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JP4030337B2 - 遊星歯車式変速装置及びそのバックラッシュ調整方法 - Google Patents
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JP4030337B2 - 遊星歯車式変速装置及びそのバックラッシュ調整方法 - Google Patents

遊星歯車式変速装置及びそのバックラッシュ調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊星歯車式変速装置とそのバックラッシュ調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊星歯車式変速装置は、例えば、(1)入力軸(第一回転軸)に取り付けられた太陽歯車と、(2)太陽歯車と同心状に配置された内歯車と、(3)太陽歯車及び内歯車に噛み合って自転しながら公転するとともに、入力軸と同心状の出力軸(第二回転軸)を有するキャリアに回転可能に支持された遊星歯車とから構成される。このような遊星歯車式変速装置は、小型軽量で大きな変速比が得られること;入力軸と出力軸とを同心状に配置できること;両軸の回転方向を容易に同一方向にできること;などの特長を有し、工作機械、自動車における動力伝達等に広範囲に利用されている。また、近年ではサーボモータ等に連結されて制御系に用いられることも多くなっている。
【0003】
一方、歯車には一般に、歯の背面の摩擦を防いで噛み合いを滑らかにするために、一対の歯車を噛み合わせたときにその歯面間に隙間(バックラッシュ)が設けられている。このバックラッシュが大きくなると、動力伝達時に歯打ち音が発生する不具合がある。さらに、回転方向が正逆に切り替えられる制御系に使用された場合、回転方向が切り替えられる度にバックラッシュ分だけ回転量が遅れ、伝達が不正確になるので、例えば位置決め装置に使用すると正逆回転によりバックラッシュ分停止位置がずれ、正確な制御ができなくなる。そして、上記した遊星歯車式変速装置では、太陽歯車と遊星歯車との噛み合い及び遊星歯車と内歯車との噛み合いにそれぞれバックラッシュが関与することになる。
【0004】
そこで、本発明者らは、特願2002−45832において、バックラッシュ除去のための調整操作とバックラッシュゼロ維持のための保守管理(メンテナンス)とに要する負担の軽減を図ることができる新規な遊星歯車式変速装置と、その装置における新規なバックラッシュ調整方法を提案した。
【0005】
図9(a)は、上記遊星歯車式変速装置の基本的構成例を模式的に示している。この遊星歯車式変速装置は、入力軸IP(第一回転軸)に取り付けられた太陽歯車Sと、太陽歯車Sと同心状に配置された内歯車Iと、太陽歯車S及び内歯車Iに噛み合って自転しながら公転するとともに、入力軸IPと同心状の出力軸OP(第二回転軸)を有するキャリアCに回転可能に支持された遊星歯車Pとから構成される。そして、内歯車Iは、軸方向に二分割された分割内歯車Ia,Ibで構成されるとともに、これら分割内歯車Ia,Ibは互いに中心軸線周りに相対回動可能とされている。また、遊星歯車Pは、軸方向に二分割された分割遊星歯車Pa,Pbで構成されるとともに、これら分割遊星歯車Pa,Pbはそれぞれ対応する分割内歯車Ia,Ibと噛み合っている。
【0006】
このような遊星歯車式変速装置のバックラッシュ調整は、例えば次のようにして行われる。まず、出力軸OP側の分割内歯車Iaを中心軸線周りに所定の方向へ回動させて、バックラッシュ調整の基準状態(太陽歯車Sと分割遊星歯車Paとの噛み合い及び分割遊星歯車Paと分割内歯車Iaとの噛み合いにおいて片側の歯面同士がそれぞれ接触する状態)とする。次に、入力軸IP側の分割内歯車Ibを中心軸線周りに、上記分割内歯車Iaとは逆方向へ回動させると、分割内歯車Ibと分割遊星歯車Pbとの間及び分割遊星歯車Pbと太陽歯車Sとの間のバックラッシュがそれぞれ除去される。
【0007】
ところで、上記したような遊星歯車式変速装置を複数段直列状に連結すれば、入力軸と出力軸とを同心状に配置できる特長を生かしてさらに小型で大変速比の遊星歯車式変速装置を得ることができる。その結果、伝動系、制御系を問わず昨今の変速装置に要求されている高精度化(減速装置の場合)及び高速化(増速装置の場合)の要請に応えることができるようになる。
【0008】
図9(b)は、複数段型の遊星歯車式変速装置の構成例を模式的に示している。図9(b)の遊星歯車式変速装置は、同図(a)と同様の構造を有する遊星歯車機構GT1,GT2が直列状に2段連結されている。具体的には、出力軸OP側(変速1段目)の遊星歯車機構GT1の入力軸が、入力軸IP側(変速2段目)の遊星歯車機構GT2のキャリアC2から一体的に延出する中間軸CS(出力軸)と一体化されている。なお、図9(b)では、第1段目の遊星歯車機構GT1を構成する各部に添え字1、第2段目の遊星歯車機構GT2を構成する各部に添え字2を付してある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図9(b)のような複数段型の遊星歯車式変速装置では、同図(a)と同様構造の遊星歯車機構GT1,GT2を単に2連としただけであるから、バックラッシュ調整に要する時間も単純に2倍かかることになる。このように、複数段型においてはバックラッシュ調整を行う際の操作の容易性と所要時間が問題となり、変速段数が増える(多段化される)ほどその差は大きくなる。すなわち、操作性や調整所要時間は、組立調整時においては生産能率や製造コストに直結し、保守管理(メンテナンス)時においてはランニングコストの増加や稼動率の低下となって使用者等に負担を強いる結果となる。
【0010】
本発明の課題は、バックラッシュ調整の操作が容易で所要時間の短縮を図ることができる複数段型の遊星歯車式変速装置とそのバックラッシュ調整方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上述の課題を解決するために、本発明の遊星歯車式変速装置は、
