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JP4032364B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents
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JP4032364B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、サスペンション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のサスペンション制御装置の一例として、特開平5-330325号公報に示すサスペンション制御装置がある。このサスペンション制御装置は、車両のばね上及びばね下間に介装される減衰係数可変型ショックアブソーバと、減衰係数可変型ショックアブソーバの減衰係数を調整設定するアクチュエータと、車体の上下加速度を検出する加速度センサと、該加速度センサの加速度信号を積分して上下絶対速度を求める積分手段と、上下絶対速度のうち絶対値が小さい不感帯を除いた値にリニアに対応する補正上下絶対速度を求める補正値算出手段と、該補正値算出手段が求めた補正上下絶対速度に制御ゲインを掛けて制御目標値を求める制御目標値算出手段と、前記減衰係数可変型ショックアブソーバの特性に基づいて制御目標値と前記制御信号との対応関係を示す情報をあらかじめ格納し前記制御目標値算出手段から制御目標値を入力することにより対応する制御信号を発生する制御信号発生手段とを有し、上下方向絶対速度に応じた減衰係数を得て乗り心地や運転性等の向上を図るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したサスペンション制御装置にあっては、路面のうねりの上り始めは、車体が上方に変位し、ショックアブソーバは縮みの状態になり、このとき減衰係数は伸びハード/縮みソフトを呈する値に設定されている。このため、車体には、路面変化が伝わりにくく良好な乗り心地が得られることになる。うねりを上りきると、上る際に縮んだばね力によりショックアブソーバは伸び始め、うねりを上ったときの慣性と合わせて、車体は比較的大きな速度で上方に動く。このとき、ショックアブソーバの減衰力は伸びハード(最大値)/縮みソフトの状態になっているので、伸びにくい状態となり、車体は、ばね下荷重により下方に引っ張られる状態となって下方向の加速度が大きくなる。このため、乗員は、上方に投げ出されるような感じを受け、不快感を感じる虞があった。
【0004】
また、路面のうねりの下がり始めは、車体が下方向に変位し、ショックアブソーバは伸びの状態になり、このとき減衰係数は、伸びソフト/縮みハードを呈する値に設定されている。そして、うねりを下がりきると、車体の慣性によりショックアブソーバは縮みの状態となり、このとき、ショックアブソーバの減衰力は縮みハードであるので、急激に上向きの加速度が大きくなる。このため、乗員はシートに強く押しつけられるような感じをうけ、不快感を感じる虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ショックアブソーバにより発生する減衰力により上下加速度を増長することを防止し、乗員に大きな加速度を感じさせないように、大きな加速度を生じるようなときには、減衰係数を小さくするサスペンション制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るサスペンション制御装置の発明は、車両のばね上及びばね下間に介装される減衰力を調整可能なショックアブソーバと、該ショックアブソーバの減衰力を調整するアクチュエータと、車両の走行状態に応じて前記ショックアブソーバの減衰力を調整すべく前記アクチュエータに制御信号を発信する減衰力制御手段と、ばね上の上下加速度を検出する上下加速度検出手段と、該上下加速度の高周波成分を除去するローパスフィルタと、該ローパスフィルタによって高周波成分を除去された上下加速度に基づいて上下加速度変化率を求める上下加速度変化率算出手段と、前記上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくするように前記制御信号を調整することにより、その直後の加速度絶対値を小さく抑える加速度変化率による制御信号調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載の構成において、前記ばね上の上下絶対速度を検出する上下絶対速度検出手段を設け、前記減衰力制御手段を、前記上下絶対速度検出手段の検出結果に基づいて、絶対速度の向きが上方向のとき該上下絶対速度の大きくなるに応じて伸び側減衰力を大きくし、絶対速度の向きが下方向のとき該上下絶対速度の小さくなるに応じて縮み側減衰力を大きくするように制御信号を発信するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2記載の構成において、前記制御信号調整手段が、前記上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を所定時間継続するように制御信号を出力することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3記載の構成において、前記所定時間が、車両のばね上共振周期の1/4の時間であることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1記載の構成において、前記ばね上の上下絶対速度を検出する上下絶対速度検出手段を設け、前記制御信号調整手段が、前記上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を前記上下絶対速度検出手段で検出される絶対速度の向きが変わるまで継続するように制御信号を出力することを特徴とする。
【0011】
【作用】
請求項1の構成とすれば、上下加速度の高周波成分を除去するローパスフィルタによって高周波成分を除去された上下加速度に基づいて求められた上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、制御信号調整手段は、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくするように前記制御信号を調整することにより、その直後の加速度絶対値を小さく抑える。
【0012】
請求項2の構成とすれば、上下加速度が小さい状態では、上下絶対速度に応じて減衰力を調整してばね上の振動を抑え、上下加速度が大きいまたは大きくなる状態においてはショックアブソーバの減衰力を小さくするようにアクチュエータに送る制御信号を調整するので、ショックアブソーバにより発生する減衰力により上下加速度を増長することが防止される。
【0013】
請求項3の構成とすれば、前記上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を所定時間継続するように制御信号が出力される。
【0014】
請求項4の構成とすれば、前記上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を車両のばね上共振周期の1/4の時間継続するように制御信号が出力される。
【0015】
請求項5の構成とすれば、前記上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を前記上下絶対速度検出手段で検出される絶対速度の向きが変わるまで継続するように制御信号が出力される。
【0016】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。なお、その説明に先だって、便宜上、参考例としてのサスペンション制御装置を図1ないし図9に基づいて説明する。図1において、車両を構成する車体1(ばね上)と4個(図には一つのみを示す。)の車輪2(ばね下)との間には、ばね3と伸/縮反転タイプの減衰係数可変型ショックアブソーバ4が並列に介装されており、車体1を支持している。車体1上には、車体1のばね上加速度α(上下方向の加速度)を検出する加速度センサ(上下加速度検出手段)5が取り付けられている。加速度センサ5の加速度信号はコントローラ6に供給される。なお、減衰係数可変型ショックアブソーバ4及びばね3は4個の車輪2に対応してそれぞれ4個設けられているが、便宜上そのうち一つのみを図示している。
【0017】
減衰係数可変型ショックアブソーバ4は、図2に示すようにシリンダ11内にフリーピストン12を摺動自在に収納し、このフリーピストン12によりガス室13と油室14との二室に画成されている。ガス室13には高圧ガスが封入されており、油室14には油液が封入されている。油室14にはピストン15が摺動自在に収納されている。油室14はピストン15により下室R1と上室R2とに画成されている。ピストン15にはピストンロッド16が連結されている。ピストンロッド16は上室R2を通ってシリンダ11外に延びている。
【0018】
