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Description

本発明は、試料中に含まれる基質を迅速かつ高精度に定量するためのバイオセンサに関する。
スクロース、グルコースなど糖類の定量分析法として、施光度計法、比色法、還元滴定法および各種クロマトグラフィーを用いた方法等が開発されている。しかし、これらの方法は、いずれも糖類に対する特異性があまり高くないので精度が悪い。これらの方法のうち施光度計法によれば、操作は簡便ではあるが、操作時の温度の影響を大きく受ける。従って、施光度計法は、一般の人々が家庭などで簡易に糖類を定量する方法としては適切でない。
ところで、近年、酵素の有する特異的触媒作用を利用した種々のタイプのバイオセンサが開発されている。
以下に、試料液中の基質の定量法の一例としてグルコースの定量法について説明する。電気化学的なグルコースの定量法としては、グルコースオキシダーゼ(EC1.1.3.4:以下GODと略す)と酸素電極あるいは過酸化水素電極とを使用して行う方法が一般に知られている(例えば、非特許文献1)。
GODは、酸素を電子伝達体として、基質であるβ−D−グルコースをD−グルコノ−δ−ラクトンに選択的に酸化する。酸素の存在下で、GODによる酸化反応過程において、酸素が過酸化水素に還元される。酸素電極によって、この酸素の減少量を計測するか、あるいは過酸化水素電極によって過酸化水素の増加量を計測する。酸素の減少量および過酸化水素の増加量は、試料液中のグルコースの含有量に比例するので、酸素の減少量または過酸化水素の増加量からグルコースの定量が行われる。
上記方法では、その反応過程からも推測できるように、測定結果は試料液に含まれる酸素濃度の影響を大きく受ける欠点があり、試料液に酸素が存在しない場合は測定が不可能となる。
そこで、酸素を電子伝達体として用いず、フェリシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘導体等の有機化合物や金属錯体を電子伝達体として用いる新しいタイプのグルコースセンサが開発されてきた。このタイプのセンサでは、酵素反応の結果生じた電子伝達体の還元体を電極上で酸化することにより、その酸化電流量から試料液中に含まれるグルコース濃度が求められる。このような有機化合物や金属錯体を酸素の代わりに電子伝達体として用いることにより、既知量のGODとそれらの電子伝達体を安定な状態で正確に電極上に担持させて反応層を形成することが可能となる。この場合、反応層を乾燥状態に近い状態で電極系と一体化させることもできるので、この技術に基づいた使い捨て型のグルコースセンサが近年多くの注目を集めている(例えば、特許文献1参照)。使い捨て型のグルコースセンサにおいては、測定器に着脱可能に接続されたセンサに試料液を導入するだけで容易にグルコース濃度を測定器で測定することができる。このような手法は、グルコースの定量だけに限らず、試料液中に含まれる他の基質の定量にも応用可能である。
鈴木周一編「バイオセンサー」講談社 特許第2517153号公報
上記のようなグルコースセンサを用いた測定では、数μlオーダーの試料量で試料中の基質濃度を容易に求めることができる。しかしながら近年、更に微量、特に1μl以下の
試料で測定が可能であり、かつ取扱いが簡便で、高性能なバイオセンサの開発が、各方面において切望されている。
しかしながら、従来の電気化学グルコースセンサでは、殆どの場合、一平面上に電極系が配置されている。電極系が一平面上にあり、かつ試料が極微量な場合には、電極間の電荷移動、主にイオンの移動、に対する抵抗が大きくなる。それに伴い、測定結果にばらつきが生ずる場合があった。
上記の課題を解決するために本発明のバイオセンサは、作用極基板、対極基板、および少なくとも酵素と電子伝達体を包含する試薬層を具備し、作用極基板上に配置された作用極と対極基板上に配置された対極とが空間部を隔てて相互に対向する位置に配置されていることを特徴とする。
本発明は、作用極基板、対極基板、前記両基板間に介在するスペーサ部材、および少なくとも酵素と電子伝達体を包含する試薬層を具備し、作用極基板上に配置された作用極と対極基板上に配置された対極とがスペーサ部材を介して相互に対向する位置に配置されているバイオセンサを提供する
記作用極基板および対極基板の一方が、他方の基板の電極端子を外部に臨ませる切欠部を有し、かつ前記一方の基板の電極に接続されたリードが同基板の側面を経由して当該電極が配置された面の背面側の電極端子まで導出されていることが好ましい。
本発明によれば、微量の試料で高い信頼性および精度の測定値を与えるバイオセンサが得られる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
参考例1》
図1は、本参考例の、試薬層を除いたグルコースセンサの分解斜視図であり、電極/リード配置の一例を示している。
