JP4032600B2 - 防水コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防水コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に防水コネクタでは、嵌合される雄雌のハウジングにおける対向する周面間にシールリングを配し、これを両周面に密着させることで両ハウジング間の防水を図るとともに、ハウジングのキャビティ内に挿入される端子金具に接続した電線にゴム栓を装着し、このゴム栓をキャビティ内面に密着させることで、キャビティ内の防水を図るようにしている。このような防水コネクタの一例として特開平9−134756号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、両ハウジングを嵌合させるときに、シールリングが両ハウジングの周面に密着し始める段階に至ると、キャビティについては常にゴム栓により塞がれていることから、両ハウジング内の空間は密閉状態となる。この状態からさらに両ハウジングの嵌合を深めようとすると、密閉された空間内の空気が逃げ場を失って圧縮されることになるため、大きな抵抗力が作用する。すなわち、防水コネクタにおいて嵌合直前の段階では大きな嵌合力が必要となっており、その作業性が芳しくなかった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、防水コネクタの嵌合作業性を改善することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、互いに嵌合される一対のコネクタハウジングのうちの一方のコネクタハウジングには、両コネクタハウジングの対向した周面に密着して両コネクタハウジング間を防水可能なシール部材が設けられ、前記両コネクタハウジングが嵌合される途中に他方のコネクタハウジングが前記シール部材に当接し始めた段階から、前記両コネクタハウジング内の空間が密閉される防水コネクタにおいて、前記シール部材には、前記他方のコネクタハウジングの嵌合領域へ嵌合方向と直交する方向に突出する張出部が設けられ、前記張出部には、前記空間の内外に通じる空気孔が突出方向に貫通して設けられており、前記両コネクタハウジングが正規の嵌合状態に至るまでの間は、前記空間内の空気は前記空気孔から前記両コネクタハウジング外へと逃がされ、前記両コネクタハウジングが正規の嵌合状態に至ると、前記他方のコネクタハウジングによって前記張出部が嵌合方向に押し潰されて弾性的に変形させられ、この張出部の弾性変形に伴って前記空気孔の内壁面同士が密着されて、前記空気孔が閉塞される構成としたところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
嵌合途中に他方のコネクタハウジングがシール部材に当接され始めた状態から、両コネクタハウジングが正規嵌合に至るまでの間、常に空気孔によって両コネクタハウジング内の空間が外部に開放されているから、その空間内の空気を外部へ逃がすことができる。従って、両コネクタハウジングの嵌合作業を行う際に、空間内の空気が圧縮されて嵌合抵抗が高まることがなく、嵌合作業性が良好なものとなる。また、嵌合後は、空気孔が他方のコネクタハウジングにより塞がれることで、コネクタの防水性を保つことができる。また、張出部は、両コネクタハウジング間に挟まれることで、その肉厚を空気孔内に逃がして、空気孔を塞ぎつつ押し潰される。張出部が潰されるのに伴って、空気孔は、その内周面が密着した状態で塞がれるから、コネクタの防水性を高く保つことができる。
【0007】
<請求項2の発明>
張出部は、両コネクタハウジング間に挟まれることで、その肉厚を空気孔内に逃がして、空気孔を塞ぎつつ押し潰される。張出部が潰されるのに伴って、空気孔は、その内周面が密着した状態で塞がれるから、コネクタの防水性を高く保つことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図6によって説明する。この実施形態に示すコネクタは、図1に示すように、互いに嵌合される雌コネクタハウジング10(以下、雌ハウジング10という)と雄コネクタハウジング20(以下、雄ハウジング20という)のうち、雄ハウジング20側にシール部材30が装着されるようになっている。なお、両ハウジング10,20において嵌合面側を前方とする。
