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JP4046017B2 - 燃料供給装置 - Google Patents
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JP4046017B2 - 燃料供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料タンク内の燃料を、所定の燃料温度以上に加熱したうえで、前記内燃機関の気筒に供給する燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排ガス中の有害成分を低減させるための一つの手段として、ヒータで加熱した燃料を噴射することにより燃料を減圧沸騰させ、燃料噴霧を微粒化することが有効である。とりわけ、内燃機関の冷間始動時は、燃料の温度が低く噴射した燃料が微粒化しにくいので、ヒータで燃料を加熱することが効果的である。また、燃料噴霧を微粒化することは、内燃機関の始動性及び出力の向上を図るためにも有効であることが分かっている。
【0003】
上記のように、燃料を加熱する手段としては、まず、内燃機関の気筒内に燃料を噴射するインジェクタに加熱ヒータを配置する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、一般的に、インジェクタが搭載されている部分は、他にも搭載される部品が多く、インジェクタ周辺に十分なスペースを確保できない。従って、上記の構成では、インジェクタに設けられる電気ヒータのコネクタや、接続用ワイヤハーネスなどを小型形状にする必要がある。
【0004】
ここで、電気ヒータのコネクタや、接続用ワイヤハーネスが小型の場合は、その電気抵抗値が高いなどの理由から、許容電流値が小さくなる。また、特に高温時には、それらの電気抵抗値がより高くなるため、さらに許容電流値が小さくなる。その結果、上記の構成では、内燃機関の暖機後は、加熱ヒータにおけるコネクタ部やワイヤハーネス部の温度の過昇温を防止するために、電気ヒータへの供給可能電力が制約を受け、燃料の温度を十分に上昇させることができない不具合があった。
【0005】
一方、燃料タンクと上記インジェクタとの間を結ぶ燃料供給経路中のデリパイプまたはコモンレールに加熱ヒータを配置し、デリパイプまたはコモンレール内の燃料を加熱する構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この構成では、スペース的な制限は緩和されるものの、ヒータ加熱部からインジェクタの燃料噴射部までの熱容量が非常に大きいため、燃料加熱効率が悪く、特に冷間始動直後からの燃料加熱効果は期待できないという不具合があった。
【0006】
なお、上記以外の従来技術として、特許文献3に示すものが例示できる。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−29533号公報
【特許文献2】
特開平08−338339号公報
【特許文献3】
特開平07−77130号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、内燃機関の冷間始動直後及び暖機後の双方において、燃料噴射弁から噴射される燃料の温度を充分に上昇させることにより、燃料噴射弁から噴射される燃料をより好適に微粒化することができる技術を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、内燃機関の燃料タンク内の燃料を、所定の燃料温度以上に加熱したうえで、前記内燃機関の気筒に供給する燃料供給装置であって、燃料噴射弁に設けられて燃料噴射弁の内部の燃料を加熱する第1の燃料加熱手段と、燃料通路に備えられて燃料通路の内部の燃料を加熱する第2の燃料加熱手段の、2つの燃料加熱手段を備えることを最大の特徴とする。
【0010】
より詳しくは、本発明においては、燃料噴射弁に、供給電流の電流値に応じた発熱で燃料噴射弁の内部にある燃料を加熱するための第1の加熱手段を設け、燃料通路に、供給電流の電流値に応じた発熱で燃料通路の内部の燃料を加熱する第2の加熱手段を設けた。そして、供給電流制御手段がこれらの2つの加熱手段に供給する電流を制御することにより、内燃機関の温度状態に応じて上記の2つの加熱手段を使い分けることとした。
【0011】
こうすれば、内燃機関の冷間始動時に、主に第1の加熱手段に電流を供給することにより、燃料噴射弁内の少量の燃料を噴射直前に加熱できるので、内燃機関の始動直後から、燃料噴霧の微粒化を促進することができる。また、内燃機関の暖機後は、主に第2の加熱手段に電流を供給することにより、燃料噴射弁及び第1の加熱手段を構成する電気部品の過剰な昇温を防止することができる。
【0012】
ここで、第1の加熱手段は、上述のように、燃料噴射弁内の少量の燃料を噴射直前に加熱するので、一度加熱した燃料が冷えることもないし、加熱する燃料の熱容量が小さい。よって、第1の加熱手段による加熱だけでも、加熱開始後短時間で燃料噴射弁から噴射される燃料を充分な温度まで加熱することができる。ところが、第1の加熱手段は、燃料噴射弁に設けられるため、スペース的な制限が多く、第1の加熱手段を構成する電気部品を小型化する必要が生じる。
【0013】
上記のように電気部品を小型化した場合、特に、内燃機関の暖機により周囲温度が上昇した状態で、第1の加熱手段へ多くの電流を供給すると、小型の電気部品の温度が過剰に昇温するおそれがある。よって、内燃機関の暖機後は第1の加熱手段への供給電流を制限する必要がある。結果として、燃料温度を十分に上昇させることが困難となる。また、内燃機関の暖機により周囲温度が上昇した状態で、第1の加熱手段へ大きい電流を供給すると、燃料噴射弁自体が過剰に昇温するおそれもある。
【0014】
一方、第2の加熱手段は、燃料通路に設けられるため、スペース的な制限が少なく、第2の加熱手段を構成する電気部品を小型化する必要がない。よって、内燃機関の暖機により周囲温度が上昇しても、第2の加熱手段への供給電流が制限をうけず、燃料温度を充分に上昇させることができる。しかし、第2の加熱手段による加熱部から燃料噴射弁の噴射孔までの距離が長く、加熱する燃料量も多いため、加熱開始から短時間で燃料噴射弁から噴射される燃料の温度を充分な温度まで上昇させることは困難である。
【0015】
従って、上記のように、供給電流制御手段が第1及び第2の2つの加熱手段への供給電流を制御することにより、上記2つの加熱手段の短所を補うことができ、内燃機関の冷間始動直後及び暖機後の双方において、燃料噴射弁から噴射される燃料を十分な温度まで上昇させることができる。結果として、内燃機関の冷間始動直後及び暖機後の双方において、燃料噴射弁から噴射される燃料を十分に微粒化することができる。
【0016】
なお、上記した、第1の加熱手段または、第2の加熱手段を構成する電気部品としては、通電によって発熱する電熱線と電気回路部を接続する、電気コネクタや接続用ワイヤハーネスなどを例示することができる。
【0017】
また、本発明においては、前記供給電流制御手段は、前記燃料噴射弁の温度を推定する温度推定手段を有しており、供給電流制御手段は、温度推定手段が推定した前記燃料噴射弁の温度が所定温度より低い場合は、少なくとも前記第1の加熱手段に電流を供給することとし、一方、温度推定手段が推定した燃料噴射弁の温度が所定温度以上の場合は、少なくとも第2の加熱手段に電流を供給するようにするとよい。
【0018】
