JP4067141B2 - 透明導電膜とその製造方法およびスパッタリングターゲット - Google Patents
透明導電膜とその製造方法およびスパッタリングターゲット Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電膜とその製造方法、透明導電膜を形成する際に用いるスパッタリングターゲットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸化インジウムにスズをドープしたITO(Indium-Tin-Oxide系)は、透明性かつ導電性の酸化物としてよく知られており、太陽電池や液晶ディスプレイ等に用いられる透明導電膜として、広く用いられいる。
【0003】
一方、最近、酸化亜鉛をベースとした透明導電膜が、ITOと同程度の透明性、導電性を有する透明導電膜として知られるようになり、高価なITOと比較して、酸化亜鉛系のターゲットが安価であることから、工業的実用化が期待されている。
【0004】
酸化亜鉛へのドーパントとしてはアルミニウムが最もよく知られているが、安定的に低抵抗な膜を形成するには至っておらず、特公平3−72011号公報に提案されているように他のドーパントの検討もなされている。
【0005】
スパッタリング法などの真空装置を用いて形成する際、大気解放されている装置の成膜槽(チャンバー)を、成膜する前に大気から排気して成膜時の圧力以下の高真空にする。このとき、大気中の水分(水蒸気)や大気解放時に成膜槽の壁に吸着した水分(真空時には、再脱離する)は、完全には真空ポンプで排気されず、真空中で残留している。この残留水分量は、解放時の大気の湿度、成膜槽の壁の汚れ、真空ポンプの調子など制御が困難な要因に影響されるので、残留水分量を一定に制御して保つのは事実上困難である。従来、酸化亜鉛系の透明導電膜を形成する際、酸化亜鉛は水和性が強く、前述の残留水分と作用し、形成された膜の電気的特性等が変化してしまうという問題があった。
【0006】
したがって、真空中に残留する水分を制御することなしに、特性の安定した酸化亜鉛系の透明導電膜の製造方法が望まれていた。
【0007】
また、形成された酸化亜鉛系の透明導電膜についても、湿度の高いところでの使用に対して、耐湿性が必ずしも充分とはいえず、改善が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐湿性に優れた酸化亜鉛系の透明導電膜の提供を目的とする。本発明は、また、前記酸化亜鉛系の透明導電膜の製造を可能とするスパッタリングターゲットの提供を目的とする。本発明は、また、真空中に残留する水分を制御することなく、成膜時における膜特性が安定である酸化亜鉛系の透明導電膜の製造方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化亜鉛を主成分とする酸化物系スパッタリングターゲットにおいて、ガリウムをGa 2 O 3 換算で1.3〜8.0モル%含み、かつ、ケイ素をSiO 2 換算で0.07〜0.7モル%含むことを特徴とするスパッタリングターゲットを提供する。
【0010】
ケイ素の含有量がSiO2 換算で0.01モル%より少ない場合は、水分の影響を受けやすく、膜の比抵抗が変化してしまう。
【0011】
ケイ素の含有量がSiO2 換算で0.01モル%以上であることで比抵抗が下がる。一方、1.5モル%を超えると、膜の比抵抗が高くなるとともに、膜の比抵抗が変化しやすくなる。
【0012】
膜中におけるガリウムの含有割合は、Ga2 O3 換算で0.2〜8.0モル%であることが好ましい。0.2モル%より少ない場合、または8.0モル%より多い場合は、膜の比抵抗が高くなるので好ましくない。膜の比抵抗は、実用的な観点から10-2Ωcm以下であることが好ましい。
【0013】
本発明の透明導電膜の製造方法としては、特に限定されず、スパッタリング法が好ましく用いられる。
【0014】
