JP4050413B2 - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート樹脂組成物に関し、詳しくは、相溶性が改善され、面衝撃強度、薄肉成形品での耐表層剥離性、耐溶剤性、リサイクル性などにすぐれたポリカーボネート樹脂組成物および成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、すぐれた耐衝撃特性、耐熱性、電気的特性などにより、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器、家庭電化機器などの電気・電子機器、自動車分野、建築分野など様々な分野において幅広く利用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は成形温度が高く、溶融粘度も高いために、成形品の薄肉化、大型化に対応するために、ますます成形温度が高くなる傾向にある。一方、近時、成形品が複写機、ファックス、パソコンなどのOA機器、電話機、通信機などの情報・通信機器、テレビ、ラジオなどの家電機器などの電気・電子機器などの部品やハウジングなどの場合には、形状が複雑になること、リブやボスなどの凹凸が成形品に形成されること、軽量化、省資源の見地から成形品が薄肉化することなどの理由から、ボリカーボネート樹脂の溶融流動性、すなわち射出成形性を高めた組成物が求められている。この成形性の改善としては、耐衝撃性などの物性も考慮して、ゴム変性スチレン系樹脂などのスチレン系樹脂との配合組成物が多く提案されている。
【0003】
ポリカーボネート樹脂の溶融流動性の改良のために、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂)などの(ゴム変性)スチレン系樹脂をポリカーボネート樹脂に配合した組成物は、ポリマーアロイとして、その耐熱性、耐衝撃性の特性を生かし、多くの成形品分野に用いられてきている。
【0004】
しかしながら、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂は、その相溶性が低く、分散性が不十分である場合があり、特に薄肉成形品にあっては、表層剥離が生じたり、実用上重要な面衝撃強度が低くなりやすい場合がある。さらに、リサイクルの場合に衝撃強度の低下が大きいなどの問題点も有している。これらの現象は、難燃剤の配合の場合に特に問題となりやすい。また、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂からなるポリマーアロイは、流動性の改良は達成されるものの、耐溶剤性が必ずしも十分でなく、用途によっては問題となる場合がある。
【0005】
一方、ポリカーボネート樹脂はそれ自体自己消火性樹脂ではあるが、電気・電子機器などにおいては、安全性のさらなる向上のために、難燃性レベルの改善が求められている。
たとえば、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂に難燃剤を配合した組成物も数多く提案されている。たとえば、特開昭61−55145号公報には、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)ABS樹脂、(C)AS樹脂、(D)ハロゲン化合物、(E)リン酸エステル、(F)ポリテトラフルオロエチレン成分からなる熱可塑性樹脂組成物が記載されている。特開平2−32154号公報には、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)ABS樹脂、(C)AS樹脂、(D)リン酸エステル、(E)ポリテトラフルオロエチレン成分からなる難燃性高衝撃性ポリカーボネート成形用組成物が記載されている。特開平8−239565号公報には、(A)芳香族ポリカーボネート、(B)ゴム状弾性体を含有する耐衝撃ポリスチレン樹脂、(C)ハロゲン非含有リン酸エステル、(D)コアシエルタイプグラフトゴム状弾性体、(D)タルクを含むポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。これらは、いずれも、ポリカーボネートの溶融流動性の改良による成形性、耐衝撃性、難燃性の改良を目的としたもので、すぐれた効果を生かし、各種成形品として用いられてきている。
【0006】
一方、ポリカーボネート樹脂の耐溶剤性の改良のために、ポリエステル樹脂を配合することは、すでに提案されている。しかしながら、ポリエステル樹脂の添加によって、ポリカーボネート樹脂が有する衝撃強度特性が大幅に低下する傾向にある。このため、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂の両樹脂の特徴を生かす樹脂組成物が新たに提案されている。
【0007】
特開平9−48901号公報には、(1)ポリエステル系樹脂(A)、付加重合系ブロック共重合体(B)、ポリエステル系ブロツク共重合体(C)およびポリカーボネート系樹脂(D)とから主としてなる熱可塑性重合体組成物であって、付加重合系ブロック共重合体(B)、ポリエステル系ブロツク共重合体(C)を特定のものに限定した組成物が提案されている。この組成物はポリカーボネート樹脂が有する室温耐衝撃性を維持しながら低温耐衝撃性、耐薬品性などにすぐれたものである。しかしながら、同公報には、ポリカーボネート樹脂の溶融流動性、特にスチレン系樹脂との組成物において、相溶性や難燃性に関する具体的な記載はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状の下、ポリカーボネート樹脂のスチレン系樹脂による、成形性の改良において、特に近時の薄肉化傾向にある成形品の成形において、面衝撃強度などの実用物性、表層剥離がなく、リサイクル性にすぐれるなど相溶性の改良されたポリカーボネート樹脂組成物およびこの組成物を用いた成形品の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するため、本発明者らは、ポリカーボネート樹脂のスチレン系樹脂による成形性の改良において、耐衝撃性などの改良について鋭意検討した。