第一回転軸に取り付けられた太陽歯車と、その太陽歯車と同心状に配置された内歯車と、それら太陽歯車及び内歯車に噛み合って自転しながら公転するとともに、前記第一回転軸と同心状の第二回転軸を有するキャリアに回転可能に支持された遊星歯車とを含む遊星歯車機構が直列状に複数段連結された遊星歯車式変速装置であって、
各段の前記遊星歯車機構において、前記内歯車と前記遊星歯車とはそれぞれの中心軸線周りに相対回動可能に軸方向に二分割されるとともに、
互いに隣接する前記遊星歯車機構において、一方の段の前記第一回転軸が他方の段の前記第二回転軸と一体連結され、前記二分割された内歯車のうち異なる段に跨って対向する内歯車同士が一体形成されて一体内歯車ユニットを構成し、
伝動始端及び伝動終端に位置する前記二分割された内歯車(以下、分割内歯車という)の間に前記一体内歯車ユニットが配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明では、内歯車と遊星歯車との二分割構成及び一方の段の第一回転軸と他方の段の第二回転軸との一体連結構成と合わせて、二分割された内歯車のうち対向する内歯車同士が一体形成されて一体内歯車ユニットを構成し、この一体内歯車ユニットは伝動両端(伝動始端すなわち入力端と、伝動終端すなわち出力端)に位置する分割内歯車の間に配置される。単段型と同様構造の遊星歯車機構を直列状に複数段連結したものに比して大幅に構造が簡素化され、それに伴ってバックラッシュ調整の操作が容易となり、所要時間の短縮を図ることができる。また、構造の簡素化により遊星歯車式変速装置の小型軽量化も可能となる。しかも、本発明における操作の容易性・所要時間の短縮・小型軽量化等の効果は、変速段数が増える(多段化が進む)ほど顕著となる。
【0013】
また、上述の課題を解決するために、本発明の遊星歯車式変速装置を、例えば2段変速型(2段連結)に適用する場合には、
入力軸に取り付けられた太陽歯車と、その太陽歯車と同心状に配置された内歯車と、それら太陽歯車及び内歯車に噛み合って自転しながら公転するとともに、前記入力軸と同心状の出力軸を有するキャリアに回転可能に支持された遊星歯車とを含む遊星歯車機構が直列状に2段連結されてギアケースに収容された遊星歯車式変速装置であって、
各段の前記遊星歯車機構において、前記内歯車と前記遊星歯車とはそれぞれの中心軸線周りに相対回動可能に軸方向に二分割されるとともに、
伝動終端側の前記遊星歯車機構の前記入力軸が伝動始端側の前記遊星歯車機構の前記出力軸と一体連結され、前記二分割された内歯車のうち異なる段に跨って対向する内歯車同士が一体形成されて一体内歯車ユニットを構成し、
伝動始端及び伝動終端に位置する前記二分割された内歯車(以下、分割内歯車という)の間に前記一体内歯車ユニットが配置され、
前記分割内歯車はともに前記ギアケースに対して中心軸線周りに回動可能に取り付けられるとともに、伝動終端に配置される前記分割内歯車には前記ギアケースに対する回動が不能な状態と回動が可能な状態とに調整可能な固定手段が付設され、
さらに、前記一体内歯車ユニットは前記ギアケースに対して中心軸線周りに回動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
このように、分割内歯車はともにギアケースに対して中心軸線周りに回動可能に取り付けられ、そのうちの一方(例えば伝動終端=出力端)にはギアケースに対する固定手段が付設され、一体内歯車ユニットはギアケースに対して中心軸線周りに回動可能に取り付けられている。これによって、固定手段にて一方(例えば伝動終端)の分割内歯車(後述する基準分割内歯車)をバックラッシュ調整の基準状態(すなわち、分割内歯車と遊星歯車との噛み合い及び遊星歯車と太陽歯車との噛み合いにおいて片側の歯面同士がそれぞれ接触する状態)に保持固定し、これを基準として一体内歯車ユニットと他方(例えば伝動始端=入力端)の分割内歯車(後述する調整分割内歯車)とを回動調整することによって、バックラッシュ調整を容易かつ迅速に行なうことができる。
【0015】
その際、固定手段は伝動始端に比べて歯面の摩耗等によりバックラッシュが拡大しにくい(隙間が広がりにくい)伝動終端の分割内歯車(基準分割内歯車)に付設されるので、上記したバックラッシュ除去のための維持管理が簡便に行える。つまり、通常のバックラッシュ維持管理操作においては所定の積算稼動時間毎に、伝動終端側の分割内歯車は固定手段にてギアケースに固定(回動不能)状態のまま、これを基準として一体内歯車ユニットと伝動始端側の分割内歯車(調整分割内歯車)を回動調整することによって、バックラッシュを大幅に減少させることができる。そして、例えば上記したバックラッシュ維持管理操作の数回に1回の割合で、固定手段による伝動終端側の分割内歯車のギアケースに対する固定(回動不能)状態を解除し、上記バックラッシュ調整の基準状態に保持固定し直した後、一体内歯車ユニットと伝動始端側の分割内歯車を回動調整すれば、バックラッシュゼロが確実に達成される。このように、バックラッシュ維持管理に際して、簡易なバックラッシュ減少操作と正確なバックラッシュ除去操作とを組み合わせて実行することによって、管理工数、管理コスト等の削減を図ることができ、遊星歯車式変速装置の稼動率向上にも寄与する。
【0016】
そして、分割内歯車とこれに隣接する一体内歯車ユニットとの間及び隣接する一体内歯車ユニット相互間(2段変速型にあっては、分割内歯車と一体内歯車ユニットとの間)には、それらの中心軸線周りでの相対回動が不能な状態と相対回動が可能な状態とに調整可能な規制手段(例えば1又は複数の締付ボルト等)を各々設けることができる。これにより、上記したバックラッシュ調整の基準状態において規制手段を調整してそれらの中心軸線周りでの相対回動を可能とすれば、各々の遊星歯車機構に形成される内歯車と遊星歯車との間及び遊星歯車と太陽歯車との間のバックラッシュが除去できるから、バックラッシュ除去操作が一層簡便となる。また、バックラッシュ除去操作の後、規制手段を調整してこれらを相対回動不能とすれば、遊星歯車式変速装置の作動中(運転中)に回転軸の回転方向が正逆切り替えられたり回転数が変化しても、慣性力によってバックラッシュが生じたり歯打ち音が発生したりするおそれも少なくなる。
