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JP4054466B2 - 画像形成方法及びその装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成装置及び該装置で実行可能な画像形成方法に係り、詳しくは、一方向に飛翔している帯電インク滴を選択的に偏向させることにより、該帯電インク滴を画像形成対象物上に選択的に付着させて該画像形成対象物上に画像を形成するインクジェット型の画像形成方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のインクジェット型の画像形成装置としては、画像情報に応じてノズルからインク滴を吐出させるか否かを制御するオンディマンドインクジェット型の画像形成装置と、すべてのノズルからインク滴を連続的に吐出させるとともに該ノズルから吐出して飛翔しているインク滴を画像情報に応じて選択的に偏向させるコンティニュアスインクジェット型の画像形成装置が知られている。前者のオンデマンドインクジェット型の画像形成装置では、ノズルヘッドを構成するインク容器の各ノズル孔に隣接した部分に、小さく仕切った互いに独立なインク収容室を形成する必要があり、多ノズルのノズルヘッドを高収率で製造することが難しかった。一方、後者のコンティニュアスインクジェット型の画像形成装置は、インク容器内を小さく仕切る必要がなくノズルヘッドの製造が比較的容易であるという利点があった。
【0003】
上記コンティニュアスインクジェット型の画像形成装置としては、インク容器のノズルから吐出した帯電インク滴を静電気力で選択的に偏向することにより、該帯電インク滴を画像形成対象物上に選択的に付着させて該画像形成対象物上に画像を形成する静電コンティニュアスインクジェット(以下「静電IJ」という)型の画像形成装置が知られている。
図91は、上記静電IJ型の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。この装置において、ノズル101から吐出したインク柱102が所定の電圧(本例では+200V)が印加されたリング状の帯電電極103中で切れてインク滴104が形成されるとき、低抵抗のインク柱102に静電誘導(電荷注入)されていた正電荷が残る。その結果、インク滴104は正に帯電される。この帯電インク滴104は直進し、一対の導電性の平行平板からなる偏向電極105a,bの間に入る。図中上側の偏向電極105aには+1800Vが印加され、下側の偏向電極105bは接地されているので、正極性に帯電した帯電インク滴104は下向きに静電力を受け、その飛行経路が下向きに偏向されてインク滴受け部材としてのガーター106等に入って回収される。上記ノズル101が接地された場合は、インク柱102に電荷が注入されないため、無帯電のインク滴104が形成され偏向電極105a,b間で下向きの静電力を受けることなく直進し、ドラム107上の紙(画像形成対象物)に着弾する。ここで、画像データに基づいてノズル101に印加する電圧を+200Vと0Vに切り替えることにより、該紙上に画像を形成することができる。
また、図92に示すように、直進する無帯電インク滴104aをガーター106で回収し、偏向電極105a,bで偏向された帯電インク滴104bで紙108上に画像を形成するように構成した静電IJ型の画像形成装置も知られている。
これらの静電IJ型の画像形成装置における各部材の典型的な寸法及びインク滴の典型的な特性は、次のとおりである。例えば図91の装置において、帯電電極103のインク滴飛翔方向の長さが約10mm、偏向電極105a,bの長さが約30mm、ノズル101と帯電電極103との間隔および帯電電極103と偏向電極1051,bとの間隔が1mm以下、帯電電極103の直径が2mm以下、上下偏向電極105a,b間の間隔が数mmである。また、インク滴104の飛行速度は約20m/sec、インク滴104の直径は形成する画像の解像力により異なるが例えば60μm、インク滴104の帯電量(Q/M)は3μC/gである。
【0004】
ところが、上記図91又は図92の構成を複数のノズルを備えた装置に適用する場合、ノズルや帯電電極に画像データに応じて異なる電圧を印加する必要があるため、ノズルの間隔を狭くすることが難しく、高密度の多ノズル化を図るという点で不利であった。また、上記図91又は図92の構成において、ノズルや帯電電極に一定電圧を印加してノズルから吐出するインク滴を一律に帯電し、偏向電極105a,bに画像情報に応じて該インク滴を選択的に偏向するように構成することも考えられるが、偏向電極105a,bに画像情報に応じて異なる電圧を印加する必要があるため、この場合も、ノズルの間隔を狭くすることが難しく、高密度の多ノズル化を図るという点で不利であった。
【0005】
そこで、上記図91又は図92の構成よりも多ノズル化が容易な装置として、図93に示すような静電IJ型の画像形成装置が提案されている(文献1:1988年の「THE FOURTH INTERNATIONAL CONGRESS ON ADVANCES IN NON-IMPACT PRINTING TECHNOLOGIES」の予稿集、EASTMAN KODAK社のJAMES A. KATEERBERG氏により発表された「DROP CHARGING AND DEFLECTION USING A PLANAR CHARGE PLATE」参照)。
この図93の装置では、上記一対の偏向電極の接地電極をなくし、偏向電極に帯電電極を兼ねさせている。この結果、従来方式よりノズルの間隔を狭めることが可能となっている。帯電電極を兼ねた偏向電極109に信号電圧を印加するとインク柱102の先端に逆極性の電荷が静電誘導(電荷注入)され、ちぎれたインク滴104が逆極性に帯電される。逆極性の帯電インク滴は偏向電極109に引かれて偏向され、キャッチャー110に捕らえられる。一方、無帯電インクは直進して紙108に画像を形成する。
図94は、上記図93の装置における帯電と偏向の原理を説明する説明図である。帯電電極(偏向電極)109に負電圧が印加され、インク容器110の下面にあるノズル(オリフイスプレート)111aとキャッチャー110が接地されると、図94に示すような電気力線が形成され、インク柱102の先端には正電荷が誘導される。この正電荷を持って形成されたインク滴104には帯電電極109に向かう静電力が作用し、該インク滴104はその方向に偏向される。帯電電極109の図中上下方向の長さは0.635mmで、上端から0.127mmのところでインク柱102が切断されてインク滴104が生まれる。この結果、帯電電極109の2.8mm下方でインク滴は、0.23mm偏向される。
【0006】
また、図95に示すような静電IJ型の画像形成装置も提案されている(文献2:1989年の「THE FIFTH INTERNATIONAL CONGRESS ON ADVANCES IN NON-IMPACT PRINTING TECHNOLOGIES」の予稿集、FUJI XEROX社のNaoki Morita氏により発表された「TRAVELING WAVE DROP GENERATOR FOR MULTI-NOZZLE CONTINUOUS INK JET」参照)。
この図95の装置は、基本的には通常の静電IJ型画像形成装置を多ノズル化しただけであるが、板状の偏向電極の枚数を1/2にするために、図示のように1枚置きに+、−に偏向電圧を変えている。この結果、帯電された回収対象のインク滴104は交互に右左に偏向される。これにより、ガーター106も一つ置きで済む。紙108の後ろのドロップセンサー112はノズルごとに着弾点を測定し、その結果を帯電コントローラにフィードバックさせるものと思われる。
【0007】
また、図96に示すような静電IJ型の画像形成装置も提案されている(文献3:IST's NIP12:International Conference on Digital Printing Technologies−'87の予稿集、Hitachi Ltd.のShogo Matsumoto氏により発表された「Flight Stability of Droplets in an Electrostatic Ink−Jet Printer」参照)。
この図96の装置では、ノズル101から射出されるインク滴104ごとに、帯電電極103で帯電させずに直進させてガーター106に当てて回収したり、帯電電極103で帯電させて偏向させて紙108上に印字させたりしていた。この時、帯電電極103の印加電圧を変えることで(偏向電極105a,105bに印加する偏向電圧は固定)インク滴104の帯電量を変えて印字位置を変えることもできた。本装置構成が記載されている上記文献によれば、上記偏向電極105a,105bの長さは約40mm、該電極間の間隔は約4mmで偏向電圧は約4kVである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記図93や図96に示す装置では、次のような問題点を有している。
(1)クロストークが発生して着弾位置がずれる。例えば、図93で一番手前のインク滴104を帯電させてキャッチャー110に回収し、手前から2番目のインク滴を帯電させずに直進させて紙108に当てるとき、2番目のインク滴も少量の電荷が誘導され、1番目と2番目の帯電電極(偏向電極)109間に形成される電界で1番目の帯電電極の方向に偏向され、紙108上の着弾点が狂ってしまう。
(2)クロストークを減少させるためには帯電電極109の間隔を広くしなければならず、高密度化が難しい。(前述の予稿集には帯電電極の厚さ(上下方向の長さ)の記載はあるが、奥行きの幅および隣りの電極との間隔に関しては記載されていない。上記帯電電極109の厚さが0.6mmである点及び図93から類推すると、上記帯電電極109のピッチは上記厚さと同じ程度であると考えられる。)
(3)クロストークを減少させるために高い電圧を印加できないので、偏向距離も短く不安定になる。通常の静電IJ型の装置では、帯電電極とは別に偏向電極を設け、この偏向電極に高い電圧(数kV)を印加しているので、偏向距離は数mmあり、十分な信頼性で紙に行くインク滴と回収するインク滴とを分離することができる。
【0009】
特に、上記図96の装置では、偏向電極105a,105bの寸法が大きく、電圧が高いとこれを密に並べてラインヘッドを作ることは大変困難である。実際に商品化されたラインヘッドの静電IJ型の画像形成装置(Mead社製のDIJIT printer:商品名)ではノズルのピッチは0.5mmであった。このように長い偏向電極105a,105bと高い偏向電圧が必要になるのはインク滴の速度が大変速い(例えば、図96の装置が記載されている上記文献3では20.2m/secとなっている)ためであると考えられる。
【0010】
また、上記図95に示す装置では、次のような問題点を有している。
(1)偏向電極の厚さを薄くするのは限度があるため、ノズルの高密度化を図ることが難しい。インク滴の飛行経路を挟んで対向配置した偏向電極の位置を正確に保つためには、機械的強度から少なくともその厚さは0.1mm以上必要である。また、インク滴を選択的に偏向して画像形成用のインク滴と回収対象のインク滴とに分けているが、この偏向距離は少なくとも0.1mm以上必要である。これらを考慮すると最少ノズル間ピッチは0.5mm、すなわち50dpiが最大密度と予測される。これはノズルを直線的に並べた場合であるが、千鳥にする場合には長さ数mmの薄い偏向電極を千鳥状に立てて並べなければならず製造と保持がともに困難である。
(2)一つのノズル孔から吐出するインク滴で形成すべきドットが多すぎてスピードが上がらない。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、インク滴飛翔制御手段として従来の平板状の偏向電極を用いた場合に比して、高密度の多ノズル化が容易であり、且つ各ノズルから吐出した帯電インク滴を制御する制御電界におけるクロストークが小さくインク滴の着弾位置のずれを小さくすることができ、しかも帯電インク滴をより小さな制御電圧で偏向できる静電コンティニュアスインクジェット型の画像形成方法及びその装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、一方向に飛翔している帯電インク滴を画像情報に応じて選択的に偏向させることにより、該帯電インク滴を画像形成対象物上に選択的に付着させて該画像形成対象物上に画像を形成する画像形成方法において、画像情報に応じた制御電圧が印加された画像電極で囲まれた貫通孔に向けて該帯電インク滴を飛翔させ、該貫通孔に向かって飛翔する該帯電インク滴を静電力によって減速させた後、該貫通孔を通過しようとする該帯電インク滴を選択的に偏向させることを特徴とするものである。
この画像形成方法では、画像情報に応じて制御電圧が印加された画像電極により、周囲からの静電的な影響を受けにくい貫通孔の内側に、インク滴の偏向を制御するための制御電界が形成される。この制御電界により、該貫通孔を通過しようとする帯電インク滴が選択的に偏向される。この帯電インク滴のうち画像形成対象物に向かって飛翔するインク滴により画像が形成される。しかも、上記貫通孔に向かって飛翔する帯電インク滴を静電力で減速させることにより、より小さな制御電圧で該インク滴を偏向できる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の画像形成方法において、上記貫通孔を通過しようとする帯電インク滴のうち、画像形成に用いる帯電インク滴は上記画像形成対象物に向かって飛翔させ、画像形成に用いない帯電インク滴は該画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔させて回収容器に回収することを特徴とするものである。
この画像形成方法では、上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴を回収することにより、該インク滴によって装置の内部が汚染されないようにするとともに、該インク滴を再利用できるようにする。
【0014】
請求項の発明は、請求項1の画像形成方法において、画像情報に基づいて、上記画像電極による制御電界形成領域を通過し上記画像形成対象物に向かって飛翔する帯電インク滴を偏向し、該画像形成対象物上における該帯電インク滴の付着位置を変えることを特徴とするものである。
この画像形成方法では、画像情報に基づいて、上記画像電極による制御電界形成領域を通過し画像形成対象物に向かって飛翔する帯電インク滴を偏向し、該画像形成対象物上における該インク滴の付着位置を変えることにより、1つの制御電界形成領域を通過するインク滴で画像の複数のドットを形成できるようにする。
【0015】
請求項4の発明は、インク容器のノズル孔から帯電インク滴を吐出させるインク滴吐出手段と、該帯電インク滴を画像情報に応じて選択的に偏向させるインク滴飛翔制御手段とを備え、該帯電インク滴を画像形成対象物上に選択的に付着させて該画像形成対象物上に画像を形成する画像形成装置において、該インク滴飛翔制御手段を、画像電極で囲まれた貫通孔が複数形成されたインク滴飛翔制御部材と、画像情報に応じて、該貫通孔を通過しようとする該帯電インク滴を選択的に偏向させるための制御電圧を該画像電極に印加する制御電圧印加手段とを用いて構成し、該インク容器から該貫通孔に向かって飛翔する帯電インク滴を静電力によって減速させるインク滴減速手段を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、制御電圧印加手段によりインク滴飛翔制御部材の各画像電極に画像情報に応じて制御電圧が印加される。この制御電圧が印加された各画像電極により、該画像電極で囲まれて周囲からの静電的な影響を受けにくくなっている各貫通孔の内側に、インク滴の偏向を制御するための制御電界が形成される。この制御電界により、各貫通孔を通過しようとする帯電インク滴が選択的に偏向される。この帯電インク滴のうち画像形成対象物に向かって飛翔するインク滴により画像が形成される。しかも、上記インク滴減速手段で上記インク容器から上記貫通孔に向かって飛翔する帯電インク滴を静電力によって減速させることにより、インク滴を偏向しやすくなるので、所定距離だけ偏向するために必要な該画像電極への印加電圧(制御電圧)を低くすることができる。
【0016】
請求項の発明は、請求項の画像形成装置において、上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴を回収するインク滴回収手段を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、インク滴回収手段で画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴を回収することにより、該インク滴によって装置の内部が汚染されないようにするとともに、該インク滴を再利用できるようにする。
【0017】
請求項の発明は、請求項の画像形成装置において、上記インク滴回収手段を、回収したインク滴を収容する回収容器と、上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴を受け止めて該回収容器に導くインク滴回収部材とを用いて構成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴をインク滴回収部材で受け止めて回収容器に導き、該インク滴を該回収容器内に回収する。
【0018】
請求項の発明は、請求項の画像形成装置において、上記インク滴回収手段を、上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴が直接入る回収口を有する回収容器を用いて構成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴を、回収容器の回収口に直接入れて該回収容器内に回収する。
【0019】
請求項の発明は、請求項の画像形成装置において、上記インク滴回収手段を、上記回収容器として兼用した上記インク容器を用いて構成し、上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する上記帯電インク滴の飛翔方向を、該インク容器の回収口に該インク滴が直接入るように設定したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴を、回収容器として兼用した上記インク容器に回収口に直接入れて該インク容器内に回収する。
【0020】
請求項の発明は、請求項6、7又は8の画像形成装置において、上記回収容器に向かう帯電インク滴を加速する加速手段を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記回収容器に向かう帯電インク滴を加速手段で加速することにより、各インク滴の回収時間を短くする。
【0021】
請求項1の発明は、請求項の画像形成装置において、上記加速手段として、上記回収容器に向かう帯電インク滴を加速する向きの気流を発生させる気流発生手段を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、気流発生手段で発生した気流により、上記回収容器に向かう帯電インク滴を加速する。
【0022】
請求項1の発明は、請求項の画像形成装置において、上記加速手段として、上記回収容器に向かう帯電インク滴を加速する向きの電界を形成する電界形成手段を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、電界形成手段で発生した電界により、上記回収容器に向かう帯電インク滴を加速する。
【0023】
請求項1の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記電界形成手段を、上記回収容器に向かう帯電インク滴の飛翔経路に沿って並べて設けた一対の回収加速電極と、該帯電インク滴を加速する向きの電界を形成するための電圧を該一対の回収加速電極の間に印加する電源とを用いて構成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記回収容器に向かう帯電インク滴の飛翔経路に沿って並べて設けた一対の回収加速電極に、上記電源から所定の電圧を印加し、該帯電インク滴を加速する向きの電界を形成する。
【0024】
請求項1の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記インク滴減速手段として、上記インク容器から上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔経路に沿って、該インク滴を減速する向きの電界を形成するための一対の減速電極を設け、該貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔方向と上記回収容器に向かう帯電インク滴の回収飛翔方向とが逆方向であり、上記回収加速電極として、上記減速電極を兼用したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記インク容器から上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔経路に沿って設けた一対の減速電極により、該インク滴を減速する向きの電界を形成する。そして、この減速電極を回収加速電極として兼用し、上記回収容器に向かう帯電インク滴を加速する向きの電界を形成する。
【0025】
請求項1の発明は、請求項6、7又は8の画像形成装置において、上記回収容器に回収する帯電インク滴の上記インク容器から上記貫通孔に向かう飛翔経路と上記回収容器に向かう回収飛翔経路とを異ならせたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記貫通孔に向かう飛翔経路と上記回収飛翔経路とを異ならせたことにより、該飛翔経路に同時に複数の帯電インク滴が存在するように該インク滴を吐出させることができる。
【0026】
