JP4044482B2 - 光記録媒体とその記録再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピックアップレンズの回折限界を越えた記録密度で記録再生可能な光記録媒体とその記録再生方法に関する。
【0002】
【従来技術】
ナノメータサイズの機能性材料を高分子内に導入して複合化することは、電子的性質、導電的性質、光学的性質、磁気的性質等の新たな機能を発揮する機能性複合材料を得るのに重要な技術である。
従来、機能性材料として金属超微粒子(金属ナノクラスター)を用いた金属−有機複合材料の研究開発が進められている。しかしながら、光記録媒体としての研究開発は殆ど進められていないのが現状である。
光メモリ分野では、基板上に反射層を有する光記録媒体であって、CD規格、DVD規格に対応した記録が可能なCD−R、DVD−Rが商品化されているが、このような光記録媒体において、更なる大容量化と小型化が望まれており、記録密度の更なる向上が求められている。
現行システムでの記録容量の向上の要素技術は、記録ピットの微小化技術やMPEG2に代表される画像圧縮技術がある。記録ピットの微小化技術としては、記録再生光の短波長化や回折限界の向上を図るために光学系の開口数NAの増大化が検討されているが、その回折限界を越える記録再生は不可能である。
そこで回折限界を越える記録再生が可能な超解像技術や近接場光を利用した光メモリシステムが有力な手段として注目されてきたが、技術的なハードルの高さから未だ実用化には至っていない。
【0003】
例えば、超解像マスクを用いる光メモリーの従来技術として、下記特許文献1〜8の発明が知られている。
即ち、特許文献1には、有機溶媒に非水溶性ポリマーと金属化合物と還元剤を溶解し加熱することにより得られる、非水溶性有機ポリマーに保護されている粒径10nm以下の金属クラスター複合体に関する発明が開示されている。
特許文献2には、溶媒キャスト又は温度低下で相分離構造を形成することにより得られる、非相溶なブロック共重合ポリマーのミクロ相分離構造で一つの相にのみ金属超微粒子(粒径10nm以下)が含有されている複合体又は多孔体に関する発明が開示されている。
特許文献3には、高温高圧流体溶媒(超臨界流体溶媒)で相溶し、急激に圧力を低下させて超微小相分離構造を形成することにより得られる、非相溶な2種以上のポリマーブレンドで100nm以下の超微小相分離構造を持つポリマーアロイに関する発明が開示されている。
特許文献4には、配向性界面を起点にミクロ相分離を開始させ、その相分離構造形成領域を移動させて配向方向の揃ったグレインを成長させ、次いで転移温度近傍に加熱することにより得られる、三次元(単一グレイン)異方性ブロック共重合ミクロ相分離構造体に関する発明が開示されている。
【0004】
特許文献5には、微細空孔はミクロ相分離構造の一つの相を分解又は溶出処理して形成し、金属超微粒子は無電界メッキ又はそれに続く電界メッキにより担持することにより得られる、非相溶なブロック共重合ポリマー又はポリマーブレンドのミクロ相分離構造で一つの相にのみ金属超微粒子が担持されている微細空孔を有する複合体に関する発明が開示されている。ここで、微細空孔径は10nm〜1μm、金属超微粒子の粒径は1〜10nmである。
特許文献6には、親和性のあるブロック共重合ポリマー鎖及び親和性のないブロック共重合ポリマー鎖と金属化合物と還元剤を溶解し、加熱、還元して、金属微粒子表面を被覆保護し、溶媒キャスト又は温度低下で相分離構造を形成し、空孔は一つの相を分解するか又はホモポリマ、オリゴマー、低分子を添加しミクロ相分離した後、溶出処理して形成することにより得られる、非相溶なブロック共重合ポリマーのミクロ相分離構造で一つの相内の骨格表面近傍に金属超微粒子(粒径10nm以下)が含有されている複合体、更には他方のポリマー相が空孔化されている複合体に関する発明が開示されている。
【0005】
特許文献7には、金属・有機ポリマー(Mn1)複合体とマトリックスポリマー(Mn2)の溶液を、溶媒キャスト又は温度低下で相分離構造を形成し(Mn1>Mn2)、金属微粒子が含まれていないポリマー相を除去することにより得られる、非相溶なブロック共重合ポリマーのミクロ相分離構造で一つの相内の中央近傍に金属超微粒子が含有されている複合体に関する発明が開示されている。特許文献8には、親和性のあるブロック共重合ポリマー鎖及び親和性のないブロック共重合ポリマー鎖と金属イオンを、還元能のある高沸点溶媒と低沸点溶媒に溶解し、低沸点溶媒を除去し相分離構造を形成し、高沸点溶媒を除去しながら金属イオンを還元することにより得られる、非相溶なブロック共重合ポリマーのミクロ相分離構造で一つの相内に列状に金属超微粒子が含有されている複合体に関する発明が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−251548号公報
【特許文献2】
特開平10−330492号公報
【特許文献3】
特開平10−330493号公報
