JP4035844B2 - 乾燥有色素米の稲及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は乾燥有色素米の稲及びその製造方法に関する。
更に詳しくは、酸性液を使用することよって、従来より簡単な方法や設備で、乾燥有色素米の稲の籾や芒(野毛)等を鮮やかに発色させ、しかも、違和感のない自然な発色が得られるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ドライフラワーは観賞用の装飾物として広く知られるところである。従来のドライフラワーは、一般的に花を材料としていたが、近年では嗜好が変わりつつあり、今まで材料として用いられることがなかった植物でも加工の対象とすることが試みられている。その一つとして赤米や緑米等の有色素米の稲がある。有色素米の稲は、少なくとも籾または芒(籾の外側にある針のような突起の部分)が赤色等に色付いている。
有色素米の稲を乾燥させてドライフラワーの様にしたものは、外観(見た目)が珍しく、また、今までのものとは異なる趣を有するので人気がある。
【0003】
乾燥有色素米の稲は、通常、刈り取って単に乾燥させてつくられている。そのため花のドライフラワーと同様、乾燥時では刈り取った時よりも色が褪せてしまっていた。この場合でも、それ相応の趣のある印象は与えることができるが、色鮮やかにできた方が望ましいことは言うまでもない。
【0004】
例えば、特許文献1には、赤米を実らす稲を乾燥処理してドライフラワーにする製法が開示されている。この公報には、「摂氏マイナス21度乃至マイナス40度の冷凍温度にする。赤米の保有湿度により必要に応じてファンで風を当てて2乃至5時間冷凍することにより、稲の青い色と赤紫の色がそのままにドライフラワーの美しい仕上がりに残すことができる(三頁左段二一行目〜二五行目)」と記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−226202号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に開示されたドライフラワーの製法には、次のような課題があった。
即ち、上記製法によれば、稲のドライフラワーの製造に当たって冷凍庫等が必要なので、設備が大掛かりになる。
【0007】
本発明者は、大掛かりな設備を必要とすることなく、しかも簡単な方法で発色の良好な乾燥有色素米の稲ができないものか研究を重ねた。そして、上記課題を解決すべく種々の実験を行った。
【0008】
まず、本発明者は、籾や芒等を色鮮やかにするために、乾燥させた稲(本実験では赤米の稲を使用した)に、赤く色を付けた色水を強制的に吸わせる実験を行った。色水は導管によって吸い上げられて吸収された。
【0009】
しかし、この場合では、籾や芒だけでなく、茎や葉まで赤く色付いてしまった。本実験で使用した稲は、元来、籾と芒だけが赤く色付いており、他の部分は緑色であるので、色水を吸わせたものは見た目に不自然であり違和感があった。
【0010】
他に、本発明者は、穂の部分に赤色の塗料を吹き付けて着色する実験も行った。
しかし、この場合も葉まで色が付いてしまったので、これも不自然であった。
【0011】
更に本発明者は、乾燥させた稲を酸性になるよう調整された液(酸性液)に浸けたり、該液をかけたりする実験も行った。
【0012】
そうしたところ酸性液に浸けることによって、色褪せていた籾や芒の色が再び鮮やかに発色するよう変化することを知見した。
本発明は、上記知見に基づき、完成されたものである。
【0013】
(本発明の目的)
本発明の目的は、酸性液を使用することによって、従来より簡単な方法や設備で、有色素米の籾や芒等の色を鮮やかに発色させ、しかも、違和感のない自然な発色が得られるようにする、乾燥有色素米の稲及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
酸性液によって、少なくとも有色素米の稲の籾または芒の色を鮮やかに発色させたことを特徴とする、
乾燥有色素米の稲である。
【0015】
第2の発明にあっては、
乾燥有色素米の稲の籾または芒と酸性液とを接触させて発色させることを特徴とする、
乾燥有色素米の稲の製造方法である。
【0016】
第3の発明にあっては、
乾燥有色素米の稲の籾または芒を酸性液に浸ける、または当該籾または芒に酸性液をかける工程を含んで発色させることを特徴とする、
