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JP4023958B2 - キャンディおよびその製法 - Google Patents
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JP4023958B2 - キャンディおよびその製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存中の吸湿が防止されたキャンディおよびその製法に関するものであり、詳しくは糖アルコール含有キャンディや高水分キャンディ等の吸湿しやすいキャンディを無包装のまま放置しても保存中の吸湿が長期間にわたって防止でき、かつ呈味成分や機能性成分等を用いた場合にその風味や効果を活かすことができるキャンディおよびその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昨今、消費者の健康志向が高まるなかで、低カロリーや抗う蝕性を特徴とする菓子類が数多く市販されている。なかでも、低カロリーや抗う蝕性を得るために、例えば砂糖等の天然糖質甘味料に代えて、糖アルコール等を主体に用いることが知られている。この糖アルコールを主体にした菓子類の代表例として、ハードキャンディがある。
【0003】
通常、糖アルコールを主体とするハードキャンディ(糖アルコール含有ハードキャンディ)は、糖アルコール由来の水分量を調整したり、甘味,硬度を調整したり、コールドフロー(糖アルコール特有の白濁現象)を防止するために、複数の糖アルコールやその他の糖類を併用することが行われており、1種類の糖アルコールでハードキャンディを製造することは稀である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記糖アルコール含有ハードキャンディは、通常、高温(140〜160℃程度)で糖アルコール等の糖類を煮詰め、香料等の副原料を添加したのち、80〜100℃程度にまで品温を下げ、その後適宜成形することにより製造される。そのため、急冷時の結晶化の際、糖類の結晶化が不充分でガラス体のまま固化する傾向がある。ガラス体は、結晶化した固体とは異なり、エネルギー的に不安定であるため、外気に接触する部分が空気中の水分を取り込み溶解してしまうという性質を示す。したがって、糖アルコール含有ハードキャンディは、吸湿が生じやすく、その結果、表面がべたついてハードキャンディ同士が付着したり、食感が悪くなったり、包装紙に付着する等の、商品価値の著しい低下を招来するという問題がある。この問題は、糖アルコールを含む複数の糖類を用いた場合、各々の糖類が阻害しあうため、特に顕著にみられる。
【0005】
また、ハードキャンディは、吸湿防止のため、製品水分を1重量%程度に調節することが望ましいとされるが、糖アルコールや果汁等の高水分原料を用い、通常の製造条件でハードキャンディを製造した場合、製品水分が2重量%に近い高水分のハードキャンディとなってしまい、吸湿が防止できない。そこで、高水分原料を用いる場合には、所定の水分になるまでさらに煮詰めることが行われるが、それではキャンディ生地中の他の原料が熱変性してしまい、色調,風味,機能性成分等が、消失,変性,失活等を起こしてしまうという問題が生じる。
【0006】
上記問題を解決すべく、フラクトース含有キャンディの表面を、特殊組成の糖アルコール含有キャンディで被覆するシュガーレスキャンディの製法が提案されている(特公昭52−21585号公報)。この製法によれば、ある程度の吸湿防止性は得られるものの、それを長期間にわたって維持することはできず、2〜3日無包装のままで放置すると吸湿が生じる。したがって、このシュガーレスキャンディは、製造直後にセロファン紙で包む等の包装が必要になる。また、キャンディをキャンディで被覆したものは、各々のキャンディ生地用の煮詰め設備(クッカー)を準備しなければならず、しかもキャンディ生地が冷えないように被覆時の保温設備も別個に必要になるなど、大掛かりな製造設備を要する。さらに、キャンディ生地製造時に高温で煮詰められるため、香料,果汁等の呈味成分が飛散しやすく風味が悪いという問題もある。
【0007】