【0009】
先に雌ハウジング10について説明する。雌ハウジング10内には、後方から電線Wの端末に接続された雌端子金具12を挿入可能なキャビティ11が設けられている。雌端子金具12は、前部が箱形に形成されるとともに、後部には、端末にゴム栓13を装着した電線Wに対してゴム栓13ごと圧着接続されるバレル部12Aが設けられている。このゴム栓13は、キャビティ11の内面に密着した状態で取り付けられることで、キャビティ11内を防水できるようになっている。
【0010】
キャビティ11の図示下面側からは、雌端子金具12に係止されるランス14がキャビティ11内に突出して設けられている。ランス14の下方に確保された撓み空間は、前方に開放されることで、前方からフロントリテーナ15が装着されており、この撓み空間内にフロントリテーナ15が配されることで、ランス14の撓み変形が規制されるようになっている。
【0011】
雌ハウジング10の上面には、前後2箇所の支持部16A,16Aによって支持される両持ち状のロックアーム16が設けられている。このロックアーム16は、長さ方向の中央部分が下方へ凹むことで撓み変形可能とされている。ロックアーム16の上面における長さ方向の中央より前寄りの位置には、雄ハウジング20側のロック部28に係止可能なロック突部17が設けられている。このロック突部17の後側には、解除操作部18が上方に突出して設けられており、この解除操作部18を上方から押圧することでロックアーム16を強制的に撓ませることが可能とされている。解除操作部18の側方には、解除操作部18の誤操作防止用のリブ19が一対突出して設けられている。
【0012】
続いて雄ハウジング20について説明する。雄ハウジング20は、端子収容部21の前側に筒状のフード部22が前方に開口して設けられている。端子収容部21には、電線Wの端末に接続された雄端子金具24を後方から挿入可能なキャビティ23が雌側のキャビティ11に合わせた位置に設けられている。雄端子金具24は、前部にタブ24Aを備えるとともに、後部には、端末にゴム栓25を装着した電線Wに対してゴム栓25ごと圧着接続されるバレル部24Bが設けられている。このゴム栓25は、雌側と同様にキャビティ23の内面に密着した状態で取り付けられることで、キャビティ23内を防水できるようになっている。キャビティ23の図示下面側には、雌側と同様に雄端子金具24に係止されるランス26が設けられている。ランス26の下方に確保された撓み空間は、前方に開放されており、この撓み空間には、ランス26の撓み規制をするフロントリテーナ27が前方から装着されている。
【0013】
フード部22内には、雌ハウジング10が嵌合可能とされており、その上部には、ロック部28が設けられている。このロック部28の前端には、ロックアーム16のロック突部17に係止可能なロック爪28Aが設けられている。そして、このフード部22の奥端には、雌ハウジング10の外周面に密着可能なシール部材30が装着されている。
【0014】
シール部材30は、図2に示すように、全体が四角い枠形状に形成され、その内周面及び外周面には、図1に示すように、複数条のリップ31,32がそれぞれ膨出して設けられている。シール部材30は、その後端面がフード部22の奥端面に当接された状態で雄ハウジング20に対して取り付けられており、シール部材30の外周面がそのリップ32を潰しつつ、フード部22の内周面に密着されている。このシール部材30の内周面にフード部22内に嵌合される雌ハウジング10の外周面が密着されるようになっている。なお、外周側のリップ32よりも内周側のリップ31の方が隆起が大きくなるように形成されている。また、図1及び図2に示すように、シール部材30の前端面における両サイド位置には、一対のガイド部33が前方に突出して設けられている。このガイド部33の内周面には、シール部材30の内周側において最前列に位置するリップ31の内周面へと連なるラッパ状のテーパ面34が設けられており、このテーパ面34によりシール部材30内に雌ハウジング10が進入する際に正規の位置へと誘い込みがなされるようになっている。
