続してあり、スイッチ57をオン制御することで、燃料電池スタック15の負荷となる。
【0034】
次に、図2に示すフローチャートに従って、燃料電池制御装置51によるスタックの発電状態に応じた出力補正制御処理について説明する。
【0035】
ここで、運転者からの操作に応じて駆動制御装置53は、燃料電池制御装置51に停止指令信号を出力する。そして、燃料電池制御装置51は駆動制御装置53からの停止指令信号を受信した後に、燃料電池スタック15の停止シーケンスに入る。なお、燃料改質器11が改質ガスの生成を停止するまでに例えば1〜2分程度の時間を要するので、この間に燃料電池スタック15に流入する改質ガスを利用して以下の停止処理を行うこととする。
【0036】
この場合、燃料電池スタック15の運転停止時に、スタック内に残っている水素ガスを消費するために発電を行い、停止時毎に規定電流により規定時間の間、電力分配器17から二次電池21へと定常出力させる。
【0037】
まず、ステップS10では、燃料改質器11から燃料電池スタック15に流入する改質ガスの流入量を低減するために、予め定められた初期開度に応じて圧力調整弁23の開度を調整する。
【0038】
そして、ステップS20では、燃料電池スタック15から燃料改質器11に流入する排改質ガスの流入量を増大するために、予め定められた初期開度に応じて圧力調整弁33の開度を調整する。
【0039】
そして、ステップS30では、燃料電池スタック15の出口付近に設けられた温度センサ45から排改質ガスの温度を読み取り、燃料電池スタック15の入口付近に設けられた圧力センサ41から改質ガスの圧力を読み取り、燃料電池スタック15内の温度及び圧力が規定範囲内にあるかを判断する。
【0040】
ここで、燃料電池スタック15内の温度及び圧力が規定範囲内にある場合には、ステップS50に進む。一方、燃料電池スタック15内の温度及び圧力が規定範囲内にない場合には、ステップS40に進む。
【0041】
燃料電池スタック15内の温度及び圧力が規定範囲内にない場合には、ステップS40では、温度センサ45及び圧力センサ41から読み取った実際の温度及び圧力が規定範囲に対して生じている差分量の符号を求める。そして、この符号を反転しておき、ステップS10,S20において設定した開度に対して所定の微小開度分だけ反転符号に応じて増減して新たな開度を求め、ステップS10に戻り、処理を繰り返す。
【0042】
この結果、ステップS30での判断処理では、実際の温度及び圧力が規定範囲に対して生じている差分量が徐々に零に近づくこととなる。
【0043】
このように、停止毎に、同一の運転条件とすることができる。運転温度、圧力については予め搭載する燃料電池スタックを使用してその電圧変化幅を把握し、一定の電圧幅に収まる条件から逸脱しない運転温度、圧力で停止動作を行うこととする。
【0044】
燃料電池スタックの停止時に行う残水素処理を兼ねた操作であるため、余分な燃料流量、空気流量を供給することは好ましくないので、低流量、又は、スタック内残水素、残空気を使用して行う。
【0045】
一方、燃料電池スタック15内の温度及び圧力が規定範囲内にある場合には、ステップS50で、燃料電池スタック15に設けられた出力端子間に接続してある放電用固定抵抗55のスイッチ57をオン制御する。
【0046】
そして、ステップS60では、燃料電池スタック15で発電された電力を電力分配器17を介して二次電池21へ定常出力させる。同時に、燃料電池制御装置51に設けられたタイマに計時動作を開始させる。なお、この時の燃料電池スタック15のセル電圧挙動を測定すると、劣化を受けていない初期段階では、全てのセルがほぼ同一のセル電圧を示すことが確かめられる。
【0047】
一般に、車両用燃料電池の数十kWクラスの燃料電池に対しては、数Aの放電量は無視できる程度に小さいため、一般の運転中における水素ガス利用率に関する依存性は考慮しなくてよい。ただし、上述した温度、圧力、流量を規定内に入るように補機類を運転制御することも可能である。
【0048】
具体的には、停止後例えば十数秒間、電流が数A程度の放電を、空気圧力、水素圧力とも大気圧下のもと、温度85℃程度で放電を行い、その時の各セル電圧あるいはグループセル電圧の挙動を記憶し、過去の記録と比較参照する。
【0049】
そして、ステップS70では、燃料電池スタック15に設けられたスタック電圧センサ35から電圧データを読み取り、この電圧データに測定時間データと測定日付データを付加して燃料電池制御装置51の内部RAMに記憶しておく。なお、スタック電圧センサ35は、燃料電池スタック15を構成する個々のセル、又は、複数個のセルから出力電圧を検出している。
【0050】
そして、ステップS80では、燃料電池制御装置51に設けられたタイマから計時データを読み取り、規定時間が経過したかを判断し、規定時間が経過するまで、ステップS70に戻り、処理を繰り返す。