また、他の方法として、チョコレート,チューインガム,ナッツ等の可食性物品にエリスリトールを主体とする糖液をかけ、乾燥する工程を繰り返し、可食性物品の表面に糖衣層を形成する糖衣掛製品の製法が提案されている(特開平6−292511号公報)。この製法では、センターとなる可食性物品として油脂や樹脂を含有する吸湿しにくいものを用いているため、外気に晒したとしても、吸湿は生じない。しかしながら、センターとなる可食性物品が吸湿性の高い糖アルコールを含むキャンディ等である場合には、糖液としてエリスリトールとともに他の糖アルコールを併用しているため、その糖液をキャンディ等にかけた時点でキャンディ等が吸湿し、これを乾燥しても乾燥に時間がかかり、また糖衣層自体や糖衣層とキャンディ等の界面におけるエリスリトールの結晶化が不安定となり、かえって吸湿しやすくなるという問題がある。
【0008】
また、チューインガム等の実質的に無水の可食コアをソルビトールを含有する溶液で被覆後、結晶ソルビトール粉末を被覆し、被膜形成材を被覆して乾燥する方法も提案されている(特公平4−58942号)。この方法において、可食コアとして各種の糖アルコールを含むキャンディを用いた場合、ソルビトールの被覆工程での吸湿が激しいため、実質的にはゼラチン,セルロース等のフィルム形成材や、タルク等の水分吸収剤や、アラビアゴム等のバインダーをさらに被覆することが必要であり、結局、これらによって吸湿が防止されているにすぎない。また、この方法により最終的に得られる製品は、かりかりとした硬質の糖衣錠に用いられているような厚膜の、クランチーな食感の糖衣を有するものであり、可食コアであるキャンディ本来の食感を損なうものである。
【0009】
ところで、昨今、小粒のキャンディを複数個、裸のまま携帯用の包装容器に装填し、消費者が好きなときに任意の数を喫食でき、残りを携帯するという形態のものが商品化されている。しかしながら、上述のいずれの方法も、キャンディ等の製造品を製造直後に個包装することが前提であり、製造品自体では長期間にわたって吸湿防止効果を維持できないため、個包装がなく、携帯用包装容器を開封したのち開閉を繰り返すことで外気に晒されやすくなる態様の商品には適用できない。
【0010】
また、上述のようにキャンディによる被覆や糖衣層の形成をしたものを喫食する場合、被覆部分のキャンディや糖衣層の食感や風味等がまず最初に感じられるため、糖衣層等の形成状態によっては、センターのキャンディ自体の風味や食感が充分に発現しない場合もある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、糖アルコール等の吸湿しやすい糖類を含有するキャンディを無包装のまま放置しても吸湿を長期間にわたって防止でき、かつ呈味成分や機能性成分等を用いた場合にその風味や効果を活かすことができるキャンディおよびその製法の提供をその目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つの結晶性糖類を含有するキャンディ芯体と、上記キャンディ芯体の外表面に糖液および粉末がこの順で付与されたことに由来する被覆層のみで構成され、上記糖液および粉末には、それぞれ上記キャンディ芯体中に用いられている結晶性糖類のうちの少なくとも1つが含有されており、上記被覆層中の、糖液および粉末に由来する結晶性糖類が、上記キャンディ芯体の表層中の結晶性糖類とともに結晶化され上記被覆層とキャンディ芯体とが一体化されてなるキャンディを第1の要旨とする。
【0013】
また、本発明は、マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つの結晶性糖類を用いてキャンディ芯体を製造する工程と、上記キャンディ芯体の製造に用いた結晶性糖類のうちの少なくとも1つの結晶性糖類を含有する糖液でキャンディ芯体の外表面を被覆し、その糖液をキャンディ芯体の表層に吸湿させてキャンディ芯体表層中の結晶性糖類を微溶解する工程と、上記糖液付きキャンディ芯体の外表面に上記キャンディ芯体の製造に用いた結晶性糖類のうちの少なくとも1つの結晶性糖類の結晶粉末を付与し上記糖液を利用して結晶粉末を付着させ湿潤状態にするとともに糖液との界面の結晶粉末を微溶解する工程と、上記結晶粉末付きキャンディ芯体を乾燥させることにより、キャンディ芯体表層中で微溶解された前記結晶性糖類を再結晶化するとともに、湿潤状態の結晶粉末を乾燥化させ結晶粉末と糖液との界面で微溶解された結晶粉末の結晶性糖類を再結晶化するとともに、前記糖液中の結晶性糖類を再結晶化する工程とを備え、上記再結晶化により、キャンディ芯体とこれに一体化された被覆層のみで構成されたキャンディを得るキャンディの製法を第2の要旨とする。
【0014】
