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JP4022663B2 - 一体成型フィルターユニット及びその製造法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルター保持枠の射出成型と同時に、別に用意されたフィルター部を同時接着させて、気体処理装置への装着性に優れ、軽量、かつ低圧損失、高捕集効率のフィルターユニットを製造するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、空気清浄機、およびそのような空気清浄機を備えたエアーコンディショナーなどの気体処理装置に対する需要が増えている。
【0003】
上述の気体処理装置は、通常、空気中に含まれる浮遊物や臭気成分を除去するためのフィルターを内蔵している。このようなフィルターは、活性炭等の吸着剤、高分子不織布や織布、ガラス繊維などからなるシートまたは、シートをプリーツ状に加工されたフィルター部をフィルター保持枠に取りつけられ、フィルターユニットとして用いられている。
【0004】
フィルターユニットの製造方法としては,予めシートまたはプリーツ状に加工されたフィルター部を準備し、また別に用意したフィルター保持枠に組みこみ、接着剤で固定する方法、係止ツメやネジ、バネで固定する方法が行われていた。このため、工数が多く、製造効率が悪化するという問題があった。最近では、特開平10−263348に示されるように、フィルター保持枠の周囲にパッキンを用いて成型加工する方法、特開平11−90150のようにフィルター保持枠に発泡樹脂を用いる方法などが知られている。しかし,これらの方法は生産性の効率化に主眼を置かれ,フィルターユニットそのものの強度や重量など、またフィルターとしての性能、特性については、なんら言及されていない。また、製造効率が良く,且つ,高強度で軽量なフィルターユニットを製造する方法として,フィルター保持枠の成型と同時に予め別工程で準備されたフィルター部を接着させる一体成型方法がある。
【0005】
しかし、一体成型法に於いても、特にフィルター部に活性炭等の吸着剤が含有されている場合、その吸着剤の機能を少しでも発揮させるべくフィルター部の表面積を大きくしたり、保持枠との接着する部分を少しでも少なくして、捕集効果をあげ、且つ、フィルター成型加工性を向上させるためフィルター濾材と保持枠との接着にいろいろな工夫が凝らされている。しかし、例えば、フィルター部の表面積を最大限に利用するために、保持枠端部まで活性炭を装填したものがあるが、フィルター濾材の端部から活性炭が金型掴み部に脱落してバリを生じたり、あるいは金型破損を引き起こすという問題があった。また、濾材端部には活性炭を装填せずバリや金型破損を防止する方法があるが、フィルターとしての有効表面積が減少するため、フィルター性能が低下するという問題があった。さらに、金型構造を工夫し、枠内側の掴み部に樹脂流入部を数ミリ設けることによりバリや活性炭脱落を防止する方法があるが、先述したものと同様、フィルターとしての有効表面積が減少するため、フィルター性能が低下するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フィルターユニットを成型する時に、保持枠用の樹脂を溶融して射出してフィルター濾材の破損をなくし、濾材の有効面積を大きくして捕集効率を高めるとともに、かつ生産効率を高めたフィルターユニットの成型方法である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図5に示す金型を用いてフィルター濾材と保持枠を接合するフィルターユニットの成型方法である。図5の18は逃がし部17は掴み部、19は掴み部の距離を示す。本発明は逃がし部のクリアランスAがフィルター部の濾材厚みに対して80〜115%、好ましくは100〜110%、掴み部のクリアランスBを25〜45%、好ましくは35〜40%、掴み部の幅Cを0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmとすることにより、濾材の表面積を大きくすることができ、さらに一体成型性の良好なフィルターを提供することができる。ここでクリアランスとはフィルター濾材部を挟み込む金型間つまりキャビ側とコア側の距離である。掴み部とはフレームと濾材の接合部に位置し、濾材の固定、バリの防止などの目的に設けられ、その他のフィルター濾材部、つまり逃がし部よりクリアランスが小さくなっている部分である。逃がし部とは、掴み部以外の濾材部分を指し、この掴み部、逃がし部を設けることによって溶融した熱可塑性樹脂が濾材部に流れ込むこと無く,また濾材構造が破壊される事無く成型される。このA、B、Cを調整してフィルター部末端に活性炭が担持されていても、容易に保持枠と接着が可能となり、本発明にいたった。
【0008】
クリアランスAを80〜115%、好ましくは100〜110、クリアランスBを25〜45%、好ましくは35〜45%、掴み部の幅Cを0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmとすることにより、金型に溶融した樹脂を流した場合、濾材への溶融した樹脂の染み出しがなく、フィルター濾材を最大限に利用することができる。クリアランスAを80%以下とした場合はフィルター濾材が圧縮・破壊され圧力損失が増大し、115%以上した場合は、フィルター部のプリーツ形状が変形したり皺が発生する。またクリアランスBを25%以下とした場合もフィルター濾材が圧縮・破壊され圧力損失が増大し、40%以上とした場合はフィルター部へ樹脂が流出しバリが発生する。更に掴み部の幅Cを0.5mm以下とした場合もフィルター部へ樹脂が流出しバリが発生し、5mm以上した場合はフィルター部の濾材逃がし部面積が減少しフィルター性能が低下する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる濾材は、活性炭やゼオライト等の吸着剤含有シート、高分子不織布、ガラス繊維、多孔性の樹脂シート、各種の織物、編物などからなるシートまたは、それをプリーツ状などに成型加工されたものからなる。
