JP4059633B2 - ブレーキシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はブレーキ倍力装置によってブレーキ液圧を倍力するブレーキシステムに関し、より詳しくは、ブレーキ倍力装置が全負荷点に達した以降においてもそれ以前と同様に倍力することが可能なブレーキシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブレーキ倍力装置が全負荷点に達した以降においてもブレーキ液圧を倍力することが可能なブレーキシステムは知られている(特開平10−152041号公報)。上記特開平10−152041号公報の図2および図3に示された実施例では、マスタシリンダとホイールシリンダとの間のブレーキ液通路に電磁圧力制御弁22およびポンプ16等を設けてあり、ポンプ16の液圧を電磁圧力制御弁22よりもホイールシリンダ側となるブレーキ液通路に作用させるようにしている。これにより、ブレーキ操作力に対してブレーキ液圧を大きくすることができるとともに、ブレーキ倍力装置の助勢限界(全負荷点)以降においてもブレーキ力を倍力させることができ、しかも、ブレーキ倍力装置の圧力源の失陥等によりブレーキ倍力装置が倍力できない場合においても必要なブレーキ力を得ることができる。
また、上記特開平10−152041号公報の図13、14には、上記図2および図3における電磁圧力制御弁22の代りに機械式の圧力制御弁150を設けた実施例が開示されている。この図13、図14の実施例においても、ブレーキ倍力装置の助勢限界(全負荷点)以降においてもブレーキ力を倍力させることができる。
さらに、ブレーキ倍力装置が全負荷点に達した以降においてもブレーキ液圧を倍力することが可能なブレーキシステムとして、上記の他に例えば特開平10−35477号公報が知られている。この特開平10−35477号公報のシステムは、マスタシリンダおよびブレーキ倍力装置の他に、マスタシリンダにおけるリヤ側に配置した助勢限界時用中間液圧制御装置154等を備えている。これにより、ブレーキ倍力装置の助勢限界(全負荷点)以降においてもブレーキ力を倍力させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特開平10−152041号公報の図2および図3に開示されたシステムでは、各種のセンサや電磁圧力制御弁等を必要とするのでブレーキシステムの構成が複雑で高価になるという欠点があった。また、この特開平10−152041号公報の図13,図14に開示されたシステムでは、ブレーキ倍力装置の圧力源の失陥等によりブレーキ倍力装置が倍力できない際に助勢ができないという欠点があった。
他方、特開平10−35477号公報のブレーキシステムでも、ブレーキ倍力装置の圧力源の失陥等によりブレーキ倍力装置が倍力できない際に助勢ができないという欠点があった。
そこで、本発明の目的は、比較的簡単な構成によってブレーキ倍力装置の助勢限界(全負荷点)以降においてもブレーキ力を倍力させることができるとともに、ブレーキ倍力装置の圧力源の失陥等によりブレーキ倍力装置が倍力できない際にも助勢することが可能なブレーキシステムを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1に記載した本発明は、ハウジング内に設けたマスタシリンダピストンが前進することによりマスタシリンダ圧を発生させるマスタシリンダと、ブレーキ操作部材に連動して作動されて出力を発生させ、この出力により上記マスタシリンダピストンを前進させる負圧式倍力装置と、上記マスタシリンダピストンを前進させて上記マスタシリンダ圧を増圧させる増圧手段とを備えたブレーキシステムであって、
上記増圧手段は、上記マスタシリンダのハウジング内に設けられて上記マスタシリンダピストンに面する増圧室と、この増圧室と上記マスタシリンダピストンの液圧室とを連通させるブレーキ液通路を絞る制御弁と、上記液圧室から送出されるブレーキ液を上記増圧室へ給送するポンプとを備え、また、上記ポンプと上記増圧室とを連通する第2ブレーキ液通路およびこの第2ブレーキ液通路と上記液圧室のブレーキ液の送出側とを連通する第3のブレーキ液通路を設け、さらに上記第3のブレーキ液通路に上記第2のブレーキ液通路の液圧と上記液圧室の送出側の液圧との差圧が所定圧以上になると、上記第3のブレーキ液通路のブレーキ液を上記液圧室の送出側に排出させる差圧弁を設けたブレーキシステムを提供するものである。
【0005】
上述した構成によれば、増圧手段を備えているので、負圧式倍力装置が、その助勢限界(全負荷点)に達した以降においても、それ以前と同様の比率によってマスタシリンダ圧を発生させることができる。また、負圧式倍力装置の負圧源が失陥して負圧式倍力装置が倍力できない場合であっても、負圧式倍力装置の負圧源が正常な場合と同様にマスタシリンダ圧を発生させることができる。
したがって、比較的簡単な構成によってブレーキ倍力装置の助勢限界(全負荷点)以降においても、ブレーキ力を倍力させることができるとともに、ブレーキ倍力装置の圧力源の失陥等によりブレーキ倍力装置が倍力できない際にも助勢することが可能なブレーキシステムを提供することができる。
しかも、本発明においては、差圧弁を備えており、仮に制御弁が故障して増圧室と液圧室とを連通させるブレーキ液通路が閉鎖された状態となって、増圧室に向けてポンプからブレーキ液が給送されるような場合には、上記差圧弁が開放されて、増圧室内にポンプからブレーキ液が給送されるのを防止することができる。これにより増圧室内の液圧が異常に上昇することを防止できる。