こうすれば、燃料噴射弁の温度が所定温度より低い場合は、少なくとも第1の加熱手段に電流を供給することにより、燃料噴射弁から噴射される燃料の温度を早急且つ充分に上昇させることができる。また、燃料噴射弁の温度が所定温度以上になった場合は、少なくとも第2の加熱手段に電流を供給することにより、燃料噴射弁の過昇温をより確実に防止することができる。また、燃料噴射弁に備えられた第1の加熱手段を構成する電気部品の温度も、燃料噴射弁と略同じ温度と考えることができるので、第1の加熱手段を構成する電気部品についても、その過昇温をより確実に防止することができる。
【0019】
また、本発明においては、温度推定手段は、燃料の加熱開始時からの前記第1の加熱手段への供給電流の積算値により、燃料噴射弁の温度を推定するとよい。ここで、燃料噴射弁は、第1の加熱手段が燃料を加熱するときに同時に加熱されることから、燃料噴射弁の温度と、第1の加熱手段への供給電流の積算値との相関は高い。よって、この方法により燃料噴射弁の温度をより正確に推定することができる。
【0020】
また、本発明においては、供給電流制御手段は、燃料の加熱開始時から所定時間が経過するまでは少なくとも第1の加熱手段に電流を供給し、該所定時間の経過後は少なくとも前記第2の加熱手段に電流を供給するようにしてもよい。こうすることにより、より簡単な制御で、燃料噴射弁及び第1の加熱手段を構成する電気部品(以下、燃料噴射弁など、という)の過昇温を防止しながら、内燃機関の冷間始動直後から、燃料噴射弁から噴射される燃料の温度を充分に上昇させることができる。
【0021】
この場合の、供給電流制御手段による第1及び第2の加熱手段への供給電流の制御としては、所定時間が経過するまで第1の加熱手段のみに電流を供給し、該所定時間の経過後は第2の加熱手段のみに電流を供給する制御を例示することができる。この制御により、さらに簡単な制御で、燃料噴射弁などの過昇温を防止しながら、内燃機関の冷間始動直後から、燃料噴射弁から噴射される燃料の温度を充分に上昇させることができる。
【0022】
また、この場合の、供給電流制御手段による第1及び第2の加熱手段への供給電流の制御の別の例としては、時間の経過とともに、前記第1の加熱手段に供給する電流値に対する前記第2の加熱手段に供給する電流値の比を増加させる制御を挙げることができる。このことにより、第1及び第2の加熱手段への供給電流を連続的に変化させることができるので、燃料噴射弁などの過昇温を防止しながら、燃料噴射弁から噴射される燃料の温度が急激に変化することを防止することができる。
【0023】
なお、ここで、時間の経過とともに、前記第1の加熱手段に供給する電流値に対する前記第2の加熱手段に供給する電流値の比を増加させる制御をする際に、前記第1の加熱手段に供給する電流値と、前記第2の加熱手段に供給する電流値との合計の電流値を常に一定にするとよい。これにより、燃料を加熱するための供給電流の合計量を一定にできるので、簡単な制御で、燃料噴射弁などの過昇温を防止しながら、燃料噴射弁から噴射される燃料の温度を略一定に制御することができる。
【0024】
また、本発明においては、供給電流制御手段は、少なくとも前記燃料の加熱が開始された後の所定期間に、時間の経過とともに、前記第1の加熱手段における発熱の量に対する前記第2の加熱手段における発熱の量の比が増加するように前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御するとよい。
【0025】
すなわち、単に、時間の経過とともに、第1の加熱手段に供給する電流値に対する第2の加熱手段に供給する電流値の比を増加させるのではなく、時間の経過とともに、前記第1の加熱手段における発熱の量に対する前記第2の加熱手段における発熱の量の比が増加するように前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御する。ここで、前記第1及び第2の加熱手段における発熱の量とは、前記前記第1及び第2の加熱手段において、供給電流制御手段から供給された電流によって生じた単位時間あたりの熱エネルギーであり、前記第1及び第2の加熱手段における消費電力に基づく量である。
【0026】
上記の具体的な方法としては、前記第1及び第2の加熱手段に供給する電流値と、前記第1及び第2の加熱手段の電気抵抗の値とから、前記第1及び第2の加熱手段における消費電力を取得し、時間の経過とともに、前記第1の加熱手段における消費電力に対する前記第2の加熱手段における消費電力の比が増加するように前記前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御することを例示することができる。
【0027】
こうすれば、第1及び第2の加熱手段における温度上昇に伴う電気抵抗の値の変化にかかわらず、第1及び第2の加熱手段における発熱の量を直接制御することができ、結果として、燃料噴射弁などの過昇温をより確実に防止しながら、燃料噴射弁から噴射される燃料の温度が急激に変化することを防止することができる。
【0028】
また、本発明においては、供給電流制御手段は、前記内燃機関の機関温度を推定する機関温度推定手段を備えており、上述したように燃料噴射弁の温度を推定して、その温度に基づいて第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御するかわりに、機関温度推定手段が推定した内燃機関の機関温度に基づいて第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御するようにしてもよい。
【0029】
ここで、燃料噴射弁などの温度は、内燃機関の機関温度の影響を多分に受ける。すなわち、内燃機関の機関温度が上昇すれば、燃料噴射弁の温度も同様に上昇し、同様に、第1の加熱手段を構成する電気部品の温度も上昇する。従って、内燃機関の機関温度を推定し、その機関温度に基づいて第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御することにより、上述のように燃料噴射弁の温度を推定するまでもなく、燃料噴射弁などの過昇温をより確実に防止することができる。
【0030】
この場合の、供給電流制御手段による第1及び第2の加熱手段への供給電流の制御としては、前述した制御と同様に、機関温度が所定の機関温度未満の場合は、第1の加熱手段のみに電流を供給し、機関温度が所定の機関温度以上の場合は、第2の加熱手段のみに電流を供給する制御や、機関温度の上昇とともに、前記第1の加熱手段に供給する電流値に対する前記第2の加熱手段に供給する電流値の比を増加させる制御を挙げることができる。
【0031】
また、内燃機関の機関温度が上昇した場合には、冷間始動直後のように加熱しなくても、燃料噴射弁から噴射される燃料を充分に微粒化することができ、出力の向上やエミッションの低減を実現できる場合がある。従って、内燃機関の機関温度を推定して、機関温度が充分に高い場合は、第1及び第2の加熱手段に供給する電流値を必要最低限になるように制御すれば、全体の供給電流を抑えることができ、消費電力を低減させることができる。
【0032】
また、機関温度の上昇とともに、前記第1の加熱手段に供給する電流値に対する前記第2の加熱手段に供給する電流値の比を増加させる制御をする際は、前記第1の加熱手段に供給する電流値と、前記第2の加熱手段に供給する電流値との合計の電流値は、機関温度の上昇とともに減少させるとよい。こうすれば、第1及び第2の加熱手段に供給する電流値の合計を必要最低限に制御でき、全体の供給電流を抑えることができ、消費電力を低減させることができる。
