JP4066489B2 - 光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持基板上に第1の記録層が形成され、この上に第2の記録層が形成されたシート状基板を貼り合わされた多層構造の光記録媒体に関するものであり、さらにはその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ信号、ビデオ信号、さらにはその他の各種情報を記録する記録媒体として、光記録媒体や磁気記録媒体が知られている。
【0003】
これらの記録媒体のうち、例えばいわゆるコンパクトディスクや書き換え型の光磁気ディスク、相変化ディスク、さらにはいわゆるディスクリート型ハードディスク等においては、データ情報やトラッキングサーボ信号等が位相ピットやプリグルーブ等の微細凹凸パターンを情報記録層に形成することにより記録されている。
【0004】
そして、これら微細凹凸パターンを有する情報記録層の形成方法として、例えば光ディスクでは射出成形法が広く行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、記録媒体の分野では、高密度化が急速に進められており、トラックピッチを狭くすること、光の記録波長を短くして最短ピット長を短くすること、情報を記録又は読み取るための光学レンズの開口数を大きくすること、情報記録層を重ね合わせて多層構造とすること、ディスク同士を貼り合わせて両面構造とすること、等が検討されている。
【0006】
これらは、光学系や駆動装置等の改良、新材料の開発、生産技術の向上等の結果具現化されるものであるが、反面、個々の精度は厳しいものが要求されるようになってきている。
【0007】
例えば、高密度化のための有力な手段として記録波長を短波長化した青レーザによる記録・再生技術や、光学系のレンズ開口数の増大等があるが、光のスポット径を小さく絞らなければならず、対物レンズを情報記録層に近づけなくてはならない。
【0008】
本発明は、前述の高密度化に対応し得る記録媒体を提供することを目的とし、さらには、高密度化に対応した特性を有する記録媒体を生産性良く製造することが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明の光記録媒体は、射出成形または2P法により第1の凹凸パターンが形成された支持基板上に第1の記録層が形成され、この上に第2の記録層が形成されたシート状基板を光学的に透明な中間層を介して貼り合わされた多層構造の記録媒体であって、上記シート状基板は、厚さが0.3mm以下であり、上記支持基板の第1の記録層上に貼り合わせる側とは反対側の表面に第2の凹凸パターンが形成され、該第2の凹凸パターン上に上記第2の記録層が形成され、さらに、上記第2の記録層上に保護膜が形成されてレーザ光を上記保護膜を形成した記録層側から入射されることを特徴とする。
【0010】
記録密度の向上には、レーザ光の短波長化や開口数の増大が必要であり、結果として信号の記録・再生は記録媒体の表面近くで行う必要がある。
【0011】
このことは、レンズの開口数NAと基板の厚さの関係、及び記録・再生に用いるレーザ光の波長λと開口数NAの関係からも明らかである。
【0012】
f=D/2NA>WD
f:レンズの焦点距離
D:対物レンズの有効径
NA:対物レンズの開口数
WD:対物レンズの作動距離
焦点深度=λ/(NA)2
スキュー許容度∝λ/(NA)3
厚さムラ許容度∝λ/(NA)4
以上の関係式より、これまで以上の高密度化を考え、開口数0.75以上でも対物レンズが基板とぶつからないようにするためには、基板の厚さを0.3mm以下とすればよいことがわかる。
【0013】
本発明の記録媒体は、厚さ0.3mm以下のシート状基板上に記録層が形成されてなることを特徴としているので、例えば光記録媒体の場合には、高NA化に対応可能である。
【0014】
また、磁気記録媒体の場合には、高密度化と同時に、薄型化、軽量化が可能である。
【0015】
ところで、基板の強度は厚さの三乗に比例関係にあり、基板の厚さを高NA化に伴って薄くしたときに、例えば射出成形法により成形しようとすると、ピットやグルーブの転写不良、樹脂の分子配向歪による複屈折の増大、配向歪や熱応力歪による変形等、様々な問題が発生する。
【0016】
