JP4032231B2 - データ伝送方法 - Google Patents
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Description
本発明は、コンピュータ・ネットワークを介して、特に送られるべきデータがIPパケットに分割されるインターネットを介して、顧客からのデータを伝送する方法に関する。更に、各パケットには少なくとも2つの状態(イン及びアウト)により印が付けられ、その状態は、もし伝送中にネットワーク輻輳に起因してパケットが落とされる(ドロップされる)場合、どのパケットが最初に落とされるかを決定する。
【0002】
今日、コンピュータ・ネットワークを介して顧客からのデータを伝送する多様な方法がある。インターネットを介して伝送されるべきデータは一般にパケットに分割される。データは、IPプロトコルを介して伝送されるならば、インターネット・プロトコル(IP)パケットに分割される。ネットワークを介してパケットがスムーズに、即ち輻輳無しで、伝送されることを保証するために、パケットは少なくとも2つの状態のうちの1つによって印が付けられる。これらの状態の目的は、伝送中にパケットが落とされるとすれば、どのパケットが最初に落とされどのパケットが最後に落とされるかを決定することである。パケットの廃棄は、ネットワーク輻輳に起因して生じる。この場合、高い廃棄優先順位が印されているパケット(アウト・パケット)は最初に捨てられ、低い廃棄優先順位が印されているパケット(イン・パケット)は捨てられないという高い確率を有する。
【0003】
パケットは、ネットワークに入るときに、即ち例えばインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)の端のノードで、印が付けられる。パケットには、例えばパケットのサイズが特定のバイト数より小さいか否かなど、それぞれのパケットが特定の条件に準拠するか否か調べるアルゴリズムに従って、印が付けられる。この条件に準拠しないパケットには、パケットがネットワーク輻輳の場合に最初に落とされる(アウト・パケット)状態で印が付けられる。
【0004】
パケットに印を付ける前記のシステムは、パケットが条件を満たさないならば高い廃棄優先順位の状態で印を付けるだけであるので、特に問題である。普通そうであるように、パケットが伝送中に割り当てられている最大帯域幅を上回れば高い廃棄優先順位で印が付けられるという条件をアルゴリズムが含んでいる場合には、特にそうである。このことは、顧客の割り当てられている最大帯域幅を既に上回っているときには高い廃棄優先順位で印が付けられているパケットが落とされるということを意味する。パケットが準拠しないときにだけ高い廃棄優先順位でパケットに印を付けることは、準拠しないパケットを輻輳の場合に捨てることを可能にするが、輻輳を防ぐことはできない。
【0005】
本発明の目的は、端のルータにおいてパケットに印を付ける方法を最適化するすることによって、ネットワーク輻輳を回避することを目的とする、冒頭で述べた種類のデータ伝送方法を提供することである。
【0006】
本発明によれば、この目的は、高廃棄優先順位の状態でのパケットの印付けがランダム確率に基づくことを特徴とする請求項1の特徴を示すデータ伝送方法により達成される。
【0007】
本発明によれば、ランダム確率に基づいてパケットに印を付けることにより、パケットは割り当てられている最大帯域幅を上回っていないときに既に高廃棄優先順位の状態で印を付けられることができる。従って、パケットは、パケットの伝送中に割り当てられている最大帯域幅を上回っていないときに早期に落とされることもあり得る。パケットがTCPプロトコルによって転送されるならば、早期のパケット廃棄はソースに伝送速度(パケットがネットワークに送り込まれる速度)を低下させ、これはネットワーク輻輳を予防することを可能にする。これは、顧客がデータを送る帯域幅または顧客の束ねたトラフィックを制御し最適化する非常に有利で単純な方法を提供する。
【0008】
特に有効な伝送を保証することに関して、高廃棄優先順位でのパケットの印付けは、各顧客について単一のランダム確率に基づき、それにより計算量を最小限にする。
【0009】
ネットワークのノードはリンクにより互いに接続される。複数の顧客が特に有線及び/又は無線接続のリンクを共有することができる。この場合、各顧客について、顧客が送るトラフィックを特徴づけるために1つのランダム確率が使用される。本発明による方法は、リンクでの総帯域幅を最大にしようと試みる既存の方法とは異なって、各顧客が使用する帯域幅を最適化しようとする。換言すると、従来の方法では、他の顧客を犠牲にして一人または複数の顧客が、自分が支払った分よりも著しく大きい帯域幅を受け取るということがあり得る。本発明による方法では、各顧客は自分が支払った分の値に近い帯域幅を使用することができる。
【0010】
リンクは最大帯域幅を有し、及び/又は顧客にはデータ伝送のために最大の帯域幅が割り当てられる。割り当てられた最大帯域幅に基づく課金及び支払いは特に簡単であるので、ISP及び顧客に関してはこの様なシナリオが良くある。
