JP4051582B2 - 車両の車椅子用昇降装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車椅子をスロープにより車室内へ案内する車両の車椅子用昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の車椅子用昇降装置としては、例えば図18から図20に示すものが知られている。
【0003】
この昇降装置は、車体のフロア後端部近傍位置に基端部が回動可能に支持されている第1スロープA1と、この第1スロープA1の先端部に基端部が回動可能に支持されている第2スロープA1からなる2つ折式の折り畳みスロープAを備えたもので、この折り畳みスロープAが、使用時には図18に示すように、車体のバックドア開口部Bから車室外に引き出され、展開状態で車体のフロアCと車両後方の地面との間に掛け渡される用になっている。また、格納時には、図20に示すように、バックドアDと平行になるようにほぼ直角に立てた状態で2つ折りにして、車室内に収容される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の車両の車椅子用昇降装置にあっては、折り畳みスロープAの格納状態において、車両のバックドア開口部Bの開口面積が折り畳みスロープAにより制限されてしまう。このため、車両に車椅子を積載せずに荷物等を積載する場合、折り畳みスロープAが邪魔になって、バックドア開口部Bを通しての荷物の積み降ろしが困難となってしまう。
【0005】
また、この従来の昇降装置では、第1スロープA1と第2スロープA2とが軸部材を介して連結されているのみであることから、スロープ折り畳み時の折り畳みスロープAの動作が安定しない。つまり、第2スロープA2を持ち上げた時に、図20に示すような折り畳みスロープAが第1スロープA1と第2スロープA2との間で折れ曲がった正しい状態となるとは限らない。したがって、第2スロープA2を持ち上げた時の力のいれ具合によっては、第1スロープA1と第2スロープA2との間が真っ直ぐに伸びたままの状態で持ち上がったりして、スロープ折り畳み時の作業性が悪い。
【0006】
さらに、このように折り畳み時あるいは展開時には、第2スロープA2を持ち上げる等の力作業が必要となることから、身体障害者や高齢者には使用上の困難性が伴うものであった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、バックドア開口部から荷物を積み降ろす際に邪魔になることがなく、しかも格納状態と展開状態とに困難性を伴うことなく変化させることのできる車両の車椅子用昇降装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1記載の発明にあっては、車体のフロア後端部近傍位置に基端部が第1の枢支部(P1)にて回動可能に支持されている第1スロープ(12)と、この第1スロープ(12)の先端部に基端部の近傍が第2の枢支部(P2)にて回動可能に支持されている第2スロープ(13)と、を備えた折り畳みスロープ(1)が設けられ、この折り畳みスロープ(1)が、格納状態では、前記第1スロープ(12)が前記第1の枢支部(P1)にて車室内側に回動して前記フロア(10)上に重なり、かつ、前記第2スロープ(13)が前記第2の枢支部(P2)にて相対的に回動して前記第1スロープ(12)上に重なって車室内に収容可能であるとともに、展開状態では、前記第1スロープ(12)が前記第1の枢支部(P1)にて車室外側に回動して車室外に突出し、かつ、前記第2スロープ(13)が前記第2の枢支部(P2)にて相対的に回動して前記第1スロープ(12)の先端部に連なりフロア後端部と車両後方の地面との間に斜めに掛け渡し可能に構成されている車椅子用昇降装置であって、一端部が、前記第2スロープ(13)の前記第1の枢支部(P1)よりも基端側である基端部に第3の枢支部(P3)にてに枢支されているとともに、他端部が車体のフロア後端部近傍に第4の枢支部(P4)にて枢支された、前記第1スロープ(12)と略平行なスロープ用リンク(14)が設けられて、前記第1乃至第4の枢支部を有する四節リンク機構が構成され、前記第1の枢支部(P1)に回転中心軸(36)が設けられ、この回転中心軸(36)を駆動して前記格納状態と前記展開状態とを形成する駆動手段(18)が設けられている。
