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JP4055835B2 - ゴルフクラブの分類方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブの分類方法に関し、更に詳しくは、同一番手からなる複数本のゴルフクラブをスウィングタイプ別に分類するゴルフクラブの分類方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ゴルファーは、そのスウィングの特徴から、以下の2つに大別される。一つは、図7に示すように、スウィング初期Aから手首11を返すことで、ゴルフクラブシャフト12を撓らせながらクラブヘッド13をスウィング中心Oに対して比較的大きな略円弧Xを描いてスウィングするタイプの、所謂‘スウィンガー’と称されるゴルファーである。
【0003】
もう一つは、図8に示すように、スウィング初期には手首11を返さずに、クラブヘッド13をスウィング中心Oに対して比較的小さな略円弧Yを描きながらスウィングし、インパクト期Jに手首を大きく返しながらヘッドスピードを加速してスウィングするタイプの、所謂‘ヒッター’と称されるゴルファーである。
従来、このようにスウィングの特徴に適するようにゴルフクラブを分類する基準として、ゴルフクラブシャフト全体の曲げ剛性特性を示すフレキシビリティやキックポイントが用いられている。フレキシビリティが大きい、即ち、比較的柔らかいゴルフクラブシャフトのゴルフクラブをスウィンガー向け、フレキシビリティが小さい、即ち、比較的硬いゴルフクラブシャフトのゴルフクラブをヒッター向けとしたり、キックポイントがよりチップ端側でチップ端側の曲げ剛性が小さいゴルフクラブシャフトをもつゴルフクラブをスウィンガー向け、キックポイントがよりバット端側でチップ端側の曲げ剛性が大きいゴルフクラブシャフトをもつゴルフクラブをヒッター向けとして分類している。
【0004】
ゴルフクラブメーカーは、同一番手でゴルフクラブシャフトの特性が互いに異なる2種類以上のゴルフクラブ群を同一ブランドを付して販売する時、このゴルフクラブ群からスウィンガーやヒッターが自己の特徴に合わせて選択し易いように、各ゴルフクラブに文字、模様等のマークを付して分類するようにしている。
しかし、上述したフレキシビリティやキックポイントを用いた分類方法では、スウィンガーとヒッターとがそれぞれの打法を十分に生かせるような分類になっていないため、必ずしも満足させるものとは限らなかった。
【0005】
即ち、フレキシビリティやキックポイントの分類法では、スウィングのスピードや弾道の特徴を基に物理的に適切とされる特性を備えたシャフトをもつゴルフクラブを、スウィングタイプの特徴から予測されるスウィングのスピードや経験的に知られている弾道の特徴に置き換えて分類したものである。ゴルファーの感性を考慮したり、スウィング過程におけるシャフトの変形を分析、考慮したものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、同一番手からなる複数本のゴルフクラブをゴルファーのスウィングタイプの特徴に最適に分類できるようにしたゴルフクラブの分類方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、補強繊維をシャフト軸方向に斜めに配列する複数のバイアス層と、補強繊維をシャフト軸方向に平行に配列する複数のストレート層とを、バット端程太径のテーパー円管状に巻回成形したゴルフクラブシャフトをバット端から10 mm と280 mm の2点で水平に支持し、ゴルフクラブシャフトのチップ端からバット端側に30 mm の位置Uに1.5 kgf の荷重を加えた時の位置Uにおける撓み量の差を5mm以内にしたゴルフクラブシャフトを有する同一番手のゴルフクラブ群を分類する方法であって、ゴルフクラブのゴルフクラブシャフトにおいて、各ストレート層がシャフト全長にわたって同一厚さの構成になっていると仮定した時のシャフト曲げ剛性分布曲線を基準曲線とし、該基準曲線にバット端から300mmの位置Qで引いた接線に対し、該位置Qよりバット端側のバット側部分のシャフト曲げ剛性分布曲線が前記接線以下の領域にのみあるゴルフクラブシャフトをもつゴルフクラブをスウィンガー用、前記接線より高い領域にのみあるゴルフクラブシャフトをもつゴルフクラブをヒッター用に分類することを特徴とする。