【0011】
パケットがネットワークに入るとき、そのパケットが準拠するか否か判定するために、即ち顧客により使用される帯域幅がその顧客が支払った分の値を上回るか否か判定するために、一つの方法が適用される。一定の契約へのパケットの準拠を査定するために使用される方法はポリサーと呼ばれる。もっとも一般的なポリサーは、トークン・バケットである。パケットがネットワークに入るとき、与えられたトークン・バケット・サイズによって特徴付けられるトークン・バケットは、顧客が購入した帯域幅に対応する率で満たされる。トークン・バケットのサイズ(深さとも呼ばれる)と割り当てられた帯域幅とは、両方とも、一般にISPと顧客との間の契約の一部分である。
【0012】
顧客からの与えられたサイズまたは長さのパケットが端のノードで受信されるとき、パケット長さ(バイト単位で測られる)がトークン・バケットのバイト数、即ちトークン・バケット・オキュパンシー、を上回っていれば高廃棄優先順位でそれに印が付けられる。もしこのパケットのためにバケット内に充分なバイトがあれば、それには低廃棄優先順位で印が付けられる。もしパケットに低廃棄優先順位で印が付けられれば、パケット長さに等しい数のバイトがトークン・バケットから差し引かれる。もし高廃棄優先順位でパケットに印が付けられれば、トークン・バケットからバイトは差し引かれない。トークン・バケットが空ならば、全てのパケットが高廃棄状態で印を付けられる。
【0013】
コア・ノードにおいて、全てのパケットがその印(イン/アウト)に関わらず同じバッファーに入れられる。このバッファーは、輻輳が生じた場合にアウト・パケットが最初に落とされるように管理される。この様にして、イン・パケットだけでは輻輳を生じさせないようにネットワークが構成されている限りはイン・パケットが決して落とされないことが保証される。
【0014】
提案されている本発明は、標準的トークン・バケットを次のように拡張する。パケットは、端のルータに到着すると、トークン・バケットに入る。もしパケットのサイズがトークン・バケット内のバイト数を上回っていなくても、パケットは(標準的トークン・バケットの場合とは異なって)一定の確率で準拠していないと印される(高廃棄優先順位)。ネットワークの輻輳の場合には、このパケットはおそらく落とされるであろう(以下、この廃棄を早期廃棄と称する)。本発明は、もしパケットが伝送制御プロトコル(TCP)(特に伝送制御プロトコル/インターネット・プロトコル、即ちTCP/IP)により伝送されるならば、早期廃棄は重大なレベルの輻輳が発生する前にソースが伝送を抑えることを可能にするという事実に基づいている。換言すると、早期廃棄は多数のパケットが落とされる事態を防止することになる。
【0015】
非常に簡単な実施態様では、パケットはディフサーブ(DiffServ)環境において転送されることができる。ディフサーブ(ディフサーブアーキテクチャとも称される。)はインターネットでサービス品質(QoS)を提供する(小規模から大規模まで)拡張可能な方法である。拡張可能性は、端の方向へ複雑な機能性を移動させると共に非常に簡単な機能性をコアに残しておくことによって達成される。DiffServでは、パケットにネットワークの入り口でDiffServコードポイント(DSCP)で印が付けられ、コアにおいてはそれらのDSCPに応じてそれらに転送処理が与えられる。各DSCPはパーホップ挙動(Per-Hop Behavior (PHB))に対応する。
【0016】
2グループのPHB、すなわち優先転送(EF)PHB及び保証付き転送(AF)PHBがこれまでに定義されている。
【0017】
ディフサーブサービスを提供するサービス・プロバイダ、特にISPは、一般に保証付き転送(AF)を用いてサービスを提供する。AFでは、顧客のパケットは、該顧客からの総トラフィックが、契約された帯域幅、即ち割り当てられた最大帯域幅を上回らない限り非常に高い確率で転送される。ネットワーク輻輳の場合に、もし総トラフィックが割り当てられている最大帯域幅を上回ると、顧客の準拠しないパケットは高い確率で捨てられる。
【0018】
一般に、サービス・プロバイダによるデータ伝送についての課金は契約され割り当てられた最大帯域幅に基づくので、顧客は割り当てられた最大帯域幅に少なくとも等しい伝送速度を受けると期待する。実際には、TCPと共にAFを使用すると、平均総トラフィックが割り当てられた最大帯域幅より著しく低いという結果をもたらす。それは、パケットが落とされるときにTCPがそのトラフィックを減少させるからである。従って、TCPとAFとを組み合わせると、もし割り当てられた最大帯域幅を上回れば常に前述の挙動が行われる結果となる。場合によっては、この組み合わせは、全ての顧客のTCPソースの、全てがその送信速度を同時に低下させるという同時(同期)挙動という結果をももたらす。その結果として、顧客の送信速度が変動して、トラフィックが契約された帯域幅より著しく低くなるという結果をもたらす。
【0019】
