JP4022656B2 - 沈埋函の方向修正方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、沈埋トンネル用沈埋函の沈設工法に係り、より詳しくはトンネル法線に対する新設函の後端の水平方向のずれを修正するための沈埋函の方向修正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、沈埋函沈設工法においては、沈埋函(新設函)を沈降させて、その端面をゴムガスケットを介して既設函に突合わせた後、両函のバルクヘッド間の海水を排水して、新設函の背面にかかる水圧を利用して既設函に対して新設函を水圧接合するようにしている。
このような沈設函沈設工法においては、新設函の据付誤差、沈埋函の寸法誤差、ゴムガスケットの寸法誤差など、種々の要因により新設函の方向がトンネル法線からずれる場合が多い。このため、従来一般には、上記した水圧接合後、接合側のバルクヘッドを撤去して詳細測量(函内測量も含む)を行い、新設函の後端のトンネル法線からの水平方向ずれ量を計測して、このずれ量が予定より大きい場合は、新設函と既設函との端面間に方向修正ジャッキ(油圧ジャッキ)を介装し、新設函の右側または左側を押戻してその方向を修正するようにしていた。
しかし、上記した従来一般の沈埋函の方向修正方法によれば、水圧による大きな荷重に抗して新設函を押戻す必要があるため、大型の油圧ジャッキが多数必要となり、それらの取付けに長期間を要し、埋戻し完了までにジャッキの撤去を行うことができないこともあって、全体の工事期間が延長するという問題があった。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、既設函および新設函の左右側壁の外壁面に相対向して複数対のストッパを固設し、各対のストッパの対向面に設けた楔合面の間に配置したウエッジ(可動くさび)を前記外壁面の法線方向へ移動可能にジャッキに支持させ、水圧接合する際の排水量を調整して、あるいは水圧接合後にバルクヘッド間に注水して水圧による荷重を軽減しながら前記可動くさびをジャッキにより移動させる方向修正装置、方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−88597号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載の沈埋函の方向修正装置、方法によれば、ブラケットおよび可動くさびを含むくさび装置が、沈埋函(新設函、既設函)の側面に突出して配置されるため、これらが沈埋函のえい航、沈設作業などの障害になる。特に、新設函の戻し量を微調整して方向修正の精度(数mm単位)を高めようとすると、くさび角度(楔合面傾斜角)を小さく設定しなければならず、これに伴ってくさび装置として長尺なものが必要になるばかりか、ストローク長の大きいジャッキが必要になり、これらが、障害物として沈埋函(新設函、既設函)の側方へ大きく突出することになる。
【0006】
そこで、本発明者等は、既設函および新設函の左・右側壁の接合部のそれぞれに、ゴムガスケットの内側に位置させて、固定くさびと可動くさびとを縦方向で楔合させるくさび装置と、前記可動くさびを移動させる駆動装置とを配設した方向修正装置を考案し、既に特願2001−236429号(未公知)にて明らかにしている。この方向修正装置によれば、新設函と既設函との接合端面内にくさび装置が配置されるので、両函の側方へ障害物として突出することはなく、上記した特許文献1に記載の発明における問題点を解消できるようになる。
ところで最近、沈埋函沈設工法の工事費用に対する低減要求が厳しくなってきており、その一環として、沈埋函の相互間に介装するゴムガスケットについても種々のコスト低減の方策が検討されている。しかるに、従来一般的な沈埋函沈設工法はもちろん、上記したくさび装置を用いる沈埋函沈設工法においても、水圧接合の全荷重がゴムガスケットにかかるため、ゴムガスケットとしては、この全荷重を受けても座屈や破断を起こさない(反力抵抗の大きい)大型のものが必要となり、そのコスト低減には一定の限界があるのが現状であった。