【0017】
したがって、上述の課題を解決するために、本発明に係る遊星歯車式変速装置のバックラッシュ調整方法は、
伝動始端又は伝動終端に位置する前記遊星歯車機構に形成される前記分割内歯車と前記遊星歯車との噛み合い及び前記遊星歯車と前記太陽歯車との噛み合いにおいて、片側の歯面同士がそれぞれ接触する基準状態に保持される基準状態保持工程と、
前記分割内歯車とこれに隣接する前記一体内歯車ユニットとの間及び隣接する前記一体内歯車ユニット相互間に各々設けられた規制手段を調整することによりそれらの中心軸線周りでの相対回動を可能として、各々の前記遊星歯車機構に形成される前記内歯車と前記遊星歯車との間及び前記遊星歯車と前記太陽歯車との間のバックラッシュが除去され、
その後、前記規制手段を調整してそれら分割内歯車及び一体内歯車ユニットの中心軸線周りでの相対回動を不能とするバックラッシュ除去工程と、
を含むことを特徴とする。
【0018】
このバックラッシュ調整方法によれば、バックラッシュ除去操作を行うにあたり、遊星歯車式変速装置をバックラッシュ調整の基準状態に保持した後、分割内歯車とこれに隣接する一体内歯車ユニットとの間及び隣接する一体内歯車ユニット相互間に各々設けられた規制手段を調整して、それらの中心軸線周りでの相対回動可能とすれば、バックラッシュが除去できる。次に、このようなバックラッシュ除去操作の後、規制手段を調整してそれらを相対回動不能とすれば、分割内歯車と遊星歯車との噛み合い及び遊星歯車と太陽歯車との噛み合いにおいてバックラッシュが除去された状態で、遊星歯車式変速装置の作動(運転)がなされる。そして、歯面の摩耗等によりバックラッシュの再生が想定される積算稼動時間に達したとき、遊星歯車式変速装置を作動させたまま又は一旦作動を停止させ、上記基準状態に保持した後、規制手段を調整して再びそれらを相対回動可能とすれば、バックラッシュが除去される(維持管理状態)。このようにして、所定時間毎にバックラッシュを除去する調整操作を行うだけで、回転量のずれや歯打ち音の発生が抑制された円滑な回転が長期間にわたって維持される。しかも、バックラッシュ除去工程において一体内歯車ユニットを回動操作できるので、複数段型遊星歯車式変速装置におけるバックラッシュ除去のための調整操作回数を相対的に減らすことができる。すなわち、最初に基準状態保持工程を行っておけば、各段毎のバックラッシュ除去工程を実施するだけで変速装置全体のバックラッシュゼロを実現することができ(例えば図8(a)参照)、各段毎に基準状態保持工程を行う場合(例えば図9(b)参照)に比べてバックラッシュ調整の所要時間を大幅に短縮できる。したがって、バックラッシュ調整のための所要時間の短縮に伴って、遊星歯車式変速装置の稼動率の向上を図ることもできる。
【0019】
なお、規制手段の調整が、分割内歯車と一体内歯車ユニットの端面同士を締付部材によりギアケースの外側から締付固定してそれらの中心軸線周りでの相対回動を不能とし、又はその締付固定を解除して相対回動を可能とすることにより行われるようにすれば、遊星歯車式変速装置の作動(運転)状態でバックラッシュ調整が可能となる場合がある。
【0020】
ここで、上記基準状態保持工程において、例えば特公平1−51706号公報に記載されているように、入力軸又は出力軸を人為的に自由回転させることにより上記したバックラッシュ調整の基準状態を保持できれば、分割内歯車のうちの一方(例えば伝動終端側=出力端側)にはギアケースに対する回動が不能な状態と回動が可能な状態とに調整可能な固定手段を付設するには及ばない。つまり、工場出荷時とか定期的にオーバーホール点検するような使用形態であれば、入力軸又は出力軸を人為的に自由回転させることが可能であり、分割内歯車のいずれか一方(例えば伝動終端側=出力端側)が常にギアケースに固定状態(回動不能状態)であってもバックラッシュ除去操作は行える。
【0021】
ところが、運転可能な状態に設置された複数段型遊星歯車式変速装置の入力軸には駆動源(モータ等)の駆動軸が連結され、その出力軸には作動部(制御装置等)の被駆動軸が連結されているので、入力軸や出力軸を人為的に自由回転させることは実際には極めて難しい。すなわち、このような場合には駆動軸や被駆動軸が連結された状態で入力軸や出力軸を人為的に回転させることになるので、複数段型遊星歯車式変速装置に連なる駆動源や作動部の内部機構が有する偏心等の回転誤差が重畳(上乗せ)され、上記したバックラッシュ調整の基準状態を現出することは困難となる。そこで、このような場合でも、分割内歯車はともにギアケースに対して中心軸線周りに回動可能に取り付けられ、分割内歯車のうちの一方(例えば伝動終端側=出力端側)にはギアケースに対する回動が不能な状態と回動が可能な状態とに調整可能な固定手段を付設することによって、上記したバックラッシュ調整の基準状態を保持できる。
【0022】
つまり、このような場合の基準状態保持工程は、
分割内歯車のいずれか一方(以下、基準分割内歯車という)に付設された固定手段を調整することにより複数の遊星歯車機構を収容するギアケースに対する基準分割内歯車の中心軸線周りでの回動を可能とし、
さらに、上記基準状態に設定され、
その後、固定手段を調整してギアケースに対する基準分割内歯車の中心軸線周りでの回動を不能とした状態に保持されることとなる。
【0023】
このように、複数段型遊星歯車式変速装置の入出力軸に駆動源の駆動軸や作動部の被駆動軸が連結されていても、バックラッシュ調整の基準状態を容易に現出させることができるから、バックラッシュ調整の所要時間の短縮と、遊星歯車式変速装置の稼動率の向上とが確実に達成される。
【0024】
そして、このときのバックラッシュ除去工程では、基準分割内歯車を起点とし、直列状に複数連結された遊星歯車機構の配列順序に沿って、一体内歯車ユニット及び基準分割内歯車以外の分割内歯車(以下、調整分割内歯車という)を中心軸線周りで回動調整することにより、遊星歯車機構毎のバックラッシュを順次除去することができる。遊星歯車機構の配列順序に沿って一方向に調整操作が行われるため、バックラッシュ除去操作が一層容易となり、作業の単純化を図ることができる。
