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JP4020679B2 - プラズマプロセス装置 - Google Patents
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JP4020679B2 - プラズマプロセス装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマプロセス装置に関し、より特定的には、半導体装置、液晶表示装置、太陽電池などの製造プロセスにおいて使用されるエッチング装置、成膜装置、アッシング装置などのプラズマプロセス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体装置や液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)などの製造プロセスにおいて、基板に対する成膜処理やエッチング処理などを行なうプラズマプロセス装置が知られている。近年、半導体装置や液晶表示装置の製造に用いられる基板が大型化してきていることに伴って、基板を処理するプラズマプロセス装置も、大型の基板を処理対象とした物が開発されてきている。
【0003】
特に、液晶表示装置の製造に用いるプラズマプロセス装置については、基板サイズが1m角以上の基板を対象とした製造装置が開発されてきている。このようなプラズマプロセス装置においては、形成されるプラズマの均一性、さらにプラズマプロセス自体の均一性が課題となっている。
【0004】
ここで、従来から主に用いられてきた容量結合型のプラズマ源を利用したプラズマプロセス装置に比べて、誘導結合型のプラズマ源やマイクロ波を用いたプラズマ源を利用したプラズマプロセス装置は、プラズマ源と基板バイアス状態とを独立して制御できるという特徴がある。そのため、容量結合型のプラズマ源を利用したプラズマプロセス装置より、誘導結合型またはマイクロ波を用いたプラズマ源を利用したプラズマプロセス装置の方が、プラズマやプラズマプロセスの均一性および制御性の面で優れていると言える。そのため、近年、誘導結合型またはマイクロ波を用いたプラズマ源を利用したプラズマプロセス装置が広く用いられるようになってきている。
【0005】
上述した誘導結合型またはマイクロ波を用いたプラズマ源を利用したプラズマプロセス装置の例として、たとえばマイクロ波を利用したプラズマプロセス装置、ICPプラズマプロセス装置、あるいはヘリコン波プラズマプロセス装置などが挙げられる。これらのプラズマプロセス装置の場合、周波数がおよそ10MHz〜10GHzの高周波の電磁波を利用する。このような電磁波のエネルギーは、プラズマプロセスを行なうための処理室の内部へ通常誘電体を介して導入される。この誘電体としては、一般に板状あるいは板状の誘電体を一部加工したものが用いられる。
【0006】
このようなプラズマプロセス装置において、1m角程度以上の大型基板に対するプロセスの均一性を確保するためには、上記誘電体のサイズをできるだけ大きくして、電磁波を広い範囲に導入する必要がある。一方、誘電体は通常、処理室の外部の雰囲気(大気)から処理室内部を隔離するための真空封止部としての役割も有する。そのため、処理室内部を減圧した際に、大気圧に耐えることができるように、誘電体の厚さをある程度厚くする必要がある。このように、誘電体はそのサイズ(広さ)および厚さをともに大きくする必要がある。
【0007】
しかし、誘電体の材料の種類によっては、大きなサイズ(広さ)に加工することが難しい場合や、加工が可能であっても、その加工コストが極めて高価になる場合があった。また、このように誘電体のサイズを大きくすると、誘電体自体の質量も重くなり、メンテナンス時などでの誘電体のハンドリングが難しくなる場合もあった。
【0008】
このような問題を解決するため、たとえば、特開2000−12291公報では、1枚の誘電体のサイズを大きくするのではなく、処理対象である基板の面積より小さい面積に分割した複数の誘電体を用いて、処理室の内部に電磁波を導入するプラズマプロセス装置が開示されている。図8は、特開2000−12291公報に開示されたプラズマプロセス装置の断面模式図である。図9は、図8に示したプラズマプロセス装置の支持枠および封止板の平面模式図である。図8および図9に従って、特開2000−12291公報に開示されたプラズマプロセス装置を説明する。
【0009】
図8および図9に示すように、プラズマプロセス装置は、その内部に基板109を保持する反応容器121と、この反応容器121の内部に反応ガスを供給するための配管と、反応容器121の内部に供給するためのマイクロ波を発生させるマイクロ波発振器125と、マイクロ波発振器125から反応容器121へマイクロ波を伝播させるマイクロ波導波路124とを備える。反応容器121の底部には反応容器121の内部からガスを排出するための排気管が形成されている。
【0010】
反応容器121の上部であって導波路124と対向する領域には、マイクロ波の導入窓122が形成されている。この導入窓122には、図9に示したような支持枠130が架設されている。支持枠130には3行3列(合計9箇所)に開口部が形成されている。開口部の間の間隔はほぼ等しくなっている(開口部はほぼ均等に配置されている)。それぞれの開口部は封止板123により封止されている。封止板123は窒化アルミやアルミナなどの誘電体により構成されている。封止板123と支持枠130との接触部にはOリング126が設置されている。また、支持枠130には、開口部の間に冷却水を流通させるための媒体流路127が形成されている。媒体流路127には冷却水循環装置128が接続されている。
【0011】
上述のような構成のプラズマプロセス装置では、マイクロ波発振器125から発振されたマイクロ波は、導波路124および均等に(ほぼ等しい間隔で)配置された封止板123を介して反応容器121の内部に導入される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来のプラズマプロセス装置では、以下のような問題があった。つまり、図8および図9に示したようなプラズマプロセス装置では、反応容器121の内部にマイクロ波を導入するための導入部となる封止板123の間の間隔が上述のようにほぼ均一となっている。この場合、マイクロ波(電磁波)の入力側から見た反応容器121の内部の負荷状態は、反応容器121の側壁に近い側(反応容器121の外周側)と、反応容器121の側壁から遠い側(反応容器121の中央部側)とにおいてそれぞれ異なる。また、反応容器121の内部の構造が複雑である場合も、その内部の構造によっては反応容器121における上記外周側と中央部側とで負荷状態が異なる場合がある。
【0013】
このため、各封止板123にほぼ同一条件のマイクロ波を供給できたとしても、導入部(封止板123)の位置によって、反応容器121の内部において上記マイクロ波により形成されるプラズマの分布が異なる場合があった。つまり、上述したようにマイクロ波の導入部(封止板123)の間隔が均等となるように導入部が配置されている場合、反応容器121の内部に形成されるプラズマの均一性を向上させることには限界があった。この結果、プラズマプロセスの均一性を向上させることが困難な場合があった。