【0015】
さて、シール部材30の内周側の後端には、張出部35が内方へ突出して設けられている。この張出部35は、図2及び図3に示すように、シール部材30の内周面のうち幅方向に広がる領域である図示上下面の全幅にわたって設けられ、それぞれ上下に一対設けられている。また、シール部材30の内周面のうち高さ方向に延びる領域である左右側面には、上下の張出部35に隣接して、最後列となるリップ31が設けられている。
【0016】
詳しくはこの張出部35は、図1に示すように、その後端面がシール部材30の後端面と面一に形成されるとともに、その前方に配されたリップ31よりもさらに内側に張り出して形成されている。この張出部35の張り出し先端は、フード部22内に嵌合される雌ハウジング10の嵌合領域内に突出した位置に達しており、両ハウジング10,20の嵌合に伴って、張出部35には雌ハウジング10の嵌合端面が突き当て可能とされている。これにより張出部35は、図6に示すように、両ハウジング10,20が嵌合された状態では、両ハウジング10,20間に挟まれるようになっている。このとき、張出部35は、両ハウジング10,20によって押し潰されて圧縮状態に弾性変形されるようになっている。
【0017】
そして、図1に示すように、張出部35の厚さ方向の中央位置には、空気孔36がシール部材30を上下方向に真っ直ぐに貫通して設けられている。この空気孔36は、図3に示すように、丸形状に形成されるとともに張出部35における幅方向の中央位置に設けられ、上下の張出部35にそれぞれ一つずつ設けられている。この空気孔36の内側の開口である入り口は、張出部35の張り出し先端に形成され、雄ハウジング20内の空間に臨んで配されている。この空気孔36は、図6に示すように、両ハウジング10,20が嵌合された状態では、張出部35が両ハウジング10,20間に挟まれて圧縮状態に変形されるのに伴って、閉塞されるようになっている。なお、張出部35に突き当てられてこれを変形させる雌ハウジング10の嵌合端面の周縁部が、空気孔36を閉塞可能な閉塞部10Aとされている。また、これらの張出部35及び空気孔36は、それぞれ上下に一対設けられることで、シール部材30は、上下対称形状となっているから、雄ハウジング20に取り付ける際に方向性を気にする必要がなく、取付作業をスムーズに行うことができる。
【0018】
雄ハウジング20には、図1に示すように、シール部材30の外面における空気孔36の開口である出口に連通する開口部29が上下に一対設けられている。この開口部29は、空気孔36の出口の開口面積よりも大きくなるように形成されている。これら開口部29と空気孔36とが連通していることで、雄ハウジング20内の空間と、雄ハウジング20の外部とが繋げられている。
【0019】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。図4に示すように、雄ハウジング20のフード部22内に雌ハウジング10を嵌合させる。雄ハウジング20のロック部28の前端がロックアーム16のロック突部17に突き当たった状態から嵌合を進めると、図5に示すように、ロックアーム16は前後の支持部16Aに支持されつつ撓み変形されて、ロック突部17がロック爪28Aの下方を潜った状態とされる。
【0020】
この過程で、雌ハウジング10の外周面には、シール部材30のガイド部33が当接されることで、雌ハウジング10はガイド部33のテーパ面34によって正規の位置に誘い込まれつつ、奥方へと進入される。そして、両ハウジング10,20の嵌合深さは、雌ハウジング10の外周面の前端がシール部材30の内周側のリップ31の前端に当接される位置に達する。
【0021】
雌ハウジング10の外周面にシール部材30の内周面に当接され始めると、両ハウジング10,20のキャビティ11,23がそれぞれゴム栓13,25によって塞がれていることから、シール部材30の空気孔36及び雄ハウジング20の開口部29以外には、両ハウジング10,20間の空間S内の空気の流通経路が絶たれることになる。この状態から、両ハウジング10,20の嵌合を進行させると、両ハウジング10,20間の空間S内の空気は、空気孔36の入り口から出口を通った後、開口部29を通って両ハウジング10,20外へと逃がされる。これにより、両ハウジング10,20間の空間S内の空気が圧縮されることがなく、両ハウジング10,20を嵌合させるのに必要な嵌合力が増大することが防がれる。
