JP4020247B2 - 高分子グラフト基板製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子・電気素子、医療診断用素子(遺伝子検出剤(DNAチップ)、生体機能検出剤(バイオチップ))、生物素子(ニューロン回路、神経回路)の製造に用いることのできる、高分子グラフト基板製造方法に関するものである。本発明の高分子グラフト基板製造方法は、生産性に優れる(極めて低い照射光量である紫外線露光により表面を改質できる)と共に有機物含有廃棄等の廃棄物の低減化を可能にする。
【0002】
【従来の技術】
シランカップリング剤は、異質な材料間の接着性を改良する目的で使用される化合物であり、複合材料の開発に伴い、その重要性が増大し、工業的に広く用いられている。シランカップリング剤は、前記接着性改良の目的以外にも、重合体への架橋構造の付与、撥水性や撥油性の付与や帯電防止等による基材の化学的表面改質等にも用いられる。
【0003】
シランカップリング剤を用いた表面改質法は、極微量の化学物質の使用によって効率よく表面物性を変化させるという特徴を有している。このため、被修飾物である固体基板の化学組成が維持される点において、被修飾部材のリサイクルやリユースを促進すると考えられ、環境低負荷型材料として期待されている。
【0004】
クロロシラン基やアルコキシシラン基等の反応性シラン基を有するシランカップリング剤は、シリカ等の金属酸化物表面に存在する水酸基と反応し、界面有機超薄膜を形成する。特に、長鎖アルキル基やフルオロアルキル基からなるシランカップリング剤は、緻密性に優れた自己組織化超薄膜を形成する(A. Ulman, An Introduction to Ultrathin Organic Films from Langmuir-Blodgett to Self-Assembly, Academic Press, London, 1991)ので、金属酸化物表面に高い撥水性、耐摩擦性、耐薬品性を付与することができる。
【0005】
このように、基板等の固体表面の濡れ、摩擦、吸着等の界面現象は、平滑な固体表面の場合、有機単分子膜程度の最表面層の化学組成に大きく依存することが報告されている(水町浩,鳥羽山満,監修,表面処理技術ハンドブック−接着・塗装から電子材料まで−,エヌ・ティー・エス,2000年,pp455−465)。
【0006】
また、同一基板表面上で界面有機超薄膜が示す界面現象の位置選択的な制御を図り、微細で高性能な電子素子、光学素子、生物素子及び医療診断用素子を製造する方法が提案されている。このような素子を作製するための界面現象の位置選択的な制御を図る手段として、光または電子線リソグラフィー法、ソフトリソグラフィー法、走査型プローブ顕微鏡法及びインクジェット法の4つに大別される界面有機超薄膜のパターン形成法がこれまでに提案されている(中川勝,市村國宏,単分子膜のナノ・マイクロパターン作製技術とその応用,機能材料,CMC, 19, 15-24 (1999);中川勝,市村國宏,集積回路の作製を目指した単分子膜レジストによる微細加工,新しい半導体プロセスと材料,CMC, 92-107 (2000))。
【0007】
光または電子線リソグラフィー法は、固体基板表面に電磁波である光または電子線を照射し、固体基板表面に配設させた界面有機超薄膜を変性させ、界面有機超薄膜のパターンを形成させる方法である。有機画像形成のための感光性または感電子線高分子レジスト材料と同様の照射装置を用いることができる点で、新たな照射装置の開発を必要としないという利点を有している。また、他の方法に比べ、大量生産性に優れる利点を持つ。しかし、これらの電磁波や電子線を照射するための装置が高価であるため、光学技術以外に係わる製造者への本手法の普及が遅れている。
【0008】
ソフトリソグラフィー法の代表的手法は、マイクロコンタクト プリンティング法であり、インク及びスタンプを利用する印刷方法である。マイクロコンタクト プリンティング法は、界面有機超薄膜を形成する化学物質をインクとして用い、マイクロメートル程度の水平解像度の凹凸を有する高分子エラストマーのスタンプを固体基板表面に接触させ、固体基板表面上に有機超薄膜を転写し、有機超薄膜のパターンを形成させる。マイクロコンタクト プリンティング法は、一旦、高分子スタンプを作製すれば、簡便に複数個の同形な有機超薄膜のパターンを形成させることができる利点を有している。しかし、望む形のスタンプを作製する時に上述の高分子フォトレジスト材料を使用するため、基本的に同様の露光装置が必要となり、スタンプを作製するために限定されたフォトレジスト材料を用意する必要がある。また、スタンプ作製時にフォトレジスト材料から生じる有機物含有廃液等の廃棄物を処分する必要がある。
【0009】
走査型プローブ顕微鏡法は、基板表面に形成させた有機超薄膜に、極微細な針を走査し、有機超薄膜のパターンを形成させる方法である。走査する針を接触させて所定の場所の超薄膜を、機械的に除去したり、電場をかけて除去したりする。走査型プローブ顕微鏡法によれば、ナノメートルサイズの極微細な有機超薄膜パターンが得られるという特徴がある。しかし、装置が高価である上、パターン形成に時間がかかり、生産性に劣るという問題点がある。インクジェット法は、市販のインクジェットプリンターを用いて、インクとしての超薄膜形成物質を基板表面に付着させる方法である。2400dpiの解像度を有するプリンターを用いて、簡便に約10μmのサイズの超薄膜パターンを形成させることが原理的に可能である。固定化させる基板表面上での付着させるインクの濡れ性がそのパターン解像度を支配するので、基板やインク溶液の綿密な選定が必要となる。
【0010】
このように、4種類に大別される有機超薄膜のパターン形成法が提案されているが、各手法には利点と欠点がある。このような技術背景に基づいて、比較的手法が確立されている光リソグラフィー法が好まれて用いられている。感光性および感電子線シランカップリング剤を材料表面に配設すれば、電磁波である光および電子線照射により、材料表面を効率よく改質できる。また、材料の最表面層を分子レベルで設計できるため、目的にあった界面現象を光および電子線照射により誘起できるようになると期待されている。金属配線基板等の電子・電気素子、遺伝子検出剤(DNAチップ)や生体機能検出剤(バイオチップ)等の医療診断用素子、神経回路等の生物素子を光リソグラフィー法により作製するために、化学修飾が可能なアミノ基を含む有機超薄膜が好まれて使用されている。
【0011】
米国特許第5,648,201号明細書に、金属配線基板を作製するための基板表面に配設された有機超薄膜の改質による選択的金属法が開示されている。該公報に開示された選択的金属法は、ハロゲン化メチルフェニル基を有する低分子有機シラン化合物類を含む有機溶剤を基板上に塗布して自己集合性超薄膜を基板上に形成させる。次いで、この超薄膜に活性エネルギー線を画像状に照射し、照射領域の化学反応性を変性させる。未照射領域のみに残存するハロゲン化メチルフェニル基に、触媒に結合すべく十分な反応性を有する4−アミノピリジン、N−リチオジアミノエタン、4,4‘−ビピリジン、1,2−ビス(ピリジル)エチレン、4−メルカプトピリジン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、3−リチオピリジンなどの求核試薬を化学吸着させる。
【0012】
このようにしてパターン状に作製された有機超薄膜のアミノ基またはピリジル基に、無電解めっき触媒を吸着させてから、無電解めっき浴に浸漬し、触媒で活性化された領域を選択的に金属めっきする。この方法によれば、公知のフォトレジストを使用する方法と比較して活性エネルギー線の基板からの反射や、電子線の散乱により解像度が低下することを防ぐことが可能となり得るので、高分子系レジスト材料の微細加工限界の向上、ならびに、製造時の有機物含廃液の低減化が期待されている。
【0013】
しかしながら、上記公報に記載された方法による有機超薄膜のパターン形成においては、ArFレーザーからの波長193nmの遠紫外線を100mJ・cm-2の露光量で照射するか、または、Hg−Xeランプからの220−300nmの紫外線を2.4J・cm-2の露光量で照射する必要がある。ArFレーザーを用いる場合には、取扱いが困難であり、かつ高価な露光装置等が必要となる。安価で取扱いが容易なHg−Xeランプを用いる場合には、生産性向上のために格段の露光感度の向上が望まれている。