ピストン15には下室R1と上室R2とをそれぞれ連通する第1、第2の連通路17、18が形成されている。ピストン15の上部には、常閉の第1の減衰弁19が取り付けられている。第1の減衰弁19は、ピストンロッド16の短縮時に下室R1の圧力が高くなって上室R2との差圧が所定値に達すると開き、これにより第1の連通路17を介した下室R1と上室R2との連通を図れるようにしている。ピストン15の下部には、常閉の第2の減衰弁20が取り付けられている。第2の減衰弁20は、ピストンロッド16の伸長時に上室R2の圧力が高くなって下室R1と上室R2との圧力差が所定値になると開き、これにより第2の連通路18を介した下室R1と上室R2との連通を図れるようにしている。ピストン15には、ピストンロッド16の軸心を挟んで相対向する第3、第4の連通路21,22が形成されている。第3、第4の連通路21,22は、それぞれ上室R2、下室R1に連通している。
【0019】
第3、第4の連通路21,22には、それぞれチェック弁23,24が配設されている。チェック弁23は下室R1から上室R2への油液の流れのみを許容し、チェック弁24は上室R2から下室R1への油液の流れのみを許容する。ピストン15内部には円板状の可動板25がピストンロッド16の軸心を中心にして回動自在に保持されており、可動板25の板面は第3、第4の連通路21,22をそれぞれ横切っている。可動板25には図3に示すように周方向に沿って円弧状に延びる一対の長孔26,27が形成されている。長孔26,27は可動板25の中心と同心状の位置に相対向して形成されている。長孔26は、図3矢印R方向に向かうに従って開口面積が小さくなり、長孔27は、矢印R方向に向かうに従って開口面積が大きくなるようになっている。
【0020】
可動板25を矢印R又は矢印L方向に回動すると、長孔26,27の、第3、第4の連通路21,22に臨む部分が連続的に替わり第3、第4の連通路21,22の開口面積が逓増又は逓減するようになっており、これにより減衰係数可変型ショックアブソーバ4が、図4に実線で示す減衰特性を得られるようにしている。なお、滑らかに減衰係数を変化させるために、長孔26,27の中心位置b2,b1付近を破線で示すように滑らかに変化する減衰係数特性とすることもできる。
【0021】
なお、図2において、28はピストンロッド16の軸心に相対回転自在に設けられて下端部が可動板25に連結される操作ロッドである。また、29は、操作ロッド28の上端部に連結され、この操作ロッド28を介して可動板25を矢印R方向または矢印L方向に回転させるステッピングモータ等のアクチュエータである。このアクチュエータ29は、コントローラ6の制御信号発信部44から発信される制御信号θに基づいて操作ロッド28を回転させる。
【0022】
次に、長孔26,27の、第3、第4の連通路21,22に臨む箇所(a2〜b2〜c2,a1〜b1〜c1)と、減衰係数との関係を説明する。ここで、長孔26,27の、第3、第4の連通路21,22に臨む箇所は、可動板25の回転角度θによって表わす。なお、長孔26,27の中心である位置b2,b1が第3、第4の連通路21,22に臨んでいる場合、この位置を可動板25の基準位置(θ=0)としている。
【0023】
(1)可動板25を基準位置から矢印R方向に回転する、即ち可動板25を正方向(θ>0)に回転させた場合、長孔26の位置a2が第3の連通路21に臨み、かつ長孔27の位置a1が第4の連通路22に臨む。これにより、下室R1から上室R2へ油液が流れやすく、上室R2から下室R1へ油液が流れ難くなって伸び側減衰係数が大きくかつ縮み側減衰係数が小さくなる。
【0024】
(2)可動板25を基準位置から矢印L方向に回転する、即ち可動板25を負方向(θ<0)に回転させた場合、長孔26の位置c2が第3の連通路21に臨み、かつ長孔27の位置c1が第4の連通路22に臨む。これにより、下室R1から上室R2へ油液が流れ難く、上室R2から下室R1へ油液が流れやすくなって伸び側減衰係数が小さくかつ縮み側減衰係数が大きくなる。
【0025】
コントローラ6は、図5に示すような減衰力制御手段としての減衰係数制御手段を有し、この減衰係数制御手段は積分処理部41と、増幅部42と、制御信号発信部43と、制御信号調整部44とから大略構成されている。
【0026】
積分処理部41は、前記加速度センサ5と協働して上下絶対速度検出手段を構成し、加速度センサ5のばね上加速度αを積分して走行状態としてのばね上絶対速度Vを求めこの値を増幅部42に出力する。増幅部42は、入力信号にゲインKを掛けて制御目標信号Cを求め、この制御目標信号Cを制御信号発信部43に出力する。制御信号発信部43は、補正前信号算出部45と、制御信号算出部46とからなっている。
【0027】
補正前信号算出部45は、制御目標信号Cとこの制御目標信号Cに比例するデータ(以下、補正前信号)Tθとの対応を示す情報(便宜上、図5の補正前信号算出部45を示すブロック中にこの情報を示すグラフを示している。)を格納しており、制御目標信号Cを入力して対応する補正前信号Tθを求めこの値を制御信号算出部に出力する。
【0028】
なお、上記説明では、補正前信号Tθは制御目標信号Cに比例するとしたが、この補正前信号Tθは、可動板25の長孔26,27の形状等により、決定されるものであるので、比例関係と限らず、制御目標信号Cの変化に対応する関数となる。
【0029】
制御信号算出部46は、補正前信号Tθに対し、θ=Tθ、θ=(1/2 )・Tθ、θ=(1/4 )・Tθ、θ=(1/8 )・Tθ(θ;可動板25の回転角θに対応する制御信号)の関係を有する4つの比例変換情報(この情報を図6に示す。)を格納しており、制御信号調整部44の指定信号により一つの比例変換情報が選択され、選択された一つの比例変換情報に基づいて入力した補正前信号Tθに対応する制御信号θを求めこの制御信号θをアクチュエータ29に発信する。
【0030】
制御信号調整部44は、順次大きい値に設定された第1、第2、第3のばね上加速度基準値αTH1 ,αTH2 ,αTH3 を格納し、初期状態ではθ=Tθを指定する指定信号を出力する一方、前記ばね上加速度αの絶対値|α|が第1、第2、第3のばね上加速度基準値αTH1 ,αTH2 ,αTH3 に比して大きい場合それぞれθ=(1/2 )・Tθ、θ=(1/4 )・Tθ、θ=(1/8 )・Tθを指定する指定信号を出力し、このように指定信号の内容を切り替えることにより制御信号算出部46に、伸び側減衰係数を小さくする制御信号θを発信させるようにしている。
【0031】
そして、アクチュエータ29は、前記制御信号θを受けて可動板25を回転させ、減衰係数可変型ショックアブソーバ4が可動板25の回転角θに対応する伸び側、縮み側減衰係数を得られるようにしている。なお、制御信号算出部46に格納する比例変換情報及び制御信号調整部44に格納するばね上加速度基準値の数は上記に限定されるものではなく、上記数より多くまたは少なく設定してもよい。
【0032】
上記構成のコントローラ6は、図7に示すように車両のエンジン始動等により電力供給を受ける(ステップS31 )と、まず初期設定を行なって(ステップS32)制御周期に達したか否かを判定する(ステップS33 )。ステップS33 では、制御周期に達したと判定するまで繰り返して制御周期に達したか否かを判定する。
【0033】
ステップS33 で制御周期に達したと判定すると、アクチュエータ29を駆動する(ステップS34 )。続いてステップS35 でアクチュエータ29以外の機構に信号を出力して制御する。次に加速度センサ5からばね上加速度αを読み込む(ステップS36 )。続いて積分処理部41が、ばね上絶対速度Vを求め、増幅部42がばね上絶対速度Vに基づいて制御目標信号Cを求める(ステップS37 )。次に、補正前信号算出部45が、制御目標信号Cを入力して対応する補正前信号Tθを求める(ステップS38 )。
【0034】
ステップS38 に続いて、制御信号補正サブルーチンを実行して制御信号θを求める(ステップS40 )。このステップS40 で求めた制御信号θに基づいて次の制御周期のステップS34 でアクチュエータ29が駆動され所望の減衰係数を得るようにしている。
【0035】
制御信号補正サブルーチン(ステップS40 )では、図8に示すように、まずステップS41 でばね上加速度αの絶対値|α|が第1のばね上加速度基準値αTH1以上であるか否かを判定する。ステップS41 でNOと判定、すなわち|α|<αTH1 であると、初期設定されたθ=Tθを示す指定信号を出力してサブルーチンを終了する(ステップS47 )。ステップS41 でYES と判定すると、次のステップS42 に進んでばね上加速度αの絶対値|α|が第2のばね上加速度基準値αTH2 以上であるか否かを判定する。ステップS42 でNOと判定、すなわち|α|<αTH2であると、θ=(1/2 )・Tθを示す指定信号を出力して(ステップS43 )サブルーチンを終了する。
【0036】
ステップS42 でYES と判定すると、ステップS44 に進んでばね上加速度αの絶対値|α|が第3のばね上加速度基準値αTH3 以上であるか否かを判定する。ステップS44 でNOと判定、すなわち|α|<αTH3 であると、θ=(1/4 )・Tθを示す指定信号を出力して(ステップS45 )サブルーチンを終了する。
【0037】
ステップS44 でYES と判定すると、θ=(1/8 )・Tθを示す指定信号を出力して(ステップS46 )サブルーチンを終了する。
【0038】
このように構成されたサスペンション制御装置の作用を説明する。図9に示すように路面のうねりを上りきり(上りきった時点を符号TN で示す。)、下方向のばね上加速度αが大きくなり、ばね上加速度αの絶対値|α|が第1、第2のばね上加速度基準値αTH1 ,αTH2 の範囲内の値になると、θ=(1/2 )・Tθの比例変換情報が選択されθの値が初期設定されているθ=Tθの比例変換情報に比して小さくなり(同等のTθに対し1/2 の値になる)、アクチュエータ29の実際の制御角度位置Qが実線Eに示すように小さくなる(補正されずに初期設定されたθ=Tθが継続して用いられた場合、アクチュエータ29の制御角度位置Qは点線E′に示す制御角度位置に設定される。)。なお、制御角度位置Qは、制御信号θによって動くので、動作遅れの分だけ、ずれを生じる。図9の制御角度位置Qの立上り部分が、斜めになっていて垂直になっていないのは、このようなずれの影響に基づくものである。