【0008】
本発明者の検討した結果によれば、スウィンガーの場合は、スウィング初期に手首を返すために、インパクト前のスウィング過程においてゴルフクラブヘッドに作用する慣性力の方向がシャフトに対してより垂直方向に近くなる。そのため、シャフトのバット側、即ち、直接ゴルファーがクラブを握るグリップ付近に撓みを生じる。ゴルファーはこのシャフトの撓りを手元に感じつつスウィングをコントロールするため、撓りを感知し易いゴルフクラブが良い。他方、ヒッターの場合は、インパクト直前にグリップ部分を力点として手首を返すことでインパクト時のヘッドのスピード、打撃エネルギーを最大にしようとする。そのため、安定して大きな力を伝え易いゴルフクラブが良い。従来の分類では、このような要求に十分対応できてはいなかったのである。
【0009】
本発明では、上述のようにフレキシビリティを略同一(撓み量の差を5mm以内)にした一組のゴルフクラブシャフトをもつゴルフクラブ群において、バット端から300mmのバット側部分のシャフト曲げ剛性分布を、基準曲線の位置Qで引いた接線に対して低くしたシャフトをもつクラブをスウィンガー用に分類したので、グリップ付近のシャフト曲げ剛性が比較的低くなるため、スウィンガーがその撓りを手元で感覚し易くなる。その結果、スウィングのタイミング、強弱をイメージ通りにしたショットができる。他方、上記接線より高くしたシャフトをもつゴルフクラブをヒッター用に分類したので、グリップ付近のシャフト曲げ剛性が比較的高くなるため、ヒッターがインパクト時のヘッドの加速を安定して行うことができる。そのため、ショット時に可及的に大きな打撃エネルギーをゴルフボールに与えることが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
ゴルフクラブシャフトは、一般にグリップが取り付けられるバット端側程外径を太く、ヘッドが取り付けられるチップ端側程細くするようなテーパ状に形成されている。そのクラブシャフトが繊維強化樹脂からなる場合には、繊維強化樹脂シートの強化繊維が一方向に引き揃えられているため異方性を有している。補強繊維をシャフト軸方向に斜めに配列するバイアス層は、シャフト軸に対して剪断方向の剛性、すなわち捩じれ剛性を支配するように設計されている。他方、補強繊維をシャフト軸方向に平行に配列するストレート層は曲げ剛性を支配するように設計されている。バイアス層が曲げ剛性に及ぼす影響は全体の一割程度である。
【0011】
バイアス層においてはチップ端側の肉厚(層数)を大きくし、バット端側の肉厚(層数)を小さくしたものは従来行われている。しかし、ストレート層に関しては曲げ剛性の周方向での均一性を保つため、チップ端側とバット端側の肉厚(層数)を一定としていた。
【0012】
従来、このようにストレート層の肉厚をチップ端からバット端まで同じ一定の厚さにした炭素繊維等を用いた繊維強化樹脂シャフトは、スウィングの撓りをグリップで感知し、その感知した撓りでスウィングスピード(ヘッドスピード)をコントロールすることにより弾道や飛距離をイメージ通りにする打球を行うスウィンガーにとっては、グリップで撓りを感覚することが非常に難しく、イメージ通りの弾道や飛距離を得ることができずにミスショットになることが多い。それに対して、インパクト期にヘッドスピードの加速をコントロールすることにより弾道や飛距離をイメージ通りにする打球を行うヒッターにとっては、グリップ部が安定するので、より強いインパクトができて飛距離が増加し、かつショットが安定し易い。
【0013】
本発明者がこれらの点を検討した結果、繊維強化樹脂シャフトの曲げ剛性は、EI(但し、E:弾性率、I:シャフトの断面2次モーメント)の式で表され、この式から、肉厚が一定の場合、チップ端から距離xの点における曲げ剛性は、シャフト中央域に対しバット端部の方が増加率が大幅に高くなることが原因であることが判った。
【0014】
