JP4021782B2 - 燃料電池セル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解質型燃料電池セルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
次世代エネルギーとして、近年、燃料電池セルのスタックを収納容器内に収容した燃料電池が種々提案されている。このような燃料電池には、固体高分子型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型など、各種のものが知られているが、中でも固体電解質型の燃料電池は、作動温度が800〜1000℃と高いものの、発電効率が高く、また排熱利用ができるなどの利点を有しており、その研究開発が推し進められている。
【0003】
固体電解質型燃料電池を構成するセルには、大きく分けて円筒型のものと平板型のものとがある。また、円筒型のものには、さらに扁平状のものがある。扁平型のものは、円筒型のものに比して、出力密度が高いなどの利点がある。扁平型の固体電解質型燃料電池セルの代表的なものとしては、平板状の内部電極基板に固体電解質層及びインターコネクタを設け、固体電解質層上に外部電極層を設けたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2700390号公報(特許請求の範囲、第5図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1で提案されている燃料電池セルは、例えば図3に示すようなものであり、ガス通路を備えた内側電極基板30が、平板部30aとその両端部に形成されている曲率部30bとからなっており、平板部30aの一方のフラットな面にインターコネクタ32が設けられている。また、インターコネクタ32が設けられていない部分を覆うようにして固体電解質層34が内側電極基板30に積層され、固体電解質層34上には、外側電極層36が積層されている。図3から理解されるように、外側電極層36は、内側電極基板30の他方の面(インターコネクタ32が形成されていない側の面)及び曲率部30bを取り囲むようにして固体電解質層34に積層されている。
【0006】
上記の平板型燃料電池セルは、成形時の破損を防止し、且つ強度特性を高めるために、内側電極基板に曲率部を形成し且つ電極面積を大きくとることにより出力密度を高めようとしたものであるが、本発明者等の研究によると、内側電極基板30の曲率部30b上に位置している外側電極層36の部分は、インターコネクタ32と対面していないため、電極として有効に作用しておらず、出力密度の向上が達成されないことが判った。即ち、このような部分では、外側電極層36とインターコネクタ32との電流パスが長くなってしまい、電圧降下が大きくなってしまうためと考えられる。また、曲率部30b上に位置する外側電極層36の部分では、その厚みを均一にすることが困難であり、この結果、特性にバラツキを生じ易いなどの問題もあった。
【0007】
従って本発明の目的は、電圧降下が低く、出力密度が向上し、しかも製造が容易であり、安定した特性を示す固体電解質型燃料電池セルを提供することにある。
【0008】
本発明によれば、導電性の電極支持基板、内側電極層、固体電解質層、外側電極層及びインターコネクタとからなる燃料電池セルにおいて、
前記電極支持基板は、両面がフラットで互いに平行に形成され且つ内部にガス通路を有する平板部と、該平板部の両端部分に位置する曲率部とからなり、
前記インターコネクタは、前記電極支持基板の平板部の一方の表面に形成されており、
前記内側電極層は、前記電極支持基板の少なくともインターコネクタが設けられていない他方のフラットな表面上に形成されており、
前記固体電解質層は、前記内側電極層を覆うように電極支持基板上に積層されており、前記平板部の他方の表面から両曲率部を通り前記インターコネクタの両側端部まで延びているとともに、
前記外側電極層は、前記平板部のインターコネクタが設けられていない他方の表面に対面するが前記曲率部には対面しないように、前記固体電解質層上に積層されており、且つその両端部分は、前記インターコネクタの両側端部よりも外側に位置していることを特徴とする燃料電池セルが提供される。
【0009】
本発明においては、上記の燃料電池セルにおいて、電極支持基板として、内側電極を用いることも可能である。例えば、本発明によればさらに、内側電極基板、固体電解質層、外側電極層及びインターコネクタとからなる燃料電池セルにおいて、
前記内側電極基板は、両面がフラットで互いに平行に形成され且つ内部にガス通路を有する平板部と、該平板部の両端部分に位置する曲率部とからなり、
