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JP4022999B2 - 力覚呈示装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な力覚呈示装置に関する。詳しくは、小型軽量で安価であると共に、故障も少なく、さらに、暴走等によりユーザーに損傷を与える惧の無い力覚呈示装置を提供する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピューター上にデータとして構築された仮想世界において、仮想の対象をあたかも現実の対象であるかのように感じ、操作することができる、仮想物体操作システムがある。
【0003】
実空間での三次元位置をコンピュータグラフィックスなどの手法を用いて表示された映像(仮想空間)の三次元座標に変換することにより、映像中に表示されたユーザーの仮想の手の仮想空間における位置と実空間における位置との対応をとることができ、これによって、ユーザーは仮想物体を操作することが可能となる。
【0004】
ただ、それだけでは、ユーザーは、視覚的に仮想物体を操作していると感じるだけで、あたかも仮想物体を触ったり、掴んだりしたかのような感覚を得ることはできない。
【0005】
そこで、仮想世界で、上記のような感覚をユーザーに伝達する力覚呈示装置としていくつかのものが提案されている。
【0006】
従来は、例えば、手袋型あるいは手袋型にはなっていないにしても各手指の関節間にバンドなどの手段を用いて固定した指輪状の部材に一端を固定したワイヤーをプーリ等を介して手首の辺りまで引き回して外部に引き出し、それぞれのワイヤーの他端をモータで巻き取ることにより、手指の各関節に力を加える方法(特開平6−324622号参照)や、ワイヤーとモータを組み合わせる替わりにエアシリンダを用いるものや、バイブレータを用いるものなどがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ワイヤーとモータを組み合わせる方法やエアシリンダを用いる方法では、手指に装着する装置そのものが大きくなるだけでなく重くなってしまうので、自由な手指の動きを阻害する要因となるだけでなく、手腕の疲労により長時間の使用が困難である。また、バイブレータを用いる方法では、仮想物体を触ったという、いわゆる触感覚はある程度得られるが、仮想物体からの反力、すなわち、力覚を得ることはできない。
【0008】
さらに、これらの方法では、手指に外力を加えるので、正常動作中でも加えた力が強すぎた場合や、制御装置の異常(暴走)などによりきわめて強い力が働いた場合などには、手指に損傷を与える惧がある。これを回避するために、リミッタなどの安全装置を設けたとしても、リミッタの信頼性を100%保証することは困難である。また、最大トルクの小さなモータを用いるなどの方法で回避することもできるが、この場合には、ユーザーの力がモータのトルクを上回って、力覚呈示という本来の機能を果たせなくなる場合が頻繁に起こりうる。
【0009】
上記のような問題を解決するものとして、手指の周りにワイヤの替わりに液体を満たした管を配して、その液体の流動抵抗を調節することにより操作者に反力を与える装置が考えられるが、かかる方式においては、上記流体の流動抵抗を調節する手段として機械的な電磁弁を用いることになり、電磁弁に故障の発生する可能性があり、また、電磁弁が大きく且つ重く、操作者に負担となる点で従来の装置の欠点を克服し切れていないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、小型軽量で安価であると共に、故障も少なく、さらに、暴走等によりユーザーに損傷を与える惧のない力覚呈示装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明力覚呈示装置は、上記した課題を解決するために、柔軟な材料により形成され手袋型をした外殻部材と、上記外殻部材に組み込まれ内部に電気粘性流体を満たしたチューブと、上記外殻部材内の物体の動きによって生じる上記電気粘性流体の流動抵抗を制御する制御手段とから成り、上記制御手段が上記電気粘性流体に電界を加える電界発生手段であって、該電界発生手段は上記チューブの手首部の付近に配設されたものである。
【0012】
従って、本発明力覚呈示装置にあっては、電気粘性流体の流動抵抗を変えて所望の反力を生じさせることができ、しかも、電気粘性流体の流動抵抗を変える手段は小型且つ軽量に構成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明力覚呈示装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。なお、図示した力覚呈示装置は、本発明を、手指による仮想物体の操作時に該手指に力覚を与えるための力覚呈示装置に適用したものである。
【0014】
力覚呈示装置1は、ユーザーの手を挿入することができる外殻部材2を備える。
【0015】