そこで提案されたのが、本発明の製造方法である。すなわち、本発明の光記録媒体の製造方法は、射出成形または2P法により第1の凹凸パターンが形成された支持基板を作成しその上に第1の記録層を形成する工程と、厚さ0.3mm以下のシート状基板に第2の凹凸パターンを形成し、その上に第2の記録層と保護膜を形成する工程と、接着剤を介して上記支持基板の第1の記録層上に、上記シート状基板の第2の記録層側と反対側を貼り合わせることにより作成される多層構造の光記録媒体の製造方法であって、上記シート状基板の第2の凹凸パターンは、スタンパと圧着ロールにより挟み込まれたシート状基板に、加熱圧着により上記スタンパより転写して形成され、支持基板とシート状基板が感圧性粘着シートにより貼り合わされることを特徴とする。
【0017】
本発明の光記録媒体を製造する製造装置は、シート状基板を連続的に供給するシート状基板送り出し手段と、表面に凹凸パターンを有するスタンパと、上記スタンパが載置され、これを加熱する加熱ステージと、上記スタンパに対して上記シート状基板を圧着する圧着ロールとを備えている。
【0018】
本発明の製造方法を採用することで、0.3mm以下のシート状基板を用いた場合にも、転写性、複屈折等の特性を満足し得る記録媒体を生産性良く製造することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した光記録媒体、及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
本発明の光記録媒体を構成するシート状基板の基本構成は、図1に示すように、厚さ0.3mm以下のシート状基板1上に記録層2を形成してなるものである。
【0021】
シート状基板1の記録層2が形成される側の面には、ピット、グルーブ等の凹凸パターンが形成されており、結果として記録層2の表面にも凹凸パターンが形成されている。
【0022】
記録層2は、光記録媒体の場合には、金属反射膜、光磁気記録層、相変化記録層、有機色素層等、あるいはこれらの組み合わせであり、磁気記録媒体の場合には、磁性合金薄膜等である。
【0023】
上記記録層2の表面には、必要に応じて保護膜3を形成してもよく、例えば光記録媒体の場合には、紫外線硬化樹脂膜等が保護膜3として記録層2を覆って形成される。磁気記録媒体の場合には、潤滑剤層やカーボン膜等が保護膜3として形成される。
【0024】
上述の構成の記録媒体は、円盤状に打ち抜き形成することで、いわばフレキシブル光ディスク、フレキシブルディスクリートディスクとして取り扱うことができる。
【0025】
記録・再生は、記録層2側、基板1側のいずれからも行うことができ、例えば光記録媒体の場合、シート状基板1側からレーザ光を照射して記録・再生するような構成としても、基板1の厚さが0.3mm以下と非常に薄いため、高NA化等に十分に対応可能である。
【0026】
なお、シート状基板1側からレーザ光を照射して記録・再生を行う場合、これまで以上の高密度記録を目指すことを考えると、光透過層となるシート状基板1は、記録や再生に使用するレーザ波長域において光の透過率が高いことが望まれる。
【0027】
このような観点から、上記図1に示す構造の光記録媒体においては、シート状基板1にポリカーボネートシートを用いることが好ましい。
【0028】
ポリカーボネートシートは、製法上の工夫等により純度を高めることで、広い波長域において良好な光透過性を示す。
【0029】
図2は、厚さ100μmのポリカーボネートシートの透過率の波長依存性を示すもので、波長300nm以上において光透過率80%以上を示す。
【0030】
400nm以上の波長では、光透過率が頭打ちになっているが、これは空気とポリカーボネートシート、及びポリカーボネートシートと空気の界面における表面反射によるもので、それぞれ約4%、トータルで約8%のロスとなっている。
【0031】
この分を差し引いて、材料そのものの光透過率を波長700nm付近で100%とすると、波長300nmでは読み取り値が82%であるから、82/92=89.1%になる。この数値は、厚さ100μmでの値であり、厚さが半分の50μmでは、その平方根(94.4%)になる。
【0032】
したがって、シート状基板1の厚みの最大値300μmDの光透過率は、94.4%の6乗、すなわち70.8%となる。光ディスクとして使用する場合、光透過率は往復分になるので、光透過率はトータルで50.1%得られることになる。この数値は、実用に十分耐え得る値である。