このような現状に鑑み、本発明者等は、上記特願2001−236429号に記載の函内くさび方式の方向修正装置に着目し、該装置による方向修正の手順を変えることにより、ゴムガスケットにかかる負荷を軽減できることを見出した。
本発明は、上記した知見に基づいてなされたもので、その課題とするところは、函内くさび方式の方向修正装置の特徴を生かしながらゴムガスケットのコスト低減を達成する方向修正方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、既設函および新設函の左・右側壁の接合部のそれぞれに、ゴムガスケットの内側に位置させて、ゴムガスケットの内側部位に、固定くさびと可動くさびとを縦方向で楔合させるくさび装置と、前記可動くさびを移動させる駆動装置とを配設し、始めに、前記ゴムガスケットと前記左・右のくさび装置とに水圧接合の荷重を分担させながら既設函に新設函を水圧接合し、次に、バルクヘッド間に注水してゴムガスケットの反力により新設函を押戻し、この状態で新設函の後端のずれを修正するために必要な量だけ前記左または右側のくさび装置の可動くさびを、対応する駆動装置により移動させ、しかる後、前記ゴムガスケットと前記左・右のくさび装置とに水圧接合の荷重を分担させながら、既設函に新設函を再度水圧接合することを特徴とする。
本発明においては、上記くさび装置の初期楔合高さを、ゴムガスケットの許容荷重より低い荷重を分担し、かつゴムガスケットの止水性および許容戻り変形量を保証する範囲内に設定する。
このように行う沈埋函の方向修正方法においては、左・右のくさび装置に水圧接合の荷重の一部を分担させることによりゴムガスケットにかかる負荷が軽減し、その軽減する分、小型のゴムガスケットの使用が可能になる。しかも、くさび装置とその駆動装置とは、函内くさび方式の方向修正装置と同じ形態で配置されるので、沈埋函(新設函、既設函)の側方に障害物として突出することもない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図7〜9は、本発明に係る沈埋函の方向修正方法の実施に用いる方向修正装置を示したものである。この方向修正装置20は、前記特願2001−236429号に記載されたものと同じもので、ゴムガスケット12を介して水圧接合される既設函10と新設函11との接合間隔を設定するくさび装置21とこのくさび装置21を作動させる駆動装置22とから概略構成されている。
【0009】
既設函10および新設函11は、ここでは矩形断面をなし、その内部空間は中壁13(図10)および左右隔壁14、15により複数分割されている。接合前において、既設函10の、新設函11との接合端側開口はバルクヘッド16により、新設函11の両端開口(後端側は省略)はバルクヘッド17によりそれぞれ閉鎖されており、両函10と11との接合に応じて両バルクヘッド16と17との間には、前記ゴムガスケット12により囲まれた密閉室18が区画形成されるようになる。なお、既設函10および新設函11の構造形式は任意であり、鉄筋コンクリート(RC)構造形式、鋼殻構造形式、鋼コンクリート合成構造形式などとすることができる。
【0010】
一方、ゴムガスケット12は、ここではジーナ型として構成されており、図3に示すように台形状をなす本体部12aの上面に山形状のノーズ部12bを設けると共に、本体部12aの下面に繊維補強のフランジ部12cを設けた構造となっている。ゴムガスケット12は、そのフランジ部12cを新設函11の端面に合せた状態で、該フランジ部12cに設けた貫通孔19を挿通させたボルト(図示略)を用いて該端面に密着固定されている。なお、このジーナ型ゴムガスケット12の大きさは、底面の幅Lと底面から本体部12aの上面までの高さHとで規定される。
【0011】