外殻部材2は、柔軟な材料で手袋状に形成されている。該外殻部材2は所定の数の手指部3、3、・・・及び掌部4を備えていて、操作者の手指及び掌を手首の部分まで覆うようになっている。そして、該外殻部材2には電気粘性流体5、5、・・・が充填された複数のチューブ6、6、・・・が組み込まれる。
【0016】
上記チューブ6、6、・・・は手指部3に挿入されたユーザーの手指の背側(外側)と腹側(内側)に手指部3に沿った状態で位置するように外殻部材2に組み込まれる。各チューブ6、6、・・・は、手指部3の指先側の端部6a、6a、・・・で密閉されており、反対側の端部6b、6b、・・・は手首部7側から外部に引き出されて貯留槽8に接続されている。該貯留槽8は、チューブ6、6、・・・の内容積の状態に応じて、電気粘性流体5、5、・・・をチューブ6、6、・・・に供給し、又は、チューブ6、6、・・・から戻ってきた電気粘性流体5、5、・・・を貯めておくものである。該貯留槽8は、例えば、操作者の腕に装着されるが、操作者に装着せずに、傍らに置く等、適当に配置してもよい。
【0017】
これらチューブ6は柔軟な材料によって形成されるが、内部に封入された電気粘性流体5から受ける圧力によって、その内容積が大きく変化しないものである必要がある。
【0018】
上記電気粘性流体5は、電気絶縁性の液体、例えば、シリコンオイル、炭化水素系鉱油、ハロゲン化炭化水素等に電場の印加により電気分極する固体微粒子、例えば、セルロース、シリカ、ゼオライト等の微粒子を分散・懸濁させたものであり、電場の印可により流体の粘性が変化する特性を持ったものである。
【0019】
手首部7の付近に電界発生手段9が配設される。該電界発生手段9は、上記チューブ6を挟んで配置される一対の電極10、11とこれら電極10、11に印加する電圧を制御する制御装置12とを備える。制御装置12によって電極10、11に印加する電圧によって電極10、11間に電界が発生し、電気粘性流体5の粘性が変化し、従って、該電気粘性流体5のチューブ6内での流れ易さが変化する。
【0020】
しかして、ユーザーは、その手13を手首14の部分まで外殻部材2内に挿入して使用する。この時、ユーザーの手指15、15、・・・は外殻部材2の手指部3、3、・・・内に挿入される。そして、ユーザーがその手指15を屈伸させると、外殻部材2とそれに取り付けられたチューブ6、6、・・・が曲げられ、この動作によりチューブ6、6、・・・の内容積が変化し、これに伴いチューブ6、6、・・・内に充填された電気粘性流体5、5、・・・が流動する。
【0021】
ところで、チューブ6、6、・・・の指先側の端部6a、6a、・・・は閉塞されているため、電気粘性流体5、5、・・・は手首側に流れようとする。そこで、この電気粘性流体5、5、・・・の流れを電界発生手段9、9、・・・によって妨げると、チューブ6、6、・・・内の電気粘性流体5、5、・・・の移動が制限されるため、チューブ6、6、・・・の内容積の変化も制限を受け、その変化の要因である手指15、15、・・・の屈伸運動を妨げることになる。例えば、電気粘性流体5、5、・・・の流れを完全に止めてしまえば、ユーザーは手指15、15、・・・を屈伸させることができなくなり、また、電気粘性流体5、5、・・・を流れ難くすると、ユーザーは手指15、15、・・・の屈伸運動のためにある程度の力を必要とすることになる。
【0022】
上記した電気粘性流体5、5、・・・の流動性の調節は、電気粘性流体5、5、・・・にかける電界の強さを変化させること、すなわち、電極10、11に印加する電圧の大きさを変化させることにより行う。上記したように、電極10、11に電圧を印加することによって電界を発生させるが、この印加する電圧を大きくすれば、発生する電界が強くなり、電気粘性流体5、5、・・・は流れ難くなり、逆に、印加する電圧を小さくすれば、発生する電界が弱くなり、電気粘性流体5、5、・・・はそれほどの抵抗を受けずに流れることができる。
【0023】
以上に記載したように、ユーザーが仮想空間中で剛体、あるいは剛体でないものを掴んだ場合等、電界発生手段9において、電極10、11に印加する電圧を加減することにより、チューブ6、6、・・・内の電気粘性流体5、5、・・・の流動抵抗を変化させて、ユーザーの手指15、15、・・・に感じる硬さの度合いを変えることができる。従って、ユーザーの手指に様々な感触を与えることができる。
【0024】
上記した力覚呈示装置1にあっては、振動を用いる擬似的な力を与えるのではなく、ユーザーに実際の反力を与えることができるので、ユーザーは実際に物体を操作したかのような実感を得ることができる。
【0025】
しかも、実際の反力の呈示を、ワイヤ等を用いた強制的な方法によるのではなく、ユーザーの動作を妨げる形で呈示するので、機械的動作不良等によりユーザーの手指等に損傷を与えてしまう危険性がない。従って、かかる危険回避のためのリミッタを設ける必要が無く、装置を小型且つ軽量に構成することができる。
【0026】
さらに、電気粘性流体の流動性の制御に機械的な機構を使用する必要がないので、故障が少なく、また、チューブ内の電気粘性流体自体が流量調節の役割を果たすことができるので、電気粘性流体の流量調節のための手段を小さく且つ軽くすることができ、ユーザーの負担を軽減することができる。
