JP4052464B2 - 金属管支柱の側壁開口部の補強構造 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、道路照明用ポール、交通信号用ポール、電光式道路標識用ポールなどに用いられる、金属管からなる金属管支柱の側壁に形成される金属管支柱の開口部の補強構造に関する。
【従来の技術】
【0002】
上記のようなポールなどに用いられる金属管からなる金属管支柱の基部付近には、配電盤や制御盤などの電気機器を取り付ける必要がある。これらを金属管支柱の内部に収納する場合には、金属管支柱の側壁に開口部が形成される。
【0003】
この開口部から電気機器を金属管内部に装入した後に、開口部は蓋により覆われる。この蓋は、開口部から雨水が金属管内部に浸入することを防止できるようにシール性を備えるとともに、点検等のために容易に開閉できるように設計されている。
【0004】
しかし、従来はこのような開口部や蓋の剛性について、あまり配慮されることがなかった。金属管支柱の開口部は強度上のウイークポイントとなり易く、風や地震、それに交通振動等によって金属管に曲げ荷重やねじり荷重が繰り返し作用して、振動荷重を受け、開口部に応力集中が起こりやすい。したがって、開口部が破壊起点となって、ポールの折損につながりかねないという問題点があった。
【0005】
特許文献1では、このような金属管からなる金属管支柱の開口部の剛性の低さに起因する、金属管支柱の側壁に形成される開口部の変形を防止する手段として、次の(1)〜(3)の3つが提案されている。
【0006】
(1)矩形状の開口部の外周の対角位置に筋交い部材2個を取り付けて、開口部の変形を防止する。そして、開口部の外周の外面には枠体が隅肉溶接され、この枠体に蓋がボルトによって固定される。
【0007】
(2)矩形状の開口部の外周の外面に、枠体を隅肉溶接し、この枠体の内周に蓋を兼ねる補強板を嵌め込んで、ボルトにより補強板を枠体に固定して、開口部の変形を防止する。
【0008】
(3)矩形状の開口部の外周の外面に、開口部全体を覆うように、蓋を兼ねる補強板を取り付け、ボルトにより補強板を開口部の外周の外面に固定して、開口部の変形を防止する。
【0009】
また、非特許文献1には、同様に、金属管支柱の開口部の補強構造として、次の(4)が記載されている。
【0010】
(4)矩形状の開口部の隅角部にR(丸み)を持たせ、その開口部の外周の外面に、断面コの字形の枠体を隅肉溶接し、この枠体の外側に蓋を取り付け、ボルト2個により蓋を枠体に固定して、開口部の変形を防止する。
【0011】
しかしながら、これらの開口部の補強構造では不十分である。以下に、図面を用いて、説明する。
【0012】
(1)筋交い部材による補強:
図10は、筋交い部材による補強を示す従来例の正面図であり、金属管1の開口部2の外周の対角位置に孔3を4個あけ、ここに2個の筋交い部材4が対角線上に取り付けられる。さらに、開口部の外周の金属管外面に枠体5が隅肉溶接されている。この枠体5には蓋取り付け金具6によって、蓋(図示せず)が取り付けられる。この場合は、金属管がねじり荷重を受けたときに開口部の変形を筋交い部材が抑制するものの、開口部が矩形状であるため、繰り返しの振動荷重を受けたときには、その矩形状の開口部2の隅角部7に応力集中が起こりやすい。
【0013】
(2)蓋を兼ねる補強板による枠体を介しての補強:
図11は、蓋を兼ねる補強板による枠体を介しての補強を示す従来例の斜視図であり、金属管1の開口部の外周の金属管外面に、枠体5が隅肉溶接され、この枠体の内周に蓋を兼ねる、周壁10を有する補強板8が嵌め込まれ、8個のボルト9により補強板8がその周壁1において枠体に固定される。この場合には、金属管がねじり荷重を受けたときに開口部の変形を補強板が抑制するが、枠体と補強板の剛性が問題となる。また、繰り返しの振動荷重を受けたときには、開口部及び枠体が矩形状であるため、開口部と枠体の隅角部の両方に、応力集中が起こりやすい。
【0014】
(3)蓋を兼ねる補強板による補強:
図12は、蓋を兼ねる補強板による補強を示す従来例の斜視図であり、金属管1の開口部の外周の金属管外面に、開口部全体を覆うように、蓋を兼ねる補強板8が取り付けられ、6個のボルト9により補強板が開口部の外面に固定される。この場合にも、金属管がねじり荷重を受けたときに開口部の変形を補強板が抑制するが、補強板の剛性が問題となる。また、繰り返しの振動荷重を受けたときには、開口部の隅角部に応力集中が起こりやすい。
【0015】
(4)枠体による補強:
図13(a)は、枠体による開口部の補強を示す従来例の正面図であり、図13(b)は、図13(a)の開口部2のD−D面における断面図である。金属管1の矩形状の開口部2の隅角部7にR40の丸みを持たせ、その開口部の外周の外面に断面コの字形の枠体5を隅肉溶接したものである。この枠体は、ボルト穴12を有し、枠体の外側に蓋(図示せず)が取り付けられ、ボルト9により蓋を枠体に固定される。この場合には、金属管がねじり荷重を受けたときに開口部の変形を枠体が抑制するが、枠体が隅角をなす支柱側近辺13に応力集中が起こりやすい。また、金属管の矩形状の開口部の隅角部7にR40が形成されているものの、応力集中を防ぐには不十分であり、この開口部の隅角部にも応力集中が起こりやすい。さらに、金属管と枠体は隅肉溶接されているために、その溶接止端部に応力集中が発生する。したがって、繰り返しの振動荷重を受けたときには、枠体が隅角をなす支柱側近辺13、金属管の矩形状の開口部の隅角部7及び枠体と金属管の隅肉溶接部11において、疲労破壊が発生する可能性がある。
【0016】
【特許文献1】
特開2002−275841号公報
【非特許文献1】
「道路・トンネル照明器材仕様書」p.2-10、平成13年4月発行、社団法人建設電気技術協会
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前述の従来例の金属管支柱の開口部の補強構造は、いずれも、金属管支柱にかかる静的曲げ荷重やねじり荷重には耐えうるが、繰り返しの振動荷重を受けるときには不十分である。なぜならば、道路照明用ポール、交通信号用ポール、電光式道路標識用ポールなどとして用いられる金属管支柱は、単純片持ち梁の形態をなしていて、屋外に設置されるため、全方向からの繰り返しの風荷重を受けるし、地震や交通振動により振動荷重を受けるからである。従来例の金属管支柱の開口部の補強構造は、曲げ剛性が均一でないため、開口部あるいは枠体の隅角部で応力集中が起こり、疲労破壊が発生する恐れがある。
【0018】
さらに、前述の従来例の補強構造は、枠体や蓋あるいは取り付けボルトが金属管支柱の外面に突出しているため、金属管支柱の近傍を通る歩行者の障害となる恐れがある。
【0019】
本発明は上記した従来の問題点を解決して、金属管支柱の開口部に繰り返しの振動荷重がかかっても応力集中の起こりにくい、金属管支柱の開口部の補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明にかかる金属管支柱の開口部の補強構造は、円形又は長円形の開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって枠状の補強部材が突き合わせ溶接によって接合されるとともに、蓋が枠状の補強部材の内周に嵌め込んであることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る金属管支柱に用いられる金属管としては、特に制約はないが、鋼管、ステンレス鋼管、アルミニウム管などが好ましい。
【0022】
そして、金属管支柱に用いる金属管の断面形状には、特に制約はなく、円形、四角形、六角形、八角形など、種々の形状の金属管を用いることができる。円形状の金属管が、作業性の点から、好ましい。
【0023】
本発明にかかる枠状の補強部材は、開口部の内周に全周にわたって突き合わせ溶接によって接合するので、他の箇所に補強部材を設置するよりも効果的に剛性を上げることができるとともに、方向による剛性の差を少なくすることができる。また、補強部材の枠の厚みを調整することによって、金属管支柱の切り欠き部分と実肉部分の剛性の差を少なくすることができるので、この点からも、方向による剛性と強度の差を少なくすることができる。
【0024】
この補強構造においては、補強部材が金属管支柱から突出して歩行者のじゃまにならないようにするために、補強部材は外面において曲面形状を有することが好ましい。
【0025】
また、この補強構造は、点検時を除いて、通常は補強部材に蓋が取り付けてある状態で使用されるものであるが、蓋が金属管支柱から突出して歩行者の障害にならないようにするために、蓋が枠状の補強部材の内周に嵌め込んである。なお、補強部材と蓋の間から雨水が浸入しないように、補強部材の外面にパッキングを介して蓋を取り付けることが好ましい。
【発明の実施の形態】
【0026】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
【0027】
図1は参考図であって、枠状の補強部材が円形の開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって突き合わせ溶接によって接合される一例である。ここで、図1(a)は、金属管支柱の側壁に形成される開口部の正面図であり、図1(b)は、図1の開口部2のA−A断面図である。ここでは、開口部2が円形であって、その開口部の切り欠き端面21には、切り欠き端面の内周に全周にわたって、枠状の補強部材22が突き合わせ溶接によって接合されている。