したがって、本発明において、仮に制御弁が故障したとしても、増圧室内の液圧が異常に上昇するようなことがなく、したがって、制御弁が故障した時に増圧手段およびマスタシリンダが破損することを防止することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において、本発明に係るブレーキシステム1は、ブレーキペダル2の踏力を倍力して出力するタンデムタイプの負圧式倍力装置3と、この負圧式倍力装置3の出力により作動されてマスタシリンダ圧を発生させるマスタシリンダ4と、マスタシリンダ4からマスタシリンダ圧を供給されてブレーキ作動を行うホイールシリンダ5〜8と、ブレーキ液を貯溜するリザーバ11と、さらにマスタシリンダ4におけるリア側に設けられてマスタシリンダ圧を増圧する増圧手段12とを備えている。
図2に詳細に示すように、負圧式倍力装置3は、出力軸13とそれに挿通させた中間ロッド14を除いて従来公知のタンデムタイプの負圧式倍力装置3と同じ構成を備えている。すなわち、シェル15内にセンタープレート16を配置してあり、概略筒状のバルブボディ17を上記センタープレート16に摺動自在に嵌合している。センタープレート16の前後位置となるバルブボディ17の外周部に一対のパワーピストン18、18’を取り付けるとともに、これらパワーピストン18、18’の背面にそれぞれダイアフラム21、21’を取付けている。ダイアフラム21の前後に定圧室Aおよび変圧室Bを構成するとともに、ダイアフラム21’の前後に定圧室A’および変圧室B’を構成している。定圧室Aと定圧室A’とは、定圧通路22を介して連通しており、またこれら定圧室A、A’には図示しない負圧源から常時負圧が導入されている。変圧室B、B’は変圧通路23を介して相互に連通している。
そして、バルブボディ17内に従来公知の弁機構24を収納している。この弁機構24は、バルブボディ17内に摺動自在に嵌合されるとともに入力軸25に連結された弁プランジャ26と、バルブボディ17の内周部に形成した真空弁座27とそれに接離する弁体28とによって構成した真空弁31と、弁プランジャ26のリア側に形成した大気弁座32とそれに接離する弁体28とによって構成された大気弁33とを備えている。
【0007】
本実施例の出力軸13は従来のものとは異なり、軸部に貫通孔を穿設して筒状に形成している。この出力軸13のリア側の外周部に環状突起13aを形成してあり、その環状突起13aをバルブボディ17の環状突起17aに嵌着するとともに、出力軸13のリア側の端面13bを上記環状突起17aの端面に当接させている。このように本実施例の出力軸13は、バルブボディ17と一体に連結してあり、実質的にバルブボディ17の一部を形成している。
他方、出力軸13のフロント側となる筒状部13cは、マスタシリンダ4のプライマリピストン34におけるリア側の内周部に挿入するとともに、プライマリピストン34の内周部に嵌着した環状のスペーサ35に常時当接させている。つまり、スペーサ35を介してプライマリピストン34と出力軸13とを連動させている。
後に詳述するが、本実施例のマスタシリンダ4のプライマリピストン34も軸方向に貫通孔を穿設して段付筒状に形成してあり、このプライマリピストン34に中間ロッド14を摺動自在に嵌合すると同時に、上記出力軸13に中間ロッド14のリヤ側を貫通させてあり、かつ中間ロッド14のリア側の端部を弁プランジャ26のフロント側の端部に当接させている。中間ロッド14の外周部には環状のシール部材36を装着してあり、それによって中間ロッド14の外周部とプライマリピストン34の内周部との間の液密を保持している。
以上の説明から理解できるように、本実施例の負圧式倍力装置3は、従来のものとは異なり、バルブボディ17の環状突起17aの端面と出力軸13の端面13bとの間にリアクションディスクを設けていない。そのため、負圧式倍力装置3が作動された際のマスタシリンダ4からのブレーキ反力は、中間ロッド14、弁プランジャ26および入力軸25を介してブレーキペダル2に伝達されるようになっている。
ブレーキペダル2が踏込まれていない非作動状態では、バルブボディ17等はリターンスプリング37によって図示非作動位置に位置している。この状態では、弁体28は真空弁座27から離隔して真空弁31が開放されており、他方、弁体28は大気弁座32に着座して大気弁33が閉鎖されている。
この状態からブレーキペダル2が踏込まれると、入力軸25および弁プランジャ26が前進されるので、弁体28は真空弁座27に着座して真空弁31が閉鎖される一方、弁体28は大気弁座32から離隔して大気弁33が開放される。これにより、変圧室B、B’に大気が導入されるので、定圧室A、A’内の負圧と変圧室B、B’内の大気との差圧によりパワーピストン18、18’およびバルブボディ17等が前進され、出力軸13から出力される。この出力軸13の出力によってマスタシリンダ4のプライマリピストン34が前進してマスタシリンダ圧が発生する。このとき、マスタシリンダ4からの反力は、反力ピストン38、中間ロッド14、弁プランジャ26および入力軸25を介してブレーキペダル2に伝達され、マスタシリンダ圧は、図3に示すようにブレーキペダル2ヘの入力に対応するように制御される。すなわち、後に詳述するプライマリピストン34内に設けた反力ピストン38に作用するマスタシリンダ圧による作用力とブレーキペダル2ヘの入力とがバランスするようにマスタシリンダ圧が制御されるようになっている。