前記インターコネクタは、前記内側電極基板の平板部の一方の表面に形成されており、
前記固体電解質層は、前記内側電極基板上に積層されており、前記平板部の他方の表面から両曲率部を通り前記インターコネクタの両側端部まで延びているとともに、
前記外側電極層は、前記平板部のインターコネクタが設けられていない他方の表面に対面するが前記曲率部には対面しないように、前記固体電解質層上に積層されており、且つその両端部分は、前記インターコネクタの両側端部よりも外側に位置していることを特徴とする燃料電池セルが提供される。
【0010】
即ち、本発明の燃料電池セルでは、外側電極層が、電極支持基板(或いは内側電極基板)の曲率部には対面しておらず、インターコネクタが設けられていない側のフラットな表面部分にのみ対面して形成されていることが重要な特徴である。このような位置に外側電極層を形成することにより、外側電極層とインターコネクタとは全て平板部を介して対峙し、電気の流れが電極支持基板の厚み方向に流れ、電気抵抗が小さくなり、電圧降下が抑制され、出力密度の向上がもたらされるものである。例えば、後述する実施例及び比較例に示されているように、曲率部に外側電極層が対面するように形成されている燃料電池セルでは、850℃の発電において電流密度0.4A/cm2で比較すると、その電圧降下は230mVであり、出力密度は0.55W/cm2であるのに対し(比較例1)、平板部にのみ外側電極層が形成されている本発明の燃料電池セルでは、電圧降下が180mV、出力密度が0.65W/cm2であり(実施例1)、電圧降下の抑制及び出力密度の向上がもたらされていることが判る。
【0011】
また、本発明においては、外側電極層の両端部分は、インターコネクタの両側端部よりも外側に位置していること(換言すると、インターコネクタよりも大面積に形成されていること)も重要である。即ち、インターコネクタよりも大きく外側電極層を形成しておくことにより、成形時に外側電極層に多少の位置ずれが生じたとしても、一定の有効電極面積を確保することができ、安定した特性を確保することができる。
【0012】
さらに、本発明において、外側電極層は、フラットな平板部上に形成されるため、その厚みを均一に形成することができ、例えばロット毎の厚みのバラツキなどもなく、安定した特性を確保することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明を、以下、添付図面に示す具体例に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明の燃料電池セルの代表的な構造を示す横断面図であり、図2は、図1の燃料電池セルから形成されるセルスタックの構造を示す横断面図である。
【0015】
図1において、全体として1で示す燃料電池セルは、電極支持基板10と、内側電極層である燃料極層11と、固体電解質層12と、外側電極層である酸素極層13と、インターコネクタ14とから形成されている。
【0016】
電極支持基板10は、図1から明らかな通り、両面がフラットで且つ厚みが均一の平板部10aと、平板部10aの両端部分に形成されている曲率部10bとからなっており、平板部10aの内部には、複数のガス通路16が形成されている。
【0017】
また、インターコネクタ14は、電極支持基板10の平板部10aの一方の表面に設けられており、燃料極層11は、平板部10aの少なくとも他方の表面に積層されており、図1に示されているように、平板部10aの一方の表面まで延びており、インターコネクタ14の両側端部に接合している。さらに、固体電解質層12は、少なくとも燃料極層11を覆うように設けられるものであり、図1に示されているように、燃料極層11の全面に積層されており、インターコネクタ14の両側端部に接合されている。酸素極層13は、固体電解質層12上に積層され、燃料極層11と対面すると同時に、インターコネクタ14と対面するように、電極支持基板10の平板部10aのインターコネクタ14が形成されていない側の表面上に位置している。
【0018】
かかる燃料電池セルでは、電極支持基板10内のガス通路16内に燃料ガス(水素)を供給し、且つ酸素極層13の外側に空気等の酸素含有ガスを供給し、所定の作動温度まで加熱することにより発電が行われる。即ち、酸素極層13で下記式(1)の電極反応を生じ、また燃料極層11では、下記式(2)の電極反応を生じることによって発電する。
【0019】
酸素極: 1/2O2+2e− → O2− (固体電解質) …(1)
燃料極: O2− (固体電解質)+ H2 → H2O+2e− …(2)