【0039】
この際、車体の絶対速度は上方向であるので、伸びハードの状態であるが、ショックアブソーバ4の伸びハード(最大値)のレベルが低くなって、ばね3の伸び方向の力を受けてショックアブソーバ4が伸び方向に容易に変位することとなる。これにより、車輪2及び車体1の相対的な伸び方向の変位が容易になり、ショックアブソーバ4の減衰力によりばね上加速度αを増長することがなくなり車体1の下方向のばね上加速度αが実線Fに示すように小さくなる(なお、補正されずに初期設定されたθ=Tθが継続して用いられた場合、ばね上加速度αは点線F′に示すようになる。)。このため、乗員は、上方に投げ出されるような力を受けず不快な状態になることがない。図9中、実線Gは本実施例におけるばね上変位を示し、点線G′は、補正されずに初期設定されたθ=Tθが継続して用いられた場合におけるばね上変位を示す。また、図9中、Hは路面変位を示す。
【0040】
また、路面のうねりの下がり始めは、車体が下方向に変位し、ショックアブソーバ4は伸びの状態になり、このとき減衰係数は、伸びソフト/縮みハードの状態となる。そして、うねりを下がりきると、車体の慣性によりショックアブソーバ4は縮みの状態となり、このとき、加速度αの絶対値|α|がばね上加速度の基準値を越えると、上記の上がりきりと同様の制御により縮みハードのレベルが低くなる。このため、ショックアブソーバ4の減衰力により、ばね上加速度が増長されることなく、急激に上向きの加速度が大きくなることを防ぎ、乗員はシートに強く押しつけられるような感じをうけて不快感を感じることを防ぐ。
【0041】
なお、上記実施例では、制御信号発信部43が、前段に補正前信号算出部45を設け、後段に制御信号算出部46を備え、増幅部42が制御目標信号Cを補正前信号算出部45に出力する一方、制御信号調整部44が後段の制御信号算出部46を制御する構成になっているが、これに代えて、図10、図11及び図12に示すように構成してもよい。すなわち、図10、図11及び図12に示す装置は、入力信号にゲインKを掛けて補正前目標信号TCを求める増幅部42と、制御信号発信部43と、制御信号調整部44とを有し、制御信号発信部43は、前段に信号補正部47を設け、後段に制御信号変換算出部48を設けた構成になっている。
【0042】
信号補正部47は、補正前目標信号TCに対し、C=TC、C=(1/2 )・TC、C=(1/4 )・TC、C=(1/8 )・TC(C;制御目標信号)の関係を有する4つの比例変換情報(この情報を図11に示す。)を格納しており、制御信号調整部44の指定信号により一つの比例変換情報が選択され、選択された一つの比例変換情報に基づいて、入力した補正前目標信号TCに対応する制御目標信号Cを求めこの制御目標信号Cを出力する。
【0043】
制御信号変換算出部48は、制御目標信号Cとこの制御目標信号Cに比例するデータ(以下、制御信号)θとの対応を示す情報(便宜上、図10の制御信号変換算出部48を示すブロック中にこの情報を示すグラフを示している。)を格納しており、制御目標信号Cを入力して対応する制御信号θを求めこの制御信号θをアクチュエータ29に発信する。
【0044】
制御信号調整部44は、順次大きい値に設定された第1、第2、第3のばね上加速度基準値αTH1 ,αTH2 ,αTH3 を格納し、初期状態ではC=TCを指定する指定信号を出力する一方、前記ばね上加速度αの絶対値|α|が第1、第2、第3のばね上加速度基準値αTH1 ,αTH2 ,αTH3 に比して大きい場合それぞれC=(1/2 )・TC、C=(1/4 )・TC、C=(1/8 )・TCを指定する指定信号を出力し、このように指定信号の内容を切り替えることにより信号補正部47に小さい値の制御目標信号Cを出力させ、ひいては制御信号変換算出部48から伸び側減衰係数を小さくする制御信号を発信させるようにしている。
【0045】
また、図12に示すように、図7のステップS37 、ステップS38 、ステップS40に代えて、補正前目標信号TCを求めるステップS57 、制御目標信号Cを求めるステップS59 、制御信号θを求めるステップS60 を有したものになっている。
【0046】
このように構成されたサスペンション制御装置では、路面のうねりを上りきって下方向のばね上加速度αが大きくなり、その値が基準値を越えると前記参考例と同様に、C=(1/2 )・TCの比例変換情報等のように、初期設定されているC=TCの比例変換情報に比して小さいデータが選択されて変換に用いられる。このため、ショックアブソーバ4の伸びハード(最大値)のレベルが低くなって、車輪2及び車体1の相対的な伸び方向の変位が容易になり、乗員は、上方に投げ出されるような力を受けず不快な状態になることがない。
【0047】
なお、上記参考例では、上下加速度の絶対値が基準値を越えたときに、減衰係数を小さくするものを示したが、車の使用によっては、上向きの加速度が基準値を越えたときのみ減衰係数を小さくすることもある
【0048】
次に、図13ないし図16に基づき、前記参考例を参照して本発明第1実施例を説明する。この第1実施例は、参考例の制御信号調整部44(図5)に代えて、ばね上加速度αの高周波成分を除去し、高周波成分の除去されたばね上加速度αを求めるローパスフィルタ50と、ローパスフィルタ50からの信号に対して微分処理してばね上加速度変化率(以下、ジャークという。)Jを求めるジャーク算出部(上下加速度変化率算出手段)51と、制御信号調整部52とから大略構成されている。
【0049】
制御信号調整部52は、順次大きい値に設定された第1、第2、第3のジャーク基準値JTH1 ,JTH2 ,JTH3 を格納し、初期状態ではθ=Tθを指定する指定信号を出力する一方、ジャークJの絶対値|J|が第1、第2、第3のジャーク基準値JTH1 ,JTH2 ,JTH3 に比して大きい場合それぞれθ=(1/2 )・Tθ、θ=(1/4 )・Tθ、θ=(1/8 )・Tθを指定する指定信号を出力し、このように指定信号の内容を切り替えることにより制御信号算出部46に、伸び側減衰係数を小さくする制御信号θを発信させるようにしている。なお、制御信号算出部46は、図6の情報のうち、|α|の部分を|J|に、また、基準値αTH1 ,αTH2 ,αTH3 をそれぞれ基準値JTH1 ,JTH2 ,JTH3 に変更した内容になっている。
【0050】
そして、アクチュエータ29は、前記制御信号θを受けて可動板25を回転させ、減衰係数可変型ショックアブソーバ44が可動板25の回転角θに対応する伸び側、縮み側減衰係数を得られるようにしている。
【0051】
上記構成のコントローラ6は、図14に示すように車両のエンジン始動等により電力供給を受ける(ステップS31 )と、まず初期設定を行なって(ステップS32)制御周期に達したか否かを判定する(ステップS33 )。ステップS33 では、制御周期に達したと判定するまで繰り返して制御周期に達したか否かを判定する。
【0052】
ステップS33 で制御周期に達したと判定すると、アクチュエータ29を駆動する(ステップS34 )。続いてステップS35 でアクチュエータ29以外の機構に信号を出力して制御する。次に加速度センサ5からばね上加速度αを読み込む(ステップS36 )。続いて積分処理部41が、ばね上絶対速度Vを求め、増幅部42がばね上絶対速度Vに基づいて制御目標信号Cを求める(ステップS37 )。次に、補正前信号算出部45が、制御目標信号Cを入力して対応する補正前信号Tθを求める(ステップS38 )。
【0053】
ステップS38 に続いて、ジャークJの算出を行う(ステップS70 )。次にジャークJに基づく制御信号補正サブルーチンを実行して制御信号θを求める(ステップS71 )。このステップS71 で求めた制御信号θに基づいて次の制御周期のステップS34 でアクチュエータ29が駆動され所望の減衰係数を得るようにしている。
【0054】
制御信号補正サブルーチン(ステップS71 )では、図15に示すように、まずジャークJの絶対値|J|が第1のジャーク基準値JTH1 以上であるか否かを判定する(ステップS72 )。ステップS72 でNOと判定、すなわち|J|<JTH1 であると、初期設定されたθ=Tθを示す指定信号を出力してサブルーチンを終了する(ステップS78 )。ステップS72 でYES と判定すると、次のステップS73 に進んでジャークJの絶対値|J|が第2のジャーク基準値JTH2 以上であるか否かを判定する。ステップS73 でNOと判定、すなわち|J|<JTH2 であると、θ=(1/2 )・Tθを示す指定信号を出力して(ステップS74 )サブルーチンを終了する。
【0055】
ステップS73 でYES と判定すると、ステップS75 に進んでジャークJの絶対値|J|が第3のジャーク基準値JTH3 以上であるか否かを判定する。ステップS75 でNOと判定、すなわち|J|<JTH3 であると、θ=(1/4 )・Tθを示す指定信号を出力して(ステップS76 )サブルーチンを終了する。ステップS75 でYES と判定すると、θ=(1/8 )・Tθを示す指定信号を出力して(ステップS77 )サブルーチンを終了する。
【0056】
