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JP4040331B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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JP4040331B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は,車輪等の回転速度等を検出してワイヤレスで送信する回転検出装置を搭載した車輪用軸受装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発電機とワイヤレス送信手段を備えた回転速度の検出装置として、コイルを収容した磁性体リングと多極磁石からなる発電機を備えるものがある。この発電機は、この磁性体リングを固定部材および回転部材のうちいずれか一方に設け、他方の部材に多極磁石を設け、固定部材と回転部材のとの相対回転によって発電する。発電機から出力される回転数の信号は,ワイヤレス送信手段によって送信される。
【0003】
上記発電機は、固定部材および回転部材に形成した複列の転送面間に多極磁石と磁性体リングを配置し、その複列の転送面間に設けられる。この他に、固定部材と回転部材間の隙間をシールするシール部材と多極磁石とを一体とし、多極磁石および磁性体リングがシールの外方に配置されるものもある。
【0004】
多極磁石および磁性体リングがシールの外側に配置される構造の発電機では、多極磁石が泥塩水に曝されるため,希土類系の磁石など、錆に弱い磁石では泥塩水に対する防錆処理が必要になる。さらに、磁性体リングも泥塩水に弱い場合は防錆処理をする必要がある。磁石および磁性体リングへの防錆処理としては、磁石および磁性体リングの表面への亜鉛やニッケルなどによるメッキ処理,防錆塗料の塗布,磁石および磁性体リングの樹脂材でのモールドなどが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
泥塩水などに対する防錆処理では、メッキや塗料の膜厚を大きくする必要がある。樹脂モールドのモールド厚は、一般的にメッキや塗装よりも大きくなる。前記の防錆処理を磁石と磁性体リング、特に磁性体リングの磁石との対向面に行うと、磁石と磁性体リングとのギャップが大きくなり,発電電圧が低下する。発電電圧の低下を防止するためには、磁性体リングに収容されているコイルの巻数を増やす方法や、磁石の厚みを大きくするなどの方法が有るが、いずれも発電機が大型化する問題点がある。
【0006】
磁性体リングと磁石の対向面に異物が侵入すると、異物が磁石および磁性体リングの表面を傷つけ、防錆皮膜やモールド材が損傷して、そこから錆が発生することがある。このため、異物の侵入を防ぐためのシールを更に設ける必要が有った。
【0007】
この発明の目的は、回転検出信号をワイヤレスで送信する機能を有しながら、多極磁石と磁性体リングに防錆処理を必要とせず、コンパクトな構成とできる回転検出装置を搭載した車輪用軸受装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明の車輪用軸受装置は、固定部材に回転自在に支持された回転部材と、この固定部材と回転部材の相対回転により発電する発電機と、発電機が出力する回転数信号、および上記発電機の発電電力を電源として動作するセンサの出力信号のうちの少なくとも回転数信号をワイヤレスで送信する送信手段と、前記固定部材と回転部材間の隙間をシールするシール部材とを備え、前記固定部材が、内周に複列の転走面を有し外周にフランジを有する外方部材と、この外方部材が前記フランジを介して取付けられたナックルとでなり、前記回転部材が、前記外方部材の各転走面にそれぞれ対面する転走面を有する内方部材と、この内方部材に固定されてカップ部が前記内方部材と軸方向に並ぶ等速自在継手の外輪とでなる車輪用軸受装置であって、次の構成とされる。