その結果、スチレン系樹脂の含有とともに、特定のポリエステル系ブロック共重合体を選択使用することにより、相溶性にすぐれた組成物が得られ、その結果耐衝撃性などにすぐれ、リサイクルによる再溶融成形においても衝撃強度の低下、着色の少ない成形品が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)(A)ポリカーボネート樹脂60〜95重量%と(B)スチレン系樹脂40〜5重量%からなる樹脂100重量部に対して、(C)下記のポリエステル系ブロック共重合体(III)0.1〜30重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、前記ポリエステル系ブロック共重合体(III)が、ポリエステル系樹脂(X)から誘導されるポリエステルブロック(I)と芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロック(a−1)および水素添加された1,2−結合量が30%未満のポリブタジエンブロック(a−2)のうちの少なくとも1種からなる重合体ブロック(a)と、水素添加されたポリイソプレンブロツク(b−1)、水素添加された1,2−結合量が30〜80%のポリブタジエンブロック(b−2)および水素添加されたイソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる重合体ブロック(b)とからなり、かつ末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(Y−1)および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロック(c)とポリイソブチレンブロック(d)とからなり、かつ末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(Y−2)の少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(Y)から誘導される重合体ブロック(II)とからなるポリエステル系ブロック共重合体であり、さらに(D)難燃剤である官能基含有シリコーン化合物を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物、
(2)(C)ポリエステル系ブロック共重合体(III)がポリエステル系樹脂(X)および付加重合系ブロック共重合体(Y)を含有するものである上記(1)記載のポリカーボネート樹脂組成物、
(3)(D)難燃剤である官能基含有シリコーン化合物を、(A)および(B)からなる樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部含有する上記(1)または(2)記載のポリカーボネート樹脂組成物、
(4)(E)フルオロオレフィン樹脂を、(A)および(B)からなる樹脂100重量部に対して0.02〜5重量部含有する上記(3)記載のポリカーボネート樹脂組成物、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品、および
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる電気・電子機器のハウジングまたは部品である射出成形品を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)ポリカーボネート樹脂
ポリカーボネート樹脂(PC)としては、特に制限はなく種々のものが挙げられる。通常、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。すなわち、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法、すなわち、2価フエノールとホスゲンの反応、2価フエノールとジフェニルカーボネートなどとのエステル交換反応により製造されたものを使用することができる。
【0012】
2価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどが挙げられる。
【0013】
特に好ましい2価フエノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールAを主原料としたものである。また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホルメートなどであり、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどである。この他、2価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これらの2価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
なお、ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)などがある。また、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノールなどが用いられる。
【0015】
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂としては、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部を有する共重合体、あるいはこの共重合体を含有するポリカーボネート樹脂であってもよい。また、テレフタル酸などの2官能性カルボン酸、またはそのエステル形成誘導体などのエステル前駆体の存在下でポリカーボネートの重合を行うことによって得られるポリエステル−ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、種々のポリカーボネート樹脂の混合物を用いることもできる。本発明において用いられる(A)成分のポリカーボネート樹脂は、構造中に実質的にハロゲンを含まないものが好ましい。また、機械的強度および成形性の点から、その粘度平均分子量は、10,000〜100,000、好ましくは、11,000〜40,000、特に12,000〜30,000のものが好適である。