【0008】
次に、本実施例のマスタシリンダ4は、図2に詳細に示すように、タンデムタイプのものであり、従来公知のものと同様に、ハウジング41内のリア側に配置した上記プライマリピストン34と、フロント側に配置したセカンダリピストン42とを備えている。マスタシリンダ4のハウジング41には、軸方向の各部において内径が異なる大径孔41Aを穿設するとともに、この大径孔41Aから連続してリア側の端面に貫通する小径孔41Bを穿設している。
セカンダリピストン42は、従来と同様に概略カップ状に形成してあり、大径孔41Aにおけるフロント側の内周部に摺動自在に嵌合している。
これに対して本実施例のプライマリピストン34は、従来のものとは異なり、全体として段付の円筒状に形成している。このプライマリピストン34の段付貫通孔内にジャンピングスプリング43、リテーナ44およびスリーブ45をフロント側から順次挿入してスリーブ45のリア側の端部を段部端面34aに当接させてあり、その状態で概略筒状のリテーナ46によってスリーブ45をプライマリピストン34の内周部に固定している。
スリーブ45の貫通孔内に反力ピストン38を摺動自在に嵌合するとともに、この反力ピストン38のフロント側の端面とそれに対向するリテーナ46の端面との間に反力ピストンリターンスプリング47を弾装している。ここで、ジャンピングスプリング43の付勢力の方が反力ピストンリターンスプリング47の付勢力より大きく設定している。したがって、図示非作動状態では、リテーナ44はスリーブ45のリア側端面に当接し、反力ピストン38がそのリテーナ44に当接した状態になっている。なお、反力ピストン38のリア側の外周部にはシール部材48を設けてあり、反力ピストン38の外周面とスリーブ45の内周面との間の液密を保持している。
反力ピストン38のフロント側の外周部には環状溝を形成するとともに、この環状溝から連続してフロント側の端面に開口する軸方向孔を形成してあり、上記環状溝と軸方向孔によって連通路38aを形成している。
【0009】
プライマリピストン34は、軸方向のフロント側を大径部34Aとする一方、リア側を小径部34Bとしてあり、上記大径部34Aと小径部34Bとの間の外周部に大径部34Aより大径の環状突起34Cを形成している。プライマリピストン34のフロント側の大径部34Aおよび環状突起34Cをハウジング41の大径孔41Aに摺動自在に嵌合するとともに、プライマリピストン34の小径部34Bをハウジング41の小径孔41Bに摺動自在に貫通させている。ハウジング41の大径孔41Aの軸方向中央部にカップシール51が設けてあり、このカップシール51によりプライマリピストン34のフロント側の大径部34Aの外周面と大径孔41Aの内周面との液密が保持され、プライマリピストン34の環状突起34Cの外周部に設けたシール部材52により環状突起34Cの外周面と大径孔41Aの内周面との液密が保持されている。さらに、ハウジング41の小径孔41Bにカップシール53を設けてあり、これによりプライマリピストン34の小径部34Bの外周面とハウジング41の小径孔41Bの内周面との液密が保持されている。
セカンダリピストン42の端面とリテーナ46の端面とにわたって軸方向に伸縮自在な従来公知のリテーナ54を設けてあり、このリテーナ54のフロント側の半径方向部とリア側の半径方向部との間にリタースプリング55を弾装している。また、セカンダリピストン42とハウジング41の底面との間にも、軸方向に伸縮自在なリテーナ56を設けてあり、このリテーナ56のフロント側の半径方向部とリア側の半径方向部との間にリタースプリング57を弾装している。
したがって、非作動状態では、セカンダリピストン42とプライマリピストン34は、大径孔41A内の最もリア側となる図示非作動位置に位置している。
そして、プライマリピストン34の環状突起34Cよりリア側のハウジング41の大径孔41Aの内部空間によって増圧室58を形成しており、プライマリピストン34とセカンダリピストン42との間のハウジング41の大径孔41Aの内部空間により第1液圧室61が形成され、セカンダリピストン42よりフロント側のハウジング41の大径孔41Aの内部空間により第2液圧室62が形成されている。また、プライマリピストン34の大径部34Aの外周面とハウジング41の大径孔41Aの内周面との間でカップシール51とシール部材52との間の環状空間63はハウジング41の通路41aを通ってリザーバ11に連通している。
【0010】
既に上述したように、プライマリピストン34の小径部34Bの内方に上記中間ロッド14のフロント側の外周部が摺動自在に挿入されている。また、プライマリピストン34の小径部34Bのリア側内周部にスペーサ35を嵌着し、このスペーサ35に出力軸13を当接させている。中間ロッド14のリア側の端面は、弁プランジャ26のフロント側の端面に当接しており、中間ロッド14のフロント側の端部は、図示非作動位置では、反力ピストン38のリア側の端面と所定の隙間を持った位置にある。
上記増圧室58は、ハウジング41に設けた軸方向通路41b、半径方向通路41cを介して連通孔64に接続され、さらに図1に示す導管65およぴポンプ66から増圧室58へのブレーキ液の流れのみを許容する逆止弁67を通ってポンプ66の吐出側に接続されている。また、ハウジング41の半径方向通路41cは、逆止弁としてのカップシール68、通路41d、半径方向通路41aを介してリザーバ11に接続されており、リザーバ11から増圧室58へのブレーキ液の流れのみを許容している。