【0009】
かかる構成において、駆動手段を作動させると、第1スロープが駆動されるとともに、該第1スロープとスロープ用リンクとを介して第2スロープが駆動されて、折り畳みスロープは格納状態と展開状態とに変化し、よって、格納状態から展開状態、あるいは展開状態から格納状態に変化させる際に困難性を伴うことはない。また、格納状態においては、第1スロープが車体フロアに倒れ込んだ状態になっているとともに、第2スロープは平行移動して第1スロープ上に到達するので、格納状態でもバックドア開口部の開口面積を広く確保することができる。
【0010】
また、請求項2記載の発明にあっては、前記駆動手段は、モータ(33)とこのモータ(33)の出力軸(33a)に噛合された減速機構と、この減速機構に噛合された前記回転中心軸(36)とを有する駆動ユニット(18)である。したがって、小出力モータを用いて必要な駆動トルクが得られるとともに、スロープを適切な速度で駆動することができ、またユニット化により配置スペースを最小限にすることが可能となる。
【0012】
また、請求項3記載の発明にあっては、車体側壁に沿って折り畳み可能であるとともに前記折り畳みスロープ(1)の格納状態において前記第2スロープ上に展開可能な折り畳みシートが設けられ、前記折り畳みスロープ(1)の格納状態において第2スロープ(13)の下部に折り畳まれている第1スロープ(12)には、前記折り畳みシートが展開した状態で該折り畳みシートに設けられているロック(22)と係合可能なシート用ストライカ(21)が設けられ、前記第2スロープ(13)には、前記折り畳みスロープ(1)の格納状態において前記シート用ストライカ(21)を露呈させる開口部(26)が設けられている。
【0013】
したがって、車体後部に折り畳みシートが設けられているので、車椅子を車載しない場合には、この折り畳みシートを展開することができる。しかも第1スロープにシート用ストライカが設けられ、第2スロープにこのシート用ストライカを露呈させる開口部が設けられているので、折り畳みスロープを折り畳んで、折り畳みシートを展開するとき、折り畳みシートのロックを開口部を介して、第1スロープのシート用ストライカと係合させることができ、これにより折り畳みシートを展開した状態でロックすることができる。
【0014】
また、請求項4記載の発明にあっては、前記第2スロープ(13)には、上方に回動して前記開口部(26)を開放する開閉自在な蓋体(27)が設けられ、前記第1スロープ(12)には、前記展開状態から格納状態への移行に伴って、前記蓋体(27)の下部に当接して該蓋体(27)を上方に回動し開駆動する蓋開閉用ロッド(23)が設けられている。したがって、展開状態においては、蓋体により開口部を閉鎖して、無開口状態にすることができるとともに、折り畳みスロープを展開状態から格納状態にすると蓋体が開作動して、開口部よりシート用ストライカが露呈し、前記折り畳みシートのロックを迅速に行うことができる。
【0015】
また、請求項5記載の発明にあっては、前記蓋体(27)には係合溝(29a)が設けられ、前記蓋開閉用ロッド(23)には、前記係合溝(29a)が係合する被係止部(23a)が設けられている。したがって、逆に格納状態から展開状態に移行した際には、蓋体を閉駆動して開口部を閉鎖し、開口部のない安全なスロープが形成される。
【0016】
