JP4031176B2 - 雲母粉、該雲母粉の製法及び該雲母粉を含有する化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、隠ぺい力に優れ且つ白色の新規合成フッ素金雲母粉、その製法および該雲母粉を含有する化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、化粧料用雲母粉として、セリサイト、白雲母、金雲母、合成金雲母等が使用されている。これら雲母粉は、その添加により製品の伸展性、付着性、隠ぺい力、成型性等を向上させる目的で、ファンデーション、粉白粉、頬紅、アイシャドウ、口紅等の様々な化粧料に利用されている。
【0003】
特に、合成金雲母は、鉄などの着色元素を含まないため、白色度が高く且つ透明性が高いという優れた性質を有していたが、透明性が高いため、化粧料としての重要な性質である隠ぺい力が無い欠点があった。
【0004】
本発明者等は、チタンを含有する合成マイカは、この隠ぺい力に優れているということで注目していたが、従来チタンを含有する合成マイカとしては、灰色及び青色のものしか知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、白色度が高く且つ隠ぺい力に優れ、化粧料用として適したマイカ粉としては、未だ十分満足すべきものはない。
【0006】
この発明は、このような点に着目してなされたものであり、隠ぺい力に優れ且つ白色度が高く、化粧料用として好適な雲母粉を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究の結果、酸化雰囲気中で溶融合成してチタンを含有する合成フッ素金雲母を製造し、この合成フッ素金雲母を熱処理することによって、白色度の極めて優れた新規合成フッ素金雲母粉が得られるという驚くべき事実を見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、酸素を四面体に配位した中心原子であるAl/Siの一部を、Ti 4+ で置換した合成フッ素金雲母であって、白色であり且つ粉体測色値L*a*b*が下記の値であることを特徴とする。
【0009】
90<L*≦100
0<a*<1
−0.5<b*<1.5
本発明のチタン含有白色合成雲母は、従来のチタン含有青色及び灰色合成雲母とは、上記粉体測色値L*a*b*が全く異なる。従って、その分子の構造も異なるものである。
【0010】
酸化雰囲気中で溶融合成した雲母中のTi(電荷数3価のTiと4価のTiを含有している)を、完全に電荷数が4価となるような条件で処理すると、上記粉体測色値L*a*b*の範囲内の合成フッ素金雲母粉が得られる。
【0011】
従って、本発明の合成フッ素金雲母の好ましい実施態様は、含有される全Tiの電荷数が4価であり、粉体測色値L*a*b*が前記範囲内となるものであるということができる。しかしながら、含有するほぼ全てのTiの電荷数が4価であれば、粉体測色値L*a*b*が前記範囲内となり、本発明の白色合成フッ素金雲母粉となる。上記ほぼ全てのTiというのは、逆に言えば、粉体測色値L*a*b*が前記範囲内となる電荷数4価のチタンの割合である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
本発明の雲母は、酸素を四面体に配位した中心原子であるAl/Siの一部を、Tiに置換した合成フッ素金雲母でなければならない。このような合成フッ素金雲母でなければ、隠ぺい力がなく白色ともならない。
【0014】
本発明の新規Tiを含有する合成フッ素金雲母は、白色であることと、粉体測色値L*a*b*が、90<L*≦100、0<a*<1、−0.5<b*<1.5で表されることによって、従来のTiを含有するフッ素金雲母と明確に区別することができる。
【0015】
合成マイカに各種元素を添加することは知られていたが、従来は、各種元素を添加することによって、着色した合成マイカが得られ、白色の合成マイカは得られていない。
【0016】
粘土ハンドブックには、金属元素を含有するマイカとして、Coを四面体位置に置換した青色マイカ、八面体位置に置換したピンクマイカ、Niを置換した帯緑黄色マイカ、Mnを置換した濃紫褐色マイカ、Fe++ を置換した銀灰色マイカ、Fe+++を置換した褐色マイカ、Crを置換した褐色マイカ、Cuを置換した褐色マイカが記載されている。
【0017】
Tiを含有する合成マイカは、“工業化学雑誌、第65巻第4号、第503頁、1962年”に記載があり、色は灰色と記載されている。また、特開平10−114515号公報には、還元されたチタンを含有する青色合成マイカが開示されている。
【0018】
