JP4047150B2 - 半導体発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の波長で発光する半導体発光素子に関する。特に、窒化ガリウム系化合物半導体が積層された半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、照明用の白色光源や、液晶のバックライトには、蛍光管を用いていた。蛍光管は、高電圧を必要とし、発光効率も必ずしも高くはない。また、LEDの低価格化に伴い、LEDを白色光源として利用することも始まった。LEDでは白色として発光するほどの広波長は得られないため、異なる波長で発光するLEDチップを複数配置し、それぞれのLEDチップを発光させていた。つまり、白色の光源を得るためには、赤、緑、青の3原色でそれぞれ発光させて、混色として白色を実現していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
例えば、図1に3チップのLEDを搭載したキャビティの例を示す。図1において、51は赤で発光するLEDチップ、52は緑で発光するLEDチップ、53は青で発光するLEDチップ、54は3チップのLEDを搭載するキャビティである。図1に示すように、白色で発光させるために、それぞれ、赤、緑、青で発光するLEDチップ51、52、53を同一のキャビティ54内に載置し、それぞれのLEDチップを発光させて、混色としての白色を得ていた。
【0004】
しかし、3つのチップを搭載すると、キャビティ構造が複雑になり、駆動回路や周辺回路もそれだけ、多く必要になっていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−288341号公報 (第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決するために、1チップの半導体発光素子において複数の波長で発光させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本願発明は、p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層と、n型AlyGa1−yN(0≦y≦1)からなる層とではさまれた多重井戸層が、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層と、該井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層であって隣接する井戸層との間ではr<qの関係になる障壁層とが交互に複数積層された層を含み、発光させる井戸層はそれぞれ異なる構成比qを有し、井戸層で発光させた光で、発光した該井戸層よりもバンドギャップエネルギーの小さい井戸層を励起して発光させる半導体発光素子である。
【0008】
本願他の発明は、p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層と、n型AlyGa1−yN(0≦y≦1)からなる層とではさまれた多重井戸層が、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層と、該井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層であって隣接する井戸層との間ではr<qの関係になる障壁層とが交互に複数積層された層を含み、発光させる井戸層の構成比qをp型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から漸増させた半導体発光素子である。
【0009】
本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、前記井戸層がそれぞれ異なる厚さを有することを特徴とする半導体発光素子である。
【0010】
本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、発光させる井戸層と他の発光させる井戸層との間の障壁層がそれぞれ異なる厚さを有することを特徴とする半導体発光素子である。
【0011】
本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、前記井戸層で発光させた光を前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から面出射させることを特徴とする半導体発光素子である。
【0012】
本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、発光させた複数の光の混色が白色になるように、発光させる井戸層の構成比qを設定することを特徴とする半導体発光素子である。
【0013】
これらの本願発明により、バンドギャップエネルギーの大きい井戸層で発光した光が半導体発光素子から出射すると同時に、発光した井戸層よりもバンドギャップエネルギーの小さい井戸層で吸収されると、吸収した井戸層では励起により、吸収した光の波長よりも長いその井戸層特有の波長で発光する。このように、光結合により、1つの半導体発光素子チップにおいて複数の異なる波長で発光させることができる。
【0014】