本発明は、また、酸化亜鉛を主成分とする酸化物系スパッタリングターゲットにおいて、ガリウムを含み、かつ、ケイ素をSiO2 換算で0.01〜1.5モル%含むことを特徴とするスパッタリングターゲットを提供する。
【0015】
ケイ素の含有割合がSiO2 換算で0.01モル%より少ない場合、成膜時において、膜特性、特に比抵抗が真空中に残留する水分に影響されやすくなる。また、1.5モル%を超えると、成膜される膜の比抵抗が高くなり、さらに、スパッタリング時の放電が不安定になる。
【0016】
したがって、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、ケイ素をSiO2 換算で0.01〜1.5モル%含むことが必要である。
【0017】
本発明のスパッタリングターゲットにおいて、ガリウムの含有割合は、Ga2 O3 換算で0.2〜8.0モル%であることが好ましい。0.2モル%より少ない場合、または8.0モル%より多い場合は、ターゲットおよび該ターゲットを用いて成膜される膜の比抵抗が高くなるので好ましくない。
【0018】
この場合、直流スパッタリングにおいて、安定的なスパッタリングの放電を行ううえでは、スパッタリングターゲットの比抵抗は10-2Ωcm以下であることが好ましい。
【0019】
ガリウムは、酸化物状態または固溶状態で存在していることが好ましい。ここで、酸化物状態とは、1)三酸化ガリウム(Ga2 O3 )の状態、または、2)酸化亜鉛(ZnO)および/または酸化ケイ素(SiO2 )と、Ga2 O3 との複合酸化物の状態、を意味している。固溶状態とは、ZnOおよび/またはSiO2 にガリウムが固溶した状態を意味している。
【0020】
大部分はZnGa2 O4 複合酸化物の状態またはZnOへ固溶した状態で存在していると考えられる。
【0021】
ケイ素は、酸化物状態または固溶状態で存在していることが好ましい。ここで、酸化物状態とは、1)SiO2 の状態、または、2)ZnOおよび/またはGa2 O3 と、SiO2 との複合酸化物の状態、を意味している。固溶状態とは、ZnOおよび/またはGa2 O3 にケイ素が固溶した状態を意味している。
【0022】
前記ガリウムおよびケイ素は、酸化物状態または固溶状態で存在することが、透明膜を作製しやすい点で好ましい。ただし、支障がない程度であれば、酸化物状態および固溶状態以外の状態、たとえば、金属、炭化物、窒化物等の状態で含まれていてもよい。
【0023】
スパッタリングターゲット中のケイ素が酸化物状態で存在する場合、その酸化物の結晶粒子の最大粒径は、200μm以下であることが好ましい。粒径が200μmより大きいケイ素の酸化物粒子が存在すると、スパッタリングの放電が不安定となる。
【0024】
本発明のターゲットには他の成分が本発明の目的、効果を損なわない範囲において含まれていても支障ないが可及的に少量にとどめることが望ましい。
【0025】
本発明のターゲットは、たとえばホットプレス法、常圧焼結法などの一般にセラミックスを作製する方法で作製できる。緻密で低抵抗のターゲットを作製できる点から、ホットプレス法で作製する方が好ましい。
【0026】
本発明のターゲットは、真空または不活性ガス雰囲気中で、最高温度1000℃〜1200℃の温度条件で、0.5〜3時間ホットプレスして作製できる。
【0027】
本発明のターゲットは、高い導電性を有していることから、大面積の成膜が可能で、成膜速度が速い直流スパッタリングに充分対応できる他、高周波スパッタリング等いずれのスパッタリング法にも対応できる。
【0028】
本発明は、スパッタリング法により基体上に酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜を製造する方法において、前記したスパッタリングターゲットを用いることを特徴とする透明導電膜の製造方法を提供する。
【0029】
本発明において用いられる基体としては、ガラス、セラミックス、プラスチック、金属などが挙げられる。
【0030】