前記外方部材は、前記等速自在継手の前記カップ部側の端面の位置が内方部材の端面よりも軸方向の内側に引っ込んだ位置にあり、上記発電機が円周方向に磁極が並ぶ多極磁石と、コイルを収容して上記多極磁石に対面する磁性体リングとにより構成されていて、前記多極磁石は前記内方部材の外周に固定され、前記磁性体リングは、外径面が小径部分と大径部分とでなる段付の円筒面形状とされて小径部分で前記外方部材の前記カップ部側の端部の内径面に嵌合して取付けられ、この磁性体リングは、一部が前記内方部材の端面よりも前記カップ部側である軸方向の外側に突出し、上記ワイヤレス送信手段は環状に形成されて上記磁性体リングの軸方向の外側に隣接して位置しかつ前記磁性体リングと一体に固定状態とされ、前記磁性体リングの内径面は前記カップ部側の端部に凹面のコーナ部を構成する段付の形状とされ、このコーナ部に上記シール部材を嵌合し、このシール部材のシールリップを上記回転部材に設けたシール接触部に接触させ、このシール接触部を、前記等速自在継手のカップ部の外周に嵌合させたスリンガにより形成し、上記シール部材より内側において上記発電機の磁性体リングと多極磁石を対向させる。前記磁性体リングは、対面する一対の強磁性体リングを備え、これら一対の強磁性体リングは最外周部で互いに嵌合し、かつ多極磁石との対面部分に、互いに対向方向に折れ曲がった櫛歯状の複数の爪が形成され、両強磁性体リングの櫛歯状の爪は、周方向に互いに間隔をもって交互に配置されている。多極磁石と磁性体リングとは、ラジアル方向に対面するものであっても、アキシアル方向に対面するものであっても良い。
【0010】
上記構成によると、シール部材の内側に磁性体リングと多極磁石の対向部分が位置し、泥塩水の侵入がシール部材により防止されるので、泥塩水に対する防錆処理を磁石と磁性体リングに行う必要が無い。このため、磁石を安価に製作でき、発電機の磁性体リングと磁石間のギャップを小さくして、発電機を小型にすることができる。また、透磁率が大きい防錆性がない鋼材で磁性体リングを形成することで、さらなる発電機の小型化を図ることができる。また、シール部材は固定部材に嵌合させる必要が無いので,固定部材にシール嵌合部を設ける必要が無く、固定部材を小さくすることができる。このため、発電機と送信機を取付けるスペースを広げることができる。
【0011】
この発明において、磁性体リングの内径面に、突起またはくぼみからなる被係合部を形成し、シール部材の係合部を係合させても良い。上記被係合部および係合部は、円周方向の全周にわたるものであっても、または円周方向の1か所または複数箇所に局部的に設けられたものであっても良い。
このように被係合部および係合部を設けた場合、シール部材が、その嵌合する磁性体リングから抜けるのを防止できる。被係合部および係合部は、例えば逆止爪等のように、シール部材の嵌合の深まり側には係合による抵抗が小さく、抜け側に抵抗が大きいものとしても良い。
【0012】
この発明において、上記多極磁石が、環状の芯金とこの芯金に固定された磁石部材とでなり、前記スリンガを前記多極磁石の前記芯金と一体に形成しても良い。
【0016】
【発明の実施形態】
図1はこの発明の第1の実施形態に関し、回転検出装置を搭載した車輪用軸受装置を示す。この車輪用軸受装置の固定部材1は、外方部材2とナックル10よりなる。外方部材2はフランジ2aを介してナックル10に取付けられる。そのナックル10は車体に固定される。回転部材7は、内方部材3とその内径面に固定された等速自在継手15の外輪15aより構成される。外方部材2は、内周に複列の転走面5a,5bを有し、これら転走面5a,5bにそれぞれ対向する転走面6a,6bが内方部材3の外周に設けられている。複列の転動体4は、転走面5a,6a間、および転走面5b,6b間に収容される。転動体4は各列毎に保持器8で保持されている。外方部材2,内方部材3,転動体4および保持器8により転がり軸受が構成され、外方部材2および内方部材3はその軌道輪となる。前記のアウター側の転動体4の外側において、外方部材2と内方部材3との間の環状空間がシール部材9によりシールされている。
【0017】
発電機11は、コイルを内蔵した磁性体リング12の内周側に対峙させて多極磁石13を設けたものである。磁性体リング12は、外径面が小径部分と大径部分とでなる段付の円筒面形状とされ、小径部分で外方部材2の内径面に嵌合している。つまり、磁性体リング12は軸方向の一部で外方部材2の内径面に嵌合して取付けられている。この実施形態では、磁性体リング12は発電機11のステータとなる。多極磁石13は、周方向に等間隔に磁極が並ぶように多極に着磁されている。多極磁石13は内方部材3に装着され,この実施形態では発電機11のロータとなる。
【0018】
