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JP4056302B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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JP4056302B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過充電時の安全性と、高温サイクル特性の向上を目的とする非水電解質二次電池の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されている。リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるので、上記のような移動情報端末の駆動電源として広く利用されている。
【0003】
非水電解質二次電池は、通常、リチウム含有遷移金属複合酸化物からなる正極と、黒鉛等の炭素材料からなる負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解した非水電解質とが用いられている。このような電池では、充・放電に伴い、リチウムイオンが正・負極間を移動し、リチウムが金属状態で存在しないため、樹枝状(デンドライト状)リチウムに起因する内部短絡が生じない。従って、安全性に優れる。
【0004】
しかし、このような非水電解質二次電池においても、過充電されると、正極から過剰にリチウムイオンが引き抜かれ、負極に過剰なリチウムイオンが吸蔵されるので、両電極の熱的安定性が低下し、電池特性が劣化するとともに、極端な両極電位により、電解液が分解される。電解液の分解は、ガスの発生とともに、電池の内部抵抗の増大に起因する発熱をもたらす結果、急激に電池内圧が高まり電池の破裂や熱暴走を引き起こす可能性がある。
【0005】
このため、この種の電池には、電流遮断装置を組み込み、過充電電流を遮断する技術が用いられている。しかし、電流遮断装置は電池内圧が上昇したときに作動する機構が採用されているので作動までに時間がかかり、急激な温度上昇等が生じた場合における安全性の確保には不安がある。
【0006】
他方、この問題を解決するため、非水電解質に様々な添加剤を加える試みがなされており、例えば、特開平5−36439号公報では、直鎖状アルキルベンゼン誘導体が添加された非水溶媒を用い、且つ電流遮断装置を備えた非水電解質二次電池が開示されている。この技術では、過充電時に直鎖状アルキルベンゼン誘導体が分解されメタン類を発生し、これが正極より遊離した酸素と反応し、活性な酸素を消費するので、活性な酸素に起因する温度上昇を防止することができるとされている。しかしながら、直鎖状アルキルベンゼン誘導体は、過充電電流を直接遮断する作用や電流遮断装置の応答速度を速める作用がないため、急激な温度上昇に対する安全性は十分ではないという問題がある。
【0007】
また、特開平9−106835号公報には、チオフェン、ビフェニル、フラン等が添加された非水溶媒を用いることにより、過充電を防止する技術が開示されている。この技術によると、これらの化合物は、電池の最大動作電圧以上の電位で重合し、高抵抗の被膜を形成するので、過充電が防止できるとされる。しかしながら、上記化合物は発電性能を低下させる原因となるとともに、120℃以上の高温にならないと重合しないため、高温にならないと電流遮断効果が得られないという問題があった。
【0008】
他方、本発明者は、特開2001−15155号公報において、シクロアルキルベンゼン誘導体またはフェニル基に隣接する第3級炭素を含むアルキルベンゼン誘導体が添加された非水溶媒を用いることにより、過充電を防止する技術を開示した。本発明者の提案にかかる上記添加剤は、過充電時に分解して水素ガスを発生するとともに、分子相互が重合して負極表面に抵抗が高く、非水溶媒に溶解しない安定な被膜を形成する。このため、発生した水素ガスと抵抗の高い被膜とにより、急激な温度上昇の前に内部抵抗が高くなるため、過充電を防止することができる。また電流遮断装置を備えた電池においては、前述した効果に加え、さらに水素ガス発生による内圧上昇により電流遮断装置の応答速度を速める効果も得られる。しかしながら、これらの化合物は、電池が使用されることが想定される高温雰囲気下(40〜60℃)において負極で分解して抵抗の大きい被膜を形成し、これが高温時のサイクル特性が低下させる原因になるという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の事情に鑑みなされたものであって、良好な高温サイクル特性を有し、しかも過充電を防止し得る安全性の高い非水電解質二次電池を提供することを目的とする。さらに、電流遮断装置を備えた電池においては、上記した効果に加え、電流遮断装置の応答性をも高めることができる非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、リチウムイオンを吸蔵、放出する正極と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極と、非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解質と、を含む非水電解質二次電池において、前記非水溶媒が、シクロアルキルベンゼン誘導体を非水溶媒100質量部に対して0.5〜5質量部と、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有し、ベンゼン環に直接結合するシクロアルキル基を有さないアルキルベンゼン誘導体を非水溶媒100質量部に対して0.5〜10質量部と、不飽和環状カーボネート誘導体を非水溶媒100質量部に対して0.5〜10質量部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