作用極基板11は、以下の手順にて作製した。まず、ポリエチレンテレフタレ−トからなる絶縁性基板上に、スクリ−ン印刷により銀ペーストを印刷し、リ−ド13を形成した。ついで、樹脂バインダーを含む導電性カーボンペーストを基板上に印刷して作用極12を形成した。この作用極12は、リ−ド13と接触している。さらに、この基板11上に、絶縁性ペ−ストを印刷して絶縁層17を形成した。絶縁層17は、作用極12の外周部を覆っており、これにより作用極12の露出部分の面積を一定に保っている。
同様の手順にて、対極基板14を作製した。すなわち、絶縁性基板の裏面に銀ペーストを印刷してリード16を形成し、次いで導電性カーボンペーストを印刷して対極15を形成し、さらに絶縁性ペーストを印刷して絶縁層18を形成した。対極基板には、空気孔19を形成した。
作用極基板11と対極基板14との間に挟み込むスペーサ21は、スリット22を有しており、このスリット22は作用極基板と対極基板との間に試料供給路を形成するものである。
GODと、電子伝達体であるフェリシアン化カリウムとを含有する水溶液を作用極基板11の作用極12上に滴下し、乾燥して試薬層を作製した。この後、作用極基板11、対極基板14、およびスペーサ21を図1中の一点鎖線で示すような位置関係をもって接着することにより、バイオセンサを作製した。対極および試薬層を有する作用極は、スペーサ21のスリット22の部分に形成される試料供給路内で向き合うこととなる。対極基板の空気孔19は、この試料供給路に連通しているから、スリットの解放端に形成される試料供給口23に試料液を接触させれば、毛管現象により試料液は容易に試料供給路内の試薬層に達する。
次いで、一定量のグルコースを含む溶液を試料としてセンサの試料供給路に供給し、一定時間経過後に、対極15を基準にして作用極12に500mVの電圧を印加することによりグルコースの測定を行った。
両基板間にスペーサを介在させることにより、基板に対して働く物理的圧力に対してセンサの強度が増加する。よって、試料供給路の容積が一定に保たれやすく、センサ応答に与える物理的圧力等の影響が軽減される。
測定の結果、液中のグルコース濃度に比例した電流応答が観察され、応答のばらつきが低減した。
参考例2》
図2は、本参考例の、試薬層を除いたグルコースセンサの分解斜視図である。
作用極基板11および対極基板14にそれぞれ端子を外部に臨ませるための貫通孔24および25を設けた以外は、参考例1と同じ構成である。
貫通孔を両基板に設けることにより、作用極基板11の貫通孔24からは対極基板14のリード/端子16の一部が露出する。一方、対極基板14の貫通孔25からは作用極基板11のリード/端子13の一部が露出する。スペーサ21が端子部まで延在している場合には、対応する貫通孔をスペーサにも設ければよい。
これにより、貼り合わせ型センサチップの測定器への装着、すなわちセンサチップと測定器との電気的接続がより確実なものになり、測定精度が向上する。
《実施例
図3は、本実施例の、試薬層を除いたグルコースセンサの分解斜視図である。
作用極基板11およびスペーサ21は、参考例1と同じ構成である。
一方、対極基板34は、作用極基板11の端子部13に対応する部分を切り欠いた切欠部36を有する絶縁性基板に、側面も含めた全面にパラジウムをスパッタリングして作製した。従って、対極基板34の下面に形成されたパラジウム層35が対極として働き、この対極は基板の側面から上面に形成されたパラジウム層の端子部に導通している。
GODと、電子伝達体であるフェリシアン化カリウムとを含有する水溶液を作用極基板11の作用極12上に滴下し、乾燥して試薬層を作製した。この後、作用極基板11、空気孔39を備えた対極基板34、およびスペーサ21を図3中の一点鎖線で示すような位置関係をもって接着し、バイオセンサを作製した。
切欠部36を対極基板34に設けることにより、切欠部36からは作用極基板11のリード/端子の一部が露出する。スペーサ21が端子部まで延在している場合には、対応する切欠部をスペーサ21にも設ければよい。一方、対極35に電気的に接続されているリードは、対極基板34の側面を経由して、上面に導出される。
これにより、片面のみに両端子部が露出されていることとなる。従って、このような構造のセンサに対しては、従来一般的に用いられてきた測定器側の接続端子を、そのまま適用することができるから、製造コストの低減に効果がある。
シート状の基板の側面部に配置されたリード部は、上面部、下面部に比べて物理的強度に問題がある場合がある。そのような場合は、図4に示すように、対極基板34に貫通孔37を設け、そこに、例えば銀ペーストやカーボンペーストのような導電性材料を充填してもよい。その場合には、基板の下面に配置された電極のリードは、この導電性材料を経由して基板上面の端子部に接続される。
本実施例においては、対極基板34に切欠部36、あるいはさらに貫通孔37を設けた例について述べたが、これら切欠部や貫通孔を、作用極基板11に設けた場合においても同様の効果が得られる。しかしながらその場合は、絶縁層等を用いて作用極面積を規定する必要がある。