【0014】
また、Science, 252, 552-554(1991)には、神経回路を作製するための、パターン状の有機超薄膜による神経細胞の成長方向の制御方法が提案されている。上記文献においては、アミノ基を含有する3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランや3−アミノプロピルトリメトキシシランから基板上に有機超薄膜を形成させる。次いで、ArFレーザーからの193nmの遠紫外線またはKrFレーザーからの248nmの紫外線を画像状にその有機超薄膜に照射して、Si−C結合の解離により照射領域の有機超薄膜を除去する。さらに、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)−1−ジメチルクロロシランを作用させて、基板の最表面層がアミノ基とフルオロアルキル基によりパターン状の最表面層が形成された基板を作製している。
【0015】
このパターン状の有機超薄膜を有する基板に、人間由来のSK−N−SH細胞を吸着させると、パターン状のアミノ基表面にのみ細胞が吸着する。その後、基板に吸着させた細胞の培養を行うと、SK−N−SH細胞がアミノ基表面のパターン形状に従って成長する。付着させた生物細胞に最表面層の化学官能基を認識させて、様々な神経細胞回路の作製が同様の光リソグラフィー法を用いて試みられている。
【0016】
しかしながら、パターンを形成させるためには、照射領域の有機超薄膜を、光照射による結合解離によって完全に除去しなければならない。そのためには、ArFレーザーからの193nmの遠紫外線を13J・cm-2の露光量で照射する必要がある。高価格な照射装置や光学系の使用、有機超薄膜の露光感度の低さが、神経細胞回路の作製の際の光リソグラフィー法の利用を妨げており、低コストでかつ生産性に優れるパターン状の有機超薄膜の製造方法が強く望まれている。
【0017】
また、特表平4−505763号公報、及びScience, 251, 767(1991)には、医療診断用素子である遺伝子検出剤(DNAチップ)の作製方法が開示されている。上記公報及び文献においては、3−アミノプロピルトリメトキシシランで基板表面を処理した後に、アミノ基の光脱保護基を化学反応により導入して、基板上に感光性有機超薄膜を形成させる。ついで、光脱保護基を解離させうる活性エネルギー線を照射して、照射した基板の所定領域にアミノ基を形成させる。活性エステル基と光脱保護基をあわせもつ持つオリゴヌクレオチドをこのアミノ基に作用させて、所定領域にオリゴヌクレオチドを化学的に固定化する。活性エネルギー線照射により形成されるアミノ基に、活性エステル基と光脱保護基をあわせもつ持つオリゴヌクレオチドを10段階繰り返し作用させることによって、1024種類の核酸塩基配列を有する遺伝子検出剤を作製している。
【0018】
上記方法の特徴は、ニトロベンジルオキシカルボニル基、ベラトリルオキシカルボニル基等の光脱保護基をアミノ基の保護基として利用することである。有機光化学反応は、一般に量子収率が低く、かつ、高エネルギー状態からの反応であるので副反応を生じやすい。したがって、活性エネルギー線の照射により脱保護され形成するアミノ基の基板上での密度が低くなりやすい。これにより、オリゴヌクレオチドの逐次修飾が困難になることがある。従って、オリゴヌクレオチドを密に修飾するために、基板上でパターン状に配設されるアミノ基を含有する有機超薄膜の改善が望まれている。
【0019】
上述したものの他に、ヒドラジン類存在下(特開平6−192452)もしくはアミン存在下(特開平8−259716)でフッ素系高分子フィルムに、波長250nm以下のレーザー光を照射して、パターン状のアミノ基表面を形成させる方法が開示されている。しかし、これらの方法を実施するためには、高価で、取扱いが困難な装置等を使用する必要があること、ならびに莫大な照射露光量が必要であること等、改善すべき課題が多い。
【0020】
また、特開平7−168356の公報には、チオール基により表面修飾した固体表面をアクリル酸ニトロフェニルエステルまたはその誘導体により反応処理し、フォトマスクを表面修飾固体表面に密着させた後に、248nmの紫外レーザー光を純水中で照射して、さらにポリエチレンイミンの水溶液に作用させ、未露光部に含窒素高分子化合物をパターン状に固定化する方法が開示されている。この方法では、アミノ基等の含窒素高分子化合物と反応性のある最表面有機分子層を、光照射により反応不活性な分子層に変性させることを特徴としている。然るに、位置選択的固定化を目的とするアミノ基等の含窒素高分子化合物を光照射により、逐次導入することが不可能である。従って、多種類の含窒素高分子化合物等を固定化することにより可能となるDNAチップ等の遺伝子検出剤やバイオチップ等の生体機能検出剤を作製するためには、この方法は不適当である。また、水存在下で光照射を行う必要があるという問題点を有している。
【0021】
また、Langmuir, 13, 770-778 (1997)の文献には、金基板表面にカルボン酸基を有する有機チオール化合物を作用して、金基板表面に自己組織化単分子膜を形成させ、エチルクロロホルメートで処理することにより、カルボン酸基を活性化し、その後、アミノ基を化学構造の末端に有するtert-ブトキシ基で保護したポリアクリル酸を化学吸着させ、最後にtert-ブトキシ基を加水分解して基板表面に多価のカルボン酸基を形成させるハイパーブランチ法による表面改質法が提案されている。該文献に開示されたハイパーブランチ法による表面改質法では、効率よく化学官能基を固体表面に導入できる利点を有している。また、マイクロコンタクト プリンティング法との併用により、パターン状に化学官能基を固体表面に導入できうる。しかしながら、基板が金、銀などの貴金属基板に限定されるという問題点を有している。
【0022】
また別の方法が、Langmuir, 15, 7418-7421 (1999)に提案されている。該文献に開示された方法では、tert-ブトキシ基でカルボキシル基が保護された高分子フォトレジストを基板表面に塗布して、さらに光酸発生剤をその高分子フォトレジスト層の上に塗布する。マスク露光により、露光部で光酸発生剤から酸を形成させ、加熱(ポストベーク)処理により、高分子フォトレジスト層内の保護基を分解し、カルボン酸基を形成させることを特徴としている。露光部に形成されたカルボン酸基を化学修飾することにより、様々な機能材料を導入できる利点を有している。しかしながら、この方法においては、フォトレジストと支持基板との密着性の不良や、大量のフォトレジストを使用するので、環境面からその使用の低減化が求められる等、克服すべき課題は多い。
【0023】
上記のように、パターン状の有機超薄膜を使用して、金属配線基板等の電子・電気素子、遺伝子検出剤(DNAチップ)や細胞機能検出剤(バイオチップ)等の医療診断用素子、神経回路等の生物素子の作製が提案されている。特に、パターン状のアミノ基を含有する有機超薄膜が好まれて使用されている。光リソグラフィー法を用いたパターン状の有機超薄膜を作製するにあたり、より安価で取扱いが容易な光源を使用すること、生産性向上のための露光感度を向上させること、簡便な操作と最小の工程数で、環境低付加型技術により作製できることが強く求められている。
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
従って、本発明の目的は、電子・電気素子、医療診断用素子(遺伝子検出剤(DNAチップ)、生体機能検出剤(バイオチップ))、生物素子(ニューロン回路、神経回路)の製造に用いることのできる、生産性に優れると共に有機物含有廃棄物等の廃棄物の低減化を可能にする、高分子グラフト基板製造方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、紫外線を照射することによりスルフィン酸基を形成し得る感紫外線カップリング剤、及び活性化されたスルフィン酸基と化学反応し得る求核性官能基を含む化合物を用いた高分子グラフト基板製造方法が上記目的を達成し得るという知見を得た。