乾燥有色素米の稲の製造方法である。
【0017】
第4の発明にあっては、
有色素米の稲の籾または芒を酸性液に浸ける、または当該籾または芒に酸性液をかけた後に乾燥する工程を含んで発色させることを特徴とする、
乾燥有色素米の稲の製造方法である。
【0018】
第5の発明にあっては、
酸性液は、酢、レモンの絞り汁またはクエン酸の中から選ばれた1または2以上を含むものであることを特徴とする、
第2,第3または第4の発明に係る乾燥有色素米の稲の製造方法である。
【0019】
本明細書でいう「有色素米」という用語は、赤米、黒米、緑米等の色素米を示す概念として使用している。
【0020】
「有色素米の稲」は、少なくとも籾(籾殻)または芒が、例えば、赤色、茶色、茶褐色、赤紫色、紫色、黒色等の色彩を有している。
【0021】
酸性液を構成するもの(添加物)の種類は、特に限定するものではなく、例えば、酢、レモンの絞り汁、クエン酸等が好適に使用される。しかし、液体を酸性にできるものであれば他の添加物についても同様に使用可能である。
【0022】
酸性液の水素イオン指数についても、酸性を示せば特に限定するものではない。酸性の度合いを高くすれば、籾または芒の色が鮮やかに発色するときの反応速度を早めることができる。
【0023】
酸性液の温度についても特に限定するものではない。温度を高くすれば反応速度を早めることができるが、高くしすぎると稲が煮えてしまう可能性があるので60℃以下にするのが好ましい。
【0024】
(作 用)
乾燥させた有色素米の稲を酸性液と接触させる。具体的には、例えば、乾燥させた稲を酸性液に浸けたり、または稲に酸性液をかけたり(垂らしかけたり、噴霧したり)、または稲を酸性液に浸けて乾燥させたり、または稲に酸性液をかけて(垂らしかけて、噴霧して)乾燥させたりする。これによって色褪せていた籾や芒等が再び鮮やかに発色するよう変化する。この籾や芒等は、強制的に色が付けられた感じでなく、違和感なく自然な感じで発色する。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、乾燥有色素米の稲の製造工程の一例を示すフローチャートである。
図1を参照して、乾燥有色素米の稲の製造方法を説明する。
【0026】
まず、材料となる有色素米の稲を刈り取って用意する(ステップ100)。
稲は、籾に実が入りきる前が最も発色が良いので、この時期に刈り取られたものを使用するのが好ましい。しかし、材料とする稲は、この時期に刈り取られたものに限定するものではない。
【0027】
次に、稲を乾燥する(ステップ101)。
乾燥は天日に当てて行っても良いし、日陰で行っても良い。また、送風機等を備えた機械により強制的に乾燥させても良く、限定するものではない。
稲は、乾燥することにより、色付いていた籾や芒は勿論、茎や葉まで色褪せた状態となる。
【0028】
乾燥した稲を酸性液(酸性になるよう調整された液)に浸ける(ステップ102)。
【0029】
酸性液に浸けることによって、色褪せていた籾や芒が再び鮮やかに発色するよう変化する。この理由は定かではないが、籾や芒に含まれる色素(アントシアニン等)が酸と化学的に反応したからではないかと思われる。
【0030】
色が変化した稲は、酸性液で濡れているので再び乾燥させる(ステップ103)。このときの乾燥の方法も、上記同様、特に限定するものではない。
以上の工程により、乾燥有色素米の稲が製造される。
【0031】
稲を酸性液に浸ける作業は、上部が開口した容器(例えば、風呂桶状のもの)等に酸性液を適量入れて、この容器内に稲を通して行うことができる。従って、この場合では、設備が大掛かりにならずに(簡単にしながらも)、色鮮やかに発色させた乾燥有色素米の稲が製造できる。
【0032】
また、この製造方法によれば、有色素米の稲は籾や芒が違和感なく自然な感じで発色する。
【0033】
実施例
以下の実施例において有色素米の稲は、籾に実が入りきる前の時期に刈り取ったものを使用した。
【0034】
[実施例1]
酸性液(試料)は、酢を添加したもの、レモンの絞り汁を添加したもの、クエン酸を添加したものの3タイプを用意した。各酸性液は、それぞれ水に対して添加物を0.3重量%混合して作り、温度は常温(約13℃)のままにした。
本実施例において酢は、市販の株式会社ミツカン製の液体状の米酢を使用し、クエン酸は扶桑化学工業株式会社製の粉末状のものを使用した。レモンは実から絞り出したものを使用した。