DiffServでは、前述したAFと組み合わされたTCP伝送の挙動は非常に頻繁に観察される。送信速度がCIR(Committed Information Rate(委託情報速度)、他には割り当てられた最大速度とも称される)を上回ると、トークン・バケットは空になり幾つかのパケットはアウトと印される。従って、この印付けは、割り当てられた最大帯域幅を上回るとパケット廃棄という結果をもたらす。
【0020】
この印付けアルゴリズムは、3レベルの廃棄優先順位に拡張されることができる。その様な解決策は、特に高度にパケットを区別することを可能にする。廃棄優先順位のレベルは如何なる数にも拡張されることができる。
【0021】
コア・ノードでは、全てのパケットが、その印に関わらず、同じバッファーに入れられる。このバッファーは、輻輳が生じた場合に高廃棄優先順位の印を付されたパケットが最初に落とされるように管理される。高廃棄優先順位パケットが最初に落とされるようにバッファーを管理するために通常使用される1つのメカニズムはWRED(Weighted Random Early Detection(重み付きランダム早期検出))である。WREDは、低廃棄優先順位で印を付けられたパケットだけではパケット輻輳を生じさせないようにネットワークが構成されている限りは、これらのパケットが決して落とされないということを保証する。
【0022】
TCPは、これらの廃棄に反応して、トラフィックを、割り当てられた最大帯域幅より低い値まで減少させる。TCPは、それ以上のパケット廃棄を検出しなければ、次のパケット廃棄が発生するまでトラフィックを再び増大させる。その結果として、TCPの送信速度は割り当てられた最大帯域幅と時には相当低い値との間で変動し、その結果として平均トラフィックは割り当てられた最大帯域幅より低くなる。この挙動は、付加的ランダム確率に基づいてパケットに印を付けることによって相当減少させられる。
【0023】
総トラフィックを最適化するために、与えられたとき(ステップ)におけるランダム確率は、以下の数13に示される数式で表すことができる。
【0024】
【数13】
ここでpold及びboldは前のステップ(前の更新時)にそれぞれp及びbが持った値である。次のステップを評価するために、poldはpに等しくセットされなければならず、boldはbに等しくセットされなければならない。brefは、望まれるトークン・バケット・オキュパンシー、即ちトラフィックを安定させるためにその値に調整したい制御ループの値である。
【0025】
パケットがトークン・バケットに入るたび毎に、この確率は0と1との間に一様に分布された乱数と比較される。もし該確率がその乱数より大きければ、そのパケットは高廃棄優先順位で印を付けられる。
【0026】
トークン・バケット・オキュパンシーを安定させるとき、TCPウィンドウのサイズの変化は、以下の数14に示された数式で表すことができる。
【0027】
【数14】
トークン・バケット・オキュパンシーの値の変化は、以下の数15に示された数式で表すことができる。
【0028】
【数15】
ここでW(t)はTCPウィンドウのサイズであり、R(T)は往復遅延時間(RTT)であり、N(t)は顧客のTCPソースの数であり、Cは割り当てられた最大帯域幅(他の場所ではCIRとも称される)である。
【0029】
トークン・バケット・オキュパンシーを安定させるために、一定の往復遅延時間R0及び/又は一定のTCPソース数Nを仮定して、操作点におけるTCPウィンドウ・サイズ及び/又はトークン・バケット・オキュパンシーの値の変化を以下の数16、数17に示される数式で線形化することができる。
【0030】
【数16】
【数17】
操作点(w0、b0、p0)は、以下の数18に示される数式を満たすような条件を課すことによって決定される。TCPソースの数についてはN(t)=N、往復遅延時間についてはR(t)=R0 、即ちそれらは定数であると仮定する。
【0031】
【数18】
以下の数19に示される条件を仮定すると、制御ループの伝達関数は、以下の数20に示される数式で表すことができる。この伝達関数は、上記の微分方程式に対してラプラス変換を実行することによって得られる。
【0032】
【数19】
【数20】
非常に有利な実施態様では、トークン・バケット・オキュパンシーはコントローラにより、特に以下の数21に示される数式を満たすようなPIコントローラにより安定化されることができる。ラプラス変換を実行することにより得られたC(s)の値を伴うPIコントローラは、最大入力過渡と高いセットリングタイムとを有するが、オフセットは有さない。従って、PIコントローラはトークン・バケット・オキュパンシーを安定させるのに良く適している。
【0033】
【数21】
開ループの伝達関数は以下の数22に示される数式のように表される。
【0034】
【数22】
TCPソースの数についてN≧N−、往復遅延時間(RTT)について R0≦R+という範囲を仮定すると、目的は線形制御ループを安定させる定数K及びzの値を選択することである。
【0035】