【特許文献4】
特開平10−330494号公報
【特許文献5】
特開平10−330528号公報
【特許文献6】
特開平11−60891号公報
【特許文献7】
特開2000−72951号公報
【特許文献8】
特開2000−72952号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)分散構造を有機ポリマー中に構築した有機薄膜を応用することにより、従来の光記録媒体では実現不可能なピックアップレンズの回折限界を越えた記録密度で記録再生可能な光記録媒体とその記録再生方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、検討の結果、高分子のミクロ相分離現象を利用し、その一つの相にのみナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)を分散含有させることにより目的とする有機薄膜を得、これを光記録媒体に利用することで、レーザピックアップの回折限界を越える記録密度で記録再生可能な光記録媒体を得るに至った。
即ち、上記課題は、次の1)〜9)の発明によって解決される。
1) 互いに非相溶の2種以上のポリマーブロックを有するブロック共重合体を主成分とし、そのミクロ相分離構造の一つの相にのみ金属超微粒子(金属ナノクラスター)が含有されている有機薄膜を記録層とする光記録媒体。
2) 金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相が、球状又は柱状構造である1)記載の光記録媒体。
3) 金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相が、球状構造であり、有機薄膜の膜厚が、球状構造の直径よりも薄い1)又は2)記載の光記録媒体。
4) 金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相が、柱状構造であり、その柱状構造が有機薄膜面に対し垂直に形成されている1)又は2)記載の光記録媒体。
5) 記録再生用レーザの波長近傍に最大吸収波長を持つように粒径及び形状が制御された金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
6) 記録再生用レーザの波長近傍に最大屈折率を持つように粒径及び形状が制御された金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
7) 金属超微粒子(金属ナノクラスター)が、金、銀、白金、それらの合金の何れかである1)〜6)の何れかに記載の光記録媒体。
8) レーザ光の照射により、ミクロ相分離構造における金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相の光学特性を変化させて記録再生する1)〜7)の何れかに記載の光記録媒体の記録再生方法。
9) レーザ光の照射により、ミクロ相分離構造における金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相の形状を変化させて記録再生する1)〜7)の何れかに記載の光記録媒体の記録再生方法。
【0009】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明は従来の光源サイドからのアプローチとは全く異なり、ナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)を高分子化合物内に導入して複合化した有機薄膜を光記録媒体に応用し、記録層に形成される記録用ドットの面積自体が照射光の回折限界よりも小さなドット列化した光記録媒体とすることにより、従来技術では達成出来なかった超高密度光記録媒体の提供を可能とするものである。
即ち、本発明の光記録媒体に用いる有機薄膜は、互いに非相溶の2種以上のポリマーブロックを有するブロック共重合体を主成分とし、そのミクロ相分離構造の一つの相にのみナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)が分散含有されている構造からなる。
この有機薄膜の特長は、ナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)が高分子マトリックス内に高度に秩序化されて存在することであり、そのような構造を実現するドライビングフォースとしてブロック共重合体のミクロ相分離現象を利用する。ミクロ相分離構造としては、光又は熱によりその光学特性が変化する機能を有するナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相が、球状構造又は柱状構造であるものが好ましい〔図1(a)、(b)参照〕。
【0010】
次に、本発明に用いる有機薄膜の製造方法について説明する。