さらに、上記増圧室58は、プライマリピストン34とスリーブ45の半径方向孔71および反力ピストン38の連通路38aを介して第1液圧室61と連通できるようになっている。図示非作動状態では、半径方向孔71の内方側の開口部と連通路38aを構成する環状溝が重合しているので、増圧室58と第1液圧室61は連通している。
【0011】
プライマリピストン34の大径部34Aにおけるフロント側の箇所およびその内部のリテーナ46にわたって、第1液圧室61である内部空間と外周部を連通する半径方向孔34bを穿設している。図示非作動状態では、半径方向孔34bの外方側の開口部は、カップシール51のリア側の端面を軸方向に跨ぐ位置に位置している。この非作動状態では、半径方向孔34bは、カップシール51のリア側の環状空間63および半径方向孔41aを介してリザーバ11に接続されている。
また、第1液圧室61は、ハウジング41の半径方向孔41f、41gおよび環状孔41eを介して第1吐出口72に連通し、導管73を介してホイールシリンダ7、8に連通している。したがって、作動時、プライマリピストン34が前進してプライマリピストン34の半径方向孔34bがカップシール51を横切ると、第1液圧室61にマスタシリンダ圧が発生し、第1液圧室61内のブレーキ液が第1吐出口72および導管73を介してホイールシリンダ7、8に供給されるようになっている。
セカンダリピストン42のフロント側の位置には、第2液圧室62である内部空間と外周部とを連通する半径方向孔42aを穿設している。図示非作動状態では、半径方向孔42aの外方側の開口部は、カップシール74のリア側の端面を軸方向に跨ぐ位置に位置している。この非作動状態では、半径方向孔42aは、カップシール74のリア側のセカンダリピストン42の外周面とハウジング41の大径部41Aの内周面との間および半径方向孔41iを介してリザーバ11に接続されている。
また、第2液圧室62は、第2吐出口75および導管76を介してホイールシリンダ5、6に連通している。したがって、作動時、セカンダリピストン42が前進してセカンダリピストン42の半径方向孔42aがカップシール74を横切ると、第2液圧室62にマスタシリンダ圧が発生し、第2液圧室62内のブレーキ液が第2吐出口75および導管76を介してホイールシリンダ5、6に供給されるようになっている。
【0012】
プライマリピストン34の外周面とハウジング41の大径部41Aの内周面との間の環状空間63は、プライマリピストン34の半径方向孔34d、スリーブ45の外周の環状溝45aおよび軸方向孔45bを介してスプリング43の室に連通しており、したがってスプリング43の室は常時リザーバ11に連通している。
また、本実施例では、増圧室58にブレーキ液を供給するポンプ66の吸込側を導管77によって上記導管73に接続してあり、この導管77に常閉の電磁開閉弁78を設けている。
【0013】
本実施例の増圧手段12は、上記増圧室58と、これにブレーキ液を供給する上記ポンプ66と、このポンプ66の吸込側にブレーキ液の供給を行う電磁開閉弁78と、プライマリピストン34に設けられたスリーブ45や反力ピストン38等により構成されており、上記スリーブ45と反力ピストン38により上記増圧室58に供給されるポンプ66の液圧を制御する増圧手段12の制御弁81を構成している。
また、本実施例では、図1に示すように、ブレーキペダル2が踏込まれたことを検出するスイッチ82を設けてあり、このスイッチ82は、ブレーキペダル2が踏込まれたことを検出すると、制御装置83に出力するようになっている。さらに、負圧式倍力装置3の変圧室B(B’)内の圧力を検出する圧力センサ84を設けてあり、負圧式倍力装置3の変圧室B(B’)内の圧力を制御装置83に出力するようになっている。この上記制御装置83は、上記スイッチ82や圧力センサ84からの入力に応じて、上記ポンプ66や常閉の電磁開閉弁78の作動を制御するようになっている。
さらに、本実施例では、非作動状態での上記マスタシリンダ4のプライマリピストン34内の反力ピストン38が半径方向孔71を開放させた状態からこの半径方向孔71を完全に閉鎖するまでの上記負圧式倍力装置3の入力軸25の軸方向の移動距離を、上記負圧式倍力装置3の真空弁座27に弁体28が着座するまでの上記入力軸25の非作動位置からの軸方向の移動距離より大きく設定している。
さらに、本実施例は図1に示すように、導管73と導管65とを連通させる導管85を設けてあり、かつ導管85の途中に従来公知の構成を備えた差圧弁86を設けている。導管85の一端85aは、逆止弁67よりもマスタシリンダ4に近い箇所の導管65の途中に接続してあり、他方、導管85の他端85bは、導管78を接続した位置よりもマスタシリンダ4に近い箇所の導管73の途中に接続している。
導管85に設けた差圧弁86は、上記導管65内のブレーキ液の液圧と上記第1液圧室61からのブレーキ液の送出側となる導管73内のブレーキ液の液圧との差圧が所定圧以上になると作動されて、ポンプ66から吐出された導管65内のブレーキ液を導管73に排出させるようになっている。
さらに、導管85の一端85aよりもマスタシリンダ4側に近い導管65の箇所には、ボリューム室70を設けてあり、ポンプ66からブレーキ液が増圧室58にむけて給送される際にボリューム室70によってポンプ66の脈動を吸収するようにしている。これにより、ポンプ66が作動された際のポンプ66の脈動が中間ロッド14、弁プランジャ26および入力軸25を経てブレーキペダルに伝達されないようになっている。
【0014】
----(作動説明)
