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JP4070082B2 - ポリマー薄膜を有する基材、及びその製造方法 - Google Patents
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JP4070082B2 - ポリマー薄膜を有する基材、及びその製造方法 - Google Patents

ポリマー薄膜を有する基材、及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマー薄膜を有する基材、及びその製造方法に関する。
更に詳しくは、本発明は、光機能性膜、光・電子素子、分離膜などの広い分野で有用な、安定性の高いポリマー薄膜を有する基材、及びナノメートル単位で膜厚を制御できる該ポリマー薄膜を有する基材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ナノメートルオーダーの膜厚を有するポリマー薄膜で修飾された基材の開発に関して、多方面で活発に研究が展開されている。その応用分野は、触媒、物質分離、センサー技術、エレクトロオプティック技術、フォトニック技術と広範囲に及んでいる。
【0003】
従来、ナノメートルレベルで膜厚や組成が制御されたポリマー薄膜を有する基材の製造方法としては、両親媒性を付与したポリマー又はモノマーを用いて行うラングミュア−ブロジェット(LB)法が多用されている(例えば、特開平6−32913号公報、特開2000−143831号公報)。
【0004】
例えば、長鎖アルキル基等の疎水性部位を有する親水性ポリマーの単分子膜を水面上に形成させ、それを繰り返し基材上に移し取ることにより、比較的簡便にポリマー薄膜を有する基材を得ることができる。又は、両親媒性モノマーの単分子膜を水面上に形成させ、それを繰り返し基材上に移し取り、更に重合することにより、比較的簡便にポリマー薄膜を有する基材を得ることができる。
【0005】
しかしながら、厚み精度の良好な薄膜を得るためには、高価で比較的大がかりなLB膜製造装置が必要である。また、得られたポリマー多層薄膜の各層は、単に物理吸着に基づいて積層されているために、ポリマー薄膜の安定性は必ずしも高くない。
【0006】
一方、固体表面に化学吸着可能な官能基を有するモノマー又は重合開始剤を基材上に固定し、それらを利用して重合反応を行うことにより、安定なポリマー薄膜を基材上に形成する方法が「ポリマーブラシ」の分野で研究が行われている(特開平5−17595号公報、特開2000−143705号公報)。
【0007】
例えば、アルコキシシリル基やメルカプト基等の官能基を持つモノマー又は重合開始剤を適当な溶媒に溶解させ、それに基材を浸漬させることにより、モノマー又は重合開始剤を基材表面に固定し、次に該基材をモノマー又はモノマーと重合開始剤を含む溶液に浸積させ重合させることにより、ポリマー薄膜を有する基材を得ることができる。これらは高い膜安定性を提供し得るが、基材上における逐次重合反応に基づいたポリマー薄膜形成であるため、分子レベルにおける膜厚や組成の制御に関して、必ずしも有利な方法とは言い難い。
【0008】
近年、荷電を有するポリマー〔以下、「ポリマー電解質」という〕を、反対荷電を有するポリマー電解質と交互に基材上に積層させ、ポリマー薄膜を有する基材を製造する方法が提案されている(例えば、特開平10−167707号公報、「プログレス・オブ・コロイド・アンド・ポリマー・サイエンス(Prog. ColloId Polym. ScI.)89巻、160頁、1992年)。
【0009】
例えば、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)等のアニオン性ポリマー電解質を含有する溶液に、カチオン性処理を施した基材を浸漬させ、次いで、該基材をポリアリルアミン塩酸塩等のカチオン性ポリマー電解質に浸漬させ、これらの工程を繰り返し行うことにより、アニオン性ポリマー電解質とカチオン性ポリマー電解質が交互に積層された薄膜を基材上に作製することができる。
【0010】
この方法は、簡便に、且つ短時間でポリマー多層薄膜を作製できるが、層間の連結がイオン相互作用に依っているため、安定性は必ずしも高くない。最近、電子供与性基と電子受容性基をそれぞれ持つポリマーを、電荷移動相互作用を利用して交互に積層させ、ポリマー薄膜を有する基材を製造する方法も提案されている(特開平10−244616号公報)。しかしながら、この方法も非共有結合によりポリマー薄膜が形成されているため、上記した他の方法と同様に安定性が低い欠点を有している。
【0011】
一方、本発明者らは、マレイン酸モノアルキルエステルとアルキルビニルエーテルの交互コポリマーが、アミノ基を有するカップリング剤を結合した基材表面にイミド結合を介して、安定なポリマー薄膜を形成し得ることを見出した(特開平10−120790号公報)。しかし、該ポリマー薄膜の膜厚は約3nmと薄いものであり、厚い膜厚のポリマーを積層したポリマー薄膜の形成手段や該ポリマー薄膜膜厚の制御手段は見出されていなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、高い結合安定性と優れた平坦性を持つポリマー薄膜を有する基材とナノメートル単位で膜厚を制御できる該ポリマー薄膜を有する基材の簡便な製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高い結合安定性を有し、且つナノメートルレベルで膜厚や組成を制御できるポリマー薄膜を有する基材を簡便に製造するためには、化学吸着等の方法により、分子レベルにおいて基材上にポリマーを積層させ、次いで該ポリマー間の相互作用を共有結合等の強固な結合へ変換することであると考えた。
【0014】
本発明者らは、基材表面にアミノ基またはカルボキシル基などのアミド結合またはイミド結合を形成しうる官能基を有するカップリング剤を接触させ、次いで該基材を前記官能基とアミノ基またはカルボキシル基などのアミド結合またはイミド結合を形成しうる官能基を各々2個以上有するポリマー(A)の溶液に接触させ、該基材にポリマー(A)を吸着させ、更に該基材をアミノ基またはカルボキシル基などのアミド結合またはイミド結合を形成しうる官能基を各々2個以上有する化合物(B)の溶液に接触させ、次いで直ちに、もしくはこれらを更に1回以上繰り返した後に、基材を加熱処理することにより、基材に接触・吸着させていたポリマーを互いにアミドまたはイミド結合で結合させることにより基材上に強固な共有結合で形成されたポリマー薄膜を有する基材を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明は、(1)イミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の官能基を有するカップリング剤を基材表面に接触させてカップリング剤を基材表面に結合させる工程、
(2)基材に結合した前記カップリング剤が有する官能基とイミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の官能基を2つ以上有するか、またはイミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の構造単位を1つ以上有するポリマー(A)の溶液に前記基材を接触させ、ポリマー(A)を前記基材に結合したカップリング剤に化学吸着させる工程、
【0016】
(3)ポリマー(A)が化学吸着した前記基材に、ポリマー(A)が有する1種類の官能基または構造単位とイミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の官能基を2つ以上有する化合物(B)の溶液を接触させ、ポリマー(A)に化合物(B)を化学吸着させる工程、
(4)前記基材を加熱してイミド結合またはアミド結合を形成させる工程および(5)前記基材に(2)から(4)までの工程を1回以上繰り返すことを特徴とするポリマー薄膜を有する基材の製造方法を提供する。
【0017】
また本発明は、Au、Ag、Cu、Ptからなる群から選ばれる金属、またはSIO2、Al23、InO2、SnO2、ZrO2、TIO2及びHfO2からなる群から選ばれる金属酸化物で表面が被覆されているガラス、石英または樹脂からなる基材上にアミノ基またはカルボキシル基を有するカップリング剤が結合しており、
前記カップリング剤の官能基とイミド結合またはアミド結合を形成して結合されているポリマー(A)と、
前記ポリマー(A)の未反応の官能基または構造単位と、エチレンジアミン、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミン、ポリアリルアミン、コハク酸またはトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選ばれる化合物(B)とがイミド結合またはアミド結合を形成して結合されており、
さらに前記化合物(B)の未反応の官能基が前記ポリマー(A)と同種もしくは異種のポリマー(A)とイミド結合またはアミド結合を形成して結合され、該ポリマー(A)の未反応の官能基または構造単位が前記化合物(B)と同種もしくは異種の化合物(B)とイミド結合またはアミド結合を形成して結合されている1種以上のポリマー(A)と1種以上の化合物(B)とがイミド結合またはアミド結合を形成して結合された複数の繰り返しからなるポリマー薄膜を有する基材を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について以下に詳細に説明する。
本発明のポリマー薄膜を有する基材に使用する基材は、該基材をイミド結合またはアミド結合を形成し得る官能基を有するカップリング剤と接触させて、これらのカップリング剤を該基材表面に結合させることができるものであれば、特に制限なく用いることができる。より具体的にはガラス、金属または樹脂製の基材を用いることができる。
【0019】
中でも、少なくとも後述するカップリング剤と接触させる面がAu、Ag、CuおよびPtからなる群から選ばれる金属、またはSIO2、Al23、InO2、SnO2、ZrO2、TIO2およびHfO2からなる群から選ばれる金属酸化物で被覆されている基材が、該表面にカップリング剤が結合しやすいことから好ましい。
