JP4022840B2 - レールボンド溶接用のクランプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レールボンドをレールとレールの継目へ溶接するに際し、列車の走行に支障を来すことなく、レールボンド及び加熱剤を保持することのできるクランプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道事業の電気部門では、信号設備を制御するための信号電流を流す信号線としてレールを利用しており、また電車を走行させるための電車電流を変電所へ返すための電気線としてレールを利用している。そのため、レールとレールを電気的に接続するものとしてレールボンドが使用されている。レールボンドは、軟銅線を右撚りの方向で同心円に撚り合わせ、両端に端子を取り付けたものであり、両端の端子をそれぞれレール側面部へ溶接ボンドをもって溶接するようにしている。
【0003】
従来のレールボンドの溶接作業は、図7に示すように、レール1を上方から跨いで内外のレール側面部1aどうしを挟持するクランプ部材2を用いて行っていた。クランプ部材2は、二本のアーム3a及び3bの中間点を支点4として開閉自在とし、支点4よりも後端側に圧縮スプリング5を装着することにより、先端の挟持部6でレール側面部1aどうしを挟持するようにしている。このクランプ部材2によるレールボンド7の溶接作業は、次のようにして行っている。
【0004】
すなわち、レール1,1どうしの継目にレールボンド7を準備し、その両端側の端子にそれぞれ予め溶接しておいた加熱剤8をレール側面部1aへ押し当て、この状態で前記クランプ部材2により、加熱剤8をレール側面部1aへ挟持して固定している。加熱剤8は、溶接ボンド8aを溶かし、レールボンド7の溶接をし易くするための簡易加熱炉である。そして、次に加熱剤8を外部からバーナー(図示せず)で加熱して溶接ボンド8aを溶かし、また新たに溶接ボンドを加熱剤8の凹部8bへ加えて撹拌し、所要形状に盛り上げて行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来のクランプ部材2を用いる溶接作業では、クランプ部材2をレール頭部1bの上方からこれを跨いで配設し、内外のレール側面部1a,1aどうしを挟持することでレールボンド7及び加熱剤8をレール側面部1aへ当接固定している。そのため、列車の走行に支障を来し、非常に危険である。また列車の往来がある度に、クランプ部材2を取り外してレールボンド7及び加熱剤8のセット状態を解除し、溶接作業を中断する必要がある。しかも、溶接作業は最初からやり直す必要があるので、極めて非能率的であり、列車が通過する時間間隔が短い場合は、溶接作業自体が行えないという不都合もあった。
【0006】
更に、レール1どうしを斜めに切断して重ね合わせた伸縮継目の部分にあっては、レール頭部の全体の幅が通常のレール頭部1bの幅よりも大きく、前記クランプ部材2ではクランプすることができないという問題があった。更にまた、加熱剤8を加熱して溶融状態の溶接ボンド8aはこれを撹拌しながら盛り上げる必要があるが、クランプ部材2のアーム3aの先端挟持部6が撹拌作業の邪魔になり、溶接作業自体が円滑に行えないという問題もあった。それに加えて、列車往来の度にクランプ部材2の解除をしなければならず、放置できないので、一度に一か所の溶接作業しか行えないという欠点もあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、レールへセットしたままの状態で列車を通過させることができ、しかも効率の良い溶接作業が可能なレールボンド溶接用のクランプ装置を提供せんとするものである。
【0008】
而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、レール底部のエッジ部を上下に挟持するクランプ手段と、該クランプ手段に取り付けられ、レール側面部に対して前進後退可能な押圧手段と、該押圧手段の先端に取り付けられたレールボンドの加熱剤保持手段とを備え、前記クランプ手段に、レール底部を挟持するときにエッジ端面に当接して横揺れを防止する揺動防止板が取り付けられ、前記押圧手段と前記加熱剤保持手段との間に、加熱剤をレール側面へ押し付ける力を調節する圧力調整螺子が設けられていることを特徴とするレールボンド溶接用のクランプ装置である。
クランプ装置は、レール底部に取り付けられるので、レール頭部には列車の走行に支障を来すような部材は存在せず、クランプ装置を取り付けたままで列車の走行が可能である。つまり、レールボンドの溶接作業を列車を通過させながら安全且つ迅速に行うことが可能である。
【0009】
また本発明が採用した請求項2の手段は、先端に加熱剤保持手段を取り付けた押圧手段が複数個並列に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレールボンド溶接用のクランプ装置である。
例えば、二本のレールボンドを同時にクランプして溶接作業を行うことが可能であり、極めて効率良く行うことが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。なお、従来の場合と同一符号は同一部材である。図1〜図4は本発明の第1の実施の形態に係るクランプ装置10を示すものであり、図1は使用状態を示すクランプ装置10の側面図、図2は同装置10の平面図、図3は押圧手段12と加熱剤保持手段13とを示す側面図、図4の図(A)は押圧手段12の高さ調節機構14を示す背面図であり、図(B)は高さ調節機構14の側面図である。