図4に示すように、磁性体リング12は、軸方向に対面する一対の強磁性体リング30a,30bを備える。強磁性体リング30a,30bは,同図(A)に示す断面形状を持った環状部材であり、最外周部35,36で互いに嵌合している。強磁性体リング30a,30bの他端には,側面部32,33から対向する側面へ折れ曲がった櫛歯状の複数の爪31a,31bが形成されている。櫛歯状の爪31a,31bは、周方向に互いに所定の間隔をもって交互に配置されている。この櫛歯状の爪31a,31bが多極磁石13と所定の間隔をおいて対向してクローポール型発電機となる。強磁性体リング30a,30bは、フェライト系のステンレス鋼(JIS 規格のSUS430系等)などの防錆性を有する磁性体が用いられる。
【0019】
図2に示すように、多極磁石13は、多極の磁石部材16と環状の芯金17より形成される。磁石部材16は、例えばゴム磁石とされ、芯金17に加硫接着される。芯金17を設ける場合、芯金17は磁性体,特に強磁性体で形成するのが望ましい。芯金17は断面がL字型の環状部材でもよく、断面凹字型の環状部材でもよい。環状の芯金17は内方部材3の外径面に締まり嵌め状態に嵌合して固定される。多極磁石13は、プラスチック磁石や焼結磁石で形成されたものであっても良く、また接着剤などで内方部材3の外径面に装着されてもよい。多極磁石13を、プラスチック磁石または焼結磁石とする場合、芯金17は必ずしも設けなくても良い。
【0020】
ワイヤレス送信手段14は、この例では環状に形成され、磁性体リング12と一体とされている。すなわち、一体に固定状態とされている。ワイヤレス送信手段14は磁性体リング12の軸方向の外側に隣接して位置する。ワイヤレス送信手段12の内外径は、磁性体リング12の軸方向の外側端の内外径と略一致する。ワイヤレス送信手段14は電子部品とアンテナを収容した送信機からなる。ワイヤレス送信手段14の電源は発電機11から供給される。ワイヤレス送信手段14の電子部品の一部または全部が、発電機11の磁性体リング12に内蔵されていてもよい。
【0021】
磁性体リング12は、内径面の形状が、側面部33と内径部34とにより凹面のコーナ部を構成する段付の形状とされ、このコーナ部にシール部材18が装着される。シール部材18は、芯金19に弾性材料でなるシール20を接合一体化したものである。芯金19は、L字形の断面形状とされている。シール20はリップを有している。リップの枚数は任意でよいが,図の例では,1つのラジアルリップ21と2つのサイドリップ22を設けている。
【0022】
シール部材18に対向して、回転部材7に、シール接触部となるスリンガ23が設けられている。スリンガ23はステンレス鋼製である。スリンガ23は、等速自在継手15の外輪15aにおけるカップ部37の肩部に圧入されている。スリンガ23は筒状部24と傾斜つば部25を有し、シール部材18のラジアルリップ21がその筒状部24に摺接し、サイドリップ22,22が傾斜つば部25に摺接する。ラジアルリップ21,サイドリップ22,22が摺接するシール接触部を等速自在継手15のカップ部37の外径面に直接形成してもよいが、シール接触部の防錆能力を確保し、高性能シールを実現するために、この発明では、上記のスリンガ23を用いている。
【0023】
シール部材18は、芯金19の円筒部19aの外周面をシール20が覆っていて、側面部19bが磁性体リング12の側面部33に突き当てられた状態で、円筒部19aが磁性体リング12の内径面33に圧入される。シール20の芯がね19の円筒部19aの外径面を覆う部分20aには、周方向の全周または複数箇所に、くぼみまたは突起からなる係合部27を形成する。磁性体リング12の内径部34には、円周方向の全周または複数箇所に、くぼみまたは突起からなる被係合部28を形成する。これら磁性体リング12の被係合部28とシール20の係合部27とが互いに係合するように、磁性体リング12にシール部材18を装着する。上記係合部27および被係合部28を形成せずにシール部材18を装着してもよいが、シール部材18が外れるのを防止するには、上記係合部27および被係合部28を形成した方が望ましい。なお、シール部材18は、芯金19の円筒部19aの外周面をシール20が覆わないか、または先端の一部分だけを覆って、磁性体リング12の内径部34に,側面部19bが磁性体リング12の側面部33に突き当てられた状態となるように、芯金19の円筒部19aを嵌合してもよい。
【0024】
アウター側のシール部材9とインボード側のシール部材18とにより、車両外部からの泥塩水等の侵入が防止される。特に、シール部材18においては,サイドリップ22,22およびラジアルリップ21の3枚のシールリップよりなる高性能シールにより泥塩水や異物の侵入を防止する。発電機11の磁石13は、高性能シール内部に配置されるので、異物や泥塩水等にさらされることが無く、防錆処理と異物の侵入を防ぐための更なるシールを不必要にすることができる。