【0028】
図2は参考図であって、枠状の補強部材が長円形の開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって突き合わせ溶接によって接合される一例を示す正面図である。ここでは、開口部2が長円形であって、その開口部の切り欠き端面21には、切り欠き端面の内周に全周にわたって、長円形の枠状の補強部材22が突き合わせ溶接によって接合されている。
【0029】
図3〜図6は参考図であって、金属管支柱の側壁に形成される開口部の水平断面図の模式図である。図3は金属管支柱となる金属管の断面形状が円形のもの、図4は金属管支柱となる金属管の断面形状が八角形のもの、図5は金属管支柱となる金属管の断面形状が六角形のもの、そして、図6は金属管支柱となる金属管の断面形状が四角形のものの例示である。いずれも、開口部の切り欠き端面21には、切り欠き端面の内周に全周にわたって、枠状の補強部材22が突き合わせ溶接によって接合されている。
【0030】
図7は、本発明にかかる金属管支柱の開口部の補強構造の一例である。ここで、図7(a)は、円形断面の金属管からなる金属管支柱に開口部を形成し、その開口部の切り欠き端面21の内周に全周にわたって、枠状の補強部材22を突き合わせ溶接によって接合した後に、さらに蓋23を枠状の補強部材の内周に嵌め込んだものの断面図である。そして、図7(b)は、図7(a)のB部の拡大断面図である。ここでは、枠状の補強部材の外面24において曲面形状となっている。なお、枠状の補強部材の材料としては、金属管の材料と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0031】
枠状の補強部材は、開口部の切欠き端面の内周に全周にわたって設置した後に、金属管支柱の開口部と突き合わせ溶接する。突き合わせ溶接部では金属管支柱の開口部と補強部材の一体化が図られるからである。したがって、枠状の補強部材は、金属管支柱との開口部において切欠き端面との溶接性に優れた鋼材を用いることが好ましい。なお、本発明の枠状の補強部材は、開口部の切欠き端面の内周に全周にわたって設置されているので、突き合わせ溶接が可能である。突き合わせ溶接によって枠状の補強部材が開口部の切欠き端面の内周に全周にわたって溶接された場合には、従来の補強部材の溶接に用いられていた隅肉溶接とは異なり、一体化溶接が可能となるので、その開口部の枠状の補強構造は、変形の発生を十分に防止できる。
【0032】
図8は、本発明にかかる金属管支柱の開口部の補強構造の他の例である。ここで、図8(a)は、円形断面の金属管1からなる金属管支柱に開口部2を形成し、その開口部の切り欠き端面21に枠状の補強部材22を突き合わせ溶接によって接合したものの正面図であり、図8(b)はその側面図である。枠状の補強部材には蓋(図示せず)を取り付けるためのボルト穴25が設けてある。
【0033】
図9は、本発明にかかる金属管支柱の開口部の補強構造の他の例である。ここで、図9は、円形断面の金属管1からなる金属管支柱に開口部を形成し、その開口部の切り欠き端面21に枠状の補強部材22を突き合わせ溶接によって接合した上に、さらにパッキング26を介して蓋23を枠状の補強部材の内周に嵌め込んだものの水平断面図である。パッキングは、蓋23と補強部材22の間から、雨水が浸入するのを防止するために設けられている。
【0034】
なお、蓋は、補強部材にボルトにより固定してあるので、電気設備等のメンテナンスの際には容易に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の金属管支柱の開口部の補強構造によれば、屋外ポールに設けられる開口部に繰り返しの振動荷重がかかっても、応力集中が起こりにくいので、開口部を破壊起点とする破損事故を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】 参考図であって、枠状の補強部材が円形の開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって突き合わせ溶接によって接合される一例である。ここで、図1(a)は、金属管支柱の側壁に形成される開口部の正面図であり、開口部が円形の例を示す。図1(b)は、図1の開口部2のA−A断面図である。開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって枠状の補強部材が突き合わせ溶接によって接合されている。