【0016】
(B)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのモノビニル系芳香族単量体20〜100重量%、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体0〜60重量%、およびこれらと共重合可能なマレイミド、(メタ)アクリル酸メチルなどの他のビニル系単量体0〜50重量%からなる単量体または単量体混合物を重合して得られる重合体がある。これらの重合体としては、ポリスチレン(GPPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)などがある。
【0017】
また、スチレン系樹脂としてはゴム変性スチレン系樹脂が好ましく利用できる。このゴム変性スチレン系樹脂としては、好ましくは、少なくともスチレン系単量体がゴムにグラフト重合した耐衝撃性スチレン系樹脂である。ゴム変性スチレン系樹脂としては、たとえば、ポリブタジエンなどのゴムにスチレンが重合した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとが重合したABS樹脂、ポリブタジエンにメタクリル酸メチルとスチレンが重合したMBS樹脂などがあり、ゴム変性スチレン系樹脂は、二種以上を併用することができるとともに、前記のゴム未変性であるスチレン系樹脂との混合物としても使用できる。
【0018】
ゴム変性スチレン系樹脂中のゴムの含有量は、例えば2〜50重量%、好ましくは、5〜30重量%、特に5〜15重量%である。ゴムの割合が2重量%未満であると、耐衝撃性が不十分となり、また、50重量%を超えると熱安定性が低下したり、溶融流動性の低下、ゲルの発生、着色などの問題が生じる場合がある。上記ゴムの具体例としては、ポリブタジエン、アクリレートおよび/またはメタクリレートを含有するゴム質重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム(SBS)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン・アクリルゴム、イソプレン・ゴム、イソプレン・スチレンゴム、イソプレン・アクリルゴム、エチレン・プロピレンゴム等が挙げられる。
【0019】
このうち、特に好ましいものはポリブタジエンである。ここで用いるポリブタジエンは、低シスポリブタジエン(例えば1,2−ビニル結合を1〜30モル%、1,4−シス結合を30〜42モル%含有するもの)、高シスポリブタジエン(例えば1,2−ビニル結合を20モル%以下、1,4−シス結合を78モル%以上含有するもの)のいずれを用いてもよく、また、これらの混合物であってもよい。これらスチレン系樹脂としては、JIS K7210に準拠し、温度200℃、荷重5kgの測定条件でのメルトインデックス(MI)が、1〜30g/10分、好ましくは2〜20g/10分のものが用いられる。
【0020】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂にスチレン系樹脂を配合することにより、樹脂組成物の溶融流動性を向上するものである。ここで、両樹脂の配合割合は、(A)ポリカーボネート樹脂60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%と(B)スチレン系樹脂40〜5重量%、好ましくは30〜10重量%である。ここで、(A)成分のポリカーボネート樹脂が60重量%未満では、耐熱性、強度が十分でなく、(B)成分のスチレン系樹脂が5重量%未満では成形性の改良効果が不十分である場合がある。なお、この場合の(B)スチレン系樹脂としては、前記したゴム変性スチレン系樹脂が好ましく用いられる。これらの配合比は、ポリカーボネート樹脂の分子量、スチレン系樹脂の種類、分子量、メルトインデックス、ゴムの含有量や成形品の用途、大きさ、厚みなどを考慮して適宜決定される。
【0021】
次に、(C)成分である、ポリエステル系ブロック共重合体(III)は、ポリエステル系樹脂(X)から誘導されるポリエステルブロック(I)と芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロック(a−1)およひ水素添加された1,2−結合量が30%未満のポリブタジエンブロック(a−2)のうちの少なくとも1種からなる重合体ブロック(a)と、水素添加されたポリイソプレンブロツク(b−1)、水素添加された1,2−結合量が30〜80%のポリブタジエンブロック(b−2)および水素添加されたイソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる重合体ブロック(b)とからなり、かつ末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(Y−1)
および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロック(c)とポリイソブチレンブロック(d)とからなり、かつ末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(Y−2)の少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(Y)から誘導される重合体ブロック(II)とからなるブロック共重合体である。
【0022】