【0022】
そして、両ハウジング10,20が正規の嵌合状態に至ると、図6に示すように、ロックアーム16が弾性復帰し、ロック突部17にロック部28のロック爪28Aが係止されて、両ハウジング10,20は抜け止め状態に保持される。この正規嵌合に至る過程において、シール部材30の前側の2つのリップ31を通過した雌ハウジング10は、その嵌合端面の閉塞部10Aが張出部35に突き当てられる。この突き当て状態から、両ハウジング10,20が正規の嵌合状態に至るまで雌ハウジング10が所定長さ分奥方へ押し込まれることで、張出部35は閉塞部10Aによって押し潰されて弾性的に変形される。この張出部35の弾性変形に伴って、空気孔36内の空間には張出部35の肉厚が逃がされることで、空気孔36の内周壁面同士が密着されて、空気孔36が閉塞される。このとき、シール部材30をなすゴム材同士が密着することで空気孔36が塞がれているから、両ハウジング10,20が正規に嵌合されるとともに空気の流通経路を完全に遮断することができ、嵌合時のコネクタの防水性を高く保つことができる。また、雌ハウジング10の前端部における外周面の側面には、最後列のリップ31が密着される。
【0023】
以上説明したように本実施形態によれば、シール部材30に空気孔36を設けるとともに、雄ハウジング20に空気孔36に連通する開口部29を設けるようにすることで、両ハウジング10,20が正規に嵌合されるまでの間、両ハウジング10,20間の空間S内の空気を外部に逃がすことができるから、嵌合抵抗が高まることがなく、コネクタの嵌合作業性が良好なものとなる。また、両ハウジング10,20が正規嵌合されたときに、空気孔36が塞がれることでコネクタの防水性を保つことができる。しかも、正規嵌合状態では、シール部材30のうち空気孔36を内側に備えた張出部35が両ハウジング10,20間に押し潰された状態で挟まれることで、空気孔36はその内周面同士が密着して塞がれるから、コネクタの防水性をより高く保つことができる。
【0024】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図7ないし図11に基づいて説明する。この実施形態では、図7に示すように、互いに嵌合される雄雌のハウジング40,50のうち、雌ハウジング50側にシール部材60を装着するタイプのコネクタについて示す。
【0025】
先に雄ハウジング40について説明する。雄ハウジング40は、前方に開口する筒状のフード部41を備え、その奥端面からは、インサートにより雄端子金具42がフード部41内に突出して設けられている。また、フード部41の上面には、雌ハウジング50側のロックアーム16に係止可能なロック部43が設けられている。
【0026】
次に雌ハウジング50について説明する。雌ハウジング50には、雌端子金具54を収容するキャビティ53を備えた端子収容部51が設けられるとともに、この端子収容部51の外周面には、その長さ方向の中央より後ろ寄りの位置から外筒部52が外側に突出して設けられており、この外筒部52によって端子収容部51の前半部分が覆われている。これら端子収容部51と外筒部52の間に雄ハウジング40のフード部41が嵌合されるようになっている。
【0027】
雌端子金具54は、上記した第1実施形態に示したものとほぼ同じ構造であり、接続されたゴム栓55がキャビティ53の内面に密着してキャビティ53内の防水がなされている。キャビティ53の図示下面側には、雌端子金具54に係止されるランス56が設けられている。ランス56の下方に確保された撓み空間は、前方に開放されており、この撓み空間には、ランス56の撓み規制をするフロントリテーナ57が前方から装着されている。このフロントリテーナ57は、端子収容部51の前半部分に被さるようにして取り付けられている。
【0028】