加えて、請求項6記載の発明にあっては、前記蓋開閉用ロッド(23)は、前記第1スロープ(12)の裏面に起立した起立状態と前記第1スロープ(12)の裏面上に傾倒した倒れ状態とに変化可能に支持され、前記起立状態においてのみ前記蓋体(27)に当接するように構成されている。したがって、例えば展開状態から格納状態にした際、ロッドを起立状態にしておけば、前述の請求項5記載の発明と同様に、蓋体が自動開放し、倒れ状態にしておけば、蓋体が閉じたまま格納状態に到達する。よって、前記折り畳みシートを使用せず、乗員が着座した車椅子をそのまま車載した際に、蓋体を示す作業を行う必要がない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。この実施の形態は、本発明を所謂ワンボックス型車に適用したものであり、図1に示す折り畳みスロープ1を展開したスロープ展開状態A、図2に示す車椅子2に乗員が着座したまま走行する車椅子乗車状態B、及び図3に示す全シートセット状態C等に変態可能な構成を具備している。なお、車椅子乗車状態B及び全シートセット状態Cは、折り畳みスロープ1が折り畳まれた格納状態である。
【0018】
このワンボックス型車3のフロア4には、運転席(図示せず)並びに助手席5の他、助手席5の後方に2列目シート6が配置されている。また、この2列目シート6の右側方には折り畳みシート(図示せず)が配置されており、この折り畳みシートは、車体の右側壁に取り付けられている。なお、この折り畳みシートは、シートバックをシートクッション側に倒した後、シートクッションを車体前後方向の水平軸を中心に回動させることにより、車体の右側の側壁に沿って折り畳むことができるようになっている。
【0019】
また、2列目シート6の後方と、前記2列目折り畳みシートの後方には、左右一対の3列目折り畳みシート7,7が配置されており、この3列目折り畳みシート7,7も、シートバック7aをシートクッション7b側に倒した後、シートクッション7bを車体前後方向の水平軸を中心に回動させることにより、車体の側壁に沿って折り畳むことができるようになっている。このとき、シートクッション7bの下面に突設されている脚は、シートクッション7bの裏面側に沿って折り畳まれる。
【0020】
また、前記フロア4には、2列目シート6が取り付けられる部分を境にして、後側が前側よりも所定長(約10cm)低くなっており、その低くなった部分(以下、低床部8という)のリヤタイヤ9より後側には、後ろ下がりの傾斜床部10が設けられている。
【0021】
一方、前記折り畳みスロープ1は、前記車椅子2が走行可能な幅を有し、第1スロープ12と第2スロープ13及びスロープ用リンク14を備えており、図2及び図3に示すように、折り畳み状態では車室内に格納可能であるとともに、図1に示すように、展開状態では車体のバックドア開口部15を通して車室外に引き出し可能に構成されている。
【0022】
前記第1スロープ12は、前記傾斜床部10の後端側部に配置された駆動ユニット18に後述する構成によって基端部が結合されており、スロープ格納状態では前記傾斜床部10の上面に重なり、スロープ展開状態では傾斜床部10の延長上に配置される。
【0023】
前記第2スロープ13は、図4に明示するように、前記第1スロープ12の先端部に基端部の近傍が第2の枢支部P2にて回動可能に支持されており、スロープ格納状態では前記第1スロープ12の裏面に重なり、スロープ展開状態では前記第1スロープ12の延長上に連なって配置される。
【0024】
前記スロープ用リンク14は、図4に明示するように、前記第2スロープ13の前記第2の枢支部P2よりも基端側である基端部に第3の枢支部P3にて一端部が回動可能に支持されているとともに、前記傾斜床部10に他端部が第4の枢支部部P4にて回動可能に支持され、折り畳みスロープ1の左右両側に前記第1スロープ12と略平行に設けられている。これにより、前記第1スロープ12と車体並びに第2スロープ13の一部とともに、この第2スロープ13を格納位置と引き出し位置との間で略平行に移動させる四節リンク機構を構成している。さらに、このリンク機構は、引き出し位置では傾斜している第2スロープ13を、格納位置ではフロア1の前部と略同じ高さで水平にする矯正機能を有している。
【0025】