【0020】
次に、イミド結合またはアミド結合を形成し得る官能基を有するカップリング剤について説明する。
本発明に用いるイミド結合またはアミド結合を形成し得る官能基を有するカップリング剤は、1分子中に使用する基材表面に共有結合で結合できる官能基と、アミノ基またはカルボキシル基などのイミド結合またはアミド結合を形成しうる官能基を併せ持つ化合物であれば、特に制限なく用いることができる。
【0021】
具体的には、表面がAu、Ag、CuおよびPtからなる群から選ばれる金属を有する基材に使用できるカップリング剤としては、例えば、アミノ基またはカルボキシル基を有する硫黄化合物が挙げられる。
【0022】
一般に、表面がAu、Ag、CuおよびPtからなる群から選ばれる金属を有する基材を、この基材の表面に活性な硫黄化合物の溶液に浸漬すると、該硫黄含有基が基材表面と化学結合し、基材表面に安定な単分子膜層を形成することが知られている[エー・ウルマン(A.Ulman)著「ラングミュア・ブロジェット法から自己組織化までの有機超薄膜への入門(An IntroductIon to UltrathIn OrganIc FIlms from LangmuIr−Blodgett to Self−Assembly)」(アカデミック・プレス社(AcademIc Press Inc.)ボストン、1991年]。
【0023】
アミノ基またはカルボキシル基を有する硫黄化合物としては、例えば、2−アミノエチルメルカプタン、3−アミノプロピルメルカプタン、4−アミノブチルメルカプタン、6−アミノヘキシルメルカプタン、12−アミノドデシルメルカプタン、4−アミノチオフェノールなどのアミノ基を有するメルカプタン、2,2’−ジアミノエチルスルフィドなどのアミノ基を有するスルフィド化合物、シスタミンなどのアミノ基を有するジスルフィド化合物、
【0024】
3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプトブタン酸、6−メルカプトヘキサン酸、8−メルカプトオクタン酸、10−メルカプトデカン酸、12−メルカプトドデカン酸、16−メルカプトヘキサデカン酸、18−メルカプトオクタデカン酸などのカルボキシル基を有するメルカプタン、
【0025】
2,2’−ジカルボキシエチルジスルフィド、5,5’−ジカルボキシペンチルジスルフィド、11,11’−ジカルボキシウンデシルジスルフィド、リポ酸などのカルボキシル基を有するジスルフィド化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
アミノ基またはカルボキシル基を有する硫黄化合物を用いて基材を処理するには、例えば、当該化合物のいずれか1つを溶媒に溶解させ、その溶液に基材を接触させた後、基材を引き上げ該化合物が溶解する溶媒で洗浄する方法が挙げられる。
【0027】
アミノ基またはカルボキシル基を有する硫黄化合物を溶解させる溶媒としては、例えば、メタノール、2−プロパノールの如きアルコール系化合物;アセトン、2−ブタノンの如きケトン系化合物;ヘキサン、ヘキサデカンの如き脂肪族炭化水素;トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素;
【0028】
塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンの如きハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンの如きエーテル系化合物、及びこれらの混合物などが挙げられるが、これらの溶媒に限定されるものではなく、硫黄含有基やアミノ基またはカルボキシル基と反応しない溶媒であれば使用できる。
【0029】
アミノ基またはカルボキシル基を有する硫黄化合物の溶液中の濃度は、通常、0.001ミリモル/リットル〜5モル/リットルであり、0.1〜100ミリモル/リットルが好ましい。該濃度が0.001ミリモル/リットルよりも薄い場合、反応の進行に長時間を要する傾向にある。
【0030】
アミノ基またはカルボキシル基を有する硫黄化合物の溶液による処理温度は、10〜120℃が好ましく、15〜80℃が特に好ましい。該溶液による処理時間は、通常、1分間〜24時間であるが、一般に処理温度が低いと長い処理時間を要するので、処理時間が30分間〜6時間になるよう処理温度を調製することが好ましい。
【0031】
アミノ基またはカルボキシル基を有する硫黄化合物の溶液から基材を分離した後の洗浄操作は、未反応の硫黄化合物を除去するために重要である。この洗浄での溶媒は、該硫黄化合物を溶解することができる上記の溶媒を用いることができる。乾燥方法は、特に制限がなく、10〜100℃で減圧条件にて行ってもよいし、また、空気、窒素、アルゴン等のガスブローにて行ってもよい。
【0032】
次に、表面がSIO2、Al23、InO2、SnO2、ZrO2、TIO2及びHfO2からなる群から選ばれる金属酸化物を有する基材に使用できるカップリング剤としては、例えば、アミノ基またはカルボキシル基を有するアルコキシシランまたはハロゲン化シラン(以下、末端にアミノ基またはカルボキシル基を有するシラン化合物と略称する)が挙げられる。
【0033】
一般に、表面に金属酸化物を有する基材を上述の如きシラン化合物の溶液に浸漬すると、該シラン化合物中のシリル基が基材表面と化学結合し、基材表面に安定な単分子膜層を形成することが知られている。
【0034】
本発明に用いるアミノ基またはカルボキシル基を有するシラン化合物は、例えば、3−アミノプロピルトリクロロシラン、3−アミノプロピルメチルジクロロシラン、3−アミノプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、
【0035】
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、6−アミノへキシルトリクロロシラン、6−アミノへキシルトリメトキシシラン、6−アミノへキシルトリエトキシシラン、11−アミノウンデシルトリクロロシラン、11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、11−アミノウンデシルトリエトキシシランなどのアミノ基を有するアルコキシシランまたはハロゲン化シラン、
【0036】
3−トリメトキシシリルプロピオン酸、3−トリエトキシシリルプロピオン酸、4−トリメトキシシリルブタン酸、4−トリエトキシシリルブタン酸、6−トリメトキシシリルヘキサン酸、6−トリエトキシシリルヘキサン酸、12−トリメトキシシリルドデカン酸、12−トリエトキシシリルドデカン酸などのカルボキシル基を有するアルコキシシランが挙げられる。
【0037】
これらのアミノ基またはカルボキシル基を有するシラン化合物を用いて基材を処理する方法としては、例えば、これらの化合物のいずれか1つを溶媒に溶解させ、その溶液に基材を接触させた後、基材を引き上げ、該化合物が溶解する溶媒で洗浄する方法が挙げられる。
【0038】
これらのシラン化合物を溶解させる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘキサデカンの如き脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素;塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンの如きハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンの如きエーテル系化合物などが挙げられる。
【0039】
しかし、これらの溶媒に限定されるものではなく、水酸基あるいはカルボニル基を有しない溶媒、及びアミノ基又はカルボキシル基と反応しない溶媒であれば使用できる。但し、アルコキシ基と結合したケイ素原子を有する化合物を用いる場合は、メタノール、プロパノールの如きアルコール系化合物;アセトン、2−ブタノンの如きケトン系化合物及びこれらの混合溶媒を用いることができる。
【0040】
アミノ基またはカルボキシル基を有するシラン化合物の溶液中の濃度には、0.001ミリモル/リットル〜5モル/リットルであり、0.1〜100ミリモル/リットルの範囲が好ましい。アミノ基またはカルボキシル基を有するシラン化合物の溶液中の濃度が、0.001ミリモル/リットルよりも薄いと、反応の進行に長時間を要する傾向にある。
【0041】
アミノ基またはカルボキシル基を有するシラン化合物の溶液を用いた処理温度は、通常、10〜120℃であり、15〜80℃好ましい。処理時間は特に制限はないが、当該処理の時間は、1分間〜24時間の範囲が好ましく、30分間〜6時間の範囲がより好ましい。
【0042】
アミノ基またはカルボキシル基を有するシラン化合物の溶液から基材を分離した後の洗浄操作は、未反応のシラン化合物を除去するために重要で、洗浄溶媒としては、アミノ基またはカルボキシル基を有するシラン化合物を溶解することができる上記の溶媒を用いることができる。また、処理後の基材を加熱処理することは、シラン化合物での処理を完全にするために有効である。この加熱処理温度は、50〜200℃の範囲が好ましく、50〜120℃の範囲がより好ましい。
【0043】
このようにして、イミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の官能基を有するカップリング剤を基材表面に接触させ、基材表面にカップリング剤を結合させる。
【0044】
次に、基材に結合したカップリング剤が有する官能基とイミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の官能基を2つ以上有するか、またはイミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の構造単位を1つ以上有するポリマー(A)の溶液に前記基材を接触させ、ポリマー(A)を前記基材に化学吸着させる方法について説明する。
【0045】