なお、酢を添加したものを「試料1」とし、レモンの絞り汁を添加したものを「試料2」とし、クエン酸を添加したものを「試料3」として記載する。
【0035】
試料1,2,3のそれぞれに乾燥した稲を浸けたときの結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
(実施例1に対する考察)
酢、レモン、クエン酸のいずれの添加物を加えた酸性液であっても反応した。更に、反応させるための含浸時間は10秒程度で十分であった。逆に、長時間浸け過ぎると色素が液中に染み出て色落ちしたような状態になり、好ましくなかった。
【0038】
[実施例2]
添加物としてクエン酸を使用し、中性の水に対して0.25重量%混合したもの(約pH4.38)、0.5重量%混合したもの(約pH3.40)、1.0重量%混合したもの(約pH2.93)、2.0重量%混合したもの(約pH2.55)を用意した。温度は、常温(約13℃)のままにした。
なお、0.25重量%混合したものを「試料4」とし、0.5重量%混合したものを「試料5」とし、1.0重量%混合したものを「試料6」とし、2.0重量%混合したものを「試料7」として記載する。
【0039】
試料4,5,6,7のそれぞれに乾燥した稲を浸けたときの結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
(実施例2に対する考察)
酸性液は、酸性を示せば反応したが、酸性の度合いを高くするにつれて反応速度は早くなった。
【0042】
[実施例3]
酸性液は常温のままのものと、50〜60℃に温めたものとを用意した。また、添加物はクエン酸を中性の水に対して0.3重量%混合した。
なお、常温のものを「試料8」とし、温めたものを「試料9」として記載する。
【0043】
試料8、9のそれぞれに乾燥した稲を浸けたときの結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
(実施例3に対する考察)
酸性液は、常温でも反応したが、温度を上げることにより反応は早くなった。温度は、高すぎると稲が煮えてしまう可能性があるので60℃以下にするのが好ましい。
【0046】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【0047】
【発明の効果】
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(1)本発明によれば、乾燥させた有色素米の稲を酸性液と接触させる(具体的には、例えば、乾燥させた稲を酸性液に浸けたり、または稲に酸性液をかけたり(垂らしかけたり、噴霧したり)、または稲を酸性液に浸けて乾燥させたり、または稲に酸性液をかけて(垂らしかけて、噴霧して)乾燥させたりする)ことによって、色褪せていた籾や芒等が再び鮮やかに発色するよう変化させることができる。従って、設備としては酸性液を入れる容器や酸性液をかけるシャワー等があれば足り、設備が比較的大掛かりにならない。
【0048】
(2)本発明によれば有色素米の稲の籾または芒は、強制的に色が付けられた感じでなく、違和感なく自然な感じで発色する。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾燥有色素米の稲の製造工程の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
Claims (4)
- 乾燥有色素米の稲の籾または芒と酸性液とを接触させて発色させることを特徴とする、
乾燥有色素米の稲の製造方法。 - 乾燥有色素米の稲の籾または芒を酸性液に浸ける、または当該籾または芒に酸性液をかける工程を含んで発色させることを特徴とする、
乾燥有色素米の稲の製造方法。 - 有色素米の稲の籾または芒を酸性液に浸ける、または当該籾または芒に酸性液をかけた後に乾燥する工程を含んで発色させることを特徴とする、
乾燥有色素米の稲の製造方法。 - 酸性液は、酢、レモンの絞り汁またはクエン酸の中から選ばれた1または2以上を含むものであることを特徴とする、
請求項1,2または3記載の乾燥有色素米の稲の製造方法。
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