【0014】
なお、ここで導入部とは、マイクロ波を利用したプラズマプロセス装置のうち、スロットアンテナ方式においてはスロットアンテナの開口部を意味し、マイクロ波を利用したプラズマプロセス装置のうちの他の方式、たとえばICP型やヘリコン波型などのプラズマプロセス装置ではマイクロ波を透過させる誘電体部を意味する。
【0015】
上述のような問題に対応するため、反応容器121において封止板123のようなマイクロ波の導入部の数を増やし、導入部の位置によってマイクロ波発振器125の出力を変えると言うような対応を行なえば、導入部をほぼ等間隔で配置した場合であってもプラズマやプラズマプロセスの均一性を確保することは可能であると思われる。しかし、1つの導入部についてプラズマを生成するために要するエネルギーの値はほとんど変わらない。そのため、導入部の数を増加させた場合、その増加した導入部のすべてにおいてプラズマを発生させるためには、増加した導入部に対応して大出力の電源が多数必要となる。また、この場合、増設した多数の電源のための大きな設置スペースを確保する必要もある。さらに、各電源ごとの出力調整を行なう制御が複雑化する。このため、上述のような対応は現実的ではない。
【0016】
さらに、数百MHz以上の周波数のマイクロ波を用いる場合、マイクロ波発振器と反応容器とを接続するためには主に導波管を用いる。マイクロ波より低い周波数の電磁波を伝送する場合に用いられる同軸ケーブルとは異なり、導入部の数が増えた場合にこのような導波管はその引き回しが複雑化するので、メンテナンスなどのために導波管を着脱するといった作業の作業性が悪化する場合もあった。
【0017】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、必要な電源の出力を大きくすることなく、プラズマプロセスの均一性を向上させることが可能なプラズマプロセス装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
すでに述べたように、ほぼ1m角以上の大型の基板に対して、プラズマプロセスの均一性を向上させるため、たとえばマイクロ波発振源から導入導波管、スロットアンテナおよび誘電体を介して処理室の内部にプラズマを形成するためのマイクロ波を導入するようなプラズマプロセス装置では、導入導波管、スロットアンテナおよび誘電体からなり、均一に分散配置された導入系組の増設や、スロットアンテナにおけるスロットの増設が一般的に行なわれる。しかし、発明者が検討した結果、処理室に導入するマイクロ波の全エネルギーを一定にした場合、上記導入系組の増設やスロットの増設によって、1つのスロットあたりに導入されるマイクロ波のエネルギーは減少することになる。そのため、各スロットから処理室に導入されたマイクロ波について、プラズマを励起するためのエネルギーが不足することにより、プラズマの生成が正常に行なえない場合があった。
【0019】
また、上述のようにスロットの数が増えた場合に、形成された全てのスロットから、プラズマを励起するために十分なエネルギーのマイクロ波を放出するためには、マイクロ波の全エネルギーをスロット数に比例して増大させる必要がある。つまり、導入系組やスロットの増設に対応して、マイクロ波に十分なエネルギーを供給するための大出力の電源を増設する必要がある。
【0020】
そこで、発明者は、導入系組やスロットの増設を伴わず(すなわち、電源の増設を伴わず)、プラズマプロセスの均一性を向上させる方法について様々な実験を行なった結果、本発明を完成するに至った。すなわち、スロット毎に処理室内部の負荷状態が異なるのは、各スロットから見た場合の処理室内部の構造物の配置などの条件(各スロットから見た場合の側壁までの距離や基板を搭載するための基板ホルダなどの位置)が異なることが主な原因の1つであると考えられる。そこで、発明者は、導入系組の数を増やすのではなく、処理室内部の構造物などの配置に対応するように導入系組の配置を最適化することにより、プラズマの均一性を向上させることが可能であることを見出した。このようにすれば、処理室に導入するマイクロ波のエネルギーをできるだけ低く抑えながら、必要最低限の導入系組の配置を最適化することで、プラズマプロセスの均一性を向上させることが可能になる。
【0021】
発明者の上記のような知見に基づいて、この発明に従ったプラズマプロセス装置は、プラズマを用いた処理を行う処理室と、処理室に接続され、処理室に供給された反応ガスをプラズマ状態にするためのマイクロ波を処理室に導入するとともに、同一のエネルギー量のマイクロ波を処理室に導入可能な3つ以上のマイクロ波導入手段とを備え、処理室に隣接する領域において、3つ以上のマイクロ波導入手段のうち、隣接する2つのマイクロ波導入手段の組合せのうちの1つにおける隣接するマイクロ波導入手段の間の距離は、組合せのうちの他の1つにおける隣接するマイクロ波導入手段の間の距離と異なる。
【0022】
このようにすれば、処理室の内部の構造などに合せて、異なる間隔でマイクロ波導入手段を配置することができる。このため、それぞれのマイクロ波導入手段から供給されるマイクロ波のエネルギーをほぼ均一にした場合であっても、マイクロ波導入手段の配置を処理室の内部構造に適合するように決定することで、処理室内部に形成されるプラズマの均一性を向上させることができる。したがって、マイクロ波導入手段の数を増加させることなく(つまり、マイクロ波のパワーを必要最小限に抑制しながら)、また、マイクロ波導入手段ごとにマイクロ波のエネルギーを変えるといった複雑な制御を行なうことなく、プラズマプロセスの均一性を向上させることができる。
【0023】
上記プラズマプロセス装置において、マイクロ波導入手段は、それぞれ処理室の外壁の一部を構成する誘電体部材と、誘電体部材のそれぞれに接続された導波管とを含んでいてもよい。
【0024】
この場合、数百MHz以上の周波数を有するマイクロ波を用いたプラズマプロセス装置に本発明を容易に適用できる。
【0025】
上記プラズマプロセス装置において、処理室は、マイクロ波導入手段が接続された壁部と、壁部に連なり、壁部の延びる方向とは異なる方向に延びるとともに対向するように配置された一組の側壁とを含んでいてもよく、側壁の一方の最も近くに位置するマイクロ波導入手段を含む組合せにおける距離は、側壁の一方の最も近くに位置するマイクロ波導入手段を含まない他の組合せにおける距離と異なっていてもよい。
【0026】
この場合、処理室の側壁の影響を考慮してマイクロ波導入手段の配置を決定できるので、側壁近傍でのプラズマの均一性を向上させることができる。したがって、プラズマプロセスの均一性を向上させることができる。
【0027】