また、本願発明は、p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層と、n型AlyGa1−yN(0≦y≦1)からなる層とではさまれた多重井戸層が、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層と、該井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層であって隣接する井戸層との間ではr<qの関係になる障壁層とが交互に複数積層された層を含み、発光させる井戸層はそれぞれ異なる構成比qを有し、前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層から供給された正孔と前記n型AlyGa1−yN(0≦y≦1)からなる層から供給された電子とを前記井戸層で再結合させることにより異なる波長で発光させる半導体発光素子である。
【0015】
また、本願他の発明は、p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層と、n型AlyGa1−yN(0≦y≦1)からなる層とではさまれた多重井戸層が、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層と、該井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層であって隣接する井戸層との間ではr<qの関係になる障壁層とが交互に複数積層された層を含み、発光させる井戸層はそれぞれ異なる構成比qを有し、前記障壁層の構成比rをp型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から漸減させた半導体発光素子である。
【0016】
また、本願他の発明は、前記の半導体発光素子において、発光させる井戸層の構成比qを前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から漸増させることを特徴とする半導体発光素子である。
【0017】
また、本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、発光させる井戸層と該井戸層のn型AlyGa1−yN(0≦y≦1)からなる層の側に隣接する障壁層とのバンドギャップエネルギー差を、前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から漸減させたことを特徴とする半導体発光素子である。
【0018】
また、本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、発光させる井戸層と他の発光させる井戸層との間の障壁層がそれぞれ異なる厚さを有することを特徴とする半導体発光素子である。
【0019】
また、本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、前記井戸層で発光させた光を前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から面出射させることを特徴とする半導体発光素子である。
【0020】
また、本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、発光させた複数の光の混色が白色になるように、発光させる井戸層の構成比qを設定することを特徴とする半導体発光素子である。
【0021】
これらの本願発明により、正孔がp型AlxGa1−xNからなる層から井戸層を容易に移動できるようにすると、それぞれの井戸層で電子との再結合により発光させることができる。それぞれの井戸層は異なるバンドギャップエネルギーを持つため、その井戸層特有の波長で発光する。このように、正孔と電子との再結合により、1つの半導体発光素子チップにおいて複数の異なる波長で発光させることができる。
【0022】
さらに、本願発明は、p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層と、n型AlyGa1−yN(0≦y≦1)からなる層とではさまれた多重井戸層が、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層と、該井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層であって隣接する井戸層との間ではr<qの関係になる障壁層とが交互に複数積層された層を含み、発光させる井戸層がそれぞれ異なる構成比qを有し、隣接する井戸層にトンネル効果で存在させた正孔と電子とを再結合させることにより発光させる半導体発光素子である。
【0023】
さらに、本願他の発明は、p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層と、n型AlyGa1−yN(0≦y≦1)からなる層とではさまれた多重井戸層が、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層と、該井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層であって隣接する井戸層との間ではr<qの関係になる障壁層とが交互に複数積層された層を含み、発光させる井戸層がそれぞれ異なる構成比qを有し、障壁層の厚さを10nm以下であって、且つ前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から順に薄くなるように設定した半導体発光素子である。
【0024】
さらに、本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、井戸層の構成比qを前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から漸増させたことを特徴とする半導体発光素子である。
