JP4046022B2 - メタルハライドランプ、メタルハライドランプの製造方法、および導電性サーメット - Google Patents
メタルハライドランプ、メタルハライドランプの製造方法、および導電性サーメット Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透光性セラミック製の発光管を備えたメタルハライドランプとその製造方法、および導電性サーメットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のメタルハライドランプ、特にセラミックメタルハライドランプは、内部に一対の電極が配置され、かつ沃化ナトリウム(NaI)や沃化ディスプロシウム(DyI3)等の金属ハロゲン化物が封入された本管部と、この本管部の両端部に形成され、かつ内部に電極と電気的に接続されたセラミックと金属との混合焼結体からなる導電性サーメットがガラスフリットによって封着された細管部とを有する透光性セラミック製の発光管を備えている。
【0003】
ガラスフリットの成分としては、例えば酸化ディスプロシウム(Dy2O3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、および酸化ケイ素(SiO2)からなるDy2O3−Al2O3−SiO2系がある。
【0004】
導電性サーメットに用いられているセラミック材料としては、例えばアルミナ(Al2O3)、イットリア(Y2O3)、シリカ(SiO2)、およびジルコニア(ZrO2)等の酸化物系や、窒化アルミニウム(AlN)等の窒化物系がある。
【0005】
そして、このような従来のメタルハライドランプにおいて、ガラスフリットによって封着された部分を除いては、導電性サーメットと細管部との間には隙間が存在している。そのため、金属ハロゲン化物がその隙間に侵入して、点灯中に高温となったガラスフリットの放電空間側の端面に接触し、その金属ハロゲン化物とガラスフリットとが化学的反応を起こす、つまりガラスフリットが金属ハロゲン化物によって浸食されることがある。このような浸食が点灯経過時間とともに進行し、その結果、発光管にリークが発生したり、放電に寄与する金属ハロゲン化物が減少してランプ電圧の低下や色温度の変化が生じたりするといった問題が起こる。
【0006】
そこで、ガラスフリットの放電空間側の端面の温度を規定し、金属ハロゲン化物とガラスフリットとの化学的反応を抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−113859号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、この種のメタルハライドランプの定格寿命時間は長いもので12000時間であるが、それを越える例えば15000時間という長寿命のものが検討されている。
【0009】
定格寿命時間が12000時間程度であれば、特許文献1に記載された構成により、ガラスフリットが金属ハロゲン化物によって浸食されるといった上記問題を解決することができたが、定格寿命時間が15000時間と長寿命になった場合、依然としてガラスフリットが金属ハロゲン化物によって徐々に浸食されて発光管にリークが発生したり、放電に寄与する金属ハロゲン化物が減少してランプ電圧の低下や色温度の変化が生じたりするといった問題が起こることがわかった。
【0010】
なお、ランプ電圧は初期の値よりも僅かに大きくなる程度であれば、ランプ特性やこのランプを点灯させるための安定器に何ら影響を及ぼさないが、初期の値よりも低下すると、ランプ電流が増加し、安定器の故障の要因となる。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、長期の点灯時間に亘ってガラスフリットが金属ハロゲン化物によって浸食されるのを抑制することができ、前記浸食による発光管のリークの発生を防止することができるとともに、寿命中のランプ電圧の低下や色温度の変化を抑制することができる長寿命なメタルハライドランプを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記長寿命なメタルハライドランプを簡単に、かつ大量に得ることができるメタルハライドランプの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、特に前記長寿命なメタルハライドランプに適した導電性サーメットを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
まず、本発明者は、上記問題を解決するべく、金属ハロゲン化物によるガラスフリットの浸食の様子について観察したところ、その浸食が導電性サーメットとガラスフリットとの界面に沿って著しく起こっていることを見出した。
【0015】