【0020】
かかる発電によって生成した電流は、電極支持基板10に設けられているインターコネクタ14を介して集電される。
【0021】
(電極支持基板10)
電極支持基板10は、燃料ガスを燃料極層まで透過させるためにガス透過性であること、及びインターコネクタ14を介しての集電を行うために導電性であることが要求され、このような要求を満足する多孔質の導電性セラミック(もしくはサーメット)から形成されるが、燃料極層11や固体電解質層12との同時焼成により基板10を製造する上では、鉄属金属成分と特定の希土類酸化物とから電極支持基板10を形成することが好ましい。
【0022】
上記の鉄族金属成分は、電極支持基板10に導電性を付与するためのものであり、鉄族金属単体であってもよいし、また鉄族金属酸化物、鉄族金属の合金もしくは合金酸化物であってもよい。鉄族金属には、鉄、ニッケル及びコバルトがあり、何れをも使用することができるが、安価であること及び燃料ガス中で安定であることからNi及び/またはNiOを鉄族成分として含有していることが好ましい。
【0023】
また鉄族金属成分と共に使用される希土類酸化物成分は、電極支持基板10の熱膨張係数を、固体電解質層12と近似させるために使用されるものであり、高い導電率を維持し且つ固体電解質層12等への元素の拡散を防止し、また、元素拡散による影響をなくすため、Y,Lu,Yb,Tm,Er,Ho,Dy,Gd,Sm,Prからなる群より選ばれた少なくとも1種の希土類元素を含む酸化物が好適である。このような希土類酸化物の例としては、Y2O3、Lu2O3、Yb2O3、Tm2O3、Er2O3、Ho2O3、Dy2O3、Gd2O3、Sm2O3、Pr2O3を挙げることができ、特に安価であるという点で、Y2O3,Yb2O3が好適である。
【0024】
上述した鉄族成分は、電極支持基板10中に35〜65体積%の量で含まれ、希土類酸化物は、電極支持基板10中に35〜65体積%の量で含まれていることが好適である。勿論、電極支持基板10中には、要求される特性が損なわれない限りの範囲で他の金属成分や酸化物成分を含有していてもよい。
【0025】
上記のような鉄族金属成分と希土類酸化物とから構成される電極支持基板10は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、通常、開気孔率が30%以上、特に35乃至50%の範囲にあることが好適である。また、その導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
【0026】
上記電極支持基板10の平板部10aの長さdは、通常、15〜35mmで厚みは、2.5〜5mm程度であることが望ましい。また曲率部10bの曲率は、1.25〜2.5mm程度であるのがよい。
【0027】
(燃料極層11)
内側電極層である燃料極層11は、前述した式(2)の電極反応を生じせしめるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスから形成される。例えば、希土類元素が固溶しているZrO2と、Ni及び/またはNiOとから形成される。この希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニア)としては、以下に述べる固体電解質層12の形成に使用されているものと同様のものを用いるのがよい。
【0028】
燃料極層11中の安定化ジルコニア含量は、35乃至65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNi或いはNiO含量は、65乃至35体積%であるのがよい。さらに、この燃料極層11の開気孔率は、15%以上、特に20乃至40%の範囲にあるのがよく、その厚みは、1〜30μmであることが望ましい。例えば、燃料極層11の厚みがあまり薄いと、集電性能が低下するおそれがあり、またあまり厚いと、固体電解質層12と燃料極層11との間で熱膨張差による剥離等を生じるおそれがある。
【0029】
また、この燃料極層11は、酸素極層13に対面する位置にのみ存在していてもよいが、固体電解質層12と電極支持基板10との接合強度を高めるために、固体電解質層12の下面全体にわたって燃料極層11が形成されていることが好ましく、例えば図1に示すように、インターコネクタ12の両サイドにまで延びていることが好ましい。勿論、この燃料極層11を電極支持基板10の全周にわたって形成することも可能である。
【0030】
(固体電解質層12)