【0025】
さらに、本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、前記井戸層で発光させた光を前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から面出射させることを特徴とする半導体発光素子である。
【0026】
さらに、本願他の発明は、前記発明の半導体発光素子において、発光させた複数の光の混色が白色であることを特徴とする半導体発光素子である。
【0027】
これらの本願発明により、井戸層と井戸層との間の障壁層を、正孔と電子がトンネル効果で隣接する井戸層に存在する程度に薄くすると、複数の井戸層で正孔と電子とを再結合させることができる。それぞれの井戸層のバンドギャップエネルギーを異なるように設定すると、1つの半導体発光素子チップにおいて複数の異なる波長で発光させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本願第1発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
本願発明の実施の形態である半導体発光素子のエネルギーバンド図を図2、図3に示す。図2、図3において、11はp型AlxGa1−xNからなる層、12はn型AlyGa1−yNからなる層、13はInqGa1−qNからなる井戸層、14はInrGa1−rNからなる障壁層、15は多重井戸層である。
【0029】
図2において、p型AlxGa1−xNからなる層11とn型AlyGa1−yNからなる層12との間に多重井戸層15を設けている。多重井戸層15は、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層13と、井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層14とを交互に複数積層して構成されている。障壁層のバンドギャップエネルギーは隣接する井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、また、井戸層のバンドギャップエネルギーは、p型AlxGa1−xNからなる層11からn型AlyGa1−yNからなる層12に向けて漸減させている。
【0030】
p型AlxGa1−xNからなる層11とn型AlyGa1−yNからなる層12との間に電圧を印加すると、p型AlxGa1−xNからなる層11からは正孔が供給され、n型AlyGa1−yNからなる層12からは電子が供給される。電子の有効質量は小さいため、各井戸層のバンドギャップエネルギーを適切に調整すると、電子をn型AlyGa1−yNからなる層12から最もバンドギャップエネルギーの大きい井戸層まで達するようにすることができる。一方、正孔の有効質量は電子に比較して大きいため、p型AlxGa1−xNからなる層11から最初の井戸層で電子と再結合して発光する。
【0031】
p型AlxGa1−xNからなる層11から最初の井戸層で、電子と正孔との再結合によって発光する。発光した光の波長をλ3とする。波長λ3の光のうち、p型AlxGa1−xNからなる層11に向かった光は半導体発光素子から出射する。一方、n型AlyGa1−yNからなる層12の方向に向かった波長λ3の光は、p型AlxGa1−xNからなる層11から最初の井戸層よりもバンドギャップエネルギーの小さい井戸層で吸収される。吸収された光によって励起された井戸層は、その井戸層のバンドギャップエネルギーに対応する波長で発光する。発光した光の波長をλ2とする。
【0032】
波長λ2の光のうち、p型AlxGa1−xNからなる層11に向かった光は、p型AlxGa1−xNからなる層11から最初の井戸層のバンドギャップエネルギーに対応する波長よりも長いため、その井戸層で吸収されることなく、半導体発光素子から出射する。一方、n型AlyGa1−yNからなる層12の方向に向かった波長λ1、又は波長λ2の光は、波長λ1、又は波長λ2に対応するバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーの井戸層で吸収される。吸収された光によって励起された井戸層は、その井戸層のバンドギャップエネルギーに対応する波長で発光する。発光した光の波長をλ1とする。
【0033】
波長λ1の光のうち、p型AlxGa1−xNからなる層11に向かった光は、p型AlxGa1−xNからなる層11の側にある井戸層のバンドギャップエネルギーに対応する波長よりも長いため、その井戸層で吸収されることなく、半導体発光素子から出射する。
【0034】
このような半導体発光素子とすることにより、バンドギャップエネルギーの異なる井戸層で発光させれば、1チップの半導体発光素子において、異なる波長で発光させることができる。
【0035】
図3において、井戸層13の厚さをp型AlxGa1−xNからなる層11の側から漸増するように設定している。図3において、例えば、λ3で発光した光がλ2で発光する井戸層で吸収される量よりも、λ3、又はλ2で発光した光がλ1で発光する井戸層で吸収される量の方が少ないときは、λ1で発光する井戸層の厚さを厚くすることにより、吸収される量を増加させることができる。逆に、λ1で発光する井戸層で吸収される量の方が多いときは、λ1で発光する井戸層の厚さを薄くすることにより、吸収される量を減少させることができる。この構造により、それぞれの井戸層で発光する光の強度を制御することができる。
【0036】