本発明の透明導電膜の製造方法におけるスパッタリングにおいては、スパッタリング時の雰囲気となるガスがアルゴンガス100%において、最も比抵抗が低く、かつ、光学吸収のない膜が得られる。
【0031】
したがって、従来スパッタリング時にアルゴンガスに加えて適量の酸素導入が必要なITOの場合と比較して、スパッタガス中の酸素濃度の条件出し作業の煩雑さ、および、酸素濃度の不均一さに起因する膜抵抗の不均一分布の発生、がないため有利である。
【0032】
スパッタリングは、たとえば、次のような条件で実施できる。スパッタリング時の雰囲気となる導入ガスとしては前述の通りアルゴンガス100%が好ましい。圧力としては、1×10-4〜5×10-2Torrが放電が安定している点で好ましい。投入電力としては電力密度換算で0.1〜10W/cm2 が好ましい。ここで、電力密度とは(投入電力)/(ターゲット面積)とする。0.1W/cm2 より低いと成膜速度が遅くなり、実用上問題がある。さらに、膜の比抵抗も高くなり好ましくない。また、10W/cm2 より高いとターゲットのオーバーヒートによりターゲットが破損する。基体温度としては室温(無加熱)〜400℃の条件が好ましい。400℃より高いと膜組成がターゲット組成と大きくずれ、膜の比抵抗が高くなるので好ましくない。
【0033】
また、本発明では基体温度が200℃以下でも、結晶性が高く熱的に安定な膜が得られるので、200℃以下の基体温度で結晶性が低くなるITOと比較して有利である。
【0034】
得られる膜の組成は、ターゲットの組成と基本的にはほぼ一致するが、成膜時のスパッタリング条件等により膜の組成とターゲットの組成とがわずかにずれることもある。
【0035】
本発明の透明導電膜は、透明発熱体や表示パネル用透明電極などの積層体に好ましく用いられる。
【0036】
すなわち、基体上に本発明の透明導電膜を形成した透明発熱体(以下、単に透明発熱体という)や、基体上に本発明の透明導電膜を形成した表示パネル用透明電極(以下、単に表示パネル用透明電極という)などとして利用できる。
【0037】
透明導電膜の膜厚は、10nm〜5μmの範囲、特には、100nm〜300nmの範囲にあることが好ましい。
【0038】
膜厚が5μmを超えると成膜時間が長くなり、コスト増加を招く。膜厚が10nmより薄いと比抵抗が高くなる。
【0039】
透明発熱体や表示パネル用透明電極において、基体と透明導電膜との間にアンダーコート膜、および/または、透明導電膜上にオーバーコート膜を設け、光の干渉現象や膜の吸収を利用して透過・反射色調や可視光線反射率の調整や熱線反射性の付与を行うことができる。
【0040】
前記アンダーコート膜やオーバーコート膜は、その他の目的に応じて適宜選択され用いられる。
【0041】
すなわち、1)透明導電膜をコートした製品の機械的耐久性を上げ、取り扱い性を向上させる目的、たとえば、表示パネル用透明電極であれば、セル化工程での取り扱い性を向上させる目的で用いられる。
【0042】
また、2)大気中や基体からの水分、または基体であるガラスの成分のアルカリが、長期間の使用の間に透明導電膜に侵入してくることを抑制し、電気抵抗の安定性を向上させるための化学的安定性を付与する目的、3)樹脂膜を介し他の基体とともに合わせ構造にする際に、該樹脂膜との接着性を調整する目的、4)複層構造にする際に用いるスペーサや、他の部品等との接着性を調整する目的、5)透明導電膜を形成した後に、電極形成、ガラス基体の強化や曲げ処理などをする場合、高温を要する工程に耐えるための耐熱性を付与したり、高温下での使用に対する信頼性を高めたりする目的、などの種々の目的に応じて前記アンダーコート膜やオーバーコート膜が設けられる。
【0043】
アンダーコート膜の少なくとも1層の膜材料、および/または、オーバーコート膜の少なくとも1層の膜材料は、金属Mの酸化物、窒化物もしくは酸窒化物であって、金属Mは、ケイ素、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、クロム、ニオブ、ホウ素、亜鉛およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましい。
