JP4033765B2 - 回収したフェノール化合物を用いたポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。さらに詳しくは、溶融状態のフェノール化合物を使用するポリカーボネート樹脂の製造方法において、溶融状態のフェノール化合物の貯蔵槽のベントから排出されるガスからフェノール化合物を液体に吸収させ溶液として回収し、回収したフェノール化合物溶液を用いてポリカーボネート樹脂を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、芳香族ジヒドロキシ化合物およびカーボネート前駆体を、(1)溶液状態で重合させる方法(溶液重合法)、(2)有機層と水層の界面において重合させる方法(界面重合法)、(3)原料を溶融状態で混合し、エステル交換により重合させる方法(溶融法)、(4)結晶性のポリカーボネートプレポリマーを150℃から260℃程度の温度で重合させる方法(固相重合法)等が知られている。
【0003】
前記ポリカーボネート樹脂の製造方法において、殊に溶液重合法または界面重合法では、原材料として二価フェノール化合物、ポリカーボネート前駆体および一価フェノール化合物(末端停止剤)を使用し、通常、有機溶媒およびアルカリ水溶液の存在下に、二価フェノール化合物とポリカーボネート前駆体とを反応させるとともに一価フェノール化合物を用いて分子量調節する方法が採用されている。
【0004】
この場合、二価フェノール化合物は、造粒された固体の二価フェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解させた二価フェノール化合物の水溶液が使用されている。また、一価フェノール化合物は、造粒された固体の一価フェノール化合物をアルカリ水溶液または有機溶媒に溶解させた溶液が使用されている。
【0005】
ところが、近年、ポリカーボネート樹脂を安価にかつ簡略な工程で製造する方法として、二価フェノール化合物の製造工程で得られる溶融状態の二価フェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解させた水溶液を用いる方法(特許文献1参照)、また、一価フェノール化合物の製造工程で得られる溶融状態の一価フェノール化合物を直接または溶液にして使用する方法(特許文献2および特許文献3参照)が提案されている。
【0006】
該溶融状態の二価フェノール化合物および一価フェノール化合物を使用するにおいては貯槽にそれぞれ溶融状態で貯蔵し、その貯槽から所望量を抜き取って使用する方法が一般的である。しかしながら、溶融状態の二価フェノール化合物および一価フェノール化合物は造粒された固体の二価フェノール化合物および一価フェノール化合物に比べ、極めて酸化着色され易いという欠点があり、酸化着色された二価フェノール化合物または一価フェノール化合物を用いて製造されたポリカーボネート樹脂は色相や耐熱性が悪化するという問題がある。
【0007】
そのため、溶融状態の二価フェノール化合物および一価フェノール化合物の酸化着色を防止するために、貯槽内に不活性ガスを連続的に通気し、貯槽の排気口から排出することで、貯槽内の酸素濃度を低下する方法が一般的に採用されている。しかしながら、かかる方法によると不活性ガスと同伴して二価フェノール化合物または一価フェノール化合物が貯槽の排気口から排出され、環境的にもコスト的にも不利となる問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−323057号公報
【特許文献2】
特開2001−316467号公報
【特許文献3】
特開2002−302543号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フェノール化合物の貯槽から排出されるガスに含まれるフェノール化合物(二価フェノール化合物および/または一価フェノール化合物)を回収し、回収したフェノール化合物をポリカーボネート樹脂の製造に使用するポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、溶融状態のフェノール化合物の貯槽内に不活性ガスを連続的に通気し、貯槽の排気口から排出される不活性ガスと同伴して排出されるフェノール化合物をアルカリ水溶液またはポリカーボネート樹脂の良溶媒である有機溶媒と接触させてアルカリ水溶液または有機溶媒に吸収させることにより、不活性ガスと同伴して排出されるフェノール化合物が溶液状態で回収され、さらに、かかる回収したフェノール化合物を溶液のままポリカーボネート樹脂の製造に使用でき、得られたポリカーボネート樹脂は品質的に通常のポリカーボネート樹脂と同等であることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明によれば、溶融状態のフェノール化合物を用いて、界面重合法または溶液重合法によりポリカーボネート樹脂を製造する方法において、該溶融状態のフェノール化合物が貯蔵された槽に不活性ガスを導入し、その槽から排出されるガスを液体と接触させて、不活性ガスと同伴するフェノール化合物を回収し、回収したフェノール化合物の溶液をポリカーボネート樹脂の製造に使用することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法が提供される。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明において、ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、界面重合法または溶液重合法が用いられる。