【0011】
このクランプ装置10にあっては、クランプ手段11としてバイスプライヤー15を用いている。バイスプライヤー15は、レバー15a及び15bを一体で閉操作するか、又はレバー15aのみを単独で開操作することにより、ワンタッチ式でクランプの脱着が可能ないわゆる万力の一種である。先端側に設けられた上下のクランプ歯16a及び16bの間隔は、クランプ取付調整ネジ15cを回動操作することで任意に変更することが可能である。また上側のクランプ歯16aには、レール底部1cのエッジ端面17に当接して横揺れを防止するための揺動防止板18が取り付けられている。
【0012】
バイスプライヤー15の上部には二つの支柱19a及び19bから成る高さ調節機構14が取り付けられている。支柱19aは長孔20を有し、支柱19bにはこの長孔20に貫通するボルト21が取り付けられている。両者は、ボルト21及びナット22の螺合状態を調節することにより、前記押圧手段12の高さ位置を調節することが可能である。つまり、ボルト21が長孔20の上端側に係止した状態で締結された場合(図4で示す状態)は、押圧手段12は最も高い高さ位置となり、ボルト21が長孔20の下端側に係止した状態で締結された場合は、押圧手段12は最も低い高さ位置となる。この高さ位置は、対象となるレール1の種類に応じて決定すればよい。
【0013】
この実施の形態にあっては、高さ調節機構14の支柱19bの上端側でこれにT字状となるように取り付けられた水平フレーム23の両端側に、それぞれ押圧手段12を合計二つ設けるようにしている(図2参照)。各押圧手段12は、図3に示すように、筒状本体24を貫通する軸25を有し、筒状本体24内にスプリング26が装着されている。スプリング26は、貫通軸25に固定された円板27を付勢することによって貫通軸25を常に同図の左側方向へ付勢している。貫通軸25の後端側には摘み28が取り付けられており、先端側には圧力調整螺子29を介して加熱剤8の保持手段13が取り付けられている。保持手段13は、板状材をL字状に折曲形成した係合部30を有し、該係合部30が加熱剤8の側面及び下面側に係合してこれを押圧付勢するようになされている。つまり、このクランプ装置10は、レールボンド7を二つ並列的に設置する場合に対応するものである。
【0014】
次に、このように構成されたクランプ装置10による二つのレールボンド7,7の溶接作業要領を説明する。先ず、図1及び図2に示すように、レール継目において、レールボンド7の端末を溶接しようとする箇所に対応してクランプ装置10を準備する。そして、該当する箇所のレール底部1cにクランプ手段11としてのバイスプライヤー15のクランプ歯16a及び16bを差し込み、レバー15a及び15bを一体的に押し下げると、クランプ歯16a及び16bがレール底部1cを上下から強く噛み込んで挟持し、これに固定される。なお、クランプした後は、むやみにクランプ状態が解放されないように、図1に示す安全キャップ39をレバー部へ被せておけばよい。安全キャップ39は、レバー15a及び15bに外嵌装着される筒状キャップ40とクランプ調整ネジ15cに係止されるU字状等の抜止環41とから成る。
【0015】
然る後は、高さ調節機構14の支柱19bの上下位置を調節して二つの押圧手段12,12の先端側に取り付けられた加熱剤の保持手段13,13の高さ位置を調節する。これは、レールボンド7,7を溶接するに際し、加熱剤の保持手段13,13の上下位置が、レール1の種類(特に高さ方向の大きさ)に応じた適切な高さ位置となるようにするためのものである。つまり、レール1の種類に応じてレールボンド7,7の溶接高さ位置を調節するようにしている。また加熱剤保持手段13の係合部30を回転させて圧力調整螺子29の螺合状態を調節する。これは、加熱剤8を保持したときに、レール側面1aへ押し付ける力が適切となるようにするためである。
【0016】
高さ調節及び圧力調整が済んだ後は、両端の端末に加熱剤8を溶接ボンド8aで一体的に融着してなるレールボンド7を二つ準備する。そして、以下の手順で各レールボンド7を固定し、溶接作業を順次行う。すなわち、押圧手段12の摘み28を引いて加熱剤保持手段13の係合部30を、レール側面1cから後退移動させ、レール側面1cと係合部30との間に大きな空間を形成する。次に、この状態で、レールボンド7の加熱剤8を前記係合部30へ載置し、摘み28を放置する。これにより、係合部30はスプリング26の付勢力により、レール側面1cに対して前進移動し、加熱手段8を所望する圧力でレール側面1cに対して押圧付勢するようになる。つまり、加熱手段8及びレールボンド7を、レール側面1cに対して固定するようになる。
【0017】
このようにして加熱剤8及びレールボンド7が固定された後は、加熱剤8を外部からバーナー(図示せず)で加熱し、内部の炉材8cを通じて溶接ボンド8aを溶かし、凹部8bへ新たな溶接ボンド8aを追加しながら撹拌し、所要形状に盛り上げるようにしている。溶接ボンド8aの盛り上げが終了した後は、溶融ボンド8aを冷却固化させる。そして、バイスプライヤー15のレバー15aのみを単独で開動作させることにより、ワンタッチ式でクランプ歯16a及び16bをレール底部1cから解放することができ、クランプ装置10の全体を取り外すことが可能である。最後に、加熱材8の外部金属ケーシング8d及び炉材8cを溶接ボンド8aから分離させればよい。両者の分離は、材質が異なるため容易に行うことが可能である。
