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JP4034982B2 - 炭酸カルシウムの製造方法、及び排煙脱硫方法又は硫酸中和方法 - Google Patents
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炭酸カルシウムの製造方法、及び排煙脱硫方法又は硫酸中和方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石膏を原料とする炭酸カルシウムの製造方法、及びその炭酸カルシウムを利用する排煙脱硫方法又は酸中和方法に関し、さらに詳しくは、原料に石膏、特に排煙脱硫石膏等の各種副産石膏を使用し、炭酸カルシウムを製造すると同時に、アルカリ金属の硫酸塩をも併せて得ることができる炭酸カルシウムの製造方法、及びその炭酸カルシウムを利用する排煙脱硫方法又は硫酸中和方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の製造方法における生産物は炭酸カルシウムであるが、それには、国内で自給自足が可能な唯一の資源といえる石灰石があり、古くから製鉄副原料、セメント原料、骨材等として大量に使用されている。この石灰石を物理的に粉砕した製品には、普通炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムがあり、他方、化学的な手法によって製造した炭酸カルシウム製品もあり、それには、カルシウム塩の炭酸化沈澱反応により製造した微粒子である合成炭酸カルシウムがある。
【0003】
前記普通炭酸カルシウムは、石灰石を粉砕して製造された平均粒子径が10μm以上の比較的大きいもので、アスファルト舗装用フィラー、排煙脱硫や工業排水の中和剤、ガラス原料、肥料、飼料等として使用されている。また、特に白色度の高い石灰石を物理的に粉砕して製造される重質炭酸カルシウムは、一般に平均粒子径は10μm以下で、その高白色度という特徴を生かして、製紙、プラスチック、ゴム、塗料等の填料や顔料として広く使用されている。
【0004】
化学的な沈殿反応により製造される合成炭酸カルシウムは、前記重質炭酸カルシウムに対して軽質炭酸カルシウム、あるいは沈降性(製)炭酸カルシウムとも呼ばれている。その具体的製造方法としては、水酸化カルシウムスラリー中に炭酸ガスを吹き込むことにより炭酸カルシウムを沈殿させる炭酸ガス化合法や、塩化カルシウムと炭酸ナトリウムとの反応による塩化カルシウムソーダ法、炭酸水素カルシウムと水酸化カルシウムとの反応による水処理法等が工業的に採用されている。
【0005】
特に本邦における合成炭酸カルシウムは、豊富に産出する良質の石灰石を1000℃以上の高温で焼成して得られる生石灰を原料とする炭酸ガス化合法を用いるのが一般的であり、かつ経済的にも最も有利である。この合成炭酸カルシウムの特長としては、化学的な沈殿反応により製造されるため炭酸化温度や炭酸化反応の速度、水酸化カルシウムスラリー中のカルシウム濃度等の製造条件を調節することによって、生成する炭酸カルシウムの粒子形状や粒子径を制御することが可能である点があげられる。
【0006】
その粒子形状としては、紡錘状、立方体状、柱状等のものが良く知られており、粒度分布幅は比較的狭く粒子径も揃っている。例えば、紡錘状炭酸カルシウムは、長径1.5〜6μm、短径0.3〜2μm(電子顕微鏡観察による平均粒子径、以下に示される粒子径も同様)の紡錘形をなしており、高白色度でかつ経済性に優れることから、主として製紙用填料として大量に使用されている。
【0007】
また、立方体状炭酸カルシウムは、平均粒子径が0.02〜0.3μmの立方体状の形状をなしており、粒子径の比較的大きい0.08μm以上ものは製紙塗工用顔料や塗料の体質顔料として、粒子径がより小さくコロイド状炭酸カルシウムと呼ばれるものは表面処理され、プラスチックやゴムの填料として使用される。さらに、柱状炭酸カルシウムは、短径0.1〜0.5μm、長径0.5〜2.0μmで分散性に優れることから、製紙用塗工顔料等として使用されている。
【0008】
前述したとおり、合成炭酸カルシウムには、多くの粒子形状があり、製造条件を調節することによって生成する炭酸カルシウムの粒子形状や粒子径を制御することができることから、所望の形状の炭酸カルシウムを合成し、それぞれの粒子形状及び粒子径等の違いに由来する特有の機能や特性を生かして、重質炭酸カルシウム同様、製紙やプラスチック、ゴム、塗料等の高分子材料等の様々な分野で大量に使用されている。
【0009】
本発明では、炭酸カルシウムと同時に副次的にアルカリ金属の硫酸塩も合わせて製造することが可能であるから、そのうち最も一般的な硫酸塩である硫酸ナトリウム又は硫酸カリウムの従来の製造方法等について述べる。
硫酸ナトリウムは、ボウ硝と呼ばれ天然にはアメリカに産する。またアメリカやカナダでは、岩塩地帯に産する石灰ボウ硝と呼ばれる複塩(Na2SO4・CaSO4)を塩化ナトリウムで処理する方法も行なわれている。
【0010】
工業的には、古くはルブラン法と呼ばれる塩化ナトリウムと硫酸を強熱して無水和物をつくる方法が盛んであったが、現在ではほとんど行われておらず、ビスコース人絹の製造で副産する人絹ボウ硝が大量に製造されている。その他の副産ボウ硝としては、重クロム酸ソーダ、過塩素酸アンモニウム、ホウ酸、ギ酸、グルタミン酸ソーダ等の製造により副産したものがある。また廃硫酸の処理や排煙脱硫時に水酸化ナトリウムを反応させたものも知られている。
【0011】
硫酸カリウムは、天然にはドイツ等に硫酸カリウムの複硫酸塩として大量に賦存している。工業的に硫酸カリウムを得るには、この複硫酸塩を原料とし、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等を加えた水溶液から複分解させて晶出させてつくる。また、塩化カリウムと硫酸アンモニウムとの複分解、塩化カリウムに硫酸を加え塩素を発生させる際の副生物、トルエンからテレフタル酸ジメチルの製造あるいはアセチレンから塩化ビニル製造の副産物としても製造される。