【0025】
さらに、上記バックラッシュ除去工程においては、バックラッシュ除去が、伝動終端の基準分割内歯車を起点とし、一体内歯車ユニットの回動調整により伝動始端側に向って順次行われ、伝動始端の調整分割内歯車の回動調整で終了するように設定することができる。既述の通り、一般に歯面の摩耗等によるバックラッシュの拡大量(隙間の広がり量)は、伝動終端側の遊星歯車機構よりも伝動始端側の遊星歯車機構の方が大となる。そこで、比較的短時間の積算稼動時間後のバックラッシュ維持管理操作においては、伝動始端側の一部の一体内歯車ユニットと調整分割内歯車とを回動調整することにより、伝動終端側に位置する残りの一体内歯車ユニットについて回動調整を省略できる場合がある。このような場合には、バックラッシュ除去工程の所要時間がさらに短縮される。
【0026】
また、これらのバックラッシュ除去工程においては、一体内歯車ユニット及び調整分割内歯車の中心軸線周りでの回動調整を、複数連結された遊星歯車機構に対する個々の調整毎に交互に方向変換するように設定することができる。回動調整を交互に方向変換することによって、バックラッシュ除去工程での作業がさらに単純化されるとともに、作業時間をより一層短くすることが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施例)
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の遊星歯車式変速装置に係る2段型遊星歯車式減速装置の一実施例を示す斜視図である。この2段型遊星歯車式減速装置100は、ギアケース10に収容された2段変速型の遊星歯車機構20(遊星歯車列)と、ギアケース10に備えられギアケース10の外部からバックラッシュ調整(バックラッシュ除去)が可能なバックラッシュ調整機構30とを有している。この実施例では遊星歯車機構20は、図2(a)に示すように、出力軸27側に位置する1段目の遊星歯車機構120(第一遊星歯車機構)と、入力軸21側に位置する2段目の遊星歯車機構220(第二遊星歯車機構)とが直列状に2段連結されている。
【0028】
図2(a)に示すように、第一遊星歯車機構120は、太陽歯車122と内歯車I1と1又は複数(例えば2個)の遊星歯車123とから構成される。太陽歯車122は中間軸28(第一回転軸)に固定状態で取り付けられている。内歯車I1は太陽歯車122と同心状にギアケース10に配置されている。遊星歯車123は、それら太陽歯車122及び内歯車I1に噛み合って自転しながら公転するとともに、中間軸28と同心状の出力軸27(第二回転軸)を有するキャリア126に軸方向の遊星歯車軸125を介して回転可能に支持されている。
【0029】
一方、第二遊星歯車機構220も第一遊星歯車機構120と同様に、太陽歯車222と内歯車I2と1又は複数(例えば2個)の遊星歯車223とから構成される。太陽歯車222は入力軸21(第一回転軸)に固定状態で取り付けられている。内歯車I2は太陽歯車222と同心状にギアケース10に配置されている。遊星歯車223は、それら太陽歯車222及び内歯車I2に噛み合って自転しながら公転するとともに、入力軸21と同心状の中間軸28(第二回転軸)を有するキャリア226に軸方向の遊星歯車軸225を介して回転可能に支持されている。
【0030】
このように、両遊星歯車機構120,220は中間軸28で連結されている。したがって、第一遊星歯車機構120の入力軸(第一回転軸)は中間軸28に該当し、第二遊星歯車機構220の出力軸(第二回転軸)は中間軸28に該当する。また、入力軸21はサーボモータ等の駆動源の駆動軸1にカップリング2を介して連結され、出力軸27は制御装置等の作動部の被駆動軸に連結されている。
【0031】
第一遊星歯車機構120の内歯車I1と第二遊星歯車機構220の内歯車I2とはともに、それぞれ同一歯数を有し軸方向に二分割されるとともに、互いに中心軸線周りに相対回動可能な分割内歯車で構成されている。そして、これらの分割内歯車のうち異なる段に跨って対向する内歯車同士が一体形成されて一体内歯車ユニット24を構成している。この一体内歯車ユニット24は、出力端(伝動終端)に位置する第一遊星歯車機構120の分割内歯車124(基準分割内歯車)と入力端(伝動始端)に位置する第二遊星歯車機構220の分割内歯車224(調整分割内歯車)との間に配置される。その結果、両分割内歯車124,224及び一体内歯車ユニット24はそれぞれギアケース10に対して中心軸線周りに回動可能に取り付けられて(収容されて)いる。
【0032】
また、第一遊星歯車機構120の遊星歯車123と第二遊星歯車機構220の遊星歯車223とはともに、それぞれ同一歯数を有し、軸方向にほぼ同じ歯幅で二分割された分割遊星歯車123A,123B;223A,223Bで構成される。そして、これら分割遊星歯車123A,123B;223A,223Bはそれぞれ対応する分割内歯車124,224及び一体内歯車ユニット24と噛み合っている。
【0033】
図2(a)及び図3(a)に示すように、出力端(伝動終端)に配置される基準分割内歯車124にはギアケース10に対する回動が不能な状態と回動が可能な状態とに調整可能な1又は複数(例えば4本)の固定ボルト34(固定手段)が付設されている。具体的には、図3(a)に示すように、ギアケース10には、座ぐり部に続いてバックラッシュ調整分だけ固定ボルト34のねじ部34aの呼び径よりも大きく形成された大径孔10b1が軸方向に貫通している。そして、基準分割内歯車124には、固定ボルト34のねじ部34aと螺合するねじ孔124aが大径孔10b1と同心状にかつ軸方向に形成されている。これによって、ギアケース10の外側から、基準分割内歯車124の端面とギアケース10の内面とを固定ボルト34のねじ部34aと基準分割内歯車124のねじ孔124aとにより締付固定して、基準分割内歯車124のギアケース10に対する回動が不能な状態(固定状態)と、固定ボルト34による締付固定を解除して、回動が可能な状態(固定解除状態)とに調整可能とされている。なお、大径孔10b1の代りに長孔を用いてもよい。