【0051】
この結果、燃料電池制御装置51の内部RAMには、同一の規定電流に対して、燃料電池スタック15に関する初期値から現在値に至る出力電圧データが記憶されることとなる。
【0052】
そして、規定時間が経過した場合、ステップS90では、燃料電池制御装置51の内部RAMに記憶された燃料電池スタック15の出力電圧データの中から初期値と現在値を読み出し、出力低下率%を算出する。
【0053】
【数1】
出力低下率={(初期値−現在値)/初期値}×100
そして、ステップS100では、燃料電池スタック15から出力可能な最大電力を出力低下率に応じて補正する。
【0054】
すなわち、図3を参照して、燃料電池制御装置51の内部ROMに予め記憶されている出力低下率に対応する水素利用率テーブルから現状の水素利用率を算出して内部RAMに記憶しておく。この結果、次回に車両の運転を開始する時に、この水素利用率を用いることで、燃料電池スタック15から出力可能な最大電力を補正することができる。
【0055】
なお、次回の車両の運転開始時には、内部RAMに記憶されている水素利用率を読み出し、この水素利用率となるように燃料改質器11に対して水素の増量要求を出力する。燃料電池制御装置51から水素の増量要求を受信した燃料改質器11は、水素の増量要求に応じて改質ガスの生成量を増量する。
【0056】
この結果、本発明の第1の実施の形態に関する効果としては、燃料電池スタックの出力電圧に経年劣化が生じた場合でも、出力低下率に応じて水素利用率を補正しているので、常に、燃料電池スタック15から出力可能な最大電力を取り出すことができる。また、負荷変動の少ない車両停車時に燃料電池スタックの出力低下率を精度よく求めて最大電力を補正するようにしているので、燃料電池スタックに長期劣化が生じた場合でも、車両の運転を停止することなく走行を継続することができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池車の出力診断装置が適応可能なシステムの構成は、図1に示す第1の実施の形態に対応するシステムの基本的構成と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略することとする。
【0058】
一般に、燃料電池スタックの運転時間が長くなり、燃料電池セル内部の劣化が起こるとセル電圧は徐々に低下していく。例えば、高分子膜電極触媒複合体の劣化や、ガス流路詰まり、漏れなどがあれば、セル電圧やセルグループ電圧は異常を示す。このため、個々のセル、又は、複数のセル毎の劣化を判断する必要がある。
【0059】
第2の実施の形態の特徴は、スタック電圧センサ35により燃料電池スタック15を構成する個々のセル、又は、複数個のセルからの出力電圧を検出し、燃料電池制御装置51によりそれぞれのセル電圧が規定値以上あるかを全てのセル又はグループについて判断することにある。
【0060】
次に、図4に示すフローチャートに従って、燃料電池制御装置51によるスタックセルの劣化時の警告処理について説明する。なお、図4に示す制御フローチャートは、図2に示す制御フローチャートと同様の基本的手順を有しており、同一の手順には同一の符号を付している。また、図4に示す制御フローチャートも、燃料電池制御装置51の内部ROMに制御プログラムとして記憶されていることとする。
【0061】
ステップS170では、燃料電池スタック15に設けられたスタック電圧センサ35から個々のセル、又は、複数個のセルの電圧データを読み取り、この電圧データにセル番号又はグループ番号を付加して燃料電池制御装置51の内部RAMに記憶しておく。
【0062】
そして、ステップS180では、内部RAMに記憶した電圧データをセル番号又はグループ番号の順番で順次に読み出し、それぞれのセル電圧が規定値以上あるかを全てのセルについて判断する。全てのセル電圧が規定値以上の場合には、処理を終了する。
【0063】
一方、1つのセル、又は、セルグループの出力電圧が規定値に満たない場合には、ステップS190では、燃料電池セル又はグループが劣化しているので、燃料電池セル又はグループの点検、又は、交換を促す警告メッセージデータを生成し、例えば図示しない音声生成部により音声信号に変換して、スピーカから出力する。
【0064】
なお、この時、劣化している燃料電池スタックのセル番号又はグループ番号を報知すれば、点検、又は、交換の作業効率を向上することができる。
【0065】
また、ステップS170で、スタック電圧センサ35から個々のセル、又は、複数個のセルの電圧データを読み取り、この電圧データにセル番号又はグループ番号を付加して燃料電池制御装置51の内部RAMに記憶しておき、そして、所定の単位時間が経過した後に再度同様の記憶処理を行い、さらに、ステップS180で、単位時間あたりのセル電圧低下率を求め、このセル電圧低下率が規定値以下になった場合に、燃料電池スタックの点検又は交換を促す警告を報知してもよい。