端子収容部51の上面には、シーソー状のロックアーム58が上方に突出して設けられている。なお、外筒部52の上部は、このロックアーム58を跨ぐようにして形成されている。このロックアーム58は、支持部58Aを中心として上下方向に弾性的に揺動変位可能とされている。ロックアーム58の前端下部には、雄ハウジング40側のロック部43に係止可能なロック爪58Bが設けられている。ロックアーム58の下面側には、ロック爪58Bを型抜きするための型抜き孔59が後方へ開放して設けられている。この型抜き孔59により、支持部58Aの前後の空間が連通した状態で繋げられている。
【0029】
端子収容部51の外周面において、支持部58Aの直前の位置で、且つ外筒部52の奥端位置には、雄ハウジング40側のフード部41の内周面に密着可能なシール部材60が装着されている。このシール部材60は、図8に示すように、四角い枠形状に形成され、その内周面及び外周面には、図7に示すように、複数条のリップ61,62がそれぞれ膨出して設けられている。シール部材60は、その後端面が支持部58Aの前面及び外筒部52の奥端面に当接された状態で雌ハウジング50に対して取り付けられており、シール部材60の内周面がそのリップ61を潰しつつ、端子収容部51の外周面に密着されている。
【0030】
さて、シール部材60の外周側の後端には、張出部63が外方へ突出して設けられている。この張出部63は、図8に示すように、シール部材60の外周面のうち幅方向に広がる領域である図示上下面の全幅にわたって設けられ、それぞれ上下に一対設けられている。また、シール部材60の外周面のうち高さ方向に延びる領域である左右側面には、最後列となるリップ62が設けられている。
【0031】
詳しくはこの張出部63は、図7に示すように、その後端面がシール部材60の後端面と面一に形成されるとともに、その前方に配されたリップ61よりもさらに外側に張り出して形成されている。この張出部63の張り出し先端は、雌ハウジング50に対して嵌合される雄ハウジング40のフード部41の嵌合領域内に突出した位置に達しており、両ハウジング40,50の嵌合に伴ってフード部41の前端面が突き当て可能とされている。これにより張出部63は、図11に示すように、両ハウジング40,50が嵌合された状態では、両ハウジング40,50間に挟まれるとともに、両ハウジング40,50によって押し潰されて圧縮状態に弾性変形されるようになっている。
【0032】
そして、シール部材60には、張出部63内を通る空気孔64が設けられている。この空気孔64は、図8に示すように、丸形状に形成されるとともにシール部材60における幅方向の中央位置に配され、上下に一対設けられている。この空気孔64は、図7に示すように、シール部材60の前端面に入り口を有するとともに、張出部63の張り出し先端面に出口を有しており、側方から見て全体がL字型に形成されている。言い換えると、この空気孔64は、入り口と出口とが90度異なる面に設けられている。空気孔64は、詳しくは、入り口を備えるとともに両ハウジング40,50の嵌合方向に沿ってシール部材60内に配される長孔部65と、出口を備えるとともにコネクタの径方向に沿って張出部63内に配される短孔部66とから構成されている。長孔部65は、シール部材60の肉厚のほぼ中央に配置され、短孔部66は、張出部63の肉厚のほぼ中央に配置されている。この空気孔64の短孔部66は、図11に示すように、両ハウジング40,50が嵌合された状態では、張出部63が両ハウジング40,50間に挟まれて圧縮状態に変形されるのに伴って、閉塞されるようになっている。なお、張出部63に突き当てられてこれを変形させる雄ハウジング40のフード部41の前端部が、空気孔64を閉塞可能な閉塞部40Aとされている。また、これら張出部63と空気孔64とが上下に一対ずつ設けられることで、シール部材60は上下対称形状となっている。
【0033】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。両ハウジング40,50を嵌合させると、図9に示すように、雄ハウジング40のロック部43が雌ハウジング50のロックアーム58の前端に突き当てられた後、図10に示すように、ロックアーム58は弾性的に揺動変位されて、ロック爪58Bがロック部43に乗り上げた状態とされる。