この目的のために、TCP時定数より大きい制御システム定数を選択することができ、該コントローラについてのゼロ点は、以下の数23に示される数式を満たすように選択され得る。
【0036】
【数23】
上記選択の理論的根拠はコントローラに閉ループ挙動を支配させることであり、ここで制御定数は1/ωgにニアリーイコールであり、TCP時定数は以下の数24に示される値として定義される。
【0037】
【数24】
ナイキスト安定判別法を実施すると、システムは以下の数25に示されるK値に対するωgで安定する。
【0038】
【数25】
ナイキスト安定判別による基準は、ωgについてシステムが安定である時を定義する。方程式|L(jωg)|=0.1を課すことにより、Kについての値を得る。
【0039】
位相差についての方程式を計算することにより、以下の数26に示される数式が得られる。
【0040】
【数26】
従って、ループはこれらの値について安定である。
【0041】
ラプラス領域からz領域への変換、好ましくは双一次変換、を実行することにより、以下の数27に示される数式を満たすk1値及びk2値が得られる。
【0042】
【数27】
ここでKはコントローラにおける利得であり、ωgはシステムの周波数領域である。Tは、例えば到着間時間として定義されるサンプリング時間であり、これは逆最大帯域幅1/CIRに等しい、即ち顧客は自身が契約した最大帯域幅で送信する。
【0043】
本発明を応用し更に発展させるいろいろな有利な方法がある。この目的のために、本発明の請求項と、図面を参照しての本発明に係る方法の好ましい実施態様についての記述を参照のこと。図面を参照しての好ましい実施態様についての記述は、該教示の一般的に好ましい実施態様も含む。
【0044】
図1は、パケットがAF及びWREDでPHBを介して送られるDiffServ環境で二人の顧客C1及びC2がISPを介して顧客D1及びD2にデータを送るシナリオ例を示している。C1及びC2は、それらのISPと10Mbpsの割り当てられた最大帯域幅(CIR)を協定している。更に、顧客C1及びC2は、20ms(C1)及び100msec(C2)のRTTで、20Mbpsの最大帯域幅のリンクを共有して、共に20TCPフローを各々送信する。
【0045】
シミュレーション結果によると、この模範的実施態様では、顧客C1及びC2のトラフィックはランダム確率に基づく付加的な印付け方式無しで既知のトークン・バケット・アルゴリズムを使用するとき、各々9.83Mbps及び8.32Mbpsである。顧客C2のトラフィックは10Mbpsの割り当てられた最大帯域幅CIRより相当低いことに注意されたい。
【0046】
図2は、既知のトークン・バケット・アルゴリズムの概略図を示している。このアルゴリズムにより、実際の帯域幅が割り当てられた最大帯域幅、CIRと比較される。パケットがISPのネットワークに入るとき、サイズBのトークン・バケットが割り当てられた最大帯域幅CIRにより明示される速度で満たされる。トークン・バケット・サイズB及び割り当てられた最大帯域幅CIRは共にISPと顧客C1及びC2との間にそれぞれ契約されたものの一部分である。
【0047】
長さLのパケットがトークン・バケットに入るとき、それは、もしトークン・バケット・オキュパンシーbが必要なバイトより少ないバイトを有するならば、アウトと印される(即ち、高廃棄優先順位で印を付けられる)。もしこのパケットのために充分なバイトがあれば、それにはインという印が付けられる、即ち低廃棄優先順位で印が付けられる。イン印付けの場合、パケット長さLに等しい数のバイトがトークン・バケット・オキュパンシーbから差し引かれる。トークン・バケット・オキュパンシーbが充分なバイトを持っていないためにアウトという印がパケットに付けられたならば、トークン・バケット・オキュパンシーbから何も差し引かれない。
【0048】
図3はパケットが図2に示されているトークン・バケット・オキュパンシー・アルゴリズムのみに基づいて印が付けられる場合、顧客C2についてのトークン・バケット・オキュパンシーbを描いている。該プロットは束ねられたTCPトラフィックの振動する挙動を示している。トークン・バケットが空になるとき、それはTCPトラフィックがその速度を割り当てられた最大帯域幅CIRより高めているからである。輻輳の場合、高廃棄優先順位で印を付けられているパケット(アウト・パケット)は落とされる。図3は、TCPがその廃棄に反応してその速度を相当低下させることを明らかに示している。この時点で、トークン・バケットは再びフィルアップを開始する、即ちトークン・バケット・オキュパンシーbが増大する。TCPがその速度を再びCIRより高くなるとトークン・バケット・オキュパンシーbが再び減少する。バケットが満杯である間、顧客C2は割り当てられた最大帯域幅CIRより低い速度で送信する。
【0049】