本発明で用いるくさび装置21は、再び図7〜9に戻って説明するように、既設函10の左右側壁10aの端面の、ゴムガスケット12の内側の段差部分に固定した台座23上に配置された固定くさび24と、新設函11の端面の、ゴムガスケット12の内側の段差部分に固定した台座25上に配置された可動くさび26とからなっている。固定くさび24と可動くさび26とは、それぞれ対応する台座23、25上に上下方向へ延ばして、すなわち縦方向で楔合するように配置されている。固定くさび24の楔合面24aと可動くさび26の楔合面26aとは、可動くさび26の下方向への移動に応じて楔合高さを増大させるように傾斜向きが設定されており、これにより可動くさび26の下方向への移動に応じて既設函10と新設函11との接合間隔が拡大する。
【0012】
一方、上記駆動装置22は、新設函11側の台座25の側方に縦方向に延ばして配置され、該台座25に対して位置固定された油圧シリンダ27と、この油圧シリンダ27の出力軸27aの上端に取付けられた昇降ブラケット28と、このブラケット28に上端が固定され、下端を前記可動くさび26に連結させた連結バー29とからなっている(図7)。油圧シリンダ27は、低出力ではあるが十分なるストローク長を確保できるように小径長尺に形成されており、その作動は、新設函11内に配置した給排油装置(図示略)からの油液給排により制御されるようになっている。
【0013】
新設函11の沈設工法としては、タワーポンツーン方式を始め、プレーシングバージ方式、フローティングクレーン方式等の種々の方式を採用できるが、タワーポンツーン方式を採用する場合は、図10に示すように、新設函11上に、1基または2基のコントロールタワー30(図示例では、1基)と2基のポンツーン31とが艤装される。コントロールタワー30の上部には測量および指令室32が設けられると共に、その内部には新設函11内に作業員を出入りさせるためのアクセスシャフト(図示略)が配設される。また、新設函11の周りには海底に据付けたシンカー33に先端を連結したワイヤ34が取回わされており、新設函11は、コントロールタワー30上に搭載したウインチ(図示略)の操作により水平方向へ操函されるようになっている。また、各ポンツーン31には新設函11を吊下支持するワイヤ35が取回されており、新設函11は、各ポンツーン31上に搭載した沈降用ウインチ(図示略)と新設函11内のバラストタンク(図示略)への注水とにより沈降する。
【0014】
新設函11にはまた、コントロールタワー30上のGPSアンテナ36からGPS信号を取込んでその全体的な位置管理を行う沈埋函位置測量システム(図示略)、既設函10との相対的な位置管理を行う端面探査装置(図示略)、ゴムガスケット12の圧縮量を高精度に測定する端面間距離計37、新設函11の水平および垂直方向の傾きを計測する計測装置(レーザ計測装置)38などの測量手段が搭載されている。新設函11にはさらに、上記バルクヘッド間の密閉室17内の海水を排水しかつ該密閉室18に海水を注水するための注排水ポンプを始め、支承ジャッキ、モルタルポンプ、、既設函11との位置合せするための鉛直せん断キー(ブラケット)等が搭載されているが、これらについては図示を省略する。
【0015】
新設函11の沈設に際しは、上記した各種艤装品の艤装を終えた沈埋函11を沈設位置に曳航し、その位置で、海底に必要数のシンカー33を据付けて必要なワイヤリングを行う。この準備完了後、前記沈埋函位置測量システム、端面探査装置等により位置管理を行いながら該新設函11を既設函10に対して誘導し、その先端の、図示を略す鉛直せん断キーを既設函10のブラケット(図示略)に着座させ、さらにその後端を、図示を略す支承ジャッキを介して海底の掘削底に設置した仮支承台の上に着座させる。次に、既設函10に設けられた引寄ジャッキ39(図1)の作動により新設函11を既設函10側へ引寄せ、以降、本発明に係る方向修正方法を含む接合工程が実行される。
【0016】
図1および2は、本発明に係る方向修正方法を含む接合工程を示したもので、引寄ジャッキ39による新設函11の引寄せにより、先ず図1▲1▼に示すように、新設函11の接合端面に取付けられているゴムガスケット12のノーズ部12bが圧縮し、既設函10のバルクヘッド16と新設函11のバルクヘッド17との間にはゴムガスケット12により囲まれた密閉室18が形成される。この時、上記方向修正装置20を構成するくさび装置21の可動くさびは、後に詳述するゴムガスケット12の最大圧縮量δ1(図3)内に含まれる適当な初期楔合高さSとなる原位置に位置決めされており、この段階では、図2▲1▼に示すように固定くさび24と可動くさび26とは非楔合状態を維持する。