【0034】
一方、雄ハウジング40のフード部41は、シール部材60の最前列のリップ62に当接される。このとき、雌ハウジング50のキャビティ53がゴム栓55によって塞がれていることから、シール部材60の空気孔64以外には、両ハウジング40,50間の空間S内の空気の流通経路が絶たれることになる。この当接状態から、両ハウジング40,50の嵌合を進行させると、両ハウジング40,50間の空間S内の空気は、空気孔64を通って両ハウジング40,50外へと逃がされる。
【0035】
詳しくは、図示上側の空気孔64の入り口を通った空気は、支持部58Aの直前に位置する出口を出た後、ロックアーム58の型抜き孔59を通って、雌ハウジング50の後方外部へと逃がされる。一方、下側の空気孔64の入り口を通った空気は、その出口を出た後、外筒部52の内周面とフード部41の外周面との間に形成された僅かなクリアランスを通って外部へと逃がされる。なお、フード部41の内周面によってシール部材60の外周側のリップ62が潰されるのに伴って、空気孔64の長孔部65はやや口径が狭められるものの、空気の流通が阻害されない程度の径寸法は確保されるように設定されている。これにより、両ハウジング40,50間の空間S内の空気が圧縮されることがなく、両ハウジング40,50を嵌合させるのに必要な嵌合力が増大することが防がれる。
【0036】
そして、両ハウジング40,50が正規の嵌合状態に至ると、図11に示すように、ロックアーム58が弾性復帰し、ロック部43にロック爪58Bが係止されて、両ハウジング40,50は抜け止め状態に保持される。この正規嵌合に至る過程において、雄ハウジング40のフード部41前端の閉塞部40Aが張出部63に突き当てられる。この突き当て状態から、両ハウジング40,50が正規の嵌合状態に至るまで雄ハウジング40が所定長さ分奥方へ押し込まれることで、張出部63は閉塞部40Aによって押し潰されて弾性的に変形される。この張出部63の弾性変形に伴って、空気孔64の短孔部66内の空間には張出部63の肉厚が逃がされることで、空気孔64の内周壁面同士が密着されて、空気孔64が閉塞される。このとき、シール部材60をなすゴム材同士が密着することで空気孔64が塞がれているから、両ハウジング40,50が正規に嵌合されるとともに空気の流通経路を完全に遮断することができ、嵌合時のコネクタの防水性を高く保つことができる。
【0037】
以上説明したようにこの第2実施形態によれば、上記した第1実施形態に示したものと比べて、ハウジングに空気を通過させるための開口部29が設けられていないから、防水性において優れる。言い換えると、この第2実施形態では、既存の雌ハウジング50の構造を利用して空気孔64からの空気を逃がしているから、コネクタの構造変更を行う必要がなく、低コストで対応することができる。
【0038】
<参考例>
上記した第1実施形態に示したシール部材30の形状に変更を加えたものを以下に示す。なお、各参考例に示すシール部材70,80,90は、第1実施形態に示す空気孔36を内側に備えた張出部35が設けられていない形態となっている。
【0039】
(参考例1)
図12に示すように、シール部材70の内周面及び外周面には、前後に3条のリップ71,72が設けられている。このうち最後列のリップ71,72における長さ方向の中央には、空気孔73が上下に貫通して設けられ、この空気孔73の内側の孔縁の直後には、突片74が内方へ突出して設けられている。この突片74の後端面は、シール部材70の後端面と面一に形成されている。両ハウジング10,20が正規嵌合されると、シール部材70の内周面は、リップ71が潰されつつ雌ハウジング10の外周面に密着される。このとき、空気孔73を備える最後列のリップ71に密着される雌ハウジング10の前部の外周面によって空気孔73が閉塞されており、この雌ハウジング10の前部の外周面が閉塞部10Bとされている。このとき、突片74は、雌ハウジング10の嵌合端面によって弾性的に圧縮変形されるようになっている。
【0040】
(参考例2)
