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JP4041841B2 - ムライトウィスカーの製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化金属(FRM)、繊維強化重合体(FRP)、繊維強化セラミックス(FRC)等に用いるのに適したムライトウィスカーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
重合体、金属、セラミックスといった代表的な材料において、適当な微粒子や繊維状物質をフィラーとして複合させることにより、材料の強度及び耐熱性を向上させる手法は非常に一般的であり、またこの用途に用いるための各種フィラーが開発されてきている。しかしながら、特に高温下でのハンドリングが要求されるセラミックスや金属に適したフィラーは、SiCやSi3 4 といった数種類のフィラーに限定されており、これらのフィラーは、コスト面や機能面において様々な問題点を有している。
【0003】
ムライトセラミックスは、耐熱性及び耐食性において優れており、古くから耐火構造材や陶磁器等に利用されてきている。ムライトウィスカーは、このようなムライトの針状結晶であり、セラミックスや金属の物性に近く、また物性の温度による変化が比較的小さいため、繊維強化セラミックスや繊維強化金属用のフィラーとして、近年検討が重ねられている。しかしながら、その合成の困難さから、ほとんど実用化に至っていないのが現状である。
【0004】
ムライトウィスカーの合成方法としては、様々な方法が検討されている。例えば、特公平1−212299号公報では、SiO2 源とAl2 3 源を含む原料に、AlF3 を添加し焼成することによりバルクウィスカーを合成する方法が提案されている。この方法によれば、AlF3 を添加しない場合に比べ、かなり低い温度の焼成でムライトウィスカーを合成することが可能である。しかしながら、繊維強化セラミックスや繊維強化金属などに用いるフィラーとして適したサイズのウィスカーを得るためには、1200℃以上の高温における焼成が必要である。また、特開平3−261700号公報では、SiO2 源とAl2 3 源を含む原料に炭素を添加する方法が提案されており、この方法によれば解繊の容易なバルクウィスカーを得ることが可能であるが、やはり1200℃程度の高温での焼成が必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の製造方法では、1200℃程度あるいはそれ以上の高温での焼成が必要であり、設備コスト面及びランニングコスト面において実用化の妨げになっていた。
【0006】
また、最近は、繊維強化用途のフィラーとしてだけでなく、移動通信機器の一般化による電子材料用途にもムライトウィスカーの応用範囲が広がりつつあり、安価でかつ簡便な合成方法が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、1000℃以下の低温で、繊維強化用途等として適したムライトウィスカーを製造することができるムライトウィスカーの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、Al2 3 源とSiO2 源とをAl2 3 /SiO2 =0.3〜0.7(モル比)の比率で含むシリカ・アルミナ原料に、AlF3 をシリカ・アルミナ原料に対し5〜35重量%添加し、FeもしくはFeを含有する化合物をシリカ・アルミナ原料に対しFe換算で1〜20重量%添加し、さらに炭素もしくは炭素を含有する化合物をシリカ・アルミナ原料に対しC換算で5〜20重量%添加し、これを700〜950℃の温度で焼成することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、Al2 3 源とSiO2 源とをAl2 3 /SiO2 =0.3〜0.7(モル比)の比率で含むシリカ・アルミナ原料に、AlF3 をシリカ・アルミナ原料に対し5〜35重量%添加し、WもしくはWを含有する化合物をシリカ・アルミナ原料に対しW換算で1〜20重量%添加し、これを700〜950℃の温度で焼成することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の方法により製造されたことを特徴とするムライトウィスカーである。
ウィスカーとは、一般には特定形状の針状単結晶を意味する用語であるが、本明細書においては針状多結晶体、針状非晶質体を含めて用いる。
【0011】
以下、請求項1、請求項2、及び請求項3に共通の事項については、「本発明」として説明する。
本発明において用いるシリカ・アルミナ原料は、Al2 3 源とSiO2 源とをAl2 3 /SiO2 =0.3〜0.7(モル比)の比率で含んでいる。このようなシリカ・アルミナ原料として、特に好ましくは、カオリンが用いられる。また、場合によっては、Al2 3 源とSiO2 源とを上記比率となるように混合し、シリカ・アルミナ原料としてもよい。
