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JP4046519B2 - ミスト発生防止方法および溶接方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内面が樹脂被覆された鋼管(ガス輸送管など)を溶接する際、溶接に伴ってミストが発生するのを防止するために有用な方法、及びこの方法を利用して鋼管を溶接する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内面を樹脂被覆した鋼管は、耐腐食性に優れるため、液体(水など)や気体(ガスなど)などの流体を輸送するために広く利用されている。このような鋼管は、通常、地中埋設管(管体)として敷設されており、この管体には、ガスなどの流体を新たに利用源に供給するため接続管や分岐管が溶接により接続される。しかし、このような鋼管の内面を被覆する樹脂は、分解温度が300〜500℃程度であるため、溶接により新たな鋼管と接合すると、溶接に伴って、前記樹脂が分解してミスト状に飛散する。そして、水やガスなどの流体が流れている状態で溶接を行うと、流体の流れに乗って、末端機器(流量をコントロールするための弁など)などに固着して、不具合が生じるミストトラブルを起こしやすい。
【0003】
このようなミストの飛散を防止するため、溶接に先だって、溶接部位及びその周辺部に対応する鋼管の内面の被膜を予め除去することが考えられる。しかし、鋼管と被覆樹脂との密着力が非常に大きいため、被膜の剥離は、技術的に困難であるとともに、効率よく又は完全に被膜を除去できない場合が多い。また、既に地中に埋設しているガス管などの鋼管に対して溶接する場合、施工場所が限定されるため、作業効率も低下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、鋼管の内面を被覆する樹脂層を剥離することなく、簡便かつ有効にミストの発生を防止できる方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、ミストの発生又は飛散を防止しつつ、内面が被覆された鋼管を溶接できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、内面が被覆された鋼管の溶接において、溶接部位の内面の樹脂層を予め被膜(特に耐熱性の高い被膜)で被覆して溶接すると、ミストの生成を著しく抑制できることを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、内面が樹脂で被覆された鋼管の溶接に伴ってミストが発生するのを防止するための本発明の方法では、前記鋼管の内面の樹脂層のうち少なくとも溶接部位に対応する部位の樹脂層さらに被膜で被覆して溶接する。なお、前記被膜は、通常、耐熱性被膜であり、この耐熱性皮膜は、耐熱性塗膜、シートなどで形成できる。前記被膜は、無機質成分、例えば、金属、水ガラス、フリット、セラミックス、シリコーン、炭素などを含む組成物で形成してもよく、アルミニウム及びジルコニアから選択された少なくとも一種を含む耐熱性シートで形成してもよい。本発明の方法は、鋼管の種々の溶接部位、例えば、プラグ溶接部などに適用できる。なお、前記被膜は、例えば、溶接部位に形成された孔からスプレー又は塗布により鋼管の内面を被覆することにより形成でき、被膜は、熱処理又は光照射処理により硬化させてもよい。
【0008】
本発明には、前記方法に加えて、内面が樹脂で被覆された鋼管を溶接する方法であって、前記鋼管の内面の樹脂層のうち少なくとも溶接部位に対応する部位の樹脂層さらに被膜で被覆し、ミストの発生を防止しつつ、前記鋼管を溶接する方法も含まれる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、内面が樹脂含有被膜で被覆された鋼管に適用される。このような鋼管は、水道管などの液体を輸送するための管体であってもよいが、都市ガスなどの燃料ガスを輸送するための管体であるのが有用である。
【0010】