請求項1の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記画像電極として、上記インク容器からの飛翔方向と交差する面方向で複数の電極に分割したものを用い、各電極に異なる電圧を印加することにより、該インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させることを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記インク容器からの飛翔方向と交差する面方向で複数の電極に分割した画像電極の各電極に異なる電圧を印加する。この各電極で形成した電界により、該インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させ、上記貫通孔に向かう飛翔経路と上記回収飛翔経路とを異ならせる。
【0027】
請求項1の発明は、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設けた請求項1の画像形成装置であって、上記補助電極として、上記インク容器からの飛翔方向と交差する面方向で複数の電極に分割したものを用い、各電極に異なる電圧を印加することにより、該インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させることを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設けた補助電極を、該インク容器からの飛翔方向と交差する面方向で複数の電極に分割し、各電極に異なる電圧を印加する。この各電極で形成した電界により、該インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させ、上記貫通孔に向かう飛翔経路と上記回収飛翔経路とを異ならせる。
【0028】
請求項1の発明は、上記インク滴吐出手段を、上記インク容器のノズル孔から吐出しようとするインク滴を挟むように配置した帯電電極を用いて構成した請求項1の画像形成装置であって、上記帯電電極として、上記インク容器からの飛翔方向と交差する面方向で複数の電極に分割したものを用い、各電極に異なる電圧を印加することにより、該インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させることを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記インク容器のノズル孔から吐出しようとするインク滴を挟むように配置した帯電電極を、該インク容器からの飛翔方向と交差する面方向で複数の電極に分割し、各電極に異なる電圧を印加する。この各電極で形成した電界により、該インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させ、上記貫通孔に向かう飛翔経路と上記回収飛翔経路とを異ならせる。
【0029】
請求項1の発明は、上記画像電極の内周面が、上記貫通孔の中心軸について軸対称の形状をしている請求項1の画像形成装置であって、上記帯電インク滴を上記貫通孔の中心軸からずらして入射することを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記帯電インクを上記貫通孔の中心軸からずらして入射することにより、該インク滴に対して該入射の方向と交差する向きの静電気力を作用させる。この静電気力により、該インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させ、上記貫通孔に向かう飛翔経路と上記回収飛翔経路とを異ならせる。
【0030】
請求項19の発明は、請求項の画像形成装置において、上記インク滴回収部材の帯電インク滴が接触する表面を撥水処理したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記インク滴回収部材の帯電インク滴が接触する表面を撥水処理することにより、該部材で受け止めたインク滴が該部材の表面に付着したままの状態にならずに、自重などによって該部材の表面に沿って回収容器に流れていく。
【0031】
請求項2の発明は、請求項の画像形成装置において、上記インク容器の回収口を、該回収口から上記インク滴が吐出しない程度に該インク容器のノズル孔から離れた位置に形成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記インク容器の回収口を上記所定の位置に形成することにより、該回収口から上記インク滴が吐出しないようにする。
【0032】
請求項2の発明は、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設け、上記回収容器を該補助電極を挟んで該画像電極とは反対側に配置した請求項6、7又は8の画像形成装置であって、上記補助電極として、上記インク容器から上記貫通孔に向かって飛翔する帯電インク滴が通過するための孔と、上記回収容器の回収口に向かって逆飛翔する帯電インク滴が通過するための孔とを有する1枚の金属板を用いたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極に上記2つの孔を形成することにより、上記インク容器から上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔と、上記回収容器の回収口に向かう帯電インク滴の逆飛翔を該補助電極で遮ることがない。そして、補助電極に1枚の金属板を用いることにより、安く且つ精度よく、機械的強度に優れた補助電極を製造することができる。
【0033】
請求項2の発明は、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設け、上記回収容器を該補助電極を挟んで該画像電極とは反対側に配置した請求項6、7又は8の画像形成装置であって、上記回収容器に回収しようとする帯電インク滴を上記インク容器のノズル孔の方向に加速する電界が形成されないように、上記補助電極の形状、配置及び印加電圧を設定したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極の形状、配置及び印加電圧の上記所定の設定により、上記回収容器に回収しようとする帯電インク滴を上記インク容器のノズル孔の方向に加速する電界が形成されないようにする。この加速電界形成の抑制により、該インク滴を該インク容器のノズル孔から離れた位置で回収できるようにする。
【0034】
請求項2の発明は、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設け、上記回収容器を該補助電極を挟んで該画像電極とは反対側に配置した請求項6、7又は8の画像形成装置であって、上記回収容器に回収しようとする帯電インク滴の上記インク容器のノズル孔に向かう方向の速度を減速する電界が形成されるように、上記補助電極の形状、配置及び印加電圧を設定したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極の形状、配置及び印加電圧の上記所定の設定により、上記回収容器に回収しようとする帯電インク滴の上記インク容器のノズル孔に向かう方向の速度を減速する電界が形成される。この電界形成により、該インク滴を該インク容器のノズル孔から離れた位置で回収できるようにする。
【0035】
請求項2の発明は、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設け、上記回収容器を該補助電極を挟んで該画像電極とは反対側に配置した請求項6、7又は8の画像形成装置であって、上記回収容器に回収しようとする帯電インク滴を上記インク容器のノズル孔の方向とは逆方向に加速する電界が形成されるように、上記補助電極の形状、配置及び印加電圧を設定したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極の形状、配置及び印加電圧の上記所定の設定により、上記回収容器に回収しようとする帯電インク滴を上記インク容器のノズル孔の方向とは逆方向に加速する電界が形成される。この電界形成により、該インク滴を該インク容器のノズル孔から離れた位置で回収できるようにする。
【0036】
請求項2の発明は、請求項6又は7の画像形成装置において、上記インク容器から吐出した帯電インク滴のうち、上記画像形成対象物に付着させる帯電インク滴を直進して飛翔させるように、且つ上記回収容器に回収する帯電インク滴を上記インク滴飛翔制御部材の表面に沿った方向に偏向させるように、上記画像電極を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記画像形成対象物に付着させる帯電インク滴を直進して飛翔させることにより、該インク滴の粒径が変化してその飛行速度が変化した場合でも、画像形成対象物上の着地点が変化しない。そして、上記回収容器に回収する帯電インク滴を上記インク滴飛翔制御部材の表面に沿った方向に偏向させることにより、該インク滴飛翔制御部材が該回収容器に向かう該インク滴を遮ることがない。
【0037】
請求項2の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記画像電極として、帯電インク滴が通過する貫通孔を囲むように配置したリング状の第1の画像電極と、該第1の画像電極のインク滴飛翔方向上流側で帯電インク滴が通過する貫通孔を間に挟み込むように対向させて配置した第2の画像電極及び第3の画像電極とを設け、上記回収容器に回収する帯電インク滴が飛翔しているときに、該第1の画像電極及び該第2の画像電極に該帯電インク滴の帯電極性と同じ極性の電圧を印加し、該第3の画像電極に該帯電インク滴の帯電極性とは逆極性の電圧を印加することを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記回収容器に回収する帯電インク滴が飛翔しているときに、上記リング状の第1の画像電極及び上記第2の画像電極に帯電インク滴の帯電極性と同じ極性の電圧を印加し、上記第3の画像電極に該帯電インク滴の帯電極性とは逆極性の電圧を印加する。この所定極性の電圧を印加した各電極で形成した電界により、該帯電インク滴を上記インク滴飛翔制御部材の表面に沿った方向に偏向させる。
【0038】
請求項2の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記回収容器に回収する帯電インク滴を上記インク滴飛翔制御部材の表面に沿った方向に偏向させる向きの電界を形成するための一対の回収電極を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記一対の回収電極により、上記回収容器に回収する帯電インク滴を上記インク滴飛翔制御部材の表面に沿った方向に偏向させる向きの電界を形成する。この電界により、該回収容器に向かう該インク滴を加速し、より速やかに回収できるようにする。
【0039】
請求項2の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記回収電極を、上記画像電極とともに同一部材上に形成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記回収電極を上記画像電極とともに同一部材上に形成することにより、両電極間の相対的な位置精度が向上するとともに、両電極の製造の低コスト化を図ることができる。
【0040】
請求項29の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記画像電極による制御電界形成領域を通過した帯電インク滴が画像形成対象物に向かう飛翔経路と、上記回収電極との間に、シールド電極を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記所定の位置にシールド電極を設けることにより、上記回収電極で形成される電界が、上記画像電極による制御電界形成領域を通過し画像形成対象物に向かっている帯電インク滴に作用しないようにする。
【0041】
請求項3の発明は、請求項の画像形成装置において、上記貫通孔を囲むように配置した補助電極と、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための電圧を該補助電極に印加する電源とを設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記貫通孔を囲むように配置した補助電極に上記所定の電圧を印加することにより、上記画像電極による帯電インク滴の偏向を補助する。この偏向の補助により、該インク滴を偏向しやすくなるので、該インク滴を所定距離だけ偏向するために必要な該画像電極への印加電圧(制御電圧)を低くすることができる。また、インク容器から吐出される帯電インク滴の速度が高速の場合でも、画像情報に応じた該インク滴の偏向を安定して行うことができる。
【0042】
請求項3の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記補助電極を、上記画像電極とともに同一部材上に形成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記補助電極を上記画像電極とともに同一部材上に形成することにより、両電極間の相対的な位置精度が向上するとともに、両電極の製造の低コスト化を図ることができる。
【0043】
請求項3の発明は、上記補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設けた請求項3の画像形成装置であって、上記インク容器から吐出した帯電インク滴が上記画像電極によって形成される制御電界形成領域に到達するまでの飛翔経路において、該インク滴を加速する向きの電界が形成されないように、上記補助電極の形状、配置及び印加電圧を設定したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記補助電極の形状、配置及び印加電圧の上記所定の設定により、上記インク容器から吐出した帯電インク滴が上記画像電極によって形成される制御電界形成領域に到達するまでの飛翔経路において、該インク滴を加速する向きの電界が形成されないようにする。この加速電界形成の抑制により、該インク滴を偏向しやすくなるので、所定距離だけ偏向するために必要な該画像電極への印加電圧(制御電圧)を低くすることができる。また、インク容器から吐出される帯電インク滴の速度が高速の場合でも、画像情報に応じた該インク滴の偏向を安定して行うことができる。
【0044】
請求項3の発明は、請求項の画像形成装置において、上記インク滴減速手段として、上記貫通孔に向かう帯電インク滴を減速する向きの電界を形成する電界形成手段を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、電界形成手段で形成した制御が容易な電界により、上記貫通孔に向かう帯電インク滴を減速しているので、該インク滴をより正確に減速させることができる。
【0045】
請求項3の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記電界形成手段を、上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔経路に沿って並べて設けた一対の減速電極と、該帯電インク滴を減速する向きの電界を形成するための電圧を該一対の減速電極の間に印加する電源とを用いて構成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔経路に沿って並べた上記一対のリング状の減速電極で形成された電界により、上記貫通孔に向かう帯電インク滴を減速する。
【0046】
請求項3の発明は、上記インク滴吐出手段を、上記インク容器のノズル孔から吐出しようとするインク滴を挟むように配置した帯電電極を用いて構成した請求項3の画像形成装置であって、上記一対の減速電極のうち上記インク容器のノズル孔に近い減速電極として、上記帯電電極を兼用したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記一対の減速電極のうち上記インク容器のインク滴ノズル孔に近い減速電極として上記帯電電極を兼用しているので、装置構成が簡易になる。
【0047】
請求項3の発明は、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設けた請求項3の画像形成装置であって、上記一対の減速電極のうち上記画像電極に近い減速電極として、上記補助電極を兼用したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記一対の減速電極のうち上記画像電極に近い減速電極として上記補助電極を兼用しているので、装置構成が簡易になる。
【0048】
請求項37の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記一対の減速電極のうち上記画像形成対象物に近い減速電極として、上記画像電極を兼用したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記一対の減速電極のうち上記画像形成対象物に近い減速電極として上記画像電極を兼用しているので、装置構成が簡易になる。
【0049】
請求項38の発明は、請求項の画像形成装置において、上記画像形成対象物に対して上記画像電極とは反対側から対向する位置に配置した対向電極と、上記帯電インク滴の帯電極性とは逆極性の電圧を該対向電極に印加する電源とを設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記帯電インク滴の帯電極性とは逆極性の電圧を印加した上記対向電極で形成された電界により、画像電極による制御電界形成領域を通過して画像形成対象物に向かう帯電インク滴を加速する。このインク滴の加速により、画像形成の速度を高めることができる。
【0050】
請求項39の発明は、請求項の画像形成装置において、上記画像電極と上記画像形成対象物との間の上記帯電インク滴の飛翔を妨げない位置に該インク滴の飛翔経路を挟むように配置した一対の偏向電極と、該画像形成対象物に付着する該インク滴を偏向する向きの電界を形成するための電圧を該偏向電極に印加する電源とを設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記所定の電圧を印加した一対の偏向電極で形成された電界により、画像電極による制御電界形成領域を通過して画像形成対象物に向かう帯電インク滴を偏向する。このインク滴の偏向により、1つの制御電界形成領域を通過するインク滴で画像の複数のドットを形成できる。
【0051】
請求項4の発明は、請求項39の画像形成装置において、上記画像電極による制御電界の強度を、上記偏向電極による偏向電界の強度よりも強くしたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記画像電極による制御電界の強度を、上記偏向電極による偏向電界の強度よりも強くすることにより、該制御電界による帯電インク滴の選択的な偏向に対する該偏向電界の影響を小さくする。
【0052】
請求項4の発明は、請求項39の画像形成装置において、上記一対の偏向電極の一方を接地し、もう一方に上記帯電インク滴の帯電極性と逆極性の電圧を印加したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記一対の偏向電極の一方にのみ電圧を印加するので、上記複数ドット形成のための印加電圧の制御が容易になる。
【0053】
請求項4の発明は、請求項39の画像形成装置において、上記偏向電極を、上記画像電極とともに同一部材上に形成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記偏向電極を上記画像電極とともに同一部材上に形成することにより、両電極間の相対的な位置精度が向上するとともに、両電極の製造の低コスト化を図ることができる。
【0054】
請求項4の発明は、請求項の画像形成装置において、上記画像電極の上記インク容器側及び上記画像形成対象物側に、シールド電極を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記画像電極の上記インク容器側及び上記画像形成対象物側に設けたシールド電極でシールドすることにより、先行して飛翔する帯電インク滴が画像電極による制御電界形成領域を通過した直後に、又は後続の帯電インク滴が該制御電界形成領域に入る直前に、該画像電極に印加する電圧を切り換えることができるようになる。従って、帯電インク滴の吐出間隔を短くして画像形成の速度を高めることができる。
【0055】
請求項4の発明は、上記シールド電極を接地し、上記画像電極として、上記貫通孔を間に挟んで対向するように配置した一対の画像電極を用いた請求項4の画像形成装置であって、該一対の画像電極の一方を接地し、もう一方に上記帯電インク滴の帯電極性と同極性の電圧を印加したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記一対の画像電極のうち上記シールド電極と同電位の接地した画像電極の方向に帯電インク滴を偏向させているので、該インク滴が該画像電極に付着し該画像電極と上記シールド電極との間が電気的に導通状態になったとしても、過剰電流が流れることがない。従って、上記各電極に印加するための電気回路が破壊される危険性が少なくなる。
【0056】
請求項4の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記シールド電極を、上記画像電極とともに同一部材上に形成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記シールド電極を上記画像電極とともに同一部材上に形成することにより、両電極間の相対的な位置精度が向上するとともに、両電極の製造の低コスト化を図ることができる。
【0057】