以上の構成における本実施例の作動について説明する。この実施例は、ブレーキペダル2が踏込まれていない非作動状態においては、ブレーキシステム1の各構成要素は図1および図2に示す非作動位置にあり、ポンプ66は駆動されておらず、電磁開閉弁78は閉鎖されている。負圧式倍力装置3は、真空弁31が開放されており、大気弁33は閉鎖されており、定圧室A(A’)と変圧室B(B’)はともに負圧に維持されている。また、マスタシリンダ4は、増圧室58が第1液圧室61に連通しており、第1液圧室61および第2液圧室62はともにリザーバ11に連通しており、第1液圧室61、第2液圧室62および増圧室58は大気圧になっている。
【0015】
この非作動状態からブレーキペダル2が踏込まれると、負圧式倍力装置3の入力軸25および弁プランジャ26が前進されるので、真空弁31が閉鎖される一方、大気弁33が開放される。これにより、変圧室B(B’)に大気が導入されるので、定圧室A(A’)と変圧室B(B’)とに差圧が生じ、パワーピストン18(18’)、バルブボディ17、出力軸13等が前進し、負圧式倍力装置3が作動して、出力軸13によりマスタシリンダ4のプライマリピストン34を前進させる。すると、プライマリピストン34の半径方向孔34bがカップシール51を横切ると第1液圧室61にマスタシリンダ圧が発生する。この第1液圧室61に発生したマスタシリンダ圧によりセカンダリピストン42も前進し、セカンダリピストン42の半径方向孔42aがカップシール74を横切ると第2液圧室62にもマスタシリンダ圧が発生するようになる。
この第1液圧室61および第2液圧室62に発生したマスタシリンダ圧は、導管73、76を介してホイールシリンダ5、6、7、8に供給される。
この第1液圧室61に発生したマスタシリンダ圧は、プライマリピストン34内の反力ピストン38に作用し、反力ピストン38をリア側に押すが、マスタシリンダ圧による反力ピストン38を押す力がジャンピングスプリング43の付勢力より小さい内は、反力ピストン38は動かない。第1液圧室61のマスタシリンダ圧が上昇して、反力ピストン38を押す力がジャンピングスプリング43の付勢力より大きくなると、反力ピストン38はリア側に後退して中間ロッド14に当接する。すると、反力ピストン38に作用しているマスタシリンダ圧による反力が、中間ロッド14、弁プランジャ26および入力軸25を介してブレーキペダル2にブレーキ反力として伝達される。
これによりブレーキペダル2への入力に応じてマスタシリンダ圧が制御されるようになる。つまり、反力ピストン38に作用する第1液圧室61のマスタシリンダ圧による作用力と入力軸25に作用する入力とがバランスするように第1液圧室61のマスタシリンダ圧が制御される。また、反力ピストン38が中間ロッド14に当接した時点が運転者に始めて反力が伝達される図3のJで示す従来一般にいわれているジャンピングの時点となる。本実施例では、ジヤンピングスプリング43の付勢力を変更することで容易にジャンピング特性を変更することができる。
【0016】
このとき、プライマリピストン34の前進に伴い増圧室58の容積が増加するが、第1液圧室61と増圧室58とは、プライマリピストン34の半径方向孔71と反力ピストン38の連通路38aを介して連通しているので、これらを介して第1液圧室61のブレーキ液がまたは逆止弁のカップシール68を介してリザーバ11のブレーキ液が増圧室58に供給され、増圧室58の液圧は、最終的には第1液圧室61と同じ液圧になる。このように、ブレーキペダル2への入力に応じてマスタシリンダ4の第1液圧室61および第2液圧室62にマスタシリンダ圧が発生し、それが導管73、76を介してホイールシリンダ5、6、7、8に供給されてブレーキ作動が行われる。
【0017】
さらに、ブレーキペダル2への入力が増加し、負圧式倍力装置3の作動が全負荷点PO近くになり、変圧室Bの圧力が所定の圧力になると、圧力センサ84からの入力とブレーキペダル2の作動を検出するスイッチ82からの入力により制御装置83は、ポンプ66を作動させるとともに電磁開閉弁78を開放させる。
これにより、マスタシリンダ4の第1液圧室61のブレーキ液は、導管73、77、電磁開閉弁78、ポンプ66および導管65を介して増圧室58に供給されるようになる。しかしながら、増圧室58は、プライマリピストン34の半径方向孔71と反力ピストン38の連通路38aを介して第1液圧室61に連通しているので、増圧室58に供給されたブレーキ液は第1液圧室61に還流されるのみで、第1液圧室61や増圧室58の液圧は変化しない。さらに、入力が増加し、負圧式倍力装置3が全負荷点POを越えると、入力軸25と弁プランジャ26は前進を始め、中間ロッド14を介してプライマリピストン34内の反力ピストン38を前進させる。すると、反力ピストン38によりプライマリピストン34の半径方向孔71の内方側の開口が絞られるようになり、増圧室58に供給されているポンプ66の吐出液の第1液圧室61への還流が絞られるので、増圧室58の液圧が上昇する。この上昇した増圧室58の液圧によりプライマリピストン34はフロント側に押されるので、第1液圧室61のマスタシリンダ圧は上昇する。このように、本実施例では、負圧式倍力装置3が全負荷点(図3のP0参照)を越えた助勢限界以降においても、増圧室58にポンプ66の液圧を供給することにより入力に対するマスタシリンダ圧の傾きを全負荷点以前と同じ傾きでマスタシリンダ圧を上昇させることができ、ブレーキ力を倍力させることができる(図3参照)。
【0018】
