JP4030766B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ処理装置に係り、特にプラズマ放電に際して電極対の間隙を流れる放電電流を計測することができる電流検出手段を備えたプラズマ処理装置、及び前記電流検出手段を備えると共にワークに対するプラズマ処理の均一性も確認できるプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CVD(chemical vapor deposition)、スパッタリング、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなうために従来から用いられているプラズマ処理装置の一例を図6に示す。図6に示すプラズマ処理装置は、プラズマを形成するためのプラズマ励起電極4とプラズマ処理されるワークWを載置して前記プラズマ励起電極4に対向するサセプタ電極8とからなる電極対を有し、プラズマ励起電極4は高周波電力配電体3及び整合回路2Aを介して高周波電源1の給電側に接続されている。整合回路2Aは高周波電源1とプラズマ励起電極4との間のインピーダンスを整合させるために設けられている。この整合回路2Aは導電体からなるシャーシ120内に収容されている。また高周波電力配電体3及びプラズマ励起電極4は、導電体からなるハウジング21によって覆われている。
【0003】
高周波電源1から出力された高周波電力は順次、整合回路2A及び高周波電力配電体3を通してプラズマ励起電極4に供給される。このプラズマ励起電極(カソード電極)4の下側には、多数の孔7…が形成されたシャワープレート5が環状の凸部4aに接して設けられている。これらプラズマ励起電極4とシャワープレート5との間に形成された空間6にはガス導入管17が接続されており、導電体からなるガス導入管17の途中には絶縁体17aが挿入されてプラズマ励起電極4側とガス供給源側とが絶縁されるようになっている。ガス導入管17から導入されたガスは、シャワープレート5の孔7…を介してチャンバ壁10により形成されたチャンバ60内に供給される。チャンバ壁10の上辺とプラズマ励起電極4の周辺とは絶縁体9を介して気密に接合されている。
【0004】
一方、チャンバ60内にはウエハ等のワークWを載置すると共に放電電位のコモン側となるサセプタ電極8が配設され、このサセプタ電極8はシャフト13により支持されている。シャフト13の下端部は導電体からなるベローズ11を介してチャンバ底部10Aに気密に接続されている。チャンバ60は図示しない排気系によって排気されるようになっている。
【0005】
サセプタ電極8はシャフト13と共に前記ベローズ11により上下動可能とされ、チャンバ60内の真空を維持したままプラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間隔が調整できるようになっている。シャフト13の下端部はコモン側端子として接地され、高周波電源1のコモン側も接地されている。なお、チャンバ壁10とシャフト13とは直流的に同電位とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に前記のプラズマ処理装置においては、プラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間隙に印加される高周波の電圧が十分でないと、放電開始電圧を上回ることができず放電を開始しない場合がある。そこで少なくとも放電開始時には放電電極間の高周波電圧を監視し、放電開始電圧を上回る高周波電圧が得られるように調整する必要があった。従来、この調整は、高周波電源1に内蔵された図示しない方向性結合器で反射波を検知し、この反射波がゼロとなるように調整することで行われていた。しかしこの検知方法では反射波がゼロとなっても放電を開始しない場合があった。また従来の監視方法では電極面における放電電流密度の偏りを検知することができないため、ワークに対するプラズマ処理の均一性が確認できなかった。
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたものであって、従ってその目的は、プラズマ放電時に電極対の間隙を流れる放電電流を計測することができる電流検出手段を備えたプラズマ処理装置、及び前記電流検出手段を備えると共にワークに対するプラズマ処理の均一性も監視できるプラズマ処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために本発明は、プラズマを形成するためのプラズマ励起電極とプラズマ処理されるワークを挟んで前記プラズマ励起電極に対向するサセプタ電極とからなる電極対を収容したプラズマ処理室と、高周波電源から前記プラズマ励起電極に高周波電力を供給する給電路に挿入され前記高周波電源と前記プラズマ処理室とのインピーダンスを整合させるためのインピーダンス整合回路を収容したシャーシとを有し、前記シャーシが前記サセプタ電極から前記高周波電源に帰還する帰電路の一部を形成してなるプラズマ処理装置であって、前記シャーシに、前記サセプタ電極から前記高周波電源に帰還する高周波電流を検出するための電流検出手段が設けられたプラズマ処理装置を提供する。