【0033】
上記記録層2を形成したシート状基板1は、そのまま記録媒体として用いても良いが、剛性を有する基板と貼り合わせて記録媒体としても良い。
【0034】
図3は、アルミニウムやガラス等からなる支持基板4に、記録層2を形成したシート状基板1の記録層形成側と反対側を接着し、貼り合わせ構造とした記録媒体を示すものである。
【0035】
この例では、記録層2が貼り合わせ側とは反対側の表面に臨んでおり、記録や再生は記録層2側から行われる。したがって、例えば磁気記録媒体とする場合には、記録層2の表面にカーボン保護膜を形成したり、シリコーンオイル等の潤滑剤層を形成する。
【0036】
光記録媒体の場合には、逆に記録層2が支持基板4と対向するように貼り合わせ、シート状基板1を通してレーザ光を照射し、記録・再生するような構成とすることもできる。
【0037】
あるいは、図4に示すような多層構造とすることも可能である。この多層光ディスクは、射出成形、あるいは2P法等により凹凸パターンが形成された支持基板11上に光記録層12を形成し、この上に記録層(光記録層)2を形成したシート状基板1を記録層形成側と反対側を光学的に透明な接着剤層13を介して貼り合わせてなるものである。この場合でも、図3に示す記録媒体と同様に保護膜3が形成される記録層2側からレーザ光を入射して記録や再生を行うことができる。
【0038】
中間層である接着剤層13は、例えば紫外線硬化型接着剤等が用いられ、その厚さは20〜70μm程度である。なお、中間層としては、光学的に干渉しない厚さの半硬化透明プラスチックフィルム等を介在させることも可能である。
【0039】
また、光学的に透明という点では、感圧性粘着剤シートも好適である。感圧性粘着シートは、例えばアクリル系粘着剤からなり、透明性、厚みの均一性に優れた両面粘着シートであり、例えば日東電工社製の商品名DA−8320、DA−8310等がある。
【0040】
この感圧性粘着シート、例えば日東電工社製の商品名DA−8310の光透過率について、分光光度計(Jasco V750)を用いて測定した結果、300nmまでの波長域で90%以上の光透過率を示し、ガラス板並の良好な透明性を有することがわかった。
【0041】
また、情報を読み出すに際し、中間層である接着剤層13の複屈折はできるだけ小さいことが好ましい。複屈折が大きいと、読み取りレーザ光の焦点を絞ろうとしても非点収差が増加し、絞りきれなくなる。上記感圧性粘着シートの複屈折を測定した結果、測定誤差範囲内(ほぼゼロ)であった。
【0042】
したがって、上記感圧性粘着シートは、光学特性の面から接着剤層13として問題ないと言える。
【0043】
上記支持基板11としては、例えば厚さ1.2mm、あるいは0.6mmのポリカーボネート基板等が用いられる。また、記録層2上には、紫外線樹脂からなる保護膜3が形成されている。
【0044】
上述のような厚さが薄く且つ凹凸パターンを有するシート状基板の成形を考えた場合、従来の射出成形や圧縮成型等、樹脂ペレットを溶融成形する方法では成形が難しく、仮に成形できたとしても、転写性、複屈折、チルト等、光ディスクに要求される諸特性を満足させることはできない。
【0045】
これ以外に、光重合による方法(2P法)やロール圧縮成形法(シートエンボス法)等も検討されているが、生産性、製造コスト、信頼性、品質等の問題からほとんど利用されていないのが実情である。
【0046】
例えば、シートエンボス法として、特開平5−16230号公報や特開平6−68527号公報等には、ロール状スタンパを用いたりロールにスタンパを固定して溶融樹脂を挟圧するシート成形法が開示されているが、鏡面ロールに微細凹凸をエッチングや電鋳でパターン形成したり、ロールに凹凸無くスタンパを固定しなければならない等、複雑な工程や機械精度を必要とする。
【0047】
加えて、溶融樹脂の挟圧によるシート成形では、圧延時の樹脂配向による複屈折ムラや圧延方向の搬送張力(樹脂の流れの方向)の違いによる樹脂の収縮差等により真円度ズレやピット、グルーブの変形が起こりやすく、トラッキングエラーやRF信号の乱れ等を起こし易い。
【0048】
また、T−ダイからロール挟圧エンボス押し出ししたシートは、鏡面ロールを使用してもT−ダイの筋目跡(ダイライン)が厚さムラとして残存し、屈折率の違いによる収差が大きな問題となり、このためにロール温度、回転速度、回転ムラ等を厳しく管理する必要がある。
