JP4058889B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コネクタとして、実開昭61−71972号公報に開示されているものがある。これは、合成樹脂製のハウジング内に形成したキャビティに端子金具を挿入し、その端子金具に対し、キャビティに内壁に沿って形成した樹脂ランスを係止させ、それによって挿入済みの端子金具を抜止め状態に保持するようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように樹脂ランスによって端子金具を抜け止めするコネクタでは、端子金具の挿入方向と直交する上下左右方向の遊動を規制するために端子金具の外周を取り囲むように周壁を設け、この周壁で仕切られた形態のキャビティを形成するとともに、各キャビティにおける周壁のうちの1つに樹脂ランスが形成される。
この樹脂ランスの形成に際しては、その樹脂ランスの前方に、隔壁を切欠するとともにハウジングの前端面に至る形態の型抜き空間が形成されることは避けられない。ここで、もし、型抜き空間が隔壁(キャビティ)の全幅に亘って形成されると、樹脂ランスの前方において端子金具の上下左右いずれかの方向(型抜き空間へ進入する方向)への遊動を規制することができなくなる。そのため、従来では、樹脂ランス及び型抜き空間の形成幅を、隔壁(キャビティ)の幅よりも小さくなるように限定し、その隔壁に、端子金具を当接させて遊動規制する手段としての残存部を確保するようにしている。
【0004】
ところが、樹脂ランスの形成幅が狭くなると、コネクタ全体を小型化した場合に、樹脂ランスの強度が低下したり、樹脂ランスと端子金具との係止代が小さくなって抜止め機能の信頼性が低下するなどの不具合が懸念される。
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、小型化した場合でも、端子金具の遊動を規制しつつ樹脂ランスの形成幅を広く確保できるようにすることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、端子金具を挿入するためのキャビティが形成された合成樹脂製のハウジングと、前記キャビティの内壁に沿って前方へ片持ち状に延出する形態で形成され、前記端子金具に係止することでその端子金具を抜止め状態とする樹脂ランスと、前記樹脂ランスを成型するための金型が型抜きされることによって形成され、前記樹脂ランスの前端から前記ハウジングの前端面に亘り前記キャビティ内に臨む形態とされた型抜き空間と、前記ハウジングに対し、前記型抜き空間内に進入する形態での組付けを可能とされ、組付け状態では前記端子金具における前記樹脂ランスよりも前方部分に当接することでその端子金具の挿入方向と交差する方向への遊動を規制可能な遊動規制部材を備え、前記樹脂ランスの幅方向と同方向に隣り合う前記キャビティ間の隔壁のうち、前記樹脂ランスと対応する領域が切欠されており、前記遊動規制部材が前記ハウジングに組み付けられた状態においては、前記遊動規制部材が前記樹脂ランスよりも前方に位置することで、幅方向に隣り合う前記樹脂ランスが空間のみを空けて直接対峙する構成とした。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記樹脂ランスの幅寸法が、前記端子金具の幅寸法と同じかそれよりも大きい寸法に設定されている構成とした。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記遊動規制部材には、前記ハウジングの前端面側に開口するとともに前記樹脂ランスの成型領域に至る治具挿入空間が形成されている構成とした。
【0009】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
型抜き空間内に進入させた遊動規制部材に端子金具を当接させることにより、端子金具の遊動を規制することができる。端子金具の遊動規制手段としてハウジングとは別体の部品を型抜き空間に進入させるようにしたので、型抜き空間の形成幅は自由に設定することが可能であり、ひいては、樹脂ランスの形成幅を幅広とすることができる。
また、樹脂ランスの幅方向と同方向に隣り合うキャビティ間の隔壁のうちの樹脂ランスと対応する領域を切欠したので、隣り合う樹脂ランス間が隔壁で仕切られている場合に比べて、樹脂ランスの幅寸法を大きく確保することができる。この場合、樹脂ランスに形成幅は、端子金具の幅寸法と同じにすることもでき、端子金具の幅寸法よりも大きくすることも可能である。