基材に結合したカップリング剤が有する官能基とイミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の官能基を2つ以上有するポリマー(A)を基材表面に化学吸着させる方法としては、アミノ基またはカルボキシル基のいずれかを2個以上有するポリマー(A)の溶液に基材を接触させた後、基材を引き上げ、ポリマー(A)が溶解する溶媒で洗浄し、次いで、乾燥させる方法が挙げられる。
【0046】
基材に結合したカップリング剤が有する官能基とイミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の結合単位を1つ以上有するポリマー(A)を基材表面に化学吸着させる方法としては、
一般式(I)
【化5】
Figure 0004070082
または、
一般式(II)
【化6】
Figure 0004070082
で示される環状カルボン酸無水物単位を含む結合単位を各々1個以上有するポリマー(A)を溶媒に溶解させ、その溶液に基材を接触させた後、基材を引き上げ、ポリマー(A)が溶解する溶媒で洗浄し、次いで、乾燥させる方法が挙げられる。
【0047】
この操作により、ポリマー(A)は、静電相互作用、双極性の相互作用又は共有結合を介して、基材表面に結合したアミノ基またはカルボキシル基を有するカップリング剤に化学吸着させることができる。
【0048】
本発明に使用するポリマー(A)は、1分子中にアミノ基またはカルボキシル基を各々2つ以上有しているか、または、1分子中に一般式(I)又は一般式(II)で示される環状カルボン酸無水物単位などの結合単位を各々1つ以上有していれば、特に制限なく用いることができる。用いるポリマー(A)は、ポリマーの側鎖に多数の上記官能基または結合単位を有するポリマーが好ましい。
【0049】
効率よくポリマー薄膜を形成するためには、ポリマー1分子中に上記官能基の数が5〜500あることが好ましく、中でも10〜100あることがより好ましく、また、ポリマー1分子中に上記結合単位の数が3〜250あることが好ましく、中でも5〜50あることがより好ましい。また、ポリマー(A)の分子量は特に制限されないが、500〜100万の範囲が好ましく、1000〜10万の範囲が特に好ましい。
【0050】
ポリマー薄膜を作製する上で、ポリマー(A)は柔軟性の高い分子構造を有することが好ましく、特に、重合性不飽和二重結合を有するモノマー、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基またはアリル基を有するモノマー、もしくは一般式(I)または一般式(II)で示される構造単位を有するモノマーから合成されるポリマーが好ましい。
【0051】
これらのモノマーを例示すると、アリルアミン、N−メチルアリルアミン、N−アリルシクロペンチルアミン、N−アリルシクロヘキシルアミン、3−アミノ−1−プロピルビニルエーテル、N−アリルアニリン、4−ビニルアニリンなどのアミノ基を1つ含むモノマー、ジアリルアミン、トリアリルアミン等のアミノ基を複数含むモノマー、
【0052】
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、トランス−2−ペンテン酸、トランス−2−メチル−2−ペンテン酸、4−ビニル安息香酸などのカルボキシル基を1つ含むモノマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、ジメチルマレイン酸などのカルボキシル基を2つ含むモノマー及びそれらのモノアルキルエステル、及び、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物およびジメチルマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物モノマーなどが挙げられる。
【0053】
これらのなかでも、アリルアミン、4−ビニルピリジン、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸無水物、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステルおよびイタコン酸無水物が好ましく用いられる。また、ポリエチレンイミンも好ましく用いることができる。
【0054】
本発明に用いるポリマー(A)は、上記モノマーから選ばれるモノマーのホモポリマー、又はそれらと共重合可能なモノマーとのコポリマーのいずれであってもよい。それらと共重合可能なモノマーは、生成するコポリマーが1分子中に上記の官能基を2つ以上、または上記の結合単位を1つ以上有していれば、特に制限されないが、柔軟性の高い分子構造を有するポリマーであることが好ましく、特に重合性不飽和二重結合を有するモノマー、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基またはアリル基を有するモノマーが好ましく用いられる。
【0055】
これらの共重合可能な重合性不飽和二重結合を有するモノマーを例示すれば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、t−ペンチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、
【0056】
アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、アリル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、アリル−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピルエーテルなどのアルキルアリルエーテル類、
【0057】
スチレン、α−メチルスチレン、α,2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンなどのスチレンまたはスチレン誘導体、
【0058】
4−ビニルビフェニル、2−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、1−ビニルピレンなどの縮合多環芳香族のビニル誘導体、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0059】
中でもマレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸無水物、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステルまたはイタコン酸無水物などの電子受容性モノマーとの共重合性が高いことから、アルキルビニルエーテル類またはスチレンまたはスチレン誘導体などの電子供与性モノマーが特に好ましく用いられる。
【0060】
上述のポリマー(A)を溶媒に溶解させ、次いでカップリング剤を吸着させた基材に該ポリマー(A)の溶液を接触させて、ポリマー(A)を該基材に化学吸着させる。
【0061】
ポリマー(A)を溶解させる溶媒としては、該ポリマーを溶解でき、且つ、該ポリマー及び基材表面の官能基と反応しない有機溶媒であれば、特に制限なく用いることができる。ポリマーを溶解させる有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどの非プロトン性極性溶媒、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類など、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
ポリマー(A)の溶液を基材に接触させる際のポリマー溶液の温度は、0〜150℃であり、15〜100℃が好ましい。基材とポリマー(A)溶液との接触処理時間は、1分間〜24時間が好ましく、10分間〜8時間がより好ましい。
【0063】
基材をポリマー(A)溶液から離した後の基材の洗浄操作は、未吸着のポリマー(A)を基材表面から除去するために必要である。洗浄溶媒は、ポリマーを溶解することができる上記の溶媒が挙げられる。また、基材の乾燥方法も、前記と同様に行える。
【0064】
次に、ポリマー(A)を化学吸着させた基材に、アミノ基またはカルボキシル基を2個以上有する化合物(B)の溶液を接触させることにより、基材表面に吸着したポリマー(A)中の未反応の上記の官能基または結合単位と化合物(B)中のカルボキシル基またはアミノ基との静電相互作用、双極性の相互作用又は共有結合を介して、化合物(B)を基材上のポリマー(A)に化学吸着させる。
【0065】
本発明に用いる化合物(B)は、1分子中にアミノ基またはカルボキシル基を各々2個以上有していれば、特に制限なく用いることができる。
そのような化合物を例示すると、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、
【0066】
N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2’−(エチレンジオキシ)−ビス(エチルアミン)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、シスタミンなどのアミノ基を2つ有する脂肪族化合物、
【0067】
ジエチレントリアミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのアミノ基を3つ以上有する脂肪族化合物、
【0068】
4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)などのアミノ基を2つ有する脂環式化合物、
【0069】
4−(アミノメチル)ピペリジン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、トランス−2,5−ジメチルピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、ホモピペラジン、1,4,7−トリアザシクロノナン、1,5,9−トリアザシクロドデカン、サイクレン、トリアザシクロテトラデカン、トリアザシクロペンタデカンなどのアミノ基を2つ以上有する複素環式化合物、
【0070】