他方、前記バックドア開口部15の下端部には、車幅方向に延在するリヤバンパが設けられており、このリヤバンパは折り畳みスロープ1と重なる部分を構成している中央の可動バンパ部材16と、その左右の固定バンパ部材(図示せず)とに三分割されており、低床部8と略同じ高さに設けられている。そして、固定バンパ部材は車体に固定されており、可動バンパ部材16は、車体に回動可能に支持されているとともに、バンパ用リンク17を介して前記第1スロープ12に連結されている。また、可動バンパ部材16の回動中心は、傾斜床部10の後端部よりも更に低い位置に設けられており、折り畳みスロープ1を展開させるときに、可動バンパ16がフロア4の後端部よりも低い位置まで移動するようになっている。
【0026】
前記可動バンパ部材16の上面にはドア用ストライカ19が設けられており、このドア用ストライカ19はスロープ折り畳み状態でバックドア20のロックと係合可能な位置に設けられている。さらに、可動バンパ部材16の上面には、ローラ30が設けられており、第2スロープ13の先端下面には、傾斜ガイド部31が設けられている。この傾斜ガイド部31は、後ろ上がり形状であって、格納状態から展開状態に移行する際における第2スロープ13の初期移動軌跡に沿った角度及び形状を有している。そして、前記ローラ30は、図2に示すように、折り畳みスロープ1が格納状態において、前記傾斜ガイド部31の先端上部31a(図4参照)に当接する位置に配置されている。
【0027】
前記第1スロープ12の裏面には、シート用ストライカ21が立設されており、このシート用ストライカ21はスロープ折り畳み状態で、3列目の折り畳みシート7の脚に設けられているロック22と係合可能な位置に設けられている。また、図5にも示すように、第1スロープ12の裏面であって、前記シート用ストライカ21の近傍には、蓋開閉用ロッド23がブラケット24を介して回動可能に支持されている。この蓋開閉用ロッド23は、クランク状であって車体前後方向の向きに配置されており、上端部には第1スロープ12の略平行な被係止部23aが設けられている。
【0028】
また、この被係止部23aの下部の起立した部位には、フックが設けられており、このフックには、図10に示すように、一端を第1スロープ12の裏面係止された図示しないロッド固定用スプリング25の他端が係止されている。そして、蓋開閉用ロッド23は、このロッド固定用スプリング25の思案点を一方側に越えることにより、図10に実線で示した起立状態に維持されるとともに、手で押し倒されるとロッド固定用スプリング25の思案点を他方に越えることにより、鎖線で示したように、第1スロープ12の裏面に沿って倒れた倒れ状態となるように構成されている。
【0029】
一方、第2スロープ13には、図10に示すように、スロープ折り畳み状態で前記シート用ストライカ21及び蓋開閉用ロッド23を含む領域に対向する矩形状の開口部26が形成されている。この開口部26の車体側部側の縁部には、該開口部26を開閉するシートストライカ格納蓋27が、図10に示すように、ヒンジ28により枢支されている。このシートストライカ格納蓋27は開口部26よりも一回り大きく、第2スロープ13の上面より上方に開閉自在であって、その裏面には図4に示すように、プレート29が突設されている。このプレート29は、折り畳みスロープ7が展開状態から格納状態に移行する際に、起立状態にある前記蓋開閉用ロッド23の被係止部23aと直交状態で当接するように設けられており、先端部には前記被係止部23aに係合する係合溝29aが設けられている。
【0030】
前記駆動ユニット18には、図6に示すように、支持部材32に固定されたモータ33を有している。このモータ33は、図外の制御回路に接続されているともにモータ出力軸33aを備え、このモータ出力軸33aに平歯車34が噛合されている。この平歯車34の出力軸34aは、遊星歯車減速機35を介して、、図4に示すように、第1の枢支部P1である第1スロープ回転中心軸36にギヤ結合されており、この第1スロープ回転中心軸36が、前記第1スロープ12の基端部(格納状態では後端部、展開状態では先端部となる端部)に車幅方向にて結合されているとともに、支持ブラケット37により車体に回転可能に支持されている。