即ち、バイアス層とストレート層とを巻回積層したテーパ構造の繊維強化樹脂シャフトでは、シャフト曲げ剛性にストレート層が大きく影響し、バイアス層の関与は非常に小さい。そこで、ストレート層に基づく曲げ剛性によって繊維強化樹脂シャフトの曲げ剛性が実質的に支配されるとの前提に立って、その曲げ剛性分布を考えると、曲げ剛性分布を計算する式は、下記の式▲1▼により表される。但し、繊維強化樹脂シャフトは、基本的な形状である単一テーパー(距離xの一次式で外径が増加)を有する場合を例にとる。従って、シャフト外径D0 は、D0 =ax+b(但し、xはチップ端からバット端側に向けてシャフト軸に平行な距離)で表される。また、tはストレート層の肉厚である。
【0015】
Figure 0004055835
このように距離xの点におけるシャフト曲げ剛性は距離xの3次式で表され、バット端側程、大きく増加する。
【0016】
従って、本発明者は、ゴルファーが感知する手元側におけるシャフト曲げ剛性に着目した。即ち、ゴルフクラブを握る位置は、バット端から約170mmまでの区間であり、更にダウンスウィング中に重要となる左手(右ききの場合)が強く握る部分(中指とくすり指)は、バット端から60〜70mmの領域である。スウィンガーは、この中指とくすり指でシャフトの撓りを手元に感じつつスウィングするため、このバット端からチップ端側に70mmまでのバット端側部においてシャフト曲げ剛性を低くする必要があることがわかった。他方、ヒッターは、インパクト時のヘッドの速度、打撃エネルギーを最大にしようとするため、このバット端側部も含めてグリップ部における曲げ剛性が高い方がよいのである。
【0017】
そこで、鋭意研究したところ、繊維強化樹脂シャフトにおいて、ストレート層の少なくともバット端からチップ端側に300mmの位置Qからバット端までの領域にバット端側に向けて徐々に幅が拡大する欠落部を設けて、手元側におけるシャフト曲げ剛性を低下させることにより、スウィンガーが撓りをグリップ部分で感知し易くすることができるのがわかった。他方、欠落部を位置Qよりバット端側に設けた繊維強化樹脂シャフトは、スウィンガーにとってもヒッターにとってもショットし難く、欠落部を設けていない繊維強化樹脂シャフトがヒッターにとってグリップ部が安定するため、ショットし易いことがわかった。
【0018】
更に検討した結果、同一番手のクラブからなるゴルフクラブ群において、各ゴルフクラブシャフトの各ストレート層をシャフト全長にわたって同一厚さに構成したと仮定した時のシャフト曲げ剛性分布曲線を基準曲線とし、その基準曲線にバット端から300mmの位置Qで引いた接線に対し、位置Qよりバット端側のバット側部分のシャフト曲げ剛性分布が接線以下の領域にのみあるものをスウィンガー用に、接線より高い領域にのみあるものをヒッター用に分類するのがよいことがわかった。但し、その際、同じスウィングスピード(ヘッドスピード)で打った際のインパクト時の各シャフトの撓り量を略同じにするため、ゴルフクラブ群のクラブの各シャフトのフレキシビリティは実質的に同一にする必要がある。
【0019】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、G1,G2はそれぞれ同一番手のゴルフクラブを示し、この例では2本のウッドゴルフクラブG1,G2からゴルフクラブ群Gが構成されている。各ゴルフクラブG1,G2は、繊維強化樹脂製ゴルフクラブシャフトSのバット端側にグリップ3が装着され、チップ端側にクラブヘッド4が取り付けられている。ゴルフクラブG1,G2のグリップ3とクラブヘッド4は同じものである。Mはスウィング形態の異なるタイプ別にゴルフクラブG1,G2を分類するためのマークであり、各ゴルフクラブシャフトSに貼り付けられている。
【0020】
ゴルフクラブG1,G2の各ゴルフクラブシャフトS1,S2は、図2,3に示すように、補強繊維fをシャフト軸方向に斜めに配列した6層のバイアス層からなるバイアス層群1A,2A、補強繊維fをシャフト軸方向に平行に配列した4層のストレート層からなるストレート層群1B,2B、補強繊維fをシャフト軸方向に平行に配列した1層の先端補強層1C,2C、及び先端パラレル部を構成するための、補強繊維fをシャフト軸方向に平行に配列した三角形状の1枚のパラレル補強層1D,2Dとからそれぞれ構成され、シャフト全長Lが同じになっている。
【0021】
各バイアス層群1A,2Aは、図2(c) と図3(c) に示すように、シャフト軸方向に対する補強繊維fの傾斜方向を逆向きにして交差するようにした2枚の同じ厚さのバイアス層片1A1,1A2と2A1,2A2を図2(b) と図3(b) に示すようにそれぞれ3周巻き付けた構成になっている。