【0026】
すなわち、本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、(a)200〜400nmの波長を有する紫外線を照射することによりスルフィン酸基を形成し得る、芳香族スルホン構造を有するシラン化合物からなる感紫外線カップリング剤で基板を被覆して表面修飾基板を作製する工程;(b)上記表面修飾基板に紫外線を照射して基板表面にスルフィン酸基を形成させる工程;(c)上記基板表面に形成されたスルフィン酸基を活性化させる化学処理を施す工程;及び(d)活性化されたスルフィン酸基と化学反応し得る求核性官能基を含み、該求核性官能基と同種もしくは異種の多価官能基から構成される化合物を、上記スルフィン酸基と化学反応させる工程を含むことを特徴とする高分子グラフト基板製造方法を提供するものである。
【0027】
上記高分子グラフト基板製造方法によれば、極めて低い照射光量である紫外線露光により基板の表面を改質することができ、すなわち生産性が優れると共に、基板表面に必要量の化学物質を逐次化学吸着させて作製する「ビルトアップ(built up)型工法」であるので、有機物含有廃棄物等の廃棄物の量を低減化することが可能となり得る。
【0028】
本発明の高分子グラフト基板の製造方法に用いられる感紫外線カップリング剤としては、紫外線を照射することによりスルフィン酸基を形成し得るものであれば、特に制限なく用いることができる。このような感紫外線カップリング剤としては、例えば芳香族スルホン構造を含有するシラン化合物が挙げられる。
また、上記芳香族スルホン構造を含有するシラン化合物としては、下記一般式I、II、III又はIVで示される化合物が挙げられる。
【0029】
【化5】
【0030】
(上記式中、R1はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基であり、R2は水素またはアルキル基であり、R3及びR4は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキル基であり、R5は、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキルチオ基、トリフルオロアルキル基、トリフルオロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基、ブロモアルキル基、クロロアルキル基、炭素数1から16までの直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基からなるアルキル基またはアルキルオキシ基からなる群から選択される一価官能基であり、xは0、1、2又は3である。)
【0031】
【化6】
【0032】
(上記式中、R6はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基であり、R7は水素またはアルキル基であり、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキル基であり、R10及びR11は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリフルオロアルキル基及びトリフルオロアルコキシ基からなる群から選択される一価官能基であり、xは0、1、2又は3である。)
【0033】
【化7】
【0034】
(上記式中、R12はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基であり、R13は水素またはアルキル基であり、R14及びR15は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキル基であり、xは0、1、2又は3である。)
【0035】
【化8】
【0036】
(上記式中、R16はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基であり、R17は水素またはアルキル基であり、R18及びR19は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、チオシアナト基、ヒドロキシル基、アジド基、アルキルチオ基、トリフルオロアルキル基、トリフルオロアルコキシ基、ジフルオロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、メタンスルホンアミド基、アセトアミド基、ジアルキルアミノ基、ベンゾイル基、ブロモアルキル基、クロロアルキル基、フェニル基、フェニルオキシ基、炭素数1から16までの直鎖または分岐状の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基からなるアルキル基またはアルキルオキシ基からなる群から選択される一価官能基であり、xは0、1、2又は3である。)
【0037】
本発明の高分子グラフト基板製造方法において用いられる紫外線は、波長が200〜400nmの紫外線を用いることが好ましい。前記芳香族スルホン構造を含有するシラン化合物においては、電子線及びX線を活性エネルギー線として用いることが可能である。また、本発明の高分子グラフト基板製造方法においては、紫外線を基板にパターン状に照射することが好ましい。紫外線照射をパターン状に行うことにより、基板上にパターン状の感紫外線カップリング剤から形成される表面修飾基板、さらにはパターン状の高分子グラフト基板を製造することができる。
【0038】
本発明の高分子グラフト基板製造方法において用いられる、活性化されたスルフィン酸基と化学反応し得る求核性官能基を含み、該求核性官能基と同種もしくは異種の多価官能基から構成される化合物は、求核性官能基としてアミノ基を含むものが好ましい。アミノ基を含む化合物を用いることにより、本発明の高分子グラフト基板製造方法により得られた高分子グラフト基板を用いて、金属配線基板等の電子・電気素子、遺伝子検出剤(DNAチップ)及び生体機能検出剤(バイオチップ)等の医療診断用素子、神経回路等の生物素子を製造するのに好都合である。
【0039】
本発明において用いられる、上記化合物としては、デンドリマーを例示することができる。このようなデンドリマーを用いることにより、極めて低い照射光量の紫外線露光により基板の表面改質が可能であり、金属配線基板等の電子・電気素子、遺伝子検出剤(DNAチップ)及び生体機能検出剤(バイオチップ)等の医療診断用素子、神経回路等の生物素子を製造するのに好都合となる。
【0040】
本発明の高分子グラフト基板製造方法は、紫外線をパターン状に照射して基板上にパターンを形成することができる。このように基板上にパターンを形成させることにより、金属配線基板等の電子・電気素子、遺伝子検出剤(DNAチップ)及び生体機能検出剤(バイオチップ)等の医療診断用素子、神経回路等の生物素子を製造するのに好都合となる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高分子グラフト基板製造方法について説明する。
本発明の高分子グラフト基板製造方法は、(a)200〜400nmの波長を有する紫外線を照射することによりスルフィン酸基を形成し得る、芳香族スルホン構造を有するシラン化合物からなる感紫外線カップリング剤で基板を被覆して表面修飾基板を作製する工程;(b)上記表面修飾基板に紫外線を照射して基板表面にスルフィン酸基を形成させる工程;(c)上記基板表面に形成されたスルフィン酸基を活性化させる化学処理を施す工程;及び(d)活性化されたスルフィン酸基と化学反応し得る求核性官能基を含み、該求核性官能基と同種もしくは異種の多価官能基から構成される化合物を、上記スルフィン酸基と化学反応させる工程を含むことを特徴とする。
【0042】
工程(a)において、紫外線を照射することによりスルフィン酸基を形成し得る感紫外線カップリング剤で基板を被覆して表面修飾基板を作製する。