燃料極層11上に設けられている固体電解質層12は、電極間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを防止するためにガス遮断性を有するものでなければならず、一般に3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrO2(通常、安定化ジルコニアと呼ばれる)から形成されている。この希土類元素としては、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luを例示することができるが、安価であるという点からY、Ybが望ましい。
この固体電解質層12を形成する安定化ジルコニアセラミックスは、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、且つその厚みが10〜100μmであることが望ましい。
【0031】
(酸素極層13)
本発明の燃料電池セルでは、図1から明らかな通り、外側電極層である酸素極層13が、電極支持基板10の平板部10aのインターコネクタ14が設けられていない側の表面にのみ対面しており、曲率部10bには対面していない。即ち、酸素極層13は、フラットな平面層となっており、屈曲部を有していないため、容易に均一な厚みに形成することが可能となっている。さらに、このような位置に酸素極層13を形成することにより、酸素極層13とインターコネクタ14とは全て平板部10aを介して対峙するため、電気の流れが電極支持基盤10の厚み方向に流れ、電気抵抗が小さくなり、電圧降下が抑制され、出力密度が向上することとなる。
【0032】
また、図1から明らかな通り、酸素極層13の両端部分は、インターコネクタ14の両側端部よりも外側に位置しており、インターコネクタ14よりも大面積に形成されている。このように、酸素極層13をインターコネクタ14よりも大きく形成しておくことにより、成形時に外側電極層に多少の位置ずれが生じたとしても、一定の有効電極面積を確保することができ、安定した特性を確保することができる。例えば、酸素極層13の両端とインターコネクタ14の両端との間隔Dは、通常、0.5乃至4mmの範囲内とすることが好ましい。この間隔Dがあまり小さいと、セル製造時の位置ずれ等により、有効電極面積に変動を生じ、特性のバラツキを生じやすくなってしまい、また、間隔Dを必要以上に大きくしても、セルが大型化したり、或いはインターコネクタ14を小さくすることによる有効電極面積の低減が生じるだけで、格別の利点は生じない。
【0033】
酸素極層13は、所謂ABO3型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成される。かかるペロブスカイト型酸化物としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにLaを有するLaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物の少なくとも1種が好適であり、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaFeO3系酸化物が特に好適である。尚、上記ペロブスカイト型酸化物においては、AサイトにLaと共にSrなどが存在していてもよいし、さらにBサイトには、FeとともにCoやMnが存在していてもよい。
【0034】
また、酸素極層13は、ガス透過性を有していなければならず、従って、上記の導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30乃至50%の範囲にあることが望ましい。また、酸素極層13の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが望ましい。
【0035】
(インターコネクタ14)
上記の酸素極層13に対面するように、電極支持基板10の平板部10aの一方の表面に設けられているインターコネクタ11は、導電性セラミックスからなるが、燃料ガス(水素)及び酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、かかる導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が使用される。また、電極支持基板10の内部を通る燃料ガス及び電極支持基板10の外部を通る酸素含有ガスのリークを防止するため、かかる導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好適である。
【0036】