シクロアルキルベンゼン誘導体は、シクロアルキル基のα炭素(ベンゼン環に直接結合する炭素)に結合した水素原子の反応性が高く、過充電時にこの水素が引き抜かれやすい。このため、過充電時に負極においてシクロアルキルベンゼン誘導体が急速に分解されて水素ガスを発生するとともに、それ自体は重合して負極表面に安定な被膜を形成する。この被膜は抵抗が大きいので、上記構成によると、発生した水素ガスと抵抗の高い被膜とにより、急激な温度上昇の前に内部抵抗が高くなるため、過充電が抑制される。また電流遮断装置を備えた電池においては、シクロアルキルベンゼン誘導体が分解して発生した水素ガスが電池内圧を高めるので、電流遮断装置の応答性が高まる。
【0012】
さらに、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有し、ベンゼン環に直接結合するシクロアルキル基を有さないアルキルベンゼン誘導体(以下ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体と略すこともある)は、負極表面に吸着して被膜を形成し、前述したシクロアルキルベンゼン誘導体が直接負極に接しないようにする。これにより、シクロアルキルベンゼン誘導体の高温時における分解が抑制されるため、高温サイクル特性の劣化が防止される。
【0013】
また、さらに不飽和環状カーボネートを非水溶媒に添加すると、高温時にシクロアルキルベンゼン誘導体の分解を、一層効果的に抑制できる。なぜなら、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体は主に炭素のベーサル面に吸着するのに対し、不飽和環状カーボネートは異なる負極部位(主に炭素のエッジ面)に吸着されるからである。
【0014】
なお、シクロアルキル基と、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素とを共に有するアルキルベンゼン誘導体は、その理由は定かではないが、主にシクロアルキルベンゼン誘導体として機能する。このため、この化合物については、シクロアルキルベンゼン誘導体の一種として取り扱うこととする。
【0015】
ここで、シクロアルキルベンゼン誘導体の添加量としては、この添加量が非水溶媒100質量部に対して0.5質量部未満であると、十分な過充電防止効果が得られず、5質量部より多いと、負極表面に形成される被膜により抵抗が大きくなる。このため、シクロアルキルベンゼン誘導体の添加量としては非水溶媒100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下とする
【0016】
また、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体の添加量としては、この添加量が非水溶媒100質量部に対して0.5質量部未満であると、負極表面に吸着されて形成される被膜が粗であるため、十分な高温サイクル特性が得られず、10質量部より多いと、負極表面に吸着されて形成される被膜が過密であり、電気抵抗が過大になる。このため、この化合物の添加量が非水溶媒100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下とする
【0017】
また、不飽和環状カーボネート誘導体の添加量としては、0.5質量部未満であると、負極表面に吸着されて形成される被膜が粗であるため、十分な高温サイクル特性が得られず、5質量部より多いと、負極表面に吸着されて形成される被膜が過密であり、電気抵抗が過大になる。このため、不飽和環状カーボネート誘導体の添加量が非水溶媒100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下とする
【0018】
また、シクロアルキルベンゼン誘導体としては、特に限定されないが、例えばシクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンを好適に使用することができる。
【0019】
また、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体としては、特に限定されないが、例えばtert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、tert−ヘキシルベンゼンを好適に使用することができる。
【0020】
また、不飽和環状カーボネート誘導体としては、特に限定されないが、例えば下記化1に示す構造を有する化合物を好適に使用することができる。
【0021】
【化1】
Figure 0004056302
R1、R2はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数6以下のアルキル基を示す。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は下記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
【0023】