なお、(C)成分である、ポリエステル系ブロック共重合体(III)は、前記のように、ポリエステル系樹脂(X)から誘導されるポリエステルブロック(I)と末端に水酸基を有する特定の付加重合系ブロック共重合体(Y)から誘導される重合体ブロック(II)とからなるブロック共重合体であり、通常、原料となるポリエステル系樹脂(X)と末端に水酸基を有する特定の付加重合系ブロツク共重合体(Y)の反応により製造されるものである。したがって、ポリエステル系ブロツク共重合体(III)としては、原料となるポリエステル系樹脂(X)と末端に水酸基を有する特定の付加重合系ブロック共重合体(Y)が残存し、これらを含有する場合が一般的である。
【0023】
このような、特殊なポリエステル系ブロック共重合体(III)については、公知の共重合体であり、特開平8−127710号公報、特開平9−48901号公報に詳細に記載されている。すなわち、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(PBT)などであり、ポリブチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。
【0024】
次に、末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(Y−1)としては、前記の重合体ブロツク(a)と重合体ブロック(b)が下記のように表せるブロック共重合体を例示できる。
〔(a)−(b)〕k −OH
〔(b)−(a)〕l −OH
(a)−〔(a)−(b’)〕m −OH
(b)−〔(b)−(a’)〕n −OH
上記式中、(a)および(a’)は、それぞれ芳香族ビニル重合体ブロック(a−1)および水添ポリブタジエンブロック(a−2)のうちの少なくとも1種からなる重合体ブロック(a)を表し、(b)および(b’)は、それぞれ水添ポリイソプレンブロック(b−1)、水添ポリブタジエンブロック(b−2)および水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロツク(b−3)のうちの少なくとも1種からなる重合体ブロック(b)を表し、k 、 l 、 m および n は、それぞれ通常1〜5の範囲であり、OHは水酸基を表す。また、重合体ブロック(a)の数平均分子量は通常2,500〜50,000、重合体ブロック(b)の数平均分子量は通常10,000〜100,000の範囲である。また、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)の割合は、重量比で1:9〜9:1の範囲、特に2:8〜7:3の範囲が好ましく採用できる。
【0025】
また、末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(Y−2)としては、前記の重合体ブロツク(c)と重合体ブロック(d)が下記のように表せるブロック共重合体を例示できる。
HO−(c)−〔(d)−(c’)〕P −OH
HO−(d)−〔(c)−(d’)〕Q −OH
上記式中、(c)および(c’)は、それぞれ芳香族ビニル重合体ブロック(c−1)を表し、(d)および(d’)は、それぞれポリイソブチレンブロック(d)を表し、P 、 Q は、それぞれ通常1〜5の範囲であり、OHは水酸基を表す。また、重合体ブロック(c)の数平均分子量は通常2,500〜50,000、重合体ブロック(d)の数平均分子量は通常10,000〜100,000の範囲である。また、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)の割合は、重量比で1:9〜9:1の範囲、特に2:8〜7:3の範囲が好ましく採用できる。
【0026】
本発明の(C)成分である、ポリエステル系ブロック共重合体(III)は、前記したように、ポリエステルブロック(I)と前記の付加重合性ブロック共重合体(Y−1)および(Y−2)の少なくとも1種から誘導される重合体ブロック(II)とからなるポリエステル系ブロック共重合体である。すなわち、ブロック共重合体(Y−1)および/またはブロック共重合体(Y−2)の末端水酸基とポリエステル系樹脂とのエステル化反応および/またはエステル交換反応(通常固相反応)によって両重合体間にエステル結合が形成されるものである。したがって、付加重合系ブロック共重合体(Y)の末端の水酸基は片末端水酸基、両末端水酸基の場合がある。
【0027】
これらのことより、ポリエステル系ブロック共重合体(III)としては、たとえば下記式に示す共重合体が例示される。
(I)−(II)
(II)−(I)−(II)
(I)−(II)−(I)
各式中、(I)はポリエステルブロック、(II)は前記特定の付加重合系ブロック共重合体から誘導された重合体ブロックを表す。すなわち、ジブロック共重合体と2種のトリブロック共重合体がある。ここでポリエステルブロックの分子量は種々の物性を考慮して200〜150,000、特に200〜50,000の範囲が好ましい。
【0028】
また、ポリエステルブロツク(I)と特定の重合体ブロツク(II)との含有割合は、重量比で5/95〜90/10の範囲であり、数平均分子量としては10,000〜300,000、好ましくは12,000〜200,000の範囲である ここにおいて、ポリエステル系ブロック共重合体(III)が、ポリエステル系樹脂(X)および付加重合系ブロック共重合体(Y)を含有する場合における、{ポリエステル系樹脂(X)の重量とポリエステル系ブロック共重合体(III)中に含まれるポリエステルの重量との合計量}と{付加重合系ブロツク共重合体(Y)の重量とポリエステル系ブロック共重合体(III)中に含まれる重合体ブロック(II)の重量との合計量}との比は、通常40/60〜98/2であり、ポリエステル系ブロック共重合体(III)と付加重合系ブロック共重合体(Y)とのモル比は5/95以上であるのが通常である。
【0029】
さらに必要により、{ポリエステル系ブロツク共重合体(III)+ポリエステル系樹脂(X)+付加重合系ブロック共重合体(Y)}に、0.01〜5重量%程度の有機ポリシロキサンを含有することにより、衝撃強度のさらなる向上を図ることができる。また、これらのポリエステル系ブロック共重合体(III)は、株式会社クラレより、TK−S7300として市販されており、容易に入手することができる。