上記プラズマプロセス装置において、処理室は、マイクロ波導入手段が配置された壁部と、壁部に連なり、壁部の延びる方向とは異なる方向に延びるとともに対向するように配置された一組の側壁とを含んでいてもよく、3つ以上のマイクロ波導入手段のそれぞれは、マイクロ波導入手段におけるマイクロ波の伝播方向に対して垂直な方向において長軸を有していてもよく、3つ以上のマイクロ波導入手段の長軸は、側壁の延びる方向と平行になるように配置され、かつ、3つ以上のマイクロ波導入手段は、一組の側壁の一方から他方に向かう方向において並列に配置されていてもよい。
【0028】
この場合、一組の側壁の延びる方向と平行にマイクロ波導入手段の長軸を合わせて、さらにこの一組の側壁の間でマイクロ波導入手段を並列に配置するとともに、その間隔を側壁や処理室内部の構造を考慮して決定できる。そのため、プラズマの均一性を向上させることができるので、プラズマプロセスの均一性を向上させることができる。
【0029】
上記プラズマプロセス装置において、側壁の一方の最も近くに位置するマイクロ波導入手段を含む組合せにおける距離は、側壁の一方の最も近くに位置するマイクロ波導入手段を含まない他の組合せにおける距離と異なっていてもよい。
【0030】
この場合、側壁の影響を確実に考慮してマイクロ波導入手段の配置を決定することになるので、側壁近傍でのプラズマの均一性をさらに向上させることができる。したがって、プラズマプロセスの均一性を効果的に向上させることができる。
【0031】
上記プラズマプロセス装置において、3つ以上のマイクロ波導入手段は、処理室の内部に配置される処理の対象物の位置を中心として対称に配置されていてもよい。
【0032】
この場合、処理の対象物の配置を考慮してマイクロ波導入手段の配置を決定するので、処理の対象物に対してプラズマを対称な位置に形成できる。このため、処理の対象物に対するプラズマプロセスの均一性を効果的に向上させることができる。
【0033】
上記プラズマプロセス装置において、マイクロ波導入手段は、マイクロ波の伝播経路に配置されたスロットアンテナを含んでいてもよい。
【0034】
この場合、スロットアンテナのスロットの位置を変更することにより、マイクロ波の伝播経路の間の間隔(マイクロ波導入手段の間の間隔)を容易に変更できる。したがって、処理室や処理対象物、反応ガスなどのプロセス条件に適合するように、上記間隔を容易に変更できるので、プラズマプロセスの均一性を容易に向上させることができる。
【0037】
上記プラズマプロセス装置は、反応ガスを処理室の内部に供給するためのガス導入手段と、処理室内部において処理対象物を保持する試料台と、処理室内部において試料台上に保持された処理対象物に高周波を印加する印加手段とを備えていてもよい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基いて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態1を示す断面模式図である。図2は、図1の線分II−IIにおける断面模式図である。図3は、図2の矢印16の方向から見たチャンバ蓋の平面模式図である。図1〜図3を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態1を説明する。
【0040】
図1〜図3に示すように、プラズマプロセス装置は上部に開口部を有するチャンバ本体2と、このチャンバ本体2の開口部を覆うように配置されたチャンバ蓋1とを備える。チャンバ本体2とチャンバ蓋1とから処理室が構成される。チャンバ蓋1とチャンバ本体2との接触部はガスケット10によりシールされている。また、チャンバ蓋1は接地されている。
【0041】
壁部としてのチャンバ蓋1には、図3に示すように8箇所に開口部17a〜17dが形成されている。開口部17a〜17dのそれぞれには誘電体部材5a〜5dが挿入固定されている。誘電体部材5a〜5dの材料としては、たとえば酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)あるいは窒化アルミニウム(AlN)などを用いることができる。チャンバ蓋1と誘電体部材5a〜5dとの間はガスケット11によりシールされている。
【0042】
誘電体部材5a〜5d上には、図1に示すようにスロットアンテナとしてのスロットアンテナ板6a〜6dが配置されている。スロットアンテナ板6a〜6dは、それぞれほぼ同様の形状を有している。具体的にスロットアンテナ板6bを例として説明する。図2に示すように、誘電体部材5b上に配置されたスロットアンテナ板6bには、4ヵ所にスロット15が形成されている。
【0043】
図1に示すように、スロットアンテナ板6a〜6d上には導入導波管4a〜4dが配置されている。導入導波管4a〜4d、スロットアンテナ板6a〜6dおよび誘電体部材5a〜5dから電磁波導入手段が構成される。図1および図2からもわかるように、導入導波管4a〜4dは、Y軸にほぼ平行な方向に延びるように形成されている(導入導波管4a〜4dにおいて伝播される電磁波(マイクロ波)の伝播方向に対して垂直方向であって、Y軸にほぼ平行な方向において長軸を有している)。図1からわかるように、チャンバ本体2の側壁の延びる方向(Y軸方向)とほぼ平行になるように、電磁波導入手段(マイクロ波導入部)の上記長軸は配置されているとともに、電磁波導入手段は上記長軸が延びる方向(Y軸方向)に対してほぼ垂直な方向(X軸方向)において並列に配置されている。
【0044】
導入導波管4a〜4d上には導波管3a〜3dが配置されている。導波管3a〜3dは図示していないマグネトロンと接続されている。具体的に、導波管3a〜3dは、図示していないアイソレータ、自動整合器、JIS規格に従った直導波管、コーナー導波管、テーパー導波管、分岐導波管などのマイクロ波立体回路を介してマグネトロンと接続されている。また、チャンバ蓋1のほぼ中央部にはプラズマプロセスに用いるための反応ガスをチャンバ内部13へと導入するためのガス導入手段としてのガス導入路14が形成されている。
【0045】
チャンバ内部13においては、チャンバ蓋1と対向するように、チャンバ本体2の底部において処理対象物である基板9を保持するための試料台としての基板ホルダ7が配置されている。基板ホルダ7下には、この基板ホルダ7を支持するための台座部が配置されている。台座部はチャンバ本体2の底壁を貫通するように配置されている。この台座部とチャンバ本体2の底壁との間には絶縁体12が配置されている。基板ホルダ7は、台座部を介して印加手段としての高周波電源と電気的に接続されている。
【0046】
チャンバ内部13は、図示していない真空ポンプによって内部の雰囲気ガスが排気されることにより、圧力が1×10-4Paから1×10-5Pa程度の真空状態に保持される。なお、図示していないが、チャンバ蓋1、チャンバ本体2および基板ホルダ7には、それぞれの温度を所定の温度範囲に維持するための温度調節機構が設けられている。温度調節機構としては、電熱ヒータなどの加熱部材や冷却媒体を流通させるための冷却ジャケットなどが含まれる。
【0047】