【0017】
次に、新設函11内の注排水ポンプを排水運転させ、上記バルクヘッド間の密閉室18内の海水を排水する。すると、図1▲2▼に示すように、新設函11の背面にかかる水圧Pによって新設函11が既設函10側へ押され、水圧接合される。この時、左・右のくさび装置21は、図2▲2▼に示すように前記した初期楔合高さSで楔合し、これによりゴムガスケット17は、図3に一点鎖線で示すようにその最大圧縮量δ1よりも少ない圧縮量で変形を停止する。すなわち、水圧Pによる荷重が、くさび装置21とゴムガスケット12とにより分担して受止められるようになる。なお、このゴムガスケット12の圧縮量は、前記端面間距離計37(図10)により監視されている。
【0018】
上記水圧接合の完了と同時に、コントロールタワー30内に配設された図示を略すアクセスシャフトを通して前記計測装置38により函内測量を行う。そして、図5に示すように、前記函内測量により新設函11の後端が、例えばトンネル法線よりも片側へCだけずれており、しかもそのずれ量Cが予定よりも大きくなっていたら、新設函11内の注排水ポンプを注水運転に切換え、図1▲3▼に示すように前記バルクヘッド間の密閉室18に海水を注入する。すると、ゴムガスケット12が、その本体部12aをほぼ元の高さに復元し、その復元力(反力)により新設函11が押戻され、これに応じて、図2▲3▼に示すように固定くさび24と可動くさび26とのトンネル法線方向の間隔も広がる。
【0019】
その後、図2▲3▼に示すように、左・右のくさび装置21のうち、新設函11の後端がずれている側に配置されるくさび装置21の可動くさび26を油圧シリンダ27の作動により原位置より下動させる。この時の可動くさび26の移動量(シフト量)αは、新設函11のずれ量Cを解消するに見合う量であり、この可動くさび26の下動により該くさび装置21の楔合高さは、図4に示すようにh1(初期楔合高さ)からh2に増加する。この可動くさび26の移動(下動)は、固定くさび24と接触しないフリーの状態で行われるので、その駆動手段22を構成する油圧ジャッキ27としては、小型で低出力のものを用いることができる。
【0020】
次に、前記注排水ポンプを排水側に切換え、その排水運転によりバルクヘッド間の密閉室18内の海水を再度排水する。この排水により新設函11は、図1▲4▼に示すように再び既設函10に水圧接合されるが、この際、図2▲4▼に示すように、左・右のくさび装置21を構成する固定くさび24と可動くさび26とが当接し、新設函11はくさび装置21によって既設函20側への移動が規制される。しかして、新設函11の後端がずれていた側のくさび装置21は、上記した可動くさび26のシフトにより楔合高さを増大させているので、新設函11のずれた側は、図1▲4▼に示すように既設函10に対して所定量(戻し量)δだけ戻された状態となり、その方向が修正される。
【0021】
その後、再び函内測量を行い、前記したトンネル法線からのずれ量が予定内に収まっているかどうかを確認し、予定内に収まっていたら、図示を略すバラストタンクに注水して新設函11に対するバラスト水荷重を増加し、続いて、既設函10のバルクヘッド16と新設函11のバルクヘッド17とを撤去し、これと並行して新設函11の周りに砕石ストッパーを施工する。以降、通常の沈埋函沈設工法に従って、函底へのモルタル充填、支承ジャッキのダウン、埋戻しを行い、これにて一つの沈埋函の沈設工事は終了する。
【0022】
ここで、既設函10に対する新設函11の戻し量δは、図5に示すように、新設函11のずれ量をC、新設函11の全長をA、左・右のくさび装置21の間隔をBとすると、下記(1)式で与えられる。
δ=B×C/A …(1)
一方、この戻し量δを得るための可動くさび26のシフト量αは、図4に示すように、くさび装置21を構成する各くさび24、26の楔合面24a、26aの傾斜角(くさび角度)をθとすると、下記(2)式によって与えられ、これに上記(1)式を代入すると、下記(3)式のようになる。