【0033】
また、本発明においては、供給電流制御手段は、前記機関温度推定手段が推定した前記内燃機関の温度が所定範囲にある場合に、機関温度推定手段が推定した内燃機関の機関温度が高くなるほど、前記第1の加熱手段における発熱の量に対する前記第2の加熱手段における発熱の量の比が増加するように前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御してもよい。
【0034】
こうすれば、前述したように、第1及び第2の加熱手段における温度上昇に伴う電気抵抗値の変化にかかわらず、第1及び第2の加熱手段における発熱の量を直接制御することができ、結果として、燃料噴射弁の温度を推定するまでもなく、燃料噴射弁などの過昇温をさらに確実に防止しながら、燃料噴射弁から噴射される燃料の温度が急激に変化することを防止することができる。
【0035】
また、この場合、第1及び第2の加熱手段における合計の発熱の量は、機関温度の上昇とともに減少させ、必要最低限の量にするとよい。こうすれば、第1及び第2の加熱手段における電気抵抗の値にかかわらず、第1及び第2の加熱手段における合計の消費電力を必要最低限にすることができる。
【0036】
また、本発明における内燃機関の機関温度を推定する方法としては、内燃機関を水冷する冷却水の温度から推定する方法を例示することができる。冷却水の温度は、内燃機関の機関温度との相関が高いため、この方法によってより簡単に、且つより正確に内燃機関の機関温度を推定することができる。
【0037】
また、本発明における内燃機関の機関温度を推定する他の方法としては、内燃機関の始動時からの、内燃機関に吸入された吸入空気量の積算値から推定する方法を例示することができる。ここで、内燃機関の始動時からの吸入空気量の積算値は、内燃機関の始動時から機関内で生じた燃焼による熱量の積算値と高い相関を有する。また、この熱量の積算値によって内燃機関の機関温度上昇が求まる。従って、内燃機関の始動時からの吸入空気量の積算値を検知することにより内燃機関の機関温度をより正確に推定することができる。
【0038】
なお、本発明においては、冷却水の温度または、内燃機関の始動時からの、内燃機関に吸入された吸入空気量の積算値に加えて、内燃機関に吸入された吸入空気の温度からも内燃機関の機関温度を推定するとよい。すなわち、吸入空気の温度は、外気温度と高い相関があり、内燃機関の機関温度は、外気の温度の影響を受けることがわかっている。従って、吸入空気の温度を、内燃機関の機関温度を推定するパラメータに加えることにより、より正確に内燃機関の機関温度を推定することができる。
【0039】
なお、上記した、課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0041】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る燃料供給装置の概略構成を示すブロック図である。同図において燃料タンク1の内部には燃料1aが充填されている。また、この燃料タンク1の内部には燃料圧送手段としての燃料ポンプ2が配設されており、この燃料ポンプ2が駆動することにより燃料1aは燃料供給管3を介して後述する燃料噴射弁であるインジェクタ9に向けて圧送される。
【0042】
燃料供給管3には、第2の加熱手段である燃料供給管ヒータ4が備えられている。この燃料供給管ヒータ4は、電熱線,ニクロム線またはリボンヒータ等により構成される電熱ヒータであり、コントロール回路7から電流を供給されることにより発熱し、燃料供給管3内を通過する燃料1aを加熱する。
【0043】
次に、インジェクタ9は、内燃機関10に配設されており、後述するエンジンコントロールユニット(ECU)21から供給される燃料噴射信号に応じて開弁及び閉弁する。そして、燃料供給管3及びデリパイプ6を通り供給された燃料1aを内燃機関10の気筒10aに向けて噴射する。
【0044】
また、インジェクタ9には、インジェクタ9内の燃料1aを加熱するための第1の加熱手段であるインジェクタヒータ5が備えられている。インジェクタヒータ5は、燃料供給管ヒータ4と同様、電熱線,ニクロム線またはリボンヒータ等により構成される電熱ヒータであり、ECU21からの指令に基づいてコントロール回路7が、インジェクタヒータ5への供給電流を制御する。
【0045】
また、内燃機関10には、機関制御用の電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)21が併設されている。ECU21は、双方向性バスによって相互に接続された、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース回路、出力インタフェース回路等から構成されている。
【0046】
前記ECU21には、内燃機関10に備えられ、内燃機関10に導入される吸気の温度を検出する吸気温センサ11や、内燃機関10に流入する空気の質量(吸入空気質量)に対応した電気信号を出力するエアフローメータ12及び、内燃機関10の冷却水の温度を検出する冷却水温センサ13などのセンサ類が電気配線を介して接続され、各センサの出力信号がECU21に入力されるようになっている。また、ECU21には、インジェクタ9、コントロール回路7等が電気配線を介して接続され、ECU21がそれらを制御することが可能になっている。また、このECU21は、後述するように本発明の特徴である燃料加熱制御を実行する。
【0047】
なお、本実施の形態における燃料通路は、燃料供給管3及び、デリパイプ6を含んで構成される。
【0048】
本実施の形態では、内燃機関10の始動時には、インジェクタヒータ5によって、インジェクタ9から気筒10aに噴射されるべき燃料1aを加熱する。その後、インジェクタヒータ5への供給電流積算値からインジェクタ9の温度Tを推定する。そしてインジェクタ9の温度Tが所定温度TS1以上になったときに、インジェクタヒータ5による燃料1aの加熱を停止し、燃料供給管ヒータ4による燃料1aの加熱に切り替える燃料加熱制御を行う。
【0049】
以下、図2に示した燃料加熱ルーチンのフローチャートを用いて、本実施の形態における燃料加熱制御を説明する。本ルーチンは、ECU21のROMに記憶されたプログラムであり、所定時間毎に実行される。
【0050】
本ルーチンが実行されると、まず、S201において各種運転条件が、内燃機関10に備えられた各種センサから取得される。ここで取得する運転条件としては、内燃機関10の冷却水の温度、内燃機関の回転負荷、外気温などが挙げられるが、これらの運転条件は、それぞれ、冷却水温センサ13、アクセルの踏み込み位置を検出する図示しないアクセルポジションセンサ、吸気温センサ11から取り込まれる。
【0051】
次に、S202において、S201で取り込んだ各種データから、ヒータ通電条件が成立しているかどうかが判断される。すなわち、例えば、冷却水の温度、外気温がそれぞれ所定の温度以上であり、内燃機関10の回転負荷が所定値以上である場合は、燃料1aの温度は充分に高く、インジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4により燃料1aを加熱する必要がないと判断される。
【0052】
S202において、ヒータ通電条件が成立していないと判断されたときは、S210に進み、インジェクタヒータ5と燃料供給管ヒータ4のうち通電中のものをOFFし、本ルーチンを終了する。一方、S202において、ヒータ通電条件が成立していると判断されたときにはS203に進む。