また、負圧式倍力装置3の負圧源の失陥等により負圧式倍力装置3への供給負圧が低下している場合には、負圧式倍力装置3は、正常なときよりも小さな入力で全負荷点になってしまい、十分な倍力が行われないが、正常なときより小さな入力で負圧式倍力装置3の変圧室Bの圧力は所定圧力になるので、上記と同様に増圧手段12が作動してマスタシリンダ4のマスタシリンダ圧を上昇でき、ブレーキ力を倍力させることができるようになる。
このように、本実施例では、負圧式倍力装置3によるマスタシリンダ4のプライマリピストン34への付勢力と増圧手段12によるプライマリピストン34への付勢力の合計の付勢力によりマスタシリンダ圧が発生し、そのマスタシリンダ圧がブレーキペダル2への入力に応じて制御されるようになるので、負圧式倍力装置3の助勢限界(全負荷点PO)以降でもブレーキ力を倍力させることができるとともに、負圧式倍力装置3の負圧源の失陥等により供給負圧が低下した際にも助勢することができる。
さらに、本実施例では、図1に示すように導管85に差圧弁86を設けている。そのため、上述したように増圧手段12が作動した状態において、仮にスリーブ45の内周面に反力ピストン38が引っ掛かって半径方向孔71が絞られた閉鎖状態のままとなると、増圧室58および導管65内のブレーキ液の液圧が上昇する。これに伴って、導管65と導管73内のブレーキ液の液圧が所定圧以上となると、差圧弁86が作動されて導管65内のブレーキ液が導管85を介して導管73側へ排出されるようになっている。したがって、制御弁81を構成する反力ピストン38がスリーブ45の内周面に引っ掛かって半径方向孔71が絞られた閉鎖状態となったとしても、増圧室58や導管65内のブレーキ液が液圧が異常に上昇することを防止してマスタシリンダ4やポンプ66が破損することを防止することができる。
また、導管65にはボリューム室70を設けているので、ポンプ66が作動さた際のブレーキ液の脈動を吸収することができる。そのため、ポンプ66の脈動があったとして、反力ピストン38や中間ロッド14を介してポンプ66の脈動がブレーキペダルに伝達されるのを防止できる。なお、上記ボリューム室70は省略しても良い。
【0019】
(第2実施例)
次に、図4および図5は、本発明の第2実施例を示したものであり、上記第1実施例に対して、プライマリピストン34とその内部構成およびマスタシリンダ4の外部のブレーキ液通路の連通関係が異なるものである。そこで、上記第1実施例と同じ構成の部材には同じ付番を付け、その説明は省略する。
また、この第2実施例では、負圧式倍力装置3として従来公知のシングルタイプのものを採用しており、したがってパワーピストン18、ダイアフラム21および各室A、Bはそれぞれ1つだけ備えている。出力軸13、弁プランジャ26、弁機構24の構成は第1実施例と同じ構成になっている。
一方、図5に示すように、マスタシリンダ4のプライマリピストン34は、内部に段付貫通孔を有し、軸方向のフロント側を大径部34Aとし、リア側を小径部34Bとしてあり、上記大径部34Aの外周部の所定位置に大径部34Aよりも大径の環状突起34Cを形成している。
プライマリピストン34の大径部34Aの上記段付貫通孔に、スリーブ45をフロント側から挿入して、このスリーブ45のリア側の端面を貫通孔の段部端面34aに当接させてあり、そのフロント側から環状のリテーナ46をプライマリピストン34の段付貫通孔に圧入するとともにリテーナ46をスリーブ45のフロント側の端面に当接させている。このようにしてスリーブ45をプライマリピストン34の内方に一体的に固定している。これに関連して、この第2実施例では、リテーナ54はリテーナ46とセカンダリピストン42の端面とにわたって設けている。
【0020】
スリーブ45の内周部のリア側に、円筒状のスプール49を摺動自在に挿入してあり、上記スリーブ45の内周部のフロント側で上記スプール49のフロント側に反力ピストン38を摺動自在に嵌合している。この反力ピストン38とスプール49との間にジャンピングスプリング43を弾装してあり、図示非作動状態では、反力ピストン38のフロント側の端面はリテーナ46のリア側に当接しており、スプール49のリア側の端面はプライマリピストン34の段部端面34aに当接している。上記スプール49のフロント側の外周部には環状溝を形成するとともにそこから連続させて複数の半径方向孔を穿設してあり、これら環状溝と半径方向孔とによってスプール49の内外を連通させる連通路49aを形成している。中間ロッド14のフロント側の小径部14Aをスプール49内に摺動自在に挿入してあり、その小径部14Aの先端14aは、反力ピストン38のリア側の端面から離隔してそれに面している。また、非作動状態では、スプール49のリア側の端面と中間ロッド14の段部14bとの間に間隙が維持されている。
【0021】
プライマリピストン34の環状突起34Cよりリア側となる大径孔41Aの内部空間を増圧室58としてあり、この増圧室58は、ハウジング41の軸方向通路41bおよび半径方向通路41cを介して連通孔64に連通しており、この連通孔64は、導管65と逆止弁67を介してポンプ66の吐出側に接続されている。さらに、上記増圧室58は、プライマリピストン34とスリーブ45にわたって設けた半径方向孔71を介してスリーブ45内の内部室79に連通している。この半径方向孔71は、図示非作動状態ではスプール49の連通路49aと重合して増圧室58と内部室79とを連通させてあり、作動時にスプール49が中間ロッド14により作動してフロント側に移動すると、上記スプール49が半径方向孔71の内方の開口を塞いで増圧室58から内部室79へのブレーキ液の流れを絞るように構成されている。すなわち、上記スプール49、スリーブ45および半径方向孔71により増圧手段12の制御弁81を構成している。