互いに非相溶の2種以上のポリマーブロックを有するブ上記ロック共重合体が、溶媒キャスト又は温度変化によりミクロ相分離構造を形成することは本出願前公知であるが、本発明は、この現象を光記録媒体に応用したものである。
即ち、第一の製造方法は、このミクロ相分離構造の一つの相にのみ相溶性のあるナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)と上記ブロック共重合体とを含有する溶液を調合し、次いで浸漬塗布法やスピンコート法等により薄膜化した後、溶媒キャスト又はアニールしてミクロ相分離構造を形成することにより、ミクロ相分離構造の一つの相にのみナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)が含有された構造を形成できる。
第二の製造方法は、上記ブロック共重合体を含有する溶液を調合し、上記と同様にしてミクロ相分離構造を形成した後、そのミクロ相分離構造の一つの相にのみ相溶性のあるナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する溶液中に浸漬するか、又は塗布等により溶液に接触させることにより、ミクロ相分離構造の一つの相にのみ金属超微粒子(金属ナノクラスター)が含有された構造を形成できる。
【0011】
第三の製造方法は、上記ブロック共重合体を含有する溶液を調合し、上記と同様にしてミクロ相分離構造を形成し、その薄膜の上に、ミクロ相分離構造の一つの相にのみ相溶性のあるナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)をスピンコートや真空蒸着法等により積層させた後、この有機薄膜を加熱してナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)を拡散させることにより、ミクロ相分離構造の一つの相にのみナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)が含有された構造を形成できる。また、ミクロ相分離を促進させるために、上記ブロック共重合体以外に他のポリマーを添加しても良い。
なお、ナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)は、通常、有機溶媒中に金属化合物とその還元剤を溶解し加熱することで得られる。金属超微粒子(金属ナノクラスター)の安定性を高めるために有機低分子化合物や高分子化合物等を共存させて得られるナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)保護コロイドとしても良い。
【0012】
次に、この有機薄膜を、光記録材料として応用した本発明の光記録媒体について述べる。
従来の光記録媒体の記録層(記録材料が存在する層)は、通常、連続したほぼ均質な層であり、そこにレーザビームを照射して、記録材料にレーザビームの形状に対応した何らかの変化を起させることにより記録する。従って、最小記録ピットのサイズは、発振波長とレンズのNAで決定されるレーザビーム径に依存するため、従来の記録再生システムでは、高密度化は基本的にレーザの発振波長やレンズのNAの実用化技術力に左右されてきた。また、ビーム形状がガウス分布した形状であること、及び熱又は光に対し明瞭な閾値で変化する記録材料は殆ど存在し得ないことから、形成されるピットの最外周の大きさや変化量は均一にはならず、その再生信号品質にもバラツキ要因が必ず存在し、高品質の信号特性を得るにも限界があった。
【0013】
本発明の光記録媒体は、上記従来技術の問題点を克服した新しい構造の光記録媒体である。即ち、互いに非相溶の2種以上のポリマーブロックを有するブロック共重合体を主成分とし、そのミクロ相分離構造の一つの相にのみナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)が分散含有されている構造からなる有機薄膜を記録層に応用したので、記録層の連続した層中に、高度に秩序化された記録用ドットがマトリックスを介して非連続に存在し、かつその記録用ドットのサイズが均一なナノメータサイズ(5〜500nm)で形成されている。従って、最小記録ピットのサイズは、レーザ発振波長やレンズのNAで決定されることなく、形成される記録用ドットのサイズのみで決定されるので、任意の記録密度の光記録媒体が設計可能となる。更にピットの最外周のエッジも、記録用ドットの端部がエッジとなるようにすれば、有機薄膜の構造によりエッジが決定されることになるから、記録用ドット全体を変化させるように記録することで、ピットのバラツキの無い高品質の信号特性を得る事が可能となる。
【0014】
一般にミクロ相分離構造はその構成材料及び組成により、球状、柱状、ラメラ状、共連続状等の構造を形成するが、本発明の光記録媒体に応用できる好ましい構造は、球状及び柱状である。本発明の光記録媒体では、上記の通り、記録用ドットがマトリックスを介して非連続に存在する必要があるからである。