【0034】
一方、図1及び図2(b)において、遊星歯車機構20とギアケース10との間にはバックラッシュ調整機構30が配設されている。すなわち、一体内歯車ユニット24とギアケース10との間には、その一体内歯車ユニット24をギアケース10に対して中心軸線周りに回動付勢する付勢手段としての引張コイルスプリング133(弾発部材)が介装されている。一方、入力端(伝動始端)に配置される調整分割内歯車224とギアケース10との間に、その調整分割内歯車224をギアケース10に対して中心軸線周りに回動付勢する付勢手段としての圧縮コイルスプリング233(弾発部材)が介装されている。
【0035】
具体的には、一体内歯車ユニット24から半径方向外側に向かって突出する突出ピン131(第一支持部材)と、ギアケース10の入力軸21側の外部から軸方向に沿って打ち込み固定された打込ピン32(第二支持部材)との間に、引張コイルスプリング133が掛け渡されている。また、入力軸21側の分割内歯車224から半径方向外側に向かって突出する突出ピン231(第一支持部材)と上記打込ピン32(第二支持部材)との間に、圧縮コイルスプリング233が掛け渡されている。
【0036】
付勢手段(弾発部材)133,233によって、一体内歯車ユニット24と調整分割内歯車224とは互いに逆方向に回転付勢されるので、内歯車I1,I2と遊星歯車123,223との噛み合い及び遊星歯車123,223と太陽歯車122,222との噛み合いにおいて、バックラッシュ調整がほぼ同時になされるとともに、各歯面の接触面圧をほぼ一定に維持することができる。これらの突出ピン131,231、打込ピン32、コイルスプリング133,233は、ギアケース10の外周面に形成された凹部10a1,10a2に各々収納されているので、ギアケース10の外部に突出物がなく、バックラッシュ除去操作に制約を受けにくい。また、各凹部10a1,10a2を外側からカバー等で覆うことができ、凹部10a1,10a2からギアケース10内部への塵埃の侵入を防ぐことができる。なお、弾発部材としては、引張コイルスプリング、圧縮コイルスプリング以外に、板ばね、皿ばね等のばね部材や、ゴム部材、スポンジ部材等を用いることができ、一体内歯車ユニット24や調整分割内歯車224をギアケース10に対して中心軸線周りに回動付勢する付勢力を作用させることができるものであればよい。
【0037】
さらに、図3(a)に示すように、2つの分割内歯車124,224と一体内歯車ユニット24との間には、それらの中心軸線周りでの相対回動が不能な状態と相対回動が可能な状態とに調整可能な規制手段としての1又は複数(例えば4本)の締付ボルト351,352(締付部材)が各々設けられている。具体的には、ギアケース10と基準分割内歯車124とには、ギアケース10の座ぐり部に続いてバックラッシュ調整分だけ締付ボルト351のねじ部351aの呼び径よりも大きく形成された大径孔10b2,124b1が、同心状にかつ軸方向に貫通している。そして、一体内歯車ユニット24には、締付ボルト351のねじ部351aと螺合するねじ孔24aが大径孔10b2,124b1と同心状にかつ軸方向に形成されている。これによって、ギアケース10の外側から、基準分割内歯車124と一体内歯車ユニット24の対向する端面同士を締付ボルト351のねじ部351aと一体内歯車ユニット24のねじ孔24aとにより締付固定して、両者の相対回動を不能とする状態(固定状態)と、締付ボルト351による締付固定を解除して、相対回動を可能とする状態(固定解除状態)とに調整可能とされている。なお、大径孔10b2,124b1の代りに長孔を用いてもよい。
【0038】
また、ギアケース10と基準分割内歯車124と一体内歯車ユニット24とには、ギアケース10の座ぐり部に続いてバックラッシュ調整分だけ締付ボルト352のねじ部352aの呼び径よりも大きく形成された大径孔10b3,124b2,24bが、同心状にかつ軸方向に貫通している。そして、調整分割内歯車224には、締付ボルト352のねじ部352aと螺合するねじ孔224aが大径孔10b3,124b2,24bと同心状にかつ軸方向に形成されている。これによって、ギアケース10の外側から、一体内歯車ユニット24と調整分割内歯車224の対向する端面同士を締付ボルト352のねじ部352aと調整分割内歯車224のねじ孔224aとにより締付固定して、両者の相対回動を不能とする状態(固定状態)と、締付ボルト352による締付固定を解除して、相対回動を可能とする状態(固定解除状態)とに調整可能とされている。なお、大径孔10b3,124b2,24bの代りに長孔を用いてもよい。
【0039】
以上に述べた突出ピン131,231、打込ピン32、コイルスプリング133,233、固定ボルト34、締付ボルト351,352等が、バックラッシュ除去状態及び歯面の適正面圧状態を得るためのバックラッシュ調整機構30を構成している。
【0040】
以上で説明した遊星歯車式減速装置100の作動について説明する。駆動軸1からの駆動力は、入力軸21から遊星歯車機構20(第一遊星歯車機構120及び第二遊星歯車機構220)で減速され、出力軸27から取り出される。そして、バックラッシュゼロの初期設定又はバックラッシュの維持管理(再調整)は、図3、図4及び図8(a)を参照して、以下のようにして調整される。
【0041】
A.基準状態保持工程
(A−1)固定ボルト34を緩め、基準分割内歯車124とギアケース10との締付固定を解除して、基準分割内歯車124のギアケース10に対する回動が可能な状態(固定解除状態)に調整する(図3(a)参照)。
(A−2)固定ボルト34のねじ部34a先端を基準分割内歯車124のねじ孔124aに係合させる等の手段によって、基準分割内歯車124を引張コイルスプリング133の付勢方向とは反対方向(図4(a)のX方向)へ回動させて、バックラッシュ調整の基準状態(基準分割内歯車124と分割遊星歯車123Aとの噛み合い及び分割遊星歯車123Aと太陽歯車122との噛み合いにおいて片側の歯面同士がそれぞれ接触する状態)とする(図4(a)、図8(a)▲1▼参照)。