その原因について、さらなる検討を行ったところ、導電性サーメット側のガラスフリットの表面に微細なクラックが発生しており、このクラックが起点となって金属ハロゲン化物が侵入し、金属ハロゲン化物によるガラスフリットの浸食が促進されていることがわかった。
【0016】
前記微細なクラックが発生する原因としては、導電性サーメットの表面に存在する金属粒子とガラスフリット成分との結合力が弱いことに加えて、導電性サーメットとガラスフリットとの熱膨張係数の差に起因して、ランプの点灯、消灯が繰り返されて起こる熱衝撃によってそのような微細なクラックが発生したものと考えられる。
【0017】
本発明は、このような新たな知見に基づいてなされたものであり、次のような構成を有している。
【0018】
すなわち、本発明の請求項1記載のメタルハライドランプは、内部に、一対の電極が配置され、かつ金属ハロゲン化物が封入されているとともに、前記電極と電気的に接続された導電性サーメットがガラスフリットによって封着された透光性セラミック製の発光管を備え、前記導電性サーメット中の金属成分の割合が25vol.%以上であり、かつ前記導電性サーメットにおける前記ガラスフリットによって封着された封着部分の全表面積のうち、セラミック体が占める割合が80%以上である構成を有している。
【0019】
この構成により、セラミック体とガラスフリットとの化学的結合の面積を増加させることができ、導電性サーメットとガラスフリットとの結合力を増大させることができるので、導電性サーメットとガラスフリットとの界面近傍のガラスフリットに微細なクラックが発生するのを減少させることができ、その結果、ガラスフリットが金属ハロゲン化物によって浸食されるのを長期の点灯時間に亘って抑制することができ、よって発光管にリークが発生するのを防止することができるとともに、寿命中のランプ電圧の低下や色温度の変化を抑制することができる。
【0020】
ここで、「透光性セラミック」としては、光透過性のある半透明または透明な耐熱性を備えたセラミック材料であり、具体例としてはアルミナ(Al2O3)、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリア(Y2O3)、ジルコニア(ZrO2)のうち少なくとも一種類を含む酸化物系からなるセラミックや、窒化アルミニウム(AlN)等の窒化物系からなるセラミックが挙げられる。
【0021】
また、「ガラスフリット」としては、その熱膨張係数が発光管の外囲器を構成する透光性セラミックの熱膨張係数と導電性サーメットの熱膨張係数との中間に位置するのが好ましく、具体的にはDy2O3−Al2O3−SiO2系のものが多用されている。もちろん、この他にも、Al2O3およびSiO2に、スカンジウム酸化物(Sc2O3)やイットリア(Y2O3)等の希土類系の酸化物を混合させたものが挙げられる。
【0022】
「導電性サーメット」とは、金属材料とセラミック材料との混合物を焼結した焼結体である。金属材料としては、耐ハロゲン性のある材料が好ましく、例えばタングステン(W)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、ロジウム(Rh)等が挙げられる。また、セラミック材料としては、比較的熱膨張係数の大きい例えばAl2O3、Y2O3、SiO2、ZrO2等の酸化物系や、AlN等の窒化物系の単体、またはそれらのうち少なくとも一種を含む混合焼結体が挙げられる。
【0023】
また、「前記導電性サーメットにおける前記ガラスフリットによって封着された封着部分の全表面積」とは、導電性サーメットの表面のうちガラスフリットが付着している部分の全表面の面積を示す。また、「前記導電性サーメットにおける前記ガラスフリットによって封着された封着部分の全表面積のうち、セラミック体が占める割合」とは、当該全表面積のうち、セラミック体が露出している部分の表面積の比率(%)を示す。もちろん、導電性サーメットのうち、ガラスフリットによって封着された部分の表面において、セラミック体はある特定部分に局所的に存在しているよりも、その封着部分の表面全体に分散して存在している方が好ましい。
【0024】
また、特に、前記封着部分の全表面積のうち、前記セラミック体が占める割合が90%以上であることが好ましい。
【0025】
この構成により、導電性サーメットとガラスフリットとの結合力を一層増大させることができるので、導電性サーメットとガラスフリットとの界面近傍のガラスフリットに微細なクラックが発生するのを著しく減少させることができ、その結果、ガラスフリットが金属ハロゲン化物によって浸食されるのを長期の点灯時間に亘って一層抑制することができ、よって発光管にリークが発生するのを一層防止することができるとともに、寿命中のランプ電圧の低下や色温度の変化を一層抑制することができる。
【0030】
本発明の請求項3記載のメタルハライドランプの製造方法は、請求項1または請求項2に記載のメタルハライドランプの製造方法であって、前記導電性サーメットは、金属材料とセラミック材料とを混合し焼結した後、その表面から金属体を除去して製造する方法を用いている。