【0044】
特に、ジルコニウムとケイ素との複合酸化物、複合窒化物もしくは複合酸窒化物、または、ケイ素の窒化物もしくは酸窒化物であることが、前記化学的安定性の向上に対して特に高い効果を有するので好ましい。
【0045】
オーバーコート膜やアンダーコート膜は、前述の機械的安定性および化学的安定性を付与する意味において、その組織は、表面が滑らかで物質移動のパスとなる粒界がほとんどない組織、たとえば、非晶質であることが好ましい。この点において、前述のジルコニウムとケイ素の割合は、ジルコニウムとケイ素の合量に対してケイ素が20原子%以上であることが好ましい。20原子%より少ないと膜が結晶質になり、表面の凹凸や粒界を生じやすくする。
【0046】
オーバーコート膜やアンダーコート膜の膜厚は、1〜100nmであることが好ましい。1nmより薄いと薄すぎて十分な機能を果たさない。100nmより厚いと成膜に時間がかかるうえ、材料の費用もかかるのでコストが高くなり、実用的でなくなる。
【0047】
また、本発明において、オーバーコート膜とアンダーコート膜とは、両方または一方が適宜選択されるが、一方を選択する場合は、オーバーコート膜の方がより効果的に作用する。
【0048】
また、熱線反射機能を付与する点では、オーバーコート膜やアンダーコート膜の材料が、チタン、ジルコニウム、クロム、タンタル、ニオブ、ハフニウムなどの窒化物であることが好ましい。この場合の膜厚は、1〜100nmであることが好ましい。
【0049】
透明発熱体については、透明電導膜形成後に強化処理したり、透明電導膜上に樹脂膜を積層したりすることができる。
【0050】
また、透明発熱体については、少なくとも2箇所以上の、通電のための電極取出し部を設け、電極取出し部に直流、交流、ないしは直流と交流が重畳された電圧を、連続してまたはパルス状に印加し、そのジュール熱により加熱する。この場合、必要に応じて、通電加熱時の温度制御、異常発熱、透明発熱体の割れなどの異常検出を目的とした、検出手段を設けることができる。
【0051】
図1に本発明の透明発熱体の断面構成図を、図2に本発明の透明導電膜を用いた電熱ガラスの平面図を示す。図において、1はオーバーコート層、2は透明導電膜層、3はアンダーコート層、4は基体、5は上辺バスバー、6は透明導電膜コート部分、7は下辺バスバー、8は基体を表す。
【0052】
本発明の透明導電膜は、その屈折率が1.6〜2.0であり、従来のITOの屈折率(2.0〜2.1)より低く、基体のガラスやプラスチックの屈折率1.3〜1.7との屈折率の差が小さい。したがって、前記の表示パネル用透明電極に用いた場合には、未表示部分の反射率が屈折率の差により相対的に高くなり、本来消えている箇所に電極のパターンが見えてしまい、表示が読みにくくなる状態、いわゆる骨見えと呼ばれる状態、が解消される利点を有する。
【0053】
なお、表示パネルとは、液晶表示素子(LCD)およびプラズマディスプレイパネル(PDP)などを意味している。
【0054】
【作用】
本発明において、酸化ケイ素は、膜に取り込まれた水分と強く結合し、導電性の阻害要因となる水素イオン(プロトン)の生成を抑制し無害化するように働く。また、酸化ケイ素は膜を緻密化するので吸着サイトを減らせる。したがって、成膜時において、真空中に残留した水分の影響を実質的に小さくする。
【0055】
また、成膜された膜の中には水分が少なく、つまり構造的に欠陥となるような水素原子または水素イオン等の不純物が少なく、理想的な構造を持つ膜が形成される。したがって、膜自身、水分子のアタックに対して強い構造となっており、高い耐湿性を有すると考えられる。
【0056】
【実施例】
[例1〜9(実施例)、例10〜14(比較例)]