α=δ/tanθ …(2)
α=(B×C)/(A×tanθ) …(3)
【0023】
ところで、既設函10に対する新設函11の戻し量δの調整精度を高めるには、可動くさび26の単位シフト量当たりの戻し量をできるだけ小さくする、すなわち可動くさび26の有効移動量(シフト量)をできるだけ大きくする必要がある。この場合、新設函11の全長A、左・右のくさび装置21の間隔Bは一定であるので、上記(3)式より、可動くさび26のシフト量αをできるだけ大きくとるには、くさび装置21のくさび角度θをできるだけ小さく設定するのが望ましいことが分かる。この点、本発明におけるくさび装置21は、前記したように既設函10および新設函11の左右側壁10a、11aの接合部に縦方向で楔合する配置で設けられているので、そのくさび角度θを小さく設定しても、可動くさび26のシフト量αを十分大きくとることができ、新設函11の戻し量の調整精度を大幅に高めることができ、結果として新設函11の方向修正精度は著しく向上する。
【0024】
また、くさび装置21が、既設函10に対して新設函11を水圧接合した際の水圧Pを受けても安定的に楔合状態を維持するための条件、すなわち、可動くさび26が固定くさび24上を滑動しない条件は、同じく図4に示すように楔合面24a、26aに沿う方向の分力P×sinθと楔合面24a、26aの法線方向の分力P×cosθとの関係から、または両くさび24、26の摩擦係数μとの関係から下記(4)式または(5)式を満足する必要がある。
P×sinθ<P×cosθ×μ …(4)
tanθ<μ …(5)
【0025】
この場合、摩擦係数μは、固定および可動くさび24、26が鋼製となっていることから自ずから決まっており、したがって、可動くさび26の滑動を防止するには、上記(4)または(5)式より、くさび角度θをできるだけ小さく設定する必要がある。この点、本発明におけるくさび装置21は、前記したように、そのくさび角度θを十分小さく設定することができるので、新設函11の方向修正後、最終的な水圧接合を行っても、その水圧接合力Pによって可動くさび26が滑動することはなく、その接合状態が安定的に維持される。このことは、前記したバルクヘッド撤去と同時に油圧シリンダ27を撤去しても、新設函11はその位置(水圧接合位置)を維持することを意味し、後の新設函11の安定化工事を待たないでも油圧シリンダ27を撤去することが可能になり、その分、工事期間が短縮する。
【0026】
一方、新設函11の方向修正に必要なゴムガスケット12の許容戻り変形量δS は、くさび装置21を省略した場合の水圧接合時における最大圧縮量δ1 と、ゴムガスケット12のノーズ部12bの高さで定まる、止水を満足する変形量δ2と、沈埋函10、11同士の端面の製作誤差δ3と、ゴムガスケット12の製作精度および温度収縮量δ4と、想定外変形余裕代δ5との相関から下記(6)式に基づいて決定される。
δS=δ1−{δ2+δx(=δ3+δ4+δ5)} …(6)
したがって、上記くさび装置21は、ゴムガスケット12の止水性(δ2〜δ5)を阻害せずかつ許容戻り変形量δSを十分に保証する範囲内に、その原位置を設定する必要がある。図3には、ゴムガスケット12に要求される上記各要素を付記しており、これより、くさび装置21の原位置Sとしては、上記δx(=δ3+δ4+δ5)の範囲内に設定するのが望ましい、といえる。
【0027】
また、ゴムガスケット12は、その大きさ(L、H)および硬度により特有の圧縮特性を示し、一例として、L=155mm、H=109mm、硬度40のゴムガスケットの圧縮特性は、図6に示すとおりとなっている。この場合、その許容荷重Pfは、水圧接合の全荷重Po(約87×9.8kN/m)よりも低いレベル(約65×9.8kN/m)にあり、上記くさび装置21に水圧接合の荷重を分担させない場合は、ゴムガスケットが座屈または破壊を起こす可能性がある。また、くさび装置21に荷重を分担させる場合であっても、該くさび装置21の分担荷重Pkを前記許容荷重Pfよりも高いレベルに設定したのでは、同様にゴムガスケットが座屈または破壊を起こす可能性がある。したがって、くさび装置21の初期楔合高さSを設定するに際しては、くさび装置21の分担荷重Pkが前記許容荷重Pfよりも低いレベルになるように設定する必要がある。図6に示す例では、このくさび装置21の分担荷重Pkを約45×9.8kN/mに設定しており、この場合は、ゴムガスケットの座屈や破壊が未然に防止されることはもちろん、ゴムガスケットの止水性(δ2〜δ5)および許容戻り変形量δSの保証も十分となる。