本発明の高分子グラフト基板製造方法において用いられる基板としては、金属配線基板等の電子・電気素子、遺伝子検出剤(DNAチップ)や生体機能検出剤(バイオチップ)等の医療診断用素子、神経回路等の生物素子を作製するために用いられているものを用いることができ、例えばシリコン、ガラス、セメント、陶磁器等のセラミックス又はニューセラミックス、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、エポキシ樹脂等のポリマー、該ポリマーにガラスフィラー等を混合した複合材料、活性炭、多孔質ガラス、多孔質セラミックス、多孔質シリコン、多孔質活性炭、織編み物、不織布、濾紙、炭素繊維、メンブレンフィルター等の多孔質物質等が挙げられる。
【0043】
本発明の高分子グラフト基板製造方法において用いられる感紫外線カップリング剤としては、紫外線を照射することによりスルフィン酸基を形成し得る感紫外線カップリング剤であれば特に制限なく用いることができる。このような感紫外線カップリング剤としては、例えば芳香族スルホン構造を含有するシラン化合物が挙げられる。
【0044】
上記シラン化合物としては、例えば上記一般式(I)、(II)、(III)又は(IV)で示される化合物が挙げられる。
【0045】
上記一般式(I)において、R1はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基である。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられ、塩素が好適に用いられる。アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基が挙げられる。
上記一般式(I)において、R2は水素またはアルキル基である。アルキル基としては、例えばエチル基、メチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
【0046】
上記一般式(I)において、R3及びR4は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキル基である。アルキル基としては、例えばエチル基、メチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
上記一般式(I)において、R5は、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキルチオ基、トリフルオロアルキル基、トリフルオロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基、ブロモアルキル基、クロロアルキル基、炭素数1から16までの直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基からなるアルキル基またはアルキルオキシ基からなる群から選択される一価官能基である。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられ、アルキル基としては、エチル基、メチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基が挙げられ、アルキルチオ基としてはメチルチオ基及びエチルチオ基が挙げられ、トリフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基及びトリフルオロエチル基が挙げられ、トリフルオロアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基及びトリフルオロエトキシ基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が挙げられ、ブロモアルキル基としては、ブロモメチル基及びブロモエチル基が挙げられ、クロロアルキル基としては、クロロメチル基及びクロロエチル基が挙げられる。
また、上記一般式(I)において、xは0、1、2又は3である。
【0047】
上記一般式(II)において、R6はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基である。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられ、塩素が好適に用いられる。アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基が挙げられる。
上記一般式(II)において、R2は水素またはアルキル基である。アルキル基としては、例えばエチル基、メチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
【0048】
上記一般式(II)において、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキル基である。アルキル基としては、例えばエチル基、メチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
上記一般式(II)において、R10及びR11は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリフルオロアルキル基及びトリフルオロアルコキシ基からなる群から選択される一価官能基である。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられ、アルキル基としては、エチル基、メチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基が挙げられ、アルキルチオ基としてはメチルチオ基及びエチルチオ基が挙げられ、トリフルオロアルキル基としては、トリフルオロエチル基及びトリフルオロメチル基が挙げられる。トリフルオロアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基及びトリフルオロエトキシ基が挙げられる。
また、上記一般式(II)において、xは0、1、2又は3である。
【0049】
上記一般式(III)において、R12はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基である。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられ、塩素が好適に用いられる。アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基が挙げられる。
上記一般式(III)において、R13は水素またはアルキル基である。アルキル基としては、例えばエチル基、メチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
【0050】
上記一般式(III)において、R14及びR15は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキル基である。アルキル基としては、例えばエチル基、メチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
また、上記一般式(III)において、xは0、1、2又は3である。
【0051】
上記一般式(IV)において、R16はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基である。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられ、塩素が好適に用いられる。アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基が挙げられる。
上記一般式(IV)において、R17は水素またはアルキル基である。アルキル基としては、例えばエチル基、メチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
【0052】