シャフトS1のストレート層群1Bは、各1層のストレート層1B1,1B2,1B3,1B4 が1周分の巻付け幅を有するように構成され、各ストレート層は、チップ端Tからバット端Bまでのシャフト全長Lにわたって補強繊維を有する同じ厚さになっている。
【0022】
他方、シャフトS2のストレート層群2Bは、各1層のストレート層2B1,2B2,2B3,2B4 が、バット端Bよりチップ端T側に300mmの位置Qからチップ端T側の区間では1周分の巻付け幅を有するように構成されている。しかし、位置Qからバット端Bまでのバット側部分B1では、バット端Bに向けて徐々に欠落する幅が拡大する欠落部e1,2,3,4 をそれぞれ有し、1周分の巻付け幅にはなっていない。各ストレート層2B1,2B2,2B3,2B4 は、その欠落部e1,2,3,4 がシャフト周方向に実質的に等間隔で分散するようにして積層され、ストレート層群2Bの肉厚がバット側部分B1においてバット端Bに向かうにつれて次第に薄くなっている。欠落部e1,2,3,4 をシャフト周方向に略等間隔に配置することにより、バット端側の周方向における肉厚変動を小さくし、局部的に強度が大きく低下するのを防止している。
【0023】
各シャフトS1,S2は、シートラッピング法により、それぞれバイアス層群1A,2Aの外周側にストレート層群1B,2Bが巻回積層され、その外周側のチップ端部T1に先端補強層1C,2Cが巻き回され、更にその先端補強層外側にパラレル補強層1D,2Dが巻回された構成になっている。
上述したシャフトS1,S2において、バイアス層群1A,2Aとストレート層群1B,2Bとからなるシャフト本体1Z,2Zは、それぞれバット端B側程太径のテーパ付き円管に形成されている。そのテーパー比率は6/1000〜15/1000になっている。
【0024】
また、シャフトS1,S2は、フレキシビリティが略同一となるようにしている。即ち、シャフトS1は、各1層のストレート層1B1,1B2,1B3,1B4 が肉厚を同じにした同一構成になっている。それに対して、欠落部e1,2,3,4 を設けたシャフトS2は、3,4層目の各ストレート層2B3,2B4 がシャフトS1の各ストレート層と同じ肉厚になっているが、1,2層目の各ストレート層2B1,2B2 はそれよりも厚肉に構成され、シャフト中央域での曲げ剛性分布をシャフトS2の方がシャフト1のそれより高くしている。このような構成の採用により、シャフトS1,S2のフレキシビリティを略同じにしている。フレキシビリティを各シャフトで実質的に同等となるようにすることで、同じスウィングスピード(ヘッドスピード)で打った際のインパクト時の各シャフトの撓り量を略同じにしている。このフレキシビリティがシャフト間で異なると、スウィングタイプの特徴に最適に分類することができなくなる。
【0025】
上述した構成のシャフトS1,S2のシャフト曲げ剛性分布の一例を図4に示す。実線で示す線mがシャフトS1、破線で示す線kがシャフトS2の曲げ剛性分布である。
シャフトS1では、チップ端Tからバット端Bまでのシャフト全長Lにおいて、補強層1C,1Dを設けたチップ端部T1の範囲ではそれぞれの挿入位置に応じて曲げ剛性が増減するが、チップ端部T1よりもバット端B側の部分では前述した▲1▼式のように実質的に3次曲線で漸増している。
【0026】
他方、シャフトS2では、ストレート層2B1,2B2,2B3,2B4 の欠落部e1,2,3,4 が開始する位置Qまでの区間では、曲げ剛性が曲線mと同様に、チップ端部T2の区間で増減し、チップ端部T2よりバット端B側の区間で3次曲線的に漸増している。位置Qよりバット端Bまでのバット側部分B1では、位置Qを変曲点として、増加率を小さくして漸増し、グリップ側のシャフト曲げ剛性を低く抑えるようになっている。
【0027】
シャフトS1,S2は、同じシャフト長さで、フレキシビリティを略同一にした同一番手に使用されるシャフトであるが、このようにシャフト曲げ剛性分布が異なっている。
【0028】