また、発光させる井戸層と他の発光させる井戸層との間の障壁層の厚さを調整することによって、井戸層で発光した光が他の井戸層に結合する割合も変化する。例えば、障壁層の厚さを厚くすると、井戸層で発光した光が他の井戸層に結合する割合が小さくなり、障壁層の厚さを薄くすると、井戸層で発光した光が他の井戸層に結合する割合が大きくなる。この構造により、それぞれの井戸層で発光する光の強度を制御することができる。
【0037】
それぞれの井戸層のバンドギャップエネルギーを調整することによって、それぞれの井戸層で発光する波長を制御すれば、所望の色彩を得ることができる。また、井戸層の厚さ又は障壁層の厚さを調整することによって、発光する光の強度を制御すれば、所望の色彩を得ることができる。さらに、それぞれの井戸層のバンドギャップエネルギーと井戸層の厚さと障壁層の厚さとを組み合わせて調整することによって、所望の色彩を得ることができる。
【0038】
従って、本実施の形態の半導体発光素子とすることにより、1チップの半導体発光素子において複数の波長で発光させることができる。
【0039】
発光した光をn型AlyGa1−yNからなる層12の側から出射させると、発光した光が他の井戸層で吸収されることがないため、効率的に出射させることができるが、p型AlxGa1−xNからなる層11の側から出射させてもよい。また、端面出射させてもよい。
【0040】
発光する波長λ1、λ2、λ3をそれぞれ、赤、緑、青とすると、混色によって白色とすることができる。正確に赤、緑、青としなくても、強度と波長を制御して、混色で白色にすることもできる。4以上の波長でも同様である。また、2つの波長で発光させて、強度と波長を制御して白色とすることもできる。さらに、強度と波長とを制御することによって、所望の色彩とすることもできる。
【0041】
バンドギャップエネルギーの大きい井戸層で発光した光がバンドギャップエネルギーの小さい井戸層で吸収される割合は5%以上であることが好ましい。
【0042】
(実施の形態2)
本願発明の実施の形態である半導体発光素子のエネルギーバンド図を図4乃至図7に示す。図4、図5、図6、図7において、11はp型AlxGa1−xNからなる層、12はn型AlyGa1−yNからなる層、13はInqGa1−qNからなる井戸層、14はInrGa1−rNからなる障壁層、15は多重井戸層である。
【0043】
本実施の形態では、p型AlxGa1−xNからなる層11から供給された正孔とn型AlyGa1−yNからなる層12から供給された電子とを多重井戸層のそれぞれの井戸層で再結合させる際に、それぞれの井戸層に異なるバンドギャップエネルギーを持たせることにより、それぞれの井戸層において異なる波長で発光させる半導体発光素子である。一つの井戸層で総ての正孔と電子を再結合させないよう、正孔及び電子を隣接する井戸層に漏出させて、複数の井戸層で正孔と電子を再結合させることによって、それぞれの井戸層において発光させる。
【0044】
図4において、p型AlxGa1−xNからなる層11とn型AlyGa1−yNからなる層12との間に多重井戸層15を設けている。多重井戸層15は、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層13と、井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層14とを交互に複数積層して構成されている。障壁層は隣接する井戸層との関係では、バンドギャップエネルギーが大きくなるように、また、p型AlxGa1−xNからなる層11からn型AlyGa1−yNからなる層12に向けて、バンドギャップエネルギーが漸減するように設定されている。井戸層はそれぞれのバンドギャップエネルギーが異なるように設定されている。
【0045】
このような構成の半導体発光素子にp型AlxGa1−xNからなる層11から供給された正孔とn型AlyGa1−yNからなる層12から供給された電子とを、それぞれの井戸層に漏出させて、それぞれの井戸層で再結合させることにより、それぞれの井戸層のバンドギャップエネルギーに応じた波長で発光させることができる。また、井戸層から隣接する井戸層への正孔又は電子の漏出する量を調整することによって、各井戸層で発光する光の強度を制御することができる。
【0046】
図5において、p型AlxGa1−xNからなる層11とn型AlyGa1−yNからなる層12との間に多重井戸層15を設けている。多重井戸層15は、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層13と、井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層14とを交互に複数積層して構成されている。障壁層は隣接する井戸層との関係では、バンドギャップエネルギーが大きくなるように、また、井戸層はそれぞれのバンドギャップエネルギーが異なるように設定されている。さらに、p型AlxGa1−xNからなる層11からn型AlyGa1−yNからなる層12に向けて、井戸層とn型AlyGa1−yNからなる層12の側の障壁層とのバンドギャップエネルギー差が漸減するように設定されている。
【0047】
このような構成の半導体発光素子にp型AlxGa1−xNからなる層11から供給された正孔とn型AlyGa1−yNからなる層12から供給された電子とを、それぞれの井戸層に漏出させて、それぞれの井戸層で再結合させることにより、それぞれの井戸層のバンドギャップエネルギーに応じた波長で発光させることができる。また、井戸層から隣接する井戸層への正孔又は電子の漏出する量を調整することによって、各井戸層で発光する光の強度を制御することができる。
【0048】