【0049】
そこで本発明では、例えば光学特性を満足するシートをプリピットやグルーブが刻まれたスタンパに圧着ロールで加熱圧着し、直接エンボス加工することにより、所望のレプリカを生産性良く作成する。
【0050】
以下、本発明による製造プロセスについて説明する。
【0051】
先ず、基板となるシートを準備する。これは市販の透明シートを用いてもよいし、押し出し機により連続押し出しして形成した透明シートを用いても良い。
【0052】
シートの厚さは70〜300μmの範囲内とするのが好ましい。シートの材質は問わないが、例えばポリカーボネート、ポリエステル、アモルファスポリオレフィン等が好適である。なお、磁気ディスクの場合には、必ずしも光学的に透明でなくともよい。
【0053】
次に、スタンパを固定したフラットな加熱ステージと圧着ロール(金属製またはゴムライニングしたもの。)間にシートをセットし、加熱圧着してスタンパの凹凸パターンを転写する。
【0054】
このとき、加熱ステージ(すなわちスタンパ)の温度は、シートのガラス転移点よりも5〜60℃高い温度、好ましくは10〜40℃高い温度に設定する。
【0055】
一方、圧着ロールは、シートのガラス転移点よりも5〜80℃低い温度、好ましくは5〜40℃低い温度に設定する。
【0056】
次いで、加熱圧着により凹凸パターンが転写されたシートをガラス転移点以下まで冷却し、スタンパからシートを引き剥がす。シートの冷却には、エアの吹き付けや冷却ロールを用いてもよい。
【0057】
続いて、記録膜を成膜し、必要に応じて保護膜を形成した後、例えば円形に切り抜いて光ディスク、磁気ディスクとする。
【0058】
上記記録膜は、例えば再生専用光ディスクの場合、アルミニウム等からなる反射膜を成膜する。光磁気ディスクや相変化ディスク、追記型ディスク等の場合にも、所定の記録膜を蒸着やスパッタ等の手法により形成する。
【0059】
保護膜は、例えば紫外線硬化樹脂膜の場合、ロールコートあるいはスピンコートにより塗布した後、紫外線を照射して硬化する。
【0060】
また、シートを所望のサイズ、形状にトリミングするには、プレスまたはレーザーカッター等を用いればよい。
【0061】
図5は、これら一連のプロセスを連続的に行う製造装置の一例を示すものである。
【0062】
この製造装置において、シート21は送り出しロール22から連続的に供給され、巻き取りロール23に巻き取られる。
【0063】
そして、シート21の供給経路に、エンボス転写部、記録層成膜部、保護膜形成部、打ち抜き部が順次配列されている。
【0064】
エンボス転写部は、圧着ロール24及びスタンパ25から構成され、これらによってシート21を挟み込み、スタンパ25に形成されたプリピット、グルーブ等のエンボス(凹凸パターン)をシート21に転写する部分である。
【0065】
上記シート21は、ここではガイドロール26によって圧着ロール24に所定の抱き角で巻き付けられた状態で走行するような構成とされているが、例えば熱膨張によるタルミを防止するために、予備加熱ロールにより張力をかけながら予備加熱するような構成としてもよい。
【0066】
圧着ロール24には、例えばシリコーンゴムが所定の厚さ(例えば6mm程度)でライニングされ研磨されたロール等が用いられ、その内部に加熱した温水等を循環することにより、シート21のガラス転移点よりも5〜80℃低い温度、好ましくは5〜40℃低い温度とする。従って、シート21にポリカーボネートシート(ガラス転移点145℃)を用いた場合には、圧着ロール24の温度は、65〜140℃、好ましくは105〜140℃とする。
【0067】
一方、上記スタンパ25は、例えば電磁誘導加熱コイル等を組み込んだ加熱ステージ27上に載置されており、この加熱ステージ27を加熱することでスタンパ25も加熱される。このとき、加熱ステージ27(すなわちスタンパ25)の加熱温度は、シートのガラス転移点よりも5〜60℃高い温度、好ましくは10〜40℃高い温度とする。なお、加熱ステージ27の加熱手段としては、前記電磁誘導加熱コイルの他、ヒーターや油温による加熱等も採用可能である。
【0068】
