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JP4036198B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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JP4036198B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射用インジェクタと吸気通路中(吸気ポートも含む)に燃料を噴射する吸気通路噴射用インジェクタとを併せ備える内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
従来、この種の内燃機関としては、例えば特許文献1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置がある。
この内燃機関の燃料噴射制御装置は、吸気通路噴射用インジェクタを通じて吸気ポート(吸気通路)に燃料を噴射することで、空気と燃料とを十分混合させて均質性の高い燃焼(均質燃焼)を実現するようにしている。一方、筒内噴射用インジェクタを通じて燃焼室に直接燃料を噴射する場合は、例えば圧縮行程後期に燃料を噴射して成層燃焼(希薄燃焼)を行うことで燃費の向上を図るようにしている。なお、この筒内噴射用インジェクタによっても、空気と燃料とを十分に混合させて燃焼室全域で略同じ空燃比にすることで上述の均質燃焼を行うことはできる。すなわちこの場合には、機関の吸気行程で燃料を噴射することにより燃料の拡散時間を長くとり、これによって空気と燃料とを略均一に混合させて燃焼を行うこととなる。そして、この筒内噴射用インジェクタによって均質燃焼を行うこととすれば、燃焼室に直接噴射された燃料の気化に伴いシリンダ内が冷却され、筒内噴射用インジェクタの噴孔部へのデポジットの堆積も抑制され、その後成層燃焼に移行される場合であっても、その要求される噴霧形状や燃焼噴射量が維持されるようにもなる。
特開2002−364409
ところで、上記筒内噴射用インジェクタが備えられるシリンダブロックには、ノックセンサが配設されている。このノックセンサは、一般的には上記シリンダブロック表面の振動を検知する共振式が採用されている。そして、各気筒の圧縮上死点付近(圧縮行程後期)であり、且つ点火終了後の期間であるノック判定期間(ゲート)にて、ノックセンサによりノッキング特有の振動が検出されると、そのノッキングを抑制するためのノッキング制御が電子制御装置を通じて行われる。
このノッキング制御では、ノック判定期間中に、ノックセンサからの出力ピーク値が判定基準値を超えた回数を数え、その回数が多いほどノックの強度が大であると判定している。そして、このノック強度に応じて点火時期の遅角補正を行い、ノックなしの状態が続くと徐々に進角補正をし、点火時期をノッキング限界で制御するようにしている。
ところで、上記筒内噴射用インジェクタは、ノックセンサの近傍に設けられている。このため、筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射が行われているとき、同インジェクタのニードルの閉弁タイミングが上記ゲートに入った場合、電子制御装置は、ニードルの閉弁(着座)によって発生するノックセンサからの閉弁ノイズをノッキングと判定して、同閉弁ノイズに基づき点火時期を誤遅角してしまうという問題が生じる。なお、このような問題を解消するためには、燃料の噴射時期を誤遅角しないタイミング、すなわちニードルの閉弁タイミングが上記ゲートから外れるタイミングに変更することが考えられる。しかし、この場合、噴射時期の変更が燃焼状態の悪化を招き、内燃機関のポテンシャルが十分に発揮できないという新たな問題が生じることにもなりかねない。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、燃焼状態の悪化を招くことなく、筒内噴射用インジェクタの作動に起因する点火時期の誤遅角を防止することのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、シリンダブロックの振動に対応した信号を出力するノックセンサからの検出信号に基づきノッキングが検出されるとき点火時期を遅らせてノッキングを回避するノックコントロールシステムを備える内燃機関に適用され、同機関の気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射用インジェクタ、及び同機関の吸気通路中に燃料を噴射供給する吸気通路噴射用インジェクタによる燃料噴射を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記筒内噴射用インジェクタによる燃料の筒内噴射時に同インジェクタの閉弁タイミングが前記ノックコントロールシステムのノック判定期間に入る場合、前記吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換えることをその要旨とする。
筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時、同インジェクタにおけるニードルの閉弁タイミングがノック判定期間(ゲート)に入ると、吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換えられ、筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射が停止される。このため、上記ニードルの閉弁(着座)で発生するノックセンサからの閉弁ノイズがノッキングと誤判定され、誤って点火時期が遅角されるのを抑制することができる。また、上記のように吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換えられた後には、燃料噴射時期を自由に変更することができる。
具体的には、請求項2に記載の発明によるように、前記吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換えた後に、同吸気通路噴射用インジェクタによる燃料噴射時期をその噴射形態に適した燃料噴射時期とするといった態様を採用することができる。このような構成を採用することにより、上記切り換えによって燃焼状態が悪化することはない。
請求項に記載の発明は、シリンダブロックの振動に対応した信号を出力するノックセンサからの検出信号に基づきノッキングが検出されるとき点火時期を遅らせてノッキングを回避するノックコントロールシステムを備える内燃機関に適用され、同機関の気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射用インジェクタ、及び同機関の吸気通路中に燃料を噴射供給する吸気通路噴射用インジェクタによる燃料噴射を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時に前記ノックコントロールシステムによる点火時期遅角がなされているとき、前記吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換える切換手段と、前記切換手段による切り換え前の前記点火時期遅角の遅角量と、当該切り換え後における前記ノックコントロールシステムによる点火時期遅角の遅角量とを比較し、その比較に基づき前記筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時に点火時期の誤遅角が生じていたか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって前記誤遅角が生じている旨判断されたときには、前記吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射を実行する吸気通路噴射実行手段とを備えることをその要旨とする。
筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時、同インジェクタにおけるニードルの閉弁タイミングがノック判定期間(ゲート)に入ると、そのニードルの閉弁(着座)で発生するノックセンサからの閉弁ノイズがノッキングと誤判定され、点火時期が誤遅角される。従って、筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時、上記点火時期の誤遅角が生じている場合には点火時期の遅角量が大となる傾向がある。このような状況下で、切換手段により吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換えられ、ノックコントロールシステムによる点火時期の遅角がなされると、そのときの遅角量は筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時の遅角量に比べて小さくなる。これは、吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射時には、筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射が停止されるため、同インジェクタのニードルの閉弁(着座)で発生するノックセンサからの閉弁ノイズがノッキングと誤判定され、点火時期が誤遅角されることはないためである。従って、上記切換手段による切り換えの前後の点火時期の遅角量を比較することで、前記筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時に点火時期の誤遅角が生じていたか否かを判断することができる。そして、誤遅角が生じている旨判断されたときには、吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射が実行される。このため、筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射に起因して点火時期が誤遅角されるのを抑制することができる。また、このように吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射が行われているときには、燃料噴射時期を自由に変更して、その噴射形態に適した燃料噴射時期とすることが可能であるため、燃焼状態が悪化することはない。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記判断手段によって前記誤遅角が生じていない旨判断されたときには、前記筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射を許可する筒内噴射許可手段を備えることをその要旨とする。