【0030】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物における(C)成分である、ホリエステル系ブロック共重合体(III)の含有量は、(A)および(B)からなる樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.2〜20重量部である。ここで、ポリエステル系ブロック共重合体(III)の含有量が0.1重量部未満であると、相溶性向上の効果が低く、30重量%を越えてもそれに見合った効果は少ない。
【0031】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、成形品がさらなる難燃性を必要とする場合には、各種(D)難燃剤を、前記(A)および(B)からなる樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部含有することができる。ここで難燃剤としては特に制限はなく、有機リン系化合物、ハロゲン非含有リン系化合物、シリコーン系化合物、ハロゲン系化合物、チッソ系化合物、金属水酸化物、赤リン、酸化アンチモン、膨張性黒鉛など公知のものを、目的に応じて用いることができる。ハロゲン系化合物としては、テトラブロモビスフェノールA、ハロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化ポリカーボネート(共)重合体やこれらのオリゴマー、デカブロモジフェニルエーテル、(テトラブロモビスフェノール)エポキシオリゴマー、ハロゲン化ポリスチレン、ハロゲン化ポリオレフィンなどを例示できる。また、チッソ系化合物としては、メラミン、アルキル基または芳香族基置換メラミンなど、金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどを例示できる。しかしながら、ハロゲン系難燃剤は比較的難燃化効率はよいが、成形時の有害ガスの発生、金型腐食の恐れや成形品の焼却時に有害物質を排出する恐れがあり、環境汚染、安全性の観点からハロゲンを含まない難燃剤が好ましい。
【0032】
ハロゲンを含まない難燃剤としては、ハロゲン非含有有機リン系難燃剤がある。有機リン系難燃剤としては、リン原子を有し、ハロゲンを含まない有機化合物であれば特に制限なく用いることができる。中でも、リン原子に直接結合するエステル性酸素原子を1つ以上有するリン酸エステル化合物が好ましく用いられる。有機リン系化合物以外のハロゲン非含有難燃剤としては、赤リンやシリコーン油、シリコーン樹脂などのシリコーン系難燃剤などがある。シリコーン系難燃剤としては、アルコキシ基、エポキシ基などの反応性基を含有する特定構造のシリコーン系化合物や繰り返し単位中の酸素量が異なる特定分子量のシリコーン樹脂などがある(特開平6−306265号公報、特開平6−336547号公報、特開平8−176425号公報、特開平10−139964号公報など参照)。
【0033】
これらの非ハロゲン系難燃剤として、シリコーン化合物やリン酸エステル化合物、赤リン(有機化合物、無機化合物などによる各種表面処理赤リン)が好ましく用いられる。
ここでシリコーン化合物としては、種々の化合物があるが中でも、官能基含有シリコーン化合物、たとえば、官能基を有する(ポリ)オルガノシロキサン類であり、その骨格としては、式R1aR2bSiO(4-a-b)/2 〔R1 は官能基含有基、R2 は炭素数1〜12の炭化水素基、0<a≦3、0≦b<3、0<a+b≦3〕で表される基本構造を有する重合体、共重合体である。また、官能基としては、アルコキシ基、アリールオキシ、ポリオキシアルキレン基、水素基、水酸基、カルボキシル基、シアノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基などを含有するものである。
【0034】
これら官能基としては、複数の官能基を有するシリコーン化合物、異なる官能基を有するシリコーン化合物を併用することもできる。この官能基を有するシリコーン化合物は、その官能基(R1 )/炭化水素基(R2 )が、通常0.1〜3、好ましくは0.3〜2程度のものである。これらシリコーン化合物は液状物、ハウダーなどであるが、溶融混練において分散性の良好なものが好ましい。たとえば、室温での粘度が10〜500,000cst(センチストークス)程度の液状のものを例示できる。シリコーン化合物が官能基を有する場合には、シリコーン化合物が液状であっても、組成物に均一に分散するとともに、成形時や成形品の表面にブリードすることが少ない特徴がある。この官能基含有シリコーン化合物の場合は、(A)ポリカーボネート樹脂および(B)スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部含有することができる。
【0035】
また、リン酸エステル化合物としては、特に制限はなく、ハロゲンを含まないものが好ましく、たとえば次式(1)
【0036】
【化1】
【0037】
(ここで、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、Xは2価以上の有機基を表し、pは0または1であり、qは1以上の整数であり、rは0以上の整数を表す。)で示されるリン酸エステル化合物である。
式(1)において、有機基とは、置換されていても、いなくてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基などである。また置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基などがある。さらに、これらの置換基を組み合わせた基であるアリールアルコキシアルキル基など、またはこれらの置換基を酸素原子、窒素原子、イオウ原子などにより結合して組み合わせたアリールスルホニルアリール基などを置換基としたものなどがある。
【0038】