さらに、スリーブ45の内部室79は、スリーブ45とプライマリピストン34とにわたって設けた半径方向孔50を介して環状空間63に連通し、さらに、ハウジング41の半径方向孔41aを介してリザーバ11に連通している。したがって、非作動状態では、増圧室58は、半径方向孔71、スプール49の連通路49a、内部室79、半径方向孔50、環状空間63および半径方向孔41aを介してリザーバ11に連通している。
【0022】
また、この第2実施例においては、図4に示すように、ポンプ66の吸込側はリザーバ11からポンプ66へのブレーキ液の流れのみを許容する逆止弁69と導管77を介してリザーバ11に接続されている。これにより、ポンプ66が駆動された際には、リザーバ11のブレーキ液が導管77、65を経由して増圧室58に給送されるようになっている。
さらに、この第2実施例では、導管80によって上記導管77と導管65とを連通させてあり、この導管80の途中にリリーフ弁87を設けている。このリリーフ弁87は、ポンプ66が駆動された際に該ポンプ66から吐出されブレーキ液の液圧が所定圧力以上となると開放されるようになっている。したがって、このようにリリーフ弁87が開放された時には、ポンプ66から吐出されるブレーキ液は導管80と導管77を介してリザーバ11に戻されるようになっている。
このように、本実施例ではリリーフ弁87を配設してあるので、制御弁81を構成するスプール49が半径方向孔71の内方側の開口部を絞った閉鎖状態となったままで、ポンプ66が作動されたような場合においても、増圧室58や導管65内のブレーキ液圧が異常に上昇することを防止して、マスタシリンダ4やポンプ66が破損するのを防止できるようになっている。
また、この第2実施例においても、ポンプ66からのブレーキ液の吐出側にボリューム室70を設けてあり、これによってポンプ66から吐出されるブレーキ液の脈動を吸収するようにしている。
【0023】
図6はボリューム室70、逆止弁67およびポンプ66部分の構成を示したものであり、上記ボリューム室70および逆止弁67は、ポンプ66におけるハウジング88と一体に連結している。
ポンプ66はラジアルポンプであり、ハウジング88内の液室91は導管77に接続されている。回転軸89が回転されると、この回転軸89の周囲3か所に設けた往復動部材90が半径方向に進退動されるようになっている。回転軸89の回転およびそれに伴う3つの往復動部材90が進退動することに伴って、液室91内のブレーキ液が回転軸89内の液通路89aを通って吐出口88aから吐出されるようになっている。
この吐出口88aには、第1筒状部材92を鉛直方向となるように嵌着するとともに、第1筒状部材92を囲繞して段付カップ状のケーシング93をハウジングに鉛直方向となるように連結している。
第1筒状部材92の内部にばね94とボール95から構成した逆止弁67を設けている。また、ケーシング93の内部空間をボリューム室70としてあり、ボリューム室70は、第1筒状部材92の外周部とケーシング93の内周部との間の間隙およびハウジング88の通路88bを介して上記導管65に連通している。
第1筒状部材92の上端部は、ボリューム室70の上下方向中央部に位置させてあるので、吐出口88aから逆止弁67を経由して第1筒状部材92内を給送されたブレーキ液は、第1筒状部材92の上端部からボリューム室70内に導入されるようになっている。そして、ボリューム室70内のブレーキ液は上記通路88bを経由して導管65に吐出されるようになっている。本実施例では、ボリューム室70とその周辺を以上のように構成しているので、ポンプ66がブレーキ液を吐出する際の脈動をボリューム室70によって吸収できるようになっている。この図6のボリューム室70、逆止弁67およびポンプ66は、第1実施例にも適用できる。
本第2実施例のその他の構成は、上記第1実施例と同じである。
【0024】
(第2実施例の作動説明)
以上の第2実施例の作動を以下に説明する。図4および図5に示す非作動状態よりブレーキペダル2を踏込み負圧式倍力装置3を作動させると、負圧式倍力装置3の出力軸13の前進によりマスタシリンダ4のプライマリピストン34が前進して第1液圧室61にマスタシリンダ圧が発生し、それによりセカンダリピストン42が前進して第2液圧室62にもマスタシリンダ圧が発生し、そのマスタシリンダ圧が導管73、76を介してホイールシリング5、6、7、8に供給される。このとき、プライマリピストン34の前進により増圧室58の容積が増加するが、スリーブ45の半径方向孔71は開放されているので、その半径方向孔71を介してや、逆止弁のカップシール68を介してリザーバ11のブレーキ液が増圧室58に供給されるので、増圧室58は大気圧のままである。
この作動開始時には、入力軸25、弁プランジャ26の前進により中間ロッド14も前進するが、中間ロッド14の段部14bはスプール49には当接せず、小径部14Aの先端14aも反力ピストン38に当接していない。この状態で、第1液圧室61のマスタシリンダ圧が上昇すると、マスタシリンダ圧は反力ピストン38に作用し、このマスタシリンダ圧による反力ピストン38への作用力がスプリング43の付勢力より大きくなると、反力ピストン38は後退して中間ロッド14の小径部14Aの先端14aに当接して、反力ピストン38へのマスタシリンダ圧による反力が中間ロッド14、弁プランジャ26、入力軸25を介してブレーキペダル2にブレーキ反力として伝達される。これにより、上記第1実施例と同様に第1液圧室61のマスタシリンダ圧は、入力に応じた液圧に制御される。この反力伝達開始時点がいわゆるジャンピングJであり、スプリング43の付勢力を変更することで容易にジャンピング特性を変更できる(図3参照)。