【0014】
前記界面重合法による反応は、通常二価フェノール化合物とホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が用いられ、その水溶液が反応に使用される。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が好ましく、特に塩化メチレンが好ましく用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0015】
前記溶液重合法による反応は、通常二価フェノール化合物とホスゲンとの反応であり、酸結合剤および所望により有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としてピリジン、キノリン、イソキノリン、ジメチルアニリン等の芳香族第三級アミンがあげられ、殊に、ピリジンが好適なものとして用いられる。この酸結合剤は単独でまたは有機溶媒で希釈して反応が行われる。該有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が好ましく、塩化メチレンが特に好ましい。反応温度は好ましくは0〜40℃で行われる。反応時間は10分間〜5時間程度行われる。
【0016】
また、上記重合において、三官能以上の多官能性芳香族化合物や芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を一部使用して共重合させてもよい。
【0017】
前記二価のフェノール化合物の代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0018】
これらの二価フェノール化合物のなかでも、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレンおよびα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンが好ましく使用される。
【0019】
前記一価フェノール化合物の例としては、フェノール、p−クレゾール、p−エチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2,4−ジ(1’−メチル−1’−フェニルエチル)フェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、p−(2’,4’,4’−トリメチルクロマニル)フェノール、2−(4’−メトキシフェニル)−2−(4’’−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類等が挙げられ、好ましくはフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールであり、特に好ましくはp−tert−ブチルフェノールである。
【0020】
前記一価フェノール化合物は、溶液重合法および界面重合法におけるポリカーボネート樹脂の分子量を調節するための末端停止剤として使用される。末端停止剤を使用して得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて耐熱性に優れている。
【0021】
これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少くとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0022】
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法において、原材料として用いる一価フェノール化合物および/または二価フェノール化合物は溶融状態のものを用いる。溶融状態のフェノール化合物を貯槽内で貯蔵する際の温度は融点以上の温度であれば特に差し支えないが、融点〜融点+100℃の範囲が好ましく、融点〜融点+50℃の範囲がより好ましく、特に融点〜融点+30℃の範囲が好ましい。貯蔵温度が融点より低い場合は貯槽内で固化し、送液が不能となる。また、融点+100℃を越えるとフェノール化合物の品質劣化が起こる可能性がある。
【0023】
前記溶融状態のフェノール化合物は、そのままあるいは溶媒に溶解した後に溶液としてポリカーボネート樹脂の製造工程に使用される。
【0024】
溶融状態のフェノール化合物は酸素により酸化されて品質が低下し易く、この品質が低下した原材料を使用して得られたポリカーボネート樹脂は、色相、耐熱性が悪化するので、フェノール化合物を酸化されない状態で貯蔵する必要がある。
【0025】
溶融状態のフェノール化合物の酸化防止方法として、本発明においては、フェノール化合物貯槽内に不活性ガスを導入し酸素濃度を下げる方法が採用される。この際、貯槽内の酸素濃度は1容量%以下が好ましく、0.5容量%以下がより好ましく、0.3容量%以下が特に好ましい。酸素濃度が1容量%を越えるとフェノール化合物が酸化着色や分解を起こし、製品品質に悪影響を及ぼすことがある。
【0026】
本発明に用いる不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、炭酸ガス等が挙げられ、特に窒素が好ましく用いられる。
【0027】
本発明においては、溶融されたフェノール化合物の貯槽内に不活性ガスを連続的に導入する。導入された不活性ガスは貯槽外に連続的に排出され、かかる排出される不活性ガス中には、同伴したフェノール化合物が含まれる。不活性ガスと同伴したフェノール化合物は、次いで回収される。フェノール化合物を含む不活性ガスをそのまま大気放出すると、大気汚染等の環境面への悪影響、原単位の低下によるコスト面の不利などの問題があり好ましくない。