【0027】
なお、上記実施の形態においては、外殻部材は、ユーザーの手を手首まで覆う形態のものを示したが、使用の目的に応じて、手指、掌等の手の一部のみを覆うものでも良いし、逆に手首より腕側をさらに広範囲に覆うものであっても良い。
【0028】
また、チューブは手指の背側及び腹側の双方に配するのではなく、背側又は腹側の一方に配しても良いし、あるいは一本の手指に対して複数のチューブを配しても良い。さらに、チューブは手指以外の部分に配しても良い。また、チューブの断面形状は円形に限らず、その他の形状であってもかまわない。
【0029】
貯留槽は、ユーザーに装着するようにしても、あるいはユーザーに装着しなくとも良い。また、各チューブと貯留槽との接続は、各別に為すのではなく、その途中で幾つかのチューブをまとめてあるいは全てのチューブを一本にまとめて貯留槽に接続するようにしても良い。
【0030】
チューブを挟んで配設される電極は、一つのチューブに対して一つとは限らず複数対の電極を設けてもよい。かかる場合、電極10と11とをそれぞれ一対とするのではなく、図6に示すように、複数の電極16、16、・・・とこれらすべての電極16、16、・・・に対して対となる電極17を用いる構成としてもよい。
【0031】
また、電気粘性流体の流動性を制御する手段として、電界発生手段のほかの手段、例えば、電磁弁等を併用してもよい。かかる場合、電界発生手段以外の制御手段は、補助的に使用されるものである。
【0032】
要するに、上記実施の形態において示した各部の形状乃至は構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0033】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、本発明力覚呈示装置は、柔軟な材料により形成され手袋型をした外殻部材と、上記外殻部材に組み込まれ内部に電気粘性流体を満たしたチューブと、上記外殻部材内の物体の動きによって生じる上記電気粘性流体の流動抵抗を制御する制御手段とから成り、上記制御手段が上記電気粘性流体に電界を加える電界発生手段であって、該電界発生手段は上記チューブの手首部の付近に配設されたことを特徴とする。
【0034】
従って、本発明力覚呈示装置にあっては、振動を用いる擬似的な力を与えるのではなく、ユーザーに実際の反力を与えることができるので、ユーザーは実際に物体を操作したかのような実感を得ることができる。しかも、実際の反力の呈示を、ワイヤ等を用いた強制的な方法によるのではなく、ユーザーの動作を妨げる形で呈示するので、機械的動作不良等によりユーザーの手指等に損傷を与えてしまう危険性がない。従って、かかる危険回避のためのリミッタを設ける必要が無く、装置を小型且つ軽量に構成することができる。
【0035】
さらに、電気粘性流体の流動性の制御に機械的な機構を使用する必要がないので、故障が少なく、また、チューブ内の電気粘性流体自体が流量調節の役割を果たすことができるので、電気粘性流体の流量調節のための手段を小さく且つ軽くすることができ、ユーザーの負担を軽減することができる。また、制御手段を電気粘性流体に電界を加える電界発生手段としたので、消費電力を小さくすることができ、ランニングコストの低減が可能になる。そして、外殻部材を手袋型のものにしたので、手指によって仮想物体を操作する際の力覚呈示装置として好適のものを提供することができる。
【0037】
請求項に記載した発明にあっては、電界発生手段のほかに電界発生手段以外の流動抵抗制御手段を併用するようにしたので、よりきめの細かい力覚の呈示を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図面は本発明力覚呈示装置の実施の形態を示すものであり、本図は全体の構成を概略的に示すものである。
【図2】外殻部材の手指部の先端部を拡大して示す断面図である。
【図3】外殻部材の平面図である。
【図4】電界発生手段の電極部を示す横断面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】電極部の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…力覚呈示装置、2…外殻部材、5…電気粘性流体、6…チューブ、7…手首部、9…電界発生手段(制御手段)

Claims (2)

  1. 柔軟な材料により形成され手袋型をした外殻部材と、
    上記外殻部材に組み込まれ内部に電気粘性流体を満たしたチューブと、
    上記外殻部材内の物体の動きによって生じる上記電気粘性流体の流動抵抗を制御する制御手段とから成り、
    上記制御手段が上記電気粘性流体に電界を加える電界発生手段であって、該電界発生手段は上記チューブの手首部の付近に配設された
    ことを特徴とする力覚提示装置。
  2. 上記制御手段に、電界発生手段以外の流動抵抗制御手段を併用した
    ことを特徴とする請求項1に記載の力覚呈示装置。
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