前記鋼管の内面を被覆する樹脂被膜(又は樹脂層)は、通常、耐食性の高い種々の樹脂を含むコーティング剤を用いて形成されている。このような樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、アルキッド樹脂[アルキッド樹脂;アミノアルキッド樹脂(ブチルエーテル化ユリア樹脂変性アルキッド樹脂、メラミン樹脂変性アルキッド樹脂など)、フェノール変性アルキッド樹脂などの変性アルキッド樹脂など]、フラン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂などが例示できる。
【0011】
なお、鋼管は長期間に亘り流体の輸送に利用される。そのため、前記鋼管の内面に形成された被膜は、劣化又は変質している場合もある。
【0012】
このような鋼管の所定部を溶接すると、加熱により前記被膜が熱分解してミスト(熱分解物)が発生する。特に、流体(ガスなど)の流通下で溶接すると、流体の流れ(ガス流など)とともにミストが移送されて、種々の機器障害を生じさせる。そのため、本発明では、内面が樹脂で被覆された鋼管から、溶接に伴ってミストが発生又は飛散するのを防止するため、前記鋼管の内面の樹脂層のうち少なくとも溶接部位に対応する部位を被膜で被覆して溶接する。なお、溶接による鋼管の接続は、通常、内面に樹脂被膜が形成された鋼管(又は主管体、特に既に地中などに埋設又は敷設された既設管)と、この主管体の形成された接続開口部に対して鋼管(又は接続管、分岐管)を溶接することにより行うことができる。
【0013】
前記溶接部位の内面の樹脂層を被覆する被膜は、溶接に伴う熱に対して耐性を有すればよいが、通常、溶接時間が1〜20分(例えば、1〜15分)程度である場合が多いので、前記被膜は、溶接開始から少なくとも1〜20分(例えば、1〜15分)程度に亘り耐性を示し、前記ミストの生成を抑制できる限り種々の被膜が採用できる。好ましい被膜は、耐熱性被膜である。この耐熱性被膜は耐熱性樹脂で構成してもよい。耐熱性樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルサルホンなどのポリアリールスルホンなど)、熱硬化性樹脂(アルコキシシランの加水分解縮合物などのシリコーン系樹脂、変性シリコーン樹脂、ポリイミド系樹脂など)などが例示でき、光硬化性樹脂(例えば、光硬化性シリコーンオリゴマー又は樹脂など)も使用可能である。
【0014】
好ましい耐熱性被膜は、耐熱性(熱変形温度、熱分解温度など)、機械的特性などを向上させるため、通常、無機質成分を含む組成物で形成されている。無機質成分の形態は、特に制限されず、液状成分(ケイ酸ナトリウムなどの水溶性無機化合物、シリコーンなど)、半固体又はペースト状成分(粘性シリコーン、シリコーングリース、ガム状シリコーン、ガスケット、耐熱パテ、耐熱接着剤など)、粉粒状成分(金属粉粒体、炭素粉粒体、酸化物、炭酸塩、硫酸塩などの粉粒状無機金属化合物)、繊維状成分(ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ボロン繊維、金属繊維、ホイスカーなど)などであってもよい。各無機質成分はそれぞれ単独で又は二種以上組み合わせてもよく、液状無機質成分、粉粒状無機質成分および繊維状無機質成分は適当に組み合わせて使用してもよい。
【0015】
好ましい前記無機質成分としては、耐熱性の高い種々の無機質被膜を形成可能な無機物質、例えば、金属(例えば、アルミニウムなどの金属粉粒体)、水ガラス、フリット、セラミックス(例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、チタニア又は酸化チタンなど)、シリコーン(シリコーングリースなどの粘稠なシリコーン成分)、炭素などが例示できる。
【0016】
前記無機質成分を含む組成物は、例えば、耐熱性塗膜又は耐熱性シート(テープ、シール材を含む)などの形態で鋼管の内壁の樹脂層を被覆可能であり、耐熱性シートとしては、耐熱性無機質成分(例えば、アルミニウム、ジルコニアなど)を含むシート・テープやシール材などが利用できる。前記被膜は、通常、コーティング剤、例えば、塗料(特に耐熱性塗料)、ペースト(泥しょう、スラリーなどを含む)などの形態で鋼管の内壁又は内面に適用することにより形成できる。
【0017】