【0028】
貯槽外に排出されたフェノール化合物を含む不活性ガスからフェノール化合物を回収する方法は、フェノール化合物を含むガスと液体とを接触させてフェノール化合物を回収する方法が採用される。回収設備としては、例えば充填塔、濡れ壁塔、噴霧塔(スプレー塔)、サイクロンスクラバー、気泡塔、気泡攪拌槽、棚段塔、泡沫分離塔等があり、特に充填塔、棚段塔が好ましく用いられる。
【0029】
フェノール化合物を含むガスと液体とを接触させる設備内の雰囲気は、酸素濃度1容量%以下が好ましく、0.5%容量以下がさらに好ましく、0.3%容量以下が特に好ましい。酸素濃度1容量%を越えると、フェノール化合物が酸化劣化して着色し易く、この回収されたフェノール化合物を用いて得られたポリカーボネート樹脂は、色相、耐熱性に劣ることがある。
【0030】
上記充填塔において、不規則充填物としてはラシヒリング、インタロックスサドル、ポールリング、インターロックスメタルタワーパッキング、テラレット等があり、規則充填物としてはメラパック、スルザーパッキング、インタロックスハイパフォーマンスストタクチャードパッキング等があり、フラッディングしない範囲で運転できれば、どれを使用してもよい。
【0031】
フェノール化合物を含むガスと接触させる液体は、ポリカーボネート樹脂を製造する際に用いる液体を使用する。ポリカーボネート樹脂の製造に用いる液体を使用すると、廃棄することなく、そのままポリカーボネート樹脂の製造に使用することができ好ましい。したがって使用される液体としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ジメチルアニリン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0032】
フェノール化合物を含むガスと接触させる液体としては、特にアルカリ水溶液またはポリカーボネート樹脂の良溶媒が好ましい。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液が挙げられる。ポリカーボネート樹脂の良溶媒としては、25℃で溶媒100mlに対し3g以上ポリカーボネート樹脂が溶解する溶媒であり、例えば塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられ、特に塩化メチレンが好ましく用いられる。
【0033】
溶解性やポリカーボネート樹脂の製造工程における使用の容易さ等の観点から、二価フェノール化合物を含む不活性ガスの場合はアルカリ水溶液と接触させる方法が好ましく、一価フェノール化合物を含む不活性ガスの場合はハロゲン化炭化水素と接触させる方法が好ましく用いられる。
【0034】
これらの液体を用いて、フェノール化合物を含む不活性ガスからフェノール化合物を吸収し、この吸収して回収されたフェノール化合物溶液はポリカーボネート樹脂の製造工程で使用される。
【0035】
フェノール化合物を吸収した液体は、原材料(二価フェノール化合物および/または一価フェノール化合物)の溶液と混合して使用するか、または単独で使用することができる。
【0036】
前記ポリカーボネート樹脂の製造方法で得られた重合後の反応溶液は、水洗等の公知の精製方法にて精製される。また、このポリカーボネート樹脂溶液から、ポリカーボネート樹脂を固体として回収する方法としては、貧溶媒と溶液とを混合する方法が好ましく採用される。特にポリカーボネート樹脂溶液と水と接触混合させて、ポリカーボネート樹脂を固体粉末として分離するのが工業的に有利である。
【0037】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜100,000が好ましく、11,000〜45,000がより好ましく、12,000〜30,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。かかる粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4M0.83
c=0.7
【0038】
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂には、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤(脂肪酸エステル等)、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、増白剤、紫外線吸収剤、耐候剤、抗菌剤、顔料、染料、充填剤、強化剤、他樹脂やゴム等の重合体、難燃剤等の改質改良剤を適宜添加して用いることができる。
【0039】
熱安定剤はリン系の熱安定剤が好ましく用いられ、例えば亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
【0040】
なかでも、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、及び4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)等が好ましく使用され、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及び4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)が好ましい。これらは単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.002〜0.05重量部である。