図1は本発明の実施の形態に係る非水電解質電池の分解斜視図、図2は図1の外装缶の開口部に備えられる電流遮断封口体の拡大半断面図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の一例に係るリチウムイオン電池は、有底円筒状の外装缶5を有しており、この外装缶5内には、アルミニウムから成る芯体にLiCoO2を主体とする活物質層が形成された正極1と、銅から成る芯体に黒鉛を主体とする活物質層が形成された負極2と、これら両電極1・2を離間するセパレータ3とから成る渦巻き状の電極体4が収納されている。さらに、上記外装缶5内には、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とが質量比で4:6の割合で混合された混合溶媒に、LiPF6が1M(モル/リットル)の割合で溶解された電解液が注入されている。また、上記外装缶5の開口部には、ポリプロピレン(PP)から成る絶縁性の外部ガスケット13aを介して、封口体6がかしめ固定されており、封口体6により電池が密閉される。
【0025】
ここで、上記封口体6は、図2に示すように、アルミニウム合金からなる封止板9を有している。また、封止板9には、PPから成る絶縁性の内部ガスケット13bを介して、中央部が略半円球状を成すアルミニウム合金製の防爆弁8と、PTC素子12と、ガス抜き穴18が設けられた端子キャップ7とがかしめ固定されている。上記防爆弁8は、封口体内部19と電池本体部20(電極体4が収納されている部位)とを区切るものであり、通常状態では、封止板9と電気的に接続される一方、過充電時等の異常時に電池内部の圧力が所定値以上になった場合には、電池内圧により封止板9から離れて、これにより充電が中止される。
【0026】
尚、前記外装缶5には、負極2と電気的に接続された負極集電タブ11が接続される一方、前記封口体6の封止板9には正極集電タブ10が接続され、これにより、電池内で生じる化学的エネルギーを電気的エネルギーとして外部に取り出すことができる。更に前記電極体4の上下両端部近傍には、電池内でのショートを防止するための絶縁板14・15が配置されている。
【0027】
上記電解液には、シクロアルキルベンゼン誘導体と、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有し、且つベンゼン環に直接結合するシクロアルキル基を有さないアルキルベンゼン誘導体とが添加されている。
【0028】
ここで、負極材料としては、天然黒鉛、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、あるいはこれらの焼成体等の炭素質物、または該炭素質物と、リチウム、リチウム合金、およびリチウムを吸蔵・放出できる金属酸化物からなる群から選ばれる1種以上との混合物が使用できる。
【0029】
正極材料としては、リチウム含有遷移金属複合酸化物が単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。具体例として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、鉄酸リチウム、またはこれらの酸化物に含まれる遷移金属の一部を他の元素で置換した酸化物等が使用できる。
【0030】
また、電解液に用いる非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等のリチウム塩の溶解度が高い高誘電率溶媒と、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソール、1,4−ジオキサン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルホルムアミド、スルホラン、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸エチル等の低粘性溶媒とを混合して用いることができる。また、高誘電率溶媒、低粘性溶媒がそれぞれ二種以上の混合溶媒であってもよい。
【0031】
また、電解質塩としては、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO22、LiClO4、LiPF6、LiBF4等を単独で、あるいは2種以上混合して使用することができる。また、これら電解質塩の前期非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.0モル/リットルとすることが好ましい。
【0032】
また、封止板9の材質は上記アルミニウム合金に限定するものではなく、金属アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることもできる。
【0033】
(実施例1)
実施例1に係る非水電解質二次電池を以下のようにして作製した。
コバルト酸リチウム(LiCoO2)からなる正極活物質92質量部と、アセチレンブラックからなる炭素系導電剤5質量部と、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)からなる結着剤3質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを混合し、活物質スラリーとした。
【0034】
この活物質スラリーを、ドクターブレードにより厚み20μmのアルミニウム箔からなる正極芯体の両面に均一に塗布した後、乾燥機中を通過させて乾燥した。この乾燥により、スラリー作製時に必要であった有機溶媒を除去した。次いで、この極板を厚みが0.17mmになるようにロールプレス機により圧延して正極1を作製した。