本発明のTiを含有する新規合成マイカは、L*a*b*の値からも明らかなように、白色度の極めて高いマイカであるが、上記従来技術からこのような白色度の高い合成マイカが得られることは、極めて予想外のことであった。
【0019】
本発明雲母粉のレーザー回折式粒度分布測定における50%重量径は、化粧品に配合できるマイカの粒径から、好ましくは1〜100μmである。
【0020】
本発明の合成マイカの製法自体は、溶融合成、水熱合成、固相反応等いずれであっても良いが、結晶性が良好であるという理由から、溶融合成法が好ましい。更に、溶融合成法の中で、生産性が高いという理由から、内燃式溶融法が特に好ましい。
【0021】
溶融に使用する電極は、酸化雰囲気中で溶融するため、鉄電極を使用するのが良い。溶融温度は、1400〜1600℃で行う必要がある。これより低いと十分結晶成長しないし、これより高いと良好な結晶が得られない。
【0022】
溶融合成法によって、例えば、ケイフッ化カリウム、炭酸カリウム、酸化マグネシウム及び二酸化ケイ素の混合物に、酸化チタンを混合し、溶融後、冷却し結晶化させることにより本発明に使用する合成フッ素金雲母が得られる。このようにして得られた、合成フッ素金雲母は、灰黄色である。
【0023】
合成マイカ製造原料中のチタン含有量は、好ましくは1〜15重量%、特に5〜10重量%が好ましい。
【0024】
上記のようにして得た合成フッ素金雲母を、粉砕し、所望の粒度に分級した後、熱処理することによって、白色度の高い本発明の合成フッ素金雲母が得られる。
【0025】
熱処理温度は、700〜1100℃で行う必要があり、これより低いと、本発明のような白色度の雲母が得られないし、これより高いと、粒子が融着し、化粧料の原料として使用し得る感触の雲母粉は得られない。
【0026】
本発明の雲母粉は、塗料、化粧料、プラスチック、コーテイング剤等、従来この種の雲母粉が使用されていたあらゆるものに適用することが出来る。しかしながら、本発明の雲母粉は、隠ぺい力が高く且つ白色度が高いので、特に化粧料用に使用するのに極めて適している。
【0027】
つぎに実施例、比較例をあげて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0028】
【実施例】
実施例中、レーザー回折法50%重量径と粉体測色値L*a*b*の測定及び隠ぺい力の評価は、下記に示す方法により行った。
【0029】
(1)レーザー回折法50%重量径
堀場製作所製、LA−500、50%重量径
(2)粉体測色値L*a*b*の測定方法
試料1gを採取し、これをミノルタ製色彩色差計(CR−200)の粉末セルに入れて測定した。
【0030】
(3)ハンター白色度の計算
上記の粉体測色値L*a*b*から、下式によって算出した。
【0031】
白色度W=100−√(100−L*)2 +(a*)2 +(b*)2
MgO標準板の白色度 W=95.32
L*=95.60、a*=−0.87、b*=1.37
ハンター白色度(%)=(試料の白色度/95.32)×100
【0032】
(隠ぺい力の評価方法)
雲母粉少量を指でつまみとり、腕の内側の皮膚に塗布し、目視で隠ぺい力を観察し、チタンに置換しない合成フッ素金雲母粉と比べて、下記基準によって評価した。
【0033】
合成フッ素金雲母粉と比べて、
優れている ○
同等である △
劣っている ×
【0034】
実施例1
ケイフッ化カリウム18.2重量%、炭酸カリウム4.7重量%、酸化マグネシウム28.2重量%、酸化アルミニウム11.9重量%及び二酸化ケイ素37.0重量%からなる調合物100重量部に、酸化チタン5重量部を添加して十分混合した。
【0035】
この混合物200kgを、鉄電極をセットした内燃式電気抵抗炉内中に投入し、約2時間通電すると、溶融体を生成した。溶融体の温度は、1450゜Cであった。その後、鋳型に取り出し、放冷し、チタンを3重量%含有する灰黄色の合成マイカ結晶塊を得た。
【0036】
この合成マイカ結晶塊を、湿式粉砕により微粉砕化して、分級し、50%重量径12μmの灰色マイカ粉を得た。このマイカ粉を1000゜Cで熱処理後、水洗、脱水、乾燥、解砕して本発明品を得た。本発明品は、白色度が高く、隠ぺい力のある粉体であった。評価結果を次表1に示す。
【0037】
実施例2
ケイフッ化カリウム18.2重量%、炭酸カリウム4.7重量%、酸化マグネシウム28.2重量%、酸化アルミニウム11.9重量%及び二酸化ケイ素37.0重量%からなる調合物100重量部に、酸化チタン10重量部を添加して十分混合した。
【0038】
この混合物200kgを、鉄電極をセットした内燃式電気抵抗炉内に投入し、約2時間通電すると、溶融体を生成した。溶融体の温度は、1450゜Cであった。その後、鋳型に取り出し、放冷し、チタンを6重量%含有する灰黄色の合成マイカ結晶塊を得た。
