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JP4063703B2 - クランク軸の製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、往復動ポンプ等で用いられるクランク軸に関し、特にその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ピストンないしはプランジャ(以下「ピストン」と総称する)の往復動により液体を輸送するための従来一般の往復動ポンプは、シリンダと、シリンダ内を往復動するピストンと、ピストンを駆動する駆動部とを備えている。シリンダの、駆動部とは反対側の端部には、いわゆるポンプ室が形成されている。また、駆動部は、電動モータや内燃エンジン等の原動機からの動力を受けて回転し、ピストンの往復直線運動に変換するためのクランク軸を備えている。
【0003】
上述したような往復動ポンプにおけるクランク軸は、原動機の出力回転軸に接続される中空軸状の接続部と、接続部の中心軸線から偏心しているクランクピンを有するクランク部とから構成されている。
【0004】
クランク軸の従来の製造方法としては、次の3つの方法が知られている。
【0005】
第1の方法は、焼入れや焼戻しを施して調質した合金鋼の丸棒を素材として、クランク部及び接続部を機械加工して、所定の形状を得るというものである。
【0006】
第2の方法は、非調質の合金鋼の丸棒に対して、クランク部に相当する部分を鍛造して近似形状とした後、これを素材として調質後、クランク部及び接続部を機械加工して所定の形状を得るというものである。
【0007】
第3の方法は、以下の特許文献1に開示されている方法であり、接続部に相当する素材と、クランク部に相当する素材とを溶接により互いに結合した後、機械加工により所定の形状を得るというものである。
【0008】
【特許文献1】
特開昭50−133364号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のクランク軸製造方法には種々の問題点がある。
【0010】
すなわち、上記の第1及び第2の方法にあっては、接続部の機械加工が、原動機の出力回転軸に合わせた穴とキー溝部とで形成される一定の深さのある有底穴の加工となるので、キー溝部の加工に時間がかかり、コストがかかるという問題がある。
【0011】
また、第3の方法では、溶接部分にスラグ巻込みや他の溶接欠陥が起きやすいという問題もある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、かかる従来における技術的課題を解決し、安価に且つ容易に所望形状のクランク軸を製造することのできる製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、回転軸(24)が嵌合接続される穴(38)を有し且つ回転軸(24)との締結用キー(40)が挿入されるキー溝部(42)が形成された接続部(34)と、接続部(34)に一体的に設けられ、接続部(34)の中心軸線(C)から偏心したクランクピン(44)を有するクランク部(36)とを備えるクランク軸(26)を製造する方法において、接続部(34)となる中空軸状の接続部素材(134)を用意し、クランク部(36)となる丸棒状のクランク部素材(136)を用意し、接続部素材(134)に対して、一端側の部分(46)に穴(38)とキー溝部(42)を加工すると共に、他端側に内径が穴(38)の内径よりも大きな拡径部分(48)を形成し、接続部素材(134)における前記他端側の端面(50)とクランク部素材(136)の一方の端面とを突き合わせて摩擦圧接し、摩擦圧接後、クランクピン(44)を形成すべくクランク部素材(136)の外形を加工すると共に、接続部素材(134)の外径を調整すべく接続部素材(134)の外形を加工することを特徴としている。
【0014】
この方法においては、接続部素材(134)及びクランク部素材(136)として非調質の鋼材を用いることができる。両素材(134,136)を接合する手段が摩擦圧接によるため、接合部(52)の信頼性は高いものとなる。
【0015】
また、摩擦接合の開始都時に面圧を高めるて確実に摩擦接合を可能とするために、接続部素材(134)における前記端面(50)をテーパ面とすることが有効である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態に係るピストンの往復動により液体を輸送するための往復動ポンプ10を示す断面図である。図示の往復動ポンプ10は、基本的には従来から知られている一般的な3連式のものであり、3本のシリンダ12が互いに平行に配置されており、各シリンダ12内にピストン(プランジャ)14が往復動可能に設けられている。また、シリンダ12の一端側には、ピストン14を往復動させるための駆動部16が設けられており、他端側にはポンプ室(図示しない)が配設されている。ポンプ室は、ピストン14がシリンダ12内で往復動された場合に、液体をポンプ室内に吸引し、そしてポンプ室から外部に吐出するための弁装置を備えている。