4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−メチレンジアニリン、3,3’−メチレンジアニリン、4,4’−オキシジアニリン、4’’,4’’’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビス(4−フェノキシアニリン)、4,4’−チオジアニリン、4−アミノフェニルジスルフィド、o−トルイジン、4,4’−エチレンジ−m−トルイジン、3,3’−ジアミノベンジジン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジアニリン、3,5−ジアミノ安息香酸、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、2−アミノベンジルアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどのアミノ基を2つ以上有する芳香族化合物
【0071】
マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、3−メチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、トリカルバリリック酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、トランス−グルタコン酸、トランス−βヒドロムコン酸、トランス,トランス−ムコン酸、シス−アコンタン酸、
【0072】
トランス−アコンタン酸、ヘキサフルオログルタル酸、ペルフルオロスベリン酸、ジグリコリン酸、3,6−ジオキサオクタンジオイン酸、チオジグリコリン酸、3,3’−チオジプロピオン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、4,4’−ジチオジブタン酸、2,2’,2’’,2’’’−〔1,2−エタンジイリデン−テタラキス(チオ)〕−テトラキス酢酸などのカルボキシル基を2つ以上有する脂肪族化合物、
【0073】
1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジ酢酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、ケンプ酸、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸などのカルボキシル基を2つ以上有する脂環式化合物、
【0074】
1,3−フェニレンジ酢酸、1,4−フェニレンジ酢酸、4−カルボキシフェノキシ酢酸、1,4−フェニレンジプロピオン酸、1,4−フェニレンジアクリル酸、2,2’−イミノジ安息香酸、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビス安息香酸、4,4’−オキシビス安息香酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、メリチン酸4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのカルボキシル基を2つ以上有する芳香族化合物が挙げられる。また、化合物(B)として、前記のアミノ基またはカルボキシル基を有するポリマー(A)を用いることができる。
【0075】
これらの中でも、基材表面への吸着効率が良いことから、エチレンジアミン、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミン、コハク酸、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が特に好ましく用いられる。
【0076】
溶媒に化合物(B)を溶解させた溶液を、ポリマー(A)を吸着させた基材に接触させる。化合物(B)を溶解させる溶媒は、該化合物を溶解でき、且つ、該化合物、及び、基材表面の官能基と反応しない有機溶媒であれば、特に制限なく用いることができる。該化合物を溶解させる有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドの如き非プロトン性極性溶媒、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類など、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0077】
化合物(B)と基材との接触処理温度は、0〜150℃が好ましく、より好ましくは15〜100℃である。処理時間は1分間〜24時間、好ましくは10分間〜8時間である。
【0078】
該化合物(B)の溶液から基材を分離した後、該基材の洗浄に用いる溶媒は、化合物(B)を溶解することができる上記の溶媒が挙げられる。また、基材の乾燥方法も前記と同様である。
【0079】
化合物(B)と基材との接触処理後に基材を加熱処理する。
この加熱処理により、基材に結合したカップリング剤とポリマー(A)、ポリマー(A)と化合物(B)との間の静電相互作用あるいは双極性の相互作用を介しての弱い吸着または化学吸着を、それらが有するアミノ基またはカルボキシル基との間でアミド結合またはイミド結合を形成させることにより強固な共有結合へと変換することができる。加熱処理温度は、100〜500℃が好ましく、120〜250℃がより好ましい。この加熱処理は、減圧下に行ってもよい。
【0080】
加熱処理した基材に、更にポリマー(A)の溶液を、カップリング剤を結合させた基材にポリマー(A)の溶液を接触させたのと同様に接触させ、化合物(B)の未反応のアミノ基またはカルボキシル基との間での静電相互作用あるいは双極性の相互作用により、化合物(B)にポリマー(A)を化学吸着させ、次いで該基材を上述の方法で、さらに化合物(B)の溶液に接触させて化合物(B)をポリマー(A)に化学吸着させた後に加熱処理する工程を繰り返すことにより、基材上に形成されるポリマー(A)と化合物(B)との繰り返しからなる、厚みを持った薄膜を基材上に形成させることができる。各工程の操作は、上記の方法で行うことができ、またこれらの繰り返し回数は、特に制限なく行うことができる。
【0081】
また、この工程の繰り返し毎に、用いるポリマー(A)と化合物(B)の種類を各々任意に変えることができる。すなわち、用いるポリマー(A)と化合物(B)の種類は繰り返し工程毎に同一であっても異なる種類であっても良い。それらの複数のポリマー(A)又は化合物(B)を用いるポリマー薄膜の作製は、異なる複数の機能を持つポリマー薄膜を有する基材の製造に有効である。
【0082】
また、ポリマー(A)と化合物(B)を吸着させるごとに加熱処理を行わずにポリマー(A)と化合物(B)を吸着させる工程を繰り返し行った後に、加熱処理を行うことにより、吸着させたポリマー(A)と化合物(B)とをまとめて一度にアミド結合またはイミド結合を形成させることにより、厚みを持つポリマー薄膜を同様に作製することができる。
【0083】
また、同一のポリマー(A)と化合物(B)の吸着後に、加熱処理を行い、更にポリマー(A)と化合物(B)の種類を変えて吸着を行い、その後にまた加熱処理を行っても良く、これらは任意に選択できる。
【0084】
本発明の製造方法によれば、1nm〜100nmの任意の膜厚のポリマー薄膜を有する基材を簡便に製造できる。本発明の製造方法により製造される基材のポリマー薄膜は、エリプソメトリーにより求めた膜厚値および走査型プローブ顕微鏡による表面プロファイルの測定から、標準偏差2.0nm以内の極めて良好な厚み精度とRms値(自乗平均面粗さ)2.0nm以内の高い表面平坦性を有し、且つ、優れた耐水性、耐溶剤性を備えている。
【0085】
【実施例】
以下、実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0086】
用いた測定、評価方法を以下に示す。
(1)エリプソメトリー:
He−Neレーザーを光源とした自動エリプソメーター(フォトデバイス製MARY−102)を用い、入射角70°にてポリマー薄膜の膜厚を測定した。
【0087】
(2)フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR):
フーリエ変換赤外分光光度計(バイオ−ラッド製FTS−60A)を用いて、反射吸収モード(入射角85°)にてポリマー薄膜のFT−IRスペクトルを測定した。
【0088】
(3)X線光電子分光分析(XPS):
X線光電子分光分析装置(島津製作所ESCA−850)を用い、X線源をMgKαとして、ポリマー薄膜のXPSスペクトルを測定した。
【0089】
(4)原子間力顕微鏡(AFM):
走査型プローブ顕微鏡(セイコー電子製SPI3700)を用い、コンタクトモードにてポリマー薄膜の表面プロファイルを測定した。
【0090】
<実施例1>
表面に厚さ150nmの金層を製膜したガラス製の基材を、シスタミンの5ミリモル/リットルのエタノール溶液中に50℃で3時間浸漬した後、取り出し、エタノール中で超音波洗浄し、窒素ガスによりブロー乾燥した。これの工程を工程(II)と称する。
【0091】
このようにして得た基材をマレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー(重量平均分子量50,000)の繰り返し単位当たり0.1ミリモル/リットルの2−ブタノン溶液に、室温にて1時間浸漬した後、該溶液中から取り出し、2−ブタノン中に浸漬することにより洗浄し、更に窒素ガスによりブロー乾燥させた。これらの工程を、工程(II)と称する。
【0092】
次に、該基材を、エチレンジアミンの25ミリモル/リットルのトルエン溶液に室温で1時間浸漬した後、該溶液中から取り出し、トルエン中に浸漬することにより洗浄し、更に、窒素ガスによりブロー乾燥させた。これらの工程を、工程(III)と称する。
【0093】
更に、該基材を180℃の恒温槽で0.01Pa以下の減圧下で6時間加熱処理した。この工程を、工程(IV)と称する。
【0094】
このようにして得た基材に、更に工程(II)〜工程(IV)を繰り返して行うことにより、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0095】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(IV)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。繰り返し回数に伴なう膜厚の変化を図1に示した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(IV)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は10.9nmであった。