【図2】 参考図であって、枠状の補強部材が長円形の開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって突き合わせ溶接によって接合される一例である。ここでは、金属管支柱の側壁に形成される開口部の正面図であり、開口部が長円形の例を示す。開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって枠状の補強部材が突き合わせ溶接によって接合されている。
【図3】 参考図であって、金属管支柱の側壁に形成される開口部の水平断面図であり、金属管支柱となる金属管の断面形状が円形の例であって、開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって突き合わせ溶接によって接合されている枠状の補強部材を模式的に示したものである。
【図4】 参考図であって、金属管支柱の側壁に形成される開口部の水平断面図であり、金属管支柱となる金属管の断面形状が八角形の例であって、開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって突き合わせ溶接によって接合されている枠状の補強部材を模式的に示したものである。
【図5】 参考図であって、金属管支柱の側壁に形成される開口部の水平断面図であり、金属管支柱となる金属管の断面形状が六角形の例であって、開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって突き合わせ溶接によって接合されている枠状の補強部材を模式的に示したものである。
【図6】 参考図であって、金属管支柱の側壁に形成される開口部の水平断面図であり、金属管支柱となる金属管の形状が四角形の例であって、開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって突き合わせ溶接によって接合されている枠状の補強部材を模式的に示したものである。
【図7】 本発明にかかる金属管支柱の開口部の補強構造の一例である。ここで、図7(a)は、円形断面の金属管からなる金属管支柱に開口部を形成し、その開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって枠状の補強部材を突き合わせ溶接によって接合した上に、さらに蓋を取り付けたものの断面図である。図7(b)は、図7(a)のB部の拡大断面図である。
【図8】 本発明にかかる金属管支柱の開口部の補強構造の他の例である。ここで、図8(a)は、円形断面の金属管からなる金属管支柱に開口部を形成し、その開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって補強部材を突き合わせ溶接によって接合したものの正面図であり、図8(b)はその側面図である。
【図9】 本発明にかかる金属管支柱の開口部の補強構造の他の例である。ここで、円形断面の金属管からなる金属管支柱に開口部を形成し、その開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって補強部材を突き合わせ溶接によって接合した上に、さらにパッキングを介して蓋を取り付けてなるものの断面図である。
【図10】 筋交い部材による補強を示す従来例の正面図である。
【図11】 蓋を兼ねる補強板による枠体を介しての補強を示す従来例の斜視図である。
【図12】 蓋を兼ねる補強板による補強を示す従来例の斜視図の正面図である。
【図13】 図13(a)は、枠体による開口部の補強を示す従来例の正面図であり、図13(b)は、図13(a)の開口部2のD−D面における断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 金属管
2 開口部
3 孔
4 筋交い部材
5 枠体
6 蓋取り付け金具
7 隅角部
8 蓋を兼ねる補強板
9 ボルト
10 周壁
11 隅肉溶接部
12 ボルト穴
13 枠体が隅角をなす支柱側近辺
21 開口部の切り欠き端面
22 補強部材
23 蓋
24 補強部材の外面
25 ボルト穴
26 パッキング
27 突き合わせ溶接部
Claims (3)
- 金属管支柱の側壁に形成される開口部の補強構造であって、円形又は長円形の開口部の切り欠き端面の内周に全周にわたって枠状の補強部材が突き合わせ溶接によって接合されるとともに、蓋が枠状の補強部材の内周に嵌め込んであることを特徴とする金属管支柱の開口部の補強構造。
- 補強部材は外面において曲面形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の金属管支柱の開口部の補強構造。
- 蓋は補強部材の外面にパッキングを介して取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属管支柱の開口部の補強構造。
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