【0031】
この方法により、簡単に、かつ大量に金属成分の割合が25vol.%以上であり、かつガラスフリットによって封着された封着部分の全表面積のうち、セラミック体が占める割合が80%以上となるような導電性サーメットを得ることができる。
【0032】
本発明の請求項4記載の導電性サーメットは、内部に金属ハロゲン化物が封入された透光性セラミック製の発光管内にガラスフリットによって封着される導電性サーメットであって、前記導電性サーメット中の金属成分の割合が25vol.%以上であり、かつ前記ガラスフリットによって封着される予定の封着部分の全表面積のうち、セラミック体が占める割合が80%以上であることを特徴とする導電性サーメット。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0036】
本発明の第1の実施の形態である入力電力(定格電力)150Wのセラミックメタルハライドランプは、図1に示すように、一端部が閉塞され、かつ他端部にE形の口金1が取り付けられた硬質ガラス製の外管2内に、外囲器が例えばアルミナ等の透光性セラミック製である発光管3と、この発光管3のほぼ全体を覆い、かつ両端の開口部に金属プレート4が取り付けられた石英ガラス製のスリーブ5と、発光管3の外部に導出している後述の外部リード線6に機械的に接続されて、発光管3およびスリーブ5を保持するとともに、外管2の他端部側に封止されたステム7に封着されている二本のステム線8,9とが収納されている。
【0037】
外管2内には、窒素ガスが封入されている。
【0038】
発光管3は、図2に示すように、外径R1が12mmの第一筒部10aとこの第一筒部10aにテーパ部10bを介して形成された第二筒部10cとを有する本管部10と、第二筒部10c内に挿入され焼きばめられて、この本管部10の両端部に設けられている外径R2が3.2mm、内径rが1.0mm、長さL1が15mmの細管部11とを備えている。
【0039】
本管部10内には、直径0.5mmのタングステン製の電極棒12とこの電極棒12の先端部に巻回された線径0.2mmのタングステン製の電極コイル13からなる一対の電極14が互いに略対向するように配置されている。この電極14間の距離は11mmである。また、本管部10内には、沃化ディスプロシウム(DyI3)、沃化ホルミウム(HoI3)、沃化ツリウム(TmI3)、沃化ナトリウム(NaI)、沃化タリウム(TlI)等の発光物質としての金属ハロゲン化物、緩衝ガスとしての水銀、および始動補助用希ガスとしてのアルゴンガスがそれぞれ所定量封入されている。
【0040】
細管部11内には、図3に示すように、先端部に電極14が電気的に接続されている直径0.9mm、長さ18mmの導電性サーメット15がDy2O3−Al2O3−SiO2系のフリット16によって気密に封着されている。細管部11内に流し込まれたフリットの長さL2は5.0mmである。細管部11と導電性サーメット15との間には、フリット16が流し込まれた部分を除いて隙間が形成されている。導電性サーメット15の電極14とは反対側の端部は、細管部11の外部に導出しており、ニオブ製の外部リード線6(図3には図示せず)に電気的に接続されている。
【0041】
導電性サーメット15は、例えばモリブデン(Mo)からなる金属材料と例えばアルミナ(Al2O3)からなるセラミック材料とを混合し、焼結したものであり、金属成分の割合が25vol.%以上、かつ少なくともガラスフリット16によって封着された封着部分の全表面積のうち、セラミック体が占める割合が80%以上である。よって、導電性サーメット15の前記封着部分以外においてもその表面積のうち、セラミック体が占める割合が80%以上あってもよいが、80%未満であってもよい。
【0042】
なお、従来の導電性サーメットにおいて、金属成分の割合が25vol.%の場合、その導電性サーメットの全表面積のうち、セラミック体が占める割合は75%程度である。しかし、前記導電性サーメット15では、金属成分の割合が25vol.%の場合であっても、その表面から金属体を除去することにより、少なくともガラスフリット16によって封着された封着部分の全表面積のうち、セラミック体が占める割合が80%以上となっている。
【0043】
ここで、このような導電性サーメット15の製造方法の一例を説明する。
【0044】
まず、平均粒径1〜5μmのモリブデン金属微粉末と、平均粒径1μmのアルミナ顆粒または擬集粒子とを1:1の比率(50vol.%:50vol.%)で混合し、モリブデン金属粒子にアルミナ顆粒がほぼ均等に被覆された粉末を作製する。
【0045】
次に、この粉末を押出し成形後に真空中1600℃で加熱し、焼結処理を行う。これで、モリブデン金属粒子が部分的に網状構造をなし、サーメットとしての導電性が得られる。こうして得られた導電性サーメットは従来のものと同じなので、ここまでの工程を得て作製されたものを「従来の導電性サーメット」と言う。