筒内噴射用インジェクタによって燃料噴射を行うか、あるいは吸気通路噴射用インジェクタによって燃料噴射を行うといった燃料噴射形態の選択は、通常、内燃機関の運転状態に応じて、そのときの運転状態に適した形態となるよう行われる。このような選択の結果として、筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射が選択されているとき、切換手段による吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射への強制的な切り換えが行われ、点火時期の誤遅角が生じているか否かの判断が行われる。上記構成によれば、ここで点火時期の誤遅角が生じていない旨判断されると、筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射が許可されるため、そのときの運転状態が筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射を行うべき状態であれば、同インジェクタによる燃料噴射が再開されるようになる。従って、点火時期の誤遅角が生じているか否かの判断後、吸気通路噴射用インジェクタのみからの燃料噴射が無理に続けられ、内燃機関の良好な運転状態を維持できなくなるのを抑制することができる。
請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記切換手段は、前記筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時に点火時期の遅角量が上限値付近の値であることに基づき点火時期の誤遅角が生じている可能性がある旨判断し、誤遅角の可能性がある旨判断されたときのみ前記吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換えることをその要旨とする。
ノックコントロールシステムによる点火時期の遅角については、通常、その遅角が過度に行われないよう遅角量の上限ガードが行われる。一方、筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時、点火時期の誤遅角が生じている場合には点火時期の遅角量が大となる傾向がある。従って、筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時、点火時期の遅角量が上限値(上限ガード値)付近の値であるときには、点火時期の誤遅角が生じている可能性があると判断することができる。上記構成によれば、こうした点火時期の誤遅角が生じている可能性がある旨の判断に基づき、切換手段により吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換えられ、点火時期の誤遅角の有無を判断するための処理が開始されるようになる。このため、当該処理を点火時期の誤遅角が生じている可能性のあるときだけ行い、無駄に行うことのないようにすることができる。
(第1の実施の形態)
以下、この発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置の第1の実施の形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示されるように、この燃料噴射制御装置は、4サイクルのレシプロ機関である内燃機関Eを中心として構成される。ここで、内燃機関Eとしては、6つのシリンダを備えるV型6気筒ガソリン機関を想定しているが、同図1では説明の便宜上、代表して1つのシリンダのみを示している。そしてこの内燃機関Eは、大きくは、シリンダブロック1aと該シリンダブロック1aの上部に連結されるシリンダヘッド1bとを備えるシリンダ1と、該シリンダ1内を往復動するピストン2とを有して構成される。このピストン2は、内燃機関Eの出力軸であるクランクシャフト2aにコンロッド2b及びクランクアーム2cを介して連結され、そのコンロッド2bによりピストン2の往復運動がクランクシャフト2aの回転に置き換えられるようになっている。そして上記シリンダ1内においては、上記シリンダブロック1a及びシリンダヘッド1bの内壁とピストンの頂面とによって、混合気を燃焼されるための燃焼室3が区画形成されている。
また、シリンダヘッド1bには、この燃焼室3に突出する態様で混合気に点火を行う点火プラグ4、並びに同燃焼室3に燃料を噴射供給する燃料供給手段として筒内噴射用インジェクタ5が配設されている。さらに、上記燃焼室3には、吸気通路6及び排気通路7がそれぞれ吸気弁8及び排気弁9を介して連通されている。そして、吸気通路6には、該吸気通路6と燃焼室3との連通部分、すなわち吸気ポート6aに燃料を噴射供給する燃料供給手段として吸気ポート噴射用インジェクタ10が取り付けられている。