すなわち、本発明者らは、吸湿防止を実現することが可能なキャンディについて鋭意検討を重ねた結果、マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つの結晶性糖類を含有するキャンディ芯体の外表面に、上記キャンディ芯体中に用いられている結晶性糖類のうちの少なくとも1つを含有する糖液と、上記キャンディ芯体中に用いられている結晶性糖類のうち少なくとも1つからなる結晶粉末を含有する粉末とを用いて被覆層を形成することにより、上記被覆層中の結晶性糖類を上記キャンディ芯体の表層中の結晶性糖類とともに結晶化して上記被覆層とキャンディ芯体とを一体化するようにすればよいことを見いだし、本発明に到達した。
【0015】
さらに、本発明者らは、吸湿しやすい糖類の1つである糖アルコール等を含有するキャンディにおいて、キャンディ表面からの吸湿を防止するための吸湿防止層(被覆層)をそのキャンディ表面に形成する方法について鋭意検討を行った。その結果、糖アルコール等を原料とするキャンディ芯体の外表面に、その原料中の少なくとも1つの結晶性糖類を含有する糖液をかけて、キャンディ芯体の表層中の結晶性糖類を微溶解し、ついでこの上から上記結晶性糖類の結晶粉末を付与して、糖液付きキャンディ芯体の外表面に付着させ結晶粉末を湿潤もしくは微溶解し、その後結晶粉末付きキャンディ芯体を乾燥することにより、キャンディ芯体の表層中で微溶解された結晶性糖類を再結晶化させるとともに、湿潤状態の結晶粉末の乾燥化と微溶解された結晶粉末の結晶性糖類の再結晶化、および糖液中の結晶性糖類の再結晶化とを行えば、吸湿防止を実現したキャンディを製造できることを見いだした。なお、上記製法では、上記結晶粉末とともに香料等の呈味成分や微量栄養素等の機能性成分等を用いることが可能であるため、これら呈味成分等を用いた場合には、呈味成分の風味や機能性成分の効果が損なわれず、風味や効果を最大限発揮させることができることも見いだした。
【0016】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明のキャンディは、例えば、図1に示すように、キャンディ芯体1の外表面に、被覆層2が一体形成されている。そして、キャンディ芯体1には、その内部とは組織が異なる表層1aが形成されている。
【0018】
本発明のキャンディのセンターとなるキャンディ芯体1は、マルチトール(還元麦芽糖)、パラチニット(イソマルト,還元パラチノース)およびトレハロースのうちの少なくとも1つの結晶性糖類を含む糖類を主体(原料全体中の50重量%以上)とするものであれば特に制限はなく、従来公知の各種のキャンディ類が用いられる。上記糖類としては、砂糖、水飴等の天然糖質甘味料の他、糖アルコール、非還元性少糖類の糖類があげられ、これらは単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。これらのうち、2種以上の糖類、特に糖アルコール,非還元性少糖類を含む2種以上の糖類を用いたキャンディ類や、高水分であるキャンディ類(ハードキャンディの場合は水分2〜3重量%以上)をキャンディ芯体1として用いた場合は、本発明の吸湿防止効果が顕著に表れる点で好ましい。
【0019】
上記キャンディ芯体1に用いることのできる糖アルコールは、糖類がもつカルボニル基を還元して得られる鎖状多価アルコールの総称であって、具体的には、上記マルチトールおよびパラチニットの他に、ソルビトール,エリスリトール,キシリトール,ラクチトール(還元乳糖),還元澱粉糖化物,マンニトール等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて用いられる。
【0020】
また、上記キャンディ芯体1に用いることのできる非還元性少糖類としては、上記トレハロースの他に、ラフィノース,スタキオース,パノース,ニゲロース,コウジビオース等の各種のオリゴ糖があげられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて用いられる。
【0021】
そして、上記糖アルコールと非還元性少糖類は、それぞれ単独で用いてもよいし、両者を併用してもよい。両者を併用したキャンディ類は、そのままでは吸湿が特に生じやすいものであるため、それをキャンディ芯体1として用いると本発明の吸湿防止効果が顕著に表れるため好ましい。
【0022】