【0009】
本発明は、電極対の間隙、すなわちプラズマ空間を流れる電流が最大となったときに最大の高周波放電電圧が得られることを知見したことによりもたらされたものである。そしてプラズマ空間を流れる高周波電流を外部から計測するには、インピーダンス整合回路を収容したシャーシに電流検出手段を設け、サセプタ電極から高周波電源に帰還する高周波電流を検知することが特に有効であることがわかった。従って、この電流検出手段によって最大の電流値が得られるようにプラズマ処理装置の状態を設定すればプラズマ空間に最大の高周波放電電圧が得られ、確実なプラズマ放電開始が実現できることになる。
【0010】
前記シャーシには2以上の電流検出手段が設けられ、これらの電流検出手段はシャーシの中心軸の周りに軸対称に配置されていることが好ましい。
シャーシの中心軸の周りに軸対称に2以上の電流検出手段が設けられていれば、シャーシの周囲を流れる高周波電流の偏流の有無を検知することができる。シャーシの周囲に偏流が検知されたときは、電極対の間隙を流れる放電電流に偏流が生じている可能性があるので、その偏流が解消されるようにプラズマ処理装置の状態を調整することにより、放電電流の偏りを防止することができ、ワークに対するプラズマ処理の効果を更に均一にすることができる。
ここで「軸対称」とは一般に定義されるように2点が中心軸に直交する直線上で中心軸から等距離にある状態をいうばかりでなく、複数の点が中心軸に直交する平面上で中心軸から等距離にあると共に相互に等間隔に配位した状態も含むものである。
【0011】
前記の電流検出手段は、シャーシに形成され高周波電源に帰還する高周波電流の流路に沿って延びるスリットと、このスリットに形成される磁界を検出する磁界プローブとからなることが好ましい。
シャーシに高周波電流の流路に沿ってスリットが形成されていると、高周波電流によってこのスリットに磁界が生じる。この磁界の密度は高周波電流量に対応しているので、磁界プローブにより検出される磁界の大きさを監視すればプラズマ空間を流れる高周波電流の大きさを外部から計測することができる。磁界プローブはスリットの内側エッジの一方の辺部に近接して設置することが好ましい。高周波電流は主としてシャーシの内面を流れかつ磁界はスリットの辺縁部に近いほど密度が高くなり検知感度が上昇するからである。
【0012】
前記スリットの幅は、高周波電流の波長をλとするときλ/100以下であるであることが好ましい。
スリット幅がλ/100を越えると形成された磁界による不要輻射が増大し、周囲に電磁的な悪影響を及ぼす場合があり好ましくない。スリット幅の下限は、磁界プローブがこのスリットに挿入できれば特に制限されない。この観点からスリット幅は概略λ/10000となるように設定することが更に好ましい。
【0013】
前記シャーシは、その中心軸に垂直な断面が正多角形又は円形に成形されていることが好ましい。また、前記プラズマ処理室やサセプタ電極は軸対称の形状に成形され、かつその対称軸が前記シャーシの中心軸と一致するように配置されていることが好ましい。
一般に、プラズマ処理における処理ムラは装置の構成やワークの載置状態、プラズマ生成ガスの偏在などによって起こる。従って処理ムラを極少化するためには、少なくとも装置の構成に関して、高周波電流の偏流を極力抑える配慮が求められ、それが本発明の目的にもかなっている。シャーシの断面が正多角形又は円形に成形されていれば、シャーシの側壁を流れる高周波電流の密度を側壁の全周にわたって均一に配分することができ、これによって電極対の間隙を流れる放電電流の偏流を抑止することができる。更に、プラズマ処理室やサセプタ電極も軸対称の形状に成形され、かつその対称軸が前記シャーシの中心軸と一致するように配置されていれば、電極対の間を流れる電流の偏流が一層効果的に抑止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を具体例によって説明するがこれらの具体例は本発明を何ら制限するものではない。また添付の図面は本発明の思想を説明するためのものであって、本発明の説明に不要な要素は省略し、また図示した各要素の形状・寸法比・数なども実際のものと必ずしも一致するものではない。
【0015】
(実施形態1)
図1は本実施形態のプラズマ処理装置の構成を示す断面図である。このプラズマ処理装置は、CVD(chemical vapor deposition)、スパッタリング、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理が可能な1周波数励起タイプのものであり、プラズマを形成するためのプラズマ励起電極4とプラズマ処理されるワークWを載置して前記プラズマ励起電極4に対向するサセプタ電極8とからなる平行平板型の電極対14を有し、プラズマ励起電極4は高周波電力配電体3及び整合回路2Aを介して高周波電源1の給電側に接続されている。