図4において、流れ図は発明された方法によるパケットの印付けを示している。パケットがネットワークに入るとき、図2のトークン・バケット・アルゴリズムは始めに該パケットが割り当てられた最大帯域幅CIR以内かどうか調べる。この目的のために、パケットの長さLはトークン・バケット・オキュパンシーbと比較される(ステップS101)。もしパケットの長さLの値がトークン・バケット・オキュパンシーbの値より大きければ(ステップS101でno)、該パケットにはアウトという印が付けられる。もしトークン・バケット・オキュパンシーbが充分なバイトを持っていれば(ステップS101でyes)、該パケットがインと印されるかアウトと印されるかをランダム確率pが決定する。もし確率pが0と1との間に一様に分布する乱数uより大きければ(ステップS102でyes)、該パケットにはアウトという印が付けられ;さもなければ(ステップS102でno)、それにインという印が付けられる。もしトークン・バケットが空ならば、ランダム確率pに関わらず全てのパケットにアウトという印が付けられる。
【0050】
トークン・バケット・オキュパンシーbを安定させるという問題は、ランダム確率pに基づく付加的な印付け方式により達成されることができる。トークン・バケット・オキュパンシーbを安定させるという問題は、以下の数28に示すように、トークン・バケット・オキュパンシーの時間微分
【外3】
を0に等しくすることとして表現される。
【0051】
【数28】
ここでトークン・バケット・オキュパンシーbは0より大きくてトークン・バケット・サイズBより小さく、bはトークン・バケット・オキュパンシーであり、Bはバケット・サイズであり、r(t)は顧客の送信速度であり、CIRは顧客の契約された最大帯域幅である。
【0052】
バッファー・オキュパンシーを安定させる問題(キューイング・システムにおける)はアクティブ・キュー・マネージメント(AQM)の環境下において広く研究されている。上記のトークン・バケット・オキュパンシーbを安定させる問題は、速度r(t)で満たされるサイズB及びキャパシティーC(CIRに等しい)のキューのオキュパンシーqを安定させるという問題に変換することができる。一定の伝送遅延と、全てのアウト・パケットが落とされるということとを仮定すると、この2つの問題は実際上同等であり、それは変数の変更(q=B−b)で容易に分かる。
【0053】
これらの方式は細部では異なるけれども、アーキテクチャのレベルでは同様である。それらは、バッファー・オキュパンシーの増減を監視して、このデータを、入ってくるパケットについて廃棄確率を得るためのアルゴリズムで処理する。いろいろなAQM方式は、基本的には、廃棄確率を得るために使用されるアルゴリズムにおいて異なる。
【0054】
入ってくる全てのパケットについて確率pは以下の数29に示される数式にて計算される。
【0055】
【数29】
ここでpold及びboldはそれぞれp及びbが前のステップ(前の更新時)に持った値である。次のステップを評価するために、poldはpに、boldはbに等しくセットされなければならない。brefは、それに調整したい所望のトークン・バケット・オキュパンシーである。アウトという印を付けるとき、トークン・バケットから何も差し引かれないということに注意されたい。
【0056】
トークン・バケット・オキュパンシーbの安定性はパラメータk1及びk2による。従って、k1及びk2の選択は、性能目的を達成するための鍵である。図5はトークン・バケット・オキュパンシーbを安定させる線形化された制御ループのブロック図を示しており、これに基づいてk1及びk2は既に説明されたアルゴリズムに従って計算される。
【0057】
図6は、発明された方法に従って、即ちランダム確率pを使用することによって、データが伝送される場合における顧客C2のトークン・バケット・オキュパンシーbを描いている。トークン・バケット・オキュパンシーは約bref=0.75Bの値で安定する。この場合に顧客C2により得られる総トラフィックは9.65Mbpsであり、これは、第1のシミュレーションで得られる8.32Mbpsより遙かに割り当てられた最大帯域幅に近い。図6では、図3と比べて、トークン・バケットが満杯になっている時間間隔は相当短いことに注意されたい。
【0058】
割り当てられた最大帯域幅CIRになるべく近いスループットを提供する目的は、トークン・バケット・オキュパンシーbを基準値brefのあたりに安定させることであると再公式化されることができる。この特定の代表的実施態様ではbrefは下記の数30に示されるとおりである。
【0059】
【数30】
一定の最大限でないトークン・バケット・オキュパンシーbは、割り当てられた最大帯域幅CIRにほぼ等しいイン・パケットの送信速度を暗に意味する。イン・パケットが落とされることは殆どなさそうなので、これは割り当てられた最大帯域幅CIRにほぼ等しいスループットに通じる。
【0060】
従って本発明の方法は、ランダム確率pに基づくアウト印付けを介して来るべき輻輳をTCPソースに早期に知らせることに依拠する。この様にして、本発明の方法はC1及びC2それぞれのTCPソース間の同期化を回避し、その結果として、契約されたスループットの利用を良好にすると共に、顧客C1及びC2が異なるCIRを契約している場合に総帯域幅を良好に分布させる。その結果として、顧客C1とC2とが高度に公平となる。
【0061】
