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JP4035604B2 - オルトメタル化イリジウム錯体の製造方法 - Google Patents
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JP4035604B2 - オルトメタル化イリジウム錯体の製造方法 - Google Patents

オルトメタル化イリジウム錯体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL素子等に用いられる発光素子用材料として有用なオルトメタル化イリジウム錯体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は次世代の携帯情報端末などのディスプレイ素子として注目されており、近年になって発光素子の材料開発が活発に進められるようになってきた。その中でも、オルトメタル化イリジウム錯体は発光効率の観点から有望視されており、特に注目されている発光素子材料である。
【0003】
このようなオルトメタル化イリジウム錯体の製造方法の一つとして、下記一般式(1)で表されるハロゲン配位子で架橋したイリジウムダイマー(以下、架橋イリジウムダイマーともいう)を出発原料として、これに有機配位子を反応させる方法が知られている。
しかしながら、この架橋イリジウムダイマーは反応性が極めて低いため、脱ハロゲン化剤を使用するか(非特許文献1)、または、この架橋イリジウムダイマーを反応性の高いアセチルアセトンで配位されたイリジウム錯体に変換して、これを原料とする方法(特許文献1)等を採用する必要があった。このように架橋イリジウムダイマーを出発原料として、オルトメタル化イリジウム錯体を製造する際には、吸湿性で取り扱いにくいトリフルオロメタンスルホン酸銀等の脱ハロゲン化剤をあえて共存させるか、または、反応活性なアセチルアセトン配位子をわざわざ導入しなければならないといった問題点があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−105055号公報
【非特許文献1】
Inorg.Chem.,33巻,545頁,1994年
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の事情に鑑みなされたものであって、架橋イリジウムダイマーと有機配位子を反応させて、オルトメタル化イリジウム錯体を製造する方法において、目的生成物であるオルトメタル化イリジウム錯体を、脱ハロゲン化剤やアセチルアセトンなどの配位子を使用することなく、1段階で高収率、高純度でかつ短時間に製造できる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、架橋イリジウムダイマーと有機配位子を反応させて、オルトメタル化イリジウム錯体を製造する反応は、反応系のpHが極めて重要な因子となり、脂肪族アミンまたは芳香族アミンを共存させると、意外にも反応が活性化され、反応時間が著しく短縮化されるだけでなく、副生成物である架橋イリジウムダイマーの生成を効果的に抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
〈1〉下記一般式(1)で表されるイリジウムダイマーと下記一般式(2)で示される有機配位子を反応させて下記一般式(3)で示されるオルトメタル化イリジウム錯体を製造する方法において、該反応を脂肪族アミンまたは芳香族アミンの共存下、アセチルアセトンの非在系で行うことを特徴とするオルトメタル化イリジウム錯体の製造方法。
一般式(1)
【化1】
Figure 0004035604
(一般式(1)中、Xはハロゲン原子を表し、Z、Z、Y及びQは、それぞれ独立に、5員環または6員環を形成するに必要な非金属原子群を表す。形成される環は置換基を有していても良く、またさらに別の環と縮合環を形成しても良い。Lは単結合または2価の基を表す。Yはそれぞれ窒素原子または炭素原子を表す。Yが窒素原子の時は、Qは炭素原子とYとが単結合で結合していることを表す。Yが炭素原子のときは、Qは炭素原子とYとが2重結合で結合していることを表す。)
一般式(2)
【化2】
Figure 0004035604
(一般式(2)中、Z、Z、Y、Q及びLは前記と同じ。)
一般式(3)
【化3】
Figure 0004035604
(一般式(3)中、Z、Z、Y、Q及びLは前記と同じ。)
〈2〉該反応が、極性溶媒中、マイクロ波照射下で行なわれることを特徴とする請求項1に記載のオルトメタル化イリジウム錯体の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、ハロゲン配位子で架橋したイリジウムダイマー(架橋イリジウムダイマー)と有機配位子を反応させてオルトメタル化イリジウム錯体を製造するに当たり、該反応を脂肪族アミンまたは芳香族アミンの共存下、かつアセチルアセトンの非在系で行うことを特徴とする。
【0009】
本明細書において、一般式(1)〜(3)に記載した記号(Z、Z、Y、Q、L)について以下に説明する。
、Z、Y及びQは、それぞれ独立に、5員環または6員環を形成するに必要な非金属原子群を表す。形成される環は置換基を有していても良く、またさらに別の環と縮合環を形成しても良い。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、フェノキシ基、置換フェノキシ基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、ジアルキルアミノ基及び置換ジアルキルアミノ基であり、特に好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10の置換アルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数6〜10の置換アリール基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基および炭素原子数1〜10の置換アルコキシ基であり、最も好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基および炭素原子数1〜4の置換アルキル基である。