【0016】
整合回路2Aは高周波電源1とプラズマ励起電極4との間のインピーダンスを整合させるために設けられ、この整合回路2Aは導電体からなるシャーシ2内に収容されている。このシャーシ2には、後に詳しく説明するスリット35…が形成されている。またプラズマ励起電極4の上面と高周波電力配電体3は導電体からなるハウジング21によって覆われている。このハウジング21はシャーシ2と連結しているので、シャーシ2と共に一体のシャーシと見なすことができる。
【0017】
このプラズマ処理装置には、プラズマ処理室となるチャンバ60の上部位置に高周波電源1に接続されたプラズマ励起電極4及びシャワープレート5が設けられ、チャンバ60の下部にはシャワープレート5に対向してワークWを載置するサセプタ電極8が設けられている。プラズマ励起電極4は、高周波電力配電体3、整合回路2A、及び同軸ケーブル1Aの心線を介して高周波電源1に接続している。ハウジング21とシャーシ2は互いに電気的に接続され、シャーシ2は同軸ケーブル1Aのシールド線(外導電体)に接続されている。
【0018】
高周波電力配電体3としては、例えば、幅50mm〜100mm、厚さ0.5mm、長さ100〜300mmの形状を有する銅板の表面に銀メッキを施したものが用いられており、この高周波電力配電体3は、後述する整合回路2Aのチューニングコンデンサ24の出力端子及びプラズマ励起電極4にそれぞれネジ止めなどの結合手段により着脱可能に取り付けられている。
【0019】
プラズマ励起電極4の下側には環状凸部4aが設けられ、この環状凸部4aに接して、プラズマ励起電極4の下側に、多数の孔7…が形成されたシャワープレート5が設けられている。プラズマ励起電極4とシャワープレート5との間には空間6が形成されている。この空間6にはハウジング21の側壁を貫通すると共にプラズマ励起電極4を貫通してガス導入管17が接続されている。
【0020】
ガス導入管17は導電体からなるが、このガス導入管17の途中には絶縁体17aがハウジング21の内側に介挿されてプラズマ励起電極4とガス供給源とが電気的に絶縁されている。ガス導入管17から導入されたガスは、シャワープレート5の多数の孔7…からチャンバ壁10により形成されたチャンバ60内に供給される。チャンバ壁10とプラズマ励起電極4とは環状の絶縁体9により互いに絶縁されている。チャンバ60には、図示しない排気系が接続されている。
【0021】
チャンバ60内にはワークWを載置する板状のサセプタ電極8が設けられている。サセプタ電極8の下部中央には、シャフト13が接続され、このシャフト13はチャンバ底部10Aを貫通して下方に延び、シャフト13の下端部とチャンバ底部10Aの中心部とが導電性のベローズ11により密閉接続されている。サセプタ電極8およびシャフト13はベローズ11により上下動可能となっており、プラズマ励起電極4,サセプタ電極8間の距離の調整ができると共にチャンバ底部10Aと電気的に接続されている。このため、サセプタ電極8,シャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10は直流的に同電位となっている。さらに、チャンバ壁10はハウジング21、シャーシ2とも電気的に接続されているため、チャンバ壁10,ハウジング21,シャーシ2はいずれも直流的に同電位となっている。
【0022】
図1に示した本実施形態のプラズマ処理装置において、前記シャーシ2、ハウジング21、チャンバ壁10、ベローズ11、シャフト13及びサセプタ電極8は共通の軸線X−Xに関してそれぞれが軸対称となる形状に成形されかつ配置されている。
【0023】
整合回路2Aは、チャンバ60内のプラズマ状態の変化などに対応してインピーダンスを調整するために設けられている。整合回路2Aは、図1に示すように高周波電源1と高周波電力配電体3との間に設けられ、インダクタンスコイル23と、エアバリコンからなるチューニングコンデンサ24と、真空バリコンからなるロードコンデンサ22とから構成されている。これらのうち、インダクタンスコイル23とチューニングコンデンサ24は、整合回路2Aの入力端子側から出力端子側へ直列に接続され、インダクタンスコイル23の入力分岐点とシャーシ2(コモン電位部分)との間にロードコンデンサ22が設けられている。インダクタンスコイル23とチューニングコンデンサ24は、導電体を介さずに直接接続されている。チューニングコンデンサ24は整合回路2Aの出力端末とされ、その出力端子PRは高周波電力配電体3を介してプラズマ励起電極4に接続されている。
【0024】