【0018】
このようなレールボンド7の溶接作業であれば、クランプ装置10の全体がレール頭部1bよりも低い位置にあり、しかも列車走行に支障を来すことのない位置にあるので、列車を通過させながら溶接作業を行うことが可能である。なお、列車の通過に際しては、安全上、クランプ状態をそのままにして溶接作業を一旦中止し、列車通過後に溶接作業を続けるようにしている。またクランプ装置10は、レール底部1cのエッジ部を上下方向から挟持するものであり、バラスト軌道の場合でも、コンクリートスラブ軌道の場合であってもその取り付けは簡単である。更に、レールボンド7を同時に二つ並列的に接続することが可能であり、極めて作業性に優れている。
【0019】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るクランプ装置31を示す装着状態の側面図である。同図に示す如く、このクランプ装置31は、クランプ手段11としてレール底部1cに装着されるコ字状のクランプ本体32と、これに立設されたボルト33とからなるものを用いている。クランプ本体32の別な位置には、高さ調節機構14を介して押圧手段12が取り付けられている。クランプに際しては、ボルト33の締結動作が必要であり、第1の実施の形態のようにワンタッチ式で行うことはできない。その他の構成並びに作用効果は、前記第1の実施の形態の場合と同じである。
【0020】
図6は、本発明外のクランプ装置34を示す装着状態の側面図である。このクランプ装置34は、コンクリートスラブ等のようにレール1の下方に自由な空間が形成される場合に有効なものである。このクランプ装置34のクランプ手段11は、先端側にフック部35が形成されたクランプ螺子棒36と、これを挿通するクランプ本体37と、クランプ螺子棒36に螺合するナット38とで形成されている。クランプ本体37には、高さ調節機構14を介して押圧手段12が取り付けられている。クランプ動作は、クランプ螺子棒36のフック部35をレール1の下方から例えば内側のレール底部1cの端面側へ係止させ、この状態でナット38を締め込んで外側のレール底部1cの端面側へクランプ本体37を当接させて緊締すればよい。その他の構成並びに作用効果は、前記第1の実施の形態の場合と同じである。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にあっては、レール底部を挟持するクランプ手段と、該クランプ手段に取り付けられ、レール側面部に対して前進後退可能な押圧手段と、該押圧手段の先端に取り付けられたレールボンドの加熱剤保持手段とでレールボンド溶接用のクランプ装置を構成したから、クランプ装置をレール底部へ固定することができる。そのため、レール頭部には列車の走行に支障を来すような部材が存在しなくなり、クランプ装置を取り付けたままで列車の走行が可能である。つまり、レールボンドの溶接作業を列車を通過させながら安全且つ迅速に行うことが可能である。
【0022】
また本発明にあっては、加熱剤保持手段を複数個並列に設けたから、例えば、二本のレールボンドを同時にクランプして溶接作業を行うことが可能であり、極めて効率良く行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るクランプ装置の装着状態を示す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るクランプ装置の装着状態を示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るクランプ装置の押圧手段と加熱剤保持手段とを示す側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るクランプ装置の高さ調節機構を示すものであり、図(A)は背面図、図(B)は側面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るクランプ装置の装着状態を示す側面図である。
【図6】本発明外のクランプ装置の装着状態を示す側面図である。
【図7】従来技術に関するものであり、クランプ部材の装着状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…レール、1a…レール側面、1b…レール頭部、1c…レール側面、7…レールボンド、8…加熱剤、8a…溶接ボンド、8b…凹部、8c…炉材、8d…金属ケーシング、10…クランプ装置、11…クランプ手段、12…押圧手段、13…加熱材保持手段、14…高さ調節手段、31…クランプ装置、34…クランプ装置
Claims (2)
- レール底部のエッジ部を上下に挟持するクランプ手段と、該クランプ手段に取り付けられ、レール側面部に対して前進後退可能な押圧手段と、該押圧手段の先端に取り付けられたレールボンドの加熱剤保持手段とを備え、前記クランプ手段に、レール底部を挟持するときにエッジ端面に当接して横揺れを防止する揺動防止板が取り付けられ、前記押圧手段と前記加熱剤保持手段との間に、加熱剤をレール側面へ押し付ける力を調節する圧力調整螺子が設けられていることを特徴とするレールボンド溶接用のクランプ装置。
- 先端に加熱剤保持手段を取り付けた押圧手段が複数個並列に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレールボンド溶接用のクランプ装置。
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