また、式(1)において、2価以上の有機基Xとしては、上記した有機基から、炭素原子に結合している水素原子の1個以上を除いてできる2価以上の基を意味する。たとえば、アルキレン基、(置換)フェニレン基、多核フェノール類であるビスフェノール類から誘導されるものである。好ましいものとしては、ビスフェノールA、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジフエニルメタン、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン等がある。
【0039】
リン酸エステル化合物は、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物であってもよい。具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、あるいはこれらの置換体、縮合物などを例示できる。
【0040】
ここで、市販のハロゲン非含有リン酸エステル化合物としては、たとえば、大八化学工業株式会社製の、TPP〔トリフェニルホスフェート〕、TXP〔トリキシレニルホスフェート〕、CR−733S〔レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)〕、PX200〔1,3−フェニレン−テスラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル、PX201〔1,4−フェニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステル、PX202〔4,4’−ビフェニレン−テスラキス)2,6−ジメチルフェニル)リン酸エステルなどを挙げることができる。このリン酸エステル化合物の場合は、(A)ポリカーボネート樹脂および(B)スチレン系樹脂100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部含有することができる。
【0041】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、燃焼時の溶融滴下防止を目的にさらに、(E)フルオロオレフィン樹脂を含有することができる。ここで(E)フルオロオレフィン樹脂としては、通常フルオロエチレン構造を含む重合体、共重合体であり、たとえば、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体である。好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、その平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、特に好ましくはは500,000〜10,000,000である。本発明で用いることができるポリテトラフルオロエチレンとしては、現在知られているすべての種類のものを用いることができる。
【0042】
なお、ポリテトラフルオロエチレンのうち、フィブリル形成能を有するものを用いると、さらに高い溶融滴下防止性を付与することができる。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)には特に制限はないが、例えば、ASTM規格において、タイプ3に分類されるものが挙げられる。その具体例としては、例えばテフロン6−J(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリフロンF201(ダイキン工業株式会社製)、CD076(旭アイシーアイフロロポリマーズ株式会社製)等が挙げられる。
【0043】
また、上記タイプ3に分類されるもの以外では、例えばアルゴフロンF5(モンテフルオス株式会社製)、ポリフロンMPA、ポリフロンFA−100(ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。これらのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。上記のようなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、例えばテトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、1〜100psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得られる。
【0044】
ここで、フルオロオレフィン樹脂の含有量は、前記(A)および(B)からなようなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、例えばテトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、1〜100psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得られる。
【0045】
ここで、フルオロオレフィン樹脂の含有量は、前記(A)および(B)からなる樹脂100重量部に対して、0.02〜5重量部、好ましくは、0.05〜2重量部である。ここで、0.02重量部未満であると、目的とする難燃性における溶融滴下防止性が十分でない場合があり、5重量部を越ても、これに見合った効果の向上はなく、耐衝撃性、成形品外観に悪影響を与える場合がある。したがって、それぞれの成形品に要求される難燃性の程度、たとえば、UL−94のV−0、V−1、V−2などにより他の含有成分の使用量などを考慮して適宜決定することができる。
【0046】
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要により、他の熱可塑性樹脂や成形品の剛性、さらには難燃性をさらに向上させるために無機充填剤を含有させることができる。ここで、無機充填剤としては、タルク、マイカ、カオリン、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維などをあげることができる。なかでも、板状であるタルク、マイカなどや、繊維状の充填剤が好ましい。タルクとしては、、マグネシウムの含水ケイ酸塩であり、一般に市販されているものを用いることができる。また、タルクなどの無機充填剤の平均粒径は0.1〜50μm、好ましくは、0.2〜20μmである。これら無機充填剤、特にタルクを含有させることにより、剛性向上効果に加えて、難燃剤の配合量を減少させることができる場合がある。