図6において、p型AlxGa1−xNからなる層11とn型AlyGa1−yNからなる層12との間に多重井戸層15を設けている。多重井戸層15は、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層13と、井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層14とを交互に複数積層して構成されている。障壁層は隣接する井戸層との関係では、バンドギャップエネルギーが大きくなるように、また、井戸層のバンドギャップエネルギーはp型AlxGa1−xNからなる層11からn型AlyGa1−yNからなる層12に向けて、漸減するように設定されている。
【0049】
このような構成の半導体発光素子にp型AlxGa1−xNからなる層11から供給された正孔とn型AlyGa1−yNからなる層12から供給された電子とを、それぞれの井戸層に漏出させて、それぞれの井戸層で再結合させることにより、それぞれの井戸層のバンドギャップエネルギーに応じた波長で発光させることができる。また、出射側の井戸層のバンドギャップエネルギーが大きくなるように、それぞれの井戸層を配置することによって、発光した光が井戸層で吸収され難くすることができる。また、井戸層から隣接する井戸層への正孔又は電子の漏出する量を調整することによって、各井戸層で発光する光の強度を制御することができる。
【0050】
図7において、p型AlxGa1−xNからなる層11とn型AlyGa1−yNからなる層12との間に多重井戸層15を設けている。多重井戸層15は、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層13と、井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層14とを交互に複数積層して構成されている。障壁層は隣接する井戸層との関係では、バンドギャップエネルギーが大きくなるように、また、p型AlxGa1−xNからなる層11からn型AlyGa1−yNからなる層12に向けて、バンドギャップエネルギーが漸減するように設定されている。さらに、p型AlxGa1−xNからなる層11からn型AlyGa1−yNからなる層12に向けて、井戸層とn型AlyGa1−yNからなる層12の側の障壁層とのバンドギャップエネルギー差が漸減するように設定されている。また、井戸層のバンドギャップエネルギーはp型AlxGa1−xNからなる層11からn型AlyGa1−yNからなる層12に向けて、漸減するように設定されている。
【0051】
このような構成の半導体発光素子にp型AlxGa1−xNからなる層11から供給された正孔とn型AlyGa1−yNからなる層12から供給された電子とを、それぞれの井戸層に漏出させて、それぞれの井戸層で再結合させることにより、それぞれの井戸層のバンドギャップエネルギーに応じた波長で発光させることができる。また、出射側の井戸層のバンドギャップエネルギーが大きくなるように、それぞれの井戸層を配置することによって、発光した光が井戸層で吸収され難くすることができる。また、井戸層から隣接する井戸層への正孔又は電子の漏出する量を調整することによって、各井戸層で発光する光の強度を制御することができる。
【0052】
また、発光させる井戸層と他の発光させる井戸層との間の障壁層の厚さを調整することによって、井戸層から隣接する井戸層への正孔又は電子の漏出する量を変化させることができる。例えば、障壁層の厚さを厚くすると、井戸層から隣接する井戸層への正孔又は電子の漏出する量が少なくなり、障壁層の厚さを薄くすると、井戸層から隣接する井戸層への正孔又は電子の漏出する量が多くなる。この構造により、それぞれの井戸層で発光する光の強度を制御することができる。
【0053】
それぞれの井戸層のバンドギャップエネルギーを調整することによって、それぞれの井戸層で発光する波長を制御すれば、所望の色彩を得ることができる。また、井戸層のバンドギャップエネルギーと障壁層のバンドギャップエネルギーと障壁層の厚さとを組み合わせて調整することによって、発光する光の強度を制御すれば、所望の色彩を得ることができる。さらに、それぞれの井戸層のバンドギャップエネルギーと障壁層のバンドギャップエネルギーと障壁層の厚さとを組み合わせて調整することによって、発光する光の波長と強度とを同時に制御すれば、所望の色彩を得ることができる。
【0054】
従って、本実施の形態の半導体発光素子とすることにより、1チップの半導体発光素子において複数の波長で発光させることができる。
【0055】
発光した光をn型AlyGa1−yNからなる層12の側から出射させると、効率的に出射させることができるが、p型AlxGa1−xNからなる層11の側から出射させてもよい。また、端面出射させてもよい。
【0056】
発光する波長λ1、λ2、λ3をそれぞれ、赤、緑、青とすると、混色によって白色とすることができる。正確に赤、緑、青としなくても、強度と波長を制御して、混色で白色にすることもできる。4以上の波長でも同様である。また、2つの波長で発光させて、強度と波長とを制御して白色とすることもできる。さらに、強度と波長とを同時に制御することによって、所望の色彩とすることもできる。
【0057】
井戸層と隣接する障壁層とのバンドギャップエネルギー差は、100meV以下であることが好ましい。
【0058】
(実施の形態3)
本願発明の実施の形態である半導体発光素子のエネルギーバンド図を図8に示す。図8において、11はp型AlxGa1−xNからなる層、12はn型AlyGa1−yNからなる層、13はInqGa1−qNからなる井戸層、14はInrGa1−rNからなる障壁層、15は多重井戸層である。
【0059】