【0053】
S203においては、インジェクタヒータ5に対する供給電流積算値の値を取得する。すなわち、インジェクタヒータ5に通電を開始してからのインジェクタヒータ5への供給電流値をECU21内のCPUにて所定時間毎に積算し、逐一RAM内の所定領域に格納するようにしておく。そして、S203においてCPUが上記供給電流積算値データを読み出すことによって供給電流積算値の値を取得する。
【0054】
次に、S204においては、S203で取得したインジェクタヒータ5への供給電流積算値から、インジェクタ9の温度Tを推定する。実際には、インジェクタヒータ5への供給電流積算値の値と、インジェクタ9の温度Tとの関係を予め実験的に求め、インジェクタ温度マップとしてマップ化しておき、S203で取得した供給電流積算値に対応するインジェクタ9の温度Tを上記インジェクタ温度マップより読み出すことにより、インジェクタ9の温度Tを推定する。
【0055】
従って、本実施の形態における温度推定手段は、CPU及び、上記のインジェクタ温度マップを記憶したROMを有したECU21を含んで構成される。
【0056】
次に、S205において、S204で推定されたインジェクタ9の温度Tが、所定温度TS1以上であるかどうかが判断される。ここで所定温度TS1は、インジェクタ9の温度がTS1であるときに、さらにインジェクタヒータ5への電流の供給を開始または継続すると、インジェクタ9及びインジェクタ9に備えられた図示しない電気コネクタや、同じくインジェクタ9に備えられ、図示しない接続用ワイヤハーネスが過剰に昇温するおそれがあると判断される閾値としての温度である。
【0057】
S205において、インジェクタ温度Tが、所定温度TS1以上であると判断された場合は、インジェクタヒータ5への電流供給を開始または継続すると、インジェクタ9及びインジェクタ9に備えられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスが過剰に昇温するおそれがあると判断されるので、S206に進み、インジェクタヒータ5に通電されている場合は、インジェクタヒータ5をOFFし、さらにS207に進み、燃料供給管ヒータ4への通電を開始または継続して本ルーチンを終了する。
【0058】
一方、S205において、インジェクタ温度Tが、所定温度TS1未満であると判断された場合は、インジェクタヒータ5への電流供給を開始または継続しても、インジェクタ9及びインジェクタ9に備えられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスが過剰に昇温するおそれがないと判断されるので、S208に進み、インジェクタヒータ5への通電を開始または継続する。そしてS209に進み、燃料供給管ヒータ4に通電されている場合は、燃料供給管ヒータ4をOFFした後、本ルーチンを終了する。
【0059】
ここで、上記のインジェクタヒータ5及び、燃料供給管ヒータ4への通電の制御は、ECU21からの指令に従って、コントロール回路7が、インジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4への供給電流を制御することによって行う。従って、本実施の形態における供給電流制御手段は、ECU21及び、コントロール回路7を含んで構成される。
【0060】
以上、説明したように、本実施の形態における燃料加熱制御では、インジェクタ9の温度Tを推定し、推定したインジェクタ9の温度Tが、所定温度TS1未満である場合には、インジェクタヒータ5に通電することにより燃料1aを加熱するので、内燃機関10の冷間始動時などは、インジェクタ9内の少量の燃料1aを噴射直前に加熱できる。よって、内燃機関10の始動直後から、燃料1aの噴霧の微粒化を促進し、始動性や始動時における出力の向上、始動時におけるエミッションの低減を実現することができる。
【0061】
また、本実施の形態における燃料加熱制御では、インジェクタ9の温度Tを推定し、推定したインジェクタ9の温度Tが、所定温度TS1以上である場合には、インジェクタヒータ5への通電を禁止し、燃料供給管ヒータ4に通電することで燃料1aを加熱するので、インジェクタ9及び、インジェクタ9に備えられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスなどが過剰に昇温することを、より確実に防止することができる。
【0062】
また、本実施の形態における燃料加熱制御では、上述のように、燃料1aの加熱開始時からのインジェクタヒータ5への供給電流の積算値により、インジェクタ9の温度Tを推定している。ここで、インジェクタ9の温度Tは、燃料1aの加熱開始時からのインジェクタヒータ5への供給電流の積算値と非常に相関が高いので、インジェクタ9の温度Tをより正確に推定することができる。
【0063】
なお、本実施の形態においては、本発明に係る燃料供給装置をデリパイプ6を備えたガソリンエンジンについて適用しているが、本発明における燃料供給装置を、ディーゼルエンジンに対して適用できることはもちろんであり、その場合、本発明に係る燃料供給装置は、デリパイプ6の代りに、コモンレールを備える。
【0064】
また、本実施の形態における第1の加熱手段を構成するインジェクタヒータ5は、インジェクタ9の本体外側に設けられてもよいし、インジェクタ9の内部の、図示しないニードル弁に設けられてもよい。また、本実施の形態においては、第2の加熱手段は、燃料供給管3に設けられた燃料供給管ヒータ4を含んで構成されるが、第2の加熱手段は、デリパイプ6に設けられるヒータを含んで構成されてもよい。
【0065】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一である。
【0066】
本実施の形態では、燃料1aの加熱時には常に、インジェクタヒータ5及び、燃料供給管ヒータ4の両方の燃料加熱ヒータによって燃料1aを加熱し、特に内燃機関10の始動時には、主にインジェクタヒータ5によって燃料1aを加熱し、燃料1aの加熱開始より所定時間経過後には、主に燃料供給管ヒータ4によって燃料1aを加熱する燃料加熱制御の例について説明する。
【0067】
図3は、本実施の形態における燃料加熱ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU21のROMに記憶されたプログラムであり、所定時間毎に実行される。
【0068】
本ルーチンが実行されると、まず、S301において各種運転条件が、内燃機関10に備えられた各種センサから取得され、次にS302において、S301で取り込んだ各種データから、ヒータ通電条件が成立しているかどうかが判断される。これらの処理は、図2におけるS201、S202の処理と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0069】
そして、S302において、ヒータ通電条件が成立していないと判断されたときは、S311に進み、インジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4が通電中であればOFFし、次に、S312に進み、本実施の形態におけるタイマ作動中である場合は、タイマをリセットしたうえで、本ルーチンを終了する。このタイマの作動については後述する。一方、S302において、ヒータ通電条件が成立していると判断されたときにはS303に進む。
【0070】