請求項46の発明は、請求項の画像形成装置において、上記インク容器から上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔経路を囲むように、該帯電インク滴を該貫通孔内に収束する電界を形成するための収束電極を設けたことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記インク容器のノズル孔から上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔経路を囲むように設けた収束電極で形成した電界により、該帯電インク滴を該貫通孔内に収束する。このインク滴の収束により、上記インク容器から吐出するインク滴の吐出角度がばらついた場合でも、該貫通孔に対して該インク滴を確実に入射させ、画像情報に応じた該インク滴の選択的な偏向を確実に行うことができる。
【0058】
請求項47の発明は、請求項46の画像形成装置において、上記収束電極の内径が上記画像電極の内径よりも大きいことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記収束電極の内径が上記画像電極の内径よりも大きいので、上記インク滴の吐出方向がばらつきの調整範囲が広くなる。
【0059】
請求項48の発明は、上記画像電極の上記収束電極側に、接地したシールド電極を設けた請求項46の画像形成装置であって、上記収束電極を接地したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記収束電極を接地することにより、上記画像電極の該収束電極側に設けた上記シールド電極との間に不要な電界が形成されないようになり、上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔が安定する。
【0060】
請求項49の発明は、上記インク滴吐出手段を、上記インク容器のノズル孔から吐出しようとするインク滴を挟むように配置した帯電電極を用いて構成した請求項46の画像形成装置であって、上記インク容器のノズル孔から吐出した帯電インク滴が上記画像形成対象物上の所定位置に到達して付着するように、上記帯電電極と上記収束電極との間に電位差を形成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記帯電電極と上記収束電極との間に上記所定の電位差を形成することにより、上記インク容器から吐出した帯電インク滴が上記画像形成対象物上の所定位置に到達して付着する。
【0061】
請求項5の発明は、請求項4乃至49のいずれかの画像形成装置において、上記各電極の少なくとも一つをフレキシブルプリント回路(FPC)部材上に形成したことを特徴とするものである。
この画像形成装置では、上記各電極の少なくとも一つを、電極パターンの位置合わせが容易で且つ安価なフレキシブルプリント回路(FPC)部材上に形成する。
【0062】
なお、上記各請求項の発明における画像形成対象物には、紙などの記録媒体だけでなく、該記録媒体に転写する画像を一旦担持する中間転写体なども含まれるものである。
また、上記各請求項の発明において、上記画像電極で形成される制御電界形成領域を通過するときの上記帯電インク滴の速度は2m/sec以下が好ましい。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する
図1は、本発明を適用可能な参考例に係る画像形成装置の概略構成図である。図1では、一つのノズル孔についてのみ示されているが、実際の装置は、複数のノズル孔がライン状に形成された多ノズル構造になっている。
【0064】
本装置は、インク容器10と、帯電電極20と、インク滴飛翔制御手段としての板状のインク滴飛翔制御部材30と、対向電極40とを備えている。液状の画像形成物質としてのインク50が収容されたインク容器10の上面には、ケーシングに兼用されている接地されたベース電極11が設けられている。このベース電極11に、所定直径のノズル孔12が所定ピッチでライン状に形成されている。また、インク容器10には、ノズル孔12からインク滴を吐出させるための図示しない吐出手段が設けられている。この吐出手段は、圧電(ピエゾ)素子を用いるピエゾ方式や、バブル方式、静電加圧方式、静電吸引方式などを用いるように構成することができる。また、これらの方式以外にも、前出の1989年「THE FIFTH INTERNATIONAL CONGRESS ON ADVANCES IN NON-IMPACT PRINTING TECHNOLOGIES」の予稿集で提案されている「TRAVELING WAVE DROP GENERATOR FOR MULTI-NOZZLE CONTINUOUS INK JET」(以下「従来技術B」という。)で使用されているTraveling Wave Drop Generator(TWDG)方式や、スプレー方式(WO95/15822、PCT/GB94/02692参照)等を用いるように構成することもできる。
【0065】
上記帯電電極20は、厚さ0.1〜1mmの金属板に各ノズル孔12に対応した直径0.1〜1.0mmの複数の孔21を開けて形成されている。この孔21は、インク容器10の各ノズル孔12から吐出したインク柱51の先端が切れてインク滴52ができる箇所を囲むように形成されている。帯電電極20には、帯電インク滴52の帯電極性とは逆極性の電圧が図示しない電源から印加されている。この電圧が印加された帯電電極20により、インク容器10から吐出したインク柱51に該電圧と逆極性の電荷が静電誘導され、該インク柱51から切れたインク滴に該電荷が残り、帯電インク滴52となる。帯電電極20の板厚は、ノズル孔12から伸びるインク柱51が切れる位置で決まり、上記孔12の直径は、インク滴52に与える帯電量と、インク滴と帯電電極との間の電位差で決まる。例えば、直径30μmのインク滴に−9μC/gの帯電量を与えるとき、導電性のインク柱51と帯電電極との間の電位差が60Vであれば、直径は100μmになる。
なお、帯電電極20としては、本装置のような金属板に代えて、単一ノズル孔のノズルヘッドで通常用いられているリング状の電極を用いてもよい。また、インク滴を帯電する方法としては、本装置のように静電誘導を用いる方法に代えて、従来から公知の他の帯電方法を用いてもよい。
【0066】
上記吐出手段や上記帯電電極21などにより、インク容器10のノズル孔12から帯電インク滴52を吐出させるインク滴吐出手段が構成されている。このインク滴吐出手段により、インク容器10の複数のノズル孔12から帯電インク滴52が同時に吐出される。
【0067】
図2(a)及び(b)は、上記インク滴飛翔制御部材30の横断面図及び縦断面図である。同図において、リード電極は省略されている。このインク滴飛翔制御部材30としては、厚さ50μm程度の樹脂フィルム(例えばポリイミドフィルム)34の両面に10〜20μm程度の銅箔を貼り、表にリング状の画像電極31のパターン、裏に同じくリング状の補助電極32のパターンを露光後エッチングして作製したフレキシブルプリント回路(FPC)部材を用いた。上記インク滴飛翔制御部材30の画像電極31及び補助電極32の中央部には、ノズル孔12からの帯電インク滴52が通過し得るように、各ノズル孔12に対応した貫通孔33が形成される。なお、上記各電極をパターンが形成された面には、必要に応じて樹脂コーティングを施してもよい。
上記インク滴飛翔制御部材30のリング状の画像電極31は、帯電インク滴52を画像情報に応じて選択的に偏向させる制御電界を主に形成するものであり、画像情報に応じて変化する制御電圧が印加される。また、上記リング状の補助電極32は、上記帯電インク滴52の偏向を補助する電界を形成するものであり、一定電圧が印加される。
【0068】
上記対向電極40は、画像形成対象物としての紙53を吸引して保持する導電性の吸盤からなり、帯電インク滴52の帯電極性と逆極性の電圧が図示しない電源から印加されている。
【0069】
また、本装置では、インク容器10からインク滴飛翔制御部材30に向かって飛翔する帯電インク滴52が空気抵抗で減速するように該インク滴の粒径を設定し、帯電インク滴52を低い制御電圧で偏向できるようにしている。このように空気抵抗で減速させるためには、該インク滴の粒径を5μm以下に設定するのが好ましい。
【0070】
また、各種方式で形成されるインク滴の粒径、帯電量及び初速度は一般的にそれぞれ30〜90μm、3〜15μC/g、5〜20m/secである。本実施形態のシミュレーションでは、帯電インク滴52の粒径、帯電量の絶対値及び初速度をそれぞれ、5〜60μm、3〜15μC/g及び5〜20m/secの範囲内で設定した。また、第2の実施形態以降のシミュレーションでは、帯電インク滴52の粒径を30μm、帯電量を−9μC/g、初速度を約5m/secと仮定した。
【0071】
次に、本装置のより具体的な構成例をシミュレーションの結果とともに説明する。以下に示すシミュレーションでは、差分法に基づく数値計算により、半径r(m)、質量m(g)、帯電量q/m(μC/g)の粒子が、2次元空間のある位置X0(m)、Y0(m)にX方向速度Vx0(m/sec)、Y方向速度Vy0(m/sec)で存在するとき、この粒子に作用している7つの力の和のX,Y方向成分Fx,Fyで、次式で示す運動方程式を解いて、dt(sec)後の新しい位置と速度を求めた。
【数1】
Fx=m・αx
Fy=m・αy
x=x0+Vx0・dt+(1/2)αx・(dt)
y=y0+Vy0・dt+(1/2)αy・(dt)
Vx=Vx0+αx・dt
Vy=Vy0+αy・dt
【0072】
なお、上記シミュレーションで考慮した力は次の7種類である。
(i) 電極に印加された電圧が対象粒子の位置に形成する電界による静電力。
(ii) 対象粒子の有する電荷に基づく鏡像力。
(iii) 対象粒子の周りに存在する帯電粒子との静電引力、静電斥力。
(iv) 重力。
(v) 粘性抵抗力(空気抵抗)。
(vi) 電極との付着力(ファンデルワールツ力)。
(vii) 電極や他のトナーと衝突した時の反撥力。
【0073】
上記図1の構成において、例えば、粒径30μmのインク滴52を初速度5m/secで垂直に打ち上げた場合のインク滴の速度変化をシミュレーションしてみると、ノズル孔12から約12mmの高さでその速度がゼロになる。本構成例では、後述するようにインク滴飛翔制御部材30の直径100μm前後の貫通孔33に、インク滴52を進入させるように制御しているが、吐出角度のバラツキを考慮すると、該貫通孔33にうまく入射させることができないおそれがある。例えば、ノズル孔12からの吐出角度が1度傾くと12mm先では横方向に200μmもずれてしまい、貫通孔33から外れてしまう。これに対し、上記速度が最高点が1mmの場合は横方向のズレを17μmに押さえられるので、直径30μmのインク滴が左右にズレても直径100μmの貫通孔33の中で入射させることができる。
【0074】
図3は、インク滴の粒径と初速度を変えて最高到達点を求めたシミュレーション結果である。図3中の記号「×」、「▲」、「■」及び「◆」はそれぞれ、初速度が20m/sec、15m/sec、10m/sec及び5m/secの場合のデータを示している。この図3により、粒径が5μmで初速度が15m/sec以下のときに、インク滴の最高点が1mm以下になることがわかる。
【0075】
そこで、本装置では、図1に示すようにノズル孔12の上方0.3mmの位置に画像電極31と補助電極32とを有するインク滴飛翔制御部材30を配置し、さらにその上方0.4mmの位置に、対向電極40に支えられた紙53を配置している。補助電極32には0Vを印加し、対向電極には+600Vを印加した。そして、画像電極に−100V印加することにより、帯電電極20で−9μC/gに帯電され初速度5m/secで吐出された粒径5μmのインク滴を、インク滴飛翔制御部材30の貫通孔33の中で反転させて該部材30の下側に押し返している。図4(a)〜(o)は、この帯電インク滴52が反転移動するシミュレーション結果である。
また、上記画像電極31に補助電極32と同じ0Vを印加することにより、帯電インク滴52がインク滴飛翔制御部材30の貫通孔33を通過し、該帯電インク滴52を紙53に付着させ、該紙53上に画像を形成することができた。図5(a)〜(o)は、この帯電インク滴52が貫通孔33を通過して紙3に付着するシミュレーション結果である。
なお、本構成例では、上記インク滴飛翔制御部材30を、厚さ50μmのポリイミドフイルムの両面に厚さ17μm(シミュレーションでは20μmとした。)の銅箔を貼り、表に画像電極31のパターン、裏に補助電極32のパターンを露光後エッチングして作製した。また、図4及び図5シミュレーションの各分図間の時間ステップは50μsecであり、図1と図4及び図5とは上下逆向きになっている。
【0076】
以上、本画像形成装置によれば、上記インク滴飛翔制御部材30の画像電極31で囲まれた、周囲からの静電的な影響を受けにくい貫通孔33の内側に、帯電インク滴52の偏向を制御するための制御電界を形成しているので、各貫通孔を近づけて配置しても、各ノズルから吐出した帯電インク滴を制御する制御電界におけるクロストークが小さくなる。従って、従来の平板状の偏向電極を用いてインク滴を偏向させる場合に比して、高密度の多ノズル化が容易であり、且つ上記クロストークに起因するインク滴の着弾位置のずれを小さくすることができる。
また、本画像形成装置によれば、帯電インク滴52の粒径を所定以下にすることにより、インク容器10からインク滴飛翔制御部材30に向かって順方向に飛翔する帯電インク滴52が空気抵抗で減速するようにしているので、該帯電インク滴52を所定距離だけ偏向するために必要な該画像電極31への印加電圧(制御電圧)を低くすることができる。しかも、インク容器10から吐出される帯電インク滴52の初速が高速の場合でも、画像情報に応じた該インク滴52の偏向を安定して行うことができる。
【0077】
〔実施形態
上記図1の画像形成装置では、画像形成に使用されず上記インク滴飛翔制御部材30から下側に押し返された回収対象のインク滴を、例えば風を送ってインク容器に送って回収することが考えられる。ノズル孔12から高速で吐出されたインク滴を向かい風(気流)で減速させる減速手段としての気流発生装置を設けた場合は、その向かい風(気流)がそのまま回収用の風にもなるので大変便利であるが、風は不安定で場所ごとにあるいは時間ごとに変化するのであまり好ましくない。上方に吐出させたインク滴が重力のみで戻るのを待つことも可能だが、空気抵抗が大きいため非常に長い時間がかかり、画像形成速度(記録速度)が上がらない。空気抵抗の寄与を減らすためにインク滴の粒径を60μmと大きくしても、戻りに必要な時間は0.66secとまだ非常に長い。重力の寄与は非常に少ないので水平方向に吐出させ、空気抵抗のみで減速させた場合もほぼ同じ結果になる。以上のように、空気抵抗や重力、風で減速させたりすることによってインク滴を回収するのは理論的には可能でも実際上は難しい。もっと正確で強い力をインク滴に作用させて回収するのが好ましい。
【0078】
そこで、本実施形態の画像形成装置では、減速電極で形成した電界による静電力を使って、インク容器10からインク滴飛翔制御部材30に向かって順方向に飛翔する帯電インク滴52の減速と、インク滴飛翔制御部材30から逆(戻り)方向に飛翔する帯電インク滴52の加速とを行うように構成した。
【0079】
図6は、第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。なお、図6において、上記図1に示す装置と同様な部分には同一の符号を付し、それらの構成及び機能も同様であるので、それらについての説明は省略する。また、上記図1の装置と同様な効果についても省略する。
図6の装置においては、インク容器10のベース電極11の上方に、リング状の帯電電極22を有するFPCからなる帯電電極部材23と、上記インク滴飛翔制御部材30との間に、0.5mmの間隔を空けて、減速電極61A,61Bをそれぞれ有する1対のFPCからなる減速電極部材60A,60Bを配設した。そして、減速電極61Bを接地し、減速電極61Aに+1350Vを印加し、初速度5m/secで吐出された帯電量−9μC/g、粒径30μmの帯電インク滴52の速度を、インク滴飛翔制御部材30の貫通孔33に入る前に約1.4m/secまで減速した。そして、上記図1の装置と同様に、画像電極31に−100Vを印加することで該インク滴52を反転させて回収することができ、一方、画像電極31に0Vを印加することで該貫通孔33を通過させて紙53に画像を形成することができた。上記画像電極31で形成された制御電界により反転して貫通孔33から下方に出た帯電インク滴52は、回収加速電極として兼用される減速電極61A,61B間に形成されている逆方向の加速電界で加速されてインク容器10に戻った。このインク滴の回収に要した時間は、ノズル孔12からの帯電インク滴52が吐出されてからインク滴飛翔制御部材30の貫通孔33に到達するまでが約150μsec、該貫通孔33に入って出てくるまでが約200μsec、該貫通孔33から出てからインク容器10に戻るまでが約150μsecであり、合計で約500μsecであった。画像の解像力を300dpiとすると1ドット(1ライン)を500μsecで描けるので、プリント速度は約17ppmになる。
【0080】
上記インク容器10に回収されるインク滴52は時間にして0.5msec、距離にして約1mmの飛行の後、直接インク容器10に回収されるので、空中で汚染されることも少ない。また、ガーター、パイプ、モーター、フィルター等で構成される回収装置も不要になる。また、一つのノズル孔12に対して空中に存在するインク滴52は1個だけなのでインク滴間の相互干渉は生じない。もちろん、隣接ドット間の干渉は考えられるが、図7に示すように画像電極31及びノズル孔12を千鳥状に配置すれば、隣接インク滴間の間隔は200〜300μmになり、相互干渉は生じない。なお、図7は、内径φ=約160μmの画像電極31を幅W=約2mm及びピッチP=84.5μm(解像度300dpiに相当)で千鳥状に配置した例を示している。
【0081】
〔実施形態
図8は、第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。なお、図8において、上記図1及び図6に示す装置と同様な部分には同一の符号を付し、それらの構成及び機能も同様であるので、それらについての説明は省略する。また、上記図1の装置と同様な効果についても省略する。
【0082】
図8の装置では、減速電極61A,61Bを省き、帯電電極部材23とインク滴飛翔制御部材30との間隔を0.500mmに縮め、帯電電極部材23の帯電電極22を上記図6の減速電極61Aとして兼用し、補助電極32を上記減速電極61Bとして兼用した。そして、帯電電極22に+1350V、対向電極40に+600V、補助電極32に0V、画像電極31に画像情報に応じて0Vと−100Vとを印加することで、同様の結果が得られた。
図9(a)〜(o)及び図10(a)〜(o)はそれぞれ、紙53上に画像を形成する動作モード(以下「画像形成モード」という。)及び帯電インク滴52をインク容器10に回収する動作モード(以下「回収モード」という。)におけるインク滴52の飛翔の様子を示すシミュレーション結果である。各図のシミュレーションは、帯電インク滴52が帯電電極22による帯電領域から出るところから行っている。
【0083】
また、本実施形態では、帯電インク滴52の帯電量を同一量に保つために、帯電電極22の内径を上記第の実施形態の場合よりも広げて帯電電極22とインク柱51との間の電気容量を減少させた。また、対向電極40に印加した+600Vは必須ではない。画像形成用の帯電インク滴52は上記インク滴飛翔制御部材30の貫通孔33に入る時1.5m/secの速度を有しているため、対向電極40への印加電圧を0Vとしてそのまま加速せずに流しても、図11のシミュレーション結果に示すように紙53への到着時間が少し遅くなる(450μsecが700μsecになる)だけである。
【0084】
また、本実施形態において、ポリイミドフィルムの裏側(図8中の下側)に共通接地電極、表側にリング状画像電極を配置する場合には、図7に示すように画像電極31を千鳥状に配置して容易に高密度化することができる。また、後述の実施形態で示すように、裏側に画像電極、表側に半月状の偏向電極を配置する場合も同様に千鳥配置で高密度化できる。
【0085】
〔実施形態
図12は、第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。なお、図12において、上記図1及び図8に示す装置と同様な部分には同一の符号を付し、それらの構成及び機能も同様であるので、それらについての説明は省略する。また、上記図1の装置と同様な効果についても省略する。
【0086】
図12の装置では、図8の装置の減速電極61Bを兼ねた補助電極32も省き、画像電極31を帯電電極に直接対向させて、帯電電極22に+1400V、対向電極40に+600V、画像電極31に0V/−100Vを印加することで、上記図8の装置と同様に紙53への画像形成及びインク滴の回収ができた。
図13(a)〜(o)及び図14(a)〜(o)はそれぞれ、画像形成モード及び回収モードにおけるインク滴52の飛翔の様子を示すシミュレーション結果である。各図のシミュレーションは、帯電インク滴52が帯電電極22による帯電領域から出るところから行っている。
【0087】
〔実施形態
図15は、第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。なお、図15において、上記図1及び図8に示す装置と同様な部分には同一の符号を付し、それらの構成及び機能も同様であるので、それらについての説明は省略する。また、上記図1の実施形態の装置と同様な効果についても省略する。
【0088】
図15の装置では、インク滴飛翔制御部材30の裏側(図中の下側)に画像電極31、表側(図中の上側)に1対の偏向電極35A,35Bを設けている。左右の各偏向電極35A,35Bへの印加電圧を+30V/−30V,−30V/+30Vと変化させることにより、画像電極31による制御電界形成領域を通過した帯電インク滴52の着地点をセンターから約70μm左側及び右側に偏向させることができた。
図16(a)〜(o)及び図17(a)〜(o)はそれぞれ、図中左側に偏向させる場合及び図中右側に偏向させる場合のインク滴52の飛翔の様子を示すシミュレーション結果である。
【0089】
また、本実施形態の装置では、偏向電極35A,35Bに印加する偏向電圧を下げて600dpiの1ドット分約42μm偏向させるようにすると、200dpi分のノズル孔12、貫通孔33、画像電極31及び制御用高圧ICで600dpiの画像を印字することができ、高価な高圧ICの数を1/3に減らすことができる。