なお、本発明のキャンディ芯体1として用いられる従来公知の各種のキャンディ類としては、いわゆる飴と呼ばれるハードキャンディの他、ヌガー,チューイングキャンディ,キャラメル等のソフトキャンディ、グミキャンディ,ゼリービーンズ等のゼリー菓子、ラムネ等の錠菓等があげられる。なかでも、ハードキャンディは、ガラス体と呼ばれる不安定な状態になり吸湿しやすいものであるため、それをキャンディ芯体1として用いると本発明の吸湿防止効果が顕著に表れるため好ましい。
【0023】
上記各種のキャンディ類において、ハードキャンディは、通常、高温(140〜160℃程度)で糖類を煮詰めて製造されるものであり、ソフトキャンディは、それより低温(110〜140℃程度)で糖類を煮詰めて製造されるものである。また、ゼリー菓子は、一般に、ペクチン,ゼラチン,コラーゲン分解物等を含む糖液を煮詰めて製造されるものである。そして、錠菓は、一般に、粉末原料(糖類,賦型剤等)を高圧で圧縮成形して製造されるものである。
【0024】
そして、上記キャンディ芯体1に用いられ、マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つの結晶性糖類の合計の含有割合は、特に制限するものではないが、キャンディ芯体1の表層1aの形成時の結晶化を促進するという観点から、糖類全体中の50重量%(以下「%」と略す)以上に設定されていることが望ましい。
【0025】
上記キャンディ芯体1中には、上記マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つの結晶性糖類の他に、必要に応じ、任意の副原料が適宜添加してあってもよい。副原料としては、カカオバター,カカオマス,ココアパウダー,カカオ豆抽出物等のカカオ豆由来原料,カカオ同等油,乳化剤,香料,色素,スクラロース等の高感度甘味料,塩類,乳製品,蛋白原料,食物繊維,各種栄養成分(ビタミン類等),酸味料や果汁等の呈味原料,澱粉,ゲル化剤等があげられる。これらは、単独でもしくは2種以上組み合わせて用いられる。
【0026】
つぎに、上記キャンディ芯体1の外表面に形成される被覆層2は、キャンディ芯体1の原料として用いられる結晶性糖類のうちの少なくとも1つと同一の結晶性糖類を含有する原料を用いて形成することが必要である。すなわち、上記同一の結晶性糖類として、マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つを用いることにより、吸湿防止効果が顕著に表れる。なお、上記結晶性糖類の形態は、通常、粉末状(結晶粉末)である。
【0027】
そして、上記被覆層2の原料として用いられる上記同一の結晶性糖類の含有割合は、吸湿防止の観点から、被覆層2の原料全体中の50%以上に設定されていることが好ましい。より好ましくは、80%以上である。
【0028】
上記被覆層2の原料中には、上記同一の結晶性糖類の他に、その他の糖類や任意の副原料を添加してもよい。副原料としては、上記キャンディ芯体1に用いられている副原料があげられ、特に熱によって変化したり飛散したりしやすい成分である香料,天然着色料,機能性成分(ビタミン等)が、その風味や効果が有効に発揮されうるため好適である。
【0029】
本発明のキャンディは、上記各原料を用い、例えばつぎのようにして製造される。すなわち、まず、常法に従い、センターとなるキャンディ芯体1を製造する。小粒のシュガーレスのハードキャンディの場合は、まず、マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つの結晶性糖類を含有する糖類を、水や果汁等の水性媒体に溶解し、開放型の釜または減圧クッカーで、水分1%程度になるまで濃縮する。得られた濃縮液に上記副原料を必要に応じ添加して混合し、80〜100℃程度まで冷却し、その後スタンピング成形を施し、常温まで冷却することにより製造される。このようにして製造されるハードキャンディは、糖類等の溶融液状原料を急冷しているため、充分に結晶化することなく固化したガラス体となっており、きわめて吸湿しやすい状態になっている。
【0030】
つぎに、キャンディ芯体1の製造に用いた結晶性糖類を含有する糖液を準備する。すなわち、上記結晶性糖類に必要に応じて副原料を添加し、水や果汁等の水性媒体に105℃程度で溶解して糖液を調製する。上記結晶性糖類の含有割合は、結晶性糖類の起晶性(再結晶化しやすい性質)の観点から、糖液全体中の50%以上に設定されていることが望ましい。また、水分は、乾燥工程での乾燥効率や被覆適性の観点から、25〜40%程度に設定されていることが望ましい。