このように構成されたサスペンション制御装置の作用を説明する。図16に示すように路面のうねりを上りきり(上りきった時点を符号TN で示す。)、下方向のばね上加速度αが大きくなり、ジャークJの絶対値|J|が第1、第2のジャーク基準値JTH1 ,JTH2 の範囲内の値になると、θ=(1/2 )・Tθの比例変換情報が選択されθの値が初期設定されているθ=(1/2 )・Tθの比例変換情報に比して小さくなり(同等のTθに対し1/2 の値になる)、アクチュエータ29の実際の制御角度位置Qが実線Mに示すように小さくなる(なお、補正されずに初期設定されたθ=Tθが継続して用いられた場合、アクチュエータ29の制御角度位置Qは点線M′に示す制御角度位置に設定される。)。
【0057】
このため、ショックアブソーバ4の伸びハード(最大値)のレベルが低くなって、ばね3の伸び方向の力を受けてショックアブソーバ4が伸び方向に容易に変位することとなる。これにより、車輪2及び車体1の相対的な伸び方向の変位が容易になり、車体1の下方向のばね上加速度αが実線Pに示すように、その絶対値が負の領域において小さくなる(補正されずに初期設定されたθ=Tθが継続して用いられた場合、ばね上加速度αは点線P′に示すようになる。)。このため、乗員は、上方に投げ出されるような力を受けず不快な状態になることがない。
【0058】
図16中、実線N、点線N′のそれぞれは、ばね上加速度αを示す実線P、点線P′に対応するジャークJを示す。また、実線Gは本実施例のばね上変位、点線G′は本実施例による補正前のばね上変位を示し、Hは路面変位を示す。
【0059】
また、路面のうねりを下がりきると、車体の慣性によりショックアブソーバ4は縮みの状態となり、このとき、ジャークJの絶対値|J|が基準値を越えると、上記の上がりきりと同様の制御により縮みハードのレベルが低くなる。このため、ショックアブソーバの減衰力により、ばね上加速度が増長されることなく、急激に上向きの加速度が大きくなることを防ぎ、乗員はシートに強く押しつけられるような感じをうけて不快感を感じることを防ぐ。
【0060】
なお、上記第1実施例では、制御信号発信部43を、前段に補正前信号算出部45を設け、後段に制御信号算出部46を備え、増幅部42が制御目標信号Cを補正前信号算出部45に出力する一方、制御信号調整部52が後段の制御信号算出部46を制御する構成になっているが、これに代えて、図17及び図18に示すように構成してもよい。すなわち、図17及び図18に示す装置は、入力信号にゲインKを掛けて補正前目標信号TCを求める増幅部42と、制御信号発信部43と、制御信号調整部52とを有し、制御信号発信部43は、前段に信号補正部47を設け、後段に制御信号変換算出部48を設けた構成になっている。
【0061】
信号補正部47は、補正前目標信号TCに対し、C=TC、C=(1/2 )・TC、C=(1/4 )・TC、C=(1/8 )・TC(C;制御目標信号)の関係を有する4つの比例変換情報(この情報を図11に示す。但し、|α|は|J|に、基準値αTH1 ,αTH2 ,αTH3 はそれぞれ基準値JTH1 ,JTH2 ,JTH3 に変更されている。)を格納しており、制御信号調整部52の指定信号により一つの比例変換情報が選択され、選択された一つの比例変換情報に基づいて、入力した補正前目標信号TCに対応する制御目標信号Cを求めこの制御目標信号Cを出力する。
【0062】
制御信号変換算出部48は、制御目標信号Cとこの制御目標信号Cに比例するデータ(以下、制御信号)θとの対応を示す情報(便宜上、図17の制御信号変換算出部48を示すブロック中にこの情報を示すグラフを示している。)を格納しており、制御目標信号Cを入力して対応する制御信号θを求めこの制御信号θをアクチュエータ29に発信する。
【0063】
制御信号調整部52は、順次大きい値に設定された第1、第2、第3のジャーク基準値JTH1 ,JTH2 ,JTH3 を格納し、初期状態ではC=TCを指定する指定信号を出力する一方、前記ジャークJの絶対値が第1、第2、第3のジャーク基準値JTH1 ,JTH2 ,JTH3 に比して大きい場合それぞれC=(1/2 )・TC、C=(1/4 )・TC、C=(1/8 )・TCを指定する指定信号を出力し、このように指定信号の内容を切り替えることにより信号補正部47に小さい値の制御目標信号Cを出力させ、ひいては制御信号変換算出部48から伸び側減衰係数を小さくする制御信号を発信させるようにしている。
【0064】
また、この装置では、図18に示すように、図7のステップS37 、ステップS38及びステップS71 に代えて、補正前目標信号TCを求めるステップS80 、ジャークJに基づいて制御目標信号Cを求めるステップS81 、制御信号θを求めるステップS82 を有したものになっている。
【0065】
なお、上記説明では、制御信号θは制御目標信号Cに比例するとしたが、この制御信号θは、可動板25の長孔26,27の形状等により、決定されるものであるので、比例関係と限らず、制御目標信号Cの変化に対応する関数となる。
【0066】
このように構成されたサスペンション制御装置では、路面のうねりを上りきって下方向のばね上加速度αが大きくなり、その値が基準値を越えると前記第1実施例と同様に、C=(1/2 )・TCの比例変換情報等のように、初期設定されているC=TCの比例変換情報に比して小さいデータが選択されて変換に用いられる。このため、ショックアブソーバ4の伸びハード(最大値)のレベルが低くなって、車輪2及び車体1の相対的な伸び方向の変位が容易になり、乗員は、上方に投げ出されるような力を受けず不快な状態になることがない。
【0067】
次に図19及び図20に基づいて本発明の第2実施例を説明する。この第2実施例は、第1実施例(図13ないし図16)に示すものに比して、図14及び図15におけるステップS71 に代わる制御信号補正サブルーチン(ステップS83 )を有しており、ジャークJが負の値のときにのみ補正処理を行うようにしている。
【0068】
この制御信号補正サブルーチン(ステップS83 )では、まずジャークJが0未満か否かを判定し(ステップS84 )、ステップS84 でNOと判定、すなわちジャークJが負でないときには、初期設定されたθ=Tθを示す指定信号を出力してサブルーチンを終了する(ステップS91 )。
【0069】
ステップS84 でYES と判定、すなわちジャークJが負であるときには、ジャークJが第1のジャーク基準値JTH1 未満であるか否かを判定する(ステップS85)。ステップS85 でNOと判定、すなわちJTH1 ≦J<0であると、初期設定されたθ=Tθを示す指定信号を出力してサブルーチンを終了する(ステップS91 )。
【0070】
ステップS85 でYES と判定(J<JTH1 )すると、次のステップS86 に進んでジャークJが第2のジャーク基準値JTH2 未満であるか否かを判定する。ステップS86 でNOと判定、すなわちJTH2 ≦J<JTH1 であると、θ=(1/2)・Tθを示す指定信号を出力して(ステップS87 )サブルーチンを終了する。
【0071】
ステップS86 でYES と判定すると、ステップS88 に進んでジャークJが第3のジャーク基準値JTH3 未満であるか否かを判定する。ステップS88 でNOと判定、すなわちJTH3 ≦J<JTH2 であると、θ=(1/4 )・Tθを示す指定信号を出力して(ステップS89 )サブルーチンを終了する。ステップS88 でYES と判定、すなわちJ<JTH3 であると、θ=(1/8 )・Tθを示す指定信号を出力して(ステップS90 )サブルーチンを終了する。
【0072】
このように構成されたサスペンション制御装置の作用を説明する。図20に示すように路面のうねりを上りきり(上りきった時点を符号TN で示す。)、ジャークJが負になり、その値がJTH2 ≦J<JTH1 になると、θ=(1/2 )・Tθを示す指定信号を出力してアクチュエータ29の実際の制御角度位置Qを実線Mに示すように小さくする(なお、補正されずに初期設定されたθ=Tθが継続して用いられた場合、アクチュエータ29の制御角度位置Qは点線M′に示す制御角度位置に設定される。)。
【0073】
このため、ショックアブソーバ4の伸びハード(最大値)のレベルが低くなって、ばね3の伸び方向の力を受けてショックアブソーバ4が伸び方向に容易に変位することとなる。これにより、車輪2及び車体1の相対的な伸び方向の変位が容易になり、車体1の下方向のばね上加速度αが実線Pに示すように、その絶対値が負の領域において小さくなり(補正されずに初期設定されたθ=Tθが継続して用いられた場合、ばね上加速度αは点線P′に示すようになる。)、乗員に、上方に投げ出されるような感じを与えることがなく、不快感を抱かせない。図20中、実線N、点線N′のそれぞれは、ばね上加速度αを示す実線P、点線P′に対応するジャークJを示す。また、実線Gは本実施例のばね上変位、点線G′は本実施例による補正前のばね上変位を示し、Hは路面変位を示す。
【0074】
次に、図21ないし図24に基づき、図4、図11(但し、|α|は|J|に、基準値αTH1 ,αTH2 ,αTH3 はそれぞれ基準値JTH1 ,JTH2 ,JTH3 に変更される。)、図17、図18を参照して本発明の第3実施例のサスペンション制御装置を説明する。このサスペンション制御装置は、例えばうねりを上りきった際に伸び側ハードが維持されて乗員が、上方に投げ出されるような感じを受けるようになること(以下、便宜上、伸び側ジャークという)を改善して乗員に不快感を起こさせないようにするものであり、そのコントローラは、図18のステップS32 、ステップS81 のそれぞれに代わるステップS32A、ステップS81Aを有する(図21参照)と共に、後述するように制御周期Td (例えば5〜10ms)のカウント処理により時間監視を行う第1、第2、第3のカウンタ(図示省略)を有したものになっている。