また、この実施の形態の内燃機関Eには更に、アクセルセンサ21、クランクセンサ22、及びノックセンサ23が設けられている。
ここで、アクセルセンサ21は、図示しないアクセルペダルの近傍に設けられてその開度(踏み込み量)を検出するセンサであり、この検出された値は電子制御装置100で適宜にA/D変換された後、同電子制御装置100内に設けられているマイクロコンピュータに取り込まれる。
また、クランクセンサ22は、内燃機関Eのクランクシャフト2aに装着されたロータと、その近傍に配設されて同ロータの外周に設けられた突起の通過を検出する電磁ピックアップとを備えて構成されるものであり、クランクシャフト2aの回転位相(クランク角)、及び内燃機関Eの回転速度を検出するためのセンサである。このクランクセンサ22の出力は、電子制御装置100内で適宜に波形整形された後、上記クランクシャフト2aの回転速度に対応したパルス信号(NEパルス)として同電子制御装置100内の上記マイクロコンピュータに取り込まれる。
また、ノックセンサ23は、内燃機関Eのシリンダブロック1aに設けられている。このノックセンサ23は内燃機関Eで発生するノッキングを含む振動を検出するセンサである。このノックセンサ23の出力は、その振動の大きさに応じたノック信号として同電子制御装置100内の上記マイクロコンピュータに取り込まれる。
ここで、電子制御装置100は、上記マイクロコンピュータをはじめ、A/D変換器や波形整形回路、更には各種データや演算結果を一時的に記憶しておくメモリや各種アクチュエータ等を駆動するためのドライバ(駆動回路)を備えている。そして、上記各センサからの検出信号等から把握される機関運転状態に基づき、上記点火プラグ4の点火時期や、インジェクタ5、10からの燃料噴射についての制御を実行する。
また、電子制御装置100は、内燃機関Eでのノッキングの発生を回避するノックコントロールシステム(KCS)として動作する。ここで、ノックコントロールシステムによるノッキング回避について詳しく説明する。
電子制御装置100は、内燃機関Eにおけるノッキングが発生し得る期間、すなわち各気筒の圧縮上死点付近(圧縮行程)であり且つ点火時期終了後の期間をノック判定期間(ゲート)とし、そのノック判定期間中におけるシリンダブロック1aの振動に対応したノックセンサ23からの検出信号からノッキング特有の振動を見分る。より詳しくは、ノック判定期間中、ノックセンサ23からの出力ピーク値が判定基準値を超えた回数を数え、その回数が所定値以上になったとき、ノッキング特有の振動が発生している旨判断する。そして、この旨の判断に基づきノッキングを検出することとなる。
上記のようにしてノッキングが検出されると、電子制御装置100は、点火時期を遅角補正してノッキングの回避を図る。具体的には、点火時期の遅角量をノッキング検出毎に増加させ、ノッキングが検出されないときには上記遅角量を減少させることにより点火時期を進角側に制御する。こうした点火時期の制御により、点火時期がノッキング限界へと調整され、ノッキングを回避しつつ内燃機関Eの出力が可能な限り高められる。なお、点火時期の上記遅角量については、高い頻度でのノッキング発生時等に点火時期が過度に遅角されないよう、予め設定されたガード値Gで上限ガードされることとなる。
さらに、電子制御装置100は、以上のような点火時期遅角によるノッキングの回避のほか、筒内噴射用インジェクタ5による燃料噴射と吸気ポート噴射用インジェクタ10による燃料噴射との切換制御も実行する。こうした切換制御は、機関回転速度及び機関負荷といった機関運転状態に基づき行われ、そのときの機関運転状態に適した燃料噴射形態が選択されるような態様で行われる。そして、筒内噴射用インジェクタ5による燃料噴射が選択される場合であれ、吸気ポート噴射用インジェクタ10による燃料噴射が選択される場合であれ、それら燃料噴射に際しては燃料噴射時期や燃料噴射量が機関運転状態に適した値に制御されることとなる。
ところで、筒内噴射用インジェクタ5による燃料噴射時であって、その燃料噴射が圧縮行程にて行われるような場合、機関運転状態によっては同インジェクタ5におけるニードルの閉弁タイミングが、圧縮上死点付近まで遅れるようになって上記ノックコントロールシステム(KCS)のゲートに入ることがある。筒内噴射用インジェクタ5は、筒内噴射を行うためにシリンダヘッド1bなど、シリンダブロック1aにあるノックセンサ23の近傍に設けられるため、ノックセンサ23が上記ニードルの閉弁(着座)に伴う振動の影響を受けるようになる。したがって、上記のようにニードルの閉弁タイミングがゲートに入ると、ノックセンサ23からは同ニードルの閉弁(着座)に伴う振動に対応した信号が閉弁ノイズとして出力される。そして、この閉弁ノイズが上記判定基準値を超えるようなものである場合、実際にはノッキングが発生していないにも拘らず、ノック判定期間(ゲート)中においてノックセンサ23の出力ピーク値が判定基準値を超えた回数が所定値以上になり、ノッキングが発生しているとの誤判断がなされるおそれがある。このように誤判断がなされた場合、ノッキングが発生していないにも拘らず、点火時期の遅角量が増加され、その遅角量の分だけ点火時期が誤って遅角されるようになる。