【0010】
本発明の保持枠に用いることのできる熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、シリコン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、メラミン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポアミド系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、などの熱可塑性エラストマーなど溶融射出成型ができるものなら何でも良い。
【0011】
本発明によってできるフィルターユニット全体を図1に示した。また、フィルター部を図2に示した。一体成型する時に用いる金型を図3乃至図4に示した。図4中の14に示した溝はできたフィルター枠部の側面外側(濾材配列方向)のリブに相当する。また、図4中の16は、フィルター枠部の濾材巾方向面に位置するゲートに相当する。このリブ、ゲートを設けることにより、射出成型時の溶融した樹脂の流動性が上がり,短時間に金型全体に溶融した樹脂が行き渡り,また、金型の隙間全体に均一に圧がかかり、隙間なく樹脂が行き渡る。通常金型への溶融した樹脂の流れ込みは15から20秒で完了する。この後、金型内の冷却に30〜35秒を要する。冷却後、金型を上下にはがして、目的とするフィルターユニットが得られる。
【0012】
さらに濾材を固定し、保持枠を形成する金型の概略図を図5に示した。逃がし部のクリアランスAをフィルター部の濾材厚みに対して80〜115%、掴み部のクリアランスBを25〜45%、掴み部の幅Cを0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmとしてキャビとコアを圧着させることにより、溶融した保持枠用の樹脂の濾材への染み出しもなく、完全に溶着される。この結果、濾材中の活性炭の脱落や濾材の破壊もなく濾材と保持枠とが接着され、活性炭を含んだ濾材が保持枠に直接接合することができる。そして、活性炭を含んだ濾材の有効面積が大きくなり、フィルター性能に大きく寄与することが可能となった。
【0013】
また、保持枠部の金型の隙間を小さくすることができ、即ち、出来たフィルター保持枠の厚みを小さくすることができる。さらに驚くべきことに、固化した樹脂がフィルター保持枠の側面(濾材配列方向)を補強することにもなり、出来たフィルターの強度を著しく向上させることが可能となった。
【0014】
また、濾材の破損、破壊もなく、さらに活性炭の飛散もないことから、保持枠との一体成型が可能となり、1つ1つのバッチ生産だけでなく、連続生産も可能となり、工程が簡略化され工程での不良率を低減させることもでき、コスト低減にも寄与できるものである。
【0015】
以下、本発明の一体成型フィルターの実施例及び比較例を記載するが本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本明細書の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができるものである。
【0016】
以下実施例における評価、測定方法を下記に示す。フィルター部に用いる濾材の性能については以下の試験により実施したものとする。
[濾材厚み]測定加重7gf/cm、測定端子25mmφの厚み計により測定した。
[剛軟度]JIS L 1096 8.19 B法により測定した。
[圧縮弾性率]JIS L 1096 8.18により測定した。
[フィルター部有効面積]フィルターユニットにおけるフィルター部の濾材逃がし部有効面積。
[濾材トルエン効率]80ppmのトルエンを使ったワンパスの除去性能を測定した。風速23cm/sにおける上流側と下流側の濃度を島津製炭化水素系によって測定。次式より除去効率を算出した。
トルエン除去効率=(下流側濃度/上流側濃度)×100 [%]
[濾材圧力損失]風速48cm/sにおける濾材の通気抵抗を測定した。
[樹脂使用量]保持枠に要した樹脂量。
[成型性不良率]射出成型2000ショットした時に発生した不良個数より下記式により算出した。ここで不良とは保持枠部のバリ,ショートおよび濾材破れ,変形を指す。
成型不良率=不良個数/2000ショット×100%[トルエン除去効率]80ppmのトルエンを使ったワンパスの除去性能を測定した。風量300m/hrにおける上流側と下流側の濃度を島津製炭化水素系によって測定。次式より除去効率を算出した。
トルエン除去効率=(下流側濃度/上流側濃度)×100 [%]
[圧力損失]風量600m/hrにおけるフィルターユニットの通気抵抗を測定した。
【0017】
【実施例】
実施例1