【0090】
〔実施形態
上記第1〜第の実施形態の装置では、ノズル孔12から吐出したインク滴52が該ノズル孔12に戻るまで次のインク滴を吐出できず、画像形成速度(記録速度)を上げることができない。そこで、本実施形態の装置では、インク滴飛翔制御部材30に向かうインク滴の往路と回収のためのインク滴が戻ってくる復路とを別経路にして画像形成速度の向上を図った。
【0091】
上記第の実施形態の装置(図8参照)において、ノズル孔12をセンターより左に30μmずらしたところ、図18のシミュレーション結果に示すように、インク滴飛翔制御部材30の貫通孔33に一旦に入り戻ってくる回収対象のインク滴の飛行経路は、図中右側にシフトしてセンターより約45μm右に着地した。このように着地点がシフトしたのは、貫通孔33の中で図中左から中心に向かう静電力を受けてその右側に加速されたためであると考えられる。このシフト量をさらに増やすために、補助電極32を左右に分割し、接地する代わりに左の補助電極32Aに−50V、右の補助電極32Bに+50Vを印加してシミュレーションを行ってみた。この結果、図19に示すように、貫通孔33に入る負帯電のインク滴52の右方向の静電力が増加してセンターより約80μm右側に着地した。
【0092】
図20は、第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。なお、図20において、上記図1及び図8に示す装置と同様な部分には同一の符号を付し、それらの構成及び機能も同様であるので、それらについての説明は省略する。また、上記図1の装置と同様な効果についても省略する。
図20の装置では、上記図18のシミュレーション結果に基づき、ノズル孔12をセンターからずらして設けた。そして、補助電極として図中左右方向に2分割した電極32A,32Bを設け、両電極間に異なる大きさの電圧を印加した。また、インク容器10の着地点がノズル孔12とは異なるので、回収孔13をノズル孔12とは別に設けた。
【0093】
本実施形態の装置によれば、インク滴52の吐出間隔を500μsecから200μsecにして記録速度を2.5倍に上げることができた。この200μsecは、先行インク滴がノズル孔12から吐出した時点から貫通孔33から左右方向にシフトして下側に出てくるまでの時間である。このとき、インク滴の帯電量は−9μC/gで、貫通孔33の入る時のインク滴52の速度は1.3m/secで、その時のインク滴間の間隔は、約260μmでありインク滴間の相互干渉はほとんど考慮しなくてよい。
なお、上記補助電極32A、32Bでシフトさせる代わりに、帯電電極兼用の減速電極を左右に分割し電位差を設けることで同様に飛行するインク滴をシフトさせて往路と復路を別にしてもよい。また、静電力の代わりに磁気力、重力、風力等でシフトさせてもよい。
【0094】
〔実施形態
図21は、第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。なお、図21において、上記図1及び図15に示す装置と同様な部分には同一の符号を付し、それらの構成及び機能も同様であるので、それらについての説明は省略する。また、上記図1の装置と同様な効果についても省略する。
【0095】
図21の装置では、帯電電極20として、厚さ0.1〜1.0mmの金属板にノズル孔12に対応した直径0.1〜1.0mmの孔20Aと、回収孔13に対応した孔A0Bとを形成したものを使用した。この帯電電極20の板厚はノズル孔12から伸びるインク柱51が切れる位置で決まり、上記孔直径はインク滴に与える帯電量とインクと帯電電極の電位差で決まる。例えば、直径30μmのインク滴52に−9μC/gの帯電量を与える時、導電性のインク柱51と帯電電極20との間の電位差が60Vであれば、直径は100μmになる。
【0096】
インク滴飛翔制御部材30とは別体に設けた補助電極62は、厚さ0.1mmの金属板に直径0.25mmの入口孔62Dと出口孔62Eを0.2mm離して開けて作製した。なお、多ノズルの場合、円形の孔に代えてスリット状の孔を形成してもよい。例えば、厚さ50μm程度のポリイミドフイルムの表面に厚さ17μm(シミュレーションでは20μmとした。)の銅箔を貼り、補助電極のパターンを露光した後エッチングし、長さ0.36mm、幅0.10mmのスリットを0.18mm離してレーザー(例えばYAGレーザ)で開けることで作製してもよい。
【0097】
画像電極31及び偏向電極35はFPCからなるインク滴飛翔制御部材30に一体的に設けられ、それぞれ図中左右方向に画像電極31A,31B及び偏向電極35A,35Bに分割されている。また、この画像電極31A,31B及び偏向電極35A,35Bは厚さ50μmのポリイミドフイルムの両面に厚さ17μm(下記のシミュレーションでは20μmとした。)の銅箔を貼り、表に偏向電極のパターン、裏に画像電極パターンを露光後エッチングし、直径0.10mmの孔をレーザ(例えばYAGレーザー)で開けて作製した。また、対向電極40としては、紙53の搬送を兼ねた導電性ベルトを用いた。
【0098】
上記補助電極62は、帯電電極20の0.5mm上方に配置した。この補助電極62の0.1mm上方にインク滴飛翔制御部材30を配置し、該部材の0.4mm上方に対向電極40を配置した。そして、図21における帯電電極20の中心より左に0.5mm寄った位置から右上方に向けて直径30μm、帯電量−9μC/gの帯電インク滴52をY方向初速度5.0m/sec、X方向初速度1.6m/secで射出させ、その後の飛行軌跡をシミュレーションした。
【0099】
図22は、上記偏向電極35A,35Bがなく、帯電電極20に+1200V、補助電極62に0V、画像電極31A,31Bに−200V、対向電極40に+600Vを印加した場合における帯電インク滴52の飛行軌跡のシミュレーション結果である。なお、同図は、帯電インク滴52が帯電電極より飛び出した後に限定してシミュレーションしたものであり、各分図間の時間間隔(1コマ)は50μsecである。図22からわかるように、帯電電極20の孔20Aから飛び出した後50μsec後に、帯電インク滴52は帯電電極20と補助電極62の中間地点に到達し、100μsec後には補助電極62に接近し、150μsec後には補助電極62の入口孔62Dに入り、200μsec後には、そこを抜けて画像電極31A,31B及び補助電極62が形成する制御電界形成領域に入る。該領域では、上方の画像電極31A,31Bに−200V、下方の補助電極62に0Vが印加されているため、負極性の帯電インク滴52は下方向に静電力を受ける。そのため、この時点ではまだY方向(図中上方向)に1.5m/secの速度を有しているが、該制御電界中で強く減速され、さらには反転して−Y方向に速度を持つようになる。X方向(図中右方向)の速度成分は初速度1.6m/secより大きくは変わらない。
上記帯電電極20の孔20Aから飛び出した後250μsec後には、インク滴飛翔制御部材30に接近し、300μsec後には該部材30の貫通孔33孔の真下に来る。しかし、ここでY方向の速度がほぼ0m/secになり、この後向きを変えて右下に向かい、450μsec後に補助電極62の出口孔62Eに入り、500μsec後にここを抜けて、その後加速されて650μsec後に帯電電極20に着地する。この着地時のY方向速度は−4.8m/secである。
上記帯電電極20から飛び出した地点と、帯電電極20に戻った地点の距離は1.0mm離れているので、帯電電極20の着地点に孔20Bを開けて回収対象のインク滴52を通し、ノズル孔12より十分離れたインク容器10の回収口13に戻すことができる。また、吐出角度や初速度等を変えることで1.00mm以上の距離を得ることも容易である。
【0100】
図23は、上記図22の1対の画像電極のうち右側の画像電極31Aの印加電圧を−200Vから−50Vに変えて行ったシミュレーション結果である。他の条件は図22と同じである。図23からわかるように、補助電極62を抜ける200μsec後まではインク滴52の飛行経路は図22とまったく変わらないが、補助電極62と画像電極31A,31Bとに囲まれた制御電界が図22の場合とは異なり、画像電極31A及び補助電極62で形成される領域の減速電界が弱い。そのため、300μsec後でもY方向に0.7m/secの速度を有し、貫通孔33を抜けてインク滴飛翔制御部材30と対向電極40との間の電界でY方向に加速されて、500μsec後に対向電極40上の紙に着地する。
【0101】
図24は、上記偏向電極35A,35Bを追加し、画像電極31A,31Bに−200V、偏向電極35A,35Bに0Vを印加して行ったシミュレーション結果である。他の条件は図22と同じである。この場合は、帯電インク滴52の飛行経路は偏向電極のない図22とほとんど変わらず、飛び出し点より右に1.0mm離れた地点に着地する。
【0102】
図25は、上記偏向電極35A,35Bへの印加電圧は0Vのままで、右側の画像電極31Aの印加電圧を−200Vから−50Vに変えて行ったシミュレーション結果である。他の条件は図24と同じである。この場合は、図23と同様にインク滴52は貫通孔33を抜けて対向電極40上の紙に着地する。
【0103】
図26は、偏向電極35A(図中左側)への印加電圧を+30V、偏向電極35B(図中右側)への印加電圧を−30Vに変えて行ったシミュレーション結果である。他の条件は図25と同じである。この場合は、偏向電極35A,35B間の貫通孔33の中で負極性に帯電した帯電インク滴52に図中左方向に静電力が作用するので、該インク滴52の飛行経路は少し左側にシフトする。その結果、対向電極40上の着地点も約60μm左側にシフトする。
【0104】
図27は、偏向電極35A(図中左側)への印加電圧を−30V、偏向電極35B(図中右側)への印加電圧を+30Vに変えて行ったシミュレーション結果である。他の条件は図25と同じである。この場合は、偏向電極35A,35B間の貫通孔33の中で負極性に帯電した帯電インク滴52に図中右方向に静電力が作用するので、該インク滴52の飛行経路は少し右側にシフトする。その結果、対向電極40上の着地点も約60μm右側にシフトする。
【0105】
なお、上記インク滴52のシフト量は上記偏向電極35A,35Bへの印加電圧で調整できるので、例えば一つのノズル孔及び1対の画像電極で隣接する4個のドットを形成するように調整すれば、150dpi相当の個数の画像電極、制御用高圧IC)で、600dpiのプリントを得ることができる。この結果、高価な高圧ICの使用量を1/4に減らせるのみならず、荒い150dpiの画像電極列で高解像力の600dpiのプリントを得ることができる。
【0106】
〔実施形態
上記第の実施形態の装置では、図22及び図23のシミュレーション結果に示すように、帯電インク滴52の飛行経路をインク容器10に戻る回収飛翔経路から画像電極31A,31Bに挟まれた貫通孔33を通過させて記録紙に向ける飛翔経路に切り換えるためには、画像電極31A(図中左側)の印加電圧を−200Vから−50Vに150V変える必要がある。150V変えることができる高圧ICは大変高価なので、これを汎用の24VのIC制御できるようになれば大幅なコストダウンになる。上記飛翔経路の切り換えのための電圧変化量が150Vも必要になるのは、制御電界形成領域に入る前にインク滴52の速度が十分い落とされていなかったためと考えられる。そこで、ちょうど制御電界形成領域に入る射出後200μsec後の速度を見ると、v(x)=1.6m/sec、v(y)=1.5m/secである。初速度と比較すると、垂直方向(図中上下方向)は70%も減速されているが、水平方向(図中左右方向)はまったく変わっていない。
【0107】
上記インク滴52の飛行速度の時間変化を詳しくみると、図28に示すように水平速度は途中で一度加速されてからまた減速されて元に戻っている。この結果は、飛行経路中に、水平方向に加速する電界が存在したことを示している。なお、図28中の記号「◇」及び「■」はそれぞれ、水平方向の飛行速度及び垂直方向の飛行速度のデータを示している。また、帯電電極20とインク滴飛翔制御部材30との間に形成される電界を電気力線でみると、図29のようになっている。この電気力線の分布とインク滴52の飛行状態を示す上記図23とを比較すると、帯電電極20から射出してから100μsec後から150μsec後にかけて、水平方向(X方向)に静電力を受けて加速されたことが分かる。
【0108】
そこで、本実施形態では、帯電電極20からインク滴飛翔制御部材30に向かう飛翔経路中にインク滴を水平方向(X方向)に加速する加速電界が形成されないように補助電極62を設けた。具体的には、補助電極62の入口孔62D及び出口孔62Eを広げて入口孔62Dの左端が帯電電極20の射出孔20Aの左端の真上に位置するように変更した。また、補助電極62の厚さも100μmから20μmに変更した。他の構成は、上記図21と同様である。この変更後の電気力線の分布を、図30に示す。この図30から明らかにわかるように、帯電電極20からインク滴飛翔制御部材30に向かう飛翔経路中には水平方向(X方向)の加速電界はない。このときのインク滴52の速度変化をみると、図31に示すように水平方向(X方向)の速度も途中で加速されることなく減速されつづけている。また、図28と図31とを比較すると、垂直方向の減速度合いは、上記補助電極62の形状変更にかかわらず、ほとんど変わっていないことがわかる。
【0109】
図32は、帯電電極20に+1400V、補助電極62に0V、画像電極31A,31Bに−100V、偏向電極35A,35Bに0V、対向電極40に+600Vを印加した場合に、水平方向(X方向)の速度2.0m/sec、垂直方向(Y方向)の速度4.9m/secで直径30μm及び帯電量−9μC/gの帯電インク滴52が帯電電極20より射出された後のインク滴52の飛行軌跡のシミュレーション結果である。なお、同図は、帯電インク滴52が帯電電極より飛び出した後に限定してシミュレーションしたものであり、各分図間の時間間隔(1コマ)は50μsecである。この図32と図31を比較すると、帯電電極20から射出してから200μsec後に制御電界形成領域に入る時の水平方向速度は1.1m/secまで下がっている。上記図28の場合は1.6m/secであった。また、垂直方向速度も1.0m/secまで下がっている。上記図28の場合は1.5m/secであった。この垂直方向速度が下がった原因は、垂直初速度を5.0m/secより4.9m/secに下げたのと、帯電電極20の印加電圧を+1200Vから+1400Vに上げたためである。上記図28の場合と同一条件ではインク滴52がインク滴飛翔制御部材30に当たってしまったため、条件を再調整した結果である。制御電界形成領域に入る速度が下がったため、インク滴52の飛行経路を偏向して対向電極40上の紙に向かわせるために必要な制御電圧も、150Vより小さくなったはずである。
【0110】
図33は、画像電極31Aの印加電圧を−100Vから−50Vに50V変えて行ったシミュレーション結果である。他の条件は図32の場合と同じである。この図32から、インク滴がインク滴飛翔制御部材30の貫通孔33を抜けて対向電極40上の紙に付着することがわかる。この場合も、上記第の実施形態の図26及び図27の場合と同様に、偏向電極35A,35Bに+/−30Vの電圧を印加して紙上の着地点を+/−60μm偏向することができる。
【0111】
〔実施形態
上記第の実施形態の装置(図21参照)において、帯電電極20から0.58mm上に補助電極62を配置し、補助電極62から0.10mm上にインク滴飛翔制御部材30を配置し、該部材30から0.40mm上に対向電極40を配置し、帯電電極20の中心より左に0.5mm寄った位置から右上方に向けて直径30μm、帯電量−9μC/gのインク滴52をY方向初速度4.9m/sec、X方向初速度2.0m/secで射出させ、その後の飛行軌跡をシミュレーションした。
【0112】
図34は、帯電電極20に+1400V、補助電極62に0V、画像電極31A,31Bに−200V、偏向電極35A,35Bに0V、対向電極40に+600Vを印加した場合のシミュレーション結果である。他の条件は図22と同じである。図34に示すように、インク滴52は制御電界形成領域で下側に偏向されてインク容器10に戻る。インク滴52は射出点から右側に0.95mm離れた位置に着地している。着地直前の600μsec時点の飛行速度は水平方向に1.7m/sec、垂直方向に−4.4m/secであった。水平速度を上げて、垂直速度を下げないと着地点を遠ざけることができない。着地点を遠ざけるためには、回収飛行経路において水平加速度電界を強くし、垂直加速度電界を弱くする必要がある。また、帯電電極20とインク滴飛翔制御部材30との間に形成される電界を電気力線でみると、図35のようになっている。補助電極62の上側には水平加速電界が存在するが、補助電極62と帯電電極20との間の広い空間には水平加速電界はまったく存在せず、強い垂直加速電界のみが存在している。
【0113】
そこで、本実施形態では、インク滴52の回収経路側に位置する補助電極62C(図21中の右側の補助電極)に+1400Vを印加し、該補助電極62Cと帯電電極20との間の電位差が0Vになるように構成した。また、補助電極62は、厚さ50μm程度のポリイミドフイルムの表面に厚さ17μm(シミュレーションでは20μmとした。)の銅箔を貼り、補助電極のパターンを露光した後エッチングし、長さ0.36mm、幅0.10mmのスリットを0.18mm離してレーザー(例えばYAGレーザ)で開けることで作製した。他の部分の構成は、上記図21と同様である。
【0114】
図36は、本実施形態の装置における帯電電極20とインク滴飛翔制御部材30との間に形成される電界を示している。補助電極62B,62Cと帯電電極20との間には広い範囲にわたって強い水平加速電界が存在し、またその上半分には上に向かう電界(減速電界)、下半分には下に向かう電界(加速電界)が存在し、その間にはどちらにも加速されない狭い領域が存在している。ここに、大きな水平速度でインク滴を入れれば大変遠くまで水平飛行するはずである。
【0115】
図37は、本実施形態の装置において、帯電電極20に+1400V、補助電極62A,62Bに0V、補助電極62Cに1400V、画像電極31A,31Bに−200V、対向電極40に+600Vを印加した場合のインク滴の飛行状態を1コマ50μsecでシミュレーションした結果である。図37からわかるように、インク滴52が帯電電極20から射出してから600μsec経過した時点での水平速度は4.6m/sec、垂直速度は−1.7m/secであった。本シミュレーションの場合のインク滴52の着地点を計算してみると、射出点の右2.2mmと上記図34の場合の2倍以上になった。この効果は、垂直方向(Y方向)速度が−4.4m/secより−1.7m/secに下がったことによるのみならず、水平方向(X方向)の速度が1.7m/secより4.6m/secに速くなったことにもよっている。ちなみに、水平方向(X方向)の速度が同じ場合には着地点は1.9mmに下がる。水平方向(X方向)の速度が上がったのは、そこに水平加速電界ができたためである。この水平加速電界ができたのは、同一の高さにある補助電極62Bに対して補助電極62Cにより高い電圧を印加した結果であることが、図36の電気力線の分布から明らかである。
【0116】
なお、インク滴52が帯電電極20から射出してから650μsec経過後の図37(n)と700μsec経過後の図37(o)は、図の右に抜けたインク滴が左から入るように表示されているため、そのまま用いることができない。この図37(n)及び(o)におけるインク滴52の位置は、上記図36の中立電界領域に当たるので、回収対象のインク滴52はこのまま電界の影響を受けずに進むと考えられる。
また、図37では、帯電電極20が右端まで伸びていると仮定してシミュレーションを行ったが、帯電電極20が左端に限定されている時は、補助電極62Cに0Vを加えて同じ結果になる。
【0117】
〔実施形態
上記第の実施形態の装置において、回収対象のインク滴を中立電界領域に持って来ても着地点がさほど伸びないのは、その領域に入る前に図中下方向の加速電界を受けて下方向に1.7m/secの速度を持っていたためである。回収対象のインク滴は画像電極31A,31Bで形成された制御電界により必ず下向きに加速されるので、この下向きの速度を消すためには上向きに加速する電界領域を通過させる必要がある。
【0118】
そこで、本実施形態では、回収経路側の補助電極62Cの印加電圧を+1400Vから+2100Vに上げて補助電極の電位を帯電電極20より700V高くした。他の条件は上記第の実施形態と同様にした。また、その他の構成は、上記図21と同様にした。
【0119】
図38は、本実施形態の装置における帯電電極20とインク滴飛翔制御部材30との間に形成される電界(電気力線)を示している。ここで、帯電電極20に+1400V、補助電極62A,62Bに0V、補助電極62Cに+2100V、画像電極31A,31Bに−200Vを印加している。図38からわかるように、回収経路側の補助電極62Cと帯電電極20と間に、負極性の帯電インク滴52を上方に加速する電界ができている。この電界で、画像電極31A,31Bによる電界で与えられた−Y方向の速度は相殺されるはずである。
【0120】
図39は、本実施形態の装置において、帯電電極20に+1400V、補助電極62A,62Bに0V、補助電極62Cに2100V、画像電極31A,31Bに−200V、対向電極40に+600Vを印加した場合のインク滴の飛行状態を1コマ50μsecでシミュレーションした結果である。図39からわかるように、インク滴52が帯電電極20から射出した後、450μsec経過時点からより550μsec経過時点にかけてY方向速度は−1.67m/sec、−0.62m/sec、0.05m/secと大きく減速されている。550μsec経過時点におけるインク滴52のX方向の速度は5.81m/secである。この後の飛行経路を計算すると、0.83mm水平に進んだ時点で0.13mm上に上がって補助電極62Cに付着してしまった。すなわち、この結果は、画像電極31A,31Bで与えられた−Y方向の速度を相殺した後は、このY方向加速電界は不要であることを示している。なお、600μsec経過時点以降の図(図39(m)〜(o))は、上記図37の場合と同様にそのまま用いることができない。