図1に示すように、X軸方向におけるスロットアンテナ板6a〜6dに形成されたスロット15の間の距離(チャンバ本体2に隣接する領域での、隣接する電磁波導入手段の組合せにおける電磁波導入手段の間の距離)は、プラズマプロセス装置のチャンバ蓋1における中央部でのスロット15の間の距離X1(チャンバ本体2の側壁の最も近くに位置する電磁波導入手段を含まない組合せにおける距離X1)と、端部側(チャンバ本体2の側壁側)に位置する部分でのスロット15の間の距離X2(チャンバ本体2の側壁の最も近くに位置する電磁波導入手段を含む組合せにおける距離X2)とがそれぞれ異なる値となるように設定されている。つまり、図1に示すように、図中のX軸方向に沿った方向において、スロットアンテナ板6bに形成されたスロット15の中央部とスロットアンテナ板6cに形成されたスロット15の中央部との間の距離X1は、スロットアンテナ板6aに形成されたスロット15の中央部とスロットアンテナ板6bに形成されたスロット15の中央部との間の距離X2、およびスロットアンテナ板6cに形成されたスロット15の中央部とスロットアンテナ板6dに形成されたスロット15の中央部との間の距離X2よりも大きくなっている。
【0048】
また、図2に示すように、スロットアンテナ板6bに形成された4つのスロット15の中央部の間の距離は、図中のY軸方向においてそれぞれ異なる値となるように設定されている。すなわち、図2に示したスロットアンテナ板6bにおいて、図中最も右端(チャンバ本体2の側壁から最も遠い領域)に配置されたスロット15(第1スロット)と、左側に隣接するように配置されたスロット15(第2スロット)との、それぞれ中央部の間の距離を距離Y1とする。そして、第2スロットと、この第2スロットの左側に隣接して配置されたスロット15(第3スロット)との中央部との間の距離を距離Y2とする。そして、第3スロットとこの第3スロットの左側に隣接して配置されたスロット15(第4スロット)とのそれぞれの中央部の間の距離を距離Y3とする。距離Y1〜Y3は、互いに異なる値となっている。
【0049】
次に、図1〜図3に示したプラズマプロセス装置を、ドライエッチング装置として用いる場合の動作を簡単に説明する。
【0050】
まず、図1に示すように、基板ホルダ7上にエッチング対象物である基板9を配置する。そして、チャンバ内部13が上述のような真空状態となるまで、チャンバ内部13から排気装置(図示せず)を用いて雰囲気ガスを排気する。次に、ガス導入路14(図1参照)からチャンバ内部13へプロセスガスを導入する。プロセスガスとしては、たとえばCF4と酸素ガス(O2)との混合ガス、塩素(Cl2)ガスなどが挙げられる。
【0051】
次に、図示していないマグネトロンから、周波数が2.45GHzであるマイクロ波を発振する。このマイクロ波は、図示していないアイソレータ、自動整合器、JIS規格に従った直導波管、コーナー導波管、テーパー導波管、分岐導波管などのマイクロ波立体回路を介して、導波管3a〜3d、導入導波管4a〜4d、スロットアンテナ板6a〜6dのスロット15、誘電体部材5a〜5dを介して、チャンバ内部13へと放射される。このマイクロ波によって上述のプロセスガスにエネルギーを与えることにより、電離気体(プラズマ)を形成する。そして、基板ホルダ7上の基板9に対して、このプラズマを用いてエッチングが施される。なお、基板9としては、たとえばガラスからなる基板上にアルミニウムなどの金属、あるいは酸化ケイ素などの絶縁体といった材料からなる膜や積層膜が形成され、この膜上に配線やコンタクトホールなどのレジストパターンが形成されたものを用いることができる。
【0052】
図1に示すように、本発明によるプラズマプロセス装置においては、X軸方向における隣接するスロット15の中心の間の距離X1、X2が、チャンバ蓋1の中央部と外周部とにおいて異なる値となっている。つまり、チャンバ本体2の側壁面が存在することに起因するプラズマの状態の変化を考慮して、複数のスロット15からチャンバ内部13へと照射されるマイクロ波によって形成されるプラズマが結果的に均一な分布となるように導入導波管4a〜4d、スロットアンテナ板6a〜6dおよび誘電体部材5a〜5dからなる電磁波導入手段としてのマイクロ波導入部の配置を最適化している。このように、それぞれのマイクロ波導入部からチャンバ内部13に供給されるマイクロ波のエネルギーをほぼ均一にした場合であっても、マイクロ波導入部の配置をチャンバ内部13の構造に適合するように(たとえば、チャンバ本体2の側壁の影響を考慮して)決定しているので、チャンバ内部13でのプラズマの均一性を向上させることができる。したがって、マイクロ波導入部の数を増やすことなく(導入するマイクロ波のパワーを最小限に抑制しながら)、また、マイクロ波導入部ごとにマイクロ波のエネルギーを変更するといった複雑な制御を行なうことなく、プラズマプロセスの均一性を向上させることができる。
【0053】
また、図2に示すように、スロットアンテナ板6bにおけるスロット15の中心の間の距離Y1〜Y3をそれぞれ任意の値に設定することにより、同様にY軸方向におけるプラズマの均一性を向上させることができる。また、このときスロットアンテナ板6a〜6d(図1参照)におけるスロット15の配置を変更することにより、比較的容易にプラズマプロセス装置におけるスロット15の中心の間の距離Y1〜Y3を変更することができる。
【0054】
なお、図2に示したようにスロット15の中心間の距離Y1〜Y3を変化させているが、Y軸方向において十分な数のスロット15を配置できる場合には、スロット15の中心の間の距離を均一にした場合でも形成されるプラズマの均一性をある程度高く保つことができる。また、スロットアンテナ板6a〜6dは、図1〜図3に示したプラズマプロセス装置においては導入導波管4a〜4dと誘電体部材5a〜5dの間に設置しているが、このスロットアンテナ板6a〜6dを誘電体部材5a〜5dのチャンバ内部13に面する面上に配置してもよい。
【0055】
また、図1〜図3に示したプラズマプロセス装置では、導入導波管4a〜4d、誘電体部材5a〜5d、スロットアンテナ板6a〜6dからなるマイクロ波導入部が、基板9の中央部を中心としてほぼ対称に配置されている。この場合、マイクロ波導入部の配置が、処理対象物である基板9の配置を考慮して決定されることになるので、形成されるプラズマの配置を基板9の中心に対してほぼ対称にすることができる。このため、基板9に対するプラズマプロセスの均一性を効果的に向上させることができる。
【0056】
また、図1〜図3に示したプラズマプロセス装置では、スロットアンテナ板6a〜6dにおけるスロット15の配置をたとえば図1のX軸方向で変更することにより、図1に示した距離X1あるいはX2を変更することができる。また、図2に示したY軸方向におけるスロット15の位置を変更することで、図2に示した距離Y1〜Y3を容易に変更することができる。したがって、プロセス条件やチャンバ内部13の構造に適合するように、これらの距離X1、X2、Y1〜Y3を容易に変更できるので、プラズマプロセスの均一性を容易に向上させることができる。
【0057】