(A−3)固定ボルト34を締め付け、基準分割内歯車124とギアケース10とを締付固定して、基準分割内歯車124のギアケース10に対する回動が不能な状態(固定状態)に保持する(図3(a)参照)。
【0042】
B.第一遊星歯車機構のバックラッシュ調整工程(第一バックラッシュ調整工程)
(B−1)締付ボルト351を緩め、基準分割内歯車124と一体内歯車ユニット24の端面同士の締付固定を解除して、両者の相対回動を可能とする状態(固定解除状態)に調整する(図3(a)参照)。
(B−2)一体内歯車ユニット24に対して引張コイルスプリング133の付勢力が自動的に作用し、一体内歯車ユニット24がその付勢方向(図4(b)のY方向)へ回動されて、一体内歯車ユニット24と分割遊星歯車123Bとの間及び分割遊星歯車123Bと太陽歯車122との間のバックラッシュBがそれぞれ除去される(図4(b)、図8(a)▲2▼参照)。なお、一体内歯車ユニット24の回動につれて、第二遊星歯車機構220の分割遊星歯車223Aは第一遊星歯車機構120の分割遊星歯車123Bとほぼ同一角度分回動調整される(図4(b)参照)。したがって、一体内歯車ユニット24の回動によって、第一遊星歯車機構120におけるバックラッシュBの除去と第二遊星歯車機構220における基準状態の設定とがほぼ同時に達成される。
(B−3)締付ボルト351を締め付け、基準分割内歯車124と一体内歯車ユニット24の端面同士を締付固定して、両者の相対回動を不能とする状態(固定状態)に保持する(図3(a)参照)。
【0043】
C.第二遊星歯車機構のバックラッシュ調整工程(第二バックラッシュ調整工程)
(C−1)締付ボルト352を緩め、一体内歯車ユニット24と調整分割内歯車224の端面同士の締付固定を解除して、両者の相対回動を可能とする状態(固定解除状態)に調整する(図3(a)参照)。
(C−2)調整分割内歯車224に対して圧縮コイルスプリング233の付勢力が自動的に作用し、調整分割内歯車224がその付勢方向(図4(c)のX方向)へ回動されて、調整分割内歯車224と分割遊星歯車223Bとの間及び分割遊星歯車223Bと太陽歯車222との間のバックラッシュBがそれぞれ除去される(図4(c)、図8(a)▲3▼参照)。
(C−3)締付ボルト352を締め付け、一体内歯車ユニット24と調整分割内歯車224の端面同士を締付固定して、両者の相対回動を不能とする状態(固定状態)に保持する(図3(a)参照)。
【0044】
上記工程において、(B−1)の締付ボルト351を緩める手順及び(C−1)の締付ボルト352を緩める手順は、それぞれ(A−1)の固定ボルト34を緩める手順と同時又は(A−2)の基準状態設定の手順より前に実施することができる。また、再調整の際には、通常はB工程及びC工程のみを実施してバックラッシュ減少操作を行い、数回に1回程度の割合でABC全工程を実施してバックラッシュ除去操作を行うようにしたり、あるいは、通常はC工程のみ、数回に1回はBC工程のみ、十数回に1回はABC全工程を実施してもよい。このように、稼動状況に合わせてバックラッシュのメンテナンス計画を立案すればよい。いずれにしても、A工程における基準分割内歯車124の回動方向、B工程における一体内歯車ユニット24の回動方向、及びC工程における調整分割内歯車224の回動方向は順次逆転するので、調整操作が単純化され操作ミスの防止にも役立つ。
【0045】
(変形例)
図5に図1の変形例を示す。この遊星歯車式減速装置400のバックラッシュ調整機構30では、一体内歯車ユニット24に固定される突出ピン131Aとギアケース10に固定される打込ピン32との間に、その一体内歯車ユニット24をギアケース10に対して中心軸線周りに回動付勢する付勢手段としての圧縮コイルスプリング133A(弾発部材)が介装される。さらに、調整分割内歯車224に固定される突出ピン231Aとギアケース10の上記打込ピン32との間にも、同様の付勢手段としての圧縮コイルスプリング233A(弾発部材)が介装される。ただし、スプリング133Aと233Aには、引張スプリングと圧縮スプリングとのいずれを用いてもよく、その付勢力が互いに逆方向に作用するように設定するのが望ましい。この変形例では、バックラッシュ調整機構30を収納する凹部10aが一箇所に集中配置され、一層コンパクト化が図られている。さらに、バックラッシュ調整のために固定ボルト34を緩めたとき、基準分割内歯車124にさらに別の付勢手段(例えばスプリング等の弾発部材)の付勢力を作用させて、基準状態(上記A−2の手順)へ自動調節できるようにしてもよい。なお、図5において図1と共通する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
(第2実施例)
図6は、本発明の遊星歯車式変速装置に係る2段型遊星歯車式減速装置の他の実施例を示す斜視図である。この遊星歯車式減速装置500のバックラッシュ調整機構30は、図7(a)に示すように、ギアケース10には、バックラッシュ調整分だけ調整レバー36のねじ部36aの呼び径よりも大きく形成された大径孔10c1,10c2がそれぞれ軸方向に貫通している。そして、一体内歯車ユニット24には、調整レバー36のねじ部36aと螺合するねじ孔24cが一方の大径孔10c1と同心状にかつ軸方向に形成されている。また、調整分割内歯車224には、調整レバー36のねじ部36aと螺合するねじ孔224cが他方の大径孔10c2と同心状にかつ軸方向に形成されている。なお、大径孔10c1,10c2の代りに長孔を用いてもよい。また、図6において図1と共通する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