【0012】
先に述べたボウ硝という呼称で良く知られる硫酸ナトリウムは、合成洗剤の洗浄力を高めるための添加剤であるビルダーをはじめパルプ製造、硫化ソーダ、ガラス製造、合成洗剤、染色や染料中間物、金属精錬、下剤としての医薬品の製造等、種々の化学工業原料として使用されている。また、硫酸カリウムは、カリ肥料として重要であり、またガラス製造、カリミョウバン、炭酸カリウム、金属の焼入れ処理剤、緩下剤として医薬品の製造等にも使用されている。
【0013】
そして、本発明では、原料として硫酸カルシウムを使用するが、それは石膏と通称され、それには大きく分けて天然石膏と化学石膏の2種類がある。その石膏は、結晶水の量により、二水石膏(CaSO4・2H2O)、半水石膏(CaSO4・1/2H2O)、無水石膏(CaSO4)に大別されるが、これらのうち半水石膏は水分を吸収して容易に二水石膏に変化するため、天然に産出する石膏としては二水石膏と無水石膏に限られ、その多くは二水石膏である。
【0014】
上記した化学石膏には、その生成プロセスにより、リン酸石膏、チタン石膏、フッ酸石膏、排煙脱硫石膏(排脱石膏)、鉱水・精錬石膏等の名称で呼ばれている。リン酸石膏、チタン石膏、フッ酸石膏とは、リン酸、酸化チタン、フッ酸製造時に生成し、排脱石膏は火力発電所、石油化学工業等から排出される排煙中の硫黄分を捕捉することにより発生する。また鉱水・精錬石膏は、酸の中和石膏であり、これらはいずれも副産物として産出することから副産石膏とも呼ばれている。
【0015】
これらの天然あるいは化学石膏は、セメントや石膏ボード、石膏プラスター、肥料等の原料として大量に使用されているが、近年では天然石膏の輸入量の増加、あるいはセメントや石膏ボードの需要減により、排脱石膏等の副産石膏は余剰傾向にある。このようなことから地盤改良材、土壌改良材、道路路盤材、有害物質固化材等の新規用途が検討され、数多くの技術が提案されているが、これらの提案は、いずれも石膏をそのまま有効利用するものである。
【0016】
そのような中において、石膏をそのまま利用するのではなく化学的に変化させて、別の物質として利用する提案も最近なされており、それには特開2001−947号公報に記載の肥料等として利用する方法がある。それは、堆肥製造時に発生するアンモニアと二酸化炭素を、廃棄処理される石膏ボードに反応させることにより、硫安と炭酸カルシウムを得る技術である。このように単に石膏をそのまま利用するのではなく、化学的に変化させて利用しようとする提案まで最近出現するようになっているが、今なお化学石膏は、余剰傾向にあり、さらなる石膏の有効活用が嘱望されているのが実情である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下にあって、本発明者らは、長年前述した炭酸カルシウムの合成研究に携わっており、前記した廃棄石膏あるいは副産石膏にも、水酸化カルシウムと同様に炭酸カルシウム製造の主原料であるカルシウム源であるカルシウムが存在し、かつ炭酸カルシウム製造原料であるカルシウム源としては前述したとおり廃棄物あるいは副産物が充分に活用できていない現状に着目し、石膏の有効利用に関し鋭意検討を重ねた。
【0018】
その結果、この廃棄あるいは副産等の各種石膏をカルシウム源として活用して炭酸カルシウムの製造を可能とすると共に副次的にアルカリ金属の硫酸塩を製造できる技術を開発することに成功した。すなわち、本発明は、廃棄石膏あるいは副産石膏等の各種石膏の新規な有効利用法を提供することを課題とするものであり、合わせてこの製造された炭酸カルシウムを活用する方法を提供することを課題とするものである。より具体的には、様々な分野で大量に使用されている炭酸カルシウムと幅広い用途を有するアルカリ金属の硫酸塩を、排脱石膏等の各種石膏を原料として製造する方法を提供する、並びに製造された炭酸カルシウムを排煙脱硫又は硫酸中和に活用する方法を提供することを課題とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための炭酸カルシウムの製造方法を提供するものであり、その製造方法は、アルカリ金属から選ばれる1種以上の水酸化物と、石膏と、水とが混合されたスラリー中に二酸化炭素を導入することを特徴とするものであり、この方法により、炭酸カルシウムと同時に副次的に硫酸ナトリウム等のアルカリ金属の硫酸塩も製造することができる。また、本発明の排煙脱硫方法又は硫酸中和方法では、その製造された炭酸カルシウムを該排煙脱硫又は硫酸中和に使用して石膏を副産させ、その石膏を前記製造方法の石膏として使用するものである。
【0020】
本発明では、アルカリ金属から選ばれる1種以上の水酸化物と、石膏と、水とが混合されたスラリー中に二酸化炭素を導入することによりカルシウムとの炭酸化反応が進行することを見出して完成したものである。したがって、この炭酸化反応には、アルカリ金属の水酸化物、石膏及び二酸化炭素の存在が必要であり、反応開始時にはスラリーのpHは約12.0以上であるのがよく、反応終了時にはスラリーはほぼ中性になっているのが好ましく、pHは約7程度になっているのがよい。
【0021】
また、この反応では、二酸化炭素導入時の反応条件、すなわちスラリー濃度、スラリー温度及び二酸化炭素導入速度の少なくともいずれか1つを変化させることにより、各種粒子形状の炭酸カルシウムを得ることができ、その粒子形状としては、紡錘状、柱状、立方体状、菱面体状、球状等がある。この反応により生成する炭酸カルシウムの粒子径は、原料に使用する石膏の粒子径に影響されることがあり、所望する炭酸カルシウムの粒子径にあわせて、石膏の粒子径を予め調整することが望ましい。
【0022】