【0041】
前記熱安定剤をポリカーボネート樹脂に配合する方法としては、重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法、ポリカーボネート樹脂パウダーに添加する方法のいずれの方法で加えてもよい。特に、重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法が得られるポリカーボネート樹脂の色相および熱安定性がより向上し好ましく、精製終了後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法または温水で造粒する際に温水中に添加する方法が好ましい。熱安定剤は、溶媒に溶解してあるいはそのまま添加しても構わない。
【0042】
また、本発明の製造方法により得られるポリカーボネート樹脂は、色相および熱安定性に優れることから、例えば光磁気ディスク、各種追記型ディスク、デジタルオーディオディスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオディスク(いわゆるレーザディスク)、デジタル・バーサイル・ディスク(DVD)等の光学ディスク基板用の材料として、シリコンウエハー等の精密機材収納容器の材料として好適に使用でき、殊に光学ディスク基板用の材料として好適に採用される。
【0043】
【実施例】
以下、実施例にしたがって、本発明を具体的に説明するが本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、評価は次に示す方法で行った。また、部は重量部を意味する。
(1)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)
粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7g溶解した溶液を、オストワルド粘度計を用いて20℃で測定して求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4M0.83
c=0.7
【0044】
(2)色相(b値)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
(3)熱安定性(△E)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。
ΔE=[(L′−L)2+(a′−a)2+(b′−b)2]1/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
【0045】
(4)ビスフェノールA水溶液の濃度
日立UV計U−1100(測定波長294nm)を使用し、予め作成した検量線0.005g/L〜0.05g/Lの範囲に薄めて、濃度を算出した。
(5)p−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液の濃度
溶液をナスフラスコ(w1)に約200g入れ、重量を測定した(w2)。エバポレータにより塩化メチレン溶媒を除去し、乾固させ、重量を測定した(w3)。下式により、濃度を算出した。
【0046】
【数1】
【0047】
(6)排出ガス中のビスフェノールA濃度
排出ガスを定量ポンプで1時間あたり50L抜き取り、20時間、1Lの10%水酸化ナトリウム溶液にバブリング(合計ガス量1m3)させ、吸収させた。吸収の際、蒸発した水の分は補充して、1Lとした。この水酸化ナトリウム溶液を、日立UV計U−1100(測定波長294nm)を使用し、予め作成した検量線0.005g/L〜0.05g/Lの範囲に薄めて、濃度を算出した。上記検量線から低い値で外れたとき、外挿して0.001g/L以下を検出限界以下とした。
(7)排出ガス中のp−tert−ブチルフェノール濃度
排出ガスを定量ポンプで1時間あたり50L抜き取り、20時間、1Lの10%水酸化ナトリウム溶液にバブリング(合計ガス量1m3)させ、吸収させた。吸収の際、蒸発した水の分は補充して、1Lとした。この水酸化ナトリウム溶液を、日立UV計U−1100(測定波長294nm)を使用し、予め作成した検量線0.005g/L〜0.05g/Lの範囲に薄めて、濃度を算出した。上記検量線から低い値で外れたとき、外挿して0.002g/L以下を検出限界以下とした。
【0048】
[参考例1](ビスフェノールAの回収)
内温が180℃に維持され、上部に排気口を設置したSUS316L製で容量1000Lの貯槽に、溶融状態のビスフェノールAを700kg貯蔵している貯槽に、1時間あたり5000L(標準状態)の速度で窒素ガスを貯槽の上部の気相部に導入し、貯槽の排気口から排出されるガス(ビスフェノールAを含有する窒素ガス)を、ガス吸収用溶媒としてハイドロサルファイトを0.5kg添加した5重量%水酸化ナトリウム水溶液を300kg有し、かつガス吸収塔内の水溶液蒸発分を自動的に補給できるガス吸収塔の循環下に25日間連続的に送気し、処理した。ガス吸収塔の上部から排出されたガスは大気放出した。その結果、ガス吸収塔内の水酸化ナトリウム水溶液中のビスフェノールA濃度は4.1g/Lであり、ガス吸収塔から排出されたガス中のビスフェノールA濃度は検出限界以下であった。
【0049】
[参考例2](p−tert−ブチルフェノールの回収)