【0035】
黒鉛からなる負極活物質95質量部と、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)からなる結着剤5質量部と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを混合し、活物質スラリーとした。この活物質スラリーを、ドクターブレードにより厚み20μmの銅箔からなる負極芯体の両面に均一に塗布した後、乾燥機中を通過させて乾燥した。この乾燥により、スラリー作製時に必要であった有機溶媒を除去した。次いで、この極板を厚みが0.14mmになるようにロールプレス機により圧延して負極2を作製した。
【0036】
他方、エチレンカーボネート(EC)40質量部とジエチルカーボネート(DEC)60質量部とを混合した混合溶媒に、電解質塩としてLiPF6を1M(モル/リットル)となるよう溶解し、これにシクロヘキシルベンゼン(CHB)1質量部、tert−アミルベンゼン(t−AB)2質量部を添加し、電解液を作製した。
【0037】
次に、上記正極1と負極2とをポリエチレン製微多孔膜から成るセパレータ3(厚み:25μm)を介して巻回して電極体4を作製した後、この電極体4を絶縁板14と共に外装缶5内に挿入し、更に負極集電タブ11を外装缶5の缶底に溶接した。
【0038】
その後、防爆弁8、PTC素子12、及び端子キャップ7を、内部ガスケット15を介して封止板9にかしめ固定して、封口体内部20を封止した。しかる後、正極集電タブ10を封口板6に溶接すると共に、上記のように作製した電解液を外装缶5内に注入した後、外部ガスケット13aを介して、封口板6を外装缶5の開口端部にかしめ固定することにより、公称容量1500mAhである実施例1に係る本発明電池A1を作製した。
【0039】
(実施例2)
シクロヘキシルベンゼンの添加量を0.5質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2に係る本発明電池A2を作製した。
【0040】
(実施例3)
シクロヘキシルベンゼンの添加量を5質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例3に係る本発明電池A3を作製した。
【0041】
(実施例4)
シクロヘキシルベンゼンの添加量を6質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例4に係る本発明電池A4を作製した。
【0042】
(実施例5)
tert−アミルベンゼンの添加量を0.5質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例5に係る本発明電池A5を作製した。
【0043】
(実施例6)
tert−アミルベンゼンの添加量を10質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例6に係る本発明電池A6を作製した。
【0044】
(実施例7)
tert−アミルベンゼンの添加量を12質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例7に係る本発明電池A7を作製した。
【0045】
(実施例8)
ビニレンカーボネート(VC)をさらに添加したこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例8に係る本発明電池A8を作製した。
【0046】
(実施例9)
シクロヘキシルベンゼンの添加量を0.5質量部としたこと以外は、上記実施例8と同様にして、実施例9に係る本発明電池A9を作製した。
【0047】
(実施例10)
シクロヘキシルベンゼンの添加量を5質量部としたこと以外は、上記実施例8と同様にして、実施例10に係る本発明電池A10を作製した。
【0048】
(実施例11)
シクロヘキシルベンゼンの添加量を6質量部としたこと以外は、上記実施例8と同様にして、実施例11に係る本発明電池A11を作製した。
【0049】
(実施例12)
tert−アミルベンゼンの添加量を0.5質量部としたこと以外は、上記実施例8と同様にして、実施例12に係る本発明電池A12を作製した。
【0050】
(実施例13)
tert−アミルベンゼンの添加量を10質量部としたこと以外は、上記実施例8と同様にして、実施例13に係る本発明電池A13を作製した。
【0051】
(実施例14)
tert−アミルベンゼンの添加量を11質量部としたこと以外は、上記実施例8と同様にして、実施例14に係る本発明電池A14を作製した。
【0052】
(比較例1)
添加剤を何も添加しなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る比較電池X1を作製した。
【0053】
(比較例2)
tert−アミルベンゼンを添加しなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例2に係る比較電池X2を作製した。
【0054】
(比較例3)
tert−アミルベンゼンを添加せず、シクロヘキシルベンゼンの添加量を2質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例3に係る比較電池X3を作製した。
【0055】
(比較例4)