また、本発明は図1〜図3に示したようなスロットアンテナ板6a〜6dを用いたプラズマプロセス装置以外の種類のプラズマプロセス装置にも適用可能である。たとえば、ECR(Electron Cyclotron resonance)などを用いて形成されたマイクロ波を利用するプラズマプロセス装置や、マイクロ波以外の電磁波をチャンバの内部へと導入する導入部が複数形成されたICPプラズマ装置(Inductively coupled plasma)、ヘリコン波プラズマ装置などにおいても、複数のプラズマを発生させるためのエネルギー源の導入部分の間隔を異なる値とすることにより、プラズマプロセスの均一性を高めることが可能である。また、本発明は上述したようなドライエッチング装置以外のプラズマプロセス装置、たとえばアッシング装置、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、スパッタリング装置などの、プラズマを利用したプロセス装置においても適用可能である。
【0058】
(実施の形態2)
図4は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態2を示す断面模式図である。図4は図1に対応する。また、図5は、図4の線分V−Vにおける断面模式図である。図4および図5を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態2を説明する。
【0059】
図4および図5に示すように、プラズマプロセス装置は基本的に図1〜図3に示したプラズマプロセス装置と同様の構造を備えるが、マイクロ波をチャンバ内部13へと導入する部分の構造が異なる。すなわち、図4および図5に示したプラズマプロセス装置においては、チャンバ蓋1において5箇所に開口部17a〜17eが形成されている。この開口部17a〜17eの内部にはそれぞれ誘電体部材5a〜5eが配置されている。誘電体部材5a〜5e上にはそれぞれスロット15が4箇所形成されたスロットアンテナ板6a〜6eが配置されている。スロットアンテナ板6a〜6e上にはそれぞれ導入導波管4a〜4eが配置されている。導入導波管4a〜4e上には導波管3a〜3eがそれぞれ配置されている。誘電体部材5a〜5e、スロットアンテナ板6a〜6e、および導入導波管4a〜4eのそれぞれの組がマイクロ波導入部を構成する。具体的には、たとえば誘電体部材5a、スロットアンテナ板6a、および導入導波管4aによって1つのマイクロ波導入部が構成されている。
【0060】
図1〜図3に示したプラズマプロセス装置においては、チャンバ蓋1にマトリックス状に配置された8個のマイクロ波導入部が配置されていたが、図4に示したプラズマプロセス装置においては5つのマイクロ波導入部が(その長軸がほぼ平行に延びるように)並列に配置されている。そして、図4に示すように、チャンバ内部13の中央部寄りに配置された隣接するマイクロ波導入部の間の距離X3は、チャンバ内部13の外周側に位置するマイクロ波導入部の間の距離X4とは異なる値となっている。具体的には、スロットアンテナ板6bに形成されたスロット15の中央部とスロットアンテナ板6cに形成されたスロット15の中央部との間の距離X3は、外周側に位置するスロットアンテナ板6aに形成されたスロット15の中央部とスロットアンテナ板6bに形成されたスロット15の中央部との間の距離X4よりも大きく設定されている。
【0061】
このようにすれば、チャンバ本体2の側壁の影響を考慮してマイクロ波導入部の配置を決定しているので、距離X3と距離X4とが同じ値である場合よりも、本発明の実施の形態1と同様にプラズマプロセスの均一性を向上させることができる。
【0062】
また、図5に示すように、スロットアンテナ板6cに形成されたスロット15の中心の間の距離Y4〜Y6を、それぞれ異なる値となるように設定してもよい。この場合も、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0063】
なお、図4および図5に示したプラズマプロセス装置においては、プラズマプロセス装置の中心部(基板9の中央部)において垂直方向に延びる中心軸(線分V−Vで示された軸)に対して、誘電体部材5a〜5e、スロットアンテナ板6a〜6e、および導入導波管4a〜4eなどからなるマイクロ波導入部がほぼ対称となるように配置されている。このようにすれば、チャンバ内部13のほぼ中央部に配置される基板9に対してほぼ均一性なプラズマを生成することができる。したがって、基板9に対して均一なプラズマプロセスを実施することができる。
【0064】
このように、処理対象物である基板9のサイズ、基板9の縦横比といった平面形状、プロセスギャップ、求められるプロセスの均一性の目標値、スロットアンテナ板6a〜6eに形成されるスロット15の数(スロット開口数)などに応じて、導入導波管4a〜4e、スロットアンテナ板6a〜6eなどの数を適宜変更することによって、プロセスの均一性を確保することができる。
【0065】
(実施の形態3)
図6は、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態3を示す断面模式図である。図6は図2に対応する。つまり、図6に示した断面は、図1の線分II−IIにおける断面に対応している。図6を参照して、本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態3を説明する。
【0066】
図6に示すように、プラズマプロセス装置は基本的には図1〜図3に示したプラズマプロセス装置と同様の構造を備えるが、導入導波管4bおよび導波管3bの構成が異なる。なお、図6に示したプラズマプロセス装置のX−Z平面における断面形状は、基本的に図1に示したプラズマプロセス装置の断面形状と同様である。
【0067】
図1〜図3に示したプラズマプロセス装置においては、誘電体部材5a〜5d(図1参照)のそれぞれに対して1つの導入導波管4a〜4d(図1参照)が配置されていた。一方、図6に示したプラズマプロセス装置においては、1つの導入導波管4b下には2つの誘電体部材5bが配置されている。つまり、2つの誘電体部材5bに対して1つの導入導波管4bが形成されている。
【0068】
このような構成とすることにより、本発明の実施の形態1によるプラズマプロセス装置と同様の効果を得ることができるとともに、誘電体部材5a〜5d(図1参照)に対する導入導波管4a〜4d(図1および図6参照)の数を、本発明の実施の形態1におけるプラズマプロセス装置より少なくすることができる。このため、大面積の基板9に対応するようにプラズマプロセス装置を構成する場合、マイクロ波発生源からの導波管の数や分岐数を図1〜図3に示したプラズマプロセス装置よりも少なくすることができる。したがって、プラズマプロセス装置の装置構成を簡略化できる。
【0069】
なお、図6に説明したプラズマプロセス装置は、図4および図5に示した本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態2の変形例と見ることもできる。すなわち、図6に示したプラズマプロセス装置は、図4および図5に示したプラズマプロセス装置において、図5に示した断面で誘電体部材5c(図5参照)を2分割した構成としているとみなすこともできる。