上記一般式(IV)において、R18及びR19は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、チオシアナト基、ヒドロキシル基、アジド基、アルキルチオ基、トリフルオロアルキル基、トリフルオロアルコキシ基、ジフルオロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、メタンスルホンアミド基、アセトアミド基、ジアルキルアミノ基、ベンゾイル基、ブロモアルキル基、クロロアルキル基、フェニル基、フェニルオキシ基、炭素数1から16までの直鎖または分岐状の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基からなるアルキル基またはアルキルオキシ基からなる群から選択される一価官能基である。ハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられ、アルキル基としては、例えばエチル基、メチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基が挙げられ、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられ、トリフルオロアルキル基としては、トリフルオロエチル基及びトリフルオロメチル基が挙げられ、トリフルオロアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロエトキシ基等が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ、アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等が挙げられ、ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられ、ブロモアルキル基としては、ブロモメチル基、ブロモエチル基等が挙げられ、クロロアルキル基としては、クロロメチル基、クロロエチル基等が挙げられる。
また、上記一般式(IV)において、xは0、1、2又は3である。
【0053】
上記一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)で示されるシラン化合物は、下記一般式(V)で示される4−ビニルベンゼンスルホン酸クロリドを原料として用いて合成することが可能である。4−ビニルベンゼンスルホン酸クロリドを得るためには、市販品を用いてもよいし、Bull. Chem. Soc. Jpn., 56, 762-765 (1983)とChem. Mater., 4, 873-842 (1992)に記載の方法に基づき、4−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムに塩化チオニルを作用させて合成することができ、この方法によれば、安価に4−ビニルベンゼンスルホン酸クロリドを得ることができる。
【0054】
【化9】
【0055】
上記一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)で示される化合物の製造方法について説明する。粉末状の亜鉛等の還元剤を含むハイドロキノン存在下のアルカリ性水溶液に、上記一般式(V)を加える等をして、上記一般式(V)の4−ビニルベンゼンスルホン酸クロリドを還元する。テトラブチルアンモニウム ブロミド等の水溶性ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを加えて、水層から有機溶媒で還元された4−ビニルベンゼンスルホン酸クロリドを抽出する。抽出した有機層を濃縮および乾燥して、主として4−ビニルベンゼンスルフィン酸テトラアルキルアンモニウムを含む有機溶媒に可溶な有機物を得る。このようにして4−ビニルベンゼンスルホン酸クロリドから得た有機物に反応させる化合物としては、市販されているベンジルハライド誘導体、ナフチルメチルハライド誘導体、フェナシルハライド誘導体を用いてもよく、そのような化合物としては、ブロモメチルベンゼン(ベンジルブロミド)、ベンジルクロリド、ベンジルヨーダイド、1−ブロモメチル−4−メチルベンゼン、4−メチルベンジルブロミド(クロリド)、1−ブロモメチル−4−ニトロベンゼン、4−ニトロベンジルブロミド(クロリド、ヨーダイド)、1−ブロモ−4−ブロモメチルベンゼン、4−ブロモベンジルブロミド(クロリド)、4−フルオロベンジルブロミド(クロリド)、4−メチルオキシベンジルブロミド(クロリド)、4−(メチルチオ)ベンジルクロリド、4−エチルベンジルクロリド、4−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド(クロリド)、4−(ブロモメチル)ベンゾイルブロミド、4−(ブロモメチル)ベンジルブロミド、4−クロロベンジルブロミド(クロリド、ヨーダイド)、4−フェニルベンジルブロミド(クロリド、ヨーダイド)、4−フェニルベンジルブロミド(クロリド)、4−(メトキシカルボニル)ベンジルブロミド(クロリド)、4−ヨードベンジルブロミド(クロリド)、4−シアノベンジルブロミド(クロリド)、4−ベンゾイルベンジルブロミド、4−(ブロモメチル)ベンゾイルクロリド、4−(ブロモメチル)フェニルホウ酸、4−(ブロモメチル)ベンジルアルコール、4−(ヘキサデシルオキシ)ベンジルブロミド等のベンジルハライド誘導体;1−フェネチルブロミド、2−メチルベンジルブロミド、2−メチル−4−(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド等の分岐化合物;1−ナフタレニルメチルブロミド(クロリド)、1−(4−メチル)ナフタレニルメチルクロリド、1−(5−ニトロ)ナフタレニルメチルクロリド、1−(2−メチル)ナフタレニルメチルクロリド、2−ナフチルメチルブロミド(クロリド)、2−(3−メチル)ナフチルメチルブロミド(クロリド)等のナフチルメチルハライド誘導体;フェナシルブロミド(クロリド)、4−ブロモフェナシルブロミド、4−ニトロフェナシルブロミド、4−フェニルフェナシルブロミド(クロリド)、4−アセトアミドフェナシルクロリド、4−(トリフルオロメチル)フェナシルブロミド、4−フルオロフェナシルブロミド(クロリド)、4−クロロフェナシルブロミド(クロリド)、4−メチルフェナシルブロミド(クロリド)、4−メトキシフェナシルクロリド(ブロミド)、4−ヒドロキシフェナシルクロリド、4−シアノフェナシルブロミド、4-tert-ブチルフェナシルクロリド、4−フェノキシフェナシルブロミド、4−(メチルチオ)フェナシルブロミド、4−(メチルスルホニル)フェナシルブロミド、4−イソプロピルフェナシルブロミド、4−エトキシフェナシルブロミド、4−(チオシアナト)フェナシルブロミド、4−アジドフェナシルブロミド、4−フェニルフェナシルブロミド、4−ヘプチルフェナシルブロミド、4−(メタンスルホンアミド)フェナシルブロミド、4−メトキシフェナシルフルオライド、4−(トリフルオロメトキシ)フェナシルブロミド、4−(ジフルオロメトキシ)フェナシルブロミド、4−(ジエチルアミノ)フェナシルブロミド等の4−フェナシルハライド誘導体;3−ニトロフェナシルクロリド(ブロミド)、3−メトキシフェナシルブロミド、3−ブロモフェナシルブロミド、3−クロロフェナシルブロミド、3−フルオロフェナシルブロミド、3−シアノフェナシルブロミド等の3−フェナシルハライド誘導体等が挙げられる。
4−ビニルベンゼンスルホン酸クロリドを還元して得た有機物と、上記に例示した化合物とを有機溶媒中に混合し、反応させることにより、下記一般式(VI)、(VII)、(VIII)及び(IX)を得ることができる。反応に用いる有機溶媒としては、沸点の高い脂肪族エーテル化合物等が好ましく、テトラヒドロフラン及びジオキサンがより好ましい。
【化10 】
【0056】
上記一般式(VI)中のR3、R4及びR5は、前述の一般式(I)におけるR3、R4及びR5と同様である。
【化11】
【0057】
上記一般式(VII)中のR8、R9、R10及びR11は、前述の一般式(II)におけるR8、R9、R10及びR11と同様である。
【化12】
【0058】
上記一般式(VIII)中のR14及びR15は、前述の一般式(III)におけるR14及びR15と同様である。
【化13】
【0059】
上記一般式(IX)中のR18及びR19は、前述の一般式(IV)におけるR18及びR19と同様である。