【0031】
そして、上記のようにして製造されたハードキャンディ等のキャンディ芯体1を回転釜(レボリングパン)に適宜の量を投入し、これに上記調製した糖液を供給し、キャンディ芯体1の外表面を糖液で被覆する。この際、1回にかける糖液の量は、キャンディ芯体1が1重量部(以下「部」と略す)に対し、0.003〜0.005部程度である。このようにキャンディ芯体1を糖液で被覆することにより、キャンディ芯体1の表層1aはその糖液を吸湿し、表層1a中の結晶性糖類は微溶解した状態になる。ここで、微溶解とは、表層1a中の結晶性糖類を全て溶解するのではなく、その一部のみを溶解することをいう。
【0032】
つづいて、キャンディ芯体1の製造に用いた結晶性糖類の結晶粉末を含む粉末を準備する。すなわち、上記結晶粉末に必要に応じ副原料を添加し、従来公知の混合手段によって混合して粉末を調製する。上記結晶性糖類の結晶粉末の含有割合は、結晶性糖類の起晶性の観点から、粉末全体中の50%以上に設定されていることが望ましい。そして、上記回転釜中の糖液で被覆されたキャンディ芯体1の外表面に、上記結晶粉末を含む粉末を付与し、キャンディ芯体1上の糖液を利用してその結晶粉末を含む粉末を付着させ湿潤状態にするとともに、糖液との界面の結晶粉末の結晶性糖類を微溶解する。この際、1回の操作で付着する結晶粉末は、キャンディ芯体1が1部に対し、0.005〜0.02部程度である。
【0033】
そして、上記のようにして得られた粉末付きキャンディ芯体1を温風(25〜28℃程度)等で乾燥することにより、糖液によって微溶解されたキャンディ芯体1の表層1a中の結晶性糖類を再結晶化させるとともに、キャンディ芯体1の外表面上の湿潤状態の粉末を乾燥化させ、同時に微溶解された結晶粉末の結晶性糖類を再結晶化させ、また糖液中の結晶性糖類を再結晶化させる。これにより、被覆層2中およびキャンディ芯体1表層1a中の結晶性糖類は安定した結晶(固体)となり、しかも被覆層2とキャンディ芯体1が強固に一体化する。このようにして、図1に示すキャンディが得られる。
【0034】
なお、上記被覆層2の形成において、上記糖液と粉末の付与は、1回のみであってもよいし、複数回繰り返してもよいが、2回以上5回以下の範囲で、被覆層2が10〜100μm程度になるように繰り返し行うことが好ましい。すなわち、上記範囲を上回って被覆層2が厚くなりすぎると、被覆層2が舌の上でざらつき、風味,食感ともに好ましくない傾向があるからである。
【0035】
また、被覆層2の原料の合計量は、キャンディ芯体1の形状,表面積等によって異なるが、例えば直径10〜20mm程度の円形のキャンディ芯体1の場合、キャンディ芯体1が100部に対して、0.3部以上25部未満が好ましく、特に0.9部以上5部未満が好適である。すなわち、0.3部未満であると、吸湿防止が不充分となり風味等が悪くなる傾向があり、逆に25部以上であると、吸湿防止効果は充分であるものの、かりかりとした食感が不快になり舌にざらつきを感じる傾向があるからである。
【0036】
さらに、上記糖液中および粉末中に含まれる結晶性糖類糖(マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つ)は、互いに異なるものであってもよいが、より良好な吸湿防止効果が得られる点で、互いに同一のものを用いることが好ましい。
【0037】
このようにして得られる本発明のキャンディは、ハードキャンディ等の吸湿が生じやすいものをキャンディ芯体1とした場合であっても、被覆層2中の結晶性糖類の結晶化体とキャンディ芯体1表層1a中の結晶性糖類の結晶化体とにより、吸湿が生じやすい部分を外気から完全に遮断することができるため、キャンディ全体として吸湿が防止されたものとなる。したがって、例えばこのキャンディを複数個携帯用包装容器に装填し、容器の開閉を繰り返したとしても、キャンディ同士が付着せず、任意の数を自由に取り出して喫食することができる。また、キャンディ自体がべとつかないため、手でつまんでも手に付着せず、消費者に不快感を与えることもない。
【0038】
さらに、本発明のキャンディは、被覆層2中の結晶性糖類の結晶化体とキャンディ芯体1表層1a中の結晶性糖類の結晶化体とによって、被覆層2とキャンディ芯体1とがいわゆる投錨効果により強固に一体化されているため、物理的衝撃に強く、例えばこのキャンディを複数個携帯用包装容器に装填し、容器ごと激しく振っても、被覆層2が剥離,破損等をすることがない。したがって、吸湿防止効果を長期間にわたって維持でき、また外観上からも品質保持される。
