JP4070360B2 - 超電導コイルの製造方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導線を樹脂などの固定材により固めて伝熱特性、超電導安定性を向上させる超電導コイルの製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、超電導コイルは、超電導安定性を高めるため、固定材で超電導線を固定して製造される場合が多い。その固定材としては、エポキシ系樹脂などの樹脂が用いられることが多い。
【0003】
このように超電導線を樹脂などの固定材で固めて超電導コイルを製造する方法としては、予め所定の巻回数の超電導線を所定の形状に巻回した後、この超電導線に固定材を真空加圧含浸する方法と、超電導線の巻回時に固定材をコイルに塗り込む方法とがある。ここで、超電導線と固定材は熱収縮率が異なることから、低温時にこの熱収縮率の差によって固定材内に内部応力が発生しないように、固定材の熱収縮率を超電導線の熱収縮率に近づけるため、固定材内に粒子状または繊維状の切片を混入(複合)させている。
【0004】
しかし、このように粒子などが混入された固定材は粘性が高いことから、コイルが厚く、大きくなった場合には、上記真空加圧含浸による方法では、コイル表面から離れた内部に固定材が十分に入り込まないことがある。このように粒子などを混入させた固定材により超電導線を固める場合には、固定材を塗り込みながら巻回する方法が適している。
【0005】
この固定材を塗り込みながら巻線する方法としては、特開昭49−107493号公報に開示されているように固定材内に巻線部を浸漬させて巻回したり、巻線部に固定材を流しながら行う方法や、特許第2661902号に開示されているように超電導線に固定材を塗布しながら巻回する方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、粒子を混入させて超電導線との熱収縮差を少なくした固定材の粘性は高い。そのため、特開昭49−107493号公報に開示されたように固定材中に巻線部を浸漬させて巻線部を回転させようとした場合には、固定材の粘性により巻線部が回転することができなかったり、仮に巻線部を回転することができたとしても、高い粘性のため固定材中に空隙が形成されたり、固定材を含浸することができなかったりする課題がある。
【0007】
また、特開昭49−107493号公報に開示されたように巻線部に固定材を流す方法でも、巻線部に固定材を均一に含浸することができなかったり、固定材の流れる速度が遅く実用的でなかったりする課題がある。
【0008】
さらに、特許第2661902号に開示されたように超電導線に固定材を塗布しながら巻回する方法では、超電導線に一定量の固定材を塗布することしかできないという課題がある。
【0009】
ところで、超電導線の巻線では、図6(A),(B)に示すように断面丸形の超電導線1を俵積みする巻線において、図6(A)では巻枠2の側面に形成される巻枠側面空隙3a、図6(B)では次の層への立ち上がり部空隙3bおよび次のターンへの渡り部空隙3cがそれぞれ必ず存在し、また図6(C)に示すように断面平角形の超電導線を用いた場合にも次の層へ立ち上がり部空隙3bなどが存在する。このような巻枠側面空隙3a、立ち上がり部空隙3bおよび渡り部空隙3cが存在すると、空間に対する超電導線1の占積率が局所的に変わる。
【0010】
このため、巻回される超電導線1間に充填されなければならない固定材量も変わるため、一定量の固定材が供給されている場合は、固定材が充填されない部分が生じたり、固定材が余ったりする。
【0011】
また、これらの空隙が形成される位置は、予測することが難しく、超電導線1に塗布する固定材量を変化させて固定材量の余りや充填不足を回避することは極めて困難である。そして、固定材に空隙が形成された場合には、その部分で伝熱特性が劣化したり、応力集中してクラックが発生し易くなるなどの課題が発生し、逆に固定材量が余った場合には、設計通りに超電導線1を巻線することが困難になったりする。
【0012】
そこで、本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、粒子などを混入させて熱収縮率を超電導線に近づけた粘性の高い固定材を超電導線に適量塗布しながら巻回して超電導コイルを製造する超電導コイルの製造方法およびその製造装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る超電導コイルの製造方法は、コイル巻線部に超電導線を固定材により固めて製造する超電導コイルの製造方法において、前記コイル巻線部に前記固定材を固定材供給装置により供給し、供給された固定材を前記コイル巻線部に塗り伸ばし、前記コイル巻線部への超電導線の進行に伴い、前記超電導コイルをターン方向および層方向に移動させ、前記コイル巻線部に塗り伸ばされる前記固定材のはみ出しや塗り残りを監視手段で監視し、前記コイル巻巻線部に塗布手段により前記固定材を塗り付け、前記固定材のはみ出しおよび塗り残しの状況に基づいて前記固定材の供給量を調整しながら、前記超電導線を巻回した後、前記固定材を硬化させることを特徴とする。
【0014】
請求項1の製造方法によれば、コイル巻線部に塗布手段により固定材を塗り付けながら超電導線を巻回した後、固定材を硬化させることにより、超電導線に熱収縮率を近づけた固定材を隙間なく、かつ超電導線の充填率を低下させることなく、充填することができる