そして、本発明では、原材料である石膏は、排脱石膏やチタン石膏等の副産石膏あるいは廃棄石膏ボード等の廃棄石膏等が利用でき、環境保護や経済性の点で好ましい。また、アルカリ金属の水酸化物しては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを選択すれば入手が容易であり、経済性にも優れ、後の硫酸塩としても利用価値が高い。さらに、炭酸化に使用する二酸化炭素としては、排ガス等として排出される二酸化炭素含有ガスを利用することができ、この点でも環境保護や経済性において好ましい。また、製造された炭酸カルシウムを排煙脱硫又は硫酸中和に使用して石膏を副産させ、この副産石膏を前記製造方法の石膏として活用できる点でも好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の炭酸カルシウムの製造方法に関する実施の形態及び詳細について説明するが、本発明は、それらによって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特定されるものであることはいうまでもない。本発明の炭酸カルシウムの製造方法は、前記したとおりアルカリ金属から選ばれる1種以上の水酸化物と、石膏と、水とが混合されたスラリー中に二酸化炭素を導入することを特徴とするものである。
【0024】
本発明の原材料である石膏は、硫酸カルシウムの無水塩、半水塩(1/2水塩)、二水塩のいずれも使用できる。例えば、無水塩としては天然の硬石膏やフッ酸石膏があげられる。また半水石膏は焼石膏とも呼ばれ二水石膏を低温で加熱することにより容易に得られるものである。さらに、二水石膏については、天然石膏、副産石膏あるいは石膏製品廃棄物等の各種石膏が利用できる。
【0025】
この天然石膏は、カナダ、アメリカ合衆国、フランス等の諸外国の大規模鉱床から得られる。また、副産石膏には、排脱石膏、チタン石膏、リン酸石膏、チタン石膏、フッ酸石膏、鉱水・精錬石膏等の各種のものがある。さらに、これらの二水石膏以外にも石膏ボード等として利用された後廃棄物となった二水石膏を使用することもできる。
【0026】
本願発明で使用できる石膏の形態及び粒径ついては、特に限定はないが、炭酸化時の条件によっては原料の石膏粒子の多くが、その結晶の形態を残したまま微細な炭酸カルシウムの結晶の集合体となる。従って生成する炭酸カルシウムの粒子径は、原料に使用する石膏の粒子径に影響されることがある。このような場合のレーザー回折・散乱法により測定される粒度分布は原料の石膏と同等か、生成した炭酸カルシウムの粒子径の方がやや小さくなる。
【0027】
スラリーの製造については、アルカリ金属水酸化物の水溶液中に石膏を添加し混合するか、石膏を懸濁するスラリーをまず製造し、これにアルカリ金属水酸化物を添加し混合すればよい。懸濁させる石膏の量は、1〜40重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。少なすぎると製造効率が悪く、多すぎると撹拌が困難になり均一な反応が妨げられる。
【0028】
アルカリ金属の水酸化物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の水酸化物があげられるが、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが入手が容易で、経済性にも優れる点で好適に使用でき、2種以上の水酸化物が含まれていても炭酸カルシウムを得るには何ら支障はない。また使用するアルカリ金属の水酸化物の量としては、石膏の全量を消費し炭酸カルシウムのみからなる粒子を得るには、石膏のモル量の2倍以上が必要であり、少ないと原料の石膏が残ることがある。
【0029】
このようにして調製されたスラリーに二酸化炭素を導入し炭酸化反応を行う。その際の二酸化炭素としては、市販のボンベから得られる純ガスを使用できることは勿論であるが、他の成分を含有する二酸化炭素含有ガスであってもよく、例えば純ガスを空気などで希釈したものでもい。また、特に地球環境や経済性を考慮すると、燃料燃焼時等に大気中に排出される二酸化炭素含有ガスを利用することが、最も好ましい炭酸化方法と考えられる。
【0030】
この炭酸化反応については、反応を円滑に進行させるには、反応開始時のpHは12.0以上であるのがよく、アルカリ金属の水酸化物が過剰にならないようにするためには13.5を超えない方がよい。さらに、この反応では、反応が進行するに従いpHが低下し、炭酸化反応が終了する間際になるとpHは7に近づくので、反応はpH7付近で終了するのがよい。また、反応温度は特に限定されることはないものの簡易な条件である5〜80℃の範囲がよい。この反応温度は反応速度に影響を与えることはほとんどないが、生成する炭酸カルシウムの種類や粒子形状は、反応温度により変化が見られる。
【0031】
この生成された炭酸カルシウムを走査型電子顕微鏡で観察すると、例えばスラリー量が2リットル、スラリー濃度が50g/リットル、二酸化炭素導入速度が1リットル/分の際には、炭酸化開始温度が10〜30℃であれば、立方体〜菱面体の粒子が集合した2〜5μmの球状〜楕円形の形状を呈した炭酸カルシウム粒子が生成し、40℃では長径1.5〜2.0μm、短径0.3〜0.5μmの紡錘状炭酸カルシウムが生成する。
【0032】
そして、更に反応温度を高くし炭酸化反応を行なうと、60℃では長径1〜5μmで短径0.5〜1μmの紡錘形状の粒子と長さが1〜2μmで径が0.3〜0.5μmの柱状の形状をなすアラゴナイトとが生成し、70℃では、柱状のアラゴナイトが生成する。
また、二酸化炭素導入速度が0.35リットル/分の実施例5では紡錘状炭酸カルシウムが生成し、同速度が5リットル/分の実施例10では立方体状炭酸カルシウムが生成しているように、二酸化炭素導入速度を調節することによっても形状を制御することができる。
【0033】
すでに述べたように原料の石膏の形態を残したまま炭酸カルシウムの結晶の集合体に置き換わる炭酸化条件があること、また上記した走査型電子顕微鏡観察で多くの粒子がこのような凝集体を形成することから、本発明では、製造した炭酸カルシウムはレーザー回折・散乱法による小粒子径側からの積算粒子径において10%粒子径が1μm以上で、90%粒子径が原料に使用した石膏の90%粒子径以下とすることができる。
【0034】