前記コーティング剤(又は塗布剤)は、例えば、無機質バインダー(水ガラスなど)単独で構成してもよく、無機質バインダー(水ガラスなど)と、耐熱性無機質成分(前記フリット及び/又はセラミックスなどの粉粒状無機質成分など)とで構成してもよい。さらに、コーティング剤は、バインダー成分(シリコーン樹脂などの前記樹脂で構成されたバインダー樹脂など)と、耐熱性無機質成分(前記粉粒状、繊維状などの無機質成分)とで構成してもよい。前記コーティング剤は、通常、溶媒(水、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、炭化水素類など)を含んでいるものの、溶融してコーティングする方法(溶射法など)で無溶剤型コーティング剤を鋼管に適用する場合には、必ずしも溶媒は必要ではない。さらに、これらのコーティング剤は、必要により、種々の添加剤、例えば、分散剤や乳化剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。代表的なコーティング剤には、例えば、耐熱性無機質成分のペースト(例えば、アルミニウムペースト、セラミックスペーストなど)を含む塗料(特に耐熱塗料)や、流動性を有するセラミックスコーティング剤などが含まれる。さらに、コーティング剤には、耐熱性ライニング材類(例えば、ガラス、フリット、ホウロウなどを構成する成分で構成されたライニング剤)も含まれる。このようなコーティング剤を鋼管の内面に適用することにより、耐熱性被膜を形成できる。
【0018】
なお、コーティング剤は、有機溶媒を主たる溶媒成分とする溶剤型コーティング剤であってもよいが、水を主たる溶媒成分とする水性コーティング剤であるのが好ましい。
【0019】
前記被膜による被覆部位は、少なくとも溶接部位に対応する鋼管の内面部位(特に溶接に伴って生成する高温域)であればよく、通常、溶接部を中心として幅3〜10cmや10〜30cm程度の領域又は周辺部を被膜で被覆して溶接すればよい。被膜の厚みは前記ミストの生成を抑制できる限り特に制限されず、例えば、0.5μm〜5mm、好ましくは1μm〜1mm、さらに好ましくは10〜500μm程度の範囲から適当に選択できる。
【0020】
本発明の方法では、溶接部位に対応する鋼管の内面に前記被膜を形成すればよいが、通常、プラグ溶接部に対応する内面部位に適用する場合が多い。このプラグ溶接部は、例えば、主管体に対して接続管(分岐管)を接続するための開口部をプラグ栓で塞いで溶接する部位に相当する。
【0021】
前記鋼管の内面の被膜は、鋼管の適当な部位を利用して形成でき、例えば、溶接部位に形成された開口部(プラグ溶接においては分岐管を溶接して接続するための孔)を利用し、前記開口部に挿入管を挿入して鋼管の内面にコーティング剤を噴霧するスプレー法、刷毛やへらなどによりコーティング剤を塗布する塗布法などを利用して被覆することにより形成できる。なお、前記挿入管の噴出部は鋼管の内壁に向けて湾曲又は屈曲して延びていてもよい。また、被膜の耐性を高めるため、熱処理又は光照射処理により硬化した被膜を形成してもよい。
【0022】
本発明には、前記のようにして内面に樹脂被膜が形成された鋼管を溶接して接続するための溶接方法も含まれる。この方法では、前記鋼管の内面の樹脂層のうち少なくとも溶接部位に対応する部位を被膜(特に耐熱性被膜)で被覆して溶接するため、この被膜により、鋼管の内面に形成された樹脂被膜が熱分解してミストが発生するのを有効に防止又は抑制できる。
【0023】
そのため、ミストの飛散を防止しつつ、鋼管を円滑に溶接できるとともに、鋼管で構成された配管の末端機器に支障をきたすこともない。さらに、本発明の方法では、鋼管内に流体(ガスなど)を流通させながら鋼管を円滑に溶接できる。
【0024】
なお、鋼管としては、種々のサイズの管体が使用でき、例えば、内径100〜500mmφ程度の主管体や、例えば、内径10〜100mmφ程度の接続管又は分岐管などが使用できる。
【0025】
本発明は、内面に樹脂被膜が形成された種々の鋼管の接続に利用できるが、都市ガスなどの敷設管又は既設管に対して接続管又は分岐管を溶接により接続するのに有用である。
【0026】
【発明の効果】
本発明では、溶接部位において鋼管内面の樹脂被膜を耐熱性被膜で被覆するので、簡便かつ有効にミストの発生を防止でき、鋼管の内面の樹脂被膜を剥離することなく、鋼管に対して接続管を溶接できる。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0028】
実施例1