S303においては、その時点で、タイマが作動中かどうかが判断される。ここでタイマは、後述のように燃料1aの加熱開始と同時に作動開始する。よって、もしS303で、既にタイマが作動中であれば、以前の本ルーチンの実施時にヒータ通電条件が成立し、燃料1aの加熱が行われている最中であると判断できるので、後述するS304におけるヒータ切替時間設定の処理及び、S305におけるタイマスタートの処理をスキップして、S306に進む。一方、タイマが作動中でないと判断された場合には、まだ燃料1aの加熱が行われていないと判断できるので、S304に進む。
【0071】
S304においては、ヒータ切替時間tの設定をする。ここで、ヒータ切替時間tとは、インジェクタヒータ5に通電することにより燃料1aの加熱を開始した後、それ以上の時間インジェクタヒータ5に通電を継続すると、インジェクタ9及び、インジェクタ9に備えられた電気コネクタまたは、接続用ワイヤハーネスが過剰に昇温するおそれがあると判断される閾値としての通電継続時間である。
【0072】
S304においてヒータ切替時間を設定するのは、S301において取り込んだ各種運転条件の状態、例えば外気温によって、燃料1aを加熱するヒータを切り替えるべき時間が異なるからである。
【0073】
実際には、S301で取り込んだ冷却水温、外気温、内燃機関10の回転負荷のデータと、それに対応したヒータ切替時間tのデータをマップ化し、このヒータ切替時間マップからヒータ切替時間tのデータを読み出すことにより、ヒータ切替時間tを設定する。
【0074】
次に、S305においては、燃料1aの加熱を開始してからの経過時間tを取得するためのタイマをスタートさせる。実際にインジェクタヒータ5及び、燃料供給管ヒータ4への通電は、後述するS307またはS309以降の処理において開始されるが、その時間的遅れは微小であるので、S305においてタイマスタートすることによって、ほぼ、燃料1aの加熱を開始してからの時間経過をカウントすることができる。
【0075】
次に、S306において、S305でタイマをスタートさせることによってカウントを開始した時間tが、ヒータ切替時間t以上かどうかが判断される。
【0076】
ここで、tが、ヒータ切替時間t未満であると判断された場合、例えば燃料1aの加熱を開始した直後は、インジェクタヒータ5へ比較的大きな電流II1を供給しても、インジェクタ9及びインジェクタ9に備えられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスが過剰に昇温するおそれがないと判断されるので、S307に進み、インジェクタヒータ5へ電流II1を供給する。そしてS308に進み、燃料供給管ヒータ4に比較的小さな電流IP1を供給したうえで本ルーチンを終了する。
【0077】
ここで、電流II1の値は、燃料1aの加熱を開始してからの経過時間tが、ヒータ切替時間t未満であると判断された場合、例えば、内燃機関10の冷間始動直後に、燃料供給管ヒータ4によって予熱された燃料1aを短期間に、噴射において微粒化するのに充分な温度まで昇温できる電流値として設定される。また、電流IP1の値は、内燃機関10の冷間時に、燃料供給管3を通過する燃料1aを予熱するための電流値として設定される。
【0078】
すなわち、予め燃料供給管ヒータ4によって燃料1aを予熱するので、インジェクタヒータ5に対して供給する電流II1の値は、第1の実施の形態におけるような、インジェクタヒータ5だけで燃料1aを加熱する場合よりも小さな値でよい。従って、インジェクタ9及びインジェクタ9に備えられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスが過剰に昇温するおそれが生じる時間tをより大きく設定することができる。
【0079】
一方、S306において、燃料加熱を開始してからの経過時間tが、ヒータ切替時間t以上であると判断された場合は、これ以上、インジェクタヒータ5へ電流II1の供給を継続すると、インジェクタ9及び、インジェクタ9に備えられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスが過剰に昇温するおそれがあると判断されるので、S309に進み、インジェクタヒータ5に供給する電流をII1と比較して小さい電流II2とする。そして、S310に進み、燃料供給管ヒータ4へ供給する電流をIP1と比較して大きい電流IP2としたうえで、本ルーチンを終了する。
【0080】
ここで、電流II2の値は、燃料加熱を開始してからの経過時間tが、ヒータ切替時間t以上であると判断された場合、すなわち、インジェクタ9の温度が上昇した状態で、インジェクタヒータ5に供給しても、インジェクタ9及び、インジェクタ9に備えられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスが過剰に昇温するおそれがない電流値として設定される。また、電流IP2の値は、インジェクタヒータ5に電流II2を供給することによって、インジェクタ9から噴射される燃料1aを充分微粒化できるように、燃料供給管ヒータ4で燃料1aを予熱するのに充分な電流値として設定される。
【0081】
以上、説明したように、本実施の形態における燃料加熱制御では、燃料1aの加熱開始時からヒータ切替時間tが経過するまでは、燃料供給管ヒータ4に電流IP1を供給して燃料1aを若干予熱し、インジェクタヒータ5に比較的大きな電流II1を供給することによって、インジェクタ9から噴射される燃料1aの温度を、噴射されたときに微粒化できる温度まで昇温している。
【0082】
そして、ヒータ切替時間tが経過した後には、燃料供給管ヒータ4には、電流IP1と比較して大きな電流IP2を供給して燃料1aを充分に予熱し、インジェクタヒータ5へは、インジェクタ9などが過剰に昇温しない程度の電流II2を供給することによって、インジェクタ9から噴射される燃料1aの温度を、噴射されたときに微粒化できる温度まで昇温している。
【0083】
従って、本実施の形態における燃料加熱制御では、燃料1aの加熱開始からヒータ切替時間tが経過する前後の両方において、換言すると、内燃機関10の冷間始動直後も、内燃機関10の暖機後も、インジェクタヒータ5及び、燃料供給管ヒータ4の両方によって、燃料1aを加熱しているので、ヒータ切替時において、インジェクタ9から噴射される燃料1aの温度が大きく変化することがない。従って、燃料1aがインジェクタ9から噴射されるときに、安定して微粒化することができる。
【0084】
ここで、ヒータ切替時間tの前後において、コントロール回路7からインジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4に供給される電流量の合計が一定となるようにすれば、すなわち、電流II1+電流IP1=電流II2+電流IP2なる関係が成り立つように制御すれば、燃料1aがインジェクタ9から噴射されるときに、さらに安定して微粒化することができる。
【0085】
また、本実施の形態における燃料加熱制御では、単純に燃料1aの加熱開始時からの時間経過によって、インジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4へ供給する電流値を切り替えているので、より簡単な制御で、インジェクタ9及び、インジェクタ9に設けられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスなどの過昇温を防止しながら、内燃機関10の冷間始動直後から、インジェクタ9から噴射される燃料1aの温度を充分に上昇させることができる。