この調整レバー36によるバックラッシュ調整は以下のようにして行われる。基準状態保持工程の後、ギアケース10の外側から調整レバー36を大径孔10c1に差し込み、そのねじ部36aを一体内歯車ユニット24のねじ孔24cにねじ込んで、調整レバー36を一体内歯車ユニット24に固定する。調整レバー36を動かし、一体内歯車ユニット24を中心軸線周りで回動調整して、第一遊星歯車機構120のバックラッシュ除去操作を行う。次いで、調整レバー36を一体内歯車ユニット24から取り外し、ギアケース10の外側から大径孔10c2に差し込み、調整分割内歯車224のねじ孔224cにねじ込んで調整分割内歯車224に固定する。調整レバー36を動かし、調整分割内歯車224を中心軸線周りで回動調整して、第二遊星歯車機構220のバックラッシュ除去操作を行う。なお、基準分割内歯車124にも調整レバー36のねじ部36aをねじ込むためのねじ孔を設けておき、基準状態保持工程において調整レバー36を基準分割内歯車124にねじ込み固定し、基準分割内歯車124の基準状態設定を調整レバー36の回動調整により行ってもよい。
【0048】
なお、以上の説明は、遊星歯車式変速装置のうち、遊星歯車式減速装置についてのみ行ったが、遊星歯車式増速装置にも適用可能であり、上記実施例においてモータ等の駆動力を入力する入力軸と駆動力を外部出力する出力軸とを入れ替えて実施することができる。
【0049】
また、本発明は2段型に限定されることなく、3段以上の変速装置にも適用可能である。その一例として図8(b)に、3段型遊星歯車式変速装置に本発明を適用した場合の模式図を示す。3段型におけるバックラッシュ調整も、これまでに説明した2段型の場合(図8(a)参照)と同様に実施できる。すなわち、3段型変速装置においては、
(1)基準状態保持工程では、基準分割内歯車124を所定方向(例えば図4(a)のX方向)へ回動させて、バックラッシュ調整の基準状態(基準分割内歯車124と分割遊星歯車123Aとの噛み合い及び分割遊星歯車123Aと太陽歯車122との噛み合いにおいて片側の歯面同士がそれぞれ接触する状態)とする(図8(b)▲1▼参照)。
(2)第一バックラッシュ調整工程では、第一の一体内歯車ユニット241を基準分割内歯車124とは逆方向に回動させて、第一の一体内歯車ユニット241と分割遊星歯車123Bとの間及び分割遊星歯車123Bと太陽歯車122との間のバックラッシュがそれぞれ除去されるように調整する(図8(b)▲2▼参照)。
(3)第二バックラッシュ調整工程では、第二の一体内歯車ユニット242を第一の一体内歯車ユニット241とは逆方向に回動させて、第二の一体内歯車ユニット242と分割遊星歯車223Bとの間及び分割遊星歯車223Bと太陽歯車222との間のバックラッシュがそれぞれ除去されるように調整する(図8(b)▲3▼参照)。
(4)第三バックラッシュ調整工程では、調整分割内歯車324を第二の一体内歯車ユニット242とは逆方向に回動させて、調整分割内歯車324と分割遊星歯車323Bとの間及び分割遊星歯車323Bと太陽歯車322との間のバックラッシュがそれぞれ除去されるように調整する(図8(b)▲4▼参照)。
なお、図8(b)において、281は第一遊星歯車機構120と第二遊星歯車機構220とを連結する第一の中間軸、282は第二遊星歯車機構220と第三遊星歯車機構320とを連結する第二の中間軸である。また、第三遊星歯車機構320の各構成要素に対しては、第一遊星歯車機構120(又は第二遊星歯車機構220)に倣う形で符号を付してある。
【0050】
このように、本発明のバックラッシュ調整方法では、次の特徴を有する。
(1)伝動終端に位置する基準分割内歯車を起点とし、一体内歯車ユニットの回動調整が伝動始端側に向って順次行われ、伝動始端の調整分割内歯車の回動調整でバックラッシュ除去工程が終了する。
(2)基準分割内歯車、一体内歯車ユニット及び調整分割内歯車の中心軸線周りの回動調整は、個々の調整毎に交互に方向変換しながら行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遊星歯車式変速装置に係る2段型遊星歯車式減速装置の一実施例を示す斜視図。
【図2】図1の正面断面図及び部分破断左側面図。
【図3】図1の平面断面図及び右側面図。
【図4】バックラッシュ調整状態を出力軸側から見た作用説明図。
【図5】図1の変形例を示す斜視図。
【図6】本発明の遊星歯車式変速装置に係る2段型遊星歯車式減速装置の他の実施例を示す斜視図。
【図7】図6の正面断面図及び左側面図。
【図8】本発明に係る複数段型遊星歯車式変速装置の基本的構成例を示す模式図。
【図9】図8の比較例として示す遊星歯車式変速装置の模式図。
【符号の説明】
100,400,500 遊星歯車式変速装置
120 第一遊星歯車機構(遊星歯車機構)
220 第二遊星歯車機構(遊星歯車機構)
10 ギアケース
21 入力軸(第一回転軸)
123,223 遊星歯車
I1,I2 内歯車
24 一体内歯車ユニット
124 基準分割内歯車
224 調整分割内歯車
27 出力軸(第二回転軸)
28 中間軸(第一回転軸;第二回転軸)
30 バックラッシュ調整機構
133 引張コイルスプリング(付勢手段;弾発部材)
233 圧縮コイルスプリング(付勢手段;弾発部材)
34 固定ボルト(固定手段)
351,352 締付ボルト(規制手段;締付部材)

Claims (13)

  1. 第一回転軸に取り付けられた太陽歯車と、その太陽歯車と同心状に配置された内歯車と、それら太陽歯車及び内歯車に噛み合って自転しながら公転するとともに、前記第一回転軸と同心状の第二回転軸を有するキャリアに回転可能に支持された遊星歯車とを含む遊星歯車機構が直列状に複数段連結された遊星歯車式変速装置であって、
    各段の前記遊星歯車機構において、前記内歯車と前記遊星歯車とはそれぞれの中心軸線周りに相対回動可能に軸方向に二分割されるとともに、
    互いに隣接する前記遊星歯車機構において、一方の段の前記第一回転軸が他方の段の前記第二回転軸と一体連結され、前記二分割された内歯車のうち異なる段に跨って対向する内歯車同士が一体形成されて一体内歯車ユニットを構成し、
    伝動始端及び伝動終端に位置する前記二分割された内歯車(以下、分割内歯車という)の間に前記一体内歯車ユニットが配置されることを特徴とする遊星歯車式変速装置。
  2. 複数の前記遊星歯車機構がギアケースに収容され、