なお、こうした点火時期の誤遅角を抑制すべく上記ニードルの閉弁タイミングがゲートに入ったとき、筒内噴射用インジェクタ5による燃料噴射の時期を変更し、同ニードルの閉弁タイミングがゲートから外れるようにすることも考えられる。ただし、この場合は機関運転状態に適した時期とされていた燃料噴射時期が変更されることになり、同変更が機関運転の悪化を招いて内燃機関のポテンシャルが十分に引き出せなくなる。
そこで本実施の形態では、筒内噴射用インジェクタ5におけるニードルの閉弁タイミングが上記ゲートに入るときには、吸気ポート噴射用インジェクタ10のみによる燃料噴射に切り換え、上述した点火時期の誤遅角を抑制するようにしている。以下、こうした点火時期の誤遅角抑制のための燃料噴射形態の切り換え手順について、切換制御ルーチンを示す図2のフローチャートを参照して詳しく説明する。なお、当該切換制御ルーチンは、電子制御装置100を通じて、例えば所定クランク角毎の角度割り込みにて実行される。
同ルーチンにおいてはまず、現在の内燃機関Eの運転状態が筒内噴射用インジェクタ5による筒内噴射運転中であるか否かを判定する(ステップS100)。ここで、肯定判断がなされると、現在の要求燃料噴射量及び燃料噴射開始時期より筒内噴射用インジェクタ5におけるニードルの閉弁タイミングを求める(ステップS101)。なお、上記要求燃料噴射量及び燃料噴射開始時期に基づきニードルの閉弁タイミングを求めることができるのは、その要求燃料噴射量を得るための筒内噴射用インジェクタ5の燃料噴射量制御が上記ニードルの開弁時間の調整を通じて行われるものであり、要求燃料噴射量及び燃料噴射開始時期から上記閉弁タイミングが決まるためである。
続いて、筒内噴射用インジェクタ5におけるニードルの閉弁タイミングがノック判定期間(ゲート)に入っているか否かを判定する(ステップS102)。そして、上記閉弁タイミングがノック判定期間(ゲート)に入っている旨判断されると、吸気ポート噴射用インジェクタ10のみによる吸気ポート噴射に切り換える(ステップS103)。このとき、筒内噴射用インジェクタ5による燃料噴射は停止される。したがって、同インジェクタ5におけるニードルの閉弁(着座)で発生するノックセンサ23からの閉弁ノイズに起因してノッキングが誤検出され、誤って点火時期が遅角されるのを抑制することができる。
なお、このように吸気ポート噴射用インジェクタ10のみによる燃料噴射が行われているときには、上記ゲートに対するニードルの閉弁タイミングを考慮せずに燃料噴射時期を自由に変更し、その燃料噴射形態に適した燃料噴射時期とすることが可能であるため、燃焼状態が悪化することもない。
以上詳述したこの実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)筒内噴射用インジェクタ5による燃料噴射時、ニードルの閉弁タイミングがゲートに入ることに基づき、吸気ポート噴射用インジェクタ10のみによる燃料噴射に切り換えられるため、燃焼状態の悪化を招くことなく筒内噴射用インジェクタ5の作動に起因する点火時期の誤遅角を抑制することができる。
(第2の実施の形態)
次に、この発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置の第2の実施の形態について図3に基づき説明する。この実施の形態は、点火時期の誤遅角が生じているか否かを判断するための処理を実行し、点火時期の誤遅角が生じている旨判断されたとき、吸気ポート噴射用インジェクタ10のみによる燃料噴射を実行するようにしたものである。
図3は、この実施の形態における切換制御ルーチンを示すフローチャートである。
同ルーチンにおいてはまず筒内噴射による運転中であるか否かを判断し(ステップS200)、さらにノッキングが検出されているか否かを判断する(ステップS201)。そして、ステップS200及びステップS201で共に肯定判断がなされると、点火時期の誤遅角が生じているか否かを判断するための処理としてステップS202以降の処理を実行し、その処理の実行後に吸気ポート噴射のみによる燃料噴射を行う(ステップS207)か、あるいは筒内噴射も許可するか(ステップS208)の選択を行う。
上記ステップS202以降の処理においては、最初に点火時期の誤遅角の可能性があるか否かを判断する(ステップS202)。ここでは、点火時期の遅角量がある値、例えば上限ガードに用いられるガード値G付近の値以上(ステップS202:YES)であることに基づき、点火時期の誤遅角の可能性がある旨判断する。なお、このように判断することができるのは、点火時期の誤遅角が生じているときは、実際のノッキングのみならず筒内噴射用インジェクタ5の作動によっても点火時期の遅角量が大となっており、その遅角量がより大きくなる傾向があるためである。