フィルター部として、濾材厚み1.1mm、幅方向の剛軟度22〜26kg・cm、厚み方向の圧縮弾性率45〜50%、濾材トルエン除去効率50%以上、濾材圧力損失90Pa以下の活性炭含有シートを、ヒダ高さ39mm、ヒダ間隔が9mmでヒダ折りした後、濾材幅105.5mmにカットした。予め用意された図4に示す金型のインサート部すなわちフィルター部15に該濾材を挿入した。この金型の逃がし部クリアランスAは濾材厚みに対して105%即ち1.16mm、掴み部クリアランスBは40%即ち0.44mm、掴み部の幅Cは1.5mmとした。該金型に該濾材を挿入して、射出成型機により215℃に溶融したポリプロピレン樹脂(C&CTECH製)を、図3の金型の樹脂導入部8より50kgf/cmの圧力をかけて6点のゲートから図4に示す金型の隙間17に流し込んだ。この時、金型への注入時間は15秒とし、注入後冷却に35秒かけた。この後、金型を上下に分離して、フィルターユニットを取り出した。これにより、ユニット外形寸法106mm×222mm×40mm、フィルター部寸法103mm×216mm×39mm、ヒダ間隔9mm、フィルター保持枠の形状としては、保持枠厚み1.5mm、リブ厚み0.5mm、リブ幅6mmのフィルターユニットのフィルターユニットを得た。このフィルターユニットのフィルターとしての特性を測定した。
【0018】
実施例2
フィルター部は実施例1と同様のものを使用した。フィルターユニットの成型方法も実施例1と同じとしたが、金型構造を逃がし部クリアランスAを濾材厚みに対して103%即ち1.13mm、掴み部クリアランスBを35%即ち0.39mm、掴み部の幅Cを3mmとした。また金型の樹脂の流れ込み部の厚みを変え,保持枠厚みを3mmとした。
【0019】
比較例1
フィルター部は実施例1と同様のものを使用した。フィルターユニットの成型方法も実施例1と同じとしたが、金型構造を逃がし部クリアランスAを濾材厚みに対して100%即ち1.1mmとし,掴み部は設けなかった。
【0020】
比較例2
フィルター部は実施例1と同様のものを使用した。フィルターユニットの成型方法も実施例1と同じとしたが、金型構造を逃がし部クリアランスAを濾材厚みに対して70%即ち0.77mm、掴み部クリアランスBを40%即ち0.44mm、掴み部の幅Cを1.5mmとした。
【0021】
比較例3
フィルター部は実施例1と同様のものを使用した。フィルターユニットの成型方法も実施例1と同じとしたが、金型構造を逃がし部クリアランスAを濾材厚みに対して130%即ち1.43mm、掴み部クリアランスBを40%即ち0.44mm、掴み部の幅Cを1.5mmとした。
比較例4
フィルター部は実施例1と同様のものを使用した。フィルターユニットの成型方法も実施例1と同じとしたが、金型構造を逃がし部クリアランスAを濾材厚みに対して105%即ち1.16mm、掴み部クリアランスBを60%即ち0.66mm、掴み部の幅Cを1.5mmとした。
比較例5フィルター部は実施例1と同様のものを使用した。フィルターユニットの成型方法も実施例1と同じとしたが、金型構造を逃がし部クリアランスAを濾材厚みに対して105%即ち1.16mm、掴み部クリアランスBを40%即ち0.44mm、掴み部の幅Cを6mmとした。
【0022】
以上のようにして得られた、フィルターユニットを用いてフィルターとしての性能評価を行なった。結果を表1に示した。
【0023】
【表1】
Figure 0004022663
【0024】
【発明の効果】
以上のように、合成樹脂からなるフィルター保持枠を射出成型する際の金型の掴み部、逃がし部のクリアランス、および掴み部のを限定する事によって、濾材の破損や成型時のバリ、ショート等の不良を無くし、かつ濾材の有効面積が大きく捕集効率が大きなフィルターユニットを得ることができた。さらにリブ、ゲートを設けることで、フィルター保持枠のプリーツ濾材配列方向の強度を維持するとともに厚みを薄くすることが可能となり、さらに加えて保持枠に使用する樹脂量の低減し軽量化が可能となっている。また、フィルター部との一体成型工程が効率よくなり、不良品の減少も可能となった。産業界に寄与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明における製造方法により作製したフィルターユニットの斜視図例。(b)は該フィルターユニットの濾材幅方向側正面図例。
【図2】フィルター部となるプリーツ濾材の斜視図例。
【図3】本発明に係る成型金型の全体断面図例。
【図4】本発明に係る成型金型の下金型展開上面概略図例。
【図5】本発明に係る成型金型の下金型の斜視図例。
【符号の説明】
1 ゲート
2 リブ
3 保持枠側面(濾材配列方向)
4 保持枠側面(濾材幅方向)
5 フィルター部乃至フィルター濾材
6 リブ幅
7 リブ厚み
8 溶融樹脂の流動経路
9 成型金型上下合わせ面
10 セレーション部
11 上金型(固定側金型)
12 下金型(可動側金型)
13 ランナー部
14 リブを形成する金型コア
15 成型金型における濾材挿入部
16 ゲート
17 掴み部
18 逃がし部
19 掴み部の距離

Claims (1)

  1. フィルターユニットにおいて、端部まで活性炭が装填されたフィルター濾材を利用し、該フィルター濾材からなるフィルター部が、熱可塑性樹脂からなるフィルター保持枠部に直接接合されたことを特徴とし、フィルターユニットの金型として、保持枠とフィルター濾材の接合部に位置する掴み部のクリアランスBがフィルター濾材厚みに対して25〜45%、該掴み部の幅Cが0.5〜5mm、該掴み部以外のフィルター濾材部分である逃がし部のクリアランスAがフィルター濾材厚みに対して80〜115%である構造の金型を使用することで、濾材への溶融した樹脂の染み出しを防止したことを特徴とする一体成型からなるフィルターユニット。
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