【0086】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一である。
【0087】
本実施の形態では、燃料1aの加熱時に、内燃機関10の機関温度Tを冷却水の温度Tから推定し、推定された内燃機関10の機関温度Tに応じて、インジェクタヒータ5及び、燃料供給管ヒータ4への供給電流を変化させる燃料加熱制御の例について説明する。
【0088】
図4は、本実施の形態における燃料加熱ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU21のROMに記憶されたプログラムであり、所定時間毎に実行される。
【0089】
本ルーチンが実行されると、まず、S401において各種運転条件が、内燃機関10に備えられた各種センサから取得され、次にS402において、S401で取り込んだ各種データから、ヒータ通電条件が成立しているかどうかが判断される。これらの処理は、図2におけるS201、S202の処理と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0090】
そして、S402において、ヒータ通電条件が成立していないと判断されたときは、S408に進み、インジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4のうち、通電中のものをOFFしたうえで、本ルーチンを終了する。一方、S402において、ヒータ通電条件が成立していると判断されたときにはS403に進む。
【0091】
S403においては、内燃機関10に備えられた冷却水温センサ13から、その時点の冷却水温Tのデータを取得する。そして、S404に進み、S403で取得された冷却水温Tのデータより、内燃機関10の機関温度Tを推定する。
【0092】
次に、S405に進み、S404で推定された機関温度Tに応じて、インジェクタヒータ5に供給する電流I及び、燃料供給管ヒータ4に供給する電流Iを決定する。
【0093】
ここで、S404及びS405における具体的な処理について説明する。ここでは、予め実験的に、内燃機関10の冷却水の温度Tと、内燃機関10の機関温度Tとの関係を調査しておきマップ化しておく。特に本実施の形態においては、Tを内燃機関10のインジェクタ9の取り付け部付近の温度とする。そうすることにより、本実施の形態における機関温度Tと、インジェクタ9及びインジェクタ9に備えられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスの温度との間に高い相関を持たせることができる。
【0094】
そして、S404においては、上記マップから冷却水の温度Tに対応する機関温度Tを読み出す。なお、本実施の形態における機関温度推定手段は、上記マップを記憶したROMを有するECU21及び、冷却水温センサ13を含んで構成される。
【0095】
また、本実施の形態においては、S404で推定された内燃機関の機関温度Tと、その機関温度Tにおいて、インジェクタヒータ5に供給すべき電流I及び、燃料供給管ヒータ4に供給すべき電流Iの値との関係を別途求めておき、マップ化しておく。
【0096】
ここでは、機関温度Tにおいて、インジェクタ9及び、インジェクタ9に備えられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスを過剰に昇温させずに、インジェクタ9から噴射される燃料1aの温度を上昇させ、噴射において微粒化させることができる電流値として、電流I及び電流Iの値を理論的または実験的に求めてマップ化している。
【0097】
そして、S405においては、S404で取得した機関温度Tから、その機関温度Tに対応した電流I及び電流Iのデータを上記マップよりを読み出すことにより、電流I及び電流Iの値を決定する。S405の処理が終わるとS406に進む。
【0098】
S406においては、インジェクタヒータ5に、S405で決定された電流Iを供給する。そしてS407に進み、燃料供給管ヒータ4に、同じくS405で決定された電流Iを供給したうえで、本ルーチンを終了する。
【0099】
以上説明したように、本実施の形態における燃料加熱制御では、内燃機関10の機関温度Tを、Tとの相関の高い冷却水の温度Tから推定している。従って簡単に、より正確に内燃機関の機関温度Tを推定することができる。
【0100】
また、本実施の形態における燃料加熱制御では、インジェクタ9の温度と相関の高い機関温度Tに基づいてインジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4へ供給される電流I及びIを決定している。従って、第1の実施の形態において行ったように、インジェクタ9の温度を推定するまでもなく、インジェクタ9及び、インジェクタ9に備えられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスの過昇温をより確実に防止することができる。
【0101】
なお、上記で求めた冷却水の温度Tと機関温度Tとの関係を示すマップ及び、機関温度Tと電流I及びIとの関係を示すマップの、2つのマップをまとめて、冷却水の温度Tと、冷却水の温度がTであるときにインジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4に供給する最適の電流I及びIとの関係を示す1つの電流値決定マップを作成しておき、S405の処理において、S403で取得した冷却水の温度Tの値に対応する電流I及びIの値を、上記の電流値決定マップから読み出すようにしてもよい。
【0102】
ここで、上記した電流値決定マップにおける、冷却水の温度Tと、電流I及び電流Iとの関係の例を図5に示す。ここでは、内燃機関10の冷却水の温度Tが10℃の場合は、電流Iがコントロール回路7からの供給電流の全部を占め、電流Iはゼロとし、冷却水の温度Tが上昇するにつれて、電流Iに対する電流Iの比を直線的に増加させるような関係にしている。
【0103】
このようにすれば、電流I及び電流Iの比が、内燃機関の機関温度Tに応じて、直線的に変化するように決定しているので、インジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4での発熱の量の比を連続的に変化させることができる。従って、インジェクタ9や、インジェクタ9に設けられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスなどが過剰に昇温することを防止すると同時に、インジェクタ9から噴射される燃料1aの温度が不連続的に変化することを防止することができる。
【0104】
なお、本実施の形態においては、電流Iと電流Iの合計値については、冷却水の温度Tの上昇に伴って減少させるよう制御し、インジェクタ9から噴射される燃料1aを微粒化するための必要最低限の供給電流値として電流I及び電流Iを決定してもよい。そうすることにより、電流I及び電流Iを余分に供給することがなく、装置全体としての供給電流を抑えることができる。
【0105】
なお、装置全体としての供給電流を抑える必要がない場合には、電流Iと電流Iの合計値を冷却水の温度Tの値に拘らず一定としてもよいことはもちろんである。
【0106】