【0096】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1640cm-1;νC=O,1701cm-1;N1s結合エネルギー,401eV。
【0097】
また、AFM(原子間力顕微鏡)像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより、いずれも膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0098】
以上の方法で、金層上にマレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0099】
<実施例2>
工程(IV)を行わない以外は、実施例1と同様にして得た基材を180℃の恒温槽で0.01Pa以下の減圧下で6時間加熱処理して、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0100】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(III)を1〜9回繰り返し行った際、並びに該基材を加熱処理した後で、薄膜の膜厚をエリプソメトリーにより測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(III)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、9回繰り返して得られた薄膜の膜厚は8.8nmであり、また、加熱処理後の薄膜の膜厚は8.8nmであった。
【0101】
9回の繰り返し操作後に加熱処理して得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1645cm-1;νC=O,1702cm-1;N1s結合エネルギー,401.2eV。
【0102】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0103】
以上の方法で、金層上にマレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0104】
<実施例3>
工程(III)において、基材をエチレンジアミンの25ミリモル/リットルのトルエン溶液に室温で1時間浸漬した後、該溶液中から取り出し、トルエン中に浸漬することにより洗浄する代わりに、基材をポリアリルアミン(重量平均分子量15,000)の繰り返し単位当たり0.1ミリモル/リットルのメタノール溶液に室温で1時間浸漬した後、該溶液中から取り出し、メタノール中に浸漬することにより洗浄した以外は、実施例1と同様にして、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0105】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(IV)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(IV)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は13.1nmであった。
【0106】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーとポリアリルアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1641cm-1;νC=O,1702cm-1;N1s結合エネルギー,401eV。
【0107】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0108】
以上の方法で、金層上にマレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0109】
<実施例4>
表面に金層を製膜したガラス製の基材に代えて、表面に厚さ150nmの金層を製膜したポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製基材を用いた以外は、実施例1と同様にして、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0110】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(IV)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(IV)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は11.5nmであった。
【0111】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1640cm-1;νC=O,1703cm-1;N1s結合エネルギー,401.2eV。
【0112】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0113】
以上の方法で、金層上にマレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するPET樹脂製基材を作製した。
【0114】
<実施例5>
表面に金層を製膜したガラス製の基材に代えて、石英基材を用い、また、工程(I)で、基材をシスタミンの5ミリモル/リットルのエタノール溶液中に50℃で3時間浸漬した後、エタノール中で超音波洗浄する代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシランの5ミリモル/リットルのメタノール溶液中に50℃で3時間浸漬した後、メタノール中で超音波洗浄した以外は、実施例1と同様にして、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0115】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(IV)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(IV)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は11.3nmであった。
【0116】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1642cm-1;νC=O,1701cm-1;N1s結合エネルギー,401.1eV。
【0117】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0118】
以上の方法で、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有する石英基材を作製した。
【0119】
<実施例6>
工程(IV)を行わない以外は、実施例5と同様にして得た基材を、180℃の恒温槽で0.01Pa以下の減圧下で6時間加熱処理して、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0120】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(III)を1〜9回繰り返し行った際、並びに該基材を加熱処理した後で、薄膜の膜厚をエリプソメトリーにより測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(III)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、9回繰り返して得られた薄膜の膜厚は8.9nmであり、また、加熱処理後の薄膜の膜厚は8.9nmであった。
【0121】
9回の繰り返し操作後に加熱処理して得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1641cm-1;νC=O,1701cm-1 ;N1s結合エネルギー,401.2eV。
【0122】
また、AFM像から平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0123】
以上の方法で、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有する石英基材を作製した。
【0124】
<実施例7>
エチレンジアミンの代わりに、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミンを用いた以外は、実施例5と同様にして、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0125】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(IV)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(IV)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は11.7nmであった。
【0126】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーとトランス−1,4−シクロヘキサンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1643cm-1;νC=O,1700cm-1;N1s結合エネルギー,401eV。
【0127】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0128】
以上の方法で、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有する石英基材を作製した。