この加熱ステージ27は、移動ステージ28上に載っており、上記スタンパ25が上記シート21を圧着ロール24との間で挟み込みを開始した後、後述の冷却ユニットと対向する位置に移動するまで、上記シート21の送りと連動して移動可能とされている。
【0069】
冷却ユニット29は、冷却パッドまたはエアー吹き付け等によりシート21を冷却するもので、この位置でシート21はスタンパ25から剥離される。この冷却ユニット29としては、断熱膨張を利用した低温エアー発生装置による急冷却離型装置(例えばマール社製、商品名コールドピストル)を備えたもの等も使用可能である。
【0070】
以上がエンボス転写部の構成であるが、この冷却ユニット29のシート送り方向の後方には、記録層成膜部、保護膜形成部、打ち抜き部が順次配列されており、シート21への凹凸パターンの形成から、記録層や保護膜の成膜、ディスク化までの一連の工程が、いわゆるイン・ラインで行われるようになっている。
【0071】
ここで、上記記録層成膜部には例えば連続スパッタ装置30が、保護膜形成部には例えば紫外線硬化樹脂供給ノズル31a、塗布ロール31b、紫外線照射ランプ31c等を備えた塗布装置31が、打ち抜き部には例えば打ち抜きプレス32がそれぞれ用いられ、記録層のスパッタによる成膜や保護膜の塗布形成、ディスク形状への打ち抜きが行われる。
【0072】
なお、上記の装置では、加熱ステージ27を移動可能とし、1枚のスタンパ25で順次エンボス転写するような構成としたが、例えば図6に示すように、加熱ステージ27を固定状態とし、複数枚のスタンパ25を循環させ、効率アップを図ることも可能である。
【0073】
具体的には、図7に示すように加熱手段27aを内蔵した加熱ステージ27にスタンパ取付ユニット33を収容する凹部27bを設け、スタンパ25をこのスタンパ取付ユニット33に保持した状態で順次移動させ、シート21の圧着から冷却ユニット29での冷却、スタンパ25からのシート21の剥離を行う。このとき、スタンパ取付ユニット33は、スタンパ25よりも0.3〜0.5mm程度、高さを低くする。
【0074】
また、加熱ステージ27のシート21の送り方向の前方、あるいは後方を面取りして若干のテーパ27c、27dを付けることにより、シート21の送りを円滑にすることができる。
【0075】
あるいは、図8に示すように、ベルトを用いたシステムとすることもできる。すなわち、例えばステンレスベルト等のような鏡面ベルト34を一対のロール35,36間に掛け渡し、シート21と同じ速度で走行するようにする。そして、この鏡面ベルト34上に複数のスタンパ25を固定配列する。これにより、スタンパ25加熱ステージ27上から冷却ユニット29位置まで次々と繰り返し送り込まれる。
【0076】
このとき、図9に示すように、シート21に搬送ガイド孔21aやディスク打ち抜きガイド孔21b等を予めプレス等の手法によって形成しておけば、スタンパ25に対する位置決めや打ち抜きプレス32等に対する位置決めが確実なものとなり、精度の高いプロセスを確立することが可能となる。
【0077】
以上、エンボス転写から記録層の成膜、保護膜の形成、ディスクへの打ち抜きまでを一貫して行う製造方法、製造装置について説明したが、例えばエンボス転写工程は、シート上に予め記録層を形成した後に行うこともできる。この場合には、図10に示すように、記録層を成膜するための連続スパッタ装置30をエンボス転写部の前に配置すればよい。
【0078】
上述の製造方法、製造装置によれば、例えば押し出し機〜T−ダイによる直接エンボスの場合のように、T−ダイの精度やT−ダイに付着したポリマーかすによるダイラインと称される流れムラによる光学歪みが発生することはなく、また多少のダイラインはエンボス時の熱と圧力により消滅し、歩留まり良く所望のディスクが得られる。
【0079】
また、射出成形では達成し得ない厚さ0.3mm以下のディスクを10nm以下の複屈折で反り変形が少ない状態で製造することができ、いわゆるフロッピータイプの光ディスクや表面読み出しの高NA対応高密度光ディスクが製造可能である。
【0080】
さらに、シート加熱温度を高く設定し、シートの送り速度を速くすることで、一般的な射出成形では達成不可能な生産性を確保することができる。
【0081】
【実施例】
以下、具体的な実験結果について説明する。
【0082】
実施例1
本発明の光記録媒体を構成するシート状基板を製造するにあたって、図5に示す装置を用い、ポリカーボネートシートに対して凹凸パターン(ピット及びグルーブ)の転写を行った。