本発明の方法の主な利点の一つは、単純であることである。各アクティブ接続の状態を保つ代わりに、本発明の方法は単に各トークン・バケットについて少数の付加的な固定されたパラメータ及び可変パラメータを必要とするだけである。もう一つの特別の利点は、その構成が顧客のトラフィックに関する具体的な知識を必要とはせず、TCPセッションの数についての下限と往復遅延時間(RTT)についての上限とを必要とするだけであることである。
【0062】
以下では、本発明の教示を更に説明するために幾つかのシミュレーション・シナリオとその結果とを説明する。トークン・バケットとWREDキューとを使用するDiffServ環境を仮定し続ける。この様なシナリオは多くのシミュレートされたシナリオにおいて同意されたCIRを提供するのに非常に効率が良いことが判明している。
【0063】
しかし、実際上興味ある幾つかの場合に、その様な従来アーキテクチャはTCPフロー制御メカニズムの故に公平の問題を解決することはできない。ランダム確率を用いることにより、結果を著しく改善することができる。本シミュレーション・シナリオでは、WREDメカニズムにおけるトラフィックを適合させるための廃棄スレショルド(しきい値)はイン・パケット廃棄を回避する値にセットされる。その上、アウトと印されているパケットについての最大スレショルドOUTmaxは10に等しい。最後に、本発明に係る方法のシミュレーションのために、システムが早期印付けにより速く反応するように、AQMメカニズムについてのその時点でのキュー長さが考慮される。シミュレーションはns−2を使って行われた。
【0064】
以下において、始めに幾つかの不均一なシナリオを考察することにより得た幾つかのシミュレーション結果を示す。始めの3つのシナリオでは、完全に加入されたリンク、即ちCIRの合計がボトルネック容量に等しいことを仮定した。対照的に、第4のシナリオではリンクが部分的にのみ加入されたときの挙動を探求した。提案された印付け方式の性能をいろいろなパラメータの関数として査定して本項を終える。全てのシミュレーションはTCPリーノー(TCP Reno)を用いて行われた。
【0065】
第1のシナリオは図7に描かれ、以下の表1によって記述されている。アクセス・リンクは遅延もパケット廃棄ももたらさない。無応答ユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)トラフィックは、TCPフローと相互に作用し合うときに公平の問題を引き起こすということが知られている。従って、このシナリオで、TCPのみのフローまたはTCP及びUDPの混合トラフィックを送信する顧客同士の相互作用を調べる。UDPトラフィックをモデル化するために、各々1.5Mbpsで送信する定ビットレート(CBR)フローを考察した。この場合UDP速度は同意されたCIRの75%になる。
【0066】
【表1】
表1は、この試験のために選択した幾つかのセッティングを伝えると共に、終わりの2つのコラムにおいて標準方法及び本発明の方法についてのトラフィックに関する結果をそれぞれ示している。表1は、ランダム確率pの使用は顧客がTCPフローを送信して総帯域幅のうちのより大きな部分を取るのを助けることを示している。特に、小さなRTTを特徴とするC1は同意されたCIRを達成するのに対してC2は、標準方法により許される80%とは対照的に、その90%以上を得る。
【0067】
第2のシナリオでは、割り当てられた最大帯域幅CIRについて不均一な値を仮定する。いろいろな顧客が割り当てられた最大帯域幅CIRについて雑多な値を契約するときにも公平問題が発生する。実際、低いCIR値を特徴とする顧客は、同意されたCIRを達成する上で有利である。次のシナリオはこの挙動の例である。ボトルネック・リンク速度は22Mbpsに等しくセットされる。以下の表2は、考察される場合において、本発明の方法が総リンク利用を15%以上改善することを可能にすると共に特に顕著に公平な帯域幅分配をもたらすことを示している。
【0068】
【表2】
第3のシミュレーション・シナリオでは、顧客の数の影響を調べる。顧客及びフローの数が大きな値に増えると、標準的トークン・バケットが使用されるときでも多重化利得はリンク利用及び帯域幅分配を良好にする明確な効果を有する。ボトルネック・リンク速度は100Mbpsに等しくセットされる。以下の表3において、これを確証するシミュレーション結果を示す。しかし、この場合にも、本発明の方法は全体としての性能を僅かに改善する。
【0069】
【表3】
第4のシミュレーションでは、帯域に余裕のあるリンク(under-subscribed link)におけるTCPフローだけまたはUDPフローだけを有する顧客同士の相互作用を調べる。53Mbpsのリンク速度を考察したが、以下の数31に示される値(75%加入リンク)であった。C3及びC4は共に各々1.5Mbpsの速度で10個のCBRフローを送信する、即ちその送信速度はCIRより僅かに大きい。
【0070】
【数31】