図2は本実施形態におけるシャーシ2の構成を示す斜視図である。このシャーシ2はアルミニウム合金からなり、天板2Tが正方形の箱形をなし、この天板2Tの中心を通る中心軸が図1に示したプラズマ処理装置の軸線X−Xに一致している。シャーシ2の4面の側壁38…にはそれぞれ、面央部に軸線X−Xと平行する方向に延びるスリット35が形成されている。各スリット35は各側壁38の中央に形成され、対向するスリットはそれぞれ軸線X−Xの周りに軸対称となるように配置されている。すなわち、四つのスリット35…はそれぞれ軸線X−Xから等距離かつ互いに等間隔に配置されている。
【0025】
各スリット35の長さは例えば3cmである。また各スリット35の幅は、このプラズマ処理装置に供給される高周波電力の波長をλとするときλ/1000となるように設計されている。例えば高周波電力の周波数が40.68MHzである場合、波長λは7.37mであるから、スリット35の幅は7.37mmとされる。
【0026】
各スリット35にはそれぞれ、ループ状に成形された磁界プローブ36が挿入されている。この磁界プローブ36は、プラズマ処理装置の稼働中にシャーシ2の内側表面を流れる高周波電流HCがスリット35のエッジで発生する磁界の方向に直交するように配向され、かつ磁界の影響を強く受けるようにできるだけエッジに接近した位置に設置される。磁界プローブ36…はそれぞれ、図示しないデータ処理・表示装置(モニタ装置)に連結されている。そしてスリット35と磁界プローブ36との組合わせが本実施形態における電流検出手段37を構成している。
【0027】
図1において高周波電源1の出力側(高圧側)と整合回路2Aとは同軸ケーブル1Aの心線により接続されている。同軸ケーブル1Aのシールド線は一方がシャーシ2に接続され他方は高周波電源1のコモン側端子に接続されている。この高周波電源1のコモン側端子は接地されているので、サセプタ電極8、シャフト13、ベローズ11、チャンバ壁10、ハウジング21、シャーシ2、及び同軸ケーブル1Aのシールド線からなる帰電路は、何れも直流的には接地電位となっている。またロードコンデンサ22の一端も直流的に接地された状態となる。
【0028】
次に本実施形態のプラズマ処理装置を用い、ワークWにプラズマ処理を施す一実施態様について説明する。図1において、先ずワークWをサセプタ電極8の上に載置する。このときワークWの面中心をプラズマ処理装置の軸線X−Xと一致させるように配置することが好ましい。次にチャンバ60内を所定の真空度まで真空引きすると共に、ガス導入管17からプラズマ生成ガスを導入し、かつ高周波電源1から高周波電力を供給する。このときの稼働条件、例えば真空度、プラズマ生成ガスの種類と処理室内圧力、高周波電力の周波数、電力などはワークWに施すプラズマ処理の目的や装置の効率などにより変化するが、これらは従来のプラズマ処理装置における稼働条件と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。高周波電源1から供給された高周波電力(高圧側)は同軸ケーブル1Aの心線を通って整合回路2Aに入力され出力端子PRから出力され、高周波電力配電体3を通ってプラズマ励起電極4に供給される。このときプラズマ励起電極4は、接地側にあるサセプタ電極8と対向しているのでチャンバ60内に真空放電が発生する。ガス導入管17からチャンバ60内に導入されたガスはこの真空放電に励起されてプラズマを発生し、シャワープレート5に形成された多数の孔7…を通ってシャワー状にワークWに射突し、ワークWの表面に所定のプラズマ処理を行う。
【0029】
このときプラズマ励起電極4とサセプタ電極8との間には放電電圧に対応した電位差が生じている。一方、サセプタ電極8から高周波電源1のコモン側に帰還する帰電路となっているシャフト13,ベローズ11,チャンバ底部10A,チャンバ壁10、ハウジング21、及びシャーシ2はそれぞれ交流的な電気抵抗すなわちインピーダンスを有しているので、サセプタ電極8は直流的には接地電位にあっても、交流的には前記インピーダンスを流れる電流に応じた電位となっている。そこでサセプタ電極8から高周波電源1のコモン側に向けて高周波電流が流れる。この高周波電流はチャンバ壁10、ハウジング21、シャーシ2など導電部の内面全体に広がって流れる。
【0030】
図2に示すように、シャーシ2に形成されたスリット35…は高周波電流HCの流れる方向に沿って形成されているので、このスリットのエッジには高周波電流によって磁界が発生する。この磁界を磁界プローブ36によって検知すれば、この磁界強度は電極対の間隙を流れる電流値に対応する。そして電極対における電流値は電極対の放電電圧に対応しているので、電流検出手段37における磁界強度を監視することにより例えば放電開始時に適切な放電電圧が得られているかどうかを検知することができる。
【0031】
シャーシ2に形成された4組の電流検出手段37…は軸線X−Xから等距離等間隔、すなわち軸対称に配置されているので、図3に示すように、シャーシ2の特定の側壁38aに設けられた電流検出手段37aによって検知される磁界強度が他の面の値と異なっていれば、図3の点線矢印Ibで示すように、電極対14の間隙を流れる放電電流に偏流が生じていることが予想され、従ってワークW上のプラズマ処理に偏りが生じている可能性がある。すなわち4組の電流検出手段37…を比較しながら監視することによりワークW上のプラズマ処理の均一性を外部から監視することができる。