また、本実施の形態に係る電流値決定マップにおける、冷却水の温度Tと、電流I及び電流Iとの関係は図5に示すものに限られるものではなく、例えば、図6に示すように、内燃機関10の冷却水の温度Tが20℃以下の場合は、電流Iのみをインジェクタヒータ5に供給して電流Iはゼロとし、冷却水の温度Tが20℃以上になると、冷却水の温度Tが上昇するにつれて、電流Iに対する電流Iの比を略直線的に増加させ、冷却水の温度Tが60℃を超えると、電流Iの9倍の量の電流を電流Iとして燃料供給管ヒータ4に供給するというような制御を行ってもよい。
【0107】
また、本実施の形態における図5及び図6においては、所定の冷却水の温度Tの範囲において、冷却水の温度Tが上昇するにつれて、電流Iに対する電流Iの比を略直線的に増加させるようにしたが、これを、冷却水の温度Tが上昇するにつれて、インジェクタヒータ5における消費電力Wの値に対する燃料供給管ヒータ4における消費電力Wの比が直線的に増加するように、電流I及び電流Iを制御してもよい。
【0108】
冷却水の温度Tの上昇に伴って、消費電力Wに対する消費電力Wの比が直線的に増加するように、電流I及び電流Iを制御することにより、インジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4の電気抵抗の値R及びRにかかわらず、インジェクタヒータ5及び燃料供給管ヒータ4での発熱の量の比を直線的に変化させることができる。
【0109】
すなわち、インジェクタヒータ5や、燃料供給管ヒータ4の温度変化に伴って電気抵抗の値R及びRが変化しても、その変化の影響を受けず、インジェクタ9や、インジェクタ9に設けられた電気コネクタや、接続用ワイヤハーネスなどが過剰に昇温することをより確実に防止することができる。
【0110】
さらに、冷却水の温度Tに応じて、インジェクタ9から噴射される燃料1aを微粒化することができる必要最低限の発熱の量として、消費電力W及び消費電力Wを決定することにより、余分な電力を消費することがなく、装置全体としての消費電力を低減させることができる。
【0111】
例えば、インジェクタ9から噴射される燃料1aを微粒化することができる必要最低限の発熱の量として消費電力W及び消費電力Wを決定するために、消費電力W及び消費電力Wの合計値については、冷却水の温度Tの上昇に伴って減少させるとよい。しかし、消費電力W及び消費電力Wの値が、インジェクタ9から噴射される燃料1aを微粒化することができる必要最低限の値である必要がない場合には、消費電力W及び消費電力Wの合計値を冷却水の温度Tの値にかかわらず一定としてもよいことはもちろんである。
【0112】
さらに、本実施の形態においては、内燃機関10の機関温度Tを、冷却水の温度Tから推定したが、例えば、内燃機関10に吸入された吸入空気量をエアフローメータ12により検出し、その吸入空気量を内燃機関の始動時から積算した値により内燃機関10の機関温度Tを推定してもよいし、吸気温センサ11により得られた吸入空気の温度を補助的に用いて内燃機関10の機関温度Tを推定してもよい。
【0113】
【発明の効果】
上述のように本発明にあっては、内燃機関の冷間始動直後及び暖機後の双方において、燃料噴射弁から噴射される燃料の温度を充分に上昇させることにより、燃料噴射弁から噴射される燃料をより好適に微粒化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における第1の実施の形態に係る燃料供給装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明における第1の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図3は、本発明における第2の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明における第3の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明における第3の実施の形態に係る、インジェクタヒータに供給する電流値及び燃料供給管ヒータに供給する電流値の比と、内燃機関の冷却水の温度との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明における第3の実施の形態に係る、インジェクタヒータに供給する電流値及び燃料供給管ヒータに供給する電流値の比と、内燃機関の冷却水の温度との関係の別の例を示すグラフである。
【符号の説明】
1…燃料タンク
2…燃料ポンプ
3…燃料供給管
4…燃料供給管ヒータ
5…インジェクタヒータ
6…デリパイプ
7…コントロール回路
9…インジェクタ
10…内燃機関
10a…気筒
11…吸気温センサ
12…エアフローメータ
13…冷却水温センサ
21…ECU

Claims (10)

  1. 内燃機関の燃料タンク内の燃料を、所定の燃料温度以上に加熱したうえで、前記内燃機関の気筒に供給する燃料供給装置であって、
    燃料を噴射することにより前記内燃機関の気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料タンクと前記燃料噴射弁とを連結し、前記燃料タンク内の燃料を前記燃料噴射弁に送る燃料通路と、
    前記燃料タンク内の燃料を、前記燃料通路を介して前記燃料噴射弁に圧送する燃料圧送手段と、
    前記燃料噴射弁に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料噴射弁の内部の燃料を加熱する第1の加熱手段と、
    前記燃料通路に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料通路の内部の燃料を加熱する第2の加熱手段と、
    前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御する供給電流制御手段と、
    を備え、
    前記供給電流制御手段は、前記燃料噴射弁の温度を推定する温度推定手段を有し、
    前記温度推定手段が推定した前記燃料噴射弁の温度が所定温度未満の場合、前記供給電流制御手段は、前記第1の加熱手段のみに電流を供給し、前記温度推定手段が推定した前記燃料噴射弁の温度が所定温度以上の場合、前記供給電流制御手段は、前記第2の加熱手段のみに電流を供給することを特徴とする燃料供給装置。
  2. 前記温度推定手段は、前記燃料の加熱が開始された時からの前記第1の加熱手段への供給電流の積算値により、前記燃料噴射弁の温度を推定することを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
  3. 内燃機関の燃料タンク内の燃料を、所定の燃料温度以上に加熱したうえで、前記内燃機関の気筒に供給する燃料供給装置であって、
    燃料を噴射することにより前記内燃機関の気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料タンクと前記燃料噴射弁とを連結し、前記燃料タンク内の燃料を前記燃料噴射弁に送る燃料通路と、
    前記燃料タンク内の燃料を、前記燃料通路を介して前記燃料噴射弁に圧送する燃料圧送手段と、
    前記燃料噴射弁に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料噴射弁の内部の燃料を加熱する第1の加熱手段と、
    前記燃料通路に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料通路の内部の燃料を加熱する第2の加熱手段と、
    前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御する供給電流制御手段と、