これにより、第1スロープ回転中心軸36を第1の枢支部P1として、この第1の枢支部P1と前記第2〜第4の枢支部P2〜P4とを有する前記四節リンク機構が構成されている。
【0031】
以上の構成にかかる本実施の形態において、図1に示す車室外に引き出されて展開状態ある折り畳みスロープ1を車室内に格納する際には、所定の格納用スイッチを操作する。すると、モータ33が所定方向に回転して、前記第1スロープ回転中心軸36が、図7において反時計方向に回転し(矢印イ)、これにより、同図に示すように第1スロープ12は第1スロープ回転中心軸36を回動中心bとして、反時計方向に回動して、その先端部を上昇させつつ起立する方向に回動し始める(矢印ロ)。また、これと同時にスロープ用リンク14を介して第2スロープ13が駆動され、該第2スロープ13はその基端部を下方に変位させつつ、図において時計方向に回動する(矢印ハ)。さらにこれと同時に、可動バンパ部材16がバンパ用リンク17を介して駆動され、車体との支持点を回動中心aとして、時計方向に回動する(矢印ハ)。
【0032】
引き続きモータ33が作動し続けると、第1スロープ回転中心軸36、第1スロープ12、第2スロープ13、可動バンパ部材16は、各々前記方向に回転し続ける(矢印イ、ロ、ハ、ニ)。そして、図2に示すように、第1スロープ12が、前記傾斜床部10の上面に重なり、かつ、前記第2スロープ13が、第1スロープ12の裏面に重なり、かつローラ30が前記傾斜ガイド部31の先端上部31aに当接したスロープ格納状態になると、前記モータ33が自動停止し、折り畳みスロープ1は格納状態となる。
【0033】
この展開状態から格納状態に移行する際に、前記蓋開閉用ロッド23が予め起立状態に操作されていると、図10に示すように、展開状態から格納状態に移行する課程で、第1スロープ12の裏面と第2スロープ13の裏面とが接近した際、蓋開閉用ロッド23の被係止部23aと、プレート29の係合溝29aとが係合する。したがって、さらに格納状態へ移行すると、図1及び図12に示すように、第1スロープ12の裏面と第2スロープ13の裏面とがさらに接近することにより、シートストライカ格納蓋27は、蓋開閉用ロッド25及びプレート29により押し上げられる。よって、シートストライカ格納蓋27が開作動し、折り畳みスロープ1が完全に格納状態となると、図13に示すように、 シートストライカ格納蓋27がヒンジ28上に起立した全開状態となる。
【0034】
このシートストライカ格納蓋27の全開状態においては、第2スロープ13側に設けられ開口部26を介して、シート用ストライカ21が露呈している。したがって、3列目折り畳みシート7を展開して、その脚7cに設けられているロック22をシート用ストライカ21に係合させることにより、容易に図3に示した全シートセット状態Cを形成することができ。
【0035】
なお、この全シートセット状態においては、シートストライカ格納蓋27は、3列目折り畳みシート7の下方に位置することから、シートストライカ格納蓋27が起立していても、邪魔になることはない。
【0036】
しかし、展開状態から格納状態に移行する際に、前記蓋開閉用ロッド23が予め倒れ状態に操作されていると、前述した課程において蓋開閉用ロッド23はシートストライカ格納用蓋27のプレート29と干渉しない。よって、予め閉状態となっているシートストライカ格納用蓋27は、展開状態から格納状態に移行しても開駆動されることなく、開口部26はシートストライカ格納用蓋27によって閉鎖された状態に維持される。したがって、図2に示す車椅子2に乗員が着座したまま走行する車椅子乗車状態Bを形成する際には、予め蓋開閉用ロッド23を倒れ状態にしておけば、シートストライカ格納蓋27が無用に開いてしまうことはなく、開口部26がシートストライカ格納蓋27により閉鎖された状態が維持される。