ミクロ相分離構造が球状構造の場合、記録層の膜厚は、その球状構造の直径よりも薄くすることが好ましい。こうすることにより金属超微粒子(金属ナノクラスター)が単層で形成され、記録媒体面上に光記録機能を有する記録用ドットがマトリックスを介して均一かつ非連続に存在する構造と成し得る。
しかし、記録層の膜厚が、金属超微粒子(金属ナノクラスター)の直径より厚くても、上記構造(記録媒体面上に均一に光記録機能を有する記録用ドットがマトリックスを介して非連続に存在する構造)となるように制御できれば当然使用可能である。
ミクロ相分離構造が柱状構造の場合、その柱状構造が有機薄膜面に対して垂直に形成された構造とすることが好ましい。こうすることにより、球状構造の場合と同様に、記録媒体面上に光記録機能を有する記録用ドットがマトリックスを介して均一かつ非連続に存在する構造と成し得る。
【0015】
金属超微粒子(金属ナノクラスター)に光を照射すると、金属中の自由電子が光電場により分極され、金属超微粒子(金属ナノクラスター)表面に電荷が発生し非線形分極が生じる。そのため電子のプラズマ振動に起因するプラズモン吸収と呼ばれる発色機構により特有の吸収を生じるが、その吸収特性は、金属の種類、粒径、形状に依存する。
本発明の光記録媒体は、使用するレーザ発振波長に対し、その発振波長近傍に最大吸収波長又は最大屈折率を持つように粒径及び形状を制御した金属超微粒子(金属ナノクラスター)を使用することが好ましい。光記録媒体は、その記録再生法の一つとして、記録層の光学特性変化を検知することで行うため、最も大きなコントラストが得られる条件が好ましいからである。
本発明の光記録媒体は、記録レーザ光を記録用ドットに照射することにより生じる変化で記録し、記録レーザ光よりパワーの小さい再生レーザ光でその変化を検知して再生する。
本発明の光記録媒体の記録再生法としては、記録用ドットの光学特性(吸収率、反射率、屈折率等)変化で記録し、その光学特性変化の強弱で再生するもの、及び記録用ドットの形状(凹凸、平滑性等)変化で記録し、その形状変化に起因する散乱や位相差による光学特性変化の強弱で再生するものが適用される。
【0016】
以下、光記録媒体の構成及びその必要物性について述べる。
《光記録媒体構成》
本発明の光記録媒体の構成としては、追記型光ディスクの構造(基板上に記録層を設けたものを2枚貼り合わせたいわゆるエアーサンドイッチ構造)としても、CD−R構造(基板上に記録層、反射層、保護層)としても良く、CD−R構造を貼り合わせたDVD構造でも良い。
層構造の基本は、図2(a)のような基板と記録層であり、図(b)(c)のように反射層を設けても良い。
《基板》
用いる基板としては、基板側より記録再生を行なう場合のみ使用レーザに対して透明でなければならず、記録層側から記録、再生を行なう場合には透明である必要はない。
基板材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック、又は、ガラス、セラミック、金属などを用いることができる。なお、基板の表面にトラッキング用の案内溝や、案内ピット、更にアドレス信号などのプリフォーマットなどが形成されていても良い。
【0017】
《記録層》
記録層はレーザ光の照射により何らかの変化を生じさせ、その変化により情報を記録し光学的に再生できるものであって、互いに非相溶の2種以上のポリマーブロックを有するブロック共重合体を主成分とし、そのミクロ相分離構造の一つの相にのみ金属超微粒子(金属ナノクラスター)が含有されている構造からなる。そして、記録は、光学特性又は形状の変化を起こさせることによって行われ、再生は、記録によりもたらされた変化を光学的変化として検知することにより行われる。
金属超微粒子(金属ナノクラスター)の光学特性としては、記録再生用レーザ波長に対し、その吸収特性変化を利用して再生する場合には、レーザ波長近傍に最大吸収波長を持つように粒径/形状を制御することが好ましく、記録再生用レーザ波長に対し、その屈折率変化を利用して再生する場合には、レーザ波長近傍に最大屈折率を持つように粒径/形状を制御することが好ましい。
本光記録媒体のように記録ピットの大きさを始めから定めることができると、従来法に比べて大幅に低エネルギーで記録が可能となる。従来法では、記録により明瞭なピット形状を形成しなければならず、レーザ照射による記録材料の反応率が高くなければ記録できなかった。一方、記録ピットが形成される記録用ドットが始めから形成されている本記録媒体では、僅かな反応率(例えば表面のみの反応)でもその変化が検知できる。
【0018】
ブロック共重合体は、互いに非相溶の2種以上のポリマーブロックを生じるようなモノマーを組み合わせて合成する。その合成法としては、鎖の末端から重合するリビング重合法(アニオン重合、リビングラジカル重合)、鎖の中央から合成するリビング重合法(アニオン重合)、末端官能性ポリマーの末端を結合させる合成法(アニオン重合、リビングラジカル重合)等がある。