そして、点火時期の誤遅角の可能性がある場合には、そのときの点火時期の遅角量を筒内噴射時の遅角量ΔRTDchamb(−α)としてメモリに記憶する(ステップS203)。その後、吸気ポート噴射用インジェクタ10のみによる燃料噴射に切り換え(ステップS204)、吸気ポート噴射でノックコントロールシステムを所定期間作動させた後の点火時期の遅角量をポート噴射時の遅角量ΔRTDportとしてメモリに記憶する(ステップS205)。
続いて、ステップS206で、ポート噴射時の遅角量ΔRTDportが筒内噴射時の遅角量ΔRTDchamb(−α)よりも小さいか否かに基づき、筒内噴射時に点火時期の誤遅角が生じていたか否かを判断する。
ここで、ポート噴射時の遅角量ΔRTDportが筒内噴射時の遅角量ΔRTDchamb(−α)よりも小さいときには、筒内噴射時に点火時期の誤遅角が生じていた旨判断する。なお、このように判断することができるのは、吸気ポート噴射のみによる燃料噴射に切り換えると、筒内噴射が停止されて筒内噴射用インジェクタ5の作動に起因する遅角量の誤った増加がなくなり、ポート噴射時の遅角量が筒内噴射時よりも小さくなるためである。そして、ステップS206での肯定判断に基づき、吸気ポート噴射のみによる燃料噴射を実行する(ステップS207)。これにより点火時期の誤遅角が抑制されるようになる。
また、ステップS206において、ポート噴射時の遅角量ΔRTDportが筒内噴射時の遅角量ΔRTDchamb(−α)以上であるときには、筒内噴射時に点火時期の誤遅角が生じていなかった旨判断する。そして、こうしたステップS206での否定判断に基づき、筒内噴射への切り換えを許可する(ステップS208)。したがって、このとき機関運転状態が筒内噴射を行うべき状態であれば、筒内噴射用インジェクタ5による燃料噴射が実行されるようになる。
以上説明した、この第2の実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、次のような効果を得ることができる。
(2)筒内噴射中でのノッキング検出時に強制的にポート噴射のみによる燃料噴射に切り換えられ、その切り換え後にKCSを所定時間作動させた後の点火時期の遅角量ΔRTDportが、同切り換え前の点火時期の遅角量ΔRTDchamb(−α)よりも小さいときには、筒内噴射時に点火時期の誤遅角が生じていたと判断される。そして、その旨の判断がなされたときには、吸気ポート噴射用インジェクタ10のみによる燃料噴射が実行される。これにより、燃焼状態の悪化を招くことなく筒内噴射用インジェクタ5の作動に起因する点火時期の誤遅角を抑制することができるようになる。
(3)上記のように強制的なポート噴射への切り換えを行い、遅角量ΔRTDchamb(−α)、ΔRTDportに基づき点火時期の誤遅角の有無を判断した結果、誤遅角が生じていない旨判断された場合には、筒内噴射の実行が許可されるようになる。このため、上記判断後の機関運転状態が筒内噴射を行うべき状態であれば、筒内噴射用インジェクタ5による燃料噴射が再開される。したがって、上記判断後に吸気ポート噴射用インジェクタ10のみによる燃料噴射が無理に続けられ、内燃機関Eの良好な運転状態を維持できなくなるのを抑制することができる。
(4)点火時期の誤遅角が生じているか否かを判断するための処理(ステップS202以降の処理)については、ステップS202の処理において点火時期の遅角量が上限ガードに用いられるガード値G付近の値以上であって点火時期値の誤遅角の可能性がある旨判断されたときのみ開始される。このため、点火時期の誤遅角の可能性がないとき、上記処理を無駄に行わないようにすることができる。
なお、上記実施の形態は、これを適宜に変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施の形態では、点火時期の遅角量がガード値G付近の値であるか否かに基づき点火時期の誤遅角が生じているか否かを判断したが、同判断に際しては、上記ガード値G付近の値に代えて任意の値を用いることができる。
・上記実施の形態では、ポート噴射時の遅角量ΔRTDportが筒内噴射時の遅角量ΔRTDchamb(−α)よりも小さいか否かに基づき、筒内噴射時に点火時期の誤遅角が生じていたか否かを判断するとしたが、遅角量の比較としてはこのような判断方法に限定されるものではない。例えば、遅角の比較を遅角量ΔRTDportと遅角量ΔRTDchamb(−α)との比に基づいて行ってもよい。
・また、上記実施の形態では、ポート噴射時の遅角量ΔRTDportが筒内噴射時の遅角量ΔRTDchamb(−α)よりも小さければ、誤遅角と判断するとしていた。しかし、わずかでも小さければ、誤遅角と判断するのではなく、遅角量ΔRTDchamb(−α)と遅角量ΔRTDportとの差が予め定められた許容値を超えたら誤遅角と判断するようにしてもよい。
(他の実施の形態)
その他、上記各実施の形態に共通して変更可能な要素としては、次のようなものがある。