【0010】
[請求項2の発明]
樹脂ランスの幅寸法が、端子金具の幅寸法と同じかそれよりも大きい寸法に設定されている構成としたので、樹脂ランスの強度が大きく、また、樹脂ランスと端子金具との係止代として端子金具の幅寸法を最大限利用できる。
[請求項3の発明]
治具挿入用空間に治具を挿入してその治具で樹脂ランスを端子金具から解離する方向へ変位させれば、遊動規制部材を取り外さなくても、樹脂ランスによる端子金具への係止を解除することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図5を参照して説明する。
本実施形態のコネクタは、合成樹脂製のハウジング10と、同じく合成樹脂製の遊動規制部材20と、複数の導電性を有する端子金具30とを備えて構成される。
【0013】
端子金具30は、所定形状の金属板材を曲げ加工して成形したものであり、ハウジング10に対して後方から挿入される。端子金具30の前端部には角筒部31が形成され、この角筒部31内には図示しない相手側の雄タブが挿入されて接続状態となる。かかる角筒部31の後端上縁は、後述する樹脂ランス15と係止する係止部32となっており、この係止部32に対して樹脂ランス15が後方から係止されると、端子金具30がハウジング10に対して抜止め状態に保持される。また、端子金具30の後端部には電線33が圧着により接続されている。
【0014】
ハウジング10内には前後方向に貫通する複数の方形断面をなすキャビティ13が形成されている。これらのキャビティ13は、上下二段に分かれると共に、各段において横方向(左右方向)に一列に並列した状態で配列されている。また、ハウジング10には、その前端面を凹ませた形態の第1凹部11が全てのキャビティ13の配列領域全体に亘って形成されているとともに、この第1凹部11の奥端面を凹ませた形態の上下2つの第2凹部12が上段と下段のキャビティ13列に対応して形成されている。各キャビティ13の前端のうち、略上半分領域は第2凹部12の奥端面に開口され、略下半分領域は第1凹部11の奥端面に開口されている。したがって、左右方向(樹脂ランス15の幅方向)に隣り合うキャビティ13同士を仕切る隔壁14は、第2凹部12内においては略上半部分が切欠された形態となっている。
【0015】
また、第2凹部12の奥端面には、各キャビティ13と対応する樹脂ランス15が、前方へ片持ち状に延出する形態で形成されており、この樹脂ランス15は上下方向へ弾性撓みすることが可能となっている。各樹脂ランス15の下面は各キャビティ13の天井面と面一状に連続されており、樹脂ランス15の上面と第2凹部12の天井面との間には、樹脂ランス15を上方へ弾性撓みさせるための撓み空間16が確保されている。かかる樹脂ランス15は、常には、下面の突起15Aをキャビティ13の天井面よりも下方の空間(キャビティ13に対する端子金具30の挿入経路)へ突出させた係止状態にあるが、端子金具30の挿入過程においてその端子金具30の上面に突起15Aが干渉すると、樹脂ランス15が撓み空間16内へ進出するように上方へ弾性撓みして突起15Aが端子金具30の挿入経路外へ退避し得るようになっている。
【0016】
また、この樹脂ランス15の幅寸法については、キャビティ13及び端子金具30の幅寸法よりも大きく、正面から視ると樹脂ランス15の左右両端部がキャビティ13及び端子金具30よりも左右方向へ突出している。かかる樹脂ランス15は、端子金具30が正規位置まで挿入されたときに突起15Aを端子金具30の係止部32に係止させ、もって、その端子金具30を抜止め状態に保持する。尚、樹脂ランス15の前後方向の寸法は第2凹部12内に収まるように設定され、したがって、樹脂ランス15の前端は第1凹部11の奥端面よりも後方に位置している。また、隣り合うキャビティ13間の隔壁14の略上半部分が切欠されているので、左右方向(樹脂ランス15の幅方向)に隣り合う樹脂ランス15同士の間には何ら仕切るものがなく、その隣り合う樹脂ランス15同士は空間のみを空けて直接対峙している。
【0017】
尚、上記した第1凹部11の内部空間のうち、各樹脂ランス15の前方の空間(特に、仕切られてはいない)は、樹脂ランス15を成型するための図示しない金型を前方へ型抜きすることによって形成された型抜き空間17となっている。この型抜き空間17は、樹脂ランス15の前端からハウジング10の前端面に亘って形成されているとともに、後述する遊動規制部材20のキャビティ23に臨む形態とされている。
