JP4019566B2 - 電動パワーステアリングモータコア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のパワーステアリングシステムにおける、電動パワーステアリングモータコアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のパワーステアリングシステムは、自動車の消費エネルギーの3〜5%を占め、エアコンと並んでエネルギー消費の多い装置である。従来のパワーステアリングシステムは油圧により操舵を補助していたが、本システムでは油圧ポンプが常にエンジンにより駆動されているため、直進走行時にもエネルギーが消費されるという問題があった。この無駄を解消するため、モータにより操舵を補助する電動パワーステアリング(以下、EPSと略す)システムが開発されている。EPSシステムではコーナリング時等の操舵補助が必要なときのみモータに電流を流しパワーをアシストするため、油圧システムに比べ燃費が2〜3%程度向上する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなEPSシステムにおいては、小型、高トルクの観点から永久磁石を使用するPMモータが使用されている。しかし、PMモータでは操舵後、比較的大きなロストルクが生じることから、旋回後直進状態になるまでに時間遅れが発生し、このため操舵感が油圧方式に比べ劣るという問題があった。
【0004】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、ロストルクが小さい、電動パワーステアリングモータコアを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、以下に示す発明によって解決される。
【0006】
本発明は、永久磁石を使用する電動パワーステアリングモータコアであって、そのモータコア材として、重量%でC:0.005%以下、Si:4.0%以下、Al:1.0%以下、S:0.02%以下、Mn:0.05〜1.5%、P:0.2%以下、N:0.005%以下、Ti:0.0020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、ヒステリシス損が0.053J/kg以下である鋼板を用いた電動パワーステアリングモータコアである。
【0008】
本明細書において、鋼の成分を示す%はすべて重量%であり、ppmも重量ppmである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らがEPSモータコア材として好適な材料すなわちロストルクが小さい材料について検討した結果、このロストルクは機械損とコア材料のヒステリシス損に起因することを見いだした。さらにEPSモータコア材としてヒステリシス損の低い材料について検討を進めた結果、無方向性珪素鋼板が最適であり、特にTiを低減した鋼板を用いることで良好なヒステリシス特性を有する材料が得られること、また、その鋼板を製造するに際しては、前記鋼板に仕上焼鈍を施した後、720℃〜900℃の温度で磁性焼鈍を施すことがヒステリシス特性を向上する上で非常に有効なことを見いだした。
【0010】
以下、本発明に至る経緯を実験結果に基づいて詳細に説明する。
最初に、ヒステリシス損に及ぼすTiの影響を調査するため、C:0.0025%、Si:0.25%、Mn:0.25%、P:0.01%、Al=0.25%、S=0.004%、N=0.0021%とし、Ti量を30ppm以下の範囲で変化させた鋼をラボ溶解し、熱延後、酸洗を行った。その後、板厚0.50mmまで冷間圧延し、10%H2-90%N2雰囲気で780℃×1min間の仕上焼鈍を行い、さらに750℃×2hrの磁性焼鈍を施した。図1に、このようにして得られたサンプルのTi量と1.5Tまで磁化した場合の周波数1Hz当たりのヒステリシス損の関係を示す。ここで磁気特性の測定は25cmエプスタイン法にて行い、ヒステリシス損は50、60Hzの鉄損より2周波法にて計算した。
【0011】
図1より、Tiが20ppm以下でヒステリシス損が大幅に低下することがわかる。この原因を調査するため、鋼板の組織観察を光学顕微鏡にて行ったところTiが20ppm超の材料では結晶粒径が微細となっていた。これはTi系の炭窒化物の析出により磁性焼鈍時の粒成長性が阻害されたためと考えられる。以上より、本発明ではTiを20ppm以下とする。
【0012】
次に適正磁性焼鈍温度について調査するため C:0.0020%、Si:0.24%、Mn:0.25%、P:0.01%、Al=0.25%、S=0.004%、N=0.0018%、Ti=0.001%とした鋼をラボ溶解し、熱延後、酸洗を行った。その後、板厚0.50mmまで冷間圧延し、10%H2-90%N2雰囲気で780℃×1min間の仕上焼鈍を行い、さらに650℃〜950℃×2hrの磁性焼鈍を施した。図2に、このようにして得られたサンプルの磁性焼鈍温度と1.5Tまで磁化した場合の周波数1Hz当たりのヒステリシス損の関係を示す。図2において、磁気特性の測定およびヒステリシス損の計算は図1と同様の方法で行った。
【0013】
これより、磁性焼鈍温度720℃以上でヒステリシス損が低下することがわかる。これは、磁性焼鈍により打ち抜き時の歪みが解放されるためと、結晶粒の粗大化が生じるためである。一方、磁性焼鈍温度が900℃超えとなるとヒステリシス損が増大する。これはαγ変態点に近づき、磁気特性が劣化するためである。以上より、磁性焼鈍温度は720℃以上900℃以下とする。
【0014】
次に、その他の成分の限定理由について説明する。
Cは0.005%超えでは磁束密度が低下し、EPSモータを駆動する際のトルクが低下するため0.005%以下とする。なおモータ駆動時のトルクとはモータに電流を流している際のトルクである。
【0015】
Siは鋼板の固有抵抗を上げるために有効な元素であるが、4.0%を超えると磁束密度が低下しEPSモータを駆動する際のトルクが低下するため上限を4.0%とした。
【0016】