・上記各実施の形態では、吸気通路内に燃料を噴射するインジェクタとして、各気筒毎に設けられて各々の吸気ポート6aに燃料を噴射する吸気ポート噴射用インジェクタ10(マルチポイントインジェクション)について例示したが、同インジェクタとしては、吸気通路6内のいずれかの箇所に燃料を噴射することのできるインジェクタであればよい。すなわち、吸気通路噴射用インジェクタであればよく、例えば、各気筒の分岐前に一つだけ設けられたインジェクタを用いる、いわゆるシングルポイントインジェクションの内燃機関にもこの発明は適用可能である。
この発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置の第1の実施の形態についてその構成を示す略図及びブロック図。 第1の実施の形態における点火時期の誤遅角抑制のための燃料噴射形態の切り換え手順を示すフローチャート。 第2の実施の形態における点火時期の誤遅角抑制のための燃料噴射形態の切り換え手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…シリンダ、1a…シリンダブロック、1b…シリンダヘッド、2…ピストン、2a…クランクシャフト、2b…コンロッド、2c…クランクアーム、3…燃焼室、4…点火プラグ、5…筒内噴射用インジェクタ、6…吸気通路、6a…吸気ポート、7…排気通路、8…吸気弁、9…排気弁、10…吸気ポート(通路)噴射用インジェクタ、21…アクセルセンサ、22…クランクセンサ、23…ノックセンサ、100…電子制御装置(切換手段、判断手段、吸気通路噴射実行手段、筒内噴射許可手段)、E…内燃機関。

Claims (5)

  1. シリンダブロックの振動に対応した信号を出力するノックセンサからの検出信号に基づきノッキングが検出されるとき点火時期を遅らせてノッキングを回避するノックコントロールシステムを備える内燃機関に適用され、同機関の気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射用インジェクタ、及び同機関の吸気通路中に燃料を噴射供給する吸気通路噴射用インジェクタによる燃料噴射を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記筒内噴射用インジェクタによる燃料の筒内噴射時に同インジェクタの閉弁タイミングが前記ノックコントロールシステムのノック判定期間に入る場合、前記吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換えた後に、同吸気通路噴射用インジェクタによる燃料噴射時期をその噴射形態に適した燃料噴射時期とする
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. シリンダブロックの振動に対応した信号を出力するノックセンサからの検出信号に基づきノッキングが検出されるとき点火時期を遅らせてノッキングを回避するノックコントロールシステムを備える内燃機関に適用され、同機関の気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射用インジェクタ、及び同機関の吸気通路中に燃料を噴射供給する吸気通路噴射用インジェクタによる燃料噴射を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時に前記ノックコントロールシステムによる点火時期遅角がなされているとき、前記吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換える切換手段と、
    前記切換手段による切り換え前の前記点火時期遅角の遅角量と、当該切り換え後における前記ノックコントロールシステムによる点火時期遅角の遅角量とを比較し、その比較に基づき前記筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時に点火時期の誤遅角が生じていたか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段によって前記誤遅角が生じている旨判断されたときには、前記吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射を実行する吸気通路噴射実行手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記判断手段によって前記誤遅角が生じていない旨判断されたときには、前記筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射を許可する筒内噴射許可手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 前記切換手段は、前記筒内噴射用インジェクタによる燃料噴射時に点火時期の遅角量が上限値付近の値であることに基づき点火時期の誤遅角が生じている可能性がある旨判断し、誤遅角の可能性がある旨判断されたときのみ前記吸気通路噴射用インジェクタのみによる燃料噴射に切り換える
    請求項3または4に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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