【0018】
遊動規制部材20は、ハウジング10に対し第1凹部11内に略緊密に嵌合される形態で組み付けられる。組付け状態では、遊動規制部材20の前端はハウジング10の前端面に対して面一状となる。遊動規制部材20には、ハウジング10の各キャビティ13と対応するキャビティ23が、遊動規制部材20の下端面に開口する形態で形成されている。双方のキャビティ13,23は、上下両面及び左右両側面を面一状とするように連続している。又、遊動規制部材20のキャビティ23の前端は、雄タブ(図示せず)は挿入されるが端子金具30は通過できない程度の大きさの挿入口21として遊動規制部材20の前端面に開口されている。また、遊動規制部材20には、その前後両端面間に貫通される細長い治具挿入空間22が形成されている。この治具挿入空間22は、正面から視て横長の長円形をなし、その治具挿入空間22の下面とキャビティ23の上面とは互いに連通されているが、この連通部24の幅寸法はキャビティ23の幅寸法よりも小さく、且つ連通部24の形成幅領域はキャビティ23の幅方向における中央に配されている。したがって、キャビティ23を構成する周壁のうち上面壁の左右両端部が、端子金具30の上方(キャビティ13,23に対する挿入方向と交差する方向)への遊動を規制するための略楔形をなす一対の規制部25となっている。
【0019】
次に、本実施形態の作用を説明する。
組付けに際しては、まず、ハウジング10の第1凹部11に遊動規制部材20を組み付け、図示しないロック手段(例えば、爪と孔の係止による周知の手段)によってハウジング10と遊動規制部材20とを離脱不能にロックする。組付けに際し、遊動規制部材20の規制部25は第1凹部11内に存在している型抜き空間17内に進入することになる。組付け状態では、ハウジング10のキャビティ13と遊動規制部材20のキャビティ23とが連続し、端子金具30を挿入させるための空間が構成される。
【0020】
この後、端子金具30をハウジング10の後方から両キャビティ13,23内に挿入する。挿入過程では、端子金具30の角筒部31の上面前端が、端子金具30の挿入経路に突出している樹脂ランス15の突起15Aと干渉するため、樹脂ランス15が上方へ弾性撓みして突起15Aを角筒部31の上面に摺接させるようになる。これにより、突起15Aが端子金具30の挿入経路(キャビティ13)外へ退避するため、端子金具30の挿入が支障なく行われる。
【0021】
端子金具30が正規挿入位置に達すると、角筒部31が突起15Aを通過するため、樹脂ランス15は撓み空間16外へ退避するように弾性復帰して突起15Aを角筒部31の後端の係止部32に係止させる。これにより、端子金具30が抜止め状態となる。尚、正規の挿入状態では、角筒部31のほぼ全体が遊動規制部材20のキャビティ23内収容され、それよりも後方の部分がハウジング10のキャビティ13内に収容されることになる。
【0022】
さて、端子金具30をキャビティ13,23に挿入した状態では、端子金具30に対してその前端を上向きに揺動させる外力が作用しても、端子金具30の前端部上面における左右両端部が遊動規制部材20の規制部25に対して下から当接するため、端子金具30の遊動が規制される。即ち、本実施形態では、キャビティ13,23に挿入された端子金具30の遊動を規制する手段として、そのキャビティ13に臨む樹脂ランス15のための型抜き空間17(第1凹部11)に対し、ハウジング10とは別体の部品である遊動規制部材20を進入させてその遊動規制部材20に端子金具30を当接させるようにしたので、キャビティ23に臨む型抜き空間17の形成幅は自由に設定することが可能となっている。これにより、本実施形態では、樹脂ランス15の形成幅をキャビティ13,23及び端子金具30よりも幅広とすることが実現されている。このように樹脂ランス15を幅広としたことで、樹脂ランス15の強度アップが図られているとともに、樹脂ランス15と端子金具30との係止代が最大限(端子金具30の幅全体に亘って)確保されていて抜止め機能の信頼性向上が実現されている。
【0023】
また、樹脂ランス15の幅方向と同方向に隣り合うキャビティ13間の隔壁14のうち、樹脂ランス15と対応する略上半分領域を切欠して樹脂ランス15同士が直接対峙するようにしたので、隣り合う樹脂ランス間に隔壁が介在している場合に比べて、隣り合う樹脂ランス15間の間隔を最小とし、樹脂ランス15の幅寸法を大きく確保することが可能となっている。