かかるインターコネクタ14は、ガスのリーク防止と電気抵抗という点から、30〜200μmであることが望ましい。即ち、この範囲よりも厚みが薄いと、ガスのリークを生じやすく、またこの範囲よりも厚みが大きいと、電気抵抗が大きく、電位降下により集電機能が低下してしまうおそれがあるからである。
【0037】
また、図1から明らかな通り、ガスのリークを防止するために、インターコネクタ14の両サイドには、緻密質の固体電解質層12が密着しているが、シール性を高めるために、例えばY2O3などからなる接合層(図示せず)をインターコネクタ14の両側面と固体電解質層12との間に設けることもできる。
【0038】
また、インターコネクタ14の外面(上面)には、P型半導体層(図示せず)を設けることもできる。即ち、この燃料電池セル1から組み立てられるセルスタック(後述する図2参照)では、インターコネクタ14には、導電性の集電部材20が接続されるが、集電部材20を直接インターコネクタ14に直接接続すると、非オーム接触により、電位降下が大きくなり、集電性能が低下するおそれがある。しかるに、集電部材20を、P型半導体層を介してインターコネクタ14に接続させることにより、両者の接触がオーム接触となり、電位降下を少なくし、集電性能の低下を有効に回避することが可能となる。このようなP型半導体としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物を例示することができる。具体的には、インターコネクタ14を構成するLaCrO3系酸化物よりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層の厚みは、一般に、30乃至100μmの範囲にあることが好ましい。
【0039】
また、インターコネクタ14は、一般に、電極支持基板10の平板部10aの一方側の表面に直接設けられるが、この部分にも燃料極層11を設け、この燃料極層11上にインターコネクタ14を設けることもできる。即ち、燃料極層11を支持基板31の全周にわたって設け、この燃料極層11上にインターコネクタ14を設けることができる。燃料極層11を介してインターコネクタ14を電極支持基板10上に設けた場合には、支持基板10とインターコネクタ14との間の界面での電位降下を抑制することができる上で有利である。
【0040】
上述した本発明の燃料電池セル1は、図1に示す構造に限定されるものではなく、外側電極層が所定の位置に形成されている限り、種々の構成を採り得る。
【0041】
例えば、上述した燃料極層11と酸素極層13との位置関係を逆にすることができる。即ち、内側電極層として酸素極層を設け、外側電極層として燃料極層を設けることができる。この場合には、電極支持基板10の平板部10aに形成されているガス通路16内には、空気等の酸素含有ガスが供給され、セル1の外側(燃料極層の外側)に燃料ガスが供給されて発電されることとなり、電流の流れは、図1の構造の燃料電池セルとは逆になる。
【0042】
また、図1の例では、電極支持基板10と内側電極層とが別個に形成されているが、電極支持基板10そのものを内側電極として用いることもできる。即ち、内側電極層形成用材料で、電極支持基板10を形成することができ、この場合には、図1において、内側電極層に相当する燃料極層を省略することができる。
【0043】
(燃料電池セルの製造)
以上のような構造を有する燃料電池セルは、図1の構造のものを例にとると、以下のようにして製造される。
【0044】
先ず、Ni等の鉄族金属或いはその酸化物粉末と、Y2O3などの希土類酸化物の粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合してスラリーを調製し、このスラリーを用いての押出成形により、電極支持基板成形体を作製し、これを乾燥する。
【0045】
次に、安定化ジルコニア粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合してスラリーを調製し、このスラリーを用いて固体電解質層用シートを作製する。
【0046】
さらに、燃料極層形成用材料(Ni或いはNiO粉末と安定化ジルコニア粉末)をアルコール等の溶媒中に分散したペーストを、上記で形成された固体電解質層用シートの片面にに塗布し乾燥する。
【0047】
上記の固体電解質層用シートの片面に燃料極層形成用材料を塗布した成形体の前記燃料極層成形体を、前記電極支持基盤成形体の所定位置に当接させ、例えば図1に示すような層構造となるように積層し、乾燥する。
【0048】
この後、インターコネクタ用材料(例えば、LaCrO3系酸化物粉末)、有機バインダー及び溶媒を混合してスラリーを調製し、インターコネクタ用シートを作製する。このインターコネクタ用シートを、上記で得られた積層体の所定位置にさらに積層し、焼成用積層体を作製する。