【0083】
用いたポリカーボネートシートは、厚さ70μm、100μm、125μm、200μmの4種類であり、そのガラス転移点は145℃、複屈折は20nm以下である。
【0084】
加熱ステージ温度(スタンパ温度)や、ロール圧、シートの送り速度を変え、転写性の良否を調べた。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1からも明らかなように、加熱ステージの温度を適正な温度とすることにより良好な転写性を得ることができた。
【0087】
実施例2
ポリカーボネートシートの代わりにアモルファスポリオレフィンシート(日本ゼオン社製、商品名ゼオネックスシート)を用い、実施例1と同様に凹凸パターンの転写を行った。使用したアモルファスポリオレフィンシートの厚さは125μm、ガラス転移点は140℃、複屈折は10nm以下である。結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
実施例3
ポリカーボネートシートの代わりにアモルファスポリオレフィンシート(日本合成ゴム社製、商品名アートンシート)を用い、実施例1と同様に凹凸パターンの転写を行った。使用したアモルファスポリオレフィンシートの厚さは100μm、ガラス転移点は170℃、複屈折は10nm以下である。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】
実施例4
ポリカーボネートシートの代わりにポリエチレンテレフタレートシート(厚さ70μm、ガラス転移点125℃、複屈折30nm以下)を用い、実施例1と同様に凹凸パターンの転写を行った。結果を表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】
ポリエチレンテレフタレートシートの場合、分解ガスによる表面荒れ等により、良好な転写状態を得ることは難しかった。
【0094】
実施例5
本例では、予め記録層を成膜したシートに対して凹凸パターンを転写し、光ディスクの作製を試みた。
【0095】
用いたシートは、先の実施例2と同様のアモルファスポリオレフィンシートであり、厚さ20nmのカルコゲナイド系記録膜をスパッタにより成膜した。カルコゲナイド系記録膜の組成は、Ge:Sb:Te=2:2:5である。
【0096】
図10に示す装置を用い、前記カルコゲナイド系記録膜を成膜したアモルファスポリオレフィンシートに対して凹凸パターンを転写した。結果を表5に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
表5からも明らかなように、予め記録膜を成膜した場合にも、良好な転写性が得られた。
【0099】
実施例6
本例では、事前に磁性合金を成膜したシートを成形した。
【0100】
使用したシートは先の実施例2や実施例5と同様のアモルファスポリオレフィンシートであり、下記の各層を蒸着またはスパッタで成膜して磁性合金層(記録層)とした。
【0101】
下地クロム膜(Cr) :80nm
磁性層コバルト(Co):80nm
白金(Pt) :20nm
この磁性合金層を形成したシートに対して実施例5と同様に凹凸パターンの転写を行った。結果を表6に示す。
【0102】
【表6】
【0103】
磁性合金層を形成したシートにおいても、良好な転写性が得られた。
【0104】
そこで、このシートを用いてハードディスクの作製を試みた。
【0105】
すなわち、先ず、ハードディスクの基板として一般に用いられている厚さ0.3mmの板状アルミニウム板に紫外線硬化樹脂をスピンコートした。なお、このアルミニウム板は、鏡面研磨されたものであり、内外径が所望の形状に加工されたものである。
【0106】
次に、上記磁性合金層を形成した後に凹凸転写を行ったエンボス済みシートをアルミニウム基板と同じ大きさにトリミングし、凹凸転写面(磁性合金層形成面)を上にして紫外線硬化樹脂を塗布したアルミニウム基板に重ねた。
【0107】
この状態で高速回転(3000〜4000rpm)させ、余分な紫外線硬化樹脂を振り切った後、回転中に紫外線を照射してシートをアルミニウム基板に接着した。
【0108】
アルミニウム基板の反対側の面にも同様にシートを接着し、両面に信号面が形成されたディスクを得た。
【0109】