【0018】
駆動部16は、ポンプケーシング18の一部を構成するクランクケース20と、クランクケース20の外部に配置される例えば電動モータや内燃エンジン等の原動機22とを備えている。また、クランクケース20内には、原動機22の出力回転軸24に接続されて回転駆動されるクランク軸26と、ピストン14にピストンロッド28を介して一体的に固定されるピストン元30と、ピストン元30とクランク軸26とを連結するコネクションロッド32とが配設されている。原動機22を駆動させ、クランク軸26を所定の方向に回転させると、その回転力がコネクションロッド32、ピストン元30及びピストンロッド28を経て伝えられ、ピストン14がシリンダ12内を往復動するよう構成されている。
【0019】
図2及び図3は、本発明の製造方法に従って製造されたクランク軸26を示している。図1〜図3から理解される通り、クランク軸26は、中空軸状の接続部34と、接続部34と一体化されたクランク部36とから構成されている。接続部34は、原動機24の出力回転軸24が嵌合接続される穴38を有し、その穴38の内周面には、出力回転軸24とクランク軸26とを締結するためのキー40が挿入されるキー溝部42が形成されている。クランク部36は、それぞれが各コネクションロッド32と回転可能に係合される3つのクランクピン44を有している。3つのクランクピン44は、接続部36の中心軸線Cから同一の偏心量で偏心されている。また、これらのクランクピン44は、3つのピストン14が一定周期でずれて往復動されるよう、角度的に等間隔(120度間隔)に形成されている。
【0020】
次に、このようなクランク軸26を製造する手順について図4及び図5に沿って説明する。
【0021】
まず、接続部34となる接続部素材134として、非調質鋼からなる中空軸状部材を用意する。また、クランク部36となるクランク部素材136として、同じく非調質鋼からなる中実の丸棒を用意する。クランク部素材136の外径は接続部素材134の外径とほぼ同一とすることが好ましい。これらの接続部素材134とクランク部素材136とは、以下で述べるが、互いに摩擦圧接により互いに接合される。
【0022】
ここで、非調質鋼とは、調質(焼入れ・焼戻し)を行っていない鋼であり、熱間鍛造後の放冷操作中にバナジウム等の微細炭窒化添加物の析出によって強化された鋼をいう。非調質鋼は、調質に伴うコストを低減でき、また、硬さ等の機械的性質の均一性に優れているという特質がある。
【0023】
次いで、図4に示すように、接続部素材134に対し、原動機22の出力回転軸24の外径とほぼ同一の内径の穴38が形成されるよう、機械加工を行う。この加工は、クランク部36とは反対側となる端部から一定長さの範囲の部分46に対して行う。また、この部分46の内周面に、原動機22の出力回転軸24とクランク軸26とを締結するためのキー40を受けるキー溝部42を加工する。この穴38とキー溝部40の機械加工は、全長にわたり中空となっている接続部素材134に対して行うため、有底穴に対して行う場合に比して、格段に手間がかからない。従って、加工時間も短くて済み、よって加工コストも安価なものとなる。更に、容易に加工できることから、加工精度の向上にも寄与する。
【0024】
また、接続部素材134に対しては、クランク部素材136が摩擦圧接される側の端部から所定長さの範囲内の部分48に、内径を部分46よりも大きくする加工を行う。この部分48を内径が拡径されることから拡径部分と称すると、拡径部分48の長さは、摩擦圧接を行うに十分な長さであって、摩擦圧接に伴って生ずるバリの格納部位となるべき大きさとされている。拡径部分48の内径は、接続部素材134の中心軸線Cからキー溝部42の外端までの最大長さよりも大きくされている。これにより、拡径部分48の断面形状の内周と外周は、当該拡径部分48の全長にわたり、常に円形となり、キー溝部42による窪み等は形成されない。
【0025】
更に、拡径部分48側の端面50を接続部素材134の中心軸線Cに対して傾斜するよう、すなわちテーパ面となるよう機械加工を行う。このテーパ面50は内周縁側が外周縁側よりも突出させることが好ましい。
【0026】
以上の接続部素材134に対する機械加工が完了したならば、周知の摩擦圧接装置(図示しない)に接続部素材134とクランク部材136をセットし、摩擦圧接を行う。ここで、摩擦圧接とは、2つの部材を回転させつつ突き合わせ、その突合せ面に摩擦発熱を起こさせて強加圧力をかけて両部材を接合させる手法をいう。
【0027】