【0049】
次いで、上記の焼成用積層体を脱バインダ処理した後に、酸素含有雰囲気中で、1300〜1600℃で同時焼成する。
【0050】
このようにして得られた焼結体の所定の位置に、酸素極形成用材料(例えば、LaFeO3系酸化物粉末)と溶媒を含有するペースト、及び必要により、P型半導体層形成用材料(例えば、LaFeO3系酸化物粉末)と溶媒を含むペーストを、ディッピング等により塗布し、1000〜1300℃で焼き付けることにより、図1に示す構造の本発明の燃料電池セル1を製造することができる。
【0051】
尚、電極支持基板10や燃料極層11の形成にNi単体を用いた場合には、酸素含有雰囲気での焼成により、Niが酸化されてNiOとなっているが、必要により、還元処理することにより、Niに戻すことができる。また、発電中に還元雰囲気に曝されるため、この時にもNiに還元されることになる。
【0052】
層構成の異なる燃料電池セルは、上記の方法に準拠して容易に製造することができる。
【0053】
(セルスタック)
セルスタックは、図2に示すように、上述した燃料電池セル1が複数集合して、上下に隣接する一方の燃料電池セル1aと他方の燃料電池セル1bとの間に、金属フェルト及び/又は金属板からなる集電部材20を介在させ、両者を互いに電気的に接続することにより構成されている。即ち、一方の燃料電池セル1の電極支持基板10は、インターコネクタ14及び集電部材20を介して、他方の燃料電池セル1bの酸素極層13に電気的に接続されている。また、このようなセルスタックは、図2に示すように、サイドバイサイドに配置されており、隣接するセルスタック同士は、導電部材22によって直列に接続されている。
【0054】
このようなセルスタックを、所定の収納容器内に収容することにより燃料電池が構成される。この収納容器には、外部から水素等の燃料ガスを燃料電池セル1に導入する導入管、及び空気等の酸素含有ガスを燃料電池セル1の外部空間に導入するための導入管が設けられており、燃料電池セルが所定温度(例えば、600乃至900℃に加熱されることにより発電し、使用された燃料ガス、酸素含有ガスは、収納容器外に排出される。
【0055】
【実施例】
本発明を次の例で説明する。
【0056】
(実施例1)
平均粒径0.5μmのNi粉末とY2O3粉末とを(焼成後の体積比がNi:48体積%、Y2O3:52体積%)混合し、この混合粉末に、ポアー剤、有機バインダー(ポリビニルアルコール)と、水(溶媒)とを混合して形成したスラリーを直方体状に押出成形し、電極支持基板用成形体を作製し、これを乾燥した。
【0057】
次に、上記YSZ粉末と、有機バインダー(アクリル樹脂)と、トルエンからなる溶媒とを混合したスラリーを用いて、固体電解質層用シートを作製した。
【0058】
さらに、8モル%Y2O3を含有するZrO2(YSZ)粉末と、NiO粉末と、有機バインダー(アクリル樹脂)と、溶媒(トルエン)とを混合したスラリーを調製し、このスラリーを前記固体電解質層用シートの片面に塗布し、燃料極層成形体を形成した。
上記の固体電解質層用シートの片面に燃料極層形成用材料を塗布した成形体の前記燃料極層成形体を、前記電極支持基盤成形体の所定位置に当接させ、例えば図1に示すような層構造となるように積層し、乾燥した。
【0059】
一方、平均粒径2μmのLaCrO3系酸化物粉末と、有機バインダー(アクリル樹脂)と、溶媒(トルエン)とを混合したスラリーを用いて、インターコネクタ用シートを作製し、このシートを、上記積層シートにおける支持基板用成形体の露出部分に積層し、焼結用積層シートを作製した。
【0060】
次に、この焼結用積層シートを脱バインダ処理し、大気中にて1500℃で同時焼成した。
【0061】
得られた焼結体を、平均粒径2μmのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉末と、溶媒(ノルマルパラフィン)をからなるペースト中に浸漬し、焼結体に形成されている固体電解質層の表面の所定位置に酸素極層用コーティング層を設け、同時に、上記ペーストを焼結体に形成されているインターコネクタの外面に塗布し、P型半導体用コーティング層を設け、さらに、1150℃で焼き付け、図1に示す構造の燃料電池セルを作製した。
【0062】
作製した燃料電池セルにおいて、電極支持基板の平板部の長さdは26mm、曲率部Bの長さは3.5mm、燃料極層の厚みは、10μm、固体電解質層の厚みは40μm、酸素極層の厚みは50μm、インターコネクタの厚みは50μm、P型半導体層の厚みは50μmとした。また、酸素極層は、図1に示されているように平板部上に対面する部分にのみ形成し、曲率部には全く形成せず、且つインターコネクタの両端との間隔Dが1mmとなるように形成した。