【0012】
SiO2 源としては、焼成時にSiO2 となる得るような化合物ならばどのような化合物であってもよく、例えば、Si(OCH3 4 、Si(OC2 5 4 等のアルコキシドと、オルトケイ酸化合物、シリカゲル、シリカゾルなどが挙げられる。
【0013】
Al2 3 源としては、焼成時にAl2 3 となり得るような化合物であればどのような化合物でも用いることができ、例えば、Al(NO3 3 ・9H2 O、AlCl3 等のアルミニウム塩、Al(OC3 7 3 等のアルコキシド、Al(OH)3 、ベーマイト、アルミナゲル、アルミナゾル、γ−アルミナなどが挙げられる。
【0014】
本発明において用いるシリカ・アルミナ原料のAl2 3 /SiO2 の比率を上記比率の範囲内とすることにより、針状結晶の良好なムライトウィスカーを得ることができる。
【0015】
本発明においては、上記シリカ・アルミナ原料に、AlF3 をシリカ・アルミナ原料に対し5〜35重量%添加する。AlF3 の添加量が5重量%未満であると、繊維強化用として適した形状のムライトウィスカーを得ることができない傾向にある。またAlF3 の添加量が35重量%を超えると、ムライトの高温合成における中間生成物であるトパーズの結晶が反応生成物中に多量に混在するようになる。この生成したトパーズは、1000〜1300℃で徐々にSiO2 とムライトになるため、製品の使用温度を考慮すると、このようなトパーズが多量に含まれることは好ましくない。
【0016】
請求項1に記載の発明においては、FeもしくはFeを含有する化合物をシリカ・アルミナ原料に対しFe換算で1〜20重量%添加する。また、炭素もしくは炭素を含有する化合物をシリカ・アルミナ原料に対しC換算で5〜20重量%添加する。これらの添加量が上記範囲から外れると、繊維強化用として適した形状のムライトウィスカーを製造することができなくなる。
【0017】
Feとしては、例えば、Fe粉末を用いることができ、Feを含有する化合物としては、例えば、FeO、Fe(OH)2 、FeF2 、FeCO3 、Fe2 3 、FeO(OH)、FeF3 、FeC、Fe2 C、Fe3 C、Fe(NO3 3 、Fe2 (SO4 3 等が挙げられる。
【0018】
炭素としては、例えば、活性炭やアセチレンブラック、ハーネスブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉等が挙げられ、炭素を含有する化合物としては、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂等の加熱により炭化し得る有機物を例示できる。
【0019】
請求項2に記載の発明においては、WもくしはWを含有する化合物をシリカ・アルミナ原料に対しW換算で1〜20重量%添加する。この添加量が上記範囲から外れると、繊維強化用として適した形状のムライトウィスカーを製造することができなくなる。
Wとしては、例えば、W粉末が挙げられ、Wを含有する化合物としては、例えば、WC、W2 C、WOX 、W(CO)6 等を例示できる。
【0020】
本発明においては、シリカ・アルミナ原料に上記所定の成分を添加した後、700〜950℃の温度で焼成している。焼成温度がこれより低くなると、繊維強化用として適した形状のムライトウィスカーを製造することができなくなり、また焼成温度が高くなり過ぎると、1000℃以下の低温で繊維強化用として適したムライトウィスカーを製造するという本発明の目的が達成されなくなる。
【0021】
本発明において、焼成時間については、生成するムライトウィスカーの形状や収率にさほど影響がなく、ムライトウィスカー生成の反応速度は非常に早いものであるので特に限定されないが、焼成反応器や反応炉の形状によっては若干の差が見られるので、数時間程度の焼成時間とすることが好ましい。
【0022】
請求項1に記載の発明では、FeもしくはFeを含有する化合物及び炭素もしくは炭素を含有する化合物を添加している。また請求項2に記載の発明では、WもしくはWを含有する化合物を添加している。請求項1に記載の発明及び請求項2に記載の発明においては、これらの金属化合物を均一に固溶した針状結晶のムライトウィスカーが生成するため、低い焼成温度で、選択的に針状結晶として成長させることができ、大きなアスペクト比を有し、かつ大きな繊維径を有するムライトウィスカーを製造することができる。すなわち、600〜700℃の低温で部分的な針状結晶の成長が始まり、これによって、繊維長1〜20μm、繊維径0.05〜2μm程度のムライトウィスカーを得ることができる。また、本発明によれば、30〜80重量%の良好な収率でムライトウィスカーを得ることができる。