最後に下記の保護膜を形成し、さらに潤滑剤を塗布してハードディスクを完成した。
【0110】
カーボン保護膜 :12nm
潤滑剤(シリコーンオイル):2nm
実施例7
本例は有機色素系光ディスクに応用した例である。
【0111】
先ず、厚さ125μmのポリカーボネートシートに記録膜として下記の有機色素記録層をスピンコートあるいは蒸着により形成した。
【0112】
シアニン系有機色素(溶剤希釈液をスピンコート):100〜200nm フタロシアニン系有機色素(蒸着) :100〜200nm次に、この有機色素記録層を形成したシートに対して、実施例5と同様に凹凸パターンの転写を行った。結果を表7に示す。
【0113】
【表7】
【0114】
概ね良好な転写性が得られたが、加熱温度が高い場合、内部ガスによる表面凹凸が観察された。有機色素の分解温度は、260〜270℃と高いことから、内部からのガスは、シート中の低分子化合物か吸湿水分によるものと考えられる。
【0115】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明の光記録媒体によれば、高密度化に容易に対応することができる。そして、記録層が多層となっていることから記録容量の向上を図ることができる。
【0116】
また、本発明の製造方法によれば、シートに対して凹凸パターンを良好な転写性で効率良く形成することができ、したがって高密度化に対応した特性を有する光記録媒体を生産性良く製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【図1】 本発明の光記録媒体を構成する記録層が形成されたシート状基板の概略断面図である。
【図2】 ポリカーボネートシートの分光光学特性を示す特性図である。
【図3】 本発明の参考例となる光記録媒体の例を示す概略断面図である。
【図4】 本発明を適用した光記録媒体の概略断面図である。
【図5】 凹凸転写から打ち抜きまでの工程を一貫して行う製造装置の一例を示す模式図である。
【図6】 スタンパ取付ユニットにより複数のスタンパを順次移動させて凹凸転写を行う製造装置の一例を示す模式図である。
【図7】 固定状態で用いられる加熱ステージの一例を示す概略断面図である。
【図8】 ベルトにより複数のスタンパを順次移動させて凹凸転写を行う製造装置の一例を示す模式図である。
【図9】 シートへの位置決め孔の形成状態を示す要部概略平面図である。
【図10】 記録層の形成後に凹凸転写を行う製造装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0003】
1 シート状基板、2 記録層、3 支持基板、24 圧着ロール、25 スタンパ、27 加熱ステージ、29 冷却ユニット
Claims (3)
- 射出成形または2P法により第1の凹凸パターンが形成された支持基板上に第1の記録層が形成され、この上に第2の記録層が形成されたシート状基板を光学的に透明な中間層を介して貼り合わされた多層構造の記録媒体であって、
上記シート状基板は、厚さが0.3mm以下であり、上記支持基板の第1の記録層上に貼り合わせる側とは反対側の表面に第2の凹凸パターンが形成され、該第2の凹凸パターン上に上記第2の記録層が形成され、さらに、上記第2の記録層上に保護膜が形成されてレーザ光を上記保護膜を形成した記録層側から入射されることを特徴とする光記録媒体。 - 上記中間層が感圧性粘着シートであることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 射出成形または2P法により第1の凹凸パターンが形成された支持基板を作成しその上に第1の記録層を形成する工程と、
厚さ0.3mm以下のシート状基板に第2の凹凸パターンを形成し、その上に第2の記録層と保護膜を形成する工程と、
接着剤を介して上記支持基板の第1の記録層上に、上記シート状基板の第2の記録層側と反対側を貼り合わせることにより作成される多層構造の光記録媒体の製造方法であって、
上記シート状基板の第2の凹凸パターンは、スタンパと圧着ロールにより挟み込まれたシート状基板に、加熱圧着により上記スタンパより転写して形成され、支持基板とシート状基板が感圧性粘着シートにより貼り合わされることを特徴とする光記録媒体の製造方法。
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