本発明では、上述したようにシャフト曲げ剛性分布が互いに異なる2本を一組とし、フレキシビリティを略同一にした各シャフトS1,S2をもつ同一番手のゴルフクラブからなるゴルフクラブ群Gにおいて、各ストレート層をシャフト全長にわたって同一厚さに構成したと仮定した時のバイアス層とストレート層とからなるシャフト本体のシャフト曲げ剛性分布曲線を基準曲線とする。即ち、シャフトS1の基準曲線は、補強層1C,1Dを配置したチップ端部T1の区間以降において、その曲げ剛性分布曲線mに一致している。シャフトS2の基準曲線は、補強層2C,2Dを配置したチップ端部T1の区間以降から位置Qまではその曲げ剛性分布曲線kに一致し、それ以降のバット側部分B1では点線で示す曲線hになる。
【0029】
その各基準曲線に対し、バット端Bからチップ端T側に300mmの位置Qでそれぞれ接線j,nを引き、その接線j,nに対し、位置Qよりバット端B側のバット側部分B1の曲げ剛性分布曲線m1,k1がそれぞれの接線j,n以下の領域にあるシャフトを、図7に示すスウィング初期Aから手首11を返して打つスウィンガー用、接線j,nより高い領域にあるシャフトを、図8のようにインパクト期Iに手首11を大きく返して打つヒッター用とする。そして、それを表示するマークMをそのシャフトに付してゴルフクラブ群を分類するのである。上述したシャフトS1,S2をもつゴルフクラブG1,G2からなる群では、ゴルフクラブG1がヒッター用、ゴルフクラブG2がスウィンガー用となる。
【0030】
このようにゴルファーが感知する手元側のシャフト曲げ剛性を低くしたゴルフクラブシャフトを有するゴルフクラブをスウィンガー用として分類することにより、ダウンスウィング中にシャフトの撓み具合がゴルファーの手元(バット端Bから70mmまでのバット端側部B2)で感知し易くなる。従って、飛距離のコントロールを容易にすることができるため、スウィンガーにとって打ち易いゴルフクラブとなる。
【0031】
他方、ゴルファーが感知する手元側のシャフト曲げ剛性を硬くしたゴルフクラブシャフトを有するゴルフクラブをヒッター用として分類することで、インパクト期にシャフトの撓りによる不安感を持つことなくスウィングできる。そのため、ヘッドスピードの加速が安定して行え、ヒッターにイメージ通りの弾道や飛距離を得ることができるようになる。
【0032】
このように分類することで、同一番手の複数のゴルフクラブシャフトS1,S2を有するゴルフクラブ群Gを従来の特性判定方法とは独立した評価でゴルファーのスウィングタイプ(スウィンガーとヒッター)の打法にそれぞれ適するように分類できる。
【0033】
図5は、本発明のゴルフクラブ群の他の例であり、同一番手のアイアンゴルフクラブG’1,G’2からなるゴルフクラブ群G’である。図において、S’1,S’2は、バイアス層とストレート層とを少なくとも有する繊維強化樹脂製のゴルフクラブシャフト、3’はグリップ、4’はクラブヘッド、M’はスウィング形態の異なるタイプ別に分類したマークである。このようなアイアンゴルフクラブ群G’であっても、上記のように分類することにより、スウィングタイプの打法にそれぞれ適するように分類することができる。
【0034】
本発明において、各ゴルフクラブシャフトの曲げ剛性分布は、各シャフトの積層構成がわかっていれば材料力学における異方性理論を用いて求めることができる。勿論、FEM(有限要素法:対称物を有限個の微小要素に分割し、各要素が互いに連結しているものと考え、それぞれの要素の物理特性を力学的に解く方法)によって求めるようにしてもよい。
【0035】
また、積層構成が不明な場合には、例えば、三点曲げ試験の結果から各位置(力点)に於ける曲げ剛性EIを求め、それらをプロットすることによって曲げ剛性分布を求めるようにすればよい。その場合、その支点間距離(スパン)としては、150mm〜50mmにするのがよい。上記それぞれの方法による測定ではEIの絶対値が異なり、特に三点曲げではスパンを短くすると値が高くなるが、本発明における分類には何ら影響しない。
【0036】
ちなみに、三点曲げ試験の結果からEIを求める式は下記の通りである。
Figure 0004055835
【0037】
また、本発明におけるフレキシビリティとは、図6に示すように、バット端Bから10mmと280mmの2点で支持具K1,K2によりシャフトSを水平に支持し、チップ端Tから30mmの位置Uに1.5kgf の荷重Wを加える。その時の荷重作用点の位置UにおけるシャフトSの撓み量c(mm)を測定するものである。また、本発明で言うフレキシビリティが略同一とは、上記撓み量cの相違が5mm以内のことである。