以下の表4は、TCPが超過の帯域幅のうちの標準的アプローチと比べて顕著に高い部分を得ることを本発明の方法が可能にするということを示している。これは、小さなRTTを有するC1などの意欲的なTCP顧客について特に当てはまり、一方、割合に少数のデータフローと大きなRTTと(それぞれ10及び100ms)を有するC2は割り当てられた最大帯域幅CIRを達成できるに過ぎない。
【0071】
【表4】
次に、本発明により与えられる利益を顧客の数の関数として調べる。この目的のために、第3のシナリオについて実施されたセッティングを考察した。C1及びC2によりそれぞれ達成されるスループットを顧客の総数の関数として査定した。顧客C1は低いRTTと多数のデータフローとを特徴とし、従って顧客は割り当てられた最大帯域幅CIRを大いに達成しそうである。逆にC2は大きなRTTと割合に少数のフローとを有し、従って顧客は帯域幅分配に関しては不利な立場に置かれる。このシミュレーションでは、常にn人の顧客を有するシナリオについて表3における始めのn人の顧客を考察した。
【0072】
図8において、本発明の方法と標準的トークン・バケットとを使用するときにC1及びC2により得られるスループットを比較する。本発明の方法は常に最善の性能を達成することを可能にする。しかし、最も顕著な改善は顧客の総数が8未満であるときに顧客C2により達成される。本発明の方法を使用することにより、顧客C2は常に割り当てられた最大帯域幅CIRの少なくとも90%を得、一方標準的トークン・バケットは顧客の総数が少ないときにはそれをかなり不利にする。後者の場合はISPアクセス・リンクでは概して一般的である。
【0073】
更に、第3のシミュレーションについて総リンク利用率も評価した。結果は図9で報告されている。本発明の方法による改善は顕著である。
【0074】
今、数ユニット(例えば家庭ユーザーなど)の程度の、顧客あたりに少数のフローの効果を考察する。特に、比較的に少数のフローを送信する一人の顧客を除いて各々10個のフローを送信する10人の顧客を有するシナリオの性能を分析する。全ての顧客に10MbpsのCIRが割り当てられ、RTTはいろいろな顧客につき20及び100msの間でまちまちであり、ボトルネック速度リンクは100Mbpsに等しい。
【0075】
少数のフローを送信する顧客について、本発明の方法を使用するとき標準的トークン・バケットと比べて、達成されるスループットをフローの数の関数として評価する。結果は図10で報告されている。期待通りに、フローの数が少ないときには、得られるスループットは割り当てられた最大帯域幅CIRより相当少ない。しかし、本発明の方法を使用することにより、関連のある改善を認める。このシミュレーションでは、5個のフローを送信することにより、顧客は既に割り当てられた最大帯域幅CIRを得るが、早期印付けが行われないときには達成されるスループットは依然として割り当てられた最大帯域幅CIRより10%低い。
【0076】
本発明の付加的な有利な実施態様に関して、反復を避けるために、本解説の一般項とこの請求項とを参照されたい。
【0077】
最後に、上記の模範的な実施態様は請求されている教示を説明するために役立つに過ぎず、模範的実施態様には限定されない。
【0078】
尚、以下に、本詳細な説明中に使用された符号とその意味について列挙する。
b:トークン・バケット・オキュパンシー
bold:旧トークン・バケット・オキュパンシー
bref:トークン・バケット・オキュパンシーをそれに調整したいところの値
B:トークン・バケットのサイズ
CIR:割り当てられた最大帯域幅
C1、C2・・・C10:顧客(送信者)
D1、D2:顧客(受信者)
イン:低廃棄優先順位の状態
K:コントローラにおける利得
L:パケット長さ
N:TCPソースの数
アウト:高廃棄優先順位の状態
p:確率
pold:旧確率
R、RTT:往復遅延時間
u:均一に分布する乱数
W:TCPウィンドウのサイズ
z:コントローラのゼロ点
ωg:最大周波数
AF:保証付き転送
AQM:アクティブ・キュー・マネージメント
CBR:定ビットレート
DiffServ:ディフサーブ
DSCP:ディフサーブサービス・コードポイント
IP:インターネット・プロトコル
ISP:インターネット・サービス・プロバイダ
PHB:パーホップ挙動
QoS:サービス品質
TCP:伝送制御プロトコル
WRED:重み付きランダム早期検出
【図面の簡単な説明】
【図1】既知の方法と発明された方法とによるデータの送信の模範的実施態様を示した図である。
【図2】既知のトークン・バケット・アルゴリズムの大要を示した図である。
【図3】ランダム確率無しでの既知の方法による送信におけるトークン・バケット・オキュパンシーを時間の関数として示したグラフである。
【図4】発明された方法によるパケットの印付けを示す略流れ図である。
【図5】トークン・バケット・オキュパンシーを安定させる線形化された制御ループの略ブロック図である。
【図6】発明された方法によるデータの送信におけるトークン・バケット・オキュパンシーを時間の関数として示したグラフである。
【図7】既知の方法と発明された方法とのデータ送信の付加的な模範的実施態様を示した図である。