【0037】
また、格納状態にある折り畳みスロープ1を車室外に引き出した展開状態に格納する際には、所定の展開用スイッチを操作する。すると、モータ33が前述とは逆方向に回転して、前記第1スロープ回転中心軸36が、図14において時計方向に回転し(矢印ホ)、これにより、同図に示すように第1スロープ12は第1スロープ回転中心軸36を回動中心bとして、時計方向に回動して、その先端部を上昇させつつ起立する方向に回動し始める(矢印へ)。また、これと同時にスロープ用リンク14を介して第2スロープ13が駆動され、該第2スロープ13車体後方に移動しつつ(矢印ト)、その先端部を上方へ変位させて反時計方向に回動しようとする(矢印チ)。
【0038】
このとき、図14に示すように、展開初期においては、スロープ用リンク17及び第2スロープ13はその倒れ角度が大きい状態にあることから、第2スロープ13を反時計方向(矢印チ)を駆動するには大きなトルクが必要となる。しかし、第2スロープ13の先端部には、前記傾斜ガイド部31が形成されており、この傾斜ガイド部31の先端上部31aに、可動バンパ16に固定されたローラ30が当接している。このため、第2スロープ13が車体後方(矢印ト方向)に移動すると、傾斜ガイド部31がローラ30に圧接して該ローラ30を転動させ、これにより第2スロープ13の後端部は、図15及び図16に示すように、傾斜ガイド部31に沿って斜め上方に案内される。よって、第2スロープ13が略水平状態で第1スロープ12上に重ね合わされた格納状態から、少ないトルクで展開状態に移行することができる。
【0039】
引き続きモータ33が作動し続けると、図17に示すように、引き続き第1スロープ回転中心軸36と第1スロープ12は時計方向に(矢印ホ、ヘ)、第2スロープ13は、その先端部を反時計方向に回動させつつ展開する。そして、前述の図6に示したような略への字となった後、第1スロープ12の延長上に第2スロープ13が連なり、かつ第2スロープ13の先端が地面に当接して、モータ33に負荷がかると、該モータ33が自動停止する。これにより、折り畳みスロープ1は、図1に示したスロープ展開状態Aに到達する。
【0040】
この格納状態から展開状態に移行する際に、図13に示すように、前記蓋開閉用ロッド23の被係止部23aが起立状態にあるシートストライカ格納蓋27のプレート29に係止されていると、前述した展開状態から格納状態に移行する場合とは逆に、図13→図12→図1→図10の順序で推移する。したがって、シートストライカ格納蓋27は、折り畳みスロープ1の格納状態から展開状態への推移に伴って自動的に閉じる。よって、全シートセット状態Cから3列目折り畳みシート7を折り畳んで折り畳みスロープ1を展開状態にする際に、シートストライカ格納蓋27を手動操作により閉める必要はなく、迅速に全シートセット状態Cから、折り畳みスロープ1を展開状態にすることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、駆動手段により第1スロープ、及び該第1スロープとスロープ用リンクとを介して第2スロープが駆動されて、折り畳みスロープは格納状態と展開状態とに変化させることができる。よって、使用に際して困難性を伴うことがなく、身体障害者や高齢者が容易に使用することができる。また、格納状態においては、第1スロープが車体フロアに倒れ込んだ状態になっているとともに、第2スロープは第1スロープ上に重なるので、格納状態でもバックドア開口部の開口面積を広く確保することができ、車椅子の非車載時の使い勝手の向上図ることができる。
【0042】
また、請求項2記載の発明によれば、小出力モータを用いて必要な駆動トルクが得られるとともに、スロープを適切な速度で駆動することができ、またユニット化により配置スペースを最小限にするができ、これにより車室内スペースの減少を抑制しつつ車椅子昇降装置の搭載が可能となる。
【0044】