図8において、p型AlxGa1−xNからなる層11とn型AlyGa1−yNからなる層12との間に多重井戸層15を設けている。多重井戸層15は、InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層13と、井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層14とを交互に複数積層して構成されている。障壁層14の厚さは、正孔と電子の波長よりも短い10nm以下とすることが望ましい。
【0060】
p型AlxGa1−xNからなる層11とn型AlyGa1−yNからなる層12との間に電圧を印加すると、p型AlxGa1−xNからなる層11からは正孔が供給され、n型AlyGa1−yNからなる層12からは電子が供給される。井戸層と隣接する井戸層との間の障壁層の厚さを正孔及び電子の波長よりも短い10nm以下とすると、トンネル効果により電子と正孔は隣接する井戸層にも存在させることができる。このため、それぞれの井戸層で正孔と電子とが再結合して発光する。井戸層はそれぞれのバンドギャップエネルギーが異なるように設定されている。
【0061】
電子の有効質量は正孔の有効質量より小さいため、トンネル効果による正孔と電子の再結合は正孔に律則されることになる。そこで、障壁層の厚さを、p型AlxGa1−xNからなる層11の側から順に薄くなるように設定すると、正孔をn型AlyGa1−yNからなる層12に近い井戸層にも存在させることができる。図8においては、t1>t2とすることになる。障壁層の厚さを調整することによって、トンネル効果による正孔と電子の再結合の割合を変化させることができる。つまり、トンネル効果による隣接する井戸層での正孔と電子の存在確率を調整することによって、各井戸層で発光する光の強度を制御することができる。また、それぞれの井戸層のバンドギャップエネルギーを調整することによって、そのバンドギャップエネルギーに応じた波長で発光させることができる。
【0062】
従って、本実施の形態の半導体発光素子とすることにより、1チップの半導体発光素子において複数の波長で発光させることができる。
【0063】
発光した光をn型AlyGa1−yNからなる層12の側から出射させると、効率的に出射させることができるが、p型AlxGa1−xNからなる層11の側から出射させてもよい。また、端面出射させてもよい。
発光する波長λ1、λ2、λ3をそれぞれ、赤、緑、青とすると、混色によって白色とすることができる。正確に赤、緑、青としなくても、強度と波長を調整して、混色で白色にすることもできる。4以上の波長でも同様である。また、2つの波長で発光させて、強度と波長を調整して白色とすることもできる。さらに、強度と波長を調整することによって、所望の色彩とすることもできる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば1チップの半導体発光素子において複数の波長で発光させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の半導体白色発光素子の構成を説明する図である。
【図2】 本願発明の実施形態である発光した光による励起を説明するエネルギーバンド図である。
【図3】 本願発明の実施形態である発光した光の吸収する量を変化させたエネルギーバンドを説明する図である。
【図4】 本願発明の実施形態である正孔及び電子の漏出を説明するエネルギーバンド図である。
【図5】 本願発明の実施形態である正孔及び電子の漏出を説明するエネルギーバンド図である。
【図6】 本願発明の実施形態である正孔及び電子の漏出を説明するエネルギーバンド図である。
【図7】 本願発明の実施形態である正孔及び電子の漏出を説明するエネルギーバンド図である。
【図8】 本願発明の実施形態である正孔及び電子のトンネル結合を説明するエネルギーバンド図である。
【符号の説明】
11:p型AlxGa1−xNからなる層
12:n型AlyGa1−yNからなる層
13:InqGa1−qNからなる井戸層
14:InrGa1−rNからなる障壁層
15:多重井戸層
Claims (4)
- p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層と、n型AlyGa1−yN(0≦y≦1)からなる層とではさまれた多重井戸層が、
InqGa1−qN(0<q≦1)からなる井戸層と、該井戸層に隣接するInrGa1−rN(0≦r<1)からなる障壁層であって隣接する井戸層との間ではr<qの関係になる障壁層とが交互に複数積層された層を含み、
発光させる井戸層がそれぞれ異なる構成比qを有し、
障壁層の厚さを10nm以下であって、且つ前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から順に薄くなるように設定した半導体発光素子。 - 請求項1に記載の半導体発光素子において、井戸層の構成比qを前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から漸増させたことを特徴とする半導体発光素子。
- 請求項1乃至2に記載の半導体発光素子において、前記井戸層で発光させた光を前記p型AlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる層の側から面出射させることを特徴とする半導体発光素子。
- 請求項1乃至3に記載の半導体発光素子において、発光させた複数の光の混色が白色であることを特徴とする半導体発光素子。
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