ZnO粉末(平均粒径1μm)、Ga2 O3 粉末(平均粒径1μm)およびSiO2 粉末(平均粒径10μm)を表1の例1〜14に示す組成になるように、ボールミルで混合し、14種類のGa2 O3 −ZnO−SiO2 混合粉末を調製した。
【0057】
これら14種類の粉末をそれぞれカーボン製のホットプレス用型に充填し、アルゴン雰囲気中1100℃で1時間保持の条件でホットプレスした。このときのホットプレス圧力は100kg/cm2 とした。得られた14種類の焼結体中のケイ素の酸化物の結晶粒子の最大粒径は、いずれも100μm程度であった。
【0058】
得られた14種類の焼結体について密度および体積比抵抗を測定した。なお、体積比抵抗は、4端子法により測定した。その結果を表1に示す。
【0059】
次に、これら14種類の焼結体から直径3インチ、厚さ5mmの寸法に切り出し、14種類のターゲットを作製した。
【0060】
これら14種類のターゲットを用い、マグネトロンDCスパッタリング装置を使用して、Ga2 O3 −ZnO−SiO2 系膜の成膜を、投入電力:DC50W、圧力:5×10-3Torr、基体温度:無加熱、の条件で行った。基体には、ソーダライムガラスを用いた。膜厚はおよそ100nmとなるようにした。
【0061】
成膜時において真空中に残留する水分の影響を見るため、各ターゲットにおいて、成膜前に行う排気時間を2通りとした。すなわち、水分がまだ多く含まれる30分と、ほとんど真空中に残留水分がない充分に真空に排気した12時間の2通り場合について、真空中の水分の影響を調べた。
【0062】
例14の組成のターゲットを用いた場合、成膜は何とか可能であったが排気時間に関係なく放電は不安定であった。その他については、成膜中、放電は安定しており、まったく問題はなかった。
【0063】
成膜後、膜の組成をICP法を用いて測定した。また、膜厚、シート抵抗の測定結果から膜の比抵抗を計算した。膜の組成および膜の比抵抗を表2に示す。
【0064】
表2から、本発明のターゲットを用いた場合では、排気時間の差によって膜の比抵抗は変化しない、すなわち、真空中の水分に影響されずに低抵抗の透明道電膜を成膜できることがわかる。一方、比較例においては、12時間排気した真空中に水分の少ない状態で成膜した場合は、本発明のターゲットを用いた場合と同等の性能を示すが、30分排気の水分の多い状態で成膜した場合は、水分の影響を受け、膜の比抵抗は高くなっていることがわかる。
【0065】
また、上記のように成膜した膜の耐湿性を評価した。耐湿性は、温度80℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に500時間放置後の膜の比抵抗により評価した。結果を表2に併せて示す。本発明のターゲットを用いて成膜した膜は、比抵抗に変化がなく、高い耐湿性を有する。比較例では、膜の比抵抗に上昇が見られる。
【0066】
本発明の透明導電膜を透明発熱体に用いた例を例15〜17に、また、表示パネル用透明電極に用いた例を例18〜20に示す。
【0067】
[例15]
直径6インチとした以外は例5と同様にして本発明のターゲットを作製し、成膜槽内に設置した。一方、ジルコニウム−シリコン合金(組成は原子比でZr/Si=1/2)ターゲットも同じ成膜槽内に設置した。
【0068】
ガラス基体に、ジルコニウム−シリコン合金ターゲットを用い、アルゴン25%−窒素75%の雰囲気、圧力3×10-3Torr、投入電力1kW、基体は無加熱、という条件で、反応スパッタリングにより、膜厚3nmのジルコニウムとケイ素の複合窒化物膜(ZrSix Ny 膜)を形成し、次に、本発明のターゲットを用い、アルゴン雰囲気、圧力3×10-3Torr、投入電力1kW、基体は無加熱、という条件で、スパッタリングにより、膜厚120nmの本発明の透明導電膜を形成し、次に、再度前記ZrSix Ny 膜形成時の条件と同条件で膜厚10nmのZrSix Ny 膜を形成した。
【0069】