参考
図5は、本参考例の試薬層を除いたグルコースセンサの分解斜視図である。
絶縁性基板40は、先端面および上面を解放した溝41を有し、溝41の互いに対向する側壁から上面にまたがってパラジウムをスパッタリングし、次にレーザでトリミングすることにより、作用極42、対極45、および各電極に対応したリード部/端子部43、46を形成した。また、前記のリード部を部分的に覆うように絶縁層47を形成した。次に、GODとフェリシアン化カリウムを含む水溶液を溝41に滴下し、乾燥して試薬層を形成した。そして、溝41の奥側と対応する位置に空気孔49を有するカバー48を、図5中の一点鎖線で示すような位置関係をもって基板40に接着し、バイオセンサを作製した。
このバイオセンサにおいては、基板の溝41の部分が試料収容部であり、基板の端面の溝41の解放部に試料液を接触させれば、毛管現象により試料液は容易に空気孔側へ移動し、両電極に接触する。
前記参考例1及び2、並びに実施例のように、電極を有する基板同志を貼り合わせて組み立てられるセンサでは、その貼り合わせ工程において電極間の位置ずれが生ずる場合がある。本参考例のセンサでは、溝41の内壁面に電極系を形成するために、貼り付け工程に伴う電極間の位置ずれがなく、従って電極間の位置ずれに起因する測定精度の低下は生じない。
以上の各参考例及び実施例では、電極系への印加電圧を500mVとしたが、これに限定されることはない。酵素反応に伴い還元された電子伝達体が酸化される電圧であればよい。
反応層に含有される酸化還元酵素としては、試料液に含まれる測定対象の基質に対応したものが用いられる。酸化還元酵素としては、例えば、フルクトースデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼなどがあげられる。
電子伝達体としては、フェリシアン化カリウム、p−ベンゾキノン、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェロセン誘導休などがあげられる。また、酸素を電子伝達体とした場合にも電流応答が得られる。電子伝達体は、これらの一種または二種以上が使用される。
試薬層は、これを作用極に固定化することによって、酵素あるいは電子伝達体を不溶化させてもよい。固定化する場合は、架橋固定法あるいは吸着法が好ましい。また、電極材料中に混合させてもよい。
上記各参考例及び実施例では、特定の電極系、リード/端子、および測定器側の接続端子を前記の端子に接触させるために基板に設ける貫通孔や切欠部を示したが、それらの形状、配置等は各参考例及び実施例のものに限定されるものではない。
また、上記各参考例及び実施例では、電極材料としてカーボンあるいはパラジウムについて述べたが、これに限定されることはない。作用極材料としては、電子伝達体を酸化する際にそれ自身が酸化されない導電性材料であれば使用できる。また、対極材料としては、銀、白金等の一般的に用いられる導電性材料であれば使用できる。
本発明のバイオセンサは、家庭などで簡易に糖類を定量するセンサなどとして有用である。
本発明の参考例1におけるグルコースセンサの分解斜視図である。 本発明の参考例2のグルコースセンサの分解斜視図である。 本発明の実施例のグルコースセンサの分解斜視図である。 実施例1の変形例のグルコースセンサの分解斜視図である。 本発明の参考例3のグルコースセンサの分解斜視図である。
符号の説明
11 作用極基板
12 作用極
13、16 端子
14、34 対極基板
15、35 対極
17、18 絶縁層
19、39 空気孔
21 スペーサ
22 スリット
23 試料供給口
24、25、37 貫通孔
36 切欠部

Claims (2)

  1. 作用極基板、対極基板、および少なくとも酵素および電子伝達体を包含する試薬層を具備し、
    作用極基板上に配置された作用極と対極基板上に配置された対極とが空間部を隔てて相互に対向する位置に配置されており、
    前記作用極基板および対極基板の一方が、他方の基板の電極端子を外部に臨ませる切欠部を有し、
    かつ前記一方の基板の電極に接続されたリードが、同基板の側面を経由して、当該電極が配置された面の背面側の電極端子まで導出されていることを特徴とするバイオセンサ。
  2. 作用極基板、対極基板、前記両基板間に介在するスペーサ部材、および少なくとも酵素と電子伝達体を包含する試薬層を具備し、
    作用極基板上に配置された作用極と対極基板上に配置された対極とがスペーサ部材を介して相互に対向する位置に配置されており、
    前記作用極基板および対極基板の一方が、他方の基板の電極端子を外部に臨ませる切欠部を有し、
    かつ前記一方の基板の電極に接続されたリードが、同基板の側面を経由して、当該電極が配置された面の背面側の電極端子まで導出されていることを特徴とするバイオセンサ。
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