【0121】
図39において帯電電極20及び補助電極62Cがともに図の右端で切れ、その右には電界がないと仮定し、X方向速度が5.81m/sec、Y方向速度が0.05m/secでその後の飛行経路を計算すると、射出点から右に15.8mm離れた点に着地した。
【0122】
もっと近くに着地させたい場合には、上方向加速電界領域を狭くし(具体的には補助電極62Cを少し短くし)、減速の度合いをゆるめるとよい。例えば、この電界領域を離脱する時のY方向速度が−0.4m/secで、X方向速度が5.81m/secとすると、着地点は、射出点の右7.7mmになる。図40にY方向(垂直方向)速度Vyを変えた時の着地点(ノズル孔12からの距離)を示す。この図40の結果から、着地点は任意に選択できることが分かる。なお、図40において、無電界領域に入る前にインク滴52はノズル孔12からX方向(水平方向)に1.5mm進んでいる。
【0123】
〔実施形態1
上記第の実施形態の装置(図21参照)において、高速で帯電電極20の孔20Aから斜め上方に飛び出した負極性の帯電インク滴52は、正電圧が印加されている帯電電極20と上方の接地された補助電極62の形成する電界中で逆向きの静電力を受けて減速され、補助電極62と画像電極31A,31Bに挟まれた制御電界形成領域に入る。1対の画像電極31A,31Bに負電圧が印加されている時は、該インク滴52はさらに−Y方向に静電力を受けてY方向の速度が下がり、ついには0となり、逆転して−Y方向の速度を得て斜め右下に向かって回収される。一方、左の画像電極31Bに正電圧、右の画像電極31Aに負電圧を印加したの場合(両画像電極間の相対的な電位差でもよい)は、左上方に静電力を受けて貫通孔33を抜けて対向電極40上の紙53に着地してドットが形成される。
【0124】
図41は、本実施形態の比較例として行ったシミュレーションにおける電極配置を示している。このシミュレーションでは、帯電されたインク滴52が帯電電極20の孔から飛び出した後に限定してシミュレーションを行ったため、インク容器10と帯電電極20は図示していない。また、紙53も省略した。
【0125】
図42は、上記図41の構成の回収モードにおいて、帯電電極20から0.58mm上に補助電極62を配置し、補助電極62から0.10mm上にインク滴飛翔制御部材30を配置し、該部材30から0.40mm上に対向電極40を配置し、帯電電極20の中心より左に0.5mm寄った位置から右上方に向けて直径30μm、帯電量−9μC/gのインク滴52をY方向初速度4.9m/sec、X方向初速度2.0m/secで射出させその後の飛行軌跡のシミュレーション結果である。帯電電極20に+1400V、補助電極62に0V、画像電極31A,31Bに−100V、偏向電極65A,65Bに0V、対向電極40に+600Vを印加してシミュレーションしたインク滴52の飛行位置を50μsecおきに示している。インク滴は制御電界形成領域で図中下方に偏向されてインク容器10に戻る。
【0126】
図43は、画像形成モードにおけるシミュレーション結果である。画像電極31Aに−76V、画像電極31Bに−124V印加した点を除いて、上記図42の場合と同様な条件に設定した。この場合、帯電インク滴52は制御電界形成領域で偏向されて図中上方に向かって飛翔し、対向電極40に着地する。
【0127】
上記インク滴52の粒径は比較的安定しているが、それでも10%程度の変動はある。そこで、余裕を見てインク滴52の粒径が30μmから±4μm(13.3%)増減した場合をシミュレーションした。
図44は、インク滴52の粒径が30μmから34μmになった場合の回収モードにおけるシミュレーション結果である。他の条件は上記図42の場合と同様に設定した。本来は制御電界形成領域で図中右側に偏向されて回収ルートにならなければならないが、制御電界形成領域に入る時(150μsec経過後)のY方向速度が速すぎて曲げられる前に貫通孔33に入ってしまい、結局該貫通孔33を抜けて対向電極40に付着してしまった。このドットは地汚れとなるので大変大きな欠陥になる。
図45は、インク滴52の粒径が30μmから26μmと小さくなった場合の回収モードにおけるシミュレーション結果である。他の条件は上記図42の場合と同様に設定した。今度は制御電界形成領域に入った時、偏向が早く(強く)かかりすぎて回収ルートに入れず中央の補助電極62Bに着地してしまった。この場合、画像には影響しないが、ここにインクが蓄積されると補助電極62Bに接近して通過するはずのインク滴が接触してつかまり画像がでなくなる可能性がある。このように回収モードでは粒径が大きくなっても小さくなっても問題が発生した。
【0128】
図46は、インク滴52の粒径が30μmから34μmになった場合の画像形成(印字)モードにおけるシミュレーション結果である。他の条件は上記図42の場合と同様に設定した。印字には成功したが着地点が粒径30μmの場合に比較して大きく、図中右側に61μmもシフトしてしまった。600dpiで印字する場合の1ドットの間隔は42μmなので、これは画像に大きく影響する。
図47は、インク滴52の粒径が30μmから26μmと小さくなった場合の画像形成(印字)モードにおけるシミュレーション結果である。他の条件は上記図42の場合と同様に設定した。この場合は、あまりに早く(強く)図中左側の画像電極31A(左)に引き寄せられたため、インク滴飛翔制御部材30に衝突して貫通孔33を抜けられず結局印字できなかった。このように画像形成(印字)モードでも、粒径が30μmから4μm増減すると着地点が大きく狂ったり印字しなかったりしてしまった。
以上のように、比較例の場合は、正常に印字及び回収できる飛行経路に余裕がなく、粒径の変化による速度の変化を吸収できないため、印字不良及び回収不良が発生するおそれがあった。
【0129】
そこで、本実施形態の画像形成装置では、図48の概略構成図に示すように、インク容器10のノズル孔12から斜めに射出するのを止めて、水平に(紙53には垂直に)に射出して偏向せずに印字し、回収は90±45度偏向させて図示しない回収壁に当て、そこから自重で下に落として回収するように構成した。このように構成の場合は、画像形成モードでは粒径変化等が原因して飛行速度が増減しても飛行コースは変わらない。また、回収モードでは飛行速度の増減により偏向角が変化しても左右どちらかの壁(図中の補助電極36の右側表面またはインク滴飛翔制御部材の左側表面)に当てて回収できる。
【0130】
図49は、本実施形態の装置のシミュレーションに使用した電極構成を示す。インク滴52の飛翔に対する重力の影響は無視できるので、90度回転し、実際の水平方向を垂直方向に取った。
【0131】
図50は、本実施形態の装置において標準の粒径30μmのインク滴52を回収する場合のシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。図中左下の第2のインク滴飛翔制御部材36の画像電極31Aと、その上の第1のインク滴飛翔制御部材30の裏面にあるリング状の画像電極31Bとに−24Vを印加し、図中右下の第2のインク滴飛翔制御部材36の画像電極31Cに+24Vを印加すると、−9μC/gに帯電されている帯電インク滴52はこれらの画像電極31A,31B,31Cに囲まれた制御電界形成領域に速度0.85m/secで入り、図中右方向の静電力を受けて右に曲がり、インク回収溝(上記第1のインク滴飛翔制御部材30と上記第2のインク滴飛翔制御部材36とで挟まれた空間)の壁(両部材30,36の壁)に当たる。その後、自重で落下して回収される。なお、図50の右方向が実際の装置の鉛直方向下側、すなわち重力の方向である。
【0132】
図51は、本実施形態の装置において標準の粒径30μmのインク滴52により画像を形成する場合のシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。画像電極31A,31B,31Cのすべてに対する印加電圧を0Vとし、制御電界形成領域をまっすぐ通過させて印字している。速度0.9m/secで制御電界形成領域に入った帯電インク滴52の速度は0.6m/secまで下がるが、インク滴飛翔制御部材30の貫通孔33の中に入ると、偏向電極35の+100Vで加速される。更に、貫通孔33を抜けると対向電極40の+800Vで加速されて射出後650μsec経過時点で3.2m/sec以上の速度で対向電極40に着地する。
【0133】
図52は、本実施形態の装置において粒径26μmの小さいインク滴52を回収する場合のシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。この場合は、空気抵抗の影響が相対的に大きいので、制御電界形成領域に入る時の速度はより減速されて0.75m/secになっている。そのため、より早く画像電極31C(図中右下)に接近するが、ここで逆に上向きの静電力(図53参照)を受けて右上に移動し、上記インク回収溝の上側(図48に示す実際の装置では右側)のインク滴飛翔制御部材30の表面に付着して回収される。
【0134】
図54は、本実施形態の装置において粒径34μmの大きなインク滴52を回収する場合のシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。この場合は、さきほどと反対に空気抵抗の影響がより小さくなって制御電界形成領域に入る時の速度は0.93m/secとより速くなっている。その結果、図中右方向の静電力を受けにくくなって上記インク回収溝(第2のインク滴飛翔制御部材36の表面)のより左側(図48に示す実際の装置では上側)に付着した。
【0135】
以上のように、本実施形態の装置では垂直(実際は水平)に飛行するインク滴52に静電力を加えて右(実際は下)に偏向して回収する場合には、粒径が13%増減しても上記インク回収溝の中に入れて回収することができる。
なお、上記インク回収溝の壁(上記第1及び第2のインク滴飛翔制御部材30、36の対向している表面)は撥水処理(親油性処理)されているので、水性インクははじかれて自重で落下して回収される。
【0136】
図55は、本実施形態の装置において粒径26μmの小さいインク滴52で画像を形成する場合のシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。この場合は、空気抵抗の影響が相対的に大きく飛行速度は遅くため対向電極40に着地する時間が30μmの時の650μsecより950μsecに延びたが、着地点は変わらなかった。この間の紙の移動距離は約15μmなので画像に与える影響はない。なお、画像形成速度を10ppm、紙搬送速度を50mm/secとして計算した。
【0137】
図56は、本実施形態の装置において粒径34μmの大きなインク滴52で画像を形成する場合のシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。この場合は、粒径30μmの時に比較して着地時間は約50μsec早くなるが、同様に着地点の狂いはない。
【0138】
以上、本実施形態のようにインク滴52を図中垂直方向(図48に示す実際の装置では水平方向)に射出し、画像形成(印字)モードでは偏向させずにそのまま直進させる画像形成装置では、インク滴52の粒径が増減しても問題なく画像形成(印字)することができた。
【0139】
〔実施形態1
上記第1の実施形態の装置の場合は、画像電極31A,31Cと画像電極31Bを別の基板(FPC)上に形成しなければならないため、コストが高くなるのみならず、これら電極間のギャップ管理が大変難しくなることが確実に予想される。また、隣り合う画像電極31A,31Cの電位が画像形成モードで0V/0Vのときは問題ないが、片方が回収モードで−24V/+24V、もう片方が画像形成モードで0V/0Vの時は、回収モードの方に偏向されて着地点がズレてしまう。この2点の不具合は上記実施形態の装置では発生しないが、インク滴52の射出点と回収インク滴の着地点がほとんど同じになるため、あまり好ましくない。
【0140】
そこで、本実施形態の装置では、図57に示すように、必要な電極(画像電極、補助電極及び回収電極)を同一基板(FPC)に作成してコストを削減し、ギャップ管理を不要にした。また、帯電インクが飛来する面の電極の電位はすべて同じにしてクロストークを無くし、さらに回収地点を射出点より大幅に遠ざけて容易に回収できるように構成した。
【0141】
図57において、インク滴52は水平方向に射出されて帯電され、帯電電極22と接地された補助電極32間で静電力により減速された帯電インク滴52は、1m/sec以下の速度で補助電極32と画像電極31に図のように挟まれてかつ囲まれた孔の制御電界形成領域に入る。
画像形成モードでは画像電極31も0Vなのでこの領域に電界がなくそのまま直進して貫通孔33を抜け、対向電極40の電圧に引かれて加速されて紙53に着地する。
一方、回収モードでは、画像電極31に帯電インク滴52と同極性の電圧が印加されているので、制御電界形成領域である貫通孔33の中で減速され、停止し、逆方向に加速されて貫通孔33から外に出る。このとき、上下の回収電極37に逆極性の高い電圧が与えられると、該帯電インク滴52は下方に向かって移動し回収される。
【0142】
図58は、本実施形態の装置のシミュレーションに使用した電極配置を示す。なお、図58において、帯電インク滴52が帯電電極22より飛び出した後に限定してシミュレーションを行ったためインク容器10及び帯電電極22は図示していない。また、紙53も省略した。またシミュレーションの都合上、右方向を重力の方向に取った。図58に示すように、帯電電極20から0.70mm上に補助電極32、回収電極37及び画像電極31を含むFPCからなるインク滴飛翔制御部材30を配置し、該部材30から0.40mm上に対向電極40を配置し、帯電電極20の中心より上方に向けて直径30μm、帯電量−9μC/gの帯電インク滴52をY方向初速度5.0m/sec、X方向初速度0.0m/secで射出させ、その後の飛行軌跡をシミュレーションした。
【0143】
図59は、本実施形態の装置において、帯電電極22に+1330V、補助電極32に0V、画像電極31に0V、回収電極37A,37Bに0V、対向電極40に+800Vを印加したときの画像形成(印字)モードのシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。なお、図59は、図58の電極構成図とは上下が逆になっている。
図59のシミュレーションにおいて、帯電インク滴52は射出後300μsec経過時点で貫通孔33に入りそのまま真っ直ぐ進み、600μsec経過時点で貫通孔33から抜けて対向電極40に向かっている。この結果は、上記実施形態(回収電極37A,37Bがない場合)と同一である。
【0144】
図60は、本実施形態の装置において画像電極31への印加電圧のみ0Vから−24Vに変更した回収モードのシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。他の条件は上記図59の場合と同様に設定した。この場合、帯電インク滴52は射出後300μsec経過時点で貫通孔33に入り、そこで減速反転されて400μsec経過時点で貫通孔33から後ろに抜けて帯電電極22の出発点に戻る。この結果も、上記実施形態と同じである。
以上の図59及び図60のシミュレーション結果は、上記実施形態と基本的に同じである。
【0145】
本実施形態の装置では、上記実施形態の装置と異なり、回収対象のインク滴52が貫通孔33から後ろに出た時に別の力を与えて約90度偏向して回収コースに乗せるように構成してもよい。上記別の力は空気の流れ(気流=風)で与えてもいいが、不安定となる傾向があるので、静電力を与えるように構成するのが好ましい。
そこで、本実施形態の装置の変形例では、回収対象のインク滴が貫通孔33から後ろに抜けた後、射出後500μsec経過した時点で、左右の回収電極37A,37Bの印加電圧を0Vから±1.5kVに変更して帯電電極20とインク滴飛翔制御部材30に挟まれた空間に強い水平方向の電界を加えた。
【0146】
図61は、本実施形態の装置において、射出後500μsec経過した地点で回収電極37A,37Bの印加電圧をそれぞれ0Vから−1.5kV及び+1.5kVに変更した回収モードのシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。他の条件は上記図59の場合と同様に設定した。この場合、回収対象のインク滴52は強く図中の左方向(重力方向)に流されて射出後700μsec経過時点でシミュレーション領域の左の壁に当たる。この後さらに水平方向に移動させて適当な回収口に導くのは容易である。
【0147】
以上のように、回収対象のインク滴を静電気力で回収コースに乗せることができるようになるが、次のような新たな問題が発生することがわかった。左右の回収電極37A,37Bに±1.5kVの回収電圧を印加した時、画像形成(印字)モードで貫通孔33を通過して対向電極40に直進中のインク滴に、回収電極37A,37Bで形成された電界が作用してそのコースがハズレて着地点がずれてしまうのである。なお、上記回収電圧はすべての貫通孔に対して同時に印加される。
【0148】
図62は、本実施形態の装置において、射出後500μsec経過した地点で回収電極37A,37Bの印加電圧をそれぞれ0Vから−1.5kV及び+1.5kVに変更した画像形成(印字)モードのシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。他の条件は上記図59の場合と同様に設定した。この図62の結果からも、まだ対向電極40に向かって飛行している途中の帯電インク滴52が、図中左側(実際の装置では鉛直方向下側)に大きく振られているのが明らかにわかる。この副作用は、上記インク滴飛翔制御部材30の対向電極40側にシールド電極38を追加し、該シールド電極38を接地することで解決できる。このシールド電極38は導電性塗料をコートすることで容易に形成できる。
【0149】
図63は、本実施形態の装置において、上記接地したシールド電極38を設け、射出後500μsec経過した地点で回収電極37A,37Bの印加電圧をそれぞれ0Vから−1.5kV及び+1.5kVに変更した画像形成(印字)モードのシミュレーション結果(1コマ50μsec)である。他の条件は上記図59の場合と同様に設定した。この場合、貫通孔33を通過した帯電インク滴52は明らかに直進している。なお、念のため、回収電極37A,37Bの印加電圧を0Vのままにした場合もシミュレーションしてその着地点を比較したが1μmの差も生じなかった。
【0150】
〔実施形態1
上記第1の実施形態の装置では、小さなヘッドで且つ低い(24V)制御電圧で印字用インク滴と回収対象のインク滴を分離できるが、ヘッドから後退した回収対象のインク滴が回収電界でこの回収電界形成領域から送り出されるまで、すなわち回収電界(非常に強い)が消えるまで、次のインク滴の射出はできない。上記図61のシミュレーション結果から、インク滴52の射出間隔は700μsec以上必要と見積もられる。
【0151】
そこで、本実施形態では、図64に示すように、帯電インク滴52を静電力で減速させ、印字用インク滴と回収対象のインク滴の両方を前進させ、画像情報に基づいて画像電極31及び補助電極32で形成した制御電界により偏向させた回収対象のインク滴52Aを回収板63に当てて重力で落下させて回収し、非偏向の印字用インク滴52Bを直進させて紙53上に印字するように構成した。
【0152】
本実施形態の装置においてインク滴52の適正な射出間隔を見積もるために、印字/回収(非偏向/偏向)の画像信号印加タイミングを変えてインク滴52の飛行状態をシミュレーションした。図65は、上記シミュレーションに使用した電極配置を示す。本シミュレーションでは、粒径30μm及び帯電量−15μC/gの帯電インク滴52をY方向速度Vy=4.0m/sec、X方向速度Vx=0.0m/secで射出するように条件設定した。なお、図65は、上記第1の実施形態におけるシミュレーション構成とは上下逆転した図になっている。
【0153】
図66は、本実施形態の装置の帯電電極20に420Vを印加し、画像電極31も接地(0V)してインク滴52を直進させて対向電極40に着地させる画像形成(印字)モードにおけるインク滴52の飛行状態を1コマ100μsecでシミュレーションした結果である。また、図67は、画像電極31に−24Vを印加してインク滴52を左方向(実際の装置では鉛直方向下方)に曲げて回収板63に着地させる回収モードにおけるインク滴52の飛行状態を1コマ100μsecでシミュレーションした結果である。初速度は4.0m/secであるが、帯電電極20と画像電極31及び補助電極32との間の電位差によって形成される電界から静電力を受けて減速するため、貫通孔33に入る時の速度は画像形成モードで約1.2m/sec、回収モードで約1.1m/secである。
画像形成モードでは、その後対向電極40まで電界はほとんどないのでそのまま直進し、約1.0m/secの速度で対向電極40に当たる。その着地位置は射出された位置(図65中の左端から200μmの位置)とまったく同じである。
一方、回収モードでは貫通孔33の中で補助電極32(0V)と画像電極31(−24V)との間に形成されている制御電界で−X方向の静電力を受け−X方向の速度を得て図中左(実際の装置では鉛直方向下側)に曲がりながら飛行続け、回収板63に当たる。この時のY方向速度は約0.9m/sec、X方向速度は約−0.5m/secであった。
【0154】
なお、本実施形態の装置で記録速度を上げるためには、連続的にインク滴53を射出する必要がある。その時、先行インク滴が回収で画像電極31に−24Vが印加されていると、後続の印字用インク滴もその影響を受けて着地点が左にズレる結果になる。どの程度のズレが問題になるか不明であるが、ここでは仮に、紙53上に形成される1ドットの大きさ60μmの10%以内、すなわち6μm以下なら問題ないとする。直径30μmのインク滴は紙53上に直径60μmのドットを形成する。
【0155】
図68の記号「◆」のデータは、画像電極31に印加する制御電圧(画像信号)を−24Vから0Vに切り替える時間を変えて着地点のズレ量をシミュレーションした結果を示している。この図68の結果より、射出後200μsec以内に、言い換えればインク滴飛翔制御部材30より約70μm以上離れた位置で(図66参照)、制御電圧が回収信号(−24V)から印字信号(0V)に変われば、着地点のズレは目標の6μm以内に収まることがわかる。