上記一般式(VI)、(VII)、(VIII)および(IX)で示される化合物と、下記一般式(X)で示されるシラン化合物とを触媒下で反応させて、ハイドロシリレーション反応により、上記一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)に示されるシラン化合物を得る。ハイドロシリレーション反応に用いられる触媒であれば、特に制限は無い。反応触媒としては、白金触媒が好適に用いられ、ヘキサクロロ白金(IV)酸・六水和物等がより好適に用いられる。
HSi(R20)3-x(R21)X (X)
【0060】
上記一般式(X)中のR20は、一般式(I)のR1、一般式(II)におけるR6、一般式(III)におけるR12、一般式(IV)のR16と同じである。一般式(X)のR20としては、塩素、ブロモ、ヨウ素、フッ素のハロゲンが好適に用いられ、塩素がより好適に用いられる。R20として塩素を用いる場合、一般式(I)〜(IV)で示されるクロロシラン化合物が得られる。一般式(X)中のR21は、一般式(I)におけるR2、一般式(II)におけるR7、一般式(III)におけるR13、一般式(IV)のR17と同じである。一般式(X)のR21としては、水素またはアルキル基が挙げられ、アルキル基としては、メチル基が好適に用いられる。
上記のようにして得られた一般式(I)〜(IV)で示されるクロロシラン化合物から、一般式(I)におけるR1、一般式(II)におけるR6、一般式(III)におけるR12、一般式(IV)におけるR16をアルコキシル基又はイソシアナト基に変換することができる。アルコキシ基又はイソシアナト基への変換は、一般式(I)〜(IV)のクロロシラン化合物に、アルコール溶媒中で金属アルコキシド等を作用させて、一般式(I)〜(IV)で示されるアルコキシドシラン化合物を得ることができる(日本油化学会誌, vol 46(4), 405-411 (1997); Bull. Chem. Soc. Jpn, 66, 1754-1758 (1993); J. Fluorine Chem., 71, 21-29 (1995))。例えば、エタノール中でナトリウムエトキシドを作用させることにより、エトキシシラン化合物が、また、メタノール中でナトリウムメトキシドを作用させることにより、メトキシシラン化合物を得ることができる。
また、一般式(I)〜(IV)のクロロシラン化合物に、ベンゼン等の炭化水素溶媒中で、シアン酸銀等を作用させることにより、一般式(I)〜(IV)で示されるイソシアナトシラン化合物を得ることができる(J. Fluorine Chem., 79, 87-91 (1996))。
【0061】
感紫外線カップリング剤で基板を被覆する方法としては、例えば基板を感紫外線カップリング剤の溶液に浸漬する方法が挙げられる。また、基板を感紫外線カップリング剤の蒸気下に配置し、化学蒸着させる方法を利用することもできる。感紫外線カップリング剤の溶液に用いられる溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル、ヘキサン等の炭化水素、アセトン、エタノール等のアルコールが挙げられる。浸漬時間は1分〜6時間程度が好ましく、30分〜2時間が更に好ましい。浸漬温度は、使用する溶媒の融点から沸点の範囲が好ましく、室温付近の15〜35℃がより好ましい。また、基板を感紫外線カップリング剤溶液に浸漬した後、浸漬に使用した清浄な溶媒で洗浄し、次いで乾燥させることが好ましい。基板を感紫外線カップリング剤溶液に浸漬する場合、感紫外線カップリング剤溶液の濃度は、0.001〜20質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%程度であることがより好ましい。このようにして作製された表面修飾基板の最表面有機層の厚みは約1〜10nm程度である。すなわち、超薄膜である。モノハロゲン化シリル基、モノアルコキシシリル基、モノイソシアナトシリル基を含有する感紫外線カップリング剤溶液に浸漬して作製された表面修飾基板の最表面有機層の厚みは、約1nm程度である。すなわち、単分子膜である。
【0062】
次いで、工程(b)において、表面修飾基板に紫外線を照射して基板表面にスルフィン酸基を形成させる。工程(b)において表面修飾基板に照射する紫外線としては、その波長が200〜400nmの紫外線を用いることが好ましい。紫外線を照射するための光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、水銀キセノン灯、メタルハライドエキシマーランプ、キセノンエキシマーランプ、各種レーザー等を用いることができる。また、本発明の高分子グラフト基板製造方法においては、上記構成からなるので、照射する紫外線の露光量は通常よりも極めて低くてよく、1〜1500mJ・cm−2程度の露光量でよく、より好ましくは10〜200mJ・cm−2程度の露光量でよい。
【0063】
次いで、工程(c)において、基板表面に形成されたスルフィン酸基を活性化させる化学処理を施す。スルフィン酸基を活性化させるとは、次の工程(d)において求核性官能基を含む化合物と化学反応し得るようにすることを意味する。例えば、塩化チオニル、五塩化リン、トリフルオロ酢酸無水物、ジイソプロピルカルボジイミド等のカルボジイミド誘導体、ペンタフルオロフェノール、ニトロフェノール等の化合物を作用させる処理のことをいう。例えば塩化チオニルを用いる場合、スルフィン酸基を活性化させるためには、紫外線照射後の基板を液体の塩化チオニルに浸漬することが好ましい。浸漬時間は10分〜5時間が好ましく、30分〜2時間程度がより好ましい。浸漬温度は、室温付近の15〜35℃程度が好ましい。
【0064】
次いで、工程(d)において、工程(c)において活性化されたスルフィン酸基と化学反応し得る求核性官能基を含み、該求核性官能基と同種もしくは異種の多価感応基から構成される化合物を、上記スルフィン酸基と反応させる。工程(d)において用いられる化合物は求核性官能基を含む化合物であり、求核性官能基とは、例えば塩基性官能基であり、例えばアミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基等を意味する。そして、かかる求核性官能基は、上記工程(c)において活性化されたスルフィン酸基と化学反応し得るものである。
【0065】
上記工程(d)において用いられる化合物は、上記求核性官能基と同種もしくは異種の多価官能基から構成されるものである。すなわち、上記化合物は、上記の求核性官能基を複数含む化合物であってもよく、上記求核性官能基とは異なる官能基から構成される化合物であってもよい。
【0066】
上記化合物の具体例としては、デンドリマーが挙げられる。デンドリマーとは、樹状に枝分かれした高分子化合物を意味する。デンドリマーの具体例としては、ポリ(アミドアミン)デンドリマーとポリ(プロピレンイミン)デンドリマー等が挙げられる。ポリ(プロピレンイミン)デンドリマーの具体例としては、アミノ基を2個有する第0世代のエチレンジアミン、アミノ基を4個有する第1世代のテトラアミンデンドリマー、アミノ基を8個有する第2世代のオクタアミンデンドリマー、アミノ基を16個有する第3世代のヘキサデカアミンデンドリマー、アミノ基を32個有する第4世代のドトリアコンタアミンデンドリマー、アミノ基を64個有する第5世代のテトラヘキサコンタアミンデンドリマー等が挙げられる。上記第1世代から第4世代の多価アミンデンドリマーの化学構造式を下記に示す。
【0067】
【化14】
【0068】
【化15】
【0069】
【化16】
【0070】
【化17】
【0071】
上述のようなアミンデンドリマーの中でも、含まれるアミノ基の数の多い方が低い照射光量の紫外線露光により基板表面を改質することができるので好ましい。この場合、基板表面に露出するアミノ基の数が多いので、その後にバイオチップ、DNAチップ等を作製する際にも好都合である。本発明の高分子グラフト基板製造方法において用いられる化合物としては、上述のデンドリマーに限定されないことはいうまでもない。使用可能な化合物としては、例えばポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリウレタン、尿素ポリマー等の求核性官能基を含有する高分子化合物をはじめ、ポリペプチド、タンパク質、酵素、DNA、抗原、抗体等の求核性官能基を含有する生体高分子、さらには求核性官能基を含有する生体細胞、神経細胞が挙げられる。また、表面に求核性官能基を有する高分子微粒子、ラテックス微粒子、シリカ微粒子等の金属酸化物微粒子、金属微粒子、磁性微粒子等が挙げられる。