【0070】
このように考えれば、図4および図5に示したプラズマプロセス装置に比べて、図6に示したプラズマプロセス装置は誘電体部材5c(図5参照)を分割することによって、誘電体部材5b(図6参照)の面積を小さくできる。この結果、チャンバ内部13の真空封止部材としての役割を有する個々の誘電体部材5bに対して加えられる応力を小さくすることができる。したがって、誘電体部材5b(図6参照)の厚さを、図5に示した誘電体部材5cの厚さより薄くすることが可能になる。
【0071】
さらに、図6に示したように誘電体部材5bを分割しておけば、チャンバ蓋1の開口部17bについて1つあたりの面積を小さくすることができるので、チャンバ蓋1の剛性を向上させることができる。この結果、チャンバ内部13を真空にした場合に、チャンバ蓋1へ加えられる大気圧によるチャンバ蓋1の変形量を小さくすることができる。
【0072】
また、基板9の大型化に伴ってプラズマプロセス装置を大型化する場合には、このように誘電体部材5bを分割した構成としておけば、分割した誘電体部材5bの数を増やす事により大型の基板9に対応したプラズマプロセス装置を容易に構成することができる。また、このような分割した(サイズの小さな)誘電体部材5bの製造コストは、図5に示したような比較的大きな誘電体部材5cの製造コストより低く抑えることが可能である。したがって、図6に示したような装置構成のプラズマプロセス装置の装置構成は、大型の基板9に対応するプラズマプロセス装置の装置構成として好適である。
【0073】
なお、図6に示したプラズマプロセス装置においては、1つの導入導波管4bあたりに配置された誘電体部材5bの数を2つとしたが、導入導波管4bあたりに配置される誘電体部材5bの数を3つ以上としてもよい。この場合にも同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、上述の実施の形態1〜3に示したプラズマプロセス装置では、個々のマイクロ波導入部によりチャンバ内部13に導入されるマイクロ波のエネルギー量をほぼ同一としてもよいが、マイクロ波導入部ごとにマイクロ波のエネルギー量を変更してもよい。このようにすれば、マイクロ波のエネルギー量も制御パラメタとして利用できるので、プラズマプロセスの均一性をより確実に向上させることができる。
【0075】
【実施例】
本発明によるプラズマプロセス装置の効果を確認するため、以下のような実験を行なった。まず、図7に示したようなプラズマプロセス装置を準備した。図7は、本発明の実施例において用いたプラズマプロセス装置を説明するための断面模式図である。
【0076】
図7に示したプラズマプロセス装置は、基本的には図1〜図3に示したプラズマプロセス装置と同様の構造を備える。すなわち、図7に示したプラズマプロセス装置は、図1に示したプラズマプロセス装置と同様に、X軸方向において、プラズマプロセス装置の中心部から見た場合に対称な構造となっている。そして、図7に示したプラズマプロセス装置において、チャンバの外周部と中央部とでその間隔が異なるように配置された導入導波管4a〜4d、スロットアンテナ板6a〜6d、誘電体部材5a〜5dからなるマイクロ波導入部のそれぞれについて、個々のマイクロ波導入部を用いた場合のプラズマプロセスの処理結果の分布(プロセス分布)を確認する実験を行なった。
【0077】
まず、実験1として、チャンバ本体2の側壁からの距離Wが150mmである最も外側のマイクロ波導入部(図7における誘電体部材5a、スロットアンテナ板6a、および導入導波管4aに対応する)のみを用いてチャンバ内部13にマイクロ波を導入した。この導入されたマイクロ波により、チャンバ内部13においてプラズマを発生させてエッチング処理を行なった。
【0078】
また、実験2として、チャンバ本体2の側壁からの距離(距離W+距離X1)が270mmである、外側から2番目のマイクロ波導入部(図7においては誘電体部材5b、スロットアンテナ板6b、および導入導波管4bに対応する)のみを用いてチャンバ内部13にマイクロ波を導入した。この導入されたマイクロ波により、チャンバ内部13においてプラズマを発生させ、このプラズマを用いてエッチング処理を同様に行なった。
【0079】
次に、実験3として、チャンバ本体2の側壁からの距離が390mmとなる外側から3番目のマイクロ波導入部(図7においては誘電体部材5c、スロットアンテナ板6c、および導入導波管4cに対応する)のみにマイクロ波を導入することにより、同様にエッチング処理を行なった。なお、図7におけるチャンバ本体2の右側の側壁から上記マイクロ波導入部までの距離は390mm以上とした。
【0080】
上述の実験1〜3について、エッチング処理を行なった基板表面の膜の膜厚(エッチング膜厚)を測定し、正規分布で近似した。この結果、それぞれの実験1〜3の結果の標準偏差σは、それぞれ実験1では100mm、実験2では137mm、実験3では135mmであった。なお、実験2および3の標準偏差の値である137mmと135mmとは誤差範囲内であると考えられ、ほぼ等しい数値データであると考える。
【0081】
上記の実験1〜3の結果から、プロセスの結果であるエッチング膜厚の標準偏差σは、チャンバ本体2の側壁からマイクロ波導入部までの距離があるしきい値以下の領域(側壁近傍部)においては、側壁からの距離に対して依存性を示すと考えられる。一方で、チャンバ本体2の側壁からマイクロ波導入部までの距離が上述のしきい値よりも大きい領域(上記側壁近傍部より側壁から遠ざかるような領域(中央部))においては、側壁からの距離に対する依存性がほぼなくなり、標準偏差はほぼ一定値を示していると考えられる。このしきい値は、本実験を行なったプラズマプロセス装置における上述の実験では、150mm〜270mmという数値範囲内に存在していると考えられる。なお、上述した実験のプロセス条件としては、マイクロ波パワーが3000W、用いた反応ガスがCl2ガス(塩素ガス)、エッチング対象である膜としてはアルミニウム(Al)膜、といった条件を用いている。
【0082】
また、上述のしきい値は、プラズマプロセス装置におけるチャンバの形状や誘電体部材5a〜5dの下面と基板9の上部表面との間の距離Lといった装置構成、チャンバ本体2の側壁を構成する材料の材質、反応ガスの組成や圧力、マイクロ波の導入エネルギー、エッチング対象の材料などの条件によっても変化する。また、プラズマプロセス装置の装置構成やプロセス条件によっては、チャンバ本体2の側壁近傍部に位置するマイクロ波導入部を用いた場合のエッチングの標準偏差σが、中央部に位置するマイクロ波導入部を用いた場合のエッチングの標準偏差σよりも大きくなる場合もある。さらに、側壁近傍部に位置するマイクロ波導入部の、側壁からの距離に対する標準偏差σの変化の割合も、プロセス条件などによって異なってくると考えられる。たとえば、側壁に極めて近い領域における上記標準偏差の増加もしくは減少の割合と、しきい値付近における上記標準偏差の増加または減少の割合とは異なる場合がある。
【0083】