内温が120℃に維持され、上部に排気口を設置したSUS316L製で容量100m3の貯槽に、溶融状態のp−tert−ブチルフェノールを70トン貯蔵している貯槽に、1時間あたり500L(標準状態)の速度で窒素ガスを貯槽の上部の気相部に導入し、貯槽の排気口から排出されるガス(p−tert−ブチルフェノールを含有する窒素ガス)を、ガス吸収用溶媒として塩化メチレンを300kg有し、かつガス吸収塔内の塩化メチレン蒸発分を自動的に補給できるガス吸収塔の循環下に25日間連続的に送気し、処理した。ガス吸収塔の上部から排出されたガスは活性炭吸着槽に送気し、塩化メチレンを回収した。その結果、ガス吸収塔内の塩化メチレン中のp−tert−ブチルフェノール濃度は11.25重量%であり、ガス吸収塔から排出されたガス中のp−tert−ブチルフェノール濃度は検出限界以下であった。
【0050】
・ビスフェノールA水溶液の調合
(a)[ビスフェノールA水溶液(A−1溶液)の調合方法1]
温度計、撹拌機、還流冷却器、循環器付き反応器に、イオン交換水65000部、25%水酸化ナトリウム水溶液25200部を仕込み、これに粒状のビスフェノールA17000部、塩化メチレン1300部およびハイドロサルファイト34部を加え、循環しながら温度を30℃に保持し40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液(A−1溶液)を調合した。濃度を測定したところ、濃度170g/Lであった。
【0051】
(b)[ビスフェノールA水溶液(A−2溶液)の調合方法2]
温度計、撹拌機、還流冷却器、循環器付き反応器に、イオン交換水65000部、25%水酸化ナトリウム水溶液25200部を仕込み、これに塩化メチレン1300部およびハイドロサルファイト34部を加え攪拌し、その水溶液を循環させ、参考例1で180℃に保持された貯槽から25日間貯蔵された溶融状態のビスフェノールA17000部を循環配管内で混合、冷却し、混合後の温度を30℃に保持して40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液(A−2溶液)を調合した。濃度を測定したところ、濃度170g/Lであった。
【0052】
・p−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液の調合
(a)[p−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液(B−1溶液)の調合方法1]
塩化メチレン8900部を溶解槽にポンプで送液し、溶解槽の上部に取り付けてある粉体投入口より、固体のp−tert−ブチルフェノール1100部を投入し、30分攪拌して粉体を完全に溶解し、p−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液を調合した。一部をサンプリングして、濃度を測定したところ、11.01重量%の濃度であった。
【0053】
(b)[p−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液(B−2溶液)の調合方法2]
温度計、撹拌機、循環器付き溶解槽に30℃の塩化メチレン8900部を受け入れ、熱交換器を通して循環冷却し7℃にしたものと、参考例2で120℃に保持された貯槽から25日間貯蔵された溶融状態のp−tert−ブチルフェノール1100部をポンプで送液し、配管内で合流させ、スタティックミキサーで混合し、溶解槽に送液して、p−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液を調合した。一部をサンプリングして、濃度を測定したところ、11.01重量%の濃度であった。
【0054】
・ポリカーボネート樹脂の製造方法
(a)[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;23500)の製造方法1]
温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器に、ビスフェノールA水溶液367部を仕込み、塩化メチレン181部を加え、撹拌下15〜25℃でホスゲン28.3部を40分要して吹込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液7.2部およびp−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液1.55部を加え、乳化せしめた後、10分後にトリエチルアミン0.06部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物に塩化メチレン400部を加え混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離して、ポリカーボネート樹脂濃度14.5重量%有機溶媒溶液を得た。(この操作を、反応機2機を用いて繰り返し行った。)この有機溶媒溶液に水150部を加えて攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。この有機相にpH3の塩酸水200部を加え、攪拌混合しトリエチルアミン等を抽出した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。次いでさらに分離した有機相にイオン交換水200部を加え攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。この操作を水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで(4回)繰返した。得られた精製ポリカーボネート樹脂溶液をSUS304製の濾過精度1μmフィルターで濾過した。
【0055】