シクロヘキシルベンゼンを添加しなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例4に係る比較電池X4を作製した。
【0056】
(比較例5)
シクロヘキシルベンゼンを添加せず、tert−アミルベンゼンの添加量を5質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例5に係る比較電池X5を作製した。
【0057】
(比較例6)
シクロヘキシルベンゼンとtert−アミルベンゼンを添加せず、クメンを2質量部添加したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例6に係る比較電池X6を作製した。
【0058】
(比較例7)
シクロヘキシルベンゼンとtert−アミルベンゼンを添加せず、トリメリット酸エステルを2質量部添加したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例7に係る比較電池X7を作製した。
【0059】
(比較例8)
シクロヘキシルベンゼンとtert−アミルベンゼンを添加せず、ビニレンカーボネートを1質量部添加したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例8に係る比較電池X8を作製した。
【0060】
(電池特性試験)
上記のように作製した本発明電池A1〜A14、比較電池X1〜X8について、下記に示す条件で過充電試験、高温サイクル試験を行った。
【0061】
(過充電試験)
1C(1500mA)、4.2Vで3時間充電後、2C(3000mA)の充電電流を流して過充電し、過充電開始から電流遮断封口体が作動するまでの時間と、電池外部の温度を測定した。
【0062】
(高温サイクル試験)
充電条件:定電流 1C(1500mA)、定電圧 4.2V、終止電流 30mA、60℃
放電条件:定電流 1C(1500mA)、終止電圧 2.75V、60℃
高温サイクル特性容量維持率(%):(300サイクル放電容量/1サイクル放電容量)×100
【0063】
添加剤の種類、添加量と、過充電試験における電流遮断封口体が作動するまでの時間と、電池外部の最高到達温度、高温サイクル試験結果を下記表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0004056302
【0065】
上記表1において、電池温度が上昇し、発煙が生じたものを異常発生とした。
【0066】
表1から、シクロアルキルベンゼン誘導体(CHB)と、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体(t−AB)とを添加した本発明電池A1〜A14では、50%以上の高温サイクル特性と、過充電防止効果(電流遮断時間19分以下、最高到達温度82℃以下)とを有する電池が得られることがわかる。
【0067】
このことは、以下のように考えられる。シクロアルキルベンゼン誘導体は、シクロアルキル基のα炭素(ベンゼン環に直接結合する炭素)に結合した水素原子の反応性が高く、過充電時にこの水素が引き抜かれやすい。このため、過充電時に負極においてシクロアルキルベンゼン誘導体が急速に分解されて水素ガスを発生するとともに、それ自体は重合して負極表面に安定な被膜を形成する。この被膜は抵抗が大きいので、過充電が抑制される。また電流遮断装置を備えた電池においては、シクロアルキルベンゼン誘導体が分解して発生した水素ガスが電池内圧を高めるので、電流遮断装置の応答性が高まる。さらに、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体は、負極表面に吸着して被膜を形成し、前述したシクロアルキルベンゼン誘導体が直接負極に接しないようにする。これにより、シクロアルキルベンゼン誘導体の高温時における分解が抑制されるため、高温サイクル特性の劣化が防止される。この結果、良好なサイクル特性と、過充電防止効果とが得られる。
【0068】
さらに不飽和環状カーボネート(VC)を添加した電池A8では、添加していない電池A1よりさらに優れた高温サイクル特性が得られることがわかる。これは、不飽和環状カーボネートは、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体とは異なる吸着部位を持つため(ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体は主に炭素のベーサル面に吸着、不飽和環状カーボネートは主に炭素のエッジ面に吸着)、より効率よく被膜が形成されるようになり、シクロアルキルベンゼン誘導体が負極に接触して分解することを防止したためと考えられる。
【0069】
また、添加剤なしの電池X1、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体のみを添加した電池X4、X5、不飽和環状カーボネートのみを添加した電池X8においては、発煙等の電池異常が発生した。このことは、添加剤なしでは過充電を十分に防止することができず、またベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体や不飽和環状カーボネート等は、過充電を防止する効果がほとんどないためと考えられる。
【0070】