図13に示すように、上記した変形例1の突片74を取り除いた構造となっている。シール部材80の最後列のリップ81,82における長さ方向の中央には、空気孔83が上下に貫通して設けられており、両ハウジング10,20が正規嵌合されると、この空気孔83は雌ハウジング10の外周面である閉塞部10Bによって塞がれるようになっている。
【0041】
(参考例3)
図14に示すように、シール部材90の内周面及び外周面には、長さ方向の中央部分にやや間隔をあけた前後両端に位置して、それぞれリップ91,92が設けられている。前後のリップ91,92間のほぼ真ん中の位置には、空気孔93がシール部材90を上下に貫通して設けられている。両ハウジング10,20が嵌合されると、雌ハウジング10の外周面に対して内側の前後のリップ91が潰されつつ密着される。このとき、空気孔93の内側の開口が臨む空間は、前後のリップ91が雌ハウジング10の外周面に密着されることで、密閉状態となるから、間接的に空気孔93を塞ぐことができる。なお、この場合は、雌ハウジング10の外周面において、前後のリップ91間の領域が空気孔93を閉塞可能な閉塞部10Bとされている。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記した実施形態では、張出部と空気孔とが上下に一対設けられたものについて示したが、コネクタの構造上制約がある場合など、事情によっては一つだけでもよく、また逆に三つ以上設けるようにしてもよい。
【0043】
(2)上記した参考例1〜3は、第2実施形態に示したように、シール部材を雌ハウジングに取り付ける場合にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係るコネクタを分解した状態を示す側断面図
【図2】 シール部材の正面図
【図3】 シール部材の横断面図
【図4】 両ハウジングを嵌合させる途中の状態を示す側断面図
【図5】 雌ハウジングがシール部材に接触された状態を示す側断面図
【図6】 両ハウジングが正規嵌合された状態を示す側断面図
【図7】 本発明の第2実施形態に係るコネクタを分解した状態を示す側断面図
【図8】 シール部材の正面図
【図9】 両ハウジングを嵌合させる途中の状態を示す側断面図
【図10】 雄ハウジングのフード部がシール部材に接触された状態を示す側断面図
【図11】 両ハウジングが正規嵌合された状態を示す側断面図
【図12】 参考例1のシール部材の側断面図
【図13】 参考例2のシール部材の側断面図
【図14】 参考例3のシール部材の側断面図
【符号の説明】
10…雌ハウジング(他方のコネクタハウジング)
20…雄ハウジング(一方のコネクタハウジング)
30…シール部材
35…張出部
36…空気孔
40…雄ハウジング(他方のコネクタハウジング)
50…雌ハウジング(一方のコネクタハウジング)
60…シール部材
63…張出部
64…空気孔
70,80,90…シール部材
73,83,93…空気孔
S…空間
Claims (1)
- 互いに嵌合される一対のコネクタハウジングのうちの一方のコネクタハウジングには、両コネクタハウジングの対向した周面に密着して両コネクタハウジング間を防水可能なシール部材が設けられ、前記両コネクタハウジングが嵌合される途中に他方のコネクタハウジングが前記シール部材に当接し始めた段階から、前記両コネクタハウジング内の空間が密閉される防水コネクタにおいて、
前記シール部材には、前記他方のコネクタハウジングの嵌合領域へ嵌合方向と直交する方向に突出する張出部が設けられ、前記張出部には、前記空間の内外に通じる空気孔が突出方向に貫通して設けられており、
前記両コネクタハウジングが正規の嵌合状態に至るまでの間は、前記空間内の空気は前記空気孔から前記両コネクタハウジング外へと逃がされ、
前記両コネクタハウジングが正規の嵌合状態に至ると、前記他方のコネクタハウジングによって前記張出部が嵌合方向に押し潰されて弾性的に変形させられ、この張出部の弾性変形に伴って前記空気孔の内壁面同士が密着されて、前記空気孔が閉塞されることを特徴とする防水コネクタ。
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