【0032】
ここで、シャーシ2とハウジング21は何れも軸線X−Xに関して軸対称の形状とされかつ電気的に連続して一体に成形されているので、4組の電流検出手段37…はシャーシ2の壁面に代えてハウジング21の壁面に形成されていても実質的に同様の効果が得られる。従って本発明におけるシャーシとは、本実施形態におけるハウジングも含むものである。
【0033】
(実施形態2)
本実施形態のプラズマ処理装置は、シャーシ2の形状が異なる以外は実施形態1のものと同様である。従ってここでは実施形態2におけるシャーシの形状についてのみ詳しく説明する。
図4は本実施形態のプラズマ処理装置におけるシャーシの斜視図である。本実施形態においてシャーシ2は円筒状に成形されている。そしてこのシャーシ2の周壁38には、軸線X−Xから軸対称に8組の電流検出手段37…が設けられている。それぞれの電流検出手段37は、シャーシ2の軸線X−Xから互いに等距離等間隔となるようにシャーシの周壁に形成されそれぞれが軸線X−Xと平行する方向に延びる同形のスリット35と、このスリット35に挿入されたループ状の磁界プローブ36とからなっている。この磁界プローブ36は、プラズマ処理装置の稼働中にシャーシ2の内側表面を流れる高周波電流HCがスリット35のエッジで発生する磁界の方向に直交するように配向され、かつ磁界の影響を強く受けるようにできるだけエッジに接近した位置に設置されている。
【0034】
本実施形態ではシャーシ2に軸線X−Xから等距離等間隔に8組の電流検出手段37…が設けられているので、シャーシ2の内側表面を流れる高周波電流HCの偏流を実施形態1の場合より更に精密に検知することがことができ、従って電極対14の間隙を流れる放電電流の偏流をより精密に監視することができる。
【0035】
本実施形態においてシャーシの形状は円筒状であるが、シャーシ2の形状はその中心軸が電極対14の軸線X−Xと一致する任意の正多角形柱状又は回転体であってよい。これらの形状のシャーシにおいて複数の電流検出手段37…が軸線X−Xに関して軸対称に設けられていれば、電極対14における高周波電圧を計測できると共に電極対14における偏流の状況を外部から監視することができる。
【0036】
以上説明した各実施形態のプラズマ処理装置において、シャーシ2、ハウジング21、チャンバ壁10などの基材は通常アルミニウム又はステンレス鋼などであるが、これらの内側表面には、更に高周波電流に対する抵抗が低い低抵抗導電路が設けられていてもよい。低抵抗導電路が設けられていれば、プラズマ発生空間に供給される高周波電力のロスをより低減することができる。この低抵抗導電路は金,銀,銅または少なくともこれらを含む合金からなることが好ましい。この低抵抗導電路は前記各部材の内側表面全体を覆うように形成されていてもよく、又はこれらの表面を通ってサセプタ電極8から高周波電源1に至る1本又は複数の線状又は帯状の低抵抗導電路が設けられていてもよい。複数の低抵抗導電路が設けられる場合は、これらが軸線X−Xに関して軸対称となるように並列配置されることが好ましい。何れにせよ、低抵抗導電路が設けられた場合には、電流検出手段37はこの低抵抗導電路上に設けられる必要がある。
【0037】
前記本実施形態のプラズマ処理装置において、シャーシ2、ハウジング21、チャンバ壁10、チャンバ底部10A、ベローズ11などの表面は、必要に応じて絶縁体からなる絶縁被膜によって覆われていてもよい。絶縁被膜としては、ポリイミド,PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)等が用いられる。ポリイミド,PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は耐熱性に優れ、ETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)は耐摩耗性に優れているので適宜使い分けるか又は多層皮膜を形成することが好ましい。
【0038】
前記本実施形態のプラズマ処理装置においては、13.56MHz程度以上の周波数の電力、具体的には、例えば13.56MHz,27.12MHz,40.68MHz等の周波数の高周波電力を投入して、電極対14の間でプラズマを生成し、このプラズマにより、サセプタ電極8に載置したワークWにCVD、ドライエッチング、アッシング等のプラズマ処理をおこなうことができる。
【0039】
プラズマ処理が例えばRIE(reactive ion etching)などである場合、ワークWはサセプタ電極8上に載置せずプラズマ励起電極4の側に取り付けるようにしてもよい。また電極対の構成も、平行平板型の電極対に変えて、ICP(inductive coupled plasma)誘導結合プラズマ形成型やRLSA(radial line slot