【0028】
ここで、水圧接合の全荷重Po(約87×9.8kN/m)をゴムガスケットに負担させる従来工法では、この全荷重Poよりも高いレベルに許容荷重Pfが存在するゴムガスケットを選択しなければならならず、その分、大型のものが必要になる。因みに、許容荷重Pfが95×9.8kN/mレベルのゴムガスケットの大きさは、硬度を40とする、L=190mm、H=148mmとなり、上記した本発明の方法で使用可能なゴムガスケット12の大きさ(L=155mm、H=109mm)に比べて、かなり大型となっている。
【0029】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係る沈埋函の方向修正方法によれば、水圧接合の荷重の一部を左・右のくさび装置に分担させるので、ゴムガスケットにかかる負荷が軽減し、その軽減する分、小型のゴムガスケットの使用が可能になってコスト的に有利となる。しかも、くさび装置とその駆動装置とは、沈埋函の側方に障害物として突出することもないばかりか、駆動手段の早期撤去も可能になるので、沈設作業性の向上と工事期間の短縮とに大きく寄与する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る沈埋函の方向修正方法を含む接合工程を示す模式図である。
【図2】図1に示す接合工程におけるくさび装置の作動状態を示す模式図である。
【図3】沈埋函の接合部に用いるゴムガスケットの断面形状と変形状態とを示す断面図である。
【図4】くさび装置による方向修正原理を示す模式図である。
【図5】新設函の水平方向のずれの状態を示す模式図である。
【図6】本発明で使用可能なゴムガスケットの圧縮特性を示すグラフである。
【図7】本発明で用いる方向修正装置の設置構造を示す正面図である。
【図8】本方向修正装置の設置構造を示す縦断面図である。
【図9】本方向修正装置の設置構造を示す横断面図である。
【図10】新設函の沈設するタワーポンツーン式工法を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
10 既設函
11 新設函
12 ゴムガスケット
16 既設函のバルクヘッド
17 新設函のバルクヘッド
18 バルクヘッド間の密閉室
20 方向修正装置
21 くさび装置
22 駆動装置
24 固定くさび
26 可動くさび
27 油圧シリンダ
39 引寄ジャッキ
Claims (2)
- 既設函および新設函の左・右側壁の接合部のそれぞれに、ゴムガスケットの内側に位置させて、固定くさびと可動くさびとを縦方向で楔合させるくさび装置と、前記可動くさびを移動させる駆動装置とを配設し、始めに、前記ゴムガスケットと前記左・右のくさび装置とに水圧接合の荷重を分担させながら既設函に新設函を水圧接合し、次に、バルクヘッド間に注水してゴムガスケットの反力により新設函を押戻し、この状態で新設函の後端のずれを修正するために必要な量だけ前記左または右側のくさび装置の可動くさびを、対応する駆動装置により移動させ、しかる後、前記ゴムガスケットと前記左・右のくさび装置とに水圧接合の荷重を分担させながら、既設函に新設函を再度水圧接合することを特徴とする沈埋函の方向修正方法。
- くさび装置の初期楔合高さを、ゴムガスケットの許容荷重より低い荷重を分担し、かつゴムガスケットの止水性および許容戻り変形量を保証する範囲内に設定することを特徴とする請求項1に記載の沈埋函の方向修正方法。
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