また、用いるモノマーとしては、スチレン、イソプレン、α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン、アミノスチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、メタクリレート類、ε−カプロラクトン、ブタジエン、ビニルメチルエーテル、1,3−シクロヘキサンジエン、エチレンオキシド等が挙げられる。
金属超微粒子(金属ナノクラスター)の材料としては、金、銀、プラチナ、パラジウム、銅、錫、ロジウム、イリジウム等全ての金属が利用可能であるが、保存安定性及び光学特性の点から、金、銀、プラチナ及びその合金が特に好ましい。
これらの金属超微粒子(金属ナノクラスター)は単独で用いても2種以上組合わせて用いてもよい。
金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する記録用ドット径は、5〜500nm、好ましくは10〜200nmが適当である。
また、記録層には、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0019】
《下引き層》
下引き層は、(1)接着性の向上、(2)水又はガスなどのバリアー、(3)記録層の保存安定性の向上、(4)反射率の向上、(5)溶剤からの基板の保護、(6)案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成などを目的として使用される。
(1)の目的に対しては、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の高分子化合物、及び、シランカップリング剤などを用いることができる。
(2)及び(3)の目的に対しては、上記高分子材料以外に、SiO、MgF、SiO2、TiO、ZnO、TiN、SiNなどの無機化合物や、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Al、などの金属又は半金属を用いることができる。
(4)の目的に対しては、Al、Au、Ag等の金属や、メチン染料、キサンテン系染料などの金属光沢を有する有機薄膜を用いることができる。
(5)及び(6)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。
下引き層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは、0.05〜10μmとする。
【0020】
《反射層》
反射層は求められる反射率に応じて必要な場合に用いられる。
反射層の材料としては単体で高反射率の得られる腐食され難い金属、半金属等が挙げられ、具体例としてはAu、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Snなどが挙げられるが、反射率や生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましい。これらの金属、半金属は単独で使用しても、2種以上の合金としても良い。
膜形成法としては蒸着、スッパタリングなどが挙げられ、膜厚は50〜5000Å、好ましくは100〜3000Åとする。
【0021】
《保護層、基板面ハードコート層》
保護層及び基板面ハードコート層は、(1)記録層(反射吸収層)の傷、ホコリ、汚れ等からの保護、(2)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(3)反射率の向上等を目的として使用される。これらの目的に対しては、前記下引き層において示した材料を用いることができる。また、無機材料として、SiO、SiO2なども用いることができ、有機材料としてポリメチルアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。上記材料のうち最も好ましいのは下引き層において例示した生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。
保護層又は基板面ハードコート層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmとする。
本発明において、前記下引き層、保護層、及び基板面ハードコート層には、記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例及び比較例の評価結果を纏めて表1に示すが、表中の照射部、未照射部は、それぞれ、記録光を照射した部分と照射しなかった部分である。
【0023】
≪実施例1≫
数平均分子量約182,000のポリスチレンとポリ−(2−ビニルピリジン)からなり、ポリ−(2−ビニルピリジン)の体積分率が18体積%であるブロック共重合体をリビングラジカル法で合成した。
2−ブタノン中に、このブロック共重合体(2.3×10−2mol/l)、塩化金酸ナトリウム二水和物(6.8×10−4mol/l)、テレフタルアルデヒド(1.7×10−3mol/l)、アルミニウムアセチルアセトナート(4.0×10−4mol/l)、トリフェニルシラノール(1.4×10−2mol/l)を溶解し、70℃で10時間加熱した。冷却後、この溶液を用いて成形基板上にキャスト膜を形成し、140℃で10時間アニールした。