【0156】
図69の記号「◆」のデータは、後続インク滴が回収対象である場合、先行する印字用インク滴がインク滴飛翔制御部材30の貫通孔33を抜けてどこまで行った時に制御電圧(画像信号)を切り替えるのが許されるのかシミュレーションした結果を示している。この図69の結果より、時間にして射出後550μsec以降、位置にしてインク滴飛翔制御部材30から200μm(図66参照)以上離れた地点で切り替えればよいことがわかる。
【0157】
上記シミュレーションの結果に基づき、3個のインク滴が回収、印字、回収と続く状態を想定し、2番目のインク滴が射出した後200μsec経過した時点で制御電圧(画像信号)を−24Vから0Vに、さらに550μsec経過した時点で0Vから−24Vに切り替えてさらにシミュレーションしてみたところ、着地点は15μmもズレてしまった。そこで、制御電圧の切り替え時間をインク滴飛翔制御部材30の前でさらに50μsec早め、後で50μsec遅らせて、150μsecと600μsecで切り替えたところ、着地点のズレは6μmに収まった。すなわち、インク滴52間の時間差を、上記実施形態1の装置の場合の約700μsecから450μsecに短縮することができた。なお、3個のインク滴が印字→回収→印字と続く場合は、300μsecと350μsecで切り替えても、すなわちわずか50μsecの間隔でも、OKであった。
【0158】
〔実施形態1
図70は、第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。本実施形態の装置では、制御電界(画像電界)の影響をインク滴飛翔制御部材30の貫通孔33から外に漏らさず、該部材30の直前直後で制御電圧(画像信号)の切り替えを可能にするために、該部材30の表面(前)と裏面(後)の全面に均一な薄い(シミュレーションでは20μm厚)シールド電極39A,39Bを設け、該シールド電極を接地した。このシールド電極39A,39Bは、FPCからなるインク滴飛翔制御部材30の製造工程の最後に導電性塗料をコートすることで容易に形成できる。
なお、図70において、上記実施形態の図1及び図64に示す装置と同様な部分には同一の符号を付し、それらの構成及び機能も同様であるので、それらについての説明は省略する。また、上記図1の装置と同様な効果についても省略する。
【0159】
図71は、本実施形態の装置における回収モードのシミュレーション結果である。なお、本シミュレーションにおける電極構成及びインク滴の特性は、インク滴飛翔制御部材30の両面に厚さ20μmのシールド電極39A,39Bを設けた点を除いて、上記実施形態1の図65の場合と同様に設定した。また、画像形成モードにおけるシミュレーション結果は上記実施形態1と変わらないので省略する。
【0160】
なお、図71のシミュレーションでは、左の電極を補助電極32として接地し、右の電極を画像電極31として−24Vを印加した(図65参照)が、逆に右の電極を画像電極31として+24Vを印加し左の電極を補助電極32として接地しても電気的には等価である。但し、この場合は、回収対象のインク滴52Aが何らかの理由で左の電極に当たって止まり、そのインク滴52Aが貫通孔33の中を広がってシールド電極39A,39Bに接触すると、ここに大電流が流れて制御用のICが破壊される可能性が大きい。これに対して、左の電極を接地した場合は、たとえ回収対象のインク滴52Aが付着してシールド電極39A,39Bとつながっても安全である。
【0161】
また、本実施形態の装置において、上記実施形態1と同様に、先行または後続インク滴が回収対象であると想定してインク滴飛翔制御部材30の前と後で制御電圧(画像信号)を−24Vから0Vに、0Vから−24Vに切り替えるタイミングを変えて着地点のズレをシミュレーションした。その結果を、図68及び図69に記号「□」のデータで示す。明らかに、シールド電極39A,39Bがない場合よりも大幅に改善されている。この結果に基づいて、上記実施形態1と同様に回収→印字→回収を想定し、射出後280μsec経過時点と380μsec経過時点で制御電圧(画像信号)を−24Vから0V、0Vから−24Vに切り替えてシミュレーションしたところ、着地点のズレは6μmに収まった(図72参照)。
【0162】
図72のシミュレーション結果から、先行インク滴がインク滴飛翔制御部材30の貫通孔33に入った時に先行インク滴用の制御電圧(画像信号)を印加し、先行インク滴が該貫通孔33を抜けた瞬間に後続のインク滴用の制御電圧(画像信号)に切り替えることができることがわかる。インク滴の間隔100μsecはちょうどインク滴がインク滴飛翔制御部材30を横切る時間にほぼ等しい。この間の速度は約1.2m/secで、インク滴飛翔制御部材30の幅は140μm(シールド電極39A,39Bを除くと100μm)である。
【0163】
インク滴飛翔制御部材30の外側ではシールド電極39A,39Bの効果で、インク滴飛翔制御部材30内の電極に印加される電圧の影響を受けないという上記推定は、次に示すインク滴飛翔制御部材30内外の電界(電気力線)で確認できる。
【0164】
図73、図74及び図75はそれぞれ、画像電極31に−24Vが印加された時のインク滴飛翔制御部材30の上側、貫通孔33の内部、及び下側の電界(電気力線の分布である。
【0165】
図73及び図74を見ると、インク滴飛翔制御部材30の上方では該部材30の貫通孔33に入る直前まで電気力線は垂直で、該貫通孔33の中に入るとほとんど水平に変わっている。これは、負極性の帯電インク滴52がインク滴飛翔制御部材30直前まで直進し、貫通孔33の中に入ると図中左方向の加速度を受けて左にシフトすることを意味している。さらに、図74及び図75を見ると、インク滴飛翔制御部材30を出た直後に左に流された回収対象のインク滴はさらに弱い左向きの力を受けるが、直進する印字用インク滴に働く電界はなく、その後は対向電極40まで電界は存在せず、両インク滴はインク滴飛翔制御部材30を出た時の速度を維持(重力と空気抵抗でわずかに減少する。)して飛行続けることがわかる。
【0166】
〔実施形態1
上記実施形態1の結果から、インク滴飛翔制御部材30の両面にシールド電極39A,39Bを付加することでインク滴間は100μsecまで短縮できることが明らかになった。この結果高速度のプリントが可能になった。例えば、600dpiのヘッドを使えば、600dpiの1ライン(=25.4mm/600=42.3μm)を100μsecで記録できるので、記録速度は423mm/secになる。これは80ppmに相当するハイスピードである。
【0167】
ところが、実際のインクジェットではノズル孔12を千鳥状に配置できないことが多い。一直線に配置しなければならないのだが、こうすると高解像力が実現できない。600dpiの画像の場合、ドット間のピッチは42.3μmであるが、必要なドット径はその(√2)倍程度約60μmである。このドット径を実現するために必要なインク滴の直径は30μmである。直径30μmのインク滴を無理なく通過させるためにはノズル孔12の内径は少なくとも80μmは必要である。また、画像電極31の電極幅も最低20〜30μmは必要である。
【0168】
そこで、本実施形態では、図76に示すように、これらの点を考慮して貫通孔33を一直線に配置して150dpi用のラインヘッドを構成した。図76のラインヘッドでは、インク滴飛翔制御部材30に、150dpiに相当する169μmピッチで直径φ=80μmの貫通孔33を開け、各貫通孔33の上下に半月状の1対の画像電極31及び補助電極32を配置した。電極幅Wは30μmとした。このままでは600dpiの印字が不可能なので図77に示すように貫通孔33の左右に1対の偏向電極35A,35Bを加え、一つの貫通孔33(一対の画像電極31及び補助電極32)から図中点線で示す4つのドットを印字することにした。なお、偏向電極35A,35Bを画像電極31及び補助電極32がある平面よりインク滴の進行方向の先の別の平面に形成するのが普通であるが、それでは表裏のシールド電極39A,39Bを加えて電極面が4つになり、FPCでの製造が困難になるので、コストダウンのために同一平面に形成した。
【0169】
本実施形態の装置において、偏向電極35A,35Bに印加する偏向電圧で(通常片方は接地のまま)、貫通孔33のセンターを通過するインク滴を図中左方向に−42.3μm、−21.2μm、図中右方向に21.2μm、42.3μmだけ、この順番で偏向させることにより、4つのドットを形成する。この偏向に必要な偏向電圧は、シールド電極39A,39Bがない場合、2Vと6.2V、シールド電極がある場合、6Vと18Vとシミュレーションで求められた。
【0170】
図78は、右端のドットを印字するために、スタート時、左偏向電極35Aに0V、右偏向電極35Bに6V、280μsec経過時点で左偏向電極35Aに0V、右偏向電極35Bに18V、380μsec経過時点で左偏向電極35Aに18V、右偏向電極35Bに0V印加した場合の1コマ100μsecごとのシミュレーション結果である。本シミュレーションでは、100μsecおきに1ドットが形成されるので100μsecおきに偏向電圧も切り替わる訳であるが、上記実施形態1のシミュレーションから280μsec以前と380μsec以降のインク滴飛翔制御部材30の電極電位の変化は、帯電インク滴52の軌跡に影響を与えないことが分かっているので省略した。
【0171】
図78において、射出後280μsec経過時点と380μsec経過時点との間で右偏向電極35Bに+18V印加した。偏向された印字用インク滴はセンターの右側67.4μm(=600dpiの1.5ドット)の位置に着地する。なお、偏向電極対35A,35Bで形成する偏向電界は同一電界が全孔に同時に加わるので、印字用インク滴のみならず、回収対象のインク滴も同様に偏向される。但し、その結果は回収板63に当たる位置が左右にシフトするだけなので問題はない。但し、画像電界に比較して偏向電界が大きすぎると回収対象のインク滴が下に行くよりも早く横に流れて回収板63に当たらないことも起こり得る。少なくとも、偏向電界を制御電界(画像電界)より小さくしておけば、この問題は発生しない。
【0172】
図78のシミュレーションの場合、インク滴の帯電極性とは逆極性のプラス電圧を偏向電極に印加したが、同極性のマイナス電圧を印加してもまったく同様に偏向できる。但し、インク滴がセンターを通らず、センターより少し上、または下を通ったとき問題が起きる。すなわち、この場合は負極性の帯電インク滴であるため、図79(a)及び(b)に示される電気力線を逆にたどってより上に、またはより下にシフトされてしまう。一方、インク滴の帯電極性とは逆極性の偏向電圧を印加する場合は、孔の上側を通る場合は下向きに、下を通る場合は上向きに、すなわち位置の狂いを修正する方向に力を受けるので大変効果的である。
【0173】
〔実施形態1
前述の図96に示す従来例に係る画像形成装置では、インク滴の射出角度のくるいに対する対策は特になされていないと考えられる。例えば、図96において少し上向きに射出された回収対象のインク滴も確実に回収するために、ガーター106をその分水平線より少し上まで延ばしたと推定される。この場合、少し下向きに射出された印字用のインク滴をこのガーター106の上方を通過させるためには通すためにより強い偏向電界を加える必要が生じる。また、この装置が記載されている上記文献3では、帯電電極103の長さは約8mm、上下電極の間隔は約0.6mm、帯電電圧は約0.2kVであり、偏向電極105a,105bの長さは約40mm、上下電極の間隔は約4mm、偏向電圧は約4kVである。帯電電極103を主走査方向(紙108の搬送方向と直角の方向)に並べられれば、高密度のラインヘッドができるのだが、これは非常に難しい。できても150〜200dpi(帯電電極間ピッチ、0.169〜0.127mm)である。前述のように、実際に商品化されたラインヘッドの静電コンティニュアスインクジェット(Mead社製のDIJIT printer:商品名)では、ノズルのピッチは0.5mmであった。また、図96の装置において、帯電電極103を150dpiで並べて、その先に上下方向の偏向電極105a,105bとは別に左右方向の偏向電極を設けて1ノズルからのインク滴を左右に、主走査方向に4回偏向して4ドット印字すれば600dpiで記録できるのだが、このように大きく、電圧が高い偏向電極を密に並べてラインヘッドを作ることは非常に難しい。速度を低下させればインク滴の運動量はその二乗で小さくなるので、小さな偏向電極と低い偏向電圧で偏向させることが可能になる。すべてのインク滴を均一に速度を下げるためには静電力を利用するのがベストだが、図96の従来装置では、帯電量がインク滴ごとに異なるのでそれができない。これに対して、上記各実施形態の装置のように、すべてのインク滴を均一に帯電させると、静電力で均一に速度を低下させることができ、その結果、小さな偏向電極と低い電圧で印字するインク滴と回収するインク滴を分離して印字することで高密度のラインヘッドができる。
【0174】
また、上記実施形態1の画像形成装置では、図70に示すように、水平方向に射出された帯電インク滴52は、帯電電極22と接地された補助電極32との間に形成される電界の静電力により減速され、該インク滴52は約1m/secの速度で補助電極32と画像電極31とで挟まれてかつ囲まれた貫通孔33の制御電界形成領域に入る。画像形成モードでは画像電極31も0Vなので該貫通孔33の中に電界がなく、上記図72に示すようにそのまま直進して貫通孔33を抜けて紙53に着地する。一方、回収モードでは、画像電極31に該インク滴52と同極性の電圧が印加されているので、貫通孔33の中の制御電界形成領域の中で下向きの速度を加えられて該貫通孔33から外に出て回収板63に当たり自重で下に落ちて回収される。
【0175】
ここで、上記図70の装置において射出角度が垂直方向より1度ズレた場合をシミュレーションした。図80は、インク滴52の垂直初速度4.00m/secに対し、水平初速度0.07m/secを与えて射出角度を1度ずらした場合のインク滴の飛翔経路を示すシミュレーション結果である。本シミュレーションでは、帯電電極22に420V印加し、画像電極31、補助電極32及びシールド電極39A,39Bに0V印加した条件に設定した。各分図間の時間ステップは100μsecである。
本シミュレーションにおいて、インク滴52は、幾何学的には貫通孔33に入らず上側のシールド電極39Aに当たるはずであるが、貫通孔33に入り貫通孔33を抜けて対向電極40に着地できた。但し、垂直に射出された場合の着地点に対する着地点のズレは−8μmで許容できない範囲であった。許容範囲は600dpiの画像の1ドットの直径の10%、すなわち6μmとする。幾何学的には不可能なのにインク滴52が貫通孔33に入れたのは、図81に示すようにインク滴飛翔制御部材30の近傍で−X方向の静電力を得てセンター方向に少し戻されたためである。
【0176】
次に、インク滴52の射出角度を垂線より2度ズラして同様なシミュレーションを行った。この場合も、上記図80の場合と同様に貫通孔33を抜けることはできたが着地点は+9μmズレてやはりNGであった。更に、射出角度ズレが3度の場合をシミュレーションした。この結果を図82に示す。この場合は、射出されたインク滴52は貫通孔33に入れずその周りのシールド電極39Aに着地して印字できなかった。すなわち、この図70の装置レイアウトでは、インク滴52の射出角度が1度狂うと着地点のズレは許容範囲を超え、3度狂うと印字そのものができなくなってしまう。
【0177】
そこで、本実施形態の装置では、上記インク滴52の射出角度のズレを静電界、すなわち垂線よりハズれた軌道を貫通孔33のセンターに収束する収束電界で修正するように構成した。上記画像電極31及び補助電極32にはその収束電界を形成する役目を分担できる自由度がないので、これらの電極とは別に上記収束電界を形成するための収束電極を設けた。
【0178】
図83は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。なお、図83において、上記実施形態1の図70に示す装置と同様な部分には同一の符号を付し、それらの構成及び機能も同様であるので、それらについての説明は省略する。また、上記第1の実施形態の装置と同様な効果についても省略する。この図83に示すように、上記収束電極64として、帯電電極部材23とインク滴飛翔制御部材30の中間に、厚さ0.1mm、孔径80μmの金属板を、該部材23、30と平行に配設した。
【0179】
図84は、上記収束電極64を接地し、上記図80と同様にインク滴52の射出角度ズレを1度にした場合のシミュレーション結果である。本シミュレーションでは、帯電電極22に440V印加し、画像電極31、補助電極32及びシールド電極39A,39Bに0V印加した条件に設定した。各分図間の時間ステップは100μsecである。回収板の図示は省略した。
本シミュレーションにおいて、インク滴52は貫通孔33を通り抜けたが、着地点は−9μmズレてしまった。但し、貫通孔33を抜ける余裕度は上記図80の場合より高く、射出角度4度まで貫通孔33を通過することができた。このように、上記図80の場合に比して印字できる余裕度は2度から4度に改良できたが、着地点のズレは非常に大きかった。
【0180】
図85は、収束電極の内径が80、120、160及び200μmの場合の、インク滴の射出ズレ角度と着地点のズレ量との関係を示すグラフである。図85の中に記載している数字が射出ズレ角度を示している。図84の収束電極64の内径が80μmの場合のデータが示すように右方向に射出されたインク滴52が逆に貫通孔33のセンターを越えて左にシフトされるのは、インク滴52に働く収束電界が強すぎるためと考えられる。この場合の収束電極64(内径80μm)の孔付近の電界を図86に示す。ここで、帯電電極22及び収束電極64への印加電圧はそれぞれ400V及び0Vに設定した。この図86から、収束電極64の孔の中心から少しズレると中心に向かう強い水平電界が存在していることがわかる。
【0181】
〔実施形態1
本実施形態の装置は、基本的には上記実施形態1の装置と同じ構成であるが(図83参照)、中心より少し離れた点の水平電界を弱めるために、Y方向の位置はそのままで収束電極64の内径のみを80μmから120μmに広げた。この場合は、射出ズレ角度1度の時の着地位置ズレは−4μmで許容範囲内であった。しかし、2度以上では位置ズレは許容値を越えてしまった。上記図85の収束電極64の内径が120μmの場合のデータが示すように、射出角度ズレが1度までは位置ズレがなく、その後7度まで位置ズレはあってもともかく印字できるので、上記実施形態1の場合(1度で位置ズレ発生、4度まで印字可能)よりはよい結果である。この場合の電界をみると中心より少し離れた地点でまだ強い水平電界が存在している(図87参照)。
【0182】
〔実施形態1
本実施形態の装置は、基本的には上記実施形態1の装置と同じ構成であるが(図83参照)、中心より少し離れた点の水平電界を弱めるために、Y方向の位置はそのままで収束電極64の内径のみを120μmから更に160μmに広げた。この場合は、上記図85の収束電極64の内径が160μmの場合のデータが示すように、射出ズレ角度1度から6度まで位置ズレがすべて6μm以内に収まり、7度でのズレも−8μmと小さかった。
【0183】
図88は、本実施形態の装置において、内径160μmの収束電極64を接地し、インク滴52の射出角度ズレを6度にした場合のシミュレーション結果である。本シミュレーションでは、帯電電極22に440V印加し、画像電極31、補助電極32及びシールド電極39A,39Bに0V印加した条件に設定した。各分図間の時間ステップは100μsecである。回収板の図示は省略した。
【0184】
〔実施形態1
本実施形態の装置は、基本的には上記実施形態1の装置と同じ構成であるが(図83参照)、中心より少し離れた点の水平電界を弱めるために、Y方向の位置はそのままで収束電極64の内径のみを160μmから更に200μmに広げた。この場合は、上記図85の収束電極64の内径が200μmの場合のデータが示すように、射出ズレ角度1度から3度まで位置ズレがすべて6μm以内に収まり、4,5度でのズレも+8μm、+11μmと小さかった。しかし、図89のシミュレーション結果に示すように、射出ズレ角度6度ではインク滴52は左に戻りきれずインク滴飛翔制御部材30に当たってしまった。
図89は、本実施形態の装置において、内径200μmの収束電極64を接地し、インク滴52の射出角度ズレを6度にした場合のシミュレーション結果である。本シミュレーションでは、帯電電極22に440V印加し、画像電極31、補助電極32及びシールド電極39A,39Bに0V印加した条件に設定した。各分図間の時間ステップは100μsecである。回収板の図示は省略した。
【0185】
本実施形態の装置において、上記実施形態1の場合と異なり、インク滴52が左に戻りきれずインク滴飛翔制御部材30に当たってしまったのは、射出ズレ角度6度のインク滴の飛行経路の水平電界が、図90に示すように上記実施形態1の場合より弱くなりすぎたためと思われる。図90(a)及び(b)はそれぞれ、収束電極64の内径が160μmの場合及び200μmの場合の電界(電気力線の分布)を示す説明図である。
【0186】
上記実施形態1、1及び1の結果から、水平収束電界には最適値があり、強すぎると逆に戻しすぎてインク滴飛翔制御部材30に当たったり、マイナス方向に位置ズレの許容値を越え、弱すぎると戻しきれずにインク滴飛翔制御部材30に当たったりプラス方向に位置ズレの許容値を越えることがわかる。その最適値を数式で示すのは難しいが、基本的にはセンターからの水平方向の位置ズレの最大量を、そこから対向電極40まで飛行する間にちょうど相殺する逆方向の速度を収束水平電界で与えればよい。
【0187】
なお、上記実施形態1、1、1及び1の実施形態では、収束電極64はすべて接地しているが、必要な収束電界を形成するためには接地せずに適当な電位を与えてもよい。但し、その場合、シールド電極39Aとの間に電位差が生じると、収束電極64とシールド電極39Aとの間に帯電インク滴52をセンターから拡散させたり収束させたりする電界が生じるので、最適設計が複雑になる。もちろん、これを利用して制御することも理論的には可能だが、実際的でない。帯電電極22と画像電極31以外はすべて接地しておく方が安全であり電極の位置ズレの影響も受けない。