【0072】
上記工程(d)における、化合物とスルフィン酸基との化学反応は、上記工程(c)においてスルフィン酸基は活性化されているので、化合物の溶液に基板を浸漬することにより実施することができる。この場合の温度は使用する溶媒の融点から沸点の範囲でよく、室温付近の15〜35℃程度がより好ましい。浸漬時間は10分から24時間の範囲でよく、30分から2時間程度がより好ましい。
【0073】
本発明の高分子グラフト基板製造方法の工程を図1に簡単に示す。図1は、本発明の高分子グラフト基板製造方法の工程を示す図である。
図1において、まず感紫外線カップリング剤で基板を被覆する(工程(a))。図1において、基板としてはシリコンを用い、感紫外線カップリング剤としては、紫外線の照射によりスルフィン酸基を形成し得る化合物を用いている。図1中においては、感紫外線カップリング剤の構造式の詳細については省略して記載した。
次いで、紫外線を照射することにより、感紫外線カップリング剤の一部が切断され、スルフィン酸基が形成される(工程(b))。スルフィン酸基が形成された後、基板を塩化チオニルで処理することによりスルフィン酸基を活性化させる(工程(c))。
スルフィン酸基を活性化させた後、(活性化されたスルフィン酸基と化学反応し得る求核性官能基(図1においてはアミノ基)を含み、アミノ基を複数含む化合物(アミノ基を32個有するドトリアコンタアミンデンドリマー)を反応させる(工程(d))。
【0074】
本発明の高分子グラフト基板製造方法によって得られる高分子グラフト基板は、微細加工を行うものに対して適用が可能であり、金属配線基板等の電子・電気素子、遺伝子検出剤(DNAチップ)や生体機能検出剤(バイオチップ)等の医療診断用素子、神経回路等の生物素子等に適用可能である。
【0075】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1
4−(フェニルメチルスルホニル)−1−ビニルベンゼンの合成
ヒドロキノン(2.02 x 10-1 g, 1.82 mmol)及び亜鉛粉末 (8.00 g, 1.20 x 10-1 mol)を水 (100 ml)に加え、攪拌しながら水の温度を60 °Cにまで加熱した。次いで、水溶液にp−スチレンスルホニルクロリド(5.00 g, 25.0 mmol)を加え、60〜80 °Cの温度で30分間撹拌した。氷浴を用いて水溶液の温度を室温まで冷却した後、12 mol dm-3 水酸化ナトリウム水溶液 (2 ml)及び飽和炭酸ナトリウム水溶液を徐々に加え、水溶液のpHを11に調製し、室温で30分間撹拌した。
【0076】
反応溶液をろ過し、ろ液に、テトラブチルアンモニウム ブロミド(8.01 g 24.8 mmol)を水(10 ml)に溶解させた溶液を加えて1時間撹拌した。反応溶液をジクロロメタンで抽出した後、溶媒の減圧留去を行い、薄茶色の粘性液体を得た。得られた粘性液体にベンジルブロミド(6.42 g, 37.5 mmol)及びテトラヒドロフラン (45 ml)を加えて、22時間還流した。還流を行った後、放冷し、溶媒の減圧留去を行い、ジクロロメタンで有機層を抽出した。得られた有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、ジクロロメタン及びヘキサンから再結晶を行い、4−(フェニルメチルスルホニル)−1−ビニルベンゼン(2.95 g)を白色針状結晶として収率46%で得た。
m. p.: 122‐126 °C
Anal. Found: C, 69.70 %; H, 5.52 %
Calc. for C15H14O2S: C, 69.74 %; H, 5.46 %
1H NMR(200 MHz, CDCl3) δ: 7.56 (2H, d, J = 9), 7.44 (2H, d, J = 9), 7.29 (2H, d, J = 7), 7.10 (2H, d, J = 7) , 6.75 (1H, dd, J = 11, 17), 5.88 (1H, d, J = 17), 5.45 (1H, d, J = 11), 4.31 (2H, s)
IR(KBr): 1311 (νS=O, Ar-SO2-R), 1149 (νS=O, Ar-SO2-R) cm-1
【0077】
実施例2
2−(4−(フェニルメチルスルホニル)フェニル)エチルクロロジメチルシランの合成
実施例1で得られた4−(フェニルメチルスルホニル)−1−ビニルベンゼン(5.12 g, 19.8 mmol)、クロロジメチルシラン (10.0 g, 1.0 x 102 mmol)、及びヘキサクロロ白金 (IV) 酸・六水和物 (2.5 x 10-2 g, 61.3 x 10-2 mol)を耐圧容器に入れ、密栓下100 °Cの温度で17時間撹拌した。反応溶液を放冷した後、反応物をヘキサン200mlに注ぎ、沈殿物をろ過して粗生成物を得た。熱ヘキサンから再結晶を行い、2−(4−(フェニルメチルスルホニル)フェニル)エチルクロロジメチルシラン(4.08 g)を白色板状結晶として収率59 %で得た。
【0078】
m. p.: 146-148 °C
Anal. Found: C, 57.74 %; H, 5.88 %
Calc. for C17H21ClO2SSi: C, 57.85 %; H, 6.00 %
1H NMR(200 MHz, CDCl3) δ: 7.53 (2H, d, J = 9), 7.28 (2H, d, J = 9), 7.25 (2H, d, J = 8), 7.08 (2H, d, J = 8 ) , 4.29 (2H, s) , 2.86-2.77 (2H, m), 1.22-1.13 (2H, m), 0.44-0.40 (6H, m)
IR(KBr): 1309 (νS=O, Ar-SO2-R), 1153 (νS=O, Ar-SO2-R), 1254 (νSi-C, Si-CH3), 2957 (νC-H, -CH3) cm-1
【0079】
実施例3
濃硫酸及び30%過酸化水素水溶液からなる混合液(体積比7:3)に表面酸化シリコン基板を1時間浸漬し、次いで脱イオン水により基板を洗浄した後、乾燥し、清浄な表面酸化シリコン基板を得た。実施例2で得られた2−(4−(フェニルメチルスルホニル)フェニル)エチルクロロジメチルシランを脱水トルエンに1質量%濃度になるように溶解し、1質量%のシランカップリング剤溶液を調製した。
【0080】
得られたシランカップリング剤溶液に、洗浄した表面酸化シリコン基板を60分間浸漬し、清浄なトルエンとメタノールにより表面酸化シリコン基板を洗浄した後、乾燥空気による乾燥を行い、感紫外線シランカップリング剤で表面被覆した基板を得た。得られた表面被覆基板の表面被覆膜の膜厚を原子間力顕微鏡及びエリプソメトリー測定により調べたところ、約1nmの膜厚を有していた〔工程(a)に対応〕。
【0081】
次いで、表面被覆基板に波長254nmで露光量50 mJ・cm-2の200WのHg−Xe灯からの紫外線を照射した(工程(b)に対応)。紫外線を照射した後、基板を、液体の塩化チオニルに60分間浸漬し、活性化処理を行った〔工程(c)に対応〕。活性化処理を施した基板を、アミノ基を32個有するドトリアコンタアミンデンドリマーの1−ブタノール溶液(濃度:1質量%)に、60分間浸漬し、1−ブタノール、脱イオン水及びメタノールにより洗浄を行った後、乾燥し、ドトリアコンタアミンデンドリマーをグラフトした基板を得た。
【0082】
得られたドトリアコンタアミンデンドリマーのグラフト基板は、脱イオン水に対する静的接触角が40°であり、動的後退角は10°未満であった。得られたドトリアコンタアミンデンドリマーのグラフト基板のアミノ基の表面密度をダブシルクロリドを用いて測定した結果、アミノ基の表面密度は3.3個・nm-2であった〔工程(d)に対応〕。
また、上述したドトリアコンタアミンデンドリマーのグラフト基板の製造方法は、従来よりも有機物含有廃棄物の量が少なかった。