【0010】
が形成する5員環、6員環としては、芳香族または複素芳香族環が好ましく、例えば、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピロール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、セレナゾール環、フラン環、チオフェン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環およびピリダジン環が挙げられる。これらのうち、チアゾール環、ピロール環、ベンゼン環およびピリジン環が好ましい。
【0011】
が形成する5員環、6員環としては、複素芳香族環が好ましく、例えば、イミダゾール環、チアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、セレナゾール環、オキサゾール環、ピロール環、ピラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環およびピリダジン環が挙げられる。これらのうち、イミダゾール環、チアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、オキサゾール環、ピロール環、ピラゾール環、ピリジン環およびピリミジン環が好ましく、ピラゾール環およびピリジン環がさらに好ましい。
【0012】
は単結合または2価の基を表す。2価の基としては、例えば、─C(R)(R’)─、─N(R)─、─O─、─P(R) ─および─S─が挙げられる。ここでRは、水素原子または置換基を表し、置換基としては、例えばハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、ニトロ基等を表す。Lは、好ましくは、単結合または─C(R)(R’) ─、であり、さらに好ましくは、─C(R)(R’) ─であって、RおよびR’が水素原子、脂肪族基、または芳香族基の場合である。
【0013】
はそれぞれ窒素原子または炭素原子を表す。Yが窒素原子の時は、Qは炭素原子とYとの間の結合が単結合であることを表す。Yが炭素結合のときは、Qは炭素原子とYとの間の結合が2重結合であることを表す。
【0014】
Xはハロゲン原子を表し、好ましくは塩素原子、臭素原子であり、さらに好ましくは塩素原子である。
【0015】
本発明における原料である架橋イリジウムダイマーとしては、前記一般式(1)で示される化合物が用いられる。
これらの化合物は、既報に基づき合成することができる(J. Am. Chem. Soc., 123巻, 4304頁, 2001年、Bull. Chem. Soc. Jpn., 47巻, 767頁, 1974年など)。
【0016】
以下に、本発明で用いられる架橋イリジウムダイマーの代表例を示す。
【0017】
【表1】
Figure 0004035604
【0018】
本発明で用いる有機配位子としては、前記一般式(2)で示される化合物が用いられ、特にイリジウム-窒素結合およびイリジウム-炭素結合からなる結合を少なくとも2つ形成し得る多座配位子を用いることが好ましい。
【0019】
このような配位子の例としては、例えば、2−フェニルピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−ベンジルピリジン誘導体及び2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体の他、特許公開2001-247859号に記載の有機配位子等を挙げることができる。
【0020】
本発明では脂肪族アミンまたは芳香族アミンが用いられるが、これらは単独もしくは2種以上の混合物として使用することもできる。
【0021】
脂肪族アミンまたは芳香族アミンとしては、たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン、ピリジン、2−フェニルピリジン、テトラメチルピペリジン、ジ− t −ブチルピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロトンスポンジ等が挙げられる。
【0022】
このような脂肪族アミンまたは芳香族アミンの使用量は特に制限はないが、架橋イリジウムダイマーに対し脂肪族アミンまたは芳香族アミンを化学量論的に300当量以下、好ましくは1当量以上100当量以下、より好ましくは10当量以上50当量以下とするのがよい。
【0023】
本発明がこのような手段を講じることにより、架橋イリジウムダイマーの反応性が高められ、オルトメタル化イリジウム錯体が高収率、高純度、かつ短時間で得られる理由は現時点では定かではないが、添加した脂肪族アミンまたは芳香族アミンがオルトメタル化反応における有機配位子からの脱プロトン過程を促進しているためと推定している。脂肪族アミンまたは芳香族アミンを添加しないと、後記する比較例にみるように、架橋イリジウムダイマーが反応不活性であるために、所望とするオルトメタル化イリジウム錯体の収率が低下する。このように、該反応を脂肪族アミンまたは芳香族アミンの共存下で行うことにより、架橋イリジウムダイマーの反応性が高められ、オルトメタル化イリジウム錯体の収率が改善されることは、従来全く知られていない事柄であり、本発明者らの、数多くの緻密な実験の積み重ねによって初めて見いだされた新規な知見である。
【0024】