【0066】
この結果、本発明の第2の実施の形態に関する効果としては、燃料電池スタックの出力電圧が所定値以下になった場合には、燃料電池スタックの点検又は交換を促す警告を報知することで、燃料電池スタックに長期劣化が生じている場合でも、警告を受けるまで安心して車両を運転することができ、警告を受けたときに速やかに燃料電池スタックの点検又は交換をサービスセンタに依頼することができる。
【0067】
また、燃料電池スタックの点検又は交換を促す警告を報知するので、燃料電池スタックが損傷を受けないように保護することができる。
【0068】
さらに、燃料電池スタックを構成する個々のセル、又は、複数個のセルから出力電圧を検出するようにしているので、個々又は複数個のセル単位で燃料電池スタックの点検又は交換を促す警告を報知することができる。
【0069】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池車の出力診断装置が適応可能なシステムの構成を示す図である。本実施の形態のシステム構成は、図1に示す第1の実施の形態に対応するシステムの基本的構成に新たな構成要素を付加したものであり、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略することとする。
【0070】
第3の実施の形態の特徴は、燃料電池スタック15の出力電圧の降下に影響を与える原因の原因量を検出するセンサとして、上述した圧力センサ41、温度センサ45に加えて、燃料電池スタック15に流入する改質ガスの流量を検出する流量センサ61、燃料電池スタック15から排出されるCO濃度を検出するCO濃度センサ63を新たな構成要素として備えたことにある。
【0071】
また、燃料電池制御装置71は、上述したそれぞれの原因量の変化量に対応する出力電圧の正常時の降下量を予め内部ROMに数値表又はマップとして記憶しており、上述した各センサにより検出された原因量の変化量に基づいて、内部ROMから基準となる正常時の電圧降下量を読み出し、スタック電圧センサ35により検出された出力電圧の実際の降下量から減算した結果量が規定値以上かを判断し、この結果量が規定値以上の場合には、燃料電池スタック15の出力電圧が降下する原因を報知する。
【0072】
次に、図6に示すフローチャートに従って、燃料電池制御装置71によるスタックセルの劣化時の警告処理について説明する。なお、図6に示す制御フローチャートは、図2に示す制御フローチャートと同様の基本的手順を有しており、同一の手順には同一の符号を付している。また、図6に示す制御フローチャートは、燃料電池制御装置71の内部ROMに制御プログラムとして記憶されていることとする。
【0073】
ステップS65では、圧力センサ41、温度センサ45、流量センサ61、CO濃度センサ63で検出された検出値を内部RAMに記憶しておく。
【0074】
ここで、ステップS70,S80では、上述したように、スタック電圧センサ35から読み取った電圧データを規定時間分だけ内部RAMに記憶しておく。
【0075】
そして、ステップS90では、上述したように、燃料電池制御装置51の内部RAMに記憶された燃料電池スタック15の出力電圧データの中から初期値と現在値を読み出し、出力低下率%を算出する。
【0076】
そして、ステップS210では、出力低下率が規定値以下かを判断する。ここで、出力低下率が規定値以下の場合には、燃料電池スタック15から出力される出力電圧の現在値が初期値に対して劣化していないので、処理を終了する。
【0077】
一方、出力低下率が規定値以下にならない場合には、燃料電池スタック15が劣化しているので、ステップS220に進み、燃料電池スタック15の点検、又は、交換を促す警告メッセージデータを生成し、例えば図示しない音声生成部により音声信号に変換して、スピーカから出力する。
【0078】
そして、ステップS230では、圧力センサ41、温度センサ45、流量センサ61、CO濃度センサ63で検出された検出値を内部RAMに記憶する。
【0079】
そして、ステップS240では、各センサによる規定時間分だけ隔たった検出値を内部RAMから読み出し、両検出値の差分値である変化量を算出する。そして、各センサの検出値の変化量に基づいて、内部ROMに記憶された数値表又はマップから基準となる正常時の電圧降下量を読み出す。
【0080】
この結果、水素ガス圧力、温度、水素ガス流量、CO濃度のそれぞれの変化量に対する正常時の基準となる電圧降下量ΔViが求められる。
【0081】
ここで、ステップS250では、スタック電圧センサ35により検出された出力電圧の実際の降下量ΔVr、圧力センサ41、温度センサ45、流量センサ61、CO濃度センサ63で検出された検出値により求められたそれぞれの正常時の電圧降下量ΔViに基づいて、