【0039】
また、本発明において、被覆層2の形成につき、キャンディ芯体1の甘味質や風味,食感に影響することがないよう適宜に設計することができ、またその層厚もキャンディ芯体1等に応じて任意に設定できるため、キャンディの食感への影響を少なくすることができる。
【0040】
つぎに、実施例について説明する。
【0041】
【実施例1】
還元パラチノース55部と、トレハロース45部と、レモン果汁3部と、クエン酸1.5部と、甘味料(ステビア)0.1部と、香料0.3部とを用い、常法に従って、1個約0.8gで、直径15mm×短径10mm×厚み9mm程度の大きさのハードキャンディA−1を作製した。また、還元パラチノース70部と、水30部とを用いて、糖液B−1を作製した。さらに、還元パラチノース100部からなる粉末C−1を準備した。
【0042】
つぎに、上記のようにして得られたハードキャンディA−1を100部レボリングパンに投入したのち、糖液B−1を1部供給してハードキャンディA−1の外表面を糖液B−1で被覆し、その後粉末C−1を1.5部供給して糖液B−1付きハードキャンディA−1の外表面に付着させた。なお、この糖液B−1および粉末C−1の供給は、交互に複数回繰り返し行った。そして、糖液B−1および粉末C−1が付着したハードキャンディA−1を温風によって乾燥させることにより、目的とするキャンディを作製した。
【0043】
【実施例2〜14、比較例1,2】
後記の表1に示す配合からなるキャンディ芯体と、後記の表2に示す配合の糖液と、後記の表3に示す配合の粉末とを、実施例1と同様にして調製した。なお、グミキャンディの製造は、常法に従って製造した。そして、後記の表4〜表6に示す組み合わせで、実施例1と同様にして、目的とするキャンディを作製した。
【0044】
このようにして得られた実施例品および比較例品のキャンディについて、吸湿度、風味等を下記の方法に従って測定・評価し、その結果を同表に併せて示した。
【0045】
〔吸湿度〕
得られたキャンディ20粒を1単位として袋に収容し、その袋の開口部を開放した状態で、温度30℃×湿度70%の環境下に7日間放置した。その後、キャンディ表面のべたつき、キャンディ同士の付着を肉眼で観察し、下記の評価基準に従って評価した。
(吸湿度の判定基準)
◎:全く吸湿がみられなかった(製造直後の品質を維持している)。
○:殆ど吸湿していなかった(やや吸湿している部分もあるが、キャンディ同士の付着はない)。
△:やや吸湿がみられた(表面が吸湿し、ややキャンディ同士の付着がある)。
×:かなりの吸湿がみられた(表面がべたつき、大半のキャンディ同士の付着がある)。
【0046】
〔風味等〕
吸湿度の評価と同様にして、得られたキャンディ20粒を放置したのち、専門パネラー20名にて風味等(香りだち、甘味の質、食感、口どけ等)を下記の評価基準に従って評価した。
(風味等の判定基準)
◎:風味等が極めてよい。
○:風味等がまあよい。
△:風味等があまりよくない。
×:風味等が悪い。
【0047】
【表1】
Figure 0004023958
【0048】
【表2】
Figure 0004023958
【0049】
【表3】
Figure 0004023958
【0050】
【表4】
Figure 0004023958
【0051】
【表5】
Figure 0004023958
【0052】
【表6】
Figure 0004023958
【0053】
上記表4〜表6の結果から、全実施例品は、吸湿が少なく風味等も概ね良好であった。特に、実施例3品,8品,13品,14品は、キャンディ芯体(ハードキャンディ)中の糖類と被覆層中の糖類が略同じ種類のものであるため、吸湿防止効果が高く、風味等も良好であった。実施例2品は、被覆層中に香料を用いているため、香りだちが良好で風味等の点で実施例1品に比べ良好であった。実施例5品は、実施例1品に比べ被覆層が薄いため、吸湿防止性にやや劣っており、実施例6品は、さらに被覆層が薄いため、吸湿防止性とともに風味等も悪くなっていた。実施例7品は、実施例1品に比べ被覆層が厚いため、吸湿防止性はかなり良好であるが、風味等の点で、ざらつきやかりかりとした食感等がやや生じた。また、実施例9品,10品,11品,12品は、被覆層中に占める主体結晶性糖類(キャンディ芯体中の主体結晶性糖類と同一のもの)の比率違いであるが、表4〜表6の結果から、主体結晶性糖類が、被覆層中50%以上であることが、吸湿防止性の点で特に望ましいことが分かった。