【0075】
コントローラは、ステップS32Aで、第1、第2、第3のカウンタのカウント値CNTJ1R ,CNTJ2R ,CNTJ3R として制限値CNTMAX を初期設定する。第1、第2、第3のカウンタは、後述するように、ジャークJがあらかじめ設定された第1、第2、第3の閾値JTH1R,JTH2R,JTH3Rを越えると、制限値CNTMAX をクリアし制御周期Td 毎にインクリメント処理を行うと共に、車両のばね上共振周波数(車両により異なるが、概略0.8〜1.4Hz)の逆数(以下、ばね上共振周期という。)の1/4の時間が経過すると、カウント値CNTJ1R ,CNTJ2R ,CNTJ3R が制限値CNTMAX となる(飽和する)ようになっている。
【0076】
ここで、このサスペンション制御装置は、上述したように伸び側ジャークを改善する(抑える)ものであり、第1、第2、第3の閾値JTH1R,JTH2R,JTH3Rは、負であり、かつ0>JTH1R>JTH2R>JTH3Rとなるように(即ち|JTH1R|<|JTH2R|<|JTH3R|)に設定されている。
【0077】
なお、第1、第2、第3のカウンタは、ジャークJが第1、第2、第3の閾値JTH1R,JTH2R,JTH3Rを越えて制御周期Td 毎にインクリメント処理を行っており、この値と制御周期Td の積が時間を示すことにより、閾値JTH1R,JTH2R,JTH3R後の経過時間を測定していることになる。前記制限値CNTMAX は、次式(1)により得られる。
【0078】
CNTMAX =(1/4)・(1/ばね上共振周波数)・(1/Td )…(1)
【0079】
コントローラは、ステップS81Aで、図22に示すように、まず、ジャーク補正保持時間を規定するカウンタ管理を行う(ステップS100)。ステップS100では、図23に示すように、まず、全カウンタをインクリメントする(ステップS101)。
【0080】
次のステップS102で、第1のカウンタのカウンタ値CNTJ1R が制限値CNTMAX 以上であるか否かを判定する。このステップS102で、第1のカウンタのカウンタ値CNTJ1R が制限値CNTMAX 以上であると判定(YES と判定)すると、そのカウンタ値CNTJ1R を制限値CNTMAX に設定して(ステップS103)第1のカウンタがオーバフローするのを防止する。このステップS102で、カウンタ値CNTJ1R が制限値CNTMAX 未満であると判定(NOと判定)するか、ステップS103の処理が終了すると、第2のカウンタを対象にして、前記ステップS102、S103と同様にステップS104、S105の処理を行う。ステップS104でNOと判定するか、ステップS105の処理が終了すると、第3のカウンタを対象にして、前記ステップS102、S103と同様にステップS106、S107の処理を行う。ステップS105、S107の処理を行うことにより、第2、第3のカウンタがオーバフローするのを防止する。
【0081】
次に、ステップS108で、補正前目標信号TCの値が正(伸び側減衰係数が大きい(伸び側ハード)(図4右側部分参照))であるか(TC>0?)否かを判定する。この判定処理は、ばね上ジャークの補正(うねりを上りきった際に伸び側ハードが維持されて乗員が、上方に投げ出されるような感じを受けるようになることに対し伸び側ハードを弱めて不快感の惹起を改善したり、あるいはうねりを下がりきった際に縮み側ハードが維持されて乗員が、シートに強く押しつけられるような感じを受けるようになることに対し縮み側ハードを弱めて不快感の惹起を改善したりすること)がばね上の伸び側についてのみ行われるようにするものである。
【0082】
ステップS108で、補正前目標信号TCの値が0以下である(NO)と判定すると、この場合は、伸び側ソフト(減衰係数が小さい)である(図4左側部分参照)ことを意味しており、伸び側ハードを弱める補正は不要であるため、第1、第2、第3のカウンタのカウント値CNTJ1R ,CNTJ2R ,CNTJ3R を制限値CNTMAX に設定する(ステップS109)。ステップS109に続いて、現ジャークJの値を、前ジャークFJに代入して次の周期の処理の準備を行い(ステップS110)、このサブルーチンを終了する(ステップS111)。
【0083】
ステップS108で、補正前目標信号TCの値が正である(YES )と判定すると、現ジャークJが第3の閾値JTH3R以下であるか否か判定する(ステップS112)。このステップS112でYES (J≦JTH3Rである)と判定すると、前ジャークFJが第3の閾値JTH3Rに比して大きいか否かを判定する(ステップS113)。ステップS113でYES (FJ>JTH3Rである。)と判定すると、第3のカウンタのカウント値CNTJ3R に0を代入する(第3のカウンタがクリアされる。)(ステップS114)。ステップS112、S113でYES と判定することは、前制御周期から現制御周期にかけてジャークJが第3の閾値JTH3Rを越えたことを意味しており、続くステップS114の処理を行うことにより、第3のカウンタは、カウント処理の待機状態にされ、これ以降、後述するようにカウント処理することになる。
【0084】
ステップS114に続いて、第2のカウンタ、第2の閾値JTH2Rを対象にしてステップS112、S113、S114と同様にステップS115、S116、S117の処理を行う。また、ステップS117に続いて、第1のカウンタ、第1の閾値JTH1Rを対象にしてステップS112、S113、S114と同様にステップS118、S119、S120の処理を行う。
【0085】
前記ステップS112、S113でNOと判定すると、処理をステップS115に進める。ステップS115、S116でNOと判定すると処理をステップS118に進める。ステップS118、S119でNOと判定すると処理をステップS110に進める。
【0086】
ステップS100のカウント管理を実行した後、図22に示すようにステップS200に進み、補正前目標信号TCを一旦、制御目標信号Cに格納しておく。このサスペンション制御装置では、後述するようにC=TC/2、C=TC/4、C=TC/8(図17、図11参照)を用いることにより伸び側ジャークの改善を図っているが、伸び側ジャークの改善が不要とされるような場合、C=TCを用いて減衰係数の設定を行うようにしている。
【0087】
次に、ステップS201で、補正前目標信号TCの値が正(伸び側減衰係数が大きい(伸び側ハード)(図4右側部分参照))であるか(TC>0?)否かを判定する。このステップS201で補正前目標信号TCの値が0以下である(NO)と判定すると、この場合は、伸び側ソフト(減衰係数が小さい)である(図4左側部分参照)ことを意味しており、伸び側ハードを弱める補正は不要であり、ステップS81Aのサブルーチンを終了する(ステップS202)。
【0088】
ステップS201でYES (即ち、伸び側ハード)と判定すると、第3のカウンタのカウンタ値CNTJ3R が制限値CNTMAX 以上であるか否かを判定する(ステップS203)。このステップS203で、第3のカウンタのカウンタ値CNTJ3R が制限値CNTMAX 以上である(YES )と判定すると、ステップS204に進んで、ジャークJが0以上であるか否かを判定する。このステップS204でジャークJが0未満である(NO)と判定すると、ジャークJが第3の閾値JTH3Rに比して大きいか否か判定する(ステップS205)。
【0089】
ステップS204またはS205でYES と判定すると、第2のカウンタ、第2の閾値JTH2Rを対象にして、前記ステップS203、S204、S205と同様にステップS206、S207、S208の処理を行う。ステップS207またはS208でYES と判定すると、第1の閾値JTH1Rを対象にして、前記ステップS203、S204、S205と同様にステップS209、S210、S211の処理を行う。
【0090】
ステップS209またはS211でNOと判定すると、制御目標信号Cを補正前目標信号TCの1/2(C=TC/2、図11参照)に設定して(ステップS212)ステップS81Aのサブルーチンを終了する(ステップS202)。ステップS206またはS208でNOと判定すると、制御目標信号Cを補正前目標信号TCの1/4(C=TC/4、図11参照)に設定して(ステップS213)、ステップS81Aのサブルーチンを終了する(ステップS202)。ステップS203またはS205でNOと判定すると、制御目標信号Cを補正前目標信号TCの1/8(C=TC/8、図11参照)に設定して(ステップS214)、ステップS81Aのサブルーチンを終了する(ステップS202)。
【0091】
この第3実施例のサスペンション制御装置では、例えば図24に示すように路面のうねりを上りきり(時点TN )、ばね上ジャークJが、負になり、その値が第1の閾値JTH1Rを越えたような場合、ジャークJは、第2、第3の閾値JTH2R,JTH3Rに比して大きいことにより、ステップS112、S115でNOと判定し、ステップS114、S117の処理(第3、第2のカウンタのクリア処理)を行わない(即ち、第3、第2のカウンタのカウンタ値CNTJ3R ,CNTJ2R は制限値CNTMAX に維持される。)。一方、ステップS118でYES 、S119でYES と判定してステップS120の処理を行い、第1のカウンタは、カウント処理の待機状態にされる。
【0092】