    前記分割内歯車はともに前記ギアケースに対して中心軸線周りに回動可能に取り付けられるとともに、前記分割内歯車のいずれか一方には前記ギアケースに対する回動が不能な状態と回動が可能な状態とに調整可能な固定手段が付設され、
    さらに、前記一体内歯車ユニットは前記ギアケースに対して中心軸線周りに回動可能に取り付けられている請求項1に記載の遊星歯車式変速装置。
  3. 伝動始端に位置する前記遊星歯車機構の前記第一回転軸を入力軸、伝動終端に位置する前記遊星歯車機構の前記第二回転軸を出力軸とし、
    前記固定手段が付設される前記分割内歯車が伝動終端に配置されている請求項2に記載の遊星歯車式変速装置。
  4. 前記分割内歯車とこれに隣接する前記一体内歯車ユニットとの間及び隣接する前記一体内歯車ユニット相互間には、それらの中心軸線周りでの相対回動が不能な状態と相対回動が可能な状態とに調整可能な規制手段が各々設けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の遊星歯車式変速装置。
  5. 前記規制手段は、前記分割内歯車とこれに隣接する前記一体内歯車ユニットの端面同士又は互いに隣接する前記一体内歯車ユニットの端面同士を前記ギアケースの外側から締付固定してそれらの相対回動を不能とする状態と、締付固定を解除して相対回動を可能とする状態とに調整可能な締付部材である請求項4に記載の遊星歯車式変速装置。
  6. 入力軸に取り付けられた太陽歯車と、その太陽歯車と同心状に配置された内歯車と、それら太陽歯車及び内歯車に噛み合って自転しながら公転するとともに、前記入力軸と同心状の出力軸を有するキャリアに回転可能に支持された遊星歯車とを含む遊星歯車機構が直列状に2段連結されてギアケースに収容された遊星歯車式変速装置であって、
    各段の前記遊星歯車機構において、前記内歯車と前記遊星歯車とはそれぞれの中心軸線周りに相対回動可能に軸方向に二分割されるとともに、
    伝動終端側の前記遊星歯車機構の前記入力軸が伝動始端側の前記遊星歯車機構の前記出力軸と一体連結され、前記二分割された内歯車のうち異なる段に跨って対向する内歯車同士が一体形成されて一体内歯車ユニットを構成し、
    伝動始端及び伝動終端に位置する前記二分割された内歯車(以下、分割内歯車という)の間に前記一体内歯車ユニットが配置され、
    前記分割内歯車はともに前記ギアケースに対して中心軸線周りに回動可能に取り付けられるとともに、伝動終端に配置される前記分割内歯車には前記ギアケースに対する回動が不能な状態と回動が可能な状態とに調整可能な固定手段が付設され、
    さらに、前記一体内歯車ユニットは前記ギアケースに対して中心軸線周りに回動可能に取り付けられていることを特徴とする遊星歯車式変速装置。
  7. 前記分割内歯車と前記一体内歯車ユニットとの間にはそれらの中心軸線周りでの相対回動が不能な状態と相対回動が可能な状態とに調整可能な規制手段が各々設けられている請求項6に記載の遊星歯車式変速装置。
  8. 前記規制手段は、前記分割内歯車と前記一体内歯車ユニットの端面同士を前記ギアケースの外側から締付固定してそれらの相対回動を不能とする状態と、締付固定を解除して相対回動を可能とする状態とに調整可能な締付部材である請求項7に記載の遊星歯車式変速装置。
  9. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載された遊星歯車式変速装置のバックラッシュ調整方法であって、
    伝動始端又は伝動終端に位置する前記遊星歯車機構に形成される前記分割内歯車と前記遊星歯車との噛み合い及び前記遊星歯車と前記太陽歯車との噛み合いにおいて、片側の歯面同士がそれぞれ接触する基準状態に保持される基準状態保持工程と、
    前記分割内歯車とこれに隣接する前記一体内歯車ユニットとの間及び隣接する前記一体内歯車ユニット相互間に各々設けられた規制手段を調整することによりそれらの中心軸線周りでの相対回動を可能として、各々の前記遊星歯車機構に形成される前記内歯車と前記遊星歯車との間及び前記遊星歯車と前記太陽歯車との間のバックラッシュが除去され、
    その後、前記規制手段を調整してそれら分割内歯車及び一体内歯車ユニットの中心軸線周りでの相対回動を不能とするバックラッシュ除去工程と、
    を含むことを特徴とする遊星歯車式変速装置のバックラッシュ調整方法。
  10. 前記基準状態保持工程は、
    前記分割内歯車のいずれか一方(以下、基準分割内歯車という)に付設された固定手段を調整することにより複数の前記遊星歯車機構を収容するギアケースに対する前記基準分割内歯車の中心軸線周りでの回動を可能とし、
    さらに、前記基準状態に設定され、
    その後、前記固定手段を調整して前記ギアケースに対する前記基準分割内歯車の中心軸線周りでの回動を不能とした状態に保持される請求項9に記載の遊星歯車式変速装置のバックラッシュ調整方法。
  11. 前記バックラッシュ除去工程において、
    前記基準分割内歯車を起点とし、直列状に複数連結された前記遊星歯車機構の配列順序に沿って、前記一体内歯車ユニット及び前記基準分割内歯車以外の分割内歯車(以下、調整分割内歯車という)を中心軸線周りで回動調整することにより、前記遊星歯車機構毎のバックラッシュが順次除去される請求項10に記載の遊星歯車式変速装置のバックラッシュ調整方法。
  12. 前記バックラッシュ除去工程におけるバックラッシュ除去は、
    伝動終端の前記基準分割内歯車を起点とし、前記一体内歯車ユニットの回動調整により伝動始端側に向って順次行われ、伝動始端の前記調整分割内歯車の回動調整で終了するように設定される請求項11に記載の遊星歯車式変速装置のバックラッシュ調整方法。
  13. 前記バックラッシュ除去工程において、
    前記一体内歯車ユニット及び前記調整分割内歯車の中心軸線周りでの回動調整は、複数連結された前記遊星歯車機構に対する個々の調整毎に交互に方向変換するように設定される請求項11又は12に記載の遊星歯車式変速装置のバックラッシュ調整方法。
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