【0025】
図5は、シール接触部の変形例を示す。この例は、多極磁石13の芯金39をスリンガ23と一体に形成したものである。スリンガ23はステンレス鋼により形成される。スリンガ23は、芯金39となる小径円筒部に、中間段部40,大径円筒部41,およびこの大径円筒部41に連続した傾斜鍔42を有する。傾斜鍔42の先端は外径側に立ち上がっている。スリンガ23は、大径円筒部41が等速自在継手15のカップ部37の肩部43に圧入することで取付けられる。大径円筒部41を等速自在継手15のカップ部37に圧入する代わりに、芯金39を内方部材3に圧入することで取付けても良い。その他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0026】
図6は、提案例を示す。この提案例は、発電機11のリング部材12の外径部に、軸方向に突出する円筒状突出部12aを設け、この円筒状突出部12aを外方部材2の外径面に圧入することにより発電機11を外方部材2に取付けたものである。円筒状突出部12aは、磁性体リング12を構成する強磁性体リングの一部からなる。発電機11の内側の側面は段差のない平坦面とし、外方部材2の端面に当接させる。この提案例におけるその他の構成は、図1に示す第1の実施形態と同じである。
【0027】
図7は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は、発電機11を、多極磁石13と磁性体リング12とが軸方向に対面するアキシアル型としたものである。多極磁石18は、円筒部44および立上り部45を有する断面L字形の芯金17における立上り部45に磁石部材16を取付けたものである。多極磁石18は、立上り部45を軸方向の内側に向けて円筒部44で内方部材3の外径面に圧入してあり、磁石部材16は磁性体リング12の軸方向の内側の側面に対面する。この実施形態におけるその他の構成は、図1に示す第1の実施形態と同じである。
【0028】
図8〜図11は、それぞれさらに他の提案例を示す。これらの提案例は、いずれもワイヤレス送信手段14を環状に形成し、発電機11の磁性体リング12に対する軸方向の外側に隣接してワイヤレス送信手段14を配置し、ワイヤレス送信手段14の内径側にシール部材18を嵌合してある。これら各図の実施形態は、磁性体リング12の断面形状や、磁性体リング12およびワイヤレス送信手段14の取付構造が、互いに異なっているが、その他の構成は共通する。
【0029】
共通する事項につき説明すると、磁性体リング12は、断面形状に若干の違いがあっても、図4に示すクローポール型の発電機としての構成を備える。また、磁性体リング12は一対の強磁性体リング30a,30bを有する。多極磁石18、シール接触部となるスリンガ23、およびシール部材18は、第1の実施形態で説明した構成のものである。
ワイヤレス送信手段14は、電子部品とアンテナを収容したワイヤレス送信機38を取付リング26に装着したものである。ワイヤレス送信機38の電子部品の一部または全部が磁性体リング12に内蔵されていても良い。取付リング26は、断面形状がZ字状であり、内周円筒部26a,側面部26b,および外周円筒部26c有している。取付リング26は、例えば、一体にプレスすることで、上記各部26a〜26cが形成される。ワイヤレス送信機38は、内周円筒部26aの外径面に設置されている。
シール部材18は,芯金19の円筒部19aが外周面をシール20が覆わないかまたは先端の一部分だけを覆うようにする。このシール部材18を、側面部19bが磁性体リング12の側面部33に突き当てられた状態となるように、取付リング26の内周円筒部26aに嵌合させる。
【0030】
ワイヤレス送信手段14の内径面には、突起またはくぼみからなる被係合部28を形成し、シール部材18に、ワイヤレス送信手段14の内径面の被係合部28に係合するくぼみまたは突起からなる係合部27を形成し、上記被係合部28と係合部27とを係合させて、上記シール部材18をワイヤレス送信手段14の内径面に嵌合する。被係合部28は、取付リング26に形成される。係合部27および被係合部28は、第1の実施形態で説明したもの同じであり、周方向の全周にわたるものであっても、複数箇所に設けたものであっても良い。
次に、図8〜図11の個々の提案例につき説明する。なお、特に説明した構成を除き、各提案例とも、図1〜図4と共に説明した第1の実施形態と同じ構成である。
【0031】