また、遊動規制部材20には、ハウジング10の前端面側に開口するとともに樹脂ランス15の成型領域に至る治具挿入空間22を形成したので、治具挿入用空間に治具Jを挿入し、その治具Jで樹脂ランス15を端子金具30から解離する方向(撓み空間16内に進出する方向)へ変位させることができるようになっている。このように、本実施形態においては、遊動規制部材20をハウジング10から取り外さなくても、樹脂ランス15による端子金具30への係止を解除して端子金具30をキャビティ13,23から抜き取ることができる。
【0024】
[実施形態2]
次に、本発明を具体化した実施形態2を図6及び図7を参照して説明する。
本実施形態2のコネクタは、合成樹脂製のハウジング40と、同じく合成樹脂製の遊動規制部材50と、複数の導電性を有する端子金具30とを備えて構成される。端子金具30は上記実施形態1と同じであるので同じ符号を付し、説明は省略する。
ハウジング40内には前後方向に貫通する複数の方形断面をなすキャビティ41が形成されている。これらのキャビティ41は、上下二段に分かれると共に、各段において横方向(左右方向)に一列に並列した状態で配列されている。また、ハウジング40には、その前端面を凹ませた形態の上下2つの凹部42が上段と下段のキャビティ41列に対応して形成されている。この凹部42は、各キャビティ41の略前半部分における上面と連通し、また、この凹部42により、左右方向(樹脂ランス44の幅方向)に隣り合うキャビティ41同士を仕切る隔壁43は、その略前半部分の略上半部分が切欠された形態となっている。
【0025】
凹部42の奥端面には、各キャビティ41と対応する樹脂ランス44が、前方へ片持ち状に延出する形態で形成されており、この樹脂ランス44は上下方向へ弾性撓みすることが可能となっている。各樹脂ランス44の下面は各キャビティ41の天井面と面一状に連続されており、樹脂ランス44の上面と凹部42の天井面との間には、樹脂ランス44を上方へ弾性撓みさせるための撓み空間45が確保されている。かかる樹脂ランス44は、常には、下面の突起44Aをキャビティ41の天井面よりも下方の空間(キャビティ41に対する端子金具30の挿入経路)へ突出させた係止状態にあるが、端子金具の挿入過程においてその端子金具30の角筒部31の上面に突起44Aが干渉すると、樹脂ランス44が撓み空間45内へ進出するように上方へ弾性撓みして突起44Aが端子金具30の挿入経路外へ退避し得るようになっている。また、樹脂ランス44は、正規挿入された端子金具30の係止部32に対して後方から突起44Aを係止させることでその端子金具30を抜止め状態に係止するようになっており、この抜止め状態では樹脂ランス44は撓み空間45外に位置する。さらに、樹脂ランス44が撓み空間45内に進出するように弾性撓みすると端子金具30から突起44Aが解離し、樹脂ランス44による端子金具30の抜止めが解除される。
【0026】
また、この樹脂ランス44の幅寸法については、図示はしないが、実施形態1と同様に、キャビティ41及び端子金具30の幅寸法よりも大きく、正面から視ると樹脂ランス44の左右両端部がキャビティ41及び端子金具30よりも左右方向へ突出している。尚、樹脂ランス44の前後方向の寸法は、遊動規制部材50が凹部42に嵌合された状態においても遊動規制部材50の後端面が樹脂ランス44と干渉しないような寸法に設定されている。さらに、隣り合うキャビティ41間の隔壁43の略上半部分が切欠されているので、左右方向(樹脂ランス44の幅方向)に隣り合う樹脂ランス44同士の間には何ら仕切るものがなく、その隣り合う樹脂ランス44同士は空間のみを空けて直接対峙している。
【0027】
尚、上記した凹部42の内部空間のうち、各樹脂ランス44の前方の空間(特に、仕切られてはいない)は、樹脂ランス44を成型するための図示しない金型を前方へ型抜きすることによって形成された型抜き空間46となっている。この型抜き空間46は、樹脂ランス44の前端からハウジング40の前端面に亘って形成され、この型抜き空間46内に後述する遊動規制部材50が進入するようになっている。
【0028】
遊動規制部材50は、ハウジング40に対し凹部42内に略緊密に嵌合されるように組付けられる。遊動規制部材50には、上段のキャビティ41を構成する下面壁47との干渉を回避するための逃がし空間51と、ハウジング40の各キャビティ41の略前半部分の下半分と対応する前後方向の端子収容溝52とが形成されている。端子収容溝52の幅はキャビティ41の幅と同じ寸法であり、組付け状態では、端子収容溝52とキャビティ41が上下に対応することにより、双方の側面同士を面一状に連続させた形態の端子金具30のための収容空間が構成される。また、その前端においては、キャビティ41側の切欠部48と端子収容溝52側の切欠部53とが合体することで、雄タブ(図示せず)は挿入されるが端子金具30は通過できない程度の大きさの挿入口が構成される。
【0029】
さらに、遊動規制部材50には、その前後両端面間に貫通される細長い治具挿入空間54が形成されている。この治具挿入空間54は、実施形態1と同様に正面から視て横長の長円形をなし、その治具挿入空間54の下面と端子収容溝52の上面とは互いに連通されているが、図示はしないが実施形態1と同様にこの連通部55の幅寸法は端子収容溝52及びキャビティ41の幅寸法よりも小さく、且つ連通部55の形成幅領域は端子収容溝52及びキャビティ41の幅方向における中央に配されている。したがって、端子収容溝52を構成する壁面のうち上面壁の左右両端部が、端子金具30の上方への遊動を規制するための一対の規制部56となっている。
【0030】
さらにまた、遊動規制部材50には、その後端面から後方へ片持ち状に延出する突部57(本発明の構成要件である検知部であり、且つ撓み規制部でもある)が形成されている。検知部としての突部57は、遊動規制部材50をハウジング40の凹部42(型抜き空間46)へ組み付ける過程において、樹脂ランス44が撓み空間45外へ退避しているときにはその樹脂ランス44とは非干渉であり、樹脂ランス44が撓み空間45内に進出しているときにはその樹脂ランス44と干渉するようになっている。また、撓み規制部としての突部57は、遊動規制部材50が凹部42(型抜き空間46)に嵌入しない状態では樹脂ランス44の撓み空間45側への弾性撓みを許容するが、遊動規制部材50が型抜き空間46内に組み付けられた状態においては、撓み空間45内に嵌入することで樹脂ランス44の撓み空間45側への弾性撓みを規制するようになっている。
【0031】
次に、本実施形態の作用を説明する。
組付けに際しては、まず、ハウジング40の凹部42に遊動規制部材50を組み付け、図示しないロック手段(例えば、爪と孔の係止による周知の手段)によってハウジング40と遊動規制部材50とを離脱不能にロックする。組付けに際し、遊動規制部材50の規制部56は凹部42内に存在している型抜き空間46内に進入することになる。また、組付け状態では、ハウジング40のキャビティ41と遊動規制部材50の端子収容溝52により端子金具30の前端部を収容するための空間が構成される。
【0032】
この後、端子金具30をハウジング40の後方からキャビティ41内に挿入する。挿入過程では、端子金具30の角筒部31の上面前端が、端子金具30の挿入経路に突出している樹脂ランス44の突起44Aと干渉するため、樹脂ランス44が上方へ弾性撓みして突起44Aを角筒部31の上面に摺接させるようになる。これにより、突起44Aが端子金具30の挿入経路外へ退避するため、端子金具30の挿入が支障なく行われる。そして、端子金具30が正規挿入位置に達すると、角筒部31が突起44Aを通過するため、樹脂ランス44は撓み空間45外へ退避するように弾性復帰して突起44Aを角筒部31の後端の係止部32に係止させる。これにより、端子金具30が抜止め状態となる。
【0033】
また、遊動規制部材50がハウジング40に組み付けられると、撓み規制部としての突部57が撓み空間45内に嵌入するので、樹脂ランス44の撓み空間45側への弾性撓みが規制され、換言すると、樹脂ランス44の突起44Aが端子金具30の係止部32から解離することが規制される。これにより、端子金具30は、樹脂ランス44による直接係止と、突部57による樹脂ランス44の解離動作の規制とにより、二重の抜止め状態となる。
【0034】
また、遊動規制部材50を組み付ける際に、端子金具30が正規位置に挿入されて樹脂ランス44が弾性復帰しているときには、上述したように突部57が撓み空間45内に嵌入しつつ遊動規制部材50が型抜き空間46内に支障なく組み付けられる。これに対し、端子金具が正規挿入されていない場合には、突起44Aが角筒部31の上面に当接して樹脂ランス44が弾性撓みして撓み空間45へ進出した状態となっているため、遊動規制部材50の組付けの途中で、検知部としての突部57が、その撓み空間45に進出している樹脂ランス44と干渉することになる。そして、この突部57と樹脂ランス44との干渉により、遊動規制部材50のそれ以上の組付け動作が不能となる。このように、本実施形態によれば、遊動規制部材50をハウジング40に対して組み付けることができるか否かによって他の挿入状態を検知することができる。
【0035】
尚、遊動規制部材50によって端子金具30の上方への遊動を規制する作用、樹脂ランス44を端子金具30よりも幅広にしたことについての構造、作用、効果、遊動規制部材50に治具挿入空間54を形成したことによる作用、効果については、上記実施形態1と同じであるので、説明は省略する。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0036】
(1)上記実施形態ではハウジングに雌端子金具を挿入したコネクタに適用した場合にを説明したが、本発明はハウジングに雄タブを挿入したコネクタにも適用することができる。
(2)上記実施形態では樹脂ランスの成型幅をキャビティの幅寸法よりも大きくしたが、本発明によれば、樹脂ランスの成型幅は、キャビティの幅寸法と同じか、それよりも幅狭とすることもできる。
(3)上記実施形態では遊動規制部材が端子金具を全周に亘って取り囲む形態としたが、本発明によれば、型抜き空間の形成されていない内壁はハウジングと一体に形成しておき、遊動規制部材を型抜き空間のみに嵌合させる形態としてもよい。
【0037】
(4)上記実施形態では樹脂ランスの幅方向と同方向に隣り合うキャビティ間の隔壁のうち、樹脂ランスと対応する領域を切欠したが、本発明によれば、このような切欠部を設けずに、隣り合う樹脂ランス間が隔壁で仕切られるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の縦断面図
【図2】遊動規制部材を組み付けた状態のハウジングの正面図
【図3】遊動規制部材を外した状態のハウジングの正面図
【図4】端子金具と樹脂ランスとの関係を示す部分拡大横断面図
【図5】遊動規制部材と端子金具との関係を示す部分拡大横断面図
【図6】実施形態2においてハウジングに遊動規制部材を組み付けた状態を示す縦断面図
【図7】実施形態2において遊動規制部材の組付けの途中の状態を示す縦断面図
【符号の説明】
10…ハウジング
13…キャビティ
14…隔壁
15…樹脂ランス
17…型抜き空間
20…遊動規制部材
22…治具挿入空間
30…端子金具
40…ハウジング
41…キャビティ
43…隔壁
44…樹脂ランス
47…型抜き空間
50…遊動規制部材
54…治具挿入空間
57…突部(検知部,撓み規制部)
Claims (3)
- 端子金具を挿入するためのキャビティが形成された合成樹脂製のハウジングと、
前記キャビティの内壁に沿って前方へ片持ち状に延出する形態で形成され、前記端子金具に係止することでその端子金具を抜止め状態とする樹脂ランスと、
前記樹脂ランスを成型するための金型が型抜きされることによって形成され、前記樹脂ランスの前端から前記ハウジングの前端面に亘り前記キャビティ内に臨む形態とされた型抜き空間と、
前記ハウジングに対し、前記型抜き空間内に進入する形態での組付けを可能とされ、組付け状態では前記端子金具における前記樹脂ランスよりも前方部分に当接することでその端子金具の挿入方向と交差する方向への遊動を規制可能な遊動規制部材を備え、
前記樹脂ランスの幅方向と同方向に隣り合う前記キャビティ間の隔壁のうち、前記樹脂ランスと対応する領域が切欠されており、
前記遊動規制部材が前記ハウジングに組み付けられた状態においては、前記遊動規制部材が前記樹脂ランスよりも前方に位置することで、幅方向に隣り合う前記樹脂ランスが空間のみを空けて直接対峙することを特徴とするコネクタ。 - 前記樹脂ランスの幅寸法が、前記端子金具の幅寸法と同じかそれよりも大きい寸法に設定されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
- 前記遊動規制部材には、前記ハウジングの前端面側に開口するとともに前記樹脂ランスの成型領域に至る治具挿入空間が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
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