【0047】
ここで、無機充填剤の含有量は、(A)ポリカーボネート樹脂および(B)スチレン系樹脂100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは、2〜50重量部である。ここで、1重量部未満であると、目的とする剛性、難燃性改良効果が十分でない場合があり、100重量部を越えると、耐衝撃性、溶融流動性が低下する場合があり、成形品の厚み、樹脂流動長など、成形品の要求性状と成形性を考慮して適宜決定することができる。
【0048】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、成形性、耐衝撃性、外観改善、耐候性改善、剛性改善等の目的で、上記(A)、(B)、(C)からなる必須成分に、(D)、(E)などの任意成分の一種以上とともに、熱可塑性樹脂に常用されている添加剤成分を必要により含有することができる。例えば、フェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、可塑剤、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)等が挙げられる。任意成分の配合量は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の特性が維持される範囲であれば特に制限はない。
【0049】
次に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記の各成分(A)〜(C)を上記割合で、さらに必要に応じて用いられる、各種任意成分を適当な割合で配合し、混練することにより得られる。このときの配合および混練は、通常用いられている機器、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等を用いる方法で行うことができる。混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。この溶融混練成形としては、押出成形機、特にベント式の押出成形機の使用が好ましい。なお、ポリカーボネート樹脂以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネート樹脂あるいは他の熱可塑性樹脂と溶融混練、すなわちマスターバッチとして添加することもできる。
【0050】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記の溶融混練成形機、あるいは、得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法などにより各種成形品を製造することができる。しかし、上記溶融混練方法により、ペレット状の成形原料を製造し、ついで、このペレットを用いて、射出成形、射出圧縮成形による射出成形品の製造に特に好適に用いることができる。なお、射出成形方法としては、外観のヒケ防止のため、あるいは軽量化のためのガス注入成形を採用することもできる。
【0051】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品、特に射出成形品としては、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジなどの電気・電子機器のハウジウングまたは部品、さらには、自動車部品など他の分野にも用いられる。
【0052】
【実施例】
本発明について実施例および比較例を示してより具体的に説明するが、これらに、何ら制限されるものではない。
実施例1〜5および比較例1〜3
表1に示す割合で各成分を配合〔(A)と(B)成分は重量%、他の成分は、(A)と(B)からなる樹脂100重量部に対する重量部で示す。〕し、ベント式二軸押出成形機(機種名:TEM35、東芝機械株式会社製)に供給し、260℃で溶融混練し、ペレット化した。なお、すべての実施例および比較例において、酸化防止剤としてイルガノックス1076(チバ・スペシヤルティ・ケミカルズ株式会社製)0.2重量部およびアデカスタブC(旭電化工業株式会社社製)0.1重量部をそれぞれ配合した。得られたペレットを、80℃で、12時間乾燥した後、成形温度260℃、金型温度60℃で射出成形して試験片、成形品を得た。得られた試験片、成形品を用いて性能を各種試験によって評価し、その結果を表1に示した。
【0053】
なお、用いた成形材料および性能評価方法を次に示す。
(A)ポリカーボネート樹脂
PC:タフロン A1900(出光石油化学株式会社製):ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、MI=20g/10分(300℃、1.2Kg荷重)、粘度平均分子量:19,000
(B)スチレン系樹脂
HIPS:耐衝撃性ポリスチレン(HIPS):IDEMITSU PS IT44(出光石油化学株式会社製)ポリブタジェンにスチレンがグラフト重合したもの、ゴム含有量10重量%、MI:8g/10分(200℃、5kg荷重)
ABS:アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS):DP−615(テクリポリマー株式会社製)、MI:2g/10分(200℃、5Kg荷重)
(C)ポリエステル系ブロック共重合体
TK−S7300(株式会社クラレ製):PBT(ポリブチレンテレフタレート)とスチレン系エラストマーとのジブロック体
【0054】
(D)難燃剤
FR−1:TPP〔トリフェニルホスフェート〕(大八化学株式会社製)
FR−2:PFR〔レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート):PFR(旭電化工業株式会社製)
FR−3:TBAオリゴマー〔テトラプロモビスフェノールAオリゴマー〕FG7500(帝人化成株式会社製)