また、請求項3記載の発明によれば、車体後部に折り畳みシートが設けられているので、車椅子を車載しない場合には、この折り畳みシートを展開することができる。しかも第1スロープにシート用ストライカが設けられ、第2スロープにこのシート用ストライカを露呈させる開口部が設けられているので、折り畳みスロープを折り畳んで、折り畳みシートを展開するとき、折り畳みシートのロックを開口部を介して、第1スロープのシート用ストライカと係合させることができ、これにより折り畳みシートを展開した状態でロックすることができる。よって、車椅子を車載する際の必要スペースを確保しつつ、必要に応じて折り畳みシートを安定した状態で用いることができる。
【0045】
また、請求項4記載の発明によれば、展開状態においては、蓋体により開口部を閉鎖して、無開口状態にすることができるとともに、折り畳みスロープを展開状態から格納状態にすると蓋体が開作動して、開口部よりシート用ストライカが露呈し、よって、前記折り畳みシートのロックを迅速に行うことができる。
【0046】
また、請求項5記載の発明によれば、逆に格納状態から展開状態に移行した際には、蓋体が閉駆動されて開口部が閉鎖され、よって、前述した必要に応じた折り畳みシートの使用を可能にしつつ、開口部のない安全なスロープを形成することができる。
【0047】
加えて、請求項6記載の発明よれば、例えば展開状態から格納状態にした際、ロッドを起立状態にしておけば、前述の請求項4記載の発明と同様に、蓋体が自動開放し、倒れ状態にしておけば、蓋体がとじたまま格納状態に到達する。よって、前記折り畳みシートを使用せず、乗員が着座した車椅子をそのまま車載した際に、蓋体を閉める作業を行う必要がなく、作業の煩雑性を未然に防止して使い勝手の向上を図ることができる。
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の展開状態における車椅子が車両に乗り込む途中の状態を示す側面透明図である。
【図2】格納状態で車椅子を車載した状態の側面透明図である。
【図3】3列目折り畳みシートを展開した状態の側面透明図である。
【図4】スロープを折り畳む状態において、シートストライカ格納蓋のプレートと蓋開閉用ロッドが係合する直前の状態を示す側面拡大図である。
【図5】3列目折り畳みシートを展開した状態の側面拡大図である。
【図6】駆動ユニットの断面模式図である。
【図7】スロープを折り畳む途中の側面透明図である。
【図8】図7に続くスロープを折り畳む途中の側面透明図である。
【図9】図8に続くスロープを折り畳む途中の側面透明図である。
【図10】スロープを折り畳む状態において、シートストライカ格納蓋のプレートと蓋開閉用ロッドが係合する直前の車体後方から見た図である。
【図11】スロープを折り畳む状態において、シートストライカ格納蓋のプレートと蓋開閉用ロッドが係合している状態の車体後方から見た図である。
【図12】スロープを折り畳む状態において、シートストライカ格納蓋のプレートと蓋開閉用ロッドが係合している状態の車体後方から見た図である。
【図13】スロープを折り畳む状態において、シートストライカ格納蓋のプレートと蓋開閉用ロッドが係合している状態の車体後方から見た図である。
【図14】スロープを折り畳む状態において、シートストライカ格納蓋が開放した状態の車体後方から見た図である。
【図15】スロープを展開する途中の側面透明図である。
【図16】図15に続くスロープを展開する途中の側面透明図である。
【図17】図16に続くスロープを展開する途中の側面透明図である。
【図18】従来の車椅子用昇降装置を装備した車両の、スロープを展開した状態の斜視図である。
【図19】従来の車椅子用昇降装置を装備した車両の、スロープを折り畳む途中の斜視図である。
【図20】従来の車椅子用昇降装置を装備した車両の、スロープを折り畳んだ状態の斜視図である。
【符号の説明】
1 折り畳みスロープ
2 車椅子
7 3列目折り畳みシート
12 第1スロープ
13 第2スロープ
14 スロープ用リンク