【0063】
作製した燃料電池セルについて、以下の方法で電圧降下及び出力密度を測定した。
電圧降下:燃料電池セルの電極支持基盤のガス通過孔に水素を流し、酸素側電極側に空気を流し、850℃において発電を行い、電流密度が0.4A/cm2のときの電圧降下を求めた。
出力密度:セル電圧0.7V時の電流値から出力密度を計算した。
【0064】
その結果、電圧降下は180mVであり、出力密度は0.65W/cm2であり、電圧降下は小さく、且つ高い出力密度を示した。
【0065】
(比較例1)
酸素極層(外側電極層)を、図3に示されているように電極支持基板の曲率部に対面する部分にも形成し、インターコネクタの両側端部の近傍まで引き伸ばした以外は、実施例1と全く同様にして燃料電池を作製した。
上記燃料電池について、電圧降下及び出力密度を測定したところ、電圧降下は230mVであり、出力密度は0.55W/cm2であった。何れも、実施例1の燃料電池セルに比して劣っていた。
【0066】
【発明の効果】
本発明の固体電解質型燃料電池セルは、インターコネクタに対峙する外側電極層が基板の平板部分にのみ形成され、曲率部に形成されていないため、均一な厚みとしてバラツキなく安定した特性を示し、製造が容易であるばかりか、電圧降下が低く、高い出力密度を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池セルの代表的な構造を示す横断面図。
【図2】図1の燃料電池セルから形成されるセルスタックの構造を示す横断面図。
【図3】従来公知の固体電解質型燃料電池セルの構造を示す横断面図。
【符号の説明】
1:燃料電池セル
10:電極支持基板
11:燃料極層
12:固体電解質層
13:酸素極層
14:インターコネクタ
Claims (7)
- 導電性の電極支持基板、内側電極層、固体電解質層、外側電極層及びインターコネクタとからなる燃料電池セルにおいて、
前記電極支持基板は、両面がフラットで互いに平行に形成され且つ内部にガス通路を有する平板部と、該平板部の両端部分に位置する曲率部とからなり、
前記インターコネクタは、前記電極支持基板の平板部の一方の表面に形成されており、
前記内側電極層は、前記電極支持基板の少なくともインターコネクタが設けられていない他方のフラットな表面上に形成されており、
前記固体電解質層は、前記内側電極層を覆うように電極支持基板上に積層されており、前記平板部の他方の表面から両曲率部を通り前記インターコネクタの両側端部まで延びているとともに、
前記外側電極層は、前記平板部のインターコネクタが設けられていない他方の表面に対面するが前記曲率部には対面しないように、前記固体電解質層上に積層されており、且つその両端部分は、前記インターコネクタの両側端部よりも外側に位置していることを特徴とする燃料電池セル。 - 前記内側電極層が燃料極であり、前記外側電極層が酸素極である請求項1に記載の燃料電池セル。
- 前記電極支持基板において、平板部が2.5乃至5mmの厚みを有し、曲率部が1.25乃至2.5mmの曲率半径を有している請求項1または2に記載の燃料電池セル。
- 内側電極基板、固体電解質層、外側電極層及びインターコネクタとからなる燃料電池セルにおいて、
前記内側電極基板は、両面がフラットで互いに平行に形成され且つ内部にガス通路を有する平板部と、該平板部の両端部分に位置する曲率部とからなり、
前記インターコネクタは、前記内側電極基板の平板部の一方の表面に形成されており、
前記固体電解質層は、前記内側電極基板上に積層されており、前記平板部の他方の表面から両曲率部を通り前記インターコネクタの両側端部まで延びているとともに、
前記外側電極層は、前記平板部のインターコネクタが設けられていない他方の表面に対面するが前記曲率部には対面しないように、前記固体電解質層上に積層されており、且つその両端部分は、前記インターコネクタの両側端部よりも外側に位置していることを特徴とする燃料電池セル。 - 前記内側電極基板が燃料極であり、前記外側電極層が酸素極である請求項4に記載の燃料電池セル。
- 前記内側電極基板において、平板部が2.5乃至5mmの厚みを有し、曲率部が1.25乃至2.5mmの曲率半径を有している請求項4または5に記載の燃料電池セル。
- 請求項1乃至6の何れかに記載の燃料電池セルの複数を、集電部材を介して互いに電気的に接続してなるセルスタック。
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