【0046】
さらに、この従来の導電性サーメットを例えば王水(硝酸:塩酸=1:3)の溶解液に5〜30分間浸す処理を行う。この処理により、従来の導電性サーメットの表面層(最表面〜10μm程度)に存在したモリブデン金属粒子が溶解され、前記導電性サーメット15が得られる。
【0047】
なお、モリブデン金属粒子の溶解量、つまり導電性サーメット15の全表面積のうちセラミック体が占める割合は、溶解液の濃度や溶解液に浸す時間等によって適宜調整することができる。
【0048】
また、モリブデン金属粒子を溶解するための溶解液として、王水の溶解液を用いたが、これに限らずセラミックを溶解せず、金属のみを溶解することができる薬品、例えば熱濃硫酸や熱硝酸等を用いてもよい。さらに、使用する金属材料に応じて、それを溶解することができる薬品を適宜選択すればよい。
【0049】
さらに、モリブデン金属粒子を溶解液によって溶解するという化学的処理以外に、従来の導電性サーメットの表面層に存在するモリブデン金属粒子をサンドブラスト等の機械的処理によって取り除いてもよい。
【0050】
なお、本実施の形態にかかるセラミックメタルハライドランプは、導電性サーメット15の製造方法を除いては公知の方法によって製造される。
【0051】
次に、このような本発明の第1の実施の形態にかかる入力電力150Wのセラミックメタルハライドランプ(以下、「本発明品」という)の作用効果について確認した。
【0052】
まず、本発明品において、導電性サーメット15における少なくともガラスフリット16によって封着された封着部分の全表面積のうち、セラミック体が占める割合が80%のもの(以下、「実施例1」という)、同じくセラミック体が占める割合が85%のもの(以下、「実施例2」という)、同じくセラミック体が占める割合が90%のもの(以下、「実施例3」という)、同じくセラミック体が占める割合が95%のもの(以下、「実施例4」という)、同じくセラミック体が占める割合が75%のもの(以下、「比較例1」という)、同じくセラミック体が占める割合が50%のもの(以下、「比較例2」という)をそれぞれ3本づつ作製した。
【0053】
なお、作製した各ランプにおける導電性サーメットの金属成分の割合は50vol.%である。
【0054】
そして、作製した各ランプに対して通常の使用条件で点灯させ、100時間点灯経過後、12000時間点灯経過後、15000時間点灯経過後におけるリークの発生有無、ランプ電圧(V)、および100時間点灯経過時の色温度を基準とした場合の色温度差(K)について調べたところ、表1に示すとおりの結果が得られた。
【0055】
なお、表中の評価欄において、「○」は良好を、「◎」は極めて良好を、「×」は不良をそれぞれ示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1から明らかなように、実施例1〜実施例4では、いずれも15000時間点灯経過後においても発光管3にリークが発生したものは無く、またランプ電圧も100時間点灯経過後におけるランプ電圧(93V)に対して低下しているものは無く、さらに色温度差も目視では識別しにくい程度に小さいことがわかった。特に、実施例3および実施例4では、色温度差を目視では全く識別できない程度に小さく抑えることができることがわかった。
【0058】
一方、比較例1では、15000時間点灯経過後において、不点灯に至らないまでも発光管に微少なリークが発生し、ランプ電圧も100時間点灯経過後におけるランプ電圧(93V)よりも低下し、色温度差も600Kとなり、目視ではかなり違いがわかるほど大きくなることがわかった。また、比較例2では、3本中2本において、発光管に微少なリークが発生しており、ランプ電圧も100時間点灯経過後におけるランプ電圧(93V)よりもかなり低下しており、色温度差も700Kと非常に大きくなることがわかった。特に、比較例2において残りの1本については、14000時間点灯経過後において発光管がリークし不点灯になった。
【0059】
このような結果が得られた要因について検討すると、実施例1〜実施例4の場合では、導電性サーメット15におけるガラスフリット16によって封着された封着部分の全表面積のうち、セラミック体が圧倒的に占めているので、モリブデンとガラスフリット成分との物理的結合の面積が減少する一方、その結合力がより強いアルミナとガラスフリット成分との化学的結合の面積が増加して、導電性サーメット15とガラスフリット16との結合力が増大し、長期の点灯時間に亘って、導電性サーメット15とガラスフリット16との界面近傍のガラスフリット16に微細なクラックが発生するのを減少させることができ、金属ハロゲン化物が導電性サーメット15とガラスフリット16との界面近傍のガラスフリット16内へ侵入するのを抑制することができたためであると考えられる。