【0054】
これに対し、比較例品は、キャンディ芯体と被覆層とにおいて、結晶性糖類の種類が異なっているため、吸湿が生じてキャンディ表面がべたつき、キャンディ同士の付着が生じていた。また、食味も悪く、外観的にも好ましくなかった。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明のキャンディは、マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つの結晶性糖類を含有するキャンディ芯体の外表面に、上記キャンディ芯体中に用いられている結晶性糖類のうちの少なくとも1つを含有する被覆層のみが設けられており、かつ上記被覆層中の結晶性糖類が、上記キャンディ芯体の表層中の結晶性糖類とともに結晶化して上記被覆層とキャンディ芯体とが一体化されてなるものであるため、吸湿を効果的に防止することができる。したがって、無包装のまま放置したとしても、キャンディ同士の付着が生じず、その結果、キャンディの個包装が不要となり、例えばキャンディを複数個携帯用包装容器内に装填するといったバラエティに富んだ包装形態が可能となる。
【0056】
そして、本発明のキャンディは、被覆層中の結晶性糖類とともにキャンディ芯体表層中の結晶性糖類を結晶化しているため、被覆層とキャンディ芯体とが強固に一体化しており、耐衝撃性に優れている。したがって、被覆層の破損等が生じにくく、長期間にわたって良好な吸湿防止効を維持することができ。さらに、本発明のキャンディの被覆層中に呈味成分や機能性成分を添加した場合には、熱変性等を生じることなく、その風味等や効果充分に活かされたものとなる。
【0057】
また、本発明の製法によれば、キャンディ芯体の表層中の結晶性糖類および被覆層の形成に用いられる結晶性糖類をいったん微溶解したのち再結晶化しているため、外気に晒されても吸湿を生じない強固な被覆層を形成することができる。そして、本発明の製法を実施するためには、従来から糖衣層の形成等に用いられている装置をそのまま利用することが可能であり、本発明のキャンディを簡便に製造できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャンディの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の簡単な説明】
1 キャンディ芯体
2 被覆層
1a 表層

Claims (2)

  1. マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つの結晶性糖類を含有するキャンディ芯体と、上記キャンディ芯体の外表面に糖液および粉末がこの順で付与されたことに由来する被覆層のみで構成され、上記糖液および粉末には、それぞれ上記キャンディ芯体中に用いられている結晶性糖類のうちの少なくとも1つが含有されており、上記被覆層中の、糖液および粉末に由来する結晶性糖類が、上記キャンディ芯体の表層中の結晶性糖類とともに結晶化され上記被覆層とキャンディ芯体とが一体化されてなることを特徴とするキャンディ。
  2. マルチトール、パラチニットおよびトレハロースのうちの少なくとも1つの結晶性糖類を用いてキャンディ芯体を製造する工程と、上記キャンディ芯体の製造に用いた結晶性糖類のうちの少なくとも1つの結晶性糖類を含有する糖液でキャンディ芯体の外表面を被覆し、その糖液をキャンディ芯体の表層に吸湿させてキャンディ芯体表層中の結晶性糖類を微溶解する工程と、上記糖液付きキャンディ芯体の外表面に上記キャンディ芯体の製造に用いた結晶性糖類のうちの少なくとも1つの結晶性糖類の結晶粉末を付与し上記糖液を利用して結晶粉末を付着させ湿潤状態にするとともに糖液との界面の結晶粉末を微溶解する工程と、上記結晶粉末付きキャンディ芯体を乾燥させることにより、キャンディ芯体表層中で微溶解された前記結晶性糖類を再結晶化するとともに、湿潤状態の結晶粉末を乾燥化させ結晶粉末と糖液との界面で微溶解された結晶粉末の結晶性糖類を再結晶化するとともに、前記糖液中の結晶性糖類を再結晶化する工程とを備え、上記再結晶化により、キャンディ芯体とこれに一体化された被覆層のみで構成されたキャンディを得ることを特徴とするキャンディの製法。
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