また、上記した実験1〜3においては、1つのマイクロ波導入部にのみマイクロ波のエネルギーを導入した場合の結果を示しているが、プラズマプロセス装置に設置されたすべてのマイクロ波導入部にマイクロ波のエネルギーを導入した場合であっても、チャンバ内部13におけるプラズマの形成される領域の違いはあるものの、チャンバ本体2の側壁からの距離によってプロセス結果に違いが出てくることは同様であると考えられる。
【0084】
次に、上述の実験1〜3によって得られたそれぞれのマイクロ波導入部のデータに基いて、プラズマプロセスの均一性の評価を行なった。すなわち、それぞれのマイクロ波導入部によるプロセス結果のデータを、図7に示したX方向での導入導波管4a〜4dの位置に応じて複数個重ね合せることにより、プロセス結果の均一性の評価を行なった。
【0085】
この結果、X軸方向において、マイクロ波導入部を均等な間隔で配置した場合(図7において距離X1=X2=X3とした場合)のプロセス結果の均一性は、図7の距離X1と距離X2と距離X3とを異なる値となるようにマイクロ波導入部を配置した場合のプロセス結果の均一性より劣っていた。すなわち、マイクロ波導入部を同じ数だけ備えるプラズマプロセス装置においては、マイクロ波導入部の間隔を均一ではなくプロセスチャンバの形状などに合せて異なる間隔となるように配置した方がプラズマプロセスの均一性を向上させることができることが示された。以下、より詳細に説明する。
【0086】
図7に示した処理対象物である基板9の長さを930mmとする。そして、このような大きなサイズの基板9に対して、最小限の数の導入導波管4a〜4d(すなわち最小限の数のマイクロ波導入部)によりプロセスの均一性を向上しようとする場合、たとえば図7に示すように4本の導入導波管4a〜4dを用いた場合についてプロセスの均一性の評価を行なった。
【0087】
まず、4つの導入導波管4a〜4dのそれぞれに導入するパワーをある一定値(パワー比1:1)にして、4つの導入導波管4a〜4dを等間隔に配置する場合(X1=X2=X3)と、チャンバ蓋1の外周部に位置する導入導波管についての間隔(導入導波管4a、4bについてのスロット15間の距離X1および導入導波管4c、4dについてのスロット15間の距離X3)と、内周側に位置する導入導波管についての間隔(導入導波管4b、4cについてのスロット15間の距離X2)とを異なるものとする場合(X2とX1およびX3とが異なる値となる場合)について、最もプロセスの均一性が良好な配置を求めた。
【0088】
この結果、導入導波管4a〜4dを等間隔で配置した場合においてプロセスの均一性が最もよい配置は図7においてX1=X2=X3=280mmとなる配置であった。以下、この配置を配置1と呼ぶ。一方、導入導波管4a〜4dの間隔を異なる間隔となるように配置した場合において、最もプロセスの均一性が良好であった配置は、図7に示した距離X2=320mm、距離X1=X3=272mmとなる配置であった。以下、この配置を配置2と呼ぶ。
【0089】
配置1において、プロセスの均一性は±10.5%であった。一方、配置2においてはプロセスの均一性は±7.6%であった。なお、ここではプラズマ処理としてエッチング処理を行なっている。そして、均一性の定義としては、エッチング処理を行なった基板表面の108箇所においてエッチング量を測定し、エッチング量の最大値と最小値を抽出し、その最大値と最小値との差の半分を、中心値(すなわち最大値と最小値の和の半分)で除した値を百分率で表したものを用いた。また、均一性の定義式としては、((最大値−最小値)/(最大値+最小値))×100(%)となる。
【0090】
このように、導入導波管4a〜4dに導入するパワー(エネルギー量)を一定値にした場合(パワー比を1:1にした場合)、等間隔配置にした場合よりも、導入導波管4a〜4dを異なる間隔で配置した場合の方が約28%均一性を向上させることができる。このように、内周側に位置する(チャンバ本体2の側壁から比較的遠い領域に位置する)導入導波管4b、4c同士の間隔(距離X2)と、外周側(チャンバ本体2の側壁に比較的近い領域)に位置する導入導波管4a、4dと内周側に位置する導入導波管4b、4cとの間の間隔(距離X1、X3)とを異なる値とする方が、プロセスの均一性を向上させることができることが示された。
【0091】
次に、上述した等間隔配置(X1=X2=X3である配置)と異間隔配置(X1〜X3が異なる値である配置)とについて、それぞれ各導入導波管4a〜4dに導入するパワー比を変更して、エッチングプロセスの均一性の向上を図る実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
Figure 0004020679
【0093】
表1からもわかるように、配置1では、パワー比が1:1(内周側に位置する導入導波管4b、4cに導入されるマイクロ波のパワー:外周側に位置する導入導波管4a、4dに導入されるマイクロ波のパワー=1:1)の場合、プロセスの均一性は±10.5%であった。そしてが、配置1ではパワー比を0.95:1とした場合、プロセスの均一性が±9.6%と最も良好となった。このとき、配置1においては、パワー比が1:1の場合に比べてプロセスの均一性が約9%向上した。
【0094】
一方、配置2においては、パワー比が1:1の場合にプロセスの均一性は±7.6%であったが、パワー比を1.05:1とした場合にプロセスの均一性は±6.4%と最も良好となった。このように、配置2においては、パワー比を1.05:1とした場合に、パワー比を1:1とした場合に比べて約16%均一性が向上した。
【0095】
なお、パワー比の変更については、その変更の割合を5%以内に制限した。これは導入導波管4a〜4dによってそれぞれ導入されるパワーを大きく変えることは、プラズマプロセス装置のマイクロ波発生源などの装置構成上好ましくないためである。
【0096】
以上のように、プラズマプロセス装置において、プラズマを発生させるためのマイクロ波をチャンバ内部へと導入するマイクロ波導入部が複数ある場合、チャンバ本体の側壁などの影響によってプロセス分布が変化する(形成されるプラズマの分布がチャンバ本体の側壁などの影響により変化することに起因して、プラズマプロセスの結果が局所的に異なる)ことを考慮して、プラズマプロセス装置の装置構成などに合せてマイクロ波導入部の間の間隔を異なる間隔となるように配置することが好ましい。このようにすれば、マイクロ波導入部を等間隔に配置する場合よりもプロセスの均一性を向上させることができる。また、それぞれのマイクロ波導入部におけるマイクロ波の導入パワーの比を変更することにより、さらにプロセスの均一性を向上させることが可能である。
【0097】
このように、プラズマプロセス装置において、マイクロ波導入部の間隔を異なるように配置すれば、プラズマプロセスについて十分な均一性を得ることができるので、従来のように均一性を向上させるために電源を増設するといった対応は必要ない。つまり、低コストでプロセスの均一性を向上させることができる。また、上述のようにマイクロ波導入部ごとに導入されるパワー比を大きく変更しない場合(たとえば変更の割合を5%程度に抑えた場合)であっても、十分に均一性を向上させることができるので、各電源の出力調整などを簡略化することができる。