さらに、本発明では、上述したようにレーザー回折・散乱法による、小粒子径側からの積算粒子径において炭酸カルシウムの10%粒子径が1μm以上で、90%粒子径(なお、実施例等における10%粒子径及び90%粒子径は、前記粒子径と同一のものであるが、実施例及び比較例においては「小粒子径側からの積算粒子径において」との記載を省略したものとなっている)が原料に使用した石膏の90%粒子径以下とすることができることから、石膏の粒子径をボールミル、篩い分け、湿式サイクロン等により予め調整し、所望の粒子径の炭酸カルシウムを得ることができる。
【0035】
本発明で製造される炭酸カルシウムは、従来の重質炭酸カルシウムあるいは合成炭酸カルシウムと同様、製紙、樹脂、ゴムもしくは塗料等の顔料又は填料として使用できるばかりでなく、普通炭酸カルシウムが使用されているSOxや塩素等の酸性物質の捕捉剤や中和剤、ガラス原料、ソーダ工業、道路舗装用フィラーやコンクリートの細骨材等の土木資材、肥料や飼料の農業や畜産業の分野においても使用できる。
【0036】
また、副次的に生成するアルカリ金属の硫酸塩は、使用する水酸化物より硫酸ナトリウム等の各種のものとなるが、それは広く工業用原料や資材として使用できる。例えば、硫酸ナトリウムは、合成洗剤の洗浄力を高めるための添加剤であるビルダーをはじめ、パルプ製造、硫化ソーダ、ガラス製造、合成洗剤、染色や染料中間物、金属精錬、下剤としての医薬品の製造、最近では入浴剤の原料として利用される等、種々の化学工業原料として使用できる。また硫酸カリウムは、カリ肥料として重要であり、ガラス製造、カリミョウバン、炭酸カリウム、金属の焼入れ処理剤、緩下剤として医薬品の製造等に使用できる。
【0037】
本発明によれば、前記したとおりアルカリ金属から選ばれる1種以上の水酸化物と、石膏と、水とが混合されたスラリーの炭酸化を行なうことにより、炭酸カルシウムを製造すると共にアルカリ金属の硫酸塩も副次的に製造でき、これらは様々な化学工業原料や資材として使用できる。また、製造された炭酸カルシウムを排煙脱硫又は硫酸中和に使用して石膏を副産させ、この副産石膏を前記製造方法の石膏として活用できる点でも好ましい。そのため、本発明は天然石膏や化学石膏の新規な利用方法として、産業上の利用価値が極めて高いという特徴を有している。
【0038】
【実施例】
本発明の実施例及び比較例を挙げて、さらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。なお、以下の実施例及び比較例における二酸化炭素としては、純ガスすなわちボンベから供給した炭酸ガスを使用した。
【0039】
[粒度分布の測定・粒子形状の観察]
実施例における石膏及び炭酸カルシウムの粒子径については、レーザー回折・散乱法(日機装製、マイクロトラックX−100)にて測定した。粒子形状やその大きさは走査型電子顕微鏡によって観察した。
【0040】
[実施例1]
レーザー回折・散乱法で測定した90%粒子径が234.7μm(平均粒子径:76.4μm、粒子径の範囲:7.13〜645.6μm)の排脱石膏100gを60℃に加温した1mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム溶液2リットルの中に投入し、60℃を維持しながら10分間撹拌した。その時のpHは12.6であった。その後もスラリー温度を60℃に保ち、撹拌しながら炭酸ガスを1.0リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。スラリーのpHが7.8になった時点で、炭酸ガスを止めて反応を終了させた。
【0041】
得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物をイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径1〜5μmで短径が0.5〜1μmの紡錘形状の粒子と長さが1〜2μmで径が0.3〜0.5μmの柱状粒子が、径10〜20μmの凝集体を形成していることが確認された。
【0042】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が10.16μm、90%粒子径が166.4μm(平均粒子径:60.03μm、粒子径の範囲:3.57〜456.5μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、カルサイトとアラゴナイトしか確認されなかったことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが22.8g/リットル、硫酸イオンが26.6g/リットルであった。
【0043】
[実施例2]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏100gを60℃に加温した1mol/リットルの濃度の水酸化カリウム溶液2リットルの中に投入し、60℃を維持しながら1時間撹拌した。その時のpHは12.6であった。その後もスラリー温度を60℃に保ち、撹拌しながら炭酸ガス(濃度25%の空気との混合ガス)を5.0リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。
【0044】
スラリーのpHが8.0になった時点で炭酸ガスを止めて反応を終了させた。得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物をイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径2〜10μmで短径が0.5〜1.5μmの紡錘形状の粒子が、径10〜20μmの凝集体を形成していることが確認された。
【0045】
また、前記乾燥後の固形物をレーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が8.20μm、90%粒子径が137.9μm(平均粒子径:31.64μm、粒子径の範囲:3.00〜383.9μm)であった。さらに、粉末X線回折を行ったところ、カルサイトのみが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、カリウムが49.4g/リットル、硫酸イオンが26.1g/リットルであった。