またシクロアルキルベンゼン誘導体のみを添加した電池X2、X3、クメン(ベンゼン環に直接結合する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体)のみを添加した電池X6、トリメリット酸エステル(ベンゼン環に直接結合する第4級炭素がカルボキシル炭素であるベンゼン誘導体)のみを添加した電池X7においては、高温サイクル特性が54%以下と、添加剤を加えていない電池X1の62%よりも低下したことがわかる。このことは、シクロアルキルベンゼン誘導体やベンゼン環に直接結合する3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素がカルボキシル炭素であるベンゼン誘導体は、高温時に分解して負極に抵抗の大きい被膜を形成するためと考えられる。
【0071】
また、A1〜A4、A8〜A11の結果から、シクロアルキルベンゼン誘導体の添加量が非水溶媒100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下であると、不飽和環状カーボネートが添加されていない電池においては、高温サイクル特性が58%以上、不飽和環状カーボネートが添加されている電池においては、高温サイクル特性が80%以上と優れた電池特性が得られる。従って、シクロアルキルベンゼン誘導体の添加量が上記範囲に規制されていることが好ましい。
【0072】
また、A1、A5〜A8、A12〜A14の結果から、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体の添加量が非水溶媒100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であると、不飽和環状カーボネートが添加されていない電池においては、高温サイクル特性が58%以上、不飽和環状カーボネートが添加されている電池においては、高温サイクル特性が80%以上と優れた電池特性が得られる。従って、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体の添加量が上記範囲に規制されていることが好ましい。
【0073】
尚、上記実施例では円筒形電池を作製したが、本発明はこの形状に限定されるものではなく、コイン型、角型、ラミネート電池等に種々の形状の電池に利用することができる。また、ポリマー電解質を用いたゲル状非水電解質二次電池にも利用することができる。
【0074】
尚、上記実施例では電流遮断装置を有する電池を作製したが、本発明は電流遮断装置を備えていない電池に利用することができる。この場合、シクロアルキルベンゼン誘導体が過充電時に分解し、抵抗の大きい被膜を形成するとともに水素ガスを発生して内部抵抗が増大することにより、過充電を防止することができる。
【0075】
尚、上記実施例ではシクロアルキルベンゼン誘導体としてシクロヘキシルベンゼン、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体としてtert−アミルベンゼンを用いた電池を作製したが、本発明は前記化合物に限定されるものではない。例えば、シクロアルキルベンゼン誘導体としてシクロペンチルベンゼン、ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体としてtert−ブチルベンゼン、tert−ヘキシルベンゼン等を用いた電池においても、良好な高温サイクル特性と、過充電防止時に電池異常が発生しない安全性とが得られる。また、不飽和環状カーボネートとしてビニレンカーボネートを用いたが、本発明は前記化合物に限定されるものではなく、メチルビニレンカーボネート等を用いた電池においても、良好な高温サイクル特性と、過充電防止時に電池異常が発生しない安全性とが得られる。
【0076】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、高温サイクル特性に優れ、さらに過充電時においても電池異常の発生しない安全性の高い非水電解質電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解質二次電池の分解斜視図。
【図2】本発明に係る非水電解質二次電池の封口体の拡大半断面図。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電極体
5 外装缶
6 封口体
7 端子キャップ
8 防爆弁
9 封止板
10 正極集電タブ
11 負極集電タブ
12 PCT素子
13 ガスケット
13a 外部ガスケット
13b 内部ガスケット
14 絶縁板
15 絶縁板
16 かしめ代
17 ガス抜き穴
18 ガス抜き穴
19 封口体内部
20 電池本体部

Claims (1)

  1. リチウムイオンを吸蔵、放出する正極と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極と、非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解質と、を含む非水電解質二次電池において、
    前記非水溶媒が、シクロアルキルベンゼン誘導体を非水溶媒100質量部に対して0.5〜5質量部と、
    ベンゼン環に直接結合する第4級炭素を有し、ベンゼン環に直接結合するシクロアルキル基を有さないアルキルベンゼン誘導体を非水溶媒100質量部に対して0.5〜10質量部と、
    不飽和環状カーボネート誘導体を非水溶媒100質量部に対して0.5〜10質量部と、
    を含むことを特徴とする非水電解質二次電池。
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