【0188】
また、上記各実施形態では、画像形成対象物としての紙に直接画像を形成する場合について説明したが、本発明は、画像形成対象物としての、表面性のよい中間転写体に画像を形成した後、これを紙に転写するように構成した画像形成装置にも適用できるものである。
【0189】
【発明の効果】
請求項1乃至の発明によれば、画像電極で囲まれた、周囲からの静電的な影響を受けにくい貫通孔の内側に、帯電インク滴の偏向を制御するための制御電界を形成しているので、各貫通孔を近づけて配置しても、各ノズルから吐出した帯電インク滴を制御する制御電界におけるクロストークが小さくなる。従って、インク滴飛翔制御手段として従来の平板状の偏向電極を用いた場合に比して、高密度の多ノズル化が容易であり、且つ上記クロストークに起因するインク滴の着弾位置のずれを小さくすることができる。しかも、上記貫通孔に向かって飛翔する帯電インク滴を、より小さな制御電圧で偏向できるという効果がある。
【0190】
特に、請求項2の発明によれば、画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴によって装置の内部が汚染されないようになり、該インク滴を再利用できるようになるという効果がある
【0191】
た特に、請求項の発明によれば、1つの貫通孔に形成した制御電界形成領域を通過するインク滴で画像の複数のドットを形成できるという効果がある。
【0192】
請求項乃至5の発明によれば、画像電極で囲まれた、周囲からの静電的な影響を受けにくい貫通孔の内側に、帯電インク滴の偏向を制御するための制御電界を形成しているので、各貫通孔を近づけて配置しても、各ノズルから吐出した帯電インク滴を制御する制御電界におけるクロストークが小さくなる。従って、インク滴飛翔制御手段として従来の平板状の偏向電極を用いた場合に比して、高密度の多ノズル化が容易であり、且つ上記クロストークに起因するインク滴の着弾位置のずれを小さくすることができる。しかも、上記帯電インク滴の減速により、該インク滴を偏向しやすくなるので、所定距離だけ偏向するために必要な該画像電極への印加電圧(制御電圧)を低くすることができるという効果がある。
【0193】
また特に、請求項乃至27の発明によれば、画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴によって装置の内部が汚染されないようになり、該インク滴を再利用できるようになるという効果がある。
【0194】
また特に、請求項6、9乃至1、及び、2乃至29の発明によれば、画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴を回収する回収容器のレイアウトの自由度が増すという効果がある。
【0195】
また特に、請求項7、9乃至1、及び、2乃至2の発明によれば、画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴を回収容器に導く部材を設ける必要がないという効果がある。
【0196】
また特に、請求項乃至1、及び、2乃至2の発明によれば、上記回収容器としてインク容器を兼用しているので、装置構成が簡易になるという効果がある。
【0197】
また特に、請求項乃至1の発明によれば、各インク滴の回収時間を短くなるという効果がある。
【0198】
また特に、請求項1の発明によれば、上記回収容器に向かう帯電インク滴を気流で加速しているので、加速手段の装置構成が簡易になるという効果がある。
【0199】
また特に、請求項1乃至1の発明によれば、上記回収容器に向かう帯電インク滴を制御が容易な電界で加速しているので、インク滴の回収を安定して行うことができるという効果がある。
【0200】
また特に、請求項1の発明によれば、上記回収容器に向かう帯電インク滴の飛翔経路に沿って並べて設けた一対の回収加速電極の各電極として、リング状の平面電極を用いることができるという効果がある。
【0201】
また特に、請求項1の発明によれば、上記回収加速電極として、上記インク容器から上記貫通孔に向かう帯電インク滴を減速する向きの電界を形成するための一対の減速電極を兼用できるので、装置構成が簡易になるという効果がある。
【0202】
また特に、請求項1乃至1の発明によれば、上記貫通孔に向かう飛翔経路に同時に複数の帯電インク滴が存在するように該インク滴をノズル孔から吐出させることができるので、画像形成の速度を高めることができるという効果がある。
【0203】
また特に、請求項1の発明によれば、上記画像電極などを分割して各電極間に電位差を設けるという構成を採用することなく、インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させ、貫通孔に向かう飛翔経路と回収飛翔経路とを異ならせるができるという効果がある。
【0204】
また特に、請求項19の発明によれば、インク滴回収部材で受け止めたインク滴が該部材の表面に付着したままの状態にならずに、自重などによって該部材の表面に沿って流れ、回収容器にスムーズに回収されるという効果がある。
【0205】
また特に、請求項2の発明によれば、上記インク容器の回収口からインク滴が吐出しないという効果がある。
【0206】
また特に、請求項2の発明によれば、インク容器から貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔と、回収容器の回収口に向かう帯電インク滴の逆飛翔を補助電極で遮ることがない。しかも、補助電極に1枚の金属板を用いることにより、安く且つ精度よく、機械的強度に優れた補助電極を製造することができるという効果がある。
【0207】
また特に、請求項2乃至2の発明によれば、回収容器に回収しようとする帯電インク滴を、インク容器のノズル孔から離れた位置で回収することができ、該インク滴の回収が容易になるという効果がある。
【0208】
また特に、請求項2乃至29の発明によれば、画像形成対象物に付着させる帯電インク滴の粒径が変化してその飛行速度が変化した場合でも、画像形成対象物上の着地点が変化しないので、安定した画像形成を行うことができる。しかも、回収容器に向かう帯電インク滴をインク滴飛翔制御部材によって遮られることがないので、安定したインク滴の回収を行うことができるという効果がある。
【0209】
また特に、請求項2の発明によれば、上記第1の画像電極、第2の画像電極及び第3の画像電極に上記所定の電圧を印加するという構成により、比較的低い電圧で上記帯電インク滴をインク滴飛翔制御部材の表面に沿った方向に偏向させることができるという効果がある。
【0210】
また特に、請求項2乃至29の発明によれば、一対の回収電極により、回収容器に向かう該インク滴を加速し、より速やかに回収するできるという効果がある。
【0211】
また特に、請求項2の発明によれば、上記回収電極及び画像電極の製造の低コスト化を図ることができるという効果がある。
【0212】
また特に、請求項29の発明によれば、上記回収電極で形成される電界が、上記画像電極による制御電界形成領域を通過し画像形成対象物に向かっている帯電インク滴に作用しないので、該画像形成対象物に向かっている帯電インク滴の飛翔を乱すことなく、安定した画像形成を行うことができるという効果がある。
【0213】
また特に、請求項3乃至3の発明によれば、帯電インク滴を所定距離だけ偏向するために必要な該画像電極への印加電圧(制御電圧)を低くすることができる。しかも、インク容器から吐出される帯電インク滴の速度が高速の場合でも、画像情報に応じた該インク滴の偏向を安定して行うことができるという効果がある。
【0214】
また特に、請求項3の発明によれば、上記補助電極と上記画像電極との間の相対的な位置精度が向上するとともに、両電極の製造の低コスト化を図ることができるという効果がある。
【0215】
また特に、請求項3乃至37の発明によれば、制御が容易な電界で上記帯電インク滴を減速しているので、該インク滴をより正確且つ安定に減速させることができるという効果がある。
【0216】
また特に、請求項3乃至37の発明によれば、上記貫通孔に向かう帯電インク滴を減速する電極として一対のリング状の減速電極の各電極として、平面電極を用いることができるという効果がある。
【0217】
また特に、請求項3乃至37の発明によれば、上記一対の減速電極のうち上記インク容器のインク滴ノズル孔に近い減速電極として他の電極を兼用しているので、装置構成が簡易になるという効果がある
【0218】
た特に、請求項38の発明によれば、画像電極による制御電界形成領域を通過して画像形成対象物に向かう帯電インク滴を加速するので、画像形成の速度を高めることができるという効果がある。
【0219】
また特に、請求項39乃至4の発明によれば、画像電極による制御電界形成領域を通過して画像形成対象物に向かう帯電インク滴を偏向電極で偏向するので、1つの貫通孔に形成された制御電界形成領域を通過するインク滴で画像の複数のドットを形成できるという効果がある。
【0220】
また特に、請求項4の発明によれば、上記画像電極による制御電界による帯電インク滴の選択的な偏向に対する上記偏向電極による該偏向電界の影響が小さくなるという効果がある。
【0221】
また特に、請求項4の発明によれば、上記複数ドット形成のための印加電圧の制御が容易になるという効果がある。
【0222】
また特に、請求項4の発明によれば、上記偏向電極と上記画像電極との間の相対的な位置精度が向上するとともに、両電極の製造の低コスト化を図ることができるという効果がある。
【0223】
また特に、請求項4乃至4の発明によれば、先行して飛翔する帯電インク滴が画像電極による制御電界形成領域を通過した直後に、又は後続の帯電インク滴が該制御電界形成領域に入る直前に、該画像電極に印加する電圧を切り換えることができるので、帯電インク滴の吐出間隔を短くして画像形成の速度を高めることができるという効果がある。
【0224】
また特に、請求項4の発明によれば、帯電インク滴が画像電極に付着し該画像電極と上記シールド電極との間が電気的に導通状態になったとしても、過剰電流が流れることがないので、各電極に印加するための電気回路が破壊される危険性が少なくなるという効果がある。
【0225】
また特に、請求項4の発明によれば、上記シールド電極と上記画像電極との間の相対的な位置精度が向上するとともに、両電極の製造の低コスト化を図ることができるという効果がある。
【0226】
また特に、請求項46乃至49の発明によれば、インク容器のノズル孔から貫通孔に向かう帯電インク滴を収束電極で該貫通孔内に収束させることにより、該インク容器から吐出するインク滴の吐出角度がばらついた場合でも、該貫通孔に対して該インク滴を確実に入射させ、画像情報に応じた該インク滴の選択的な偏向を確実に行うことができるという効果がある。
【0227】
また特に、請求項47の発明によれば、上記インク滴の吐出方向がばらつきの調整範囲が広くなるという効果がある。
【0228】
また特に、請求項48の発明によれば、上記収束電極と、上記画像電極の該収束電極側に設けたシールド電極との間に不要な電界が形成されないようになり、上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔が安定するという効果がある。
【0229】
また特に、請求項49の発明によれば、上記インク容器から吐出した帯電インク滴が上記画像形成対象物上の所定位置に到達して付着し、安定した画像形成が可能となるという効果がある。
【0230】
また特に、請求項5の発明によれば、上記各電極の少なくとも一つを、電極パターンの位置合わせが容易で且つ安価なフレキシブルプリント回路(FPC)部材上に形成することができるので、各電極の位置精度が更に向上するとともに、製造の低コスト化を更に図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】 (a)は、同画像形成装置に用いたインク滴飛翔制御部材30の横断面図。
(b)は、同インク滴飛翔制御部材30の縦断面図
【図3】 同画像形成装置におけるインク滴の粒径と最高到達点との関係を示すグラフ。
【図4】 (a)〜(o)は同画像形成装置における帯電インク滴の反転移動のシミュレーション結果を示す説明図。
【図5】 (a)〜(o)は同画像形成装置における帯電インク滴の紙へ付着する飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図6】 第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図7】 同画像形成装置に用いるインク滴飛翔制御部材30における貫通孔及び画像電極の配置を示す説明図。
【図8】 第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図9】 (a)〜(o)は同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図10】 (a)〜(o)は同画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図11】 (a)〜(o)は同画像形成装置の対向電極への印加電圧を0Vにした場合の、画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図12】 第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図13】 (a)〜(o)は同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図14】 (a)〜(o)は同画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図15】 第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図16】 (a)〜(o)は同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図17】 (a)〜(o)は、図17とは逆方向に偏向させる場合の、画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図18】 (a)〜(o)は第の実施形態の比較例に係る画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図19】 (a)〜(o)は同画像形成装置の補助電極対に電圧(+50V/−50V)を印加した場合の、回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図20】 第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図21】 第の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図22】 (a)〜(o)は同画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図23】 (a)〜(o)は同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図24】 (a)〜(o)は、図22の画像形成装置に偏向電極を追加した場合の、回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図25】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図26】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の偏向電極に電圧(+30V/−30V)を印加した場合の、画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図27】 (a)〜(o)は、同偏向電極に逆極性の電圧(−30V/+30V)を印加した場合の、画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図28】 第の実施形態の比較例に係る画像形成装置における帯電インク滴の飛行速度変化を示すグラフ。
【図29】 同画像形成装置の帯電電極とインク滴飛翔制御部材と間の電気力線分布を示す説明図。
【図30】 第の実施形態に係る画像形成装置の帯電電極とインク滴飛翔制御部材と間の電気力線分布を示す説明図。
【図31】 同画像形成装置における帯電インク滴の飛行速度変化を示すグラフ。
【図32】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図33】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図34】 (a)〜(o)は、第の実施形態の比較例に係る画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図35】 同画像形成装置の帯電電極とインク滴飛翔制御部材と間の電気力線分布を示す説明図。
【図36】 第の実施形態に係る画像形成装置の帯電電極とインク滴飛翔制御部材と間の電気力線分布を示す説明図。
【図37】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図38】 第の実施形態に係る画像形成装置の帯電電極とインク滴飛翔制御部材と間の電気力線分布を示す説明図。
【図39】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図40】 同画像形成装置の無電界形成領域に入ったときの垂直速度Vyと、射出孔から着地点までの距離Dxとの関係を示すグラフ。
【図41】 第1の実施形態の比較例として行ったシミュレーションにおける電極配置の説明図。
【図42】 (a)〜(o)は、同比較例に係る画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図43】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図44】 (a)〜(r)は、同画像形成装置でのインク滴粒径が30μmから34μmになった場合の、回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図45】 (a)〜(o)は、同画像形成装置でのインク滴粒径が30μmから26μmになった場合の、回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図46】 (a)〜(o)は、同画像形成装置でのインク滴粒径が30μmから34μmになった場合の、画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図47】 (a)〜(o)は、同画像形成装置でのインク滴粒径が30μmから26μmになった場合の、画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図48】 第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図49】 同画像形成装置のシミュレーションにおける電極配置の説明図。
【図50】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図51】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図52】 (a)〜(o)は、同画像形成装置のインク滴の粒径が26μmの場合の、回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図53】 同画像形成装置の第1及び第2のインク滴飛翔制御部材の間の電気力線分布を示す説明図。
【図54】 (a)〜(o)は、同画像形成装置のインク滴の粒径が34μmの場合の、回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図55】 (a)〜(t)は、同画像形成装置のインク滴の粒径が26μmの場合の、画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図56】 (a)〜(o)は、同画像形成装置のインク滴の粒径が34μmの場合の、画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図57】 第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図58】 同画像形成装置のシミュレーションにおける電極配置の説明図。
【図59】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図60】 (a)〜(o)は、同画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図61】 (a)〜(o)は、第1の実施形態の変形例に係る画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図62】 (a)〜(o)は、同変形例に係る画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図63】 (a)〜(o)は、他の変形例に係る画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図64】 第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図65】 同画像形成装置のシミュレーションにおける電極配置の説明図。
【図66】 (a)〜(l)は、同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図67】 (a)〜(l)は、同画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図68】 同画像形成装置における画像信号(制御電圧)切り換え時間と、着地点ズレ量との関係を示すグラフ。