【0046】
[実施例3]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏100gを20℃に温度調節した1mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム溶液2リットルの中に投入し、20℃を維持しながら1時間撹拌した。その時のpHは13.5であった。その後、撹拌しながら炭酸ガスを1.0リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。
【0047】
スラリーのpHが7.5になった時点で炭酸ガスを止めて反応を終了させた。得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物をイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、立方体〜菱面体の粒子が集合した2〜5μmの球状〜楕円形の粒子が生成していることが確認された。
【0048】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が5.03μm、90%粒子径が110.3μm(平均粒子径:20.43μm、粒子径の範囲:1.78〜383.9μm)であった。
さらに、粉末X線回折を行ったところ、カルサイトが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが21.3g/リットル、硫酸イオンが25.2g/リットルであった。
【0049】
[実施例4]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏を、350℃に加温した電気炉で8時間焼成して得られた、レーザー回折・散乱法で測定した90%粒子径が174.9μm(平均粒子径:77.8μm、粒子径の範囲:7.78〜456.5μm)の無水石膏80gを60℃に温度調節した1mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム溶液2リットルの中に投入し、1時間撹拌した。その時のpHは12.5であった。
【0050】
スラリー温度を60℃に温度調節し、撹拌しながら炭酸ガスを1.0リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。スラリーのpHが8.0になった時点で、炭酸ガスを止めて反応を終了させた。得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物についてはイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径2〜4μmで短径が0.5〜1μmの紡錘形状の粒子と長さが1〜2μmで径が0.2〜0.4μmの柱状粒子が、径5〜10μmの凝集体を形成していることが確認された。
【0051】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が9.21μm、90%粒子径が190.7μm(平均粒子径:83.79μm、粒子径の範囲:3.00〜383.9μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、カルサイトとアラゴナイトが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが22.8g/リットル、硫酸イオンが29.8g/リットルであった。
【0052】
[実施例5]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏325gを60℃に加温した2mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム溶液2リットルの中に投入し60分間撹拌した。その時のpHは12.7であった。その後スラリー温度を28℃に調整し、撹拌しながら炭酸ガスを0.35リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。スラリーのpHが6.9になった時点で、炭酸ガスを止めて反応を終了させた。
【0053】
得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物についてはイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径1〜2μmで短径が0.2〜0.5μmの紡錘形状の粒子が、径10〜50μmの凝集体を形成していることが確認された。
【0054】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が9.78μm、90%粒子径が76.83μm(平均粒子径:24.57μm、粒子径の範囲:5.04〜271.4μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、カルサイトが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが16.0g/リットル、硫酸イオンが30.6g/リットルであった。
【0055】
[実施例6]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏325gを60℃に加温した2mol/リットルの濃度の水酸化カリウム溶液2リットルの中に投入し60分間撹拌した。その時のpHは13.6であった。そのままスラリー温度を60℃に保ち、撹拌しながら炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。スラリーのpHが7.3になった時点で、炭酸ガスを止めて反応を終了させた。
【0056】
得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物についてはイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径0.5〜1μmで短径が0.1〜0.2μmの紡錘形状の粒子が、径5〜20μmの凝集体を形成していることが確認された。