FR−4:シリコーン:ビニル基メトキシ基含有メチルフェニルシリコーン、KR219(信越化学工業株式会社製)、粘度=15cst
(E)フルオロオレフィン樹脂
PTFE:CD076(旭硝子株式会社製)
(F)PBT(ポリブチレンテレフタレート)
タフペットN1000(三菱レーヨン株式会社製)
(G)付加重合系トリブロック共重合体
HG−252(株式会社クラレ製):ポリスチレン/ポリイソプレン水素添加物/ポリスチレンのトリブック体の片末端水酸基含有物
【0055】
〔性能評価方法]
(1)溶融流動性
MI(メルトインデックス):JIS K7210に準拠、(260℃、2.16Kg荷重)
(2)IZOD(アイゾット衝撃強度)
ASTM D256に準拠、23℃(肉厚1/8インチ)、単位:kJ/m2
(3)面衝撃強度
JIS K7211に準拠、自動落錘試験、錘3.76kg、落下速度7m/s、試験片厚み3mm
(4)難燃性
UL94燃焼試験に準拠(試験片厚み:1.5mm)
(5)表層剥離性
成形品の切断面を目視観察、〇:剥離なく良好、△:若干あり、×:表層剥離が見られる
【0056】
(6)耐グリース性
耐薬品性評価法(1/4楕円による限界歪み)に準拠した。
図1(斜視図)に示す治具(1/4楕円の面)に試料片(厚み3mm)を固定し、試料片にアルバニアグリース(昭和シェル石油株式会社製)を塗布し、48時間保持した。クラックが発生する最小長さ(X)を読み取り、下記の式(1)より限界歪み(%)を求めた。
【数1】
(7)リサイクル性(100%リサイクル)
各組成物ペレットを用いて、成形温度260℃、金型温度60℃の条件で射出成形によりノートパソコンハウジング(A4タイプ)を成形した。この成形品を粉砕して、100%リサイクル原料として再度、同条件で試験片を成形した。
1.リサイクル成形試験片のIZOD衝撃強度を測定した。
2.リサイクル成形試験片の色調変化を測定した。JIS H7105に準拠して、色差計でリサイクル前後の試験片の色相(L,a,b)を測定し、色相変化をΔEとして算出した。
【0057】
【表1】
【0058】
表1の結果から明らかなように、本発明のポリカーボネート樹脂組成物からの成形品は、実施例1と比較例1から、本発明がすぐれた耐衝撃特性、リサイクル性などを有することが明らかである。また、難燃剤配合組成物においては、これらの効果に加えて難燃性のレベルの向上という予期せぬ効果が見られる。
【0059】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、すぐれた成形性、相溶性を示し、その結果として耐表層剥離性、耐衝撃性、特に実用物性として重要な面衝撃強度が高く、薄肉成形品の成形を可能にするものである。さらに、耐薬品性、リサイクル性にすぐれるとともに、難燃剤配合において難燃剤レベルの向上という予期できない効果が明らかとなった。したがって、OA機器、情報機器、家庭電化機器などの電気・電子機器、自動車部品などその応用分野の拡大が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明組成物の耐グリース性を評価するための試験片取り付け治具の斜視図である。
Claims (6)
- (A)ポリカーボネート樹脂60〜95重量%と(B)スチレン系樹脂40〜5重量%からなる樹脂100重量部に対して、(C)下記のポリエステル系ブロック共重合体(III)0.1〜30重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、前記ポリエステル系ブロック共重合体(III)が、ポリエステル系樹脂(X)から誘導されるポリエステルブロック(I)と芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロック(a−1)および水素添加された1,2−結合量が30%未満のポリブタジエンブロック(a−2)のうちの少なくとも1種からなる重合体ブロック(a)と、水素添加されたポリイソプレンブロツク(b−1)、水素添加された1,2−結合量が30〜80%のポリブタジエンブロック(b−2)および水素添加されたイソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる重合体ブロック(b)とからなり、かつ末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(Y−1)および芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロック(c)とポリイソブチレンブロック(d)とからなり、かつ末端に水酸基を有する付加重合系ブロック共重合体(Y−2)の少なくとも1種の付加重合系ブロック共重合体(Y)から誘導される重合体ブロック(II)とからなるポリエステル系ブロック共重合体であり、さらに(D)難燃剤である官能基含有シリコーン化合物を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
- (C)ポリエステル系ブロック共重合体(III)がポリエステル系樹脂(X)および付加重合系ブロック共重合体(Y)を含有するものである請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (D)難燃剤である官能基含有シリコーン化合物を、(A)および(B)からなる樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部含有する請求項1または2記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (E)フルオロオレフィン樹脂を、(A)および(B)からなる樹脂100重量部に対して0.02〜5重量部含有する請求項3記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる電気・電子機器のハウジングまたは部品である射出成形品。
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