図8の提案例では、磁性体リング12は、外径面が小径部分と大径部分とでなる段付の円筒面形状とされ、小径部分で外方部材の2の内径面に嵌合している。つまり、磁性体リング12は軸方向の一部で外方部材2の内径面に嵌合して取付けられている。磁性体リング12の内径面および外側の側面部33は、段差のない平坦な面とされている。
ワイヤレス送信手段14の取付リング26は、側面部26bを強磁性体リング30bの側面部33に突き当てた状態で、2つの強磁性体リング30a,30bの最外周部35,36の間に挟み込んで嵌合することにより、磁性体リング12と一体としてある。リング部材12の強磁性体リング30aの最外周部の先端を、強磁性体リング30bと取付リング26との嵌合後、取付リング26の側面部26bの方向にかしめて折り曲げ、嵌合部材が抜けるのを防止してもよい。内周円筒部26aは、磁性体リング12の側面部33から軸方向外方に突出する。このように突出した取付リング26の内周円筒部26aの内径面で、シール部材18がワイヤレス送信手段14に嵌合している。シール部材18は、内周円筒部26aと磁性体リング12の側面部33とで構成されるコーナ部に嵌合することになる。取付リング26の材質は、磁性体リング12内に挟み込むために磁性体とされ、また防錆性を有する材質とされている。なお、取付リング26は磁性体リング12に溶接により接合しても良い。
【0032】
このように、環状のワイヤレス送信手段14を磁性体リング12の軸方向の外方に配置し、シール部材18の取付用部分としてワイヤレス送信手段14を使用したことにより、発電機12のシール部材嵌合用の凸部を無くすことができて磁性体リングの磁路長が短くなり、磁気抵抗が小さくなる。その結果、発電効率が上がり,発電機を小型にすることができる。また、環状のワイヤレス送信手段14を磁性体リング12に嵌合して一体にすることで、外方部材2と内方部材3との同軸度を向上させることができ、シール性能が向上する。
【0033】
図9の提案例は、ワイヤレス送信手段14の取付リング26の外周円筒部26cを外方部材1の外径面に嵌合させることにより、ワイヤレス送信手段14を外方部材2に取付けたものである。この構成の場合、取付リング26の材質は、防錆性を有する材料であれば良くて磁性体でなくてもよく、例えばオーステナイト系ステンレス鋼(JIS 規格のSUS304系等)を使用してもよい。磁性体リング12の材質は、防錆性を有しない高透磁率材料を使用することができる。例えば、パーマロイ、珪素鋼板、圧延鋼板等でも良い。高透磁率材を使用することで、さらに発電効率が向上し、発電機を一層小型化できる。
【0034】
図10の提案例は、磁性体リング12を断面形状が矩形状のものとし、その最外径部36を軸方向の内側へ突出させて、この突出部分を外方部材2の外径面に圧入状態に嵌合させることで、磁性体リング12を外方部材2に取付けてある。ワイヤレス送信手段14は、取付リング26を磁性体リング12の外周に圧入状態に重ねることで、磁性体リング12に取付けてある。取付リング26の外周円筒部26cは、外方部材2の外径面まで延びている。取付リング26の側面部26bは、磁性体リング12の側面部33に重ねている。取付リング26は溶接等で磁性体リング12に接合しても良い。
【0035】
図11の提案例は、取付リング26の外周円筒部26cを外方部材2の外径面に圧入によって固定している。磁性体リング12は断面を矩形状として取付26の外周円筒部26cの内径面に圧入し、磁性体リング12とワイヤレス送信手段とを一体化している。
【0036】
お、発電機11とは別に回転以外(例えば振動や温度)の検出のためのセンサを設けた場合に、ワイヤレス送信手段14は、発電機11で検出される回転検出信号と上記別のセンサの検出信号との両方を送信するものとしても良い。
【0037】
【発明の効果】
この発明の車輪用軸受装置は、固定部材と回転部材の相対回転により発電する発電機の多極磁石と磁性体リングとの対向部を、回転部材と固定部材間をシールするシール部材の内側に配置したので、磁石の防錆処理を不必要にすることができ、磁石が安価になる。また、多極磁石と磁性体リングとの対向距離が小さくでき、かつ磁性体リングに高透磁率材料を使用することができて発電効率が向上し、発電機を小型化できる。発電機のシール用に、固定部材と回転部材間のシール部材とは別のシール手段を設けることも不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態にかかる車輪用軸受装置の断面図である。