【0083】
実施例4
紫外線照射を、波長254nmで露光量100、500、1000、1500mJ・cm-2の200WのHg−Xe灯からの紫外線を用いた以外は実施例3と同様に操作を行い、ドトリアコンタアミンデンドリマーをグラフトした基板を得た。得られたドトリアコンタアミンデンドリマーの静的接触角は40°であり、動的後退角は10°未満であった。
【0084】
同様に、アミノ基を16個、8個、4個及び2個有するアミンデンドリマーを用いてアミンデンドリマーをグラフトした基板を得た。それぞれ、静的接触角を測定した。それぞれのアミンデンドリマーを用いてグラフトした基板の静的接触角と露光量との関係を図2に示す。図2は、各種のアミンデンドリマーを用いてグラフトした基板の静的接触角と露光量との関係を示すグラフである。図2において、G−0、G−1、G−2、G−3及びG−4は、それぞれ2個、4個、8個、16個及び32個のアミノ基を有する第0世代、第1世代、第2世代、第3世代、第4世代のポリ(プロピレンイミン)アミンデンドリマーを示す。図2から明らかなように、G−3及びG−4においては、50mJ・cm-2の程度の露光量で基板表面の改質効果が認められた。また、その他のアミンデンドリマーを用いた場合も、500mJ・cm-2の程度の露光量で基板表面の改質効果が認められた。
【0085】
実施例5
ドトリアコンタアミンデンドリマーに代え、アミノ基を16個有するヘキサデカアミンデンドリマーを用い、紫外線照射を波長254nmで露光量100 mJ・cm-2以上行った以外は実施例3と同様に操作を行い、ヘキサデカアミンデンドリマーをグラフトした基板を得た。得られたヘキサデカアミンデンドリマーの静的接触角は約40°であり、動的接触角は10°未満であった。
【0086】
実施例6
紫外線照射を、フォトマスクを通して行った以外は実施例3と同様に操作を行い、ドトリアコンタアミンデンドリマーでグラフトされた基板を得た。図3は、1μmのライン&スペースでマスク露光を行って作製した、膜厚4〜6nmでパターン状にドトリアコンタアミンデンドリマーをグラフトした基板の原子間力顕微鏡像である。図3に示すように、基板表面に、ドトリアコンタアミンデンドリマーがマスクパターンに従って紫外線の露光部にグラフトされていることがわかる。
また、図4には、上述のようにして得られたドトリアコンタアミンデンドリマーをグラフトした基板上に水滴を凝縮させた時の光学顕微鏡像を示す。図4から明らかなように、アミンデンドリマーのグラフトにより、露光された部分が親水化されたことがわかる。
【0087】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の高分子グラフト基板製造方法によれば、従来よりも極めて低い照射光量である紫外線露光により表面を改質することができ、すなわち生産性に優れており、また本発明の高分子グラフト基板製造方法は、従来よりも有機物含有廃棄物等の廃棄物の量が少ない方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高分子グラフト基板製造方法の工程を示す図である。
【図2】 各種のアミンデンドリマーを用いてグラフトした基板の脱イオン水に対する静的接触角と露光量との関係を示すグラフである。
【図3】 本発明の高分子グラフト基板製造方法により得られたパターン状の高分子グラフト基板の原子間力顕微鏡像である。
【図4】 本発明の高分子グラフト基板製造方法により得られたパターン状の高分子グラフト基板上に水滴を凝縮させた時の光学顕微鏡像である。
Claims (6)
- (a)200〜400nmの波長を有する紫外線を照射することによりスルフィン酸基を形成し得る、芳香族スルホン構造を有するシラン化合物からなる感紫外線カップリング剤で基板を被覆して表面修飾基板を作製する工程;
(b)上記表面修飾基板に紫外線を照射して基板表面にスルフィン酸基を形成させる工程;
(c)上記基板表面に形成されたスルフィン酸基を活性化させる化学処理を施す工程;及び
(d)活性化されたスルフィン酸基と化学反応し得る求核性官能基を含み、該求核性官能基と同種もしくは異種の多価官能基から構成される化合物を、上記スルフィン酸基と化学反応させる工程
を含むことを特徴とする高分子グラフト基板製造方法。 - 前記シラン化合物が下記一般式I、II、III又はIVで示される、請求項1に記載の高分子グラフト基板製造方法。
(上記式中、R1はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基であり、R2は水素またはアルキル基であり、R3及びR4は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキル基であり、R5は、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキルチオ基、トリフルオロアルキル基、トリフルオロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ベンゾイル基、ブロモアルキル基、クロロアルキル基、炭素数1から16までの直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基からなるアルキル基またはアルキルオキシ基からなる群から選択される一価官能基であり、xは0、1、2又は3である。)
(上記式中、R6はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基であり、R7は水素またはアルキル基であり、R8及びR9は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキル基であり、R10及びR11は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、トリフルオロアルキル基及びトリフルオロアルコキシ基からなる群から選択される一価官能基であり、xは0、1、2又は3である。)
(上記式中、R12はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基であり、R13は水素またはアルキル基であり、R14及びR15は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素またはアルキル基であり、xは0、1、2又は3である。)
(上記式中、R16はハロゲン、アルコキシ基及びイソシアナト基からなる群から選択される一価官能基であり、R17は水素またはアルキル基であり、R18及びR19は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、チオシアナト基、ヒドロキシル基、アジド基、アルキルチオ基、トリフルオロアルキル基、トリフルオロアルコキシ基、ジフルオロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、メタンスルホンアミド基、アセトアミド基、ジアルキルアミノ基、ベンゾイル基、ブロモアルキル基、クロロアルキル基、フェニル基、フェニルオキシ基、炭素数1から16までの直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基からなるアルキル基またはアルキルオキシ基からなる群から選択される一価官能基であり、xは0、1、2又は3である。) - 前記求核性官能基がアミノ基である、請求項1又は2に記載の高分子グラフト基板製造方法。
- 前記化合物がデンドリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子グラフト基板製造方法。
- 紫外線をパターン状に照射して基板上にパターンを形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子グラフト基板製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子グラフト基板製造方法により得られた高分子グラフト基板。
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