【数2】
ΔVr−ΔVi≧規定値
となるかを判断する。
【0082】
ここで、圧力センサ41、温度センサ45、流量センサ61、CO濃度センサ63のうち、いずれかの原因による上記減算結果量が規定値以上になった場合には、ステップS260に進む。一方、この減算結果量が規定値未満の場合には、処理を終了する。
【0083】
ステップS260では、燃料電池スタック15の出力電圧が降下する原因となったセンサの取り付け位置と検出対象に基づいて、想定可能な原因箇所を表す警告メッセージデータを生成し、例えば図示しない音声生成部により音声信号に変換して、スピーカから出力する。
【0084】
例えばCO濃度センサ63により検出されるCO濃度に異常が発生している場合には、燃料になるメタノールを水を用いて改質している燃料改質器11を修理すべきことを報知することができる。また、例えば圧力センサ41により検出される改質ガスの圧力に異常が発生している場合には、配管や燃料改質器11を修理すべきことを報知することができる。
【0085】
この結果、本発明の第3の実施の形態に関する効果としては、燃料電池スタックの出力電圧が降下する原因を報知することで、燃料電池スタックの出力電圧が降下する原因箇所を確認することができる。
【0086】
また、燃料電池スタックに流入する水素ガスの流量、燃料電池スタックから排出されるCO濃度、燃料電池スタックに流入する水素ガスの圧力、燃料電池スタックの温度のうち少なくともいずれか1つを検出するようにしているので、燃料電池スタックの出力電圧が降下する原因箇所を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池車の出力診断装置が適応可能なシステムの構成を示す図である。
【図2】燃料電池制御装置51による出力補正制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】出力低下率に対応する水素利用率テーブルを示すグラフである。
【図4】燃料電池制御装置51によるスタックセルの劣化時の警告処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池車の出力診断装置が適応可能なシステムの構成を示す図である。
【図6】燃料電池制御装置71によるスタックセルの劣化時の警告処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
11 燃料改質器
13 コンプレッサ
15 燃料電池スタック
17 電力分配器
19 車両負荷
21 二次電池
23,25,31,33 圧力調整弁
35 スタック電圧センサ
37 スタック電流センサ
41 圧力センサ
43 圧力センサ
45,47 温度センサ
51,71 燃料電池制御装置
53 駆動制御装置
55 放電用固定抵抗
57 スイッチ
61 流量センサ
63 CO濃度センサ

Claims (3)

  1. 燃料電池と二次電池から出力される電力を駆動モータに供給して走行する燃料電池車に対して、燃料電池の出力状態を診断する燃料電池車の出力診断装置において、
    車両停止時に、燃料電池内部の温度及び圧力を規定範囲内として所定の運転条件を設定した上で、燃料電池から所定電流を所定時間だけ二次電池に出力するように制御する燃料電池制御手段と、
    燃料電池から出力される出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
    前記燃料電池制御手段により車両停止時に燃料電池から所定電流を所定時間だけ出力させる制御を行った際の当該燃料電池の出力電圧を記憶する出力電圧記憶手段と、
    燃料電池の出力電圧に関して、前記出力電圧記憶手段に記憶された最新の値である現在値と前もって記憶された初期値を比較して出力低下率を算出する算出手段と、
    燃料電池から出力可能な最大電力を出力低下率に応じて補正する補正手段とを備えたことを特徴とする燃料電池車の出力診断装置。
  2. 前記出力電圧検出手段により検出される燃料電池の出力電圧が所定値以下になるかを判断する出力電圧判断手段と、
    燃料電池から出力される出力電圧が所定値以下になった場合には、燃料電池の点検又は交換を促す警告を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池車の出力診断装置。
  3. 前記出力電圧検出手段は、
    燃料電池を構成する個々のセル、又は、複数個のセルから前記出力電圧を検出することを特徴とする請求項2記載の燃料電池車の出力診断装置。
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