【0129】
<実施例8>
工程(II)において、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー(重量平均分子量50,000)の代わりに、マレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマー(重量平均分子量70,000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、マレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0130】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(IV)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(IV)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は11.3nmであった。
【0131】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1642cm-1;νC=O,1703cm-1;N1s結合エネルギー,401.1eV。
【0132】
またAFM像から平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0133】
以上の方法で、金層上にマレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0134】
<実施例9>
工程(II)において、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー(重量平均分子量50,000)の代わりに、マレイン酸とスチレンとの交互コポリマー(重量平均分子量70,000)を用いた以外は、実施例5と同様にして、マレイン酸とスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0135】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(IV)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(IV)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は11.5nmであった。
【0136】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸とスチレンとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された。
:νC=O,1645cm-1;νC=O,1701cm-1;N1s結合エネルギー,401eV。
【0137】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0138】
以上の方法で、マレイン酸とスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有する石英基材を作製した。
【0139】
<実施例10>
工程(II)において、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー(重量平均分子量50,000)に代えて、マレイン酸無水物とスチレンとの交互コポリマー(重量平均分子量50,000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、マレイン酸無水物とスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0140】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(IV)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(IV)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は11.2nmであった。
【0141】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸無水物とスチレンとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1645cm-1;νC=O,1702cm-1;N1s結合エネルギー,401eV。
【0142】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0143】
以上の方法で、金層上にマレイン酸無水物とスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0144】
<実施例11>
工程(II)において、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー(重量平均分子量50,000)に代えて、マレイン酸無水物とスチレンとの交互コポリマー(重量平均分子量50,000)を用いた以外は、実施例2と同様にして、マレイン酸無水物とスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0145】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(III)を1〜9回繰り返し行った際、並びに該基材を加熱処理した後で、薄膜の膜厚をエリプソメトリーにより測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(III)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、9回繰り返して得られた薄膜の膜厚は9.3nmであり、また、加熱処理後の薄膜の膜厚は9.3nmであった。
【0146】
9回の繰り返し操作後に加熱処理して得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸無水物とスチレンとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1640cm-1;νC=O,1702cm-1;N1s結合エネルギー,401.2eV。
【0147】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0148】
以上の方法で、金層上にマレイン酸無水物とスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0149】
<実施例12>
工程(II)において、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー(重量平均分子量50,000)に代えて、イタコン酸無水物とスチレンとの交互コポリマー(重量平均分子量42,000)を用いた以外は、実施例1と同様にして、イタコン酸無水物とスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0150】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(II)〜工程(IV)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(II)〜工程(IV)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は11.8nmであった。
【0151】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、イタコン酸無水物とスチレンとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1645cm-1;νC=O,1702cm-1;N1s結合エネルギー,401eV。
【0152】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0153】
以上の方法で、金層上にイタコン酸無水物とスチレンとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0154】
<実施例13>
表面に厚さ150nmの金層を製膜したガラス製の基材を、3−メルカプトプロピオン酸の5ミリモル/リットルのエタノール溶液中に50℃で3時間浸漬した後、取り出しエタノール中で超音波洗浄し、窒素ガスによりブロー乾燥した。これらの工程を、工程(V)と称する。
【0155】
得られた基材を、ポリアリルアミン(重量平均分子量15,000)の繰り返し単位当たり0.1ミリモル/リットルのメタノール溶液に、室温にて1時間浸漬した後、該溶液中から取り出し、メタノール中に浸漬することにより洗浄し、更に窒素ガスによりブロー乾燥させた。これらの工程を、工程(VI)と称する。
【0156】
次に、該基材を、コハク酸の25ミリモル/リットルのメタノール溶液に室温で1時間浸漬した後、該溶液中から取り出し、メタノール中に浸漬することにより洗浄し、更に、窒素ガスによりブロー乾燥させた。これらの工程を、工程(VII)と称する。
【0157】
更に該基材を180℃の恒温槽で0.01Pa以下の減圧下で6時間加熱処理した。これらの工程を、工程(VIII)と称する。
【0158】
このようにして得た基材に、更に、工程(VI)〜工程(VIII)を繰り返して行うことにより、ポリアリルアミンを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0159】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(VI)〜工程(VIII)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(VI)〜工程(VIII)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は10.1nmであった。