【0057】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が3.28μm、90%粒子径が19.59μm(平均粒子径:7.01μm、粒子径の範囲:1.50〜67.86μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、カルサイトのみが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、カリウムが43.3g/リットル、硫酸イオンが22.8g/リットルであった。
【0058】
[実施例7]
レーザー回折・散乱法で測定した90%粒子径が140.3μm(平均粒子径:52.23μm、粒子径の範囲:4.24〜383.9μm)の試薬二水石膏(関東化学試薬1級)100gを60℃に加温した1mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム溶液2リットルの中に投入し、60分間撹拌した。その時のpHは13.0であった。そのままスラリー温度を60℃に保ち、撹拌しながら炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。スラリーのpHが8.2になった時点で、炭酸ガスを止めて反応を終了させた。
【0059】
得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物についてはイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径1.5〜2μmで短径が0.3〜0.5μmの紡錘形状の粒子と長さが3〜5μmで径が0.2〜0.3μmの柱状粒子が、径5〜10μmのいがぐり状凝集体を形成していることが確認された。
【0060】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が5.67μm、90%粒子径が31.72μm(平均粒子径:11.19μm、粒子径の範囲:1.06〜191.9μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、アラゴナイトとカルサイトが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが24.5g/リットル、硫酸イオンが29.4g/リットルであった。
【0061】
[実施例8]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏100gを40℃に加温した1mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム溶液に投入し、60分間撹拌してスラリー2.0リットルを調製した。その時のpHは13.6であった。そのままスラリー温度を40℃に保ち、撹拌しながら炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。
【0062】
スラリーのpHが8.4になった時点で炭酸ガスを止めて反応を終了させた。
得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物についてはイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径1.5〜2μmで短径が0.3〜0.5μmの紡錘形状の粒子が、径3〜5μmの球状凝集体を形成していることが確認された。
【0063】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が6.71μm、90%粒子径が112.3μm(平均粒子径:21.09μm、粒子径の範囲:2.12〜383.9μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、カルサイトが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが23.7g/リットル、硫酸イオンが28.4g/リットルであった。
【0064】
[実施例9]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏100gを60℃に加温した2リットルの水に懸濁させ、引き続き1mol/リットルの濃度になるように試薬水酸化ナトリウムを投入し、60分間撹拌してスラリーを調製した。その時のpHは12.7であった。スラリー温度を60℃に保ち、撹拌しながら炭酸ガスを1.0リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。
【0065】
スラリーのpHが7.0になった時点で、炭酸ガスを止めて反応を終了させた。
得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物についてはイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径2〜5μmで短径が0.5〜1μmの紡錘形状の粒子が、径10μm前後の凝集体を形成していることが確認された。
【0066】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が7.42μm、90%粒子径が170.7μm(平均粒子径:61.33μm、粒子径の範囲:3.00〜439.3μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、カルサイトが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが22.9g/リットル、硫酸イオンが27.9g/リットルであった。
【0067】