【0023】
また、請求項1に記載の発明では、FeもしくはFeを含有する化合物と、炭素もしくは炭素を含有する化合物を併用しているが、これは、Fe3 Cの形態でムライトウィスカーの製造工程において効果を及ぼしているものと推察される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に示す原料調製工程(A)において、表1及び表2に示す組成の原料を調製し、以下に示す調製工程(B)で、表1及び表2に示す反応温度及び焼成時間で焼成した後、以下に示す粉砕工程(C)で粉砕して、実施例及び比較例の試料を得た。
【0025】
A.原料調製工程
シリカ・アルミナ原料として、市販のカオリン粉末(平均粒径15μm)を用い、表1及び表2に示す原料組成となるように、AlF3 粉末(ステラケミファ株式会社製、粒子径15μm)、活性炭粉末(平均粒径10〜30μm)、Fe粉末(平均粒径16μm)、及びW粉末(平均粒径14μm)をアルミナ乳鉢を用いて均一色となる程度に混合し原料とする。
【0026】
B.焼成工程
原料調製工程(A)で調製した原料を、15ccの蓋付きアルミナるつぼに10.0g仕込み、シリコニット電気炉にて表1及び表2に示す温度及び時間で焼成した後、室温まで自然冷却する。
【0027】
C.粉砕工程
焼成工程(B)で得られた焼成物をガラス乳鉢にて粉砕する。
【0028】
【表1】
Figure 0004041841
【0029】
【表2】
Figure 0004041841
【0030】
以上のA〜Cの工程により得られた試料について、X線回折により生成成分を同定し、電子顕微鏡観察により生成したウィスカーの平均的な形状を測定した。
X線回折試験では、ムライト、トパーズ及びクリストバライトについてそれぞれ同定し、以下の基準で同定結果を示した。
【0031】
×:ほとんどピークは認められない
△:弱くブロードなピークが認められる
○:通常のピークが認められる
◎:顕著にシャープなピークが認められる
【0032】
また、電子顕微鏡観察では、生成したウィスカーの繊維長及び繊維径を測定し、測定結果を表3及び表4に示した。
また、得られた試料についてウィスカー収率を測定した。ウィスカー収率は、10重量%のHF水溶液に、得られた生成物を浸漬し、生成物中のトパーズ及びクリストバライトを溶出させ、ムライト結晶のみを残し、ムライト結晶の乾燥重量を測定することにより算出した。表3及び表4には、以下の基準で評価した結果を示した。
【0033】
×:5重量%未満の収率
△:5〜30重量%の収率
○:30〜60重量%の収率
◎:60重量%以上の収率
【0034】
【表3】
Figure 0004041841
【0035】
【表4】
Figure 0004041841
【0036】
表3と表4との比較から明らかなように、本発明に従う実施例1〜8においては、繊維長が長く、かつ繊維径の太い、繊維強化用として適した形状を有するムライトウィスカーが得られている。また、1000〜1300℃の加熱でSiO2 とムライトになる、トパーズの生成も少ないことがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、700〜950℃の低い温度で、繊維強化用等として適した寸法形状を有するムライトウィスカーを製造することができる。従って、繊維強化金属、繊維強化重合体、繊維強化セラミックス等に用いることができるムライトウィスカーを、実用的に収率よく得ることができ、従来の設備コスト面及びランニングコスト面等の問題を解消し、安価にかつ簡便に実用的なムライトウィスカーを生産することができる。

Claims (3)

  1. Al2 3 源とSiO2 源とをAl2 3 /SiO2 =0.3〜0.7(モル比)の比率で含むシリカ・アルミナ原料に、AlF3 をシリカ・アルミナ原料に対し5〜35重量%添加し、FeもしくはFeを含有する化合物をシリカ・アルミナ原料に対しFe換算で1〜20重量%添加し、さらに炭素もしくは炭素を含有する化合物をシリカ・アルミナ原料に対しC換算で5〜20重量%添加し、これを700〜950℃の温度で焼成することを特徴とするムライトウィスカーの製造方法。
  2. Al2 3 源とSiO2 源とをAl2 3 /SiO2 =0.3〜0.7(モル比)の比率で含むシリカ・アルミナ原料に、AlF3 をシリカ・アルミナ原料に対し5〜35重量%添加し、WもしくはWを含有する化合物をシリカ・アルミナ原料に対しW換算で1〜20重量%添加し、これを700〜950℃の温度で焼成することを特徴とするムライトウィスカーの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法により製造されたことを特徴とするムライトウィスカー。
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