【図2】 その回転検出装置の拡大断面図である。
【図3】 同回転検出装置の部分拡大断面図である。
【図4】 (A),(B)はそれぞれ同回転検出装置における発電機リング部材の断面図および正面図である。
【図5】 この発明の他の実施形態にかかる回転検出装置の断面図である。
【図6】 提案例にかかる回転検出装置の断面図である。
【図7】 この発明のさらに他の実施形態にかかる回転検出装置の断面図である。
【図8】 さらに他の提案例にかかる回転検出装置の断面図である。
【図9】 さらに他の提案例にかかる回転検出装置の断面図である。
【図10】 さらに他の提案例にかかる回転検出装置の断面図である。
【図11】 さらに他の提案例にかかる回転検出装置の断面図である。
【符号の説明】
1…固定部材
2…外方部材
3…内方部材
4…転動体
5a…転走面
6a,6b…転走面
7…回転部材
8…保持器
9…シール部材
11…発電機
12…磁性体リング
13…多極磁石
14…ワイヤレス送信手段
15…等速自在継手
16…磁石部材
17…芯金
18…シール部材
19…シールの芯金
20…シール
21…ラジアルリップ
22…サイドリップ
23…スリンガ
26…取付リング
27…係合部
28…被係合部
30a,30b…強磁性体リング
37…等速自在継手のカップ
38…ワイヤレス送信機

Claims (3)

  1. 固定部材に回転自在に支持された回転部材と、この固定部材と回転部材の相対回転により発電する発電機と、発電機が出力する回転数信号、および上記発電機の発電電力を電源として動作するセンサの出力信号のうちの少なくとも回転数信号をワイヤレスで送信する送信手段と、前記固定部材と回転部材間の隙間をシールするシール部材とを備え、前記固定部材が、内周に複列の転走面を有し外周にフランジを有する外方部材と、この外方部材が前記フランジを介して取付けられたナックルとでなり、前記回転部材が、前記外方部材の各転走面にそれぞれ対面する転走面を有する内方部材と、この内方部材に固定されてカップ部が前記内方部材と軸方向に並ぶ等速自在継手の外輪とでなる車輪用軸受装置であって、
    前記外方部材は、前記等速自在継手の前記カップ部側の端面の位置が内方部材の端面よりも軸方向の内側に引っ込んだ位置にあり、上記発電機が円周方向に磁極が並ぶ多極磁石と、コイルを収容して上記多極磁石に対面する磁性体リングとにより構成されていて、前記多極磁石は前記内方部材の外周に固定され、前記磁性体リングは、外径面が小径部分と大径部分とでなる段付の円筒面形状とされて小径部分で前記外方部材の前記カップ部側の端部の内径面に嵌合して取付けられ、この磁性体リングは、一部が前記内方部材の端面よりも前記カップ部側である軸方向の外側に突出し、上記ワイヤレス送信手段は環状に形成されて上記磁性体リングの軸方向の外側に隣接して位置しかつ前記磁性体リングと一体に固定状態とされ、前記磁性体リングの内径面は前記カップ部側の端部に凹面のコーナ部を構成する段付の形状とされ、このコーナ部に上記シール部材を嵌合し、このシール部材のシールリップを上記回転部材に設けたシール接触部に接触させ、このシール接触部を、前記等速自在継手のカップ部の外周に嵌合させたスリンガにより形成し、上記シール部材より内側において上記発電機の磁性体リングと多極磁石を対向させ、前記磁性体リングは、対面する一対の強磁性体リングを備え、これら一対の強磁性体リングは最外周部で互いに嵌合し、かつ多極磁石との対面部分に、互いに対向方向に折れ曲がった櫛歯状の複数の爪が形成され、両強磁性体リングの櫛歯状の爪は、周方向に互いに間隔をもって交互に配置されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 上記発電機の磁性体リングの内径面に、突起またはくぼみからなる被係合部を形成し、上記シール部材に、上記磁性体リングの内径面の被係合部に係合するくぼみまたは突起からなる係合部を形成し、上記被係合部と係合部とを係合させて、上記シール部材を上記磁性体リングの内径面に嵌合した請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 上記多極磁石が、環状の芯金とこの芯金に固定された磁石部材とでなり、前記スリンガを前記多極磁石の前記芯金と一体に形成した請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置。
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