[実施例10]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏325gを60℃に加温した2mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム溶液に投入し、60分間撹拌してスラリー2.0リットルを調製した。その後スラリー温度を28℃に調整し、撹拌しながら炭酸ガスを5リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。
【0068】
スラリーのpHが6.8になった時点で、炭酸ガスを止めて反応を終了させた。得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物についてはイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、0.2μm前後の立方体状の粒子が、径2〜3μmの凝集体を形成していることが確認された。
【0069】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が6.1μm、90%粒子径が61.5μm(平均粒子径:13.7μm、粒子径の範囲:2.1〜271μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、カルサイトが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお、固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが81.6g/リットル、硫酸イオンが43.6g/リットルであった。
【0070】
[実施例11]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏325gを60℃に加温した2mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム溶液に投入し、60分間撹拌してスラリー2.0リットルを調製した。その時のpHは12.5であった。その後スラリー温度を13℃に調整し、撹拌しながら炭酸ガスを1リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。
【0071】
スラリーのpHが7.3になった時点で炭酸ガスを止めて反応を終了させた。得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物についてはイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径0.2〜0.5μmで短径が0.1μm前後の紡錘形状の粒子と、0.04〜0.06μmの立方体状の粒子が、径3〜5μmの凝集体を形成していることが確認された。
【0072】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が10.4μm、90%粒子径が130μm(平均粒子径:22.5μm、粒子径の範囲:4.2〜457μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、カルサイトが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが41.2g/リットル、硫酸イオンが79.5g/リットルであった。
【0073】
[実施例12]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏325gを60℃に加温した2mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム溶液に投入し、60分間撹拌してスラリー2.0リットルを調製した。その時のpHは12.3であった。そのままスラリー温度を60℃に保ち、撹拌しながら炭酸ガスを0.1リットル/分の速度で導入し、炭酸化反応を行った。
【0074】
スラリーのpHが7.3になった時点で炭酸ガスを止めて反応を終了させた。得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物についてはイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径0.2〜0.3μmで短径が50〜60nmの紡錘形状の粒子が、径5〜10μm前後の凝集体を形成していることが確認された。
【0075】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が3.4μm、90%粒子径が11.5μm(平均粒子径:6.1μm、粒子径の範囲:1.1〜33.9μm)であった。さらに、粉末X線回折を行ったところカルサイトが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお、固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが47.8g/リットル、硫酸イオンが94.8g/リットルであった。
【0076】
[実施例13]
レーザー回折・散乱法で測定した90%粒子径が96.2μm(平均粒子径:55.0μm、粒子径の範囲:8.5〜228μm)の燐酸石膏100gを60℃に加温した1mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム溶液に投入し、60分間撹拌してスラリー2.0リットルを調整した。その時のpHは12.6であった。その後スラリー温度を70℃に上昇させて、該温度に維持し撹拌しながら炭酸ガスを1.0リットル/分の速度で導入して炭酸化反応を行った。
【0077】
スラリーのpHが8.1になった時点で炭酸ガスを止めて反応を終了させた。得られた生成物をろ過して固形物と溶液を分離した。固形物をイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径1〜1.5μmで短径が0.2〜0.3μmの柱状の粒子が、径5〜15μmの凝集体を形成していることが確認された。