また、本発明においては、加熱手段は特に制約されないが、反応を円滑するために、マイクロ波を照射することが好ましい。この照射時間は1〜30分が望ましく、より好ましくは1〜10分である。マイクロ波の波長に特に制限はないが、2000〜3000MHz、好ましくは2400〜2500MHzである。マイクロ波発振装置としては、市販されている従来公知の発振装置が全て適用できる。また、加熱手段として、オイルバス、マントルヒーター等を用いても良い。その場合の反応時間は、1〜24時間が望ましく、より好ましくは1〜10時間である。窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下で反応を行うのも好ましい。
【0025】
本発明においては、該反応を更に円滑に進めるために、反応溶媒として、極性溶媒を用いることが望ましい。このような溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられるが、高沸点のエチレングリコール、グリセリン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、N,N−ジメチルホルムアミドを用いることが望ましい。
【0026】
本発明の反応温度、反応圧力、反応時間は、使用する原料、マイクロ波の波長、溶媒などによって異なるが、通常、反応温度は20〜300℃、好ましくは100〜200℃、反応圧力は1〜30atm、好ましくは1〜5atmである。
【0027】
該反応においては、反応後の溶液を濃縮することにより、オルトメタル化イリジウム錯体の収率を上げることができる。
【0028】
本発明によって得られたオルトメタル化イリジウム錯体については、通常の合成反応の後処理に従って処理した後、必要があれば精製してあるいは精製せずに供することができる。後処理の方法としては、例えば、抽出、冷却、水または有機溶媒を添加することによる晶析、反応混合物からの溶媒を留去する操作等を単独あるいは組み合わせて行うことができる。精製の方法としては再結晶、蒸留、昇華あるいはカラムクロマトグラフィー等を単独あるいは組み合わせて行うことができる。
【0029】
本発明によって製造されるオルトメタル化イリジウム錯体は、前記一般式(3)で示される。以下、本発明で得られるオルトメタル化イリジウム錯体の代表例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0030】
【表2】
Figure 0004035604
【0031】
【実施例】
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0032】
実施例1
架橋イリジウムダイマー(D−1)を50mg、2−フェニルピリジンを36mg、トリエタノールアミンを300mg、エチレングリコール15mlをナスフラスコに入れた。このナスフラスコをマイクロ波発振装置(HITACHI製、MR−250)に入れ、反応装置の上部には還流冷却管を取り付けた。還流冷却管の上部からはテフロン(登録商標)管を通じて、この溶液にアルゴンガスを20分間通気した。その後、マイクロ波(2450MHz)を10分間照射した。この溶液を室温まで冷却した後、アルゴンガスを止め、冷蔵庫で一晩冷却した。沈殿してきた黄色結晶をろ別し、水、ペンタンで洗浄した後、減圧乾燥した。プロトンNMRによる分析の結果、得られた黄色結晶はトリスオルトメタル化イリジウム錯体(A−1)であり、架橋イリジウムダイマー(D−1)は全く検出されなかった。
【0033】
比較例1
実施例1において、トリエタノールアミンを添加しない以外は実施例1と同様にして実験を行った。その結果、オルトメタル化イリジウム錯体(A−1)への変換反応は完全に進行せず、架橋イリジウムダイマー(D−1)の58%が残存していることが確認された。
【0034】
これらの結果から、該反応において脂肪族アミンまたは芳香族アミンを共存させたときに、原料である架橋イリジウムダイマーは完全に消失し、目的物であるオルトメタル化イリジウム錯体が生成物として得られていることが判る。
【発明の効果】
本発明方法によれば、これまで反応不活性なために架橋イリジウムダイマーから、一段階では合成困難とされていた前記一般式(3)で示されるオルトメタル化イリジウム錯体を、脱ハロゲン化剤やアセチルアセトンなどの配位子を使用することなく、高収率、高純度かつ短時間に製造することができる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表されるイリジウムダイマーと下記一般式(2)で示される有機配位子を反応させて下記一般式(3)で示されるオルトメタル化イリジウム錯体を製造する方法において、該反応を脂肪族アミンまたは芳香族アミンの共存下、アセチルアセトンの非在系で行うことを特徴とするオルトメタル化イリジウム錯体の製造方法。
    一般式(1)
    Figure 0004035604
    (一般式(1)中、Xはハロゲン原子を表し、Z、Z、Y及びQは、それぞれ独立に、5員環または6員環を形成するに必要な非金属原子群を表す。形成される環は置換基を有していても良く、またさらに別の環と縮合環を形成しても良い。Lは単結合または2価の基を表す。Yはそれぞれ窒素原子または炭素原子を表す。Yが窒素原子の時は、Qは炭素原子とYとが単結合で結合していることを表す。Yが炭素原子のときは、Qは炭素原子とYとが2重結合で結合していることを表す。)
    一般式(2)
    Figure 0004035604
    (一般式(2)中、Z、Z、Y、Q及びLは前記と同じ。)
    一般式(3)
    Figure 0004035604
    (一般式(3)中、Z、Z、Y、Q及びLは前記と同じ。)
  2. 該反応が、極性溶媒中、マイクロ波照射下で行なわれることを特徴とする請求項1に記載のオルトメタル化イリジウム錯体の製造方法。
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