そして、上述したように第3のカウンタのカウンタ値CNTJ3R は制限値CNTMAX に維持されていることにより、ステップS203でYES と判定され、ステップS204に進む。ステップS204では、ジャークJは負であることによりNOと判定されステップS205に進む。この段階では、第1の閾値JTH1Rを越えた段階(なお、この場合、ジャークJ>第2の閾値JTH2Rとする。)であり、ステップS205でYESと判定してステップS206に進む。上述と同様にして(第2のカウンタのカウンタ値CNTJ2R は制限値CNTMAX に維持されている。)、ステップS206でYES と判定し、ステップS207でNOと判定し、ステップS208でYES と判定してステップS209に進む。
【0093】
ステップS209で、ジャークJは第1の閾値JTH1Rを越えた段階であって第1のカウンタのカウント値CNTJ1R は制限値CNTMAX に比して小さく、NOと判定され、ステップS212に進む。そして、制御目標信号Cを補正前目標信号TCの1/2(C=TC/2、図11参照)に設定し、伸び側減衰係数が小さくなる。制御目標信号Cの補正前目標信号TCの1/2の設定は、少なくともステップS209でYES と判定するまで、即ちばね上共振周期の1/4の時間が経過するまで継続されることになる。つまり、 ステップS101の繰り返し実行により第1のカウンタのカウント値CNTJ1R が大きくなり、制限値CNTMAX に達すると、ステップS102でYES と判定して第1のカウンタのカウント値CNTJ1R を制限値CNTMAX に設定する(ステップS103)。これにより、ステップS209ではYES と判定され、ステップS210またはステップS211でYES と判定されると上記設定は解除される。
【0094】
また、ジャークJがさらに小さくなりその値が第2の閾値JTH2Rを越えたような場合、ステップS203でYES 、ステップS204でNO、ステップS205でYES と判定して処理をステップS206に進める。このステップS206で、ジャークJは第2の閾値JTH2Rを越えた段階であって第2のカウンタのカウント値CNTJ2R は制限値CNTMAX に比して小さく、NOと判定され、ステップS213に進む。そして、制御目標信号Cを補正前目標信号TCの1/4(C=TC/4、図11参照)に設定し、伸び側減衰係数が小さくなる。制御目標信号Cの補正前目標信号TCの1/4の設定は、少なくともステップS206でYES と判定するまで、即ちばね上共振周期の1/4の時間が経過するまで継続されることになる。つまり、ステップS101の繰り返し実行により第2のカウンタのカウント値CNTJ2R が大きくなり、制限値CNTMAX に達すると、ステップS104でYES と判定して第2のカウンタのカウント値CNTJ2R を制限値CNTMAX に設定する(ステップS105)。これにより、ステップS206ではYES と判定され、ステップS207またはステップS208でYES と判定されると上記設定は解除される。
【0095】
また、ジャークJがさらに小さくなりその値が第3の閾値JTH3Rを越えたような場合、ステップS203で、ジャークJは第3の閾値JTH3Rを越えた段階であって第3のカウンタのカウント値CNTJ3R は制限値CNTMAX に比して小さく、NOと判定され、ステップS214に進む。そして、制御目標信号Cを補正前目標信号TCの1/8(C=TC/8、図11参照)に設定し、伸び側減衰係数が小さくなる。制御目標信号Cの補正前目標信号TCの1/8の設定は、少なくともステップS203でYES と判定するまで、即ちばね上共振周期の1/4の時間が経過するまで継続されることになる。
【0096】
上述したように、うねりを上りきった際に伸び側ハードを1/2、1/4、1/8に弱めるので、乗員が、上方に投げ出されるような感じを受けることを防止できる。なお、伸び側ハードの弱め程度を大きく設定すると、その設定によりジャークJの値等が影響されジャークJの値にあわせてリアルタイムに制御目標信号Cを補正すると、制御目標信号Cがあたかもチャタリングを起こしたかの如くなり、アクチュエータの切り換え頻度が増大し、この切り換えに伴う音の発生が起こり得るが、本実施例では、伸び側ハードを時系列的に順次、1/2、1/4、1/8と小さくし、その小さい値が所定時間継続されるので、上述したチャタリングの惹起を防止できる。前記チャタリングは、一般車両では、大略ばね上共振周期の1/4の時間で収れんするものである。このため、本実施例では、一般車両におけるチャタリングの発生防止の適正化を図ることが可能となる。なお、図24中、本実施例による特性を小文字のアルファベットg,m,n,pで示す。
【0097】
次に、図25ないし図27に基づいて本発明の第4実施例のサスペンション制御装置を説明する。このサスペンション制御装置は、例えばくぼみ等のうねりを下がりきった際に縮み側ハードが維持されて乗員が、シートに強く押しつけられるような感じを受けるようになること(以下、便宜上、縮み側ジャークという)を改善して乗員に不快感を起こさせないようにするものである。このサスペンション制御装置は、第3実施例の第1、第2、第3の閾値JTH1R,JTH2R,JTH3Rが負であったのに比して、正の第1、第2、第3の閾値JTH1C,JTH2C,JTH3C(0<JTH1C<JTH2C<JTH3C)(図26)を格納していること、コントローラの処理において、第3実施例に比して、ステップS81Aに代わるステップS81B(縮み側減衰係数の補正処理)を有すること、ステップS100に代わるステップS100B (縮み側カウンタ管理)を有すること、及び次に示すように不等号を反対にしたステップなどを有することが異なっている。
【0098】
即ち、この第4実施例のコントローラは、第3実施例のステップS108、S112、S113、S115、S116、S118、S119に代わるステップS108B (TC<0?)、ステップS112B (J≧JTH3C?)、ステップS113B (FJ<JTH3C?)、ステップS115B (J≧JTH2C?)、ステップS116B (FJ<JTH2C?)、ステップS118B (J≧JTH1C?)、ステップS119B (FJ<JTH1C?)(図26)を有し、かつ第3実施例のステップS201、S204、S205、S207、S208、S210、S211に代わるステップS201B (TC<0?)、S204B (J<0?)、S205B (J<JTH3C?)、S207B (J<0?)、S208B (J<JTH2C?)、S210B (J<0?)、S211B (J<JTH1C?)を有したものになっている。
【0099】
この第4実施例のサスペンション制御装置では、例えば図27に示すように路面うねりを下がりきり(時点TN )、ばね上ジャークJが、正になり、その値が第1の閾値JTH1Cを越えたような場合、ジャークJは、第2、第3の閾値JTH2C,JTH3Cに比して小さいことにより、ステップS112B 、S115B でNOと判定し、ステップS114B 、S117B の処理(第3、第2のカウンタのクリア処理)を行わない(即ち、第3、第2のカウンタのカウンタ値CNTJ3C ,CNTJ2C は制限値CNTMAX に維持される。)。一方、ステップS118B でYES 、S119B でYES と判定してステップS120の処理を行い、第1のカウンタは、カウント処理の待機状態にされる。
【0100】
そして、上述したように第3のカウンタのカウンタ値CNTJ3C は制限値CNTMAX に維持されていることにより、ステップS203でYES と判定され、ステップS204B に進む。ステップS204B では、ジャークJは正であることによりNOと判定されステップS205B に進む。この段階では、第1の閾値JTH1Cを越えた段階(なお、この場合、ジャークJ<第2の閾値JTH2Cとする。)であり、ステップS205B でYES と判定してステップS206に進む。上述と同様にして(第2のカウンタのカウンタ値CNTJ2C は制限値CNTMAX に維持されている。)、ステップS206でYES と判定し、ステップS207B でNOと判定し、ステップS208B でYES と判定してステップS209に進む。
【0101】
ステップS209で、ジャークJは第1の閾値JTH1Cを越えた段階であって第1のカウンタのカウント値CNTJ1C は制限値CNTMAX に比して小さく、NOと判定され、ステップS212に進む。そして、制御目標信号Cを補正前目標信号TCの1/2(C=TC/2、図11参照)に設定し、縮み側減衰係数が小さくなる。制御目標信号Cの補正前目標信号TCの1/2の設定は、少なくともステップS209でYES と判定するまで、即ちばね上共振周期の1/4の時間が経過するまで継続されることになる。
【0102】
また、ジャークJがさらに大きくなりその値が第2の閾値JTH2Cを越えたような場合、ステップS203でYES 、ステップS204B でNO、ステップS205B でYES と判定して処理をステップS206に進める。このステップS206で、ジャークJは第2の閾値JTH2Cを越えた段階であって第2のカウンタのカウント値CNTJ2C は制限値CNTMAX に比して小さく、NOと判定され、ステップS213に進む。そして、制御目標信号Cを補正前目標信号TCの1/4(C=TC/4、図11参照)に設定し、縮み側減衰係数が小さくなる。制御目標信号Cの補正前目標信号TCの1/4の設定は、少なくともステップS206でYES と判定するまで、即ちばね上共振周期の1/4の時間が経過するまで継続されることになる。
【0103】