15 バックドア用開口部
18 駆動ユニット
21 シート用ストライカ
22 ロック
23 蓋開閉用ロッド
27 シートストライカ格納蓋
29 プレート
29a 係合溝
30 ローラ
31 傾斜ガイド部
33 モータ
35 遊星歯車減速機
36 第1スロープ回転中心軸
Claims (6)
- 車体のフロア後端部近傍位置に基端部が第1の枢支部(P1)にて回動可能に支持されている第1スロープ(12)と、この第1スロープ(12)の先端部に基端部の近傍が第2の枢支部(P2)にて回動可能に支持されている第2スロープ(13)と、を備えた折り畳みスロープ(1)が設けられ、
この折り畳みスロープ(1)が、格納状態では、前記第1スロープ(12)が前記第1の枢支部(P1)にて車室内側に回動して前記フロア(10)上に重なり、かつ、前記第2スロープ(13)が前記第2の枢支部(P2)にて相対的に回動して前記第1スロープ(12)上に重なって車室内に収容可能であるとともに、
展開状態では、前記第1スロープ(12)が前記第1の枢支部(P1)にて車室外側に回動して車室外に突出し、かつ、前記第2スロープ(13)が前記第2の枢支部(P2)にて相対的に回動して前記第1スロープ(12)の先端部に連なりフロア後端部と車両後方の地面との間に斜めに掛け渡し可能に構成されている車椅子用昇降装置であって、
一端部が、前記第2スロープ(13)の前記第1の枢支部(P1)よりも基端側である基端部に第3の枢支部(P3)にてに枢支されているとともに、他端部が車体のフロア後端部近傍に第4の枢支部(P4)にて枢支された、前記第1スロープ(12)と略平行なスロープ用リンク(14)が設けられて、前記第1乃至第4の枢支部を有する四節リンク機構が構成され、
前記第1の枢支部(P1)に回転中心軸(36)が設けられ、この回転中心軸(36)を駆動して前記格納状態と前記展開状態とを形成する駆動手段(18)が設けられたことを特徴とする車両の車椅子昇降装置。 - 前記駆動手段は、モータ(33)とこのモータ(33)の出力軸(33a)に噛合された減速機構と、この減速機構に噛合された前記回転中心軸(36)とを有する駆動ユニット(18)であることを特徴とする請求項1記載の車両の車椅子昇降装置。
- 車体側壁に沿って折り畳み可能であるとともに前記折り畳みスロープ(1)の格納状態において前記第2スロープ上に展開可能な折り畳みシートが設けられ、
前記折り畳みスロープ(1)の格納状態において第2スロープ(13)の下部に折り畳まれている第1スロープ(12)には、前記折り畳みシートが展開した状態で該折り畳みシートに設けられているロック(22)と係合可能なシート用ストライカ(21)が設けられ、
前記第2スロープ(13)には、前記折り畳みスロープ(1)の格納状態において前記シート用ストライカ(21)を露呈させる開口部(26)が設けられたことを特徴とする請求項1記載の車両の車椅子昇降装置。 - 前記第2スロープ(13)には、上方に回動して前記開口部(26)を開放する開閉自在な蓋体(27)が設けられ、前記第1スロープ(12)には、前記展開状態から格納状態への移行に伴って、前記蓋体(27)の下部に当接して該蓋体(27)を上方に回動し開駆動する蓋開閉用ロッド(23)が設けられたことを特徴とする請求項1記載の車両の車椅子昇降装置。
- 前記蓋体(27)には係合溝(29a)が設けられ、前記蓋開閉用ロッド(23)には、前記係合溝(29a)が係合する被係止部(23a)が設けられたことを特徴とする請求項4記載の車両の車椅子昇降装置。
- 前記蓋開閉用ロッド(23)は、前記第1スロープ(12)の裏面に起立した起立状態と前記第1スロープ(12)の裏面上に傾倒した倒れ状態とに変化可能に支持され、前記起立状態においてのみ前記蓋体(27)に当接することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の車両の車椅子昇降装置。
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