【0038】
また、本発明におけるフレキシビリティとは、図6に示すように、バット端Bから10mmと280mmの2点で支持具K1,K2によりシャフトSを水平に支持し、チップ端Tからバット端側に30mmの位置Uに1.5kgf の荷重Wを加える。その時の荷重作用点の位置UにおけるシャフトSの撓み量c(mm)を測定するものである。また、本発明で言うフレキシビリティが略同一とは、上記撓み量cの相違が5mm以内のことである。
【0039】
また、各ゴルフクラブシャフトS1,S2において、バイアス層とストレート層の積層数は、それぞれ上記実施形態では使用材料が同じという前提で同数にしたが、フレキシビリティを略同一にして同一番手に使用されるシャフトであれば、積層数が異なっていてもよい。
上記実施形態では、2本のゴルフクラブからなるゴルフクラブ群について説明したが、複数本のゴルフクラブからなるゴルフクラブ群であればよく、その本数は特に限定されない。
【0040】
上記ゴルフクラブ群において、上述したバイアス層群1A,2Aとストレート層群1B,2Bを構成するのマトリクス樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂などの熱可塑性樹脂を使用することができる。好ましくは、エポキシ樹脂がよい。
【0041】
バイアス層群とストレート層群の補強繊維fに用いられる繊維としては、従来と同様のものが使用可能であり、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維などを挙げることができる。好ましくは、比強度、比弾性率に優れた炭素繊維がよい。
【0042】
また、上記のようにスウィンガーに分類されるクラブのゴルフクラブシャフトS2のシャフト構造としては、以下のようにすることができる。即ち、欠落部e1,2,3,4 は、ストレート層2Bの少なくともバット端側部B1にシャフト周方向に実質的等間隔に分布させて設けられる。この欠落部e1,2,3,4 を設ける位置が位置Qよりもバット端Bに向かう程、スウィンガーがグリップ部でのシャフトの撓りを感知し難くなる。また、位置Qよりバット端B側に欠落部e1,2,3,4 を設けて、シャフトの撓りを感知し易いようにシャフト曲げ剛性を低くすると、シャフト曲げ剛性を大きく変化させることになるので、その部分に応力集中を招き、シャフトが破損する危険があるため、好ましくない。
【0043】
欠落部e1,2,3,4 は、その欠落開始端es がチップ端Tからシャフト全長Lの40%の位置となるところから設けることができ、その欠落開始端es をチップ端Tからシャフト全長Lの40%の位置と位置Qの間に配置することができる。欠落部e1,2,3,4 をチップ端Tからシャフト全長Lの40%の位置よりチップ端T側から設けると、シャフト先端部分に取り付ける補強層によるシャフト重心位置やキックポイント等の調整が難しくなり、設計の自由度が大きく損なわれるので、好ましくない。
【0044】
欠落部を設けることにより低くしたバット側部分B1のシャフト曲げ剛性分布は、図4に示すように、連続してバット端Bまで漸増しているのが好ましいが、それに限定されず、シャフト曲げ剛性の許す範囲で、連続的に漸減したり、曲げ剛性を同じ値にした横軸と水平な分布直線となるようにしてもよい。
欠落部e1,2,3,4 は、シャフトS2のバット端Bにおける曲げ剛性が、欠落部がないストレート層を有するシャフトのバット端の曲げ剛性に対して、20〜50%低くなるように設けることができる。
【0045】
上記実施形態では、各ストレート層2B1,2B2,2B3,2B4 に1つの欠落部e1,2,3,4 をそれぞれ設けた例を示しているが、欠落部をシャフト周方向にバランスして配置するため、少なくとも3層のストレート層に上述したような欠落部を形成するようにすればよい。また、欠落部は、それが設けられた各ストレート層に1つ以上設けてもよい。ストレート層群2Bは、少なくとも3層のストレート層を有するものであればよい。
【0046】
【実施例】
実施例1
図2,3示す構成の2種類の試験シャフト1,2をそれぞれ作製し、それに同じグリップとクラブヘッドを装着して1番ウッドゴルフクラブからなる2本の試験クラブ1,2をそれぞれ作製した。
【0047】