【0060】
一方、比較例1および比較例2では、導電性サーメットとガラスフリット16との界面近傍のガラスフリット16の表面に微細なクラックが発生し、そのクラックに金属ハロゲン化物が侵入して、侵入した金属ハロゲン化物とガラスフリット16とが化学反応しているためであると考えられる。実際、例えば4000時間点灯経過後のランプの金属ハロゲン化物、特に沃化ツリウムの残存量を測定すると、当初の封入量よりも50%〜60%位にまで減少していることがわかった。
【0061】
ここで、導電性サーメット15において、金属成分の比率を減少させると、その導電性サーメット15の熱膨張係数と発光管3の外囲器を構成するセラミック材料の熱膨張係数との差が小さくなり、その熱膨張係数の差に起因する発光管3のクラックの発生を防止することができるが、金属成分の比率を減少させすぎると導電性サーメット15の抵抗が増し、電極14へ電力を供給するという給電体としての役割を果たさなくなる。そこで、給電体としての役割を十分に果たすために、導電性サーメット15における金属成分の割合は25vol.%以上と規定した。
【0062】
以上のように本発明の第1の実施の形態にかかる入力電力150Wのセラミックメタルハライドランプの構成によれば、導電性サーメット15とガラスフリット16との結合力を増大させることができるので、導電性サーメット15とガラスフリット16との界面近傍のガラスフリット16に微細なクラックが発生するのを減少させることができ、その結果、ガラスフリット16が金属ハロゲン化物によって浸食されるのを長期の点灯時間に亘って抑制することができ、よって発光管3にリークが発生するのを防止することができるとともに、寿命中のランプ電圧の低下や色温度の変化を抑制することができる。
【0063】
次に、参考例としての第2の実施の形態である入力電力150Wのセラミックメタルハライドランプは、導電性サーメットが異なる点、つまり、図4に示すように、従来と同様の導電性サーメット17においてガラスフリット16によって封着された封着部分の全表面積のうちの80%以上、例えば100%がセラミック層18によって覆われている点を除いて、本発明の第1の実施の形態である入力電力150Wのセラミックメタルハライドランプと同じ構成を有している。
【0064】
導電性サーメット17は、金属材料としてモリブデンと、セラミック材料としてアルミナをそれぞれ1:1の比率(50vol.%:50vol.%)で混合し、焼結したものである。
【0065】
セラミック層18を形成する材料として、例えばアルミナを用いている。
【0066】
ここで、セラミック層18の形成方法について説明する。
【0067】
まず、平均粒径が約1μmのアルミナ粉末と、バインダ剤として例えば高密度ポリエチレンとを混合した懸濁液を準備する。
【0068】
次に、導電性サーメット17の表面に例えばディップ法によって前記懸濁液を塗布、乾燥させる。その後、表面に前記懸濁液が付着した導電性サーメット17を真空雰囲気中で約1500℃で焼結し、セラミック層18を形成する。
【0069】
なお、導電性サーメット17の表面に懸濁液を塗布させる方法としては、ディップ法以外に、吹付けや刷毛塗り等であってもよい。また、導電性サーメット17の表面にセラミック材料を含む懸濁液を塗布させる方法以外に、導電性サーメット17の表面にセラミックを蒸着させてもよい。
【0070】
以上のように参考例の第2の実施の形態にかかる入力電力150Wのセラミックメタルハライドランプの構成によれば、ガラスフリット16とセラミック層18とが化学的結合することによって、ガラスフリット16と導電性サーメット17とをセラミック層18を介して強く結合させることができ、これに加えて生産工程において、セラミック層18と、細管部11と導電性サーメット17との間に流し込まれる高温の液状のガラスフリット16とが化学的に反応して、それらの界面に金属ハロゲン化物との化学的反応性が低い複雑な複合酸化物を形成させることができるので、ガラスフリット16に微細なクラックが発生するのを一層減少させることができ、その結果、ガラスフリット16が金属ハロゲン化物によって浸食されるのを長期の点灯時間に亘って一層抑制することができ、よって発光管3にリークが発生するのを一層防止することができるとともに、寿命中のランプ電圧の低下や色温度の変化を一層抑制することができる。
【0071】
また、このセラミック層18の厚さは、セラミック層18の形成工程において、膜厚を均一にし、かつ導電性サーメット17の表面からセラミック層18が剥がれるのを防止するため、3μm〜100μmとすることが好ましい。その厚さが3μm未満では、セラミック層18の形成工程において、膜厚を均一に形成しにくく、一方その厚さが100μmを越えると、セラミック層18の形成時に導電性サーメット17の表面からセラミック層18が剥がれるおそれがある。
【0072】