【0098】
つまり、誘電体部材5a〜5d、スロットアンテナ板6a〜6d、導入導波管4a〜4dのそれぞれの組合わせからなるマイクロ波導入部の構成は同一であっても、チャンバ本体2の側壁に近い領域(外周領域)と、側壁から遠い領域(中央部領域)とにおいてはそれぞれのマイクロ波導入部に起因して発生するプラズマの条件が異なるため、結果的にエッチングなどのプロセスの分布が異なることになる。このため、マイクロ波導入部をプラズマプロセス装置の装置構成などに適合するように異なる間隔で配置することにより、エッチングなどのプラズマ処理の均一性を向上させることができる。
【0099】
つまり、誘電体部材5a〜5d、スロットアンテナ板6a〜6d、導入導波管4a〜4dのそれぞれの組合わせからなるマイクロ波導入部の構成は同一であっても、チャンバ本体2の側壁に近い領域(外周領域)と、側壁から遠い領域(中央部領域)とにおいてはそれぞれのマイクロ波導入部に起因して発生するプラズマの条件が異なるため、結果的にエッチングなどのプロセスの分布が異なることになる。このため、マイクロ波導入部をプラズマプロセス装置の装置構成などに適合するように異なる間隔で配置することにより、エッチングなどのプラズマ処理の均一性を向上させることができる。
【0100】
なお、上述の結果は、誘電体部材5a〜5dの下部表面と処理対象である基板9の表面との距離L(ギャップ)がある一定の長さの場合におけるものである。そのため、上記ギャップが小さければ正規分布の標準偏差は小さくなる。一方、ギャップが大きくなれば標準偏差の値は大きくなる。そして、この標準偏差の大小によってプロセスの均一性が良好となるマイクロ波導入部の間の間隔も変化する。また、プラズマプロセス装置の装置構成や導入される反応ガスなどのプラズマ発生条件によってもマイクロ波導入部の間の間隔(図7における距離X1〜X3)の最適値は多少変化する。したがって、プラズマプロセス装置の装置構成やプロセス条件などに応じてマイクロ波導入部の間の距離や配置は決定される。
【0101】
また、本発明の実施の形態2に示したような、5つのマイクロ波導入部を有するプラズマプロセス装置においても、マイクロ波導入部の間の距離を異なるように設定すれば、同様にプロセスの均一性を向上させることができる(たとえば図4においてX3>X4とすれば、X3=X4とした場合よりもプロセスの均一性を30%以上高めることができた)。
【0102】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、マイクロ波を利用したプラズマプロセス装置において、複数のマイクロ波導入部の間隔をプラズマプロセス装置の装置構成などに適合するようにそれぞれ異なる値とすることにより、マイクロ波導入部を均等に配置した場合よりプロセスの均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態1を示す断面模式図である。
【図2】 図1の線分II−IIにおける断面模式図である。
【図3】 図2の矢印16の方向から見たチャンバ蓋の平面模式図である。
【図4】 本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態2を示す断面模式図である。
【図5】 図4の線分V−Vにおける断面模式図である。
【図6】 本発明によるプラズマプロセス装置の実施の形態3を示す断面模式図である。
【図7】 本発明の実施例において用いたプラズマプロセス装置を説明するための断面模式図である。
【図8】 特開2000−12291公報に開示されたプラズマプロセス装置の断面模式図である。
【図9】 図8に示したプラズマプロセス装置の支持枠および封止板の平面模式図である。
【符号の説明】
1 チャンバ蓋、2 チャンバ本体、3,3a〜3e 導波管、4a〜4e 導入導波管、5a〜5e 誘電体部材、6a〜6e スロットアンテナ板、7 基板ホルダ、9 基板、10,11 ガスケット、12 絶縁体、13 チャンバ内部、14 ガス導入路、15 スロット、16 矢印、17a〜17e 開口部。

Claims (7)

  1. プラズマを用いた処理を行う処理室と、
    前記処理室に接続され、前記処理室に供給された反応ガスをプラズマ状態にするためのマイクロ波を前記処理室に導入するとともに、同一のエネルギー量の前記マイクロ波を前記処理室に導入可能な3つ以上のマイクロ波導入手段とを備え、
    前記処理室に隣接する領域において、前記3つ以上のマイクロ波導入手段のうち、隣接する2つの前記マイクロ波導入手段の組合せのうちの1つにおける隣接する前記マイクロ波導入手段の間の距離は、前記組合せのうちの他の1つにおける隣接する前記マイクロ波導入手段の間の距離と異なる、プラズマプロセス装置。
  2. 前記マイクロ波導入手段は、それぞれ前記処理室の外壁の一部を構成する誘電体部材と、前記誘電体部材のそれぞれに接続された導波管とを含む、請求項1に記載のプラズマプロセス装置。
  3. 前記処理室は、前記マイクロ波導入手段が接続された壁部と、前記壁部に連なり、前記壁部の延びる方向とは異なる方向に延びるとともに対向するように配置された一組の側壁とを含み、
    前記側壁の一方の最も近くに位置する前記マイクロ波導入手段を含む前記組合せにおける前記距離は、前記側壁の一方の最も近くに位置する前記マイクロ波導入手段を含まない他の前記組合せにおける前記距離と異なる、請求項1または2に記載のプラズマプロセス装置。
  4. 前記処理室は、前記マイクロ波導入手段が配置された壁部と、前記壁部に連なり、前記壁部の延びる方向とは異なる方向に延びるとともに対向するように配置された一組の側壁とを含み、
    前記3つ以上のマイクロ波導入手段のそれぞれは、前記マイクロ波導入手段におけるマイクロ波の伝播方向に対して垂直な方向において長軸を有し、
    前記3つ以上のマイクロ波導入手段の長軸は、前記側壁の延びる方向と平行になるように配置され、かつ、
    前記3つ以上のマイクロ波導入手段は、前記一組の側壁の一方から他方に向かう方向において並列に配置されている、請求項1または2に記載のプラズマプロセス装置。
  5. 前記側壁の一方の最も近くに位置する前記マイクロ波導入手段を含む前記組合せにおける前記距離は、前記側壁の一方の最も近くに位置する前記マイクロ波導入手段を含まない他の前記組合せにおける前記距離と異なる、請求項4に記載のプラズマプロセス装置。
  6. 前記3つ以上のマイクロ波導入手段は、前記処理室の内部に配置される前記処理の対象物の位置を中心として対称に配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマプロセス装置。
  7. 前記マイクロ波導入手段は、マイクロ波の伝播経路に配置されたスロットアンテナを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラズマプロセス装置。
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