以下、第3実施例と同様にして、制御目標信号Cの補正前目標信号TCの1/8(C=TC/8、図11参照)の設定が行われる。
【0104】
上述したように、うねりを下がりきった際に縮み側ハードを1/2、1/4、1/8に弱めるので、乗員が、シートに強く押しつけられるような感じを受けることを防止できる。なお、縮み側ハードの弱め程度を大きく設定すると、その設定によりジャークJの値等が影響されてジャークJの値にあわせてリアルタイムに制御目標信号Cを補正すると、制御目標信号Cがあたかもチャタリングを起こしたかの如くなり、アクチュエータの切り換え頻度が増大し、この切り換えに伴う音の発生が起こり得るが、本実施例では、縮み側ハードを時系列的に順次、1/2、1/4、1/8と小さくし、その小さい値が所定時間継続されるので、上述したチャタリングの惹起を防止できる。なお、図27中、本実施例による特性を小文字のアルファベットg,m,n,pで示す。
【0105】
次に、図28に基づき、図18、図22、図23、図25、図26を参照して本発明の第5実施例を説明する。この第5実施例のコントローラは、伸び側、縮み側ジャークを改善して乗員に不快感を起こさせないようにするものである。この第5実施例のコントローラは、第3実施例のステップS81A(図21、図22)に代えて、図28に示すようにステップS81A(図22)、ステップS300、ステップS81B(図25)を有したものになっている。なお、このステップS81Aでは、制御目標信号Cを仮決定するようにしている。続くステップS300では、ステップS81Aで決定した仮の制御目標信号Cを補正前目標信号TCとして定義し直す。そして、このステップS300の処理の後に、図25を用いて説明したステップS81Bを実行する。
【0106】
この第5実施例では、第3、第4実施例の機能を合わせ持つことになり、うねりを上りきった際には、伸び側ハードを順次弱めて乗員に、上方に投げ出されるような感じを受けさせず、またうねりを下がりきった際には、縮み側ハードを順次弱めて乗員に、シートに強く押しつけられるような感じを受けさせない。また、伸び側、縮み側ハードを時系列的に順次、1/2、1/4、1/8と小さくし、その値が所定時間継続されるので、上述したチャタリングの惹起を防止できる。なお、第3乃至第5実施例においては、所定時間として、ばね上共振周期の1/4の時間を設定したが、所定時間としてはこれに限らず、車両の特性を考慮してばね上共振周期の1/3又は1/5の時間等に設定することもできる。
【0107】
次に、図29に基づき、図11、図21を参照して本発明の第6実施例を説明する。このサスペンション制御装置は、伸び側ジャークを改善して乗員に不快感を起こさせないようにするものであり、そのコントローラは、第3実施例のステップS81A(図21参照)に代わるステップS81Cを有する(図29)ものになっている。この実施例では、伸び側減衰係数を1/2,1/4,1/8と小さい値に継続するのを、第3実施例の所定時間に代えて、ばね上の上下絶対速度の方向が変わるまで、即ち、補正前目標信号TCの値が0以上になるまで行うようにしたことを特徴としている。
【0108】
このコントローラでは、ステップS81Cのサブルーチンで、まず補正前目標信号TCの値が0以上であるか否かを判定する(ステップS401)。このステップS401でYES と判定すると、ジャークJが第3の閾値JTH3R以下であるか否かの判定(ステップS402)、ジャークJが第2の閾値JTH2R以下であるか否かの判定(ステップS403)、ジャークJが第1の閾値JTH1R(0>JTH1R>JTH2R>JTH3Rである。)以下であるか否かの判定(ステップS404)を順次、実行する。
【0109】
ステップS404でNOと判定すると、ステップS405に進んで、後述する1、1/2、1/4、1/8のいずれかを示す伸び側補正係数DIVR が、TC≧0になった時点からの最小の値を示す最小補正係数DIVMINR以下であるか否かを判定する。ステップS405でYES と判定すると、最小補正係数DIVMINRを更新する(ステップS406)。次に、ステップS407で補正前目標信号TCに最小補正係数DIVMINRをかけた値を制御目標信号Cとし、このサブルーチンを終了する(ステップS408)。
【0110】
前記ステップS401でNOと判定すると、伸び側補正係数DIVR 及び最小補正係数DIVMINRを1に設定して(ステップS409)、処理をステップS407に進める。
【0111】
ステップS404でYES と判定すると、伸び側補正係数DIVR を1/2に設定して(ステップS410)、処理をステップS405に進める。ステップS403でYES と判定すると、伸び側補正係数DIVR を1/4に設定して(ステップS411)、処理をステップS405に進める。ステップS402でYES と判定すると、伸び側補正係数DIVR を1/8に設定して(ステップS412)、処理をステップS405に進める。なお、ステップS410、S411、S412で設定された値は、図示しないメモリに格納され、前記ステップS405の判定処理時に読み出して用いられる。
【0112】
この第6実施例のサスペンション制御装置では、補正前目標信号TCの値が負、即ち伸び側ソフトの状態では、ステップS401でNOと判定し、伸び側補正係数DIVR 及び最小補正係数DIVMINRを1に設定して(ステップS409)、処理をステップS407に進め、補正前目標信号TCに1をかけた値、即ち補正前目標信号TCを制御目標信号とする(図11参照)。
【0113】
そして、車両が路面のうねりを上がって上りきり、ばね上ジャークJが、負になり、その値が第1の閾値JTH1R以下になったような場合、ジャークJは、第2、第3の閾値JTH2R,JTH3Rに比して大きいことにより、ステップS402、S403でNOと判定し、処理をステップS404に進める。このステップS404でYES と判定し、ステップS410で伸び側補正係数DIVR を1/2に設定する。この段階で、伸び側補正係数DIVR として1/2が最小であり、ステップS406で最小補正係数DIVMINRを1/2に更新する。次に、ステップS407で補正前目標信号TCに1/2をかけた値が制御目標信号Cとされる。このため、伸び側減衰係数が小さくなって、伸び側ジャークの改善が図られることになる。
【0114】
ジャークJがさらに小さくなりその値が第2の閾値JTH2Rを越えたような場合、ステップS402でNOと判定し、次のステップS403でYES と判定し伸び側補正係数DIVR を1/4に設定する(ステップS411)。この段階で、伸び側補正係数DIVR として1/4が最小であり、ステップS406で最小補正係数DIVMINRを1/4に更新する。次に、ステップS407で補正前目標信号TCに1/4をかけた値が制御目標信号Cとされる。このため、伸び側減衰係数がさらに小さくなって、伸び側ジャークがさらに改善されることになる。
【0115】
ジャークJがさらに小さくなりその値が第3の閾値JTH3Rを越えたような場合、ステップS402でYES と判定し伸び側補正係数DIVR を1/8に設定する(ステップS412)。この段階で、伸び側補正係数DIVR として1/8が最小であり、ステップS406で最小補正係数DIVMINRを1/8に更新する。次に、ステップS407で補正前目標信号TCに1/8をかけた値が制御目標信号Cとされる。このため、伸び側減衰係数がさらに小さくなって、伸び側ジャークがさらに改善されることになる。
【0116】
次に、図30に基づき、図29を参照して本発明の第7実施例を説明する。このサスペンション制御装置は、縮み側ジャークを改善して乗員に不快感を起こさせないようにするものである。このサスペンション制御装置は、第6実施例の第1、第2、第3の閾値JTH1R,JTH2R,JTH3Rに代えて、正の第1、第2、第3の閾値JTH1C,JTH2C,JTH3C(0<JTH1C<JTH2C<JTH3C)を格納していること、コントローラの処理において、第6実施例に比して、ステップS81Cに代わるステップS81D(縮み側減衰係数の補正処理)を有すること、及び次に示すように不等号を反対にしたステップなどを有することが異なっている。
【0117】
即ち、この第7実施例のコントローラは、第6実施例のステップS401〜S405に代わるステップS401D (TC<0?)、ステップS402D (J>JTH3C?)、ステップS403D (J>JTH2C?)、ステップS404D (J>JTH1C?)、ステップS405D (DIVR ≦DIVMINR?)を有したものになっている。
【0118】
この第7実施例のサスペンション制御装置では、うねりを下がりきった際に縮み側ハードを1/2、1/4、1/8に弱めるので、乗員が、シートに強く押しつけられるような感じを受けることを防止できる。なお、縮み側ハードの弱め程度を大きく設定すると、その設定によりジャークJの値等が影響されて、ばね上変位がチャタリングした状態になることが起こり得るが、本実施例では、縮み側ハードが順次、1/2、1/4、1/8と小さくされるので、上述したチャタリングの惹起を防止できる。なお、第6、第7実施例を、例えば上述した第5実施例のように組み合わせて構成し、伸び側、縮み側ジャークの改善を図ることも可能である。また、第3乃至第7実施例はいずれもジャークによる制御目標信号Cの補正(ステップS81A〜S81D)に関するものとして述べたが、図14のステップS71 のジャークによる制御信号θの補正として用いることも可能であり、この場合には各ステップにおけるCに代えてθを用いるようにすればよい。
【発明の効果】
【0119】