結果として、真空を破らずに、ガラス基体側から、膜厚3nmのZrSix Ny 膜、膜厚120nmの本発明の透明導電膜、膜厚10nmのZrSix Ny 膜を形成した。 これにスクリーン印刷法により電極および電極取出し部を印刷して300℃で焼き付けた後、電極取出し部にリード線を半田付けした。
【0070】
その後、同一寸法のガラスとスペーサを挟んでシーラントで封着して複層ガラスとした電熱ガラスを得た。
【0071】
作製した電熱ガラスの可視光透過率は83%と高い透明性を有していた。色調はニュートラルであった。シーラントを貫通して外部へ取り出したリード線で、バスバー電極間の抵抗を測定したところ108Ωであった。バスバー間に電圧32.2Vを印加して通電試験したところ、6週間経過後も、抵抗値、外観とも変化を示さず、一定であった。
【0072】
[例16]
例15のZrSix Ny 膜を形成した代わりに、ジルコニウム−シリコン合金ターゲットを用い、アルゴン70%−酸素30%の雰囲気、圧力3×10-3Torr、投入電力1kW、基体は無加熱、という条件で、反応スパッタリングにより、ジルコニウムとケイ素の複合酸化物膜(ZrSix Oy 膜)を形成した以外は、例15と同様にして、ガラス基体上に成膜した。
【0073】
結果として、真空を破らずに、ガラス基体側から、膜厚3nmのZrSix Oy 膜、膜厚120nmの本発明の透明導電膜、膜厚10nmのZrSix Oy 膜を形成した。
【0074】
以下は、例15と同様にして電熱ガラスを得た。作製した電熱ガラスの可視光透過率は84%と高い透明性を有していた。色調はニュートラルであった。シーラントを貫通して外部へ取り出したリード線で、バスバー電極間の抵抗を測定したところ108Ωであった。バスバー間に電圧32.2Vを印加して通電試験したところ、6週間経過後も、抵抗値、外観とも変化を示さず、一定であった。
【0075】
[例17]
例15のZrSix Ny 膜を形成した代わりに、シリコンターゲットを用い、アルゴン25%−窒素75%の雰囲気、圧力3×10-3Torr、投入電力1kW、基体は無加熱、という条件で、反応スパッタリングにより、ケイ素の窒化物膜(SiNx 膜)を形成した以外は、例15と同様にして、ガラス基体上に成膜した。
【0076】
結果として、真空を破らずに、ガラス基体側から、膜厚3nmのSiNx 膜、膜厚120nmの本発明の透明導電膜、膜厚10nmのSiNx 膜を形成した。
【0077】
以下は、例15と同様にして電熱ガラスを得た。作製した電熱ガラスの可視光透過率は83%と高い透明性を有していた。色調はニュートラルであった。シーラントを貫通して外部へ取り出したリード線で、バスバー電極間の抵抗を測定したところ108Ωであった。バスバー間に電圧32.2Vを印加して通電試験したところ、6週間経過後も、抵抗値、外観とも変化を示さず、一定であった。
【0078】
[例18]
直径6インチとした以外は例5と同様にして本発明のターゲットを作製し、成膜槽内に設置した。PC(ポリカーボネート)基体上に、本発明のターゲットを用い、アルゴン雰囲気、圧力3×10-3Torr、投入電力1kW、基体は無加熱、という条件で、スパッタリングにより、膜厚300nmの透明導電膜を形成した。この透明導電膜の屈折率は1.7であった。
【0079】
成膜後、弱酸性エッチング溶液により、所定の電極形状にパターニングした。この電極付きPC基体を用い、TN型液晶表示素子を作製した。
【0080】
作製した素子を目視検査した結果、いわゆる骨見えは観察されなかった。
【0081】
[例19]
本発明の透明導電膜形成前に、ジルコニウム−シリコン合金ターゲットを用い、アルゴン25%−窒素75%の雰囲気、圧力3×10-3Torr、投入電力1kW、基体は無加熱、という条件で、反応スパッタリングにより、膜厚10nmのZrSix Ny 膜を形成した以外は、例18と同様にして、電極付きPC基体を得た。
【0082】
結果として、真空を破らずに、PC基体側から、膜厚10nmのZrSix Ny 膜、膜厚300nmの本発明の透明導電膜を形成した。透明導電膜の屈折率は1.7であった。