【0160】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、ポリアリルアミンとコハク酸との間のアミド結合の生成が確認された:νC=O,1645cm-1;N1s結合エネルギー,401eV。
【0161】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0162】
以上の方法で、金層上にポリアリルアミンを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0163】
<実施例14>
工程(VIII)を行わない以外は、実施例13と同様にして得た基材を、180℃の恒温槽で0.01Pa以下の減圧下で6時間加熱処理して、ポリアリルアミンを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0164】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(VI)〜工程(VII)を1〜9回繰り返し行った際、並びに該基材を加熱処理した後で、薄膜の膜厚をエリプソメトリーにより測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(VI)〜工程(VII)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、9回繰り返して得られた薄膜の膜厚は8.8nmであり、また、加熱処理後の薄膜の膜厚は8.9nmであった。
【0165】
9回の繰り返し操作後に加熱処理して得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、ポリアリルアミンとコハク酸との間のアミド結合の生成が確認された:νC=O,1648cm-1;N1s結合エネルギー,401.2eV。
【0166】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0167】
以上の方法で、金層上にポリアリルアミンを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0168】
<実施例15>
工程(VI)において、ポリアリルアミン(重量平均分子量15,000)に代えて、ポリエチレンイミン(重量平均分子量10,000)を用いた以外は、実施例13と同様にして、ポリエチレンイミンを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0169】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(VI)〜工程(VIII)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(VI)〜工程(VIII)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は10.8nmであった。
【0170】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、ポリエチレンイミンとコハク酸との間のアミド結合の生成が確認された:νC=O,1644cm-1;νC=O;N1s結合エネルギー,401.2eV。
【0171】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0172】
以上の方法で、金層上にポリエチレンイミンを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0173】
<実施例16>
工程(VI)において、ポリアリルアミン(重量平均分子量15,000)に代えて、4−ビニルアニリンとスチレンとのコポリマー(重量平均分子量30,000、4−ビニルアニリン含有率35モル%)を、また、工程(VII)において、コハク酸の25ミリモル/リットルのメタノール溶液に代えて、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の5ミリモル/リットルのメタノール溶液を用いた以外は、実施例13と同様にして、4−ビニルアニリンとスチレンとのコポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0174】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、工程(VI)〜工程(VIII)を1〜10回繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、工程(VI)〜工程(VIII)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は11.3nmであった。
【0175】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、ポリエチレンイミンとコハク酸との間のアミド結合の生成が確認された:νC=O,1645cm-1;νC=O;N1s結合エネルギー,401eV。
【0176】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0177】
以上の方法で、金層上に4−ビニルアニリンとスチレンとのコポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0178】
<実施例17>
実施例1と同様にして、工程(I)〜工程(IV)を行った。次に、該基材を、マレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマー(重量平均分子量70,000)の繰り返し単位当たり0.1ミリモル/リットルの2−ブタノン溶液に、室温にて1時間浸漬した後、該溶液中から取り出し、2−ブタノン中に浸漬することにより洗浄し、更に窒素ガスによりブロー乾燥させた。これらの工程を工程(IX)と称する。続いて、該基材に、工程(III)及び工程(IV)を施した。
【0179】
このようにして得た基材に、更に、各工程(II)、(III)、(IV)、(IX)、(III)および(IV)をこの順序で繰り返して行うことにより、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー、及びマレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0180】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、各工程(II)、(III)、(IV)、(IX)、(III)、(IV)をこの順序で繰り返し、各回毎にエリプソメトリーにより膜厚を測定した。繰り返し回数に伴なう膜厚値の変化を図2に示した。ポリマー薄膜の膜厚は、各工程(II)、(III)、(IV)、(IX)、(III)および(IV)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、10回繰り返して得られた薄膜の膜厚は23.1nmであった。
【0181】
10回の繰り返し操作から得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー、及びマレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1645cm-1;νC=O,1701cm-1;N1s結合エネルギー,401eV。
【0182】
また、AFM像から平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより、いずれも膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0183】
以上の方法で、金層上にマレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー、及びマレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0184】
<実施例18>
工程(IV)を行わない以外は、実施例17と同様にして得た基材を、180℃の恒温槽で0.01Pa以下の減圧下で6時間加熱処理して、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー、及びマレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。
【0185】
得られたポリマー薄膜を有する基材について、各工程(II)、(III)、(IX)および(III)を1〜9回繰り返し行った際、並びに該基材を加熱処理した後で、薄膜の膜厚をエリプソメトリーにより測定した。ポリマー薄膜の膜厚は、各工程(II)、(III)、(IX)および(III)の繰り返し回数に比例して増加することが確認され、9回繰り返して得られた薄膜の膜厚は18.2nmであり、また、加熱処理後の薄膜の膜厚は18.1nmであった。
【0186】
9回の繰り返し操作後に加熱処理して得られたポリマー薄膜を有する基材について、FT−IR測定、及びXPS分析から、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー、及びマレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマーとエチレンジアミンとの間のアミド結合及びイミド結合の生成が確認された:νC=O,1642cm-1;νC=O,1702cm-1;N1s結合エネルギー,401eV。
【0187】
また、AFM像から、平坦性に優れた表面プロファイルが観察され、一方、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストにより膜厚値に変化がないことから、高い膜安定性が証明された。
【0188】
以上の方法で、金層上にマレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー、及びマレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマーを構成要素とした、膜安定性が高く、厚み精度に優れ、且つ表面平坦性の良好なポリマー薄膜を有するガラス製基材を作製した。