【0039】
この合成マイカ結晶を、湿式粉砕により微粉砕化して、分級し、50%重量径12μmの灰色マイカ粉を得た。このマイカ粉を1000゜Cで熱処理後、水洗、脱水、乾燥、解砕して本発明品を得た。本発明品は、白色度が高く、隠ぺい力のある粉体であった。評価結果を次表1に示す。
【0040】
比較例1
実施例1と同様の方法により、チタン3重量%含有する灰黄色の合成マイカを得た。この合成マイカ結晶を実施例1と同様にして粉砕分級して、50%重量径12μmのマイカ粉を得た。このマイカ粉を水洗、脱水、乾燥、解砕して比較例品を得た。本品は、隠ぺい力はあるが、黄色味を帯びた白色で白色度の低いものであった。評価結果を次表1に示す。
【0041】
比較例2
電極にカーボン電極を使用する以外は、実施例1と同様の方法により、チタン3重量%含有する青色の合成マイカを得た。この合成マイカ結晶を実施例1と同様にして粉砕分級し、50%重量径12μmの青色マイカ粉を得た。このマイカ粉を水洗、脱水、乾燥、解砕して比較例品を得た。本品は、隠ぺい力はあるが、青味の強い白色で白色度の低いものであった。評価結果を次表1に示す。
【0042】
比較例3
ケイフッ化カリウム18.2重量%、炭酸カリウム4.7重量%、酸化マグネシウム28.2重量%、酸化アルミニウム11.9重量%及び二酸化ケイ素37.0重量%からなる調合物100重量部に、酸化チタン10重量部を添加して十分混合した。
【0043】
この混合物200kgを、カーボン鉄電極をセットした内燃式電気抵抗炉内に投入し、約2時間通電すると、溶融体を生成した。溶融体の温度は、1450゜Cであった。その後、鋳型に取り出し、放冷し、チタンを6重量%含有する青色の合成マイカ結晶塊を得た。
【0044】
この合成マイカ結晶塊を、湿式粉砕により微粉砕化して、分級し、50%重量径12μmの灰色マイカ粉を得た。このマイカ粉を1000゜Cで熱処理後、水洗、脱水、乾燥、解砕して比較例品を得た。本品は、隠ぺい力はあるが青みを帯びた白色の粉体であった。評価結果を次表1に示す。
【0045】
化粧料用雲母粉としては、隠蔽度に優れると共に白色であり且つ白色度95以上のものが求められているが、上記本発明の雲母粉は充分この目的に適合している。
【0046】
実施例3:化粧料(パウダーファンデーション)
次の組成からパウダーファンデーションを製造した。
【0047】
(1)実施例1で得た雲母粉 55部
(2)酸化チタン 7部
(3)白雲母 3部
(4)タルク 20部
(5)ナイロンパウダー 2部
(6)赤色酸化鉄 0.5部
(7)黄色酸化鉄 1部
(8)黒色酸化鉄 0.1部
(9)シリコーンオイル 1部
(10)パルミチン酸2−エチルヘキシル 9部
(11)セスキオレイン酸ソルビタン 1部
(12)防腐剤 0.3部
(13)香料 0.1部
上記成分1〜8をヘンシェルミキサーで混合し、この混合物に加熱溶解混合した成分9〜13を添加混合した後、パルペライザーで粉砕し、これを150kg/cm2 の圧力で直径5.3mmの中皿に成形して、本発明のパウダーファンデーションを得た。このパウダーファンデーションは、伸展性に優れ、適度な艶を発現し、使用感触が良好であった。
【0048】
比較例4:化粧料(パウダーファンデーション)
比較例2の雲母粉を使用する以外は、実施例3と同様の方法で、パウダーファンデーションを製造した。このパウダーファンデーションは、青味があり、彩度の低いものであった。
【0049】
【発明の効果】
本発明は、従来有色と考えられていたチタンを含有する隠ぺい力に優れた合成フッ素金雲母を白色度の高い構造のものとして得ることに初めて成功したものであり、白色度が高く且つ隠ぺい力が高いという従来の合成雲母には全く無い性質を具備するものであるから、特に化粧料用として絶大な効果を発揮する。
Claims (4)
- 酸素を四面体に配位した中心原子であるAl/Siの一部を、Ti 4+ で置換した合成フッ素金雲母であって、白色で且つ粉体測色値L*a*b*が下記の値であることを特徴とする雲母粉。
90<L*≦100
0<a*<1
−0.5<b*<1.5 - 前記雲母粉のレーザー回折式粒度分布測定における50%重量径が、1〜100μmである請求項1記載の雲母粉。
- 鉄電極を使用し、酸化雰囲気中で溶融合成することによって、前記合成フッ素金雲母を製造し、該合成フッ素金雲母を700〜1100℃で熱処理することを特徴とする請求項1又は2記載の雲母粉の製法。
- 請求項1又は2のいずれか1項に記載の雲母粉を含有することを特徴とする化粧料。
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