    を備え、
    前記供給電流制御手段は、前記燃料の加熱が開始された時から所定時間が経過するまで前記第1の加熱手段のみに電流を供給し、前記所定時間の経過後は前記第2の加熱手段のみに電流を供給することを特徴とする燃料供給装置。
  4. 内燃機関の燃料タンク内の燃料を、所定の燃料温度以上に加熱したうえで、前記内燃機関の気筒に供給する燃料供給装置であって、
    燃料を噴射することにより前記内燃機関の気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料タンクと前記燃料噴射弁とを連結し、前記燃料タンク内の燃料を前記燃料噴射弁に送る燃料通路と、
    前記燃料タンク内の燃料を、前記燃料通路を介して前記燃料噴射弁に圧送する燃料圧送手段と、
    前記燃料噴射弁に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料噴射弁の内部の燃料を加熱する第1の加熱手段と、
    前記燃料通路に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料通路の内部の燃料を加熱する第2の加熱手段と、
    前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御する供給電流制御手段と、
    を備え、
    前記供給電流制御手段は、少なくとも前記燃料の加熱が開始された後の所定期間において、時間の経過とともに、前記第1の加熱手段に供給する電流値に対する前記第2の加熱手段に供給する電流値の比を大きくし、且つ前記第1の加熱手段に供給する電流値と、前記第2の加熱手段に供給する電流値との合計の電流値が一定となるようにすることを特徴とする燃料供給装置。
  5. 内燃機関の燃料タンク内の燃料を、所定の燃料温度以上に加熱したうえで、前記内燃機関の気筒に供給する燃料供給装置であって、
    燃料を噴射することにより前記内燃機関の気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料タンクと前記燃料噴射弁とを連結し、前記燃料タンク内の燃料を前記燃料噴射弁に送る燃料通路と、
    前記燃料タンク内の燃料を、前記燃料通路を介して前記燃料噴射弁に圧送する燃料圧送手段と、
    前記燃料噴射弁に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料噴射弁の内部の燃料を加熱する第1の加熱手段と、
    前記燃料通路に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料通路の内部の燃料を加熱する第2の加熱手段と、
    前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御する供給電流制御手段と、
    を備え、
    前記供給電流制御手段は、前記内燃機関の機関温度を推定する機関温度推定手段を有し、前記供給電流制御手段は、前記機関温度推定手段が推定した前記内燃機関の機関温度が所定の機関温度未満の場合、前記第1の加熱手段のみに電流を供給し、前記内燃機関の機関温度が所定の機関温度以上の場合、前記第2の加熱手段のみに電流を供給することを特徴とする燃料供給装置。
  6. 内燃機関の燃料タンク内の燃料を、所定の燃料温度以上に加熱したうえで、前記内燃機関の気筒に供給する燃料供給装置であって、
    燃料を噴射することにより前記内燃機関の気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料タンクと前記燃料噴射弁とを連結し、前記燃料タンク内の燃料を前記燃料噴射弁に送る燃料通路と、
    前記燃料タンク内の燃料を、前記燃料通路を介して前記燃料噴射弁に圧送する燃料圧送手段と、
    前記燃料噴射弁に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料噴射弁の内部の燃料を加熱する第1の加熱手段と、
    前記燃料通路に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料通路の内部の燃料を加熱する第2の加熱手段と、
    前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御する供給電流制御手段と、
    を備え、
    前記供給電流制御手段は、前記内燃機関の機関温度を推定する機関温度推定手段を有し、前記供給電流制御手段は、少なくとも前記機関温度推定手段が推定した前記内燃機関の温度が所定範囲にある場合において、前記機関温度推定手段が推定した前記内燃機関の機関温度が高くなるほど、前記第1の加熱手段に供給する電流値に対する前記第2の加熱手段に供給する電流値の比を大きし、且つ前記第1の加熱手段に供給する電流値と、前記第2の加熱手段に供給する電流値との合計の電流値が一定となるようにすることを特徴とする燃料供給装置。
  7. 内燃機関の燃料タンク内の燃料を、所定の燃料温度以上に加熱したうえで、前記内燃機関の気筒に供給する燃料供給装置であって、
    燃料を噴射することにより前記内燃機関の気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、
    前記燃料タンクと前記燃料噴射弁とを連結し、前記燃料タンク内の燃料を前記燃料噴射弁に送る燃料通路と、
    前記燃料タンク内の燃料を、前記燃料通路を介して前記燃料噴射弁に圧送する燃料圧送手段と、
    前記燃料噴射弁に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料噴射弁の内部の燃料を加熱する第1の加熱手段と、
    前記燃料通路に設けられ、供給電流の電流値に応じた発熱で前記燃料通路の内部の燃料を加熱する第2の加熱手段と、
    前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御する供給電流制御手段と、
    を備え、
    前記供給電流制御手段は、前記内燃機関の機関温度を推定する機関温度推定手段を有し、前記供給電流制御手段は、少なくとも前記機関温度推定手段が推定した前記内燃機関の温度が所定範囲にある場合において、前記機関温度推定手段が推定した前記内燃機関の機関温度が高くなるほど、前記第1の加熱手段における発熱の量に対する前記第2の加熱手段における発熱の量の比が直線的に増加するように前記第1及び第2の加熱手段への供給電流を制御することを特徴とする燃料供給装置。
  8. 前記機関温度推定手段は、少なくとも、前記内燃機関を水冷する冷却水の温度から、前記内燃機関の機関温度を推定することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の燃料供給装置。
  9. 前記機関温度推定手段は、少なくとも、前記内燃機関に吸入された吸入空気量の前記内燃機関の始動時からの積算値より、前記内燃機関の機関温度を推定することを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の燃料供給装置。
  10. 前記機関温度推定手段は、さらに、前記内燃機関に吸入された吸入空気の温度から、前記内燃機関の機関温度を推定することを特徴とする請求項8または9に記載の燃料供給装置。
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