次に、該有機溶媒溶液を軸受け部に異物取出口を有する隔離室を設けた内壁の材質がSUS316L製の1000Lニーダーにイオン交換水100Lを投入し、水温42℃にて塩化メチレンを蒸発させて粉粒体とし、該粉粒体と水の混合物を水温95℃にコントロールされた攪拌機付熱水処理槽を有した熱水処理工程の熱水処理槽に投入し、粉粒体25部、水75部の混合比で30分間攪拌機混合した。この粉粒体と水の混合物を遠心分離機で分離して塩化メチレン0.5重量%、水45重量%の含有粉粒体を得た。次に、この粉粒体を140℃にコントロールされているSUS316L製伝導受熱式溝型2軸攪拌連続乾燥機に50kg/h(ポリカーボネート樹脂換算)で連続供給して、平均乾燥時間3時間の条件で乾燥して粉粒体を得た。
【0056】
この粉粒体にトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.010重量%、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)を0.010重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.080重量%加え混合した。次に、かかる粉粒体をベント式二軸押出機[東芝機械(株)製TEM−50B]によりシリンダー温度280℃、乾式真空ポンプを用いてベント吸引圧700Paで吸引脱気しながら溶融混練押出し、ペレットを得た。
【0057】
(b)[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;15200)の製造方法2]
前記ポリカーボネート樹脂の製造方法において、p−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液を2.42部とする以外は、同様の手順でポリカーボネート樹脂のペレットを得た。
【0058】
[実施例1](A−1溶液、B−2溶液、p−tert−ブチルフェノールの回収物使用)
参考例2で回収したp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液300重量部をガス吸収塔内から抜き取り、別に前記B−2溶液(11.01重量%のp−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液)30000重量部と混合した。11.01重量%の濃度に変化はなかった。この混合後の溶液と前記A−1溶液(170g/LのビスフェノールA水溶液)を用いて前記[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;15200)の製造方法2]の方法によりポリカーボネート樹脂を製造し、ペレットを得た。得られたペレットの評価結果を表1に示した。
【0059】
[実施例2](A−2溶液、B−1溶液、ビスフェノールAの回収物使用)参考例1で回収したビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液300重量部をガス吸収塔内から抜き取り、別に前記A−2溶液(170g/LのビスフェノールA水溶液)30000重量部と混合した。170g/Lの濃度に変化はなかった。この混合後の溶液と前記B−1溶液(11.01重量%のp−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液)を用いて前記[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;15200)の製造方法2]の方法によりポリカーボネート樹脂を製造し、ペレットを得た。得られたペレットの評価結果を表1に示した。
【0060】
[実施例3](A−2溶液、B−2溶液、p−tert−ブチルフェノールおよびビスフェノールAの回収物使用)
参考例1で回収したビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液300重量部をガス吸収塔内から抜き取り、別に前記A−2溶液(170g/LのビスフェノールA水溶液)30000重量部と混合した。170g/Lの濃度に変化はなかった。さらに、参考例2で回収したp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液300重量部をガス吸収塔内から抜き取り、別に前記B−2溶液(11.01重量%のp−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液)30000重量部と混合した。11.01重量%の濃度に変化はなかった。これらの溶液を用いて前記[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;15200)の製造方法2]の方法によりポリカーボネート樹脂を製造し、ペレットを得た。得られたペレットの評価結果を表1に示した。
【0061】
[実施例4](A−2溶液、B−2溶液、p−tert−ブチルフェノールおよびビスフェノールAの回収物使用)
参考例1で回収したビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液300重量部をガス吸収塔内から抜き取り、別に前記A−2溶液(170g/LのビスフェノールA水溶液)30000重量部と混合した。170g/Lの濃度に変化はなかった。さらに、参考例2で回収したp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液300重量部をガス吸収塔内から抜き取り、別に前記B−2溶液(11.01重量%のp−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液)30000重量部と混合した。11.01重量%の濃度に変化はなかった。これらの溶液を用いて前記[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;23500)の製造方法1]の方法によりポリカーボネート樹脂を製造し、ペレットを得た。得られたペレットの評価結果を表1に示した。