【図69】 同画像形成装置における画像信号(制御電圧)切り換え時間と、着地点ズレ量との関係を示すグラフ。
【図70】 第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図71】 (a)〜(l)は、同画像形成装置の回収モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図72】 (a)〜(l)は、同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図73】 同画像形成装置の画像電極に−24Vが印加された時のインク滴飛翔制御部材の上側の電気力線分布を示す説明図。
【図74】 同インク滴飛翔制御部材の貫通孔内部の電気力線分布を示す説明図。
【図75】 同インク滴飛翔制御部材30の下側の電気力線分布を示す説明図。
【図76】 第1の実施形態に係る画像形成装置のインク滴飛翔制御部材における電極配置を示す説明図。
【図77】 同インク滴飛翔制御部材における他の電極配置を示す説明図。
【図78】 (a)〜(l)は、同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図79】 (a)及び(b)は、同画像形成装置のインク滴飛翔制御部材の貫通孔内部の電気力線分布を示す説明図。
【図80】 (a)〜(l)は、第1の実施形態の比較例に係る画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図81】 同画像形成モードにおける帯電電極とインク滴飛翔制御部材との間の電気力線分布を示す説明図。
【図82】(a)〜(d)は、第1の実施形態の他の比較例に係る画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図83】 第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図84】 (a)〜(l)は、同画像形成装置の画像形成モードにおける帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図85】 同画像形成装置のインク滴の射出ズレ角度と着地位置ズレ量との関係を示すグラフ。
【図86】 同画像形成装置の帯電電極と収束電極との間の電気力線分布を示す説明図。
【図87】 第1の実施形態に係る画像形成装置の帯電電極と収束電極との間の電気力線分布を示す説明図。
【図88】 (a)〜(l)は、第1の実施形態に係る画像形成装置における帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図89】 (a)〜(h)は、第1の実施形態に係る画像形成装置における帯電インク滴の飛翔経路のシミュレーション結果を示す説明図。
【図90】 (a)及び(b)はそれぞれ、同画像形成装置の収束電極の内径が160μmの場合及び200μmの場合の電気力線分布を示す説明図。
【図91】 (a)及び(b)は、従来例に係る画像形成装置の概略構成図。
【図92】 他の従来例に係る画像形成装置の概略構成図。
【図93】 更に他の従来例に係る画像形成装置の概略構成図。
【図94】 同画像形成装置における帯電と偏向の原理を説明する説明図。
【図95】 更に他の従来例に係る画像形成装置の概略構成図。
【図96】 更に他の従来例に係る画像形成装置の概略構成図。
【符号の説明】
10 インク容器
11 ベース電極
12 ノズル孔
13 回収孔
20、22 帯電電極
20A、20B 孔
21 孔
23 帯電電極部材
30,36 インク滴飛翔制御部材
31 画像電極
31A 第1の画像電極
31B 第2の画像電極
31C 第3の画像電極
32 補助電極
33 貫通孔
34 樹脂フィルム
35A,35B 偏向電極
37A,37B 回収電極
38 シールド電極
39A,39B シールド電極
40 対向電極
50 インク
51 インク柱
52 帯電インク滴
52A 回収対象のインク滴
52B 印字用のインク滴
53 紙
60A,60B 減速電極部材
61A,61B 減速電極
62 補助電極
62A 第1の補助電極
62B 第2の補助電極
62C 第3の補助電極
62D 入口孔
62E 出口孔
63 回収板
64 収束電極

Claims (50)

  1. 一方向に飛翔している帯電インク滴を画像情報に応じて選択的に偏向させることにより、該帯電インク滴を画像形成対象物上に選択的に付着させて該画像形成対象物上に画像を形成する画像形成方法において、
    画像情報に応じた制御電圧が印加された画像電極で囲まれた貫通孔に向けて帯電インク滴を飛翔させ、該貫通孔に向かって飛翔する該帯電インク滴を静電力によって減速させた後、該貫通孔を通過しようとする該帯電インク滴を選択的に偏向させることを特徴とする画像形成方法。
  2. 請求項1の画像形成方法において、
    上記貫通孔を通過しようとする帯電インク滴のうち、画像形成に用いる帯電インク滴は上記画像形成対象物に向かって飛翔させ、画像形成に用いない帯電インク滴は該画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔させて回収容器に回収することを特徴とする画像形成方法
  3. 求項1の画像形成方法において、
    画像情報に基づいて、上記画像電極による制御電界形成領域を通過し上記画像形成対象物に向かって飛翔する帯電インク滴を偏向し、該画像形成対象物上における該帯電インク滴の付着位置を変えることを特徴とする画像形成方法。
  4. インク容器のノズル孔から帯電インク滴を吐出させるインク滴吐出手段と、該帯電インク滴を画像情報に応じて選択的に偏向させるインク滴飛翔制御手段とを備え、該帯電インク滴を画像形成対象物上に選択的に付着させて該画像形成対象物上に画像を形成する画像形成装置において、
    該インク滴飛翔制御手段を、画像電極で囲まれた貫通孔が複数形成されたインク滴飛翔制御部材と、画像情報に応じて、該貫通孔を通過しようとする該帯電インク滴を選択的に偏向させるための制御電圧を該画像電極に印加する制御電圧印加手段とを用いて構成し
    該インク容器から該貫通孔に向かって飛翔する帯電インク滴を静電力によって減速させるインク滴減速手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項の画像形成装置において、
    上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴を回収するインク滴回収手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項の画像形成装置において、
    上記インク滴回収手段を、回収したインク滴を収容する回収容器と、上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴を受け止めて該回収容器に導くインク滴回収部材とを用いて構成したことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項の画像形成装置において、
    上記インク滴回収手段を、上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する帯電インク滴が直接入る回収口を有する回収容器を用いて構成したことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項の画像形成装置において、
    上記インク滴回収手段を、上記回収容器として兼用した上記インク容器を用いて構成し、
    上記画像形成対象物に向かう方向とは異なる方向に飛翔する上記帯電インク滴の飛翔方向を、該インク容器の回収口に該インク滴が直接入るように設定したことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項6、7又は8の画像形成装置において、
    上記回収容器に向かう帯電インク滴を加速する加速手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項の画像形成装置において、
    上記加速手段として、上記回収容器に向かう帯電インク滴を加速する向きの気流を発生させる気流発生手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項の画像形成装置において、
    上記加速手段として、上記回収容器に向かう帯電インク滴を加速する向きの電界を形成する電界形成手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項1の画像形成装置において、
    上記電界形成手段を、上記回収容器に向かう帯電インク滴の飛翔経路に沿って並べて設けた一対の回収加速電極と、該帯電インク滴を加速する向きの電界を形成するための電圧を該一対の回収加速電極の間に印加する電源とを用いて構成したことを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項11の画像形成装置において、
    上記インク滴減速手段として、上記インク容器から上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔経路に沿って、該インク滴を減速する向きの電界を形成するための一対の減速電極を設け、
    上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔方向と上記回収容器に向かう帯電インク滴の回収飛翔方向とが逆方向であり、
    上記回収加速電極として、上記減速電極を兼用したことを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項6、7又は8の画像形成装置において、
    上記回収容器に回収する帯電インク滴の上記インク容器から上記貫通孔に向かう飛翔経路と上記回収容器に向かう回収飛翔経路とを異ならせたことを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項1の画像形成装置において、
    上記画像電極として、上記インク容器からの飛翔方向と交差する面方向で複数の電極に分割したものを用い、各電極に異なる電圧を印加することにより、該インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させることを特徴とする画像形成装置。
  16. 上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設けた請求項1の画像形成装置であって、
    上記補助電極として、上記インク容器からの飛翔方向と交差する面方向で複数の電極に分割したものを用い、各電極に異なる電圧を印加することにより、該インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させることを特徴とする画像形成装置。
  17. 上記インク滴吐出手段を、上記インク容器のノズル孔から吐出しようとするインク滴を挟むように配置した帯電電極を用いて構成した請求項1の画像形成装置であって、
    上記帯電電極として、上記インク容器からの飛翔方向と交差する面方向で複数の電極に分割したものを用い、各電極に異なる電圧を印加することにより、該インク容器から吐出した帯電インク滴を初期の吐出方向から傾いた方向にシフトさせながら飛翔させることを特徴とする画像形成装置。
  18. 上記画像電極の内周面が、上記貫通孔の中心軸について軸対称の形状をしている請求項1の画像形成装置であって、
    上記帯電インク滴を上記貫通孔の中心軸からずらして入射することを特徴とする画像形成装置。
  19. 請求項の画像形成装置において、
    上記インク滴回収部材の帯電インク滴が接触する表面を撥水処理したことを特徴とする画像形成装置。
  20. 請求項の画像形成装置において、
    上記インク容器の回収口を、該回収口から上記インク滴が吐出しない程度に該インク容器のノズル孔から離れた位置に形成したことを特徴とする画像形成装置。
  21. 上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設け、上記回収容器を該補助電極を挟んで該画像電極とは反対側に配置した請求項6、7又は8の画像形成装置であって、
    上記補助電極として、上記インク容器から上記貫通孔に向かって飛翔する帯電インク滴が通過するための孔と、上記回収容器の回収口に向かって逆飛翔する帯電インク滴が通過するための孔とを有する1枚の金属板を用いたことを特徴とする画像形成装置。
  22. 上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設け、上記回収容器を該補助電極を挟んで該画像電極とは反対側に配置した請求項6、7又は8の画像形成装置であって、
    上記回収容器に回収しようとする帯電インク滴を上記インク容器のノズル孔の方向に加速する電界が形成されないように、上記補助電極の形状、配置及び印加電圧を設定したことを特徴とする画像形成装置。
  23. 上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設け、上記回収容器を該補助電極を挟んで該画像電極とは反対側に配置した請求項6、7又は8の画像形成装置であって、
    上記回収容器に回収しようとする帯電インク滴の上記インク容器のノズル孔に向かう方向の速度を減速する電界が形成されるように、上記補助電極の形状、配置及び印加電圧を設定したことを特徴とする画像形成装置。
  24. 上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設け、上記回収容器を該補助電極を挟んで該画像電極とは反対側に配置した請求項6、7又は8の画像形成装置であって、
    上記回収容器に回収しようとする帯電インク滴を上記インク容器のノズル孔の方向とは逆方向に加速する電界が形成されるように、上記補助電極の形状、配置及び印加電圧を設定したことを特徴とする画像形成装置。
  25. 請求項6又は7の画像形成装置において、
    上記インク容器から吐出した帯電インク滴のうち、上記画像形成対象物に付着させる帯電インク滴を直進して飛翔させるように、且つ上記回収容器に回収する帯電インク滴を上記インク滴飛翔制御部材の表面に沿った方向に偏向させるように、上記画像電極を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  26. 請求項2の画像形成装置において、
    上記画像電極として、帯電インク滴が通過する貫通孔を囲むように配置したリング状の第1の画像電極と、該第1の画像電極のインク滴飛翔方向上流側で帯電インク滴が通過する貫通孔を間に挟み込むように対向させて配置した第2の画像電極及び第3の画像電極とを設け、
    上記回収容器に回収する帯電インク滴が飛翔しているときに、該第1の画像電極及び該第2の画像電極に該帯電インク滴の帯電極性と同じ極性の電圧を印加し、該第3の画像電極に該帯電インク滴の帯電極性とは逆極性の電圧を印加することを特徴とする画像形成装置。
  27. 請求項2の画像形成装置において、
    上記回収容器に回収する帯電インク滴を上記インク滴飛翔制御部材の表面に沿った方向に偏向させる向きの電界を形成するための一対の回収電極を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  28. 請求項2の画像形成装置において、
    上記回収電極を、上記画像電極とともに同一部材上に形成したことを特徴とする画像形成装置。
  29. 請求項2の画像形成装置において、
    上記画像電極による制御電界形成領域を通過した帯電インク滴が画像形成対象物に向かう飛翔経路と、上記回収電極との間に、シールド電極を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  30. 請求項の画像形成装置において、
    上記貫通孔を囲むように配置した補助電極と、上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための電圧を該補助電極に印加する電源とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
  31. 請求項3の画像形成装置において、
    上記補助電極を、上記画像電極とともに同一部材上に形成したことを特徴とする画像形成装置。
  32. 上記補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設けた請求項3の画像形成装置であって、
    上記インク容器から吐出した帯電インク滴が上記画像電極によって形成される制御電界形成領域に到達するまでの飛翔経路において、該インク滴を加速する向きの電界が形成されないように、上記補助電極の形状、配置及び印加電圧を設定したことを特徴とする画像形成装置
  33. 求項の画像形成装置において、
    上記インク滴減速手段として、上記貫通孔に向かう帯電インク滴を減速する向きの電界を形成する電界形成手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  34. 請求項3の画像形成装置において、
    上記電界形成手段を、上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔経路に沿って並べて設けた一対の減速電極と、該帯電インク滴を減速する向きの電界を形成するための電圧を該一対の減速電極の間に印加する電源とを用いて構成したことを特徴とする画像形成装置。
  35. 上記インク滴吐出手段を、上記インク容器のノズル孔から吐出しようとするインク滴を挟むように配置した帯電電極を用いて構成した請求項3の画像形成装置であって、
    上記一対の減速電極のうち上記インク容器のノズル孔に近い減速電極として、上記帯電電極を兼用したことを特徴とする画像形成装置。
  36. 上記帯電インク滴の偏向を補助する電界を形成するための補助電極を、上記画像電極よりも上記インク容器のノズル孔に近い位置に設けた請求項3の画像形成装置であって、
    上記一対の減速電極のうち上記画像電極に近い減速電極として、上記補助電極を兼用したことを特徴とする画像形成装置。
  37. 請求項3の画像形成装置において、
    上記一対の減速電極のうち上記画像形成対象物に近い減速電極として、上記画像電極を兼用したことを特徴とする画像形成装置。
  38. 請求項の画像形成装置において、
    上記画像形成対象物に対して上記画像電極とは反対側から対向する位置に配置した対向電極と、上記帯電インク滴の帯電極性とは逆極性の電圧を該対向電極に印加する電源とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
  39. 請求項の画像形成装置において、
    上記画像電極と上記画像形成対象物との間の上記帯電インク滴の飛翔を妨げない位置に該インク滴の飛翔経路を挟むように配置した一対の偏向電極と、該画像形成対象物に付着する該インク滴を偏向する向きの電界を形成するための電圧を該偏向電極に印加する電源とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
  40. 請求項39の画像形成装置において、
    上記画像電極による制御電界の強度を、上記偏向電極による偏向電界の強度よりも強くしたことを特徴とする画像形成装置。
  41. 請求項39の画像形成装置において、
    上記一対の偏向電極の一方を接地し、もう一方に上記帯電インク滴の帯電極性と逆極性の電圧を印加したことを特徴とする画像形成装置。
  42. 請求項39の画像形成装置において、
    上記偏向電極を、上記画像電極とともに同一部材上に形成したことを特徴とする画像形成装置。
  43. 請求項の画像形成装置において、
    上記画像電極の上記インク容器側及び上記画像形成対象物側に、シールド電極を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  44. 上記シールド電極を接地し、上記画像電極として、上記貫通孔を間に挟んで対向するように配置した一対の画像電極を用いた請求項4の画像形成装置であって、
    該一対の画像電極の一方を接地し、もう一方に上記帯電インク滴の帯電極性と同極性の電圧を印加したことを特徴とする画像形成装置。
  45. 請求項4の画像形成装置において、
    上記シールド電極を、上記画像電極とともに同一部材上に形成したことを特徴とする画像形成装置。
  46. 請求項の画像形成装置において、
    上記インク容器から上記貫通孔に向かう帯電インク滴の飛翔経路を囲むように、該帯電インク滴を該貫通孔内に収束する電界を形成するための収束電極を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  47. 請求項46の画像形成装置において、
    上記収束電極の内径が上記画像電極の内径よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
  48. 上記画像電極の上記収束電極側に、接地したシールド電極を設けた請求項46の画像形成装置であって、
    上記収束電極を接地したことを特徴とする画像形成装置。
  49. 上記インク滴吐出手段を、上記インク容器のノズル孔から吐出しようとするインク滴を挟むように配置した帯電電極を用いて構成した請求項46の画像形成装置であって、
    上記インク容器のノズル孔から吐出した帯電インク滴が上記画像形成対象物上の所定位置に到達して付着するように、上記帯電電極と上記収束電極との間に電位差を形成したことを特徴とする画像形成装置。
  50. 請求項4乃至49のいずれかの画像形成装置において、
    上記各電極の少なくとも一つをフレキシブルプリント回路(FPC)部材上に形成したことを特徴とする画像形成装置。
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