【図8】発明された方法と比べて既知の方法を使用するときの顧客数の関数として達成されるスループットを示したグラフである。
【図9】発明された方法と比べて既知の方法を使用するときの顧客数の関数として達成される総リンク利用を示したグラフである。
【図10】発明された方法と比べて既知の方法を使用するときのTCPデータフローの数の関数として達成されるスループットを示したグラフである。
Claims (25)
- コンピュータ・ネットワークを介して、特にインターネットを介して、顧客(C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10)からデータを伝送する方法であって、この方法では送信されるべきデータはパケットに、特にIPパケットに分割され、前記各パケットには少なくとも2つの状態(イン、アウト)のうちの一つで印が付けられ、その状態は、もし伝送中にパケットが落とされるとすればどのパケットが最初に落とされるかを決定し、高廃棄優先順位(アウト)の状態でのパケットの印付けがランダム確率(p)に基づき、
該ネットワークのコンピュータは互いに結合(リンク)され、
データ伝送の目的でリンクは最大帯域幅を有し、顧客には割り当てられた最大帯域幅(CIR)が提供され、
パケットの印付けは現在の帯域幅と割り当てられた最大帯域幅(CIR)との比較に基づくことを特徴とするデータ伝送方法。 - 前記高廃棄優先順位(アウト)でのパケットの印付けは単一のランダム確率(p)に基づくことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送方法。
- 前記ランダム確率(p)は各顧客(C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10)のトラフィックについて測定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ伝送方法。
- 数人の顧客(C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10)がリンクの少なくとも一部分を、特に有線及び無線接続の少なくとも一つを共有することを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送方法。
- 前記顧客(C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10)のトラフィックが測定されることを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送方法。
- 伝送中に、前記顧客(C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10)に割り当てられた最大帯域幅(CIR)を越えたとき、もしくは接続の最大帯域幅がパケットを伝送するに充分でないときのいずれか少なくとも一方のとき、前記パケットが落とされることを特徴とする請求項1又は5に記載のデータ伝送方法。
- 現在の帯域幅と割り当てられた最大帯域幅(CIR)との比較はトークン・バケットに基づくことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送方法。
- 現在の帯域幅が割り当てられた最大帯域幅(CIR)より高い場合に、前記パケットに前記高廃棄優先順位で印が付けられることを特徴とする請求項1,5,6,7のいずれか一つに記載のデータ伝送方法。
- データの送信はTCP輸送プロトコルを介して、特にTCP/IPを介して、行われることを特徴とする請求項1,5,6,7,8のいずれか一つに記載のデータ伝送方法。
- 前記パケットはDiffServ環境で、好ましくはPHBを介して、特にWREDによる保証付き転送(AF)で、転送されることを特徴とする請求項1,5〜9のいずれか一つに記載のデータ伝送方法。
- 前記印付けは2つの状態により行われることを特徴とする請求項1,5〜10のいずれか一つに記載のデータ伝送方法。
- 確率(p)は、0と1との間に一様に分布された乱数(u)と比較されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載のデータ伝送方法。
- 確率(p)が乱数(u)より大きい場合に、前記パケットは前記高廃棄優先順位(アウト)で印を付けられることを特徴とする請求項13に記載のデータ伝送方法。
- 前記パケットは、好ましくはコア・ノードに割り当てられたバッファーに入れられることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載のデータ伝送方法。
- 伝送中におけるパケット輻輳の場合に、前記高廃棄優先順位(アウト)で印が付けられているパケットは捨てられることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一つに記載のデータ伝送方法。
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