【0078】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が7.1μm、90%粒子径が37.5μm(平均粒子径:11.7μm、粒子径の範囲:3.0〜136μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、アラゴナイトのみが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は消滅し、炭酸カルシウムが生成したと判断できる。なお固形物から分離した溶液を分析したところ、ナトリウムが22.8g/リットル、硫酸イオンが26.9g/リットルであった。
【0079】
[比較例1]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏100gを60℃に加温した水道水に投入し、60分間撹拌して石膏スラリー2.0リットルを調製した。その時のpHは7.4であった。そのままスラリー温度を60℃に保ち、撹拌しながら炭酸ガスを1.0リットル/分の速度で導入した。70分後スラリーのpHが4.6で一定になった時点で、炭酸ガスの導入を終了させた。
【0080】
導入終了後スラリーをろ過して固形物と溶液に分離した。固形物についてはイオン交換水とメタノールで洗浄して50℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、石膏そのままの形状が残っていることが確認された。さらに粉末X線回折を行ったところ、石膏のみが確認されたことから、原料に使用した排脱石膏は残存し、炭酸カルシウムは生成出来なかったと判断できる。
【0081】
[比較例2]
実施例1で使用したものと同じ排脱石膏100gを、20℃に調整した1mol/リットルの濃度の水酸化カルシウムスラリー2リットルの中に投入し、20℃を維持しながら1時間撹拌した。その時のpHは12.7であった。その後もスラリー温度を20℃に保ち、撹拌しながら炭酸ガスを1.0リットル/分の速度で導入した。スラリーのpHが6.2になった時点で、炭酸ガスの導入を終了させた。
【0082】
導入終了後スラリーをろ過して固形物と溶液に分離した。固形物をイオン交換水とメタノールで洗浄して105℃で乾燥した後、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長径0.5〜1μmで短径が0.05〜0.1μmの連鎖状の形状の粒子が、石膏独特の短柱状の形態の粒子の表面に固着、あるいは単独で径1〜10μmの凝集体を形成していることが確認された。
【0083】
また、レーザー回折・散乱法で粒度分布を測定したところ、10%粒子径が3.98μm、90%粒子径が203.4μm(平均粒子径:70.66μm、粒子径の範囲:0.89〜622.8μm)であった。さらに粉末X線回折を行ったところ、二水石膏とカルサイトが確認された。これらのことから、水酸化カルシウムは炭酸化されて炭酸カルシウムが生成したものの、原料に使用した排脱石膏はそのまま残っていると判断できる。
【0084】
なお、以上の実施例及び比較例に関し、炭酸化反応に使用した石膏の種類及び量、使用したアルカリ水酸化物の種類及び濃度、炭酸化反応条件、並びに生成した炭酸カルシウムの粒子形状及び粒子径等を1つの表に示した。この表から本発明により所望の形状及び粒子径の炭酸カルシウムが製造できることが簡潔に理解できる。
【0085】
【表1】
Figure 0004034982
【0086】
【発明の効果】
本発明の炭酸カルシウムの製造方法では、アルカリ金属から選ばれる1種以上の水酸化物と、石膏と、水とが混合されたスラリー中に二酸化炭素を導入するものであり、その導入時のスラリー温度及び/又は二酸化炭素導入速度を制御することにより、紡錘状、柱状、立方体状、菱面体状あるいは球状等の所望の形状及び粒子径の炭酸カルシウムが製造できると共に、副次的にアルカリ金属の硫酸塩も製造でき、それらは様々な化学工業原料や資材として使用できる。
【0087】
また、本発明は、主原材料の一つである石膏に関し天然石膏のみでなく排脱石膏やチタン石膏等の副産石膏も利用でき、それらに加えて廃棄石膏ボード等の廃棄石膏の有効利用にも対応できるので、環境保護や経済性の点で好ましい。しかも、石膏は現状においても安価で余剰傾向にあり、さらなる有効活用が嘱望されておりこの点においても好ましい。さらに、炭酸化に使用する二酸化炭素としては、排ガス等として排出される二酸化炭素含有ガスを利用することができ、この点でも環境保護や経済性の点でも好ましい。

Claims (6)

  1. アルカリ金属から選ばれる1種以上の水酸化物と、石膏と、水とが混合されたスラリー中に二酸化炭素を導入し、反応開始時のpHを12.0以上、13.5以下とし、かつ反応温度を5〜80℃とすることを特徴とする炭酸カルシウムの製造方法。
  2. 二酸化炭素導入時における、スラリー濃度、スラリー温度及び二酸化炭素導入速度の少なくともいずれか1を調節して、所望の粒子形状の炭酸カルシウムを得ることを特徴とする請求項1に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  3. 炭酸カルシウムの粒子形状が紡錘状、柱状、立方体状、菱面体状又は球状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  4. レーザー回折・散乱法による小粒子径側からの積算粒子径において、炭酸カルシウムの10%粒子径が1μm以上であり、90%粒子径が原料に使用した石膏の90%粒子径以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  5. アルカリ金属がナトリウム又はカリウムであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の製造方法により製造した炭酸カルシウムを排煙脱硫又は硫酸の中和に使用して石膏を副産させ、その石膏を前記製造方法の石膏として使用することを特徴とする排煙脱硫方法又は硫酸中和方法。
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