キャスト膜の相分離構造は、AFM(原子間力顕微鏡)測定により、金超微粒子がポリ−(2−ビニルピリジン)中に選択的に分散された直径約40nm以下の球状構造が形成されていることを確認した。
次に、アクリル系のフォトポリマーで表面硬化させたポリメチルメタクリレート(PMMA)基板上に、乾燥後の膜厚が約30nmとなるような条件で上記の溶液をスピナー塗布して膜を形成し、140℃で10時間アニールして光記録媒体を得た。
この光記録媒体をTEM(透過型電子顕微鏡)及びAFM測定した結果、PMMA基板上に、金超微粒子がポリ−(2−ビニルピリジン)中に選択的に分散された球状構造が単層として形成されていることを確認した。
【0024】
≪実施例2≫
塩化金酸ナトリウム二水和物を酢酸銀に変えた点以外は実施例1と同様にして塗布溶液を調整し、実施例1と同様にして光記録媒体を得た。
この光記録媒体を、実施例1と同様にして測定した結果、PMMA基板上に、銀超微粒子がポリ−(2−ビニルピリジン)中に選択的に分散された球状構造が単層として形成されていることを確認した。
【0025】
≪実施例3≫
数平均分子量約154,000のポリスチレンとポリ−(2−ビニルピリジン)からなり、ポリ−(2−ビニルピリジン)の体積分率が16体積%であるブロック共重合体をリビングラジカル法で合成した。
ベンゼン/n−プロピルアルコール(50/50体積%)混合溶媒に、このブロック共重合体(2.6×10−2mol/l)、パラジウムアセトナート(6.5×10−4mol/l)を溶解し85℃で48時間加熱した。冷却後、この溶液を用いて成形基板上にキャスト膜を形成し、140℃で10時間アニールした。
キャスト膜の相分離構造は、TEM及びAFM測定により、パラジウム超微粒子がポリ−(2−ビニルピリジン)中に選択的に分散された直径約30nm以下の球状構造が形成されていることを確認した。
次に、アクリル系のフォトポリマーで表面硬化させたPMMA基板上に、乾燥後の膜厚が約25nmとなるような条件で上記の溶液をスピナー塗布して膜を形成し、140℃で10時間アニールして光記録媒体を得た。
この光記録媒体をTEM及びAFM測定した結果、PMMA基板上に、パラジウム超微粒子がポリ−(2−ビニルピリジン)中に選択的に分散された球状構造が単層として形成されていることを確認した。
【0026】
≪実施例4≫
数平均分子量約168,000のポリエチレンオキサイドとアゾベンゼンで修飾した下記〔化1〕で示される繰り返し単位を有するポリメチルメタクリレートからなり、ポリエチレンオキサイドの体積分率が29体積%であるブロック共重合体をリビングラジカル法で合成した。
【化1】
2−ブタノン中に、このブロック共重合体(1.5×10−2mol/l)、塩化金酸ナトリウム二水和物(6.5×10−4mol/l)、テレフタルアルデヒド(1.7×10−3mol/l)、アルミニウムアセチルアセトナート(3.8×10−4mol/l)、トリフェニルシラノール(1.0×10−2mol/l)を溶解し、70℃で10時間加熱し塗布溶液を得た。
冷却後、この塗布溶液をアクリル系のフォトポリマーで表面硬化させたPMMA基板上に、乾燥後の膜厚が約60nmとなるような条件でスピナー塗布して膜を形成し、120℃で10時間アニールして光記録媒体を得た。
この光記録媒体をTEM及びAFM測定した結果、PMMA基板上に、金超微粒子がポリエチレンオキサイド中に選択的に分散された柱状構造が有機薄膜面に対し垂直に形成されていることを確認した。
【0027】
≪実施例5≫
塩化金酸ナトリウム二水和物を酢酸銀に変えた点以外は実施例4と同様にして塗布溶液を調整し、実施例4と同様にして光記録媒体を得た。
この光記録媒体を、実施例4と同様にして測定した結果、PMMA基板上に、銀超微粒子がポリエチレンオキサイド中に選択的に分散された柱状構造が有機薄膜面に対し垂直に形成されていることを確認した。
【0028】
≪実施例6≫
塩化金酸ナトリウム二水和物を塩化白金酸六水和物に変えた点以外は実施例4と同様にして塗布溶液を調整し、実施例4と同様にして光記録媒体を得た。
この光記録媒体を、実施例4と同様にして測定した結果、PMMA基板上に、白金超微粒子がポリエチレンオキサイド中に選択的に分散された柱状構造が有機薄膜面に対し垂直に形成されていることを確認した。
【0029】
≪比較例1≫
実施例1と同じブロック共重合体のみを2−ブタノンに溶解して塗布溶液を調製した点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を得た。
この光記録媒体を、実施例4と同様にして測定した結果、PMMA基板上に、球状構造が単層として形成されていることを確認した。
【0030】
≪比較例2≫