なお、上記第2の実施の形態では、セラミック層18としてアルミナを用いた場合について説明したが、これに限らず、Y2O3、SiO2、ZrO2等の酸化物系や、AlN等の窒化物等系のセラミックを用いても上記と同様の効果を得ることができる。
【0073】
なお、上記第1および第2の実施の形態では、細管部11を有する発光管3において、細管部11内で導電性サーメット15,17がガラスフリット16によって封着された構造を例示して説明したが、本発明は、このような構造に限らず、細管部11の外部に導出した導電性サーメット15,17が細管部11外でガラスフリット16によって封着されている構造や、細管部11を有しない発光管において、発光管の開口部に閉塞体形やディスク形の導電性サーメットをガラスフリット16によって封着されている構造等、発光管に導電性サーメット15,17がガラスフリット16によって封着されている構造であればいずれのものにも適用することができる。
【0074】
また、上記第1および第2の実施の形態では、ガラスフリット16としてDy2O3−Al2O3−SiO2系のものを用いた場合について説明したが、これに限らず、Al2O3およびSiO2に、スカンジウム酸化物(Sc2O3)やイットリア(Y2O3)等の希土類系の酸化物を混合させたものを用いた場合でも上記と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、上記第1および第2の実施の形態では、導電性サーメット15,17の金属材料としてモリブデン、セラミック材料としてアルミナを用いた場合について説明したが、これに限らず、金属材料としてW、Pt、Ir、Re、およびRh等を、またセラミック材料としてY2O3、SiO2、ZrO2等の酸化物系や、AlN等の窒化物系の単体、またはそれらのうち少なくとも一種をそれぞれ用いた場合でも上記と同様の効果を得ることができる。
【0076】
さらに、上記第1および第2の実施の形態では、入力電力150Wのセラミックメタルハライドランプを例示して説明したが、本発明は150Wに限らず、例えば入力電力20W〜400Wのランプにも適用することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、長期の点灯時間に亘ってガラスフリットが金属ハロゲン化物によって浸食されるのを抑制することができ、前記浸食による発光管のリークの発生を防止することができるとともに、寿命中のランプ電圧の低下や色温度の変化を抑制することができる長寿命なメタルハライドランプを提供することができるものである。
【0078】
また、本発明は、前記長寿命なメタルハライドランプを簡単に、かつ大量に得ることができるメタルハライドランプの製造方法を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるセラミックメタルハライドランプの一部切欠正面図
【図2】同じくセラミックメタルハライドランプに用いている発光管の正面断面図
【図3】同じくセラミックメタルハライドランプに用いている発光管の要部拡大断面図
【図4】本発明の第2の実施の形態であるセラミックメタルハライドランプに用いている発光管の要部拡大断面図
【符号の説明】
1 口金
2 外管
3 発光管
4 金属プレート
5 スリーブ
6 外部リード線
7 ステム
8,9 ステム線
10 本管部
10a 第一筒部
10b テーパ部
10c 第二筒部
11 細管部
12 電極棒
13 電極コイル
14 電極
15,17 導電性サーメット
18 セラミック層
Claims (4)
- 内部に、一対の電極が配置され、かつ金属ハロゲン化物が封入されているとともに、前記電極と電気的に接続された導電性サーメットがガラスフリットによって封着された透光性セラミック製の発光管を備え、前記導電性サーメット中の金属成分の割合が25vol.%以上であり、かつ前記導電性サーメットにおける前記ガラスフリットによって封着された封着部分の全表面積のうち、セラミック体が占める割合が80%以上であることを特徴とするメタルハライドランプ。
- 前記封着部分の全表面積のうち、前記セラミック体が占める割合が90%以上であることを特徴とする請求項1記載のメタルハライドランプ。
- 請求項1または請求項2に記載のメタルハライドランプの製造方法であって、前記導電性サーメットは、金属材料とセラミック材料とを混合し焼結した後、その表面から金属体を除去して製造することを特徴とするメタルハライドランプの製造方法。
- 内部に金属ハロゲン化物が封入された透光性セラミック製の発光管内にガラスフリットによって封着される導電性サーメットであって、前記導電性サーメット中の金属成分の割合が25vol.%以上であり、かつ前記ガラスフリットによって封着される予定の封着部分の全表面積のうち、セラミック体が占める割合が80%以上であることを特徴とする導電性サーメット。
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