請求項1の発明は、以上説明したように構成されたサスペンション制御装置であるから、上下加速度の高周波成分を除去するローパスフィルタによって高周波成分を除去された上下加速度に基づいて求められた上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、制御信号調整手段は、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくするように前記制御信号を調整することにより、その直後の加速度絶対値を小さく抑えるので、ショックアブソーバにより発生する減衰力により上下加速度を増長することが防止され、これにより、乗員に、上方に投げ出されるような感じまたはシートに強く押しつけられるような感じを与えず不快感を抱かせない。
【0120】
請求項2の発明は、以上説明したように構成されたサスペンション制御装置であるから、上下加速度が小さい状態では、上下絶対速度に応じて減衰力を調整してばね上の振動を抑え、上下加速度が大きいまたは大きくなる状態においてはショックアブソーバの減衰力を小さくするようにアクチュエータに送る制御信号を調整し、ショックアブソーバにより発生する減衰力により上下加速度を増長することが防止されるので、乗員に、上方に投げ出されるような感じまたはシートに強く押しつけられるような感じを与えず不快感を抱かせない。
【0121】
請求項3の発明は、以上説明したように構成されたサスペンション制御装置であるから、上下加速度変化率が上下加速度変化率基値を越えた場合、アクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を所定時間継続するように制御信号が出力されるので、ショックアブソーバが発生する減衰力に伴う上下加速度の増長防止を確実に果たすことができる。
【0122】
請求項4の発明は、以上説明したように構成されたサスペンション制御装置であるから、上下加速度変化率が上下加速度変化率基準値を越えた場合、アクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を車両のばね上共振周期の1/4の時間継続するように制御信号が出力される。一般車両では、上下加速度変化率に基づく減衰力調整に伴うチャタリング現象が、大略車両のばね上共振周期の1/4の時間で収れんする。このため、上述したようにアクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を車両のばね上共振周期の1/4の時間継続するように制御信号が出力されることにより、チャタリングの発生防止の適正化を図ることが可能となる。
【0123】
請求項5の発明は、以上説明したように構成されたサスペンション制御装置であるから、上下加速度変化率が上下加速度変化率基準値を越えた場合、アクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を上下絶対速度検出手段で検出される絶対速度の向きが変わるまで継続するように制御信号が出力される。このため、ショックアブソーバが発生する減衰力に伴う上下加速度の増長防止を確実に果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例としてのサスペンション制御装置を模式的に示す図である。
【図2】 同サスペンション制御装置に用いる減衰係数可変型ショックアブソーバを示す断面図である。
【図3】 同減衰係数可変型ショックアブソーバに組み付けられる可動板を示す平面図である。
【図4】 同可動板の回転角度と、減衰係数との関係を示す図である。
【図5】 同サスペンション制御装置のコントローラを示すブロック図である。
【図6】 同コントローラの制御信号算出部に格納したデータを示す図である。
【図7】 同コントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図8】 同フローチャートの制御信号補正サブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】 同サスペンション制御装置の作用を示す波形図である。
【図10】 参考例のコントローラに代える他のコントローラの一例を示すブロック図である。
【図11】 同コントローラの信号補正部に格納したデータを示す図である。
【図12】 同コントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図13】 本発明の第1実施例のサスペンション制御装置のコントローラを示すブロック図である。
【図14】 同コントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図15】 同フローチャートの制御信号補正サブルーチンを示すフローチャートである。
【図16】 同サスペンション制御装置の作用を示す波形図である。
【図17】 図13の制御信号発信部に代えた他の制御信号発信部を有するコントローラを示すブロック図である。
【図18】 同コントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図19】 本発明の第2実施例のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図20】 第2実施例のサスペンション制御装置の作用を示す波形図である。
【図21】 本発明の第3実施例のサスペンション制御装置におけるコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図22】 図21の制御目標信号決定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図23】 図22のカウンタ管理処理サブルーチンを示すフローチャートである。
【図24】 同第3実施例のサスペンション制御装置の作用を示す波形図である。
【図25】 本発明の第4実施例のサスペンション制御装置におけるコントローラの制御目標信号決定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図26】 同コントローラのカウンタ管理処理サブルーチンを示すフローチャートである。
【図27】 同第4実施例のサスペンション制御装置の作用を示す波形図である。
【図28】 本発明の第5実施例のサスペンション制御装置におけるコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図29】 本発明の第6実施例の制御目標信号決定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図30】 本発明の第7実施例の制御目標信号決定サブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
4 減衰係数可変型ショックアブソーバ
5 加速度センサ
6 コントローラ
29 アクチュエータ
41 積分処理部
42 増幅部
43 制御信号発信部
44 制御信号調整部
45 補正前信号算出部
46 制御信号算出部

Claims (5)

  1. 車両のばね上及びばね下間に介装される減衰力を調整可能なショックアブソーバと、
    該ショックアブソーバの減衰力を調整するアクチュエータと、
    車両の走行状態に応じて前記ショックアブソーバの減衰力を調整すべく前記アクチュエータに制御信号を発信する減衰力制御手段と、
    ばね上の上下加速度を検出する上下加速度検出手段と、
    該上下加速度の高周波成分を除去するローパスフィルタと、
    該ローパスフィルタによって高周波成分を除去された上下加速度に基づいて上下加速度変化率を求める上下加速度変化率算出手段と、
    前記上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくするように前記制御信号を調整することにより、その直後の加速度絶対値を小さく抑える加速度変化率による制御信号調整手段とを備えたことを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 前記ばね上の上下絶対速度を検出する上下絶対速度検出手段を設け、前記減衰力制御手段を、前記上下絶対速度検出手段の検出結果に基づいて、絶対速度の向きが上方向のとき該上下絶対速度の大きくなるに応じて伸び側減衰力を大きくし、絶対速度の向きが下方向のとき該上下絶対速度の小さくなるに応じて縮み側減衰力を大きくするように制御信号を発信するようにしたことを特徴とする請求項1記載のサスペンション制御装置。
  3. 前記制御信号調整手段は、前記上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を所定時間継続するように制御信号を出力することを特徴とする請求項1記載のサスペンション制御装置。
  4. 前記所定時間は車両のばね上共振周期の1/4の時間であることを特徴とする請求項3記載のサスペンション制御装置。
  5. 前記ばね上の上下絶対速度を検出する上下絶対速度検出手段を設け、前記制御信号調整手段は、前記上下加速度変化率があらかじめ設定した上下加速度変化率基準値を越えた場合、前記アクチュエータにより制御される減衰力を小さくした状態を前記上下絶対速度検出手段で検出される絶対速度の向きが変わるまで継続するように制御信号を出力することを特徴とする請求項1記載のサスペンション制御装置。
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