実施例4と同じブロック共重合体のみを2−ブタノンに溶解して塗布溶液を調製した点以外は、実施例4と同様にして光記録媒体を得た。
この光記録媒体を、実施例4と同様にして測定した結果、PMMA基板上に、柱状構造が有機薄膜面に対し垂直に形成されていることを確認した。
【0031】
上記実施例及び比較例の光記録媒体に対し、発振波長415nm、ビーム径1.0μmの半導体レーザを、水平方向に1.5μm間隔で1.0cm2スキャンさせた。この照射部及び未照射部について、TEM、AFMによる観察、顕微分光法による反射率及び透過率の測定を行った。結果を纏めて下記表1に示す。
上記記録条件では、記録ドットが数十nmで記録ビーム径が1.0μmのため、一度のレーザスキャンで数多くの記録ドットが光照射される。また、再生評価もマクロの観察である。厳密には記録ドット単位で記録し、記録ドット単位で再生したものではないが、実施例と比較例との対比から記録ドットへの記録及び再生が検証できる。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例と比較例を対比すると、実施例の光記録媒体は、レーザにより記録が可能なことが明らかであり、球状又は柱状構造内に存在する金属超微粒子に記録がなされたことが明らかである。
なお、本実験では、金属超微粒子ドット径(数十nm)に比較して大きなビーム径(1.0μm)の光源で記録したため、多数の金属超微粒子ドットに一度に記録することになったが、金属超微粒子ドットと同程度のビーム径で記録すれば、金属超微粒子ドットに個別に記録できることは言うまでもない。
また、本発明の光記録媒体は、記録信号を透過率変化として再生できることから、この現象を利用して再生する方式では、金属超微粒子が、記録再生用レーザの発振波長近傍に最大吸収波長を持つように制御することが最も好ましい。
同じく、記録信号を反射率変化として再生できることから、この現象を利用して再生する方式では、金属超微粒子が、記録再生用レーザの発振波長近傍に最大屈折率を持つように制御することが最も好ましい。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、ナノメータサイズの金属超微粒子(金属ナノクラスター)分散構造を有機ポリマー中に構築した有機薄膜を応用することにより、従来の光記録媒体では実現不可能なピックアップレンズの回折限界を越えた記録密度で記録再生可能な光記録媒体とその記録再生方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の有機薄膜構造を説明するための図。
(a) 球状構造(海島構造)を示す図
(b) 柱状構造を示す図
【図2】光記録媒体の層構成例を示す図。
(a) 基板の上に記録層を設けた例
(b) 記録層の上に更に反射層を設けた例
(c) 記録層と反射層を入れ替えた例
【符号の説明】
1 基板
2 記録層
3 反射層
Claims (9)
- 互いに非相溶の2種以上のポリマーブロックを有するブロック共重合体を主成分とし、そのミクロ相分離構造の一つの相にのみ金属超微粒子(金属ナノクラスター)が含有されている有機薄膜を記録層とする光記録媒体。
- 金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相が、球状又は柱状構造である請求項1記載の光記録媒体。
- 金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相が、球状構造であり、有機薄膜の膜厚が、球状構造の直径よりも薄い請求項1又は2記載の光記録媒体。
- 金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相が、柱状構造であり、その柱状構造が有機薄膜面に対し垂直に形成されている請求項1又は2記載の光記録媒体。
- 記録再生用レーザの波長近傍に最大吸収波長を持つように粒径及び形状が制御された金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体。
- 記録再生用レーザの波長近傍に最大屈折率を持つように粒径及び形状が制御された金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体。
- 金属超微粒子(金属ナノクラスター)が、金、銀、白金、それらの合金の何れかである請求項1〜6の何れかに記載の光記録媒体。
- レーザ光の照射により、ミクロ相分離構造における金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相の光学特性を変化させて記録再生する請求項1〜7の何れかに記載の光記録媒体の記録再生方法。
- レーザ光の照射により、ミクロ相分離構造における金属超微粒子(金属ナノクラスター)を含有する相の形状を変化させて記録再生する請求項1〜7の何れかに記載の光記録媒体の記録再生方法。
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