【0083】
この電極付きPC基体を用い、例18と同様に、TN型液晶表示素子を作製した。作製した素子を目視検査した結果、いわゆる骨見えは観察されなかった。また、温度80℃、相対湿度90%に保った恒温恒湿槽に500時間保持した前後での1kHzでの容量周波数特性、すなわち比誘電率ε’の変化を測定した。その結果、恒温恒湿槽保持前の比誘電率ε’は6.5であり、500時間保持後は7.0であり、ほとんど変化なかった。
【0084】
[例20]
例19のZrSix Ny 膜を形成した代わりに、シリコンターゲットを用い、アルゴン25%−窒素75%の雰囲気、圧力3×10-3Torr、投入電力1kW、基体は無加熱、という条件で、反応スパッタリングにより、SiNx 膜を形成した以外は、例19と同様にして、PC基体上に成膜した。
【0085】
結果として、真空を破らずに、PC基体側から、膜厚10nmのSiNx 膜、膜厚300nmの本発明の透明導電膜を形成した。透明導電膜の屈折率は1.7であった。
【0086】
この電極付きPC基体を用い、例18と同様に、TN型液晶表示素子を作製した。作製した素子を目視検査した結果、いわゆる骨見えは観察されなかった。また、温度80℃、相対湿度90%に保った恒温恒湿槽に500時間保持した前後での1kHzでの容量周波数特性、すなわち比誘電率ε’の変化を測定した。その結果、恒温恒湿槽保持前の比誘電率ε’は6.5であり、500時間保持後は7.0であり、ほとんど変化なかった。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【発明の効果】
本発明のターゲットを用いることにより、真空中に残留する水分を制御することなく、成膜時における膜特性が安定である酸化亜鉛系の透明導電膜が製造できる。また、本発明の透明導電膜は、優れた耐湿性を有する。
【0090】
本発明の透明発熱体は、薄い銀層等の金属薄層を用いた透明発熱体用の膜系と比べて、通電に対する長期信頼性や環境からのアタックに対する安定性などにおいて優れる。
【0091】
また、本発明の透明導電膜は、大面積基体に均一な膜厚・膜質分布で成膜が可能な直流スパッタ法で成膜ができるため、たとえば1m巾以上の大面積が必要な、たとえば自動車のフロントガラスの防曇用途などへの応用ができ、また小サイズの基体を並べて複数枚同時に成膜できるので、生産効率の点でも優れる。
【0092】
さらに、本発明の透明導電膜は、耐湿性、高透明性、低抵抗、大気中耐熱性、低コストの各要素を備えるので、1)自動車用の防曇防氷ウインドシールドや冷凍冷蔵ショーケースなどの電熱ガラスの透明発熱体、2)液晶表示素子やプラズマディスプレイパネルなどの表示パネルの透明電極、3)太陽電池および受光素子の透明電極、4)建築用および自動車用の熱線反射膜、選択透過膜、および電磁波遮蔽膜、または5)フォトマスクや建築用などの帯電防止膜、などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明発熱体の断面構成図
【図2】本発明の透明導電膜を用いた電熱ガラスの平面図
Claims (3)
- 酸化亜鉛を主成分とする酸化物系スパッタリングターゲットにおいて、ガリウムをGa2O3換算で1.3〜8.0モル%含み、かつ、ケイ素をSiO2換算で0.07〜0.7モル%含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
- ターゲット中のケイ素の酸化物の結晶粒子の最大粒径は、200μm以下である請求項1記載のスパッタリングターゲット。
- スパッタリング法により基体上に酸化亜鉛を主成分とする透明導電膜を製造する方法において、請求項1または2に記載のスパッタリングターゲットを用いることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
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