AlはSiと同様、固有抵抗を上げるために有効な元素であるが、1.0%を超えると磁束密度が低下しEPSモータを駆動する際のトルクが低下するため上限を1.0%とした。
【0017】
Mnは熱間圧延時の赤熱脆性を防止するために、0.05%以上必要であるが、1.5%超えになると磁束密度を低下しEPSモータを駆動する際のトルクが低下するため0.05〜1.5%とした。
【0018】
Pは鋼板の打ち抜き性を改善するために必要な元素であるが、0.2%を超えて添加すると鋼板が脆化するため0.2%以下とした。
【0019】
Nは0.005%超えになると磁束密度が低下しEPSモータ駆動時のトルクが低下するため0.005%以下とする。
【0020】
次に製造方法について説明する。
転炉で吹練した溶鋼を脱ガス処理し所定の成分に調整し、引き続き鋳造、熱間圧延を行う。熱間圧延時の仕上焼鈍温度、巻取り温度は特に規定する必要はなく、通常でかまわない。また、熱延後の熱延板焼鈍は行っても良いが必須ではない。次いで一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ2回以上の冷間圧延により所定の板厚とした後に、仕上焼鈍を行い、さらに磁性焼鈍を行う。720℃〜900℃の温度で磁性焼鈍を行うことにより本発明の鋼板を得ることができる。
【0021】
【実施例】
転炉で吹練した溶鋼を脱ガス処理し表1の成分に調整後鋳造し、スラブを1150℃で1hr加熱した後、板厚2.0mmまで熱間圧延を行った。熱延仕上げ温度は800℃とした。巻取り温度は700℃とした。その後、板厚0.50mmまで冷間圧延を行い、表1に示す仕上焼鈍条件および磁性焼鈍条件で焼鈍を行った。
【0022】
磁気特性の測定は25cmエプスタイン法にて行った。ヒステリシス損は、1.5Tまで磁化した場合の周波数1Hz当たりのヒステリシス損とし、エプスタイン法にて得られた50、60Hzの鉄損より2周波法にて計算して評価した。各鋼板の磁気特性を表1に併せて示す。
【0023】
【表1】
【0024】
これより、成分、磁性焼鈍温度を本発明の範囲に制御したNo.1〜No.3の本発明例による鋼板においては、ヒステリシス損が低く磁束密度が高い鋼板が得られている事が分かる。
【0025】
これに対し、No.4の比較例による鋼板はTiの量が、本発明の範囲を外れているので、ヒステリシス損が高くなっている。No.5の比較例による鋼板は磁性焼鈍温度が、本発明の範囲を外れ低くなっているので、ヒステリシス損が高くなっている。No.6の比較例による鋼板は磁性焼鈍温度が、本発明の範囲を外れ高くなっているので、ヒステリシス損が高くかつ磁束密度が低くなっている。
【0026】
また、No.7の比較例による鋼板はCの量が、No.8の比較例による鋼板はSiの量が、No.9の比較例による鋼板はMnの量が、No.10の比較例による鋼板はNの量が、No.11の比較例による鋼板はAlの量が、それぞれ本発明の範囲を外れているので、磁束密度が低くなっている。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によればヒステリシス損の低い鋼板を得ることができ、EPSモータのロストルク低減に効果的な電動パワーステアリングモータコアを得ることができる。
【0028】
さらに、高磁束密度が得られるので、モータ駆動時に高トルクが得られ操舵性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Ti量とヒステリシス損との関係を示す図である。
【図2】磁性焼鈍温度とヒステリシス損との関係を示す図である。
Claims (1)
- 永久磁石を使用する電動パワーステアリングモータコアであって、そのモータコア材として、重量%で C : 0.005 %以下、 Si : 4.0 %以下、 Al : 1.0 %以下、 S : 0.02 %以下、 Mn : 0.05 〜 1.5 %、 P : 0.2 %以下、 N : 0.005 %以下、 Ti : 0.0020 %以下を含有し、残部 Fe および不可避的不純物からなり、ヒステリシス損が 0.053J/kg 以下である鋼板を用いた電動パワーステアリングモータコア。
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|---|---|---|---|
| JP23781699A JP4019566B2 (ja) | 1999-08-25 | 1999-08-25 | 電動パワーステアリングモータコア |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23781699A JP4019566B2 (ja) | 1999-08-25 | 1999-08-25 | 電動パワーステアリングモータコア |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001064756A JP2001064756A (ja) | 2001-03-13 |
| JP4019566B2 true JP4019566B2 (ja) | 2007-12-12 |
Family
ID=17020837
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP23781699A Expired - Lifetime JP4019566B2 (ja) | 1999-08-25 | 1999-08-25 | 電動パワーステアリングモータコア |
Country Status (1)
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| JP7594213B2 (ja) * | 2021-04-14 | 2024-12-04 | 日本製鉄株式会社 | 無方向性電磁鋼板用熱延鋼板及びその製造方法 |
-
1999
- 1999-08-25 JP JP23781699A patent/JP4019566B2/ja not_active Expired - Lifetime
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