このような摩擦圧接による接合であるため、接合部52に高い信頼性が得られる。また、接続部素材134の端面50がテーパ面となっているため、摩擦圧接開始時においては接触面積が小さく、面圧を上げることができ、摩擦圧接を確実に行うことができる。加えて、本実施形態では、クランク部素材136が接続部素材134に最初に接する部位が接続部素材134の端面50の内周縁であり、しかも接続部素材134の拡径部分48の内径が他の部分よりも大きくされているため、摩擦圧接が進行するにつれて、図5に示すようにバリ54が拡径部分48内に格納されることとなり、接続部素材134の部分46にバリ54が入り込んで原動機22の出力回転軸24の挿入を妨げる等の不具合が防止される。更に、この拡径部分48で摩擦圧接時の熱の影響を吸収するため、部分46の穴加工寸法が変化することを防止し、精度を高く維持することができる。
【0028】
摩擦圧接が完了したならば、接続部素材134の中心軸線Cを基準として、接続部素材134の外径を調整する機械加工や、クランク部素材136に対してクランクピン44を形成する機械加工等の外形加工を行う。斯くして、図2及び図3に示す形状のクランク軸26が製造される。
【0029】
このように、非調質鋼からなる2つの素材134,136を摩擦圧接により接合してクランク軸26を製造するため、クランク軸26全体、特にクランク部36の強度が均一となり、調質した合金鋼を素材として用いたときのように切削加工により硬化層がなくなる心配はない。なお、図2において符号56は、キー40をキー溝部42に固定するためのねじ58(図1参照)が螺合されるねじ穴を示している。
【0030】
以上述べた本実施形態にかかる製造方法によれば、容易に高精度のクランク軸を容易に製造することが可能であるが、本発明は上記実施形態に限られないことは言うまでもない。
【0031】
例えば、上記実施形態では、接続部素材とクランク部素材とを同じ合金鋼としているが、摩擦圧接法を利用していることから、異なる材質の素材同士を接合させることができる。
【0032】
また、上記実施形態では、テーパ端面50は内周縁が外周縁よりも突出している形態を採っているが、逆に外周縁が内周縁よりも突出している形態であってもよい。
【0033】
更に、本発明の方法により製造されるクランク軸は、3連式往復動ポンプ用に限られず、その他の多連式や単式の往復動ポンプ用や、その他の機構用であってもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の製造方法によれば、所定形状のクラング軸を容易に且つ高精度に製造することができる。製造が容易であることから、製造に要するコストも低くて済む。また、2つの素材を摩擦圧接により接合するため、接合部の信頼性が高く、高精度であることも相俟って、当該方法により製造されたクランク軸を用いた往復動ポンプの性能や信頼性の向上にも寄与することとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により製造されたクランク軸が適用可能な3連式往復動ポンプを示す断面図である。
【図2】本発明の方法により製造されたクランク軸の一実施形態を示す部分断面側面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿っての矢視図である。
【図4】図2及び図3に示すクランク軸を製造する場合に用いられる接続部素材とクランク部素材とを示す部分断面側面図である。
【図5】図4の接続部素材とクランク部素材とを摩擦圧接した状態を示す部分断面側面図である。
【符号の説明】
10…往復動ポンプ、12…シリンダ、14…ピストン、16…駆動部、22…原動機、24…出力回転軸、26…クランク軸、34…接続部、36…クランク部、38…穴、40…キー、42…キー溝部、44…クランクピン、48…拡径部分、50…端面(テーパ面)、52…接合部、54…バリ。

Claims (2)

  1. 回転軸(24)が嵌合接続される穴(38)を有し且つ前記回転軸(24)との締結用キー(40)が挿入されるキー溝部(42)が形成された接続部(34)と、前記接続部(34)に一体的に設けられ、前記接続部(34)の中心軸線(C)から偏心したクランクピン(44)を有するクランク部(36)とを備えるクランク軸(26)を製造する方法において、
    前記接続部(34)となる中空軸状の接続部素材(134)を用意し、
    前記クランク部(36)となる丸棒状のクランク部素材(136)を用意し、
    前記接続部素材(134)に対して、一端側の部分(46)に前記穴(38)と前記キー溝部(42)を加工すると共に、他端側に内径が前記穴(38)の内径よりも大きな拡径部分(48)を形成し、
    前記接続部素材(134)における前記他端側の端面(50)と前記クランク部素材(136)の一方の端面とを突き合わせて摩擦圧接し、
    摩擦圧接後、前記クランクピン(44)を形成すべく前記クランク部素材(136)の外形を加工すると共に、前記接続部素材(134)の外径を調整すべく前記接続部素材(134)の外形を加工することを特徴とするクランク軸の製造方法。
  2. 前記接続部素材(134)における前記端面(50)をテーパ面とすることを特徴とする請求項1に記載のクランク軸の製造方法。
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