各試験シャフト1,2の構成は以下に示す通りであり、試験シャフト1はバット側部分のシャフト曲げ剛性分布曲線が上述した接線より高い領域にあり、試験シャフト2は接線以下の領域にある。また、それらの物理的特性を表1に示す。なお、両試験シャフトのバイアス層は共に同一構成である。
【0048】
試験シャフト1
構造:シャフトS1
バイアス層群とストレート層群のマトリクス樹脂:エポキシ樹脂
バイアス層群とストレート層群の補強繊維:炭素繊維
各ストレート層の補強繊維の弾性率:24 ton/mm2
各ストレート層の繊維目付け :125g/m2
各ストレート層の繊維含有率 :67%
先端補強層:チップ端から400mmの位置まで配置
パラレル補強層:チップ端から170mmの位置まで配置
チップ端内径:4.5mm
チップ端外径:8.5mm
バット端内径:12.9mm
バット端外径:15.3mm
シャフト全長L:1145mm
シャフト質量:73.9g
【0049】
試験シャフト2
構造:シャフトS2
1,2層目の各ストレート層の繊維目付け:150g/m2
3,4層目の各ストレート層の繊維目付け:125g/m2
欠落部:バット端からチップ端側に300mmの位置からバット端まで
先端補強層:チップ端から250mmの位置まで配置
パラレル補強層:チップ端から160mmの位置まで配置
バット端外径:15.4mm
シャフト質量:74.2g
他の構成は上記試験シャフト1と同じである。
【0050】
【表1】
Figure 0004055835
【0051】
上記試験クラブを以下に示す測定条件により、実打フィーリング試験を行い、各ゴルファーのイメージ通りの弾道が得られるかどうかの評価を行ったところ、表2に示す結果を得た。
【0052】
実打フィーリング試験
多数のゴルファーのスウィングを高速VTRで撮影した中から、そのスウィングタイプが典型的なスウィンガーとヒッターであると判断できるゴルファー各5人を選出した。各ゴルファーにより両試験クラブ1,2でゴルフボールをそれぞれ試打した。その結果を、それぞれがイメージする弾道、感覚が得られたか否かで評価した。○は得られたことを示し、×は得られなかったことを示す。
【0053】
【表2】
Figure 0004055835
【0054】
表2から明らかなように、バット側部分のシャフト曲げ剛性分布が基準曲線の位置Qでの接線より高い領域にある試験クラブ1はヒッター用、接線以下の領域になる試験クラブ2はスウィンガー用であると分類できることが判る。
【0055】
実施例2
実施例1の試験シャフト2において、バット端から測定した欠落部の欠落開始端位置を表3のように変えた試験シャフト3〜7を作製し、それに同じグリップとクラブヘッドを装着して1番ウッドゴルフクラブからなる5本の試験クラブ3〜7をそれぞれ作製した。
【0056】
各試験シャフトにおいて、フレキシビリティは試験シャフト2と略同一であり、またキックポイント、捩れ角、重心位置も試験シャフト2と実質的に同一である。また、各試験シャフトのバット端におけるシャフト曲げ剛性の低下は、いずれも、欠落部がないシャフトのバット端におけるシャフト曲げ剛性に対して、20%低下している。
【0057】
これらの試験クラブを実施例1に示す測定条件により、実打フィーリング試験を行い、各ゴルファーのイメージ通りの弾道が得られるかどうかの評価を行ったところ、表3に示す結果を得た。
【0058】
【表3】
Figure 0004055835
【0059】
表3から、欠落部の欠落開始位置を少なくともバット端からチップ端側に300mmの位置にすればよいことが判る。欠落部の欠落開始位置をバット端からチップ端側に200mmの位置とした試験クラブ3は、バット側部分におけるシャフト曲げ剛性がチップ端から300mmの位置Qに引いた接線に対し、両領域にまたがるため、スウィンガー、ヒッター共にイメージ通りの弾道が得られないことが判る。なお、欠落部の欠落開始位置をシャフトチップ端からシャフト全長の40%の位置よりチップ端側の700mmの位置にした試験シャフトを、上記試験シャフトと物理的特性を略同一にして作製しようとしたが、作製ができなかった。
【0060】
【発明の効果】