内面をエポキシ樹脂で被覆した鋼管(直径300mmφ、長さ1000mm)において、溶接部位の周辺部に対応する内面に、溶接に先立って耐熱塗料(シリコーン樹脂38重量%、アルミニウムペースト20重量%、添加剤2重量%及び溶剤40重量%)を塗布して塗膜を形成した。得られた鋼管を溶接し、ミストの発生の有無を目視にて観察するとともに、定性分析によりミスト成分の発生を評価したところ、ミストの発生は、目視及び定性分析のいずれにおいても観察されなかった。また、溶接した後、溶接部位の周辺部の外観を目視にて観察したところ、溶接前と変わらない外観を有していた。
【0029】
実施例2
耐熱塗料に代えて流動性セラミックス組成物(ジルコニア変成セラミックス80重量%、ポリエーテルサルホン16重量%及び添加剤4重量%)を用いる以外、実施例1と同様に操作を行い、ミストの発生を評価した。その結果、ミストの発生は、目視及び定性分析のいずれにおいても観察されなかった。また、溶接した後、溶接部位の周辺部の外観を目視にて観察したところ、溶接前と変わらない外観を有していた。
【0030】
実施例3
耐熱塗料に代えて水ガラス[低融点グレーズ(G3),日本坩堝(株)製]を用いる以外、実施例1と同様に操作を行い、ミストの発生を評価した。その結果、ミストの発生は、目視及び定性分析のいずれにおいても観察されなかった。また、溶接した後、溶接部位の周辺部の外観を目視にて観察したところ、溶接前と変わらない外観を有していた。
【0031】
実施例4
耐熱塗料に代えてアルミニウム製シール材を用いて鋼管の内面を被覆する以外、実施例1と同様に操作を行い、ミストの発生を評価した。その結果、ミストの発生は、目視及び定性分析のいずれにおいても観察されなかった。また、溶接した後、溶接部位の周辺部の外観を目視にて観察したところ、溶接前と変わらない外観を有していた。
【0032】
実施例5
鋼管の内面を被覆する樹脂としてフェノール系エポキシ樹脂を用いる以外、実施例1と同様にしてフェノール系エポキシ樹脂の被膜に耐熱塗料を塗布して塗膜を形成し、ミストの発生を評価した。その結果、目視できるミストの発生及び、定性分析により検出されるミスト成分の発生はともに見られなかった。また、溶接した後の溶接部位周辺部の外観検査において、溶接前との変化は見られなかった。
【0033】
実施例6
鋼管の内面を被覆する樹脂としてフェノール系エポキシ樹脂を用いるとともに、耐熱性コーティング剤として実施例2と同様の流動性セラミックス組成物を用いる以外は、実施例1と同様に操作を行い、ミストの発生を評価した。その結果、目視できるミストの発生及び、定性分析により検出されるミスト成分の発生はともに見られなかった。また、溶接後の溶接部位周辺部の外観検査において、溶接前との変化は見られなかった。
【0034】
実施例7
鋼管の内面を被覆する樹脂としてフェノール系エポキシ樹脂を用いるとともに、耐熱性コーティング剤として実施例3と同様の水ガラスを用いる以外は、実施例1と同様に操作を行い、ミストの発生を評価した。その結果、目視できるミストの発生及び、定性分析により検出されるミスト成分の発生はともに見られなかった。また、溶接した後の溶接部位周辺部の外観検査において、溶接前との変化は見られなかった。
【0035】
実施例8
鋼管の内面を被覆する樹脂としてフェノール系エポキシ樹脂を用いるとともに、耐熱性シール材としてアルミニウム製シール材を用いる以外は、実施例1と同様に操作を行い、ミストの発生を評価した。その結果、目視できるミストの発生及び、定性分析により検出されるミスト成分の発生はともに見られなかった。また、溶接後の溶接部位周辺部の外観検査において、溶接前との変化は見られなかった。
【0036】
実施例9〜12
鋼管の内面を被覆する樹脂としてアルキッド樹脂を用いるとともに、実施例1〜4と同様の耐熱性コーティング剤又は耐熱性シール材を用いる以外は、実施例1〜4と同様の操作を行い、ミストの発生を評価した。その結果、目視できるミストの発生及び定性分析により検出されるミスト成分の発生はともに見られなかった。また、溶接後の溶接部位周辺部の外観検査において、溶接前との変化は見られなかった。
【0037】
実施例13〜16
鋼管の内面を被覆する樹脂としてアルキッド−メラミン樹脂を用いるとともに、実施例1〜4と同様の耐熱性コーティング剤又は耐熱性シール材を用いる以外は、実施例1〜4と同様の操作を行い、ミストの発生を評価した。その結果、目視できるミストの発生及び定性分析により検出されるミスト成分の発生はともに見られなかった。また、溶接後の溶接部位周辺部の外観検査において、溶接前との変化は見られなかった。
【0038】
比較例1〜4