antenna)型などであってもよい。
【0040】
上記構成のプラズマ処理装置は、例えばワークWに応じた成膜条件、アニール条件、熱処理条件等、種々の処理条件や処理シーケンスをオペレータが設定する他は、各部の動作が図示しない制御部により制御されており、自動運転する構成になっている。従ってこのプラズマ処理装置を使用する際には、処理前のワークWを図示しないローダカセットにセットし、オペレータがスタートスイッチを操作すれば、搬送ロボットがワークWをローダカセットからチャンバ60内に搬送し、チャンバ60内で一連の処理が順次自動的に行われた後、再び搬送ロボットが処理済みのワークWをアンローダカセットに収容するようになっている。
【0041】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理装置は、インピーダンス整合回路を収容したシャーシにサセプタ電極から高周波電源に帰還する高周波電流を検出するための電流検出手段が設けられているので、プラズマ空間を流れる高周波電流を外部から計測することができ、プラズマ放電の開始に必要な放電電圧が得られているかなどの装置内部の運転状態を外部から的確に判断できるようになる。
シャーシに2以上の前記電流検出手段が設けられ、これらの電流検出手段が前記シャーシの中心軸に関して軸対称に配置されていれば、電極対の間を流れる放電流の偏流を検知することができ、ワークに対するプラズマ処理の均一性を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るプラズマ処理装置の一実施形態の構成を示す断面図である。
【図2】 前記実施形態におけるシャーシの構成を示す斜視図である。
【図3】 一般的なプラズマ処理装置における高周波電流の流れを示す概念図である。
【図4】 本発明に係るプラズマ処理装置の他の一実施形態に用いられたシャーシの斜視図である。
【図5】 従来のプラズマ処理装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…高周波電源
2…シャーシ、2A…整合回路
3…高周波電力配電体
4…プラズマ励起電極
5…シャワープレート
8…サセプタ電極
10…チャンバ壁
11…ベローズ
13…シャフト
14…電極対
17…ガス導入管
21…ハウジング
35…スリット
36…磁界プローブ
37…電流検出手段
38…(シャーシの)側壁
60…チャンバ
W…ワーク
Claims (7)
- プラズマを形成するためのプラズマ励起電極とプラズマ処理されるワークを挟んで前記プラズマ励起電極に対向するサセプタ電極とからなる電極対を収容したプラズマ処理室と、高周波電源から前記プラズマ励起電極に高周波電力を供給する給電路に挿入され前記高周波電源と前記プラズマ処理室とのインピーダンスを整合させるためのインピーダンス整合回路を収容したシャーシとを有し、前記シャーシが前記サセプタ電極から前記高周波電源に帰還する帰電路の一部を形成してなるプラズマ処理装置であって、
前記シャーシに、前記サセプタ電極から前記高周波電源に帰還する高周波電流を検出するための電流検出手段が設けられたことを特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記シャーシに2以上の前記電流検出手段が設けられ、これらの電流検出手段が前記シャーシの中心軸の周りに軸対称に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
- 前記電流検出手段は、前記シャーシに形成され前記高周波電源に帰還する高周波電流の流路に沿って延びるスリットと、このスリットに形成される磁界を検出する磁界プローブとからなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
- 前記スリットの幅は、前記高周波電流の波長をλとするときλ/100以下であることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理装置。
- 前記シャーシは、その中心軸に垂直な断面が正多角形又は円形に成形されたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
- 前記プラズマ処理室が軸対称の形状に成形され、かつその対称軸が前記シャーシの中心軸と一致するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
- 前記サセプタ電極が軸対称の形状に成形され、かつその対称軸が前記シャーシの中心軸と一致するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
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