上述したように本発明は、同一番手の複数本のゴルフクラブからなるゴルフクラブ群において、各ゴルフクラブシャフトのフレキシビリティを略同一にし、バット側部分のシャフト曲げ剛性分布を基準曲線の位置Qで引いた接線を境に、柔らかくしたシャフトをもつゴルフクラブをスウィンガー用、硬くしたシャフトをもつゴルフクラブをヒッター用に分類したので、スウィンガーとヒッターの打法にそれぞれ適するように分類することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分類方法で分類されるゴルフクラブ群の一例を示す正面図である。
【図2】 本発明の分類方法で分類されたゴルフクラブ群において、ヒッター用のゴルフクラブに用いられるゴルフクラブシャフトの一例を示し、(a)は理解を容易にするため、径方向長さに対してシャフト軸方向長さを縮尺して示す縦断面図、(b)は(a)のV1−V1矢視方向から見た断面を理解を容易にするため、シャフト中空部を縮尺して示す一方、シャフト肉厚部分を拡大して示す断面図、(c)はそれぞれの層を展開して示す分解図である。
【図3】 本発明の分類方法で分類されたゴルフクラブ群において、スウィンガー用のゴルフクラブに用いられるゴルフクラブシャフトの一例を示し、(a)は理解を容易にするため、径方向長さに対してシャフト軸方向長さを縮尺して示す縦断面図、(b)は(a)のV2−V2矢視方向から見た断面を理解を容易にするため、シャフト中空部を縮尺して示す一方、シャフト肉厚部分を拡大して示す断面図、(c)はそれぞれの層を展開して示す分解図である。
【図4】 図2と図3のゴルフクラブシャフトのシャフト曲げ剛性分布の一例を示すグラフ図である。
【図5】 本発明の分類方法で分類されるゴルフクラブ群の他の例を示す正面図である。
【図6】 本発明の分類方法で分類されるゴルフクラブ群において、フレキシビリティの測定方法を示す説明図である。
【図7】 スウィンガーのトップからインパクトを越えるまでのスウィングの状態を示す説明図である。
【図8】 ヒッターのトップからインパクトを越えるまでのスウィングの状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1A,2A バイアス層群
1B,2B ストレート層群
1B1,1B2,1B3,1B4,2B1,2B2,2B3,2B4 ストレート層
1Z,2Z シャフト本体
3,3’グリップ
4,4’クラブヘッド
B バット端
B1 バット側部分
G,G’ゴルフクラブ群
G1,G2 ウッドゴルフクラブ
G1',G2' アイアンゴルフクラブ
M,M’マーク
L シャフト全長
S,S1,S2,S’S'1,S'2 ゴルフクラブシャフト
T チップ端
T1 チップ端部
1,e2,e3,e4 欠落部
s 欠落開始端
f 補強繊維

Claims (4)

  1. 補強繊維をシャフト軸方向に斜めに配列する複数のバイアス層と、補強繊維をシャフト軸方向に平行に配列する複数のストレート層とを、バット端程太径のテーパー円管状に巻回成形したゴルフクラブシャフトをバット端から10 mm と280 mm の2点で水平に支持し、ゴルフクラブシャフトのチップ端からバット端側に30 mm の位置Uに1.5 kgf の荷重を加えた時の位置Uにおける撓み量の差を5mm以内にしたゴルフクラブシャフトを有する同一番手のゴルフクラブ群を分類する方法であって、
    ゴルフクラブのゴルフクラブシャフトにおいて、各ストレート層がシャフト全長にわたって同一厚さの構成になっていると仮定した時のシャフト曲げ剛性分布曲線を基準曲線とし、該基準曲線にバット端から300mmの位置Qで引いた接線に対し、該位置Qよりバット端側のバット側部分のシャフト曲げ剛性分布曲線が前記接線以下の領域にのみあるゴルフクラブシャフトをもつゴルフクラブをスウィンガー用、前記接線より高い領域にのみあるゴルフクラブシャフトをもつゴルフクラブをヒッター用に分類するゴルフクラブの分類方法
  2. 前記ゴルフクラブ群のゴルフクラブシャフトはシャフト全長が同一である請求項1に記載のゴルフクラブの分類方法
  3. 前記ゴルフクラブ群は、ゴルフクラブシャフトのバット端側に装着されるグリップとチップ端側に取り付けられるクラブヘッドが同じである請求項1または2に記載のゴルフクラブの分類方法
  4. 前記補強繊維が炭素繊維である請求項1,2または3に記載のゴルフクラブの分類方法
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