耐熱性コーティング剤及び耐熱性シール材を用いることなく、実施例1、実施例5、実施例9及び実施例13と同様に操作を行い、ミストの発生を評価した。その結果、白煙が確認され、白煙の定性分析により鋼管の内面に形成された被膜の樹脂が原因であるミストであることが明らかとなった。また、溶接後、溶接部位の周辺部は、変色し、内面を被覆していた樹脂は残存していなかった。
【0039】
実施例及び比較例から明らかなように、いずれの実施例においても、溶接に先立って、鋼管の内面の溶接部位の周辺部に被覆を形成することにより、鋼管の溶接に伴うミストの発生を防止し、ミストトラブルを有効に防止できることが判明した。
【0040】
実施例17
内面をエポキシ樹脂で被覆した鋼管(直径100mm、長さ1000mm)において、溶接部位の周辺部に対応する内面に、溶接に先だって耐熱塗料(シリコーン樹脂38重量%、アルミニウムペースト20重量%、添加剤2重量%及び溶剤40重量%)を塗布して塗膜を形成した。得られた鋼管にゴム管をつなぎ空気を流速30L/minで流しながら溶接を行った。下流側でデジタル粉塵計(柴田科学(株)製 P−5L型、P−5H型)を用いて発生ミストの量を測定したところ、47.9mg/m3であった。
【0041】
実施例18
耐熱塗料を他の耐熱塗料(NARD製KM−70−2T)に代えた以外、実施例17と同様に操作を行い、ミストの発生量を測定したところ、54.65mg/m3であった。
【0042】
比較例5
耐熱塗料を用いることなく、実施例17と同様に操作を行い、ミストの発生量を測定したところ、120.4mg/m3であった。
【0043】
実施例19
鋼管の内面を被覆する樹脂としてアルキッド樹脂を用いる以外は、実施例17と同様操作を行い、ミストの発生量を測定したところ、0.86mg/m3であった。
【0044】
実施例20
鋼管の内面を被覆する樹脂としてアルキッド樹脂を用いる以外は、実施例18と同様操作を行い、ミストの発生量を測定したところ、0.83mg/m3であった。
【0045】
比較例6
耐熱塗料を用いることなく、実施例19と同様に操作を行い、ミストの発生量を測定したところ、3.29mg/m3であった。
【0046】
実施例21
内面をエポキシ樹脂で被覆した鋼管(直径100mm、長さ1000mm)において、溶接部位の周辺部に対応する内面に、溶接に先だってシリコーングリースを塗布して塗膜を形成した。得られた鋼管にゴム管をつなぎ空気を流速30L/minで流しながら溶接を行った。下流側でフィルター(ADVANTEC製GB−100R)にてミストを捕集して発生ミストの量を測定したところ、10mgであった。
【0047】
実施例22
シリコーングリースに代えて無機質ペースト(KDKトレーディング製 KD41C)を用いる以外、実施例21と同様に操作を行い、ミストの発生量を測定したところ、8mgであった。
【0048】
比較例7
シリコーングリース及び無機質ペーストを用いることなく、実施例21と同様に操作を行い、ミストの発生量を測定したところ、30mgであった。

Claims (10)

  1. 内面が樹脂で被覆された鋼管の溶接に伴って、ミストが発生するのを防止するための方法であって、前記鋼管の内面の樹脂層のうち少なくとも溶接部位に対応する部位の樹脂層さらに被膜で被覆して溶接し、ミストの発生を防止する方法。
  2. 被膜が耐熱性被膜である請求項1記載の方法。
  3. 被膜を耐熱性塗膜又はシートで形成する請求項1記載の方法。
  4. 被膜が無機質成分を含む請求項3記載の方法。
  5. 被膜が、金属、水ガラス、フリット、セラミックス、シリコーンおよび炭素から選択された少なくとも一種の無機質成分を含む組成物で形成されている請求項4記載の方法。
  6. 耐熱性シートが、アルミニウム及びジルコニアから選択された少なくとも一種を含む請求項3記載の方法。
  7. プラグ溶接部に適用する請求項1記載の方法。
  8. 溶接部位の孔からスプレー又は塗布により鋼管の内面を被覆する請求項1記載の方法。
  9. 熱処理又は光照射処理により硬化した被膜を形成する請求項1記載の方法。
  10. 内面が樹脂で被覆された鋼管を溶接する方法であって、前記鋼管の内面の樹脂層のうち少なくとも溶接部位に対応する部位の樹脂層さらに被膜で被覆し、ミストの発生を防止しつつ、前記鋼管を溶接する方法。
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