【0062】
[比較例1](溶融状態のビスフェノールAの貯槽に窒素ガスの導入なし)参考例1において、窒素ガスを貯槽の上部の気相部に導入することを実施しないで溶融状態のビスフェノールAを25日間保存した。この溶融状態のビスフェノールAを用いて[ビスフェノールA水溶液(A−2溶液)の調合方法2]の方法と同様にして、170g/LのビスフェノールA水溶液30000重量部を調合した。この溶液と、前記B−1溶液(11.01重量%のp−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液)を用いて前記[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;15200)の製造方法2]の方法によりポリカーボネート樹脂を製造し、ペレットを得た。得られたペレットの評価結果を表1に示した。
【0063】
[参考例3](A−1溶液、B−2溶液使用)
前記A−1溶液(170g/LのビスフェノールA水溶液)と前記B−2溶液(11.01重量%のp−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液)を用いて前記[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;15200)の製造方法2]の方法によりポリカーボネート樹脂を製造し、ペレットを得た。得られたペレットの評価結果を表1に示した。
【0064】
[参考例4](A−2溶液、B−1溶液使用)
前記A−2溶液(170g/LのビスフェノールA水溶液)と前記B−1溶液(11.01重量%のp−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液)を用いて前記[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;15200)の製造方法2]の方法によりポリカーボネート樹脂を製造し、ペレットを得た。得られたペレットの評価結果を表1に示した。
【0065】
[参考例5](A−2溶液、B−2溶液使用)
前記A−2溶液(170g/LのビスフェノールA水溶液)と前記B−2溶液(11.01重量%のp−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液)を用いて前記[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;15200)の製造方法2]の方法によりポリカーボネート樹脂を製造し、ペレットを得た。得られたペレットの評価結果を表1に示した。
【0066】
[参考例6] (A−2溶液、B−2溶液使用)
前記A−2溶液(170g/LのビスフェノールA水溶液)と前記B−2溶液(11.01重量%のp−tert−ブチルフェノール/塩化メチレン溶液)を用いて前記[ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量;23500)の製造方法1]の方法によりポリカーボネート樹脂を製造し、ペレットを得た。得られたペレットの評価結果を表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
溶融状態の原材料を用いるポリカーボネート樹脂の製造方法において、溶融状態の原材料(フェノール化合物)の貯槽から排出されるガスに含まれるフェノール化合物を回収し使用することにより、製品収率が改善され、大気へのフェノール化合物の放出がなく、さらにフェノール化合物を吸収した溶媒をそのままポリカーボネート樹脂の製造に用いることができ、溶媒の廃棄が発生しないので、環境に負荷がかからないという利点がある。これらのことから、産業上の有用性は格別である。
Claims (5)
- 溶融状態のフェノール化合物を用いて、界面重合法または溶液重合法によりポリカーボネート樹脂を製造する方法において、該溶融状態のフェノール化合物が貯蔵された槽に不活性ガスを導入し、その槽から排出されるガスを液体と接触させて、不活性ガスと同伴するフェノール化合物を回収し、回収したフェノール化合物の溶液をポリカーボネート樹脂の製造に使用することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- フェノール化合物が二価のフェノール化合物である請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- フェノール化合物が一価のフェノール化合物である請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 排出ガスと接触させる液体がアルカリ水溶液またはポリカーボネート樹脂の良溶媒である請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 請求項1において、排出されるガスと液体とを接触させる設備内の雰囲気は、その酸素濃度が1%以下である請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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