【0189】
<比較例1>
工程(IV)を行わない以外は、実施例1と同様にして、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーを構成要素としたポリマー薄膜を有する基材を得た。9回繰り返し操作後のポリマー薄膜を有する基材について、エリプソメトリーから8.8nmの膜厚を有することが確認されたが、水、エタノール、クロロホルム、トルエンに50℃にて48時間浸積する耐溶剤テストの結果、それぞれ、8.7、4.5、6.2、7.5nmへと膜厚値が減少し、耐溶剤性が高くないことが判った。
【0190】
<比較例2>
表面に厚さ150nmの金層を製膜したガラス製の基材を、シスタミン二塩酸塩の5ミリモル/リットルのエタノール溶液中に50℃で3時間浸漬した後、取り出し、エタノール中で超音波洗浄し、窒素ガスによりブロー乾燥した。
【0191】
得られた基材を、ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)(重量平均分子量70,000)の繰り返し単位当たり0.1ミリモル/リットルの水溶液に、室温にて1時間浸漬した後、該溶液中から取り出し、水中に浸漬することにより洗浄し、更に窒素ガスによりブロー乾燥させた。次に、該基材をポリアリルアミン塩酸塩の繰り返し単位当たり0.1ミリモル/リットルの水溶液に室温で1時間浸漬した後、該溶液中から取り出し、水中に浸漬することにより洗浄し、更に窒素ガスによりブロー乾燥させた。
【0192】
以上の操作を繰り返し、10回繰り返し操作後のポリマー薄膜を有する基材について、エリプソメトリーの分析から15.5nmの膜厚を有することが確認されたが、水、エタノールに40℃にて48時間浸積する耐溶剤テストの結果、それぞれ、8.5、7.5nmへと膜厚値が減少し、耐溶剤性が高くないことが確認された。
【0193】
<比較例3>
石英基材を、メタクリル酸3−トリメトキシシリルプロピルの5ミリモル/リットルのメタノール溶液中に50℃で3時間浸漬した後、取り出し、メタノール中で超音波洗浄し、更に、100℃の恒温槽で0.01Pa以下の減圧下で1時間加熱処理した。得られた基材を、メタクリル酸メチルの25ミリモル/リットルのトルエン溶液に浸積させ、アゾビスイソブチロニトリル(メタクリル酸メチルに対して、1モルパーセント)の存在下、60℃にて、30分間、2時間、12時間、又は48時間重合反応を行った。
【0194】
得られたポリマー薄膜を有する基材のエリプソメトリーによる膜厚測定の結果、重合反応時間が30分間、2時間、12時間、48時間の薄膜が、それぞれ、25.2、27.3、27.8、30.1nmの膜厚値を示した。以上の結果より、この方法では、制御された膜厚のポリマー薄膜を有する基材を製造することは容易でないことが判った。
【0195】
【発明の効果】
本発明は、高い結合安定性と優れた平坦性を持つポリマー薄膜を有する基材とナノメートル単位で膜厚を制御できる該ポリマー薄膜を有する基材の簡便な製造方法を提供する。また本発明のポリマー薄膜を有する基材のポリマー薄膜は、優れた厚み精度と耐溶剤性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で作製した、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマーからなるポリマー薄膜の膜厚変化を示す図である。
【図2】 実施例17で作成した、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー及びマレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマーからなるポリマー薄膜の膜厚変化を示す図である。

Claims (13)

  1. (1)イミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の官能基を有するカップリング剤を基材表面に接触させてカップリング剤を基材表面に結合させる工程、
    (2)基材に結合した前記カップリング剤が有する官能基とイミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の官能基を2つ以上有するか、またはイミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の構造単位を1つ以上有するポリマー(A)の溶液に前記基材を接触させ、ポリマー(A)を前記基材に結合したカップリング剤に化学吸着させる工程、
    (3)ポリマー(A)が化学吸着した前記基材に、ポリマー(A)が有する1種類の官能基または構造単位とイミド結合またはアミド結合を形成し得る1種類の官能基を2つ以上有する化合物(B)の溶液を接触させ、ポリマー(A)に化合物(B)を化学吸着させる工程、
    (4)前記基材を加熱してイミド結合またはアミド結合を形成させる工程および
    (5)前記基材に(2)から(4)までの工程を1回以上繰り返すことを特徴とするポリマー薄膜を有する基材の製造方法。
  2. イミド結合またはアミド結合を形成し得る官能基がアミノ基またはカルボキシル基であり、イミド結合またはアミド結合を形成し得る構造単位が一般式(I)
    Figure 0004070082
    または、一般式(II)
    Figure 0004070082
    で示される環状カルボン酸無水物単位である請求項1に記載のポリマー薄膜を有する基材の製造方法。
  3. ポリマー(A)が、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸およびイタコン酸モノアルキルエステルからなる群から選ばれる1つ以上を重合成分としてなるカルボキシル基を有するポリマー、または該重合成分と共重合可能なモノマーとのカルボキシル基を有するコポリマーである請求項1に記載のポリマー薄膜を有する基材の製造方法。
  4. ポリマー(A)が、
    一般式(I)
    Figure 0004070082
    または、一般式(II)
    Figure 0004070082
    で示される環状カルボン酸無水物単位を有するポリマー、またはそれと共重合可能なモノマーとのコポリマーである請求項1に記載のポリマー薄膜を有する基材の製造方法。
  5. ポリマー(A)が、アリルアミンと4−ビニルアニリンの少なくとも1つを重合成分としてなるアミノ基を有するポリマー、該重合成分と共重合可能なモノマーとのアミノ基を有するコポリマーまたはポリエチレンイミンである請求項1に記載のポリマー薄膜を有する基材の製造方法。
  6. 化合物(B)が、エチレンジアミン、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミン、ポリアリルアミン、コハク酸およびトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選ばれる1つである請求項1に記載のポリマー薄膜を有する基材の製造方法。
  7. 基材が、少なくともカップリング剤と接触させる面が、Au、Ag、Cu及びPtからなる群から選ばれる金属、または、SIO2、Al23、InO2、SnO2、ZrO2、TIO2及びHfO2からなる群から選ばれる金属酸化物で被覆されている基材である請求項1に記載のポリマー薄膜を有する基材の製造方法。
  8. 2回目以後の(2)の工程において、繰り返し回毎に、同一又は異なるポリマー(A)の溶液に基材を接触させる請求項1に記載のポリマー薄膜を有する基材の製造方法。
  9. 基材を加熱してイミド結合またはアミド結合を形成させる(4)の工程を行うことなく、(2)と(3)の工程を1回以上繰り返し、その後、該基材を加熱処理する請求項1に記載のポリマー薄膜を有する基材の製造方法。
  10. Au、Ag、Cu、Ptからなる群から選ばれる金属、またはSIO2、Al23、InO2、SnO2、ZrO2、TIO2及びHfO2からなる群から選ばれる金属酸化物で表面が被覆されているガラス、石英または樹脂からなる基材上にアミノ基またはカルボキシル基を有するカップリング剤が結合しており、
    前記カップリング剤の官能基とイミド結合またはアミド結合を形成して結合されているポリマー(A)と、
    前記ポリマー(A)の未反応の官能基または構造単位と、エチレンジアミン、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミン、ポリアリルアミン、コハク酸またはトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選ばれる化合物(B)とがイミド結合またはアミド結合を形成して結合されており、
    さらに前記化合物(B)の未反応の官能基が前記ポリマー(A)と同種もしくは異種のポリマー(A)とイミド結合またはアミド結合を形成して結合され、該ポリマー(A)の未反応の官能基または構造単位が前記化合物(B)と同種もしくは異種の化合物(B)とイミド結合またはアミド結合を形成して結合されている1種以上のポリマー(A)と1種以上の化合物(B)とがイミド結合またはアミド結合を形成して結合された複数の繰り返しからなるポリマー薄膜を有する基材。
  11. ポリマー(A)が、マレイン酸モノメチルエステルとスチレンとの交互コポリマー、マレイン酸とメチルビニルエーテルとの交互コポリマー、マレイン酸とスチレンとの交互コポリマー、マレイン酸無水物とスチレンとの交互コポリマー、イタコン酸無水物とスチレンとの交互コポリマー、ポリアリルアミン、エチレンイミン4−ビニルアニリンとスチレンとのコポリマーからなる群から選ばれる請求項10に記載のポリマー薄膜を有する基材。
  12. カップリング剤が3−アミノプロピルトリメトキシシラン、シスタミンまたは3−メルカプトプロピオン酸である請求項10に記載のポリマー薄膜を有する基材。
  13. 請求項1〜9のいずれか一つに記載の製造方法により得られる共有結合により結合されたポリマー薄膜を有する基材。
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