【0025】
ブレーキペダル2の入力が大きくなり、負圧式倍力装置3が全負荷点PO近くになると、変圧室Bの圧力を検出する圧力センサ84とブレーキペダル2の作動を検出するスイッチ82からの入力により制御装置83がポンプ66を駆動させる。この状態では、スリーブ45の半径方向孔71は十分に開いているので、増圧室58に供給されるポンプ66からのブレーキ液は、半径方向孔71、連通路49a、内部室79、半径方向孔50、環状空間63および半径方向孔41aを介してリザーバ11に還流されるので、増圧室58には液圧は発生しない。
さらに、入力が上昇して、負圧式倍力装置3が全負荷点POになると、入力軸25、弁プランジャ26が前進するので、中間ロッド14が前進して段部14bがスプール49に当接してスプール49が前進して半径方向孔71を絞るようになる。
これにより、増圧室58に液圧が発生し、この液圧によりプライマリピストン34を押すようになるので、上記第1実施例と同様に助勢限界(全負荷点)以降でもブレーキ力を倍力させることができる。また、負圧式倍力装置3の負圧源失陥等により供給負圧が低下した場合でも、正常時と同様にブレーキ力を倍力することができる。
以上のように、本第2実施例では、リザーバ11のブレーキ液をポンプ66を介してマスタシリンダ4内の増圧室58に供給し、この増圧室58に供給されたブレーキ液をリザーバ11に還流させるプライマリピストン34の半径方向孔71を絞ることにより増圧室58に液圧を発生させ、この液圧によりプライマリピストン34を押してマスタシリンダ圧を増圧させるようにしたものである。
【0026】
さらに、この第2実施例では、導管80の途中にリリーフ弁87を設けている。これにより、スプール49が半径方向孔71の内方側の開口部を絞った閉鎖状態となったままで、ポンプ66が作動される場合には、リリーフ弁87が開放されるようになっている。これにより、増圧室58や導管65内のブレーキ液圧が異常に上昇することを防止して、マスタシリンダ4やポンプ66が破損するのを防止できるようになっている。
また、この第2実施例においても、ボリューム室70を設けているので、ポンプ66がブレーキ液を給送する際の脈動を吸収して、このポンプ66の脈動がブレーキペダルに伝達されるのを防止することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば負圧式倍力装置が助勢限界(全負荷点)に達した以降においても十分な倍力機能を得ることができるという効果が得られる。
さらに、制御弁が故障したような場合であっても、マスタシリンダなどが破損することを防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す全体の構成図。
【図2】図1に示した要部の拡大断面図。
【図3】図1に示したブレーキシステムによる入力とマスタシリンダ圧との関係を示す特性線図
【図4】本発明の第2実施例を示す全体の構成図。
【図5】図4の要部を示す拡大断面図。
【図6】図4の要部の拡大断面図。
【符号の説明】
1 ブレーキシステム 2 ブレーキペダル
3 負圧式倍力装置 4 マスタシリンダ
5〜8 ホイールシリンダ 11 リザーバ
12 増圧手段 14 中間ロッド
34 プライマリピストン 38 反力ピストン
45 スリーブ 49 スプール
58 増圧室 61 第1液圧室
66 ポンプ 86 差圧弁
87 リリーフ弁
Claims (3)
- ハウジング内に設けたマスタシリンダピストンが前進することによりマスタシリンダ圧を発生させるマスタシリンダと、ブレーキ操作部材に連動して作動されて出力を発生させ、この出力により上記マスタシリンダピストンを前進させる負圧式倍力装置と、上記マスタシリンダピストンを前進させて上記マスタシリンダ圧を増圧させる増圧手段とを備えたブレーキシステムであって、
上記増圧手段は、上記マスタシリンダのハウジング内に設けられて上記マスタシリンダピストンに面する増圧室と、この増圧室と上記マスタシリンダピストンの液圧室とを連通させるブレーキ液通路を絞る制御弁と、上記液圧室から送出されるブレーキ液を上記増圧室へ給送するポンプとを備え、
また、上記ポンプと上記増圧室とを連通する第2ブレーキ液通路およびこの第2ブレーキ液通路と上記液圧室のブレーキ液の送出側とを連通する第3のブレーキ液通路を設け、
さらに上記第3のブレーキ液通路に上記第2のブレーキ液通路の液圧と上記液圧室の送出側の液圧との差圧が所定圧以上になると、上記第3のブレーキ液通路のブレーキ液を上記液圧室の送出側に排出させる差圧弁を設けたことを特徴とするブレーキシステム。 - 上記第2のブレーキ液通路と連通し、かつ上記ポンプから吐出されるブレーキ液が導入されるボリューム室を設けたことを特徴とする請求項1に記載のブレーキシステム。
- 上記負圧式倍力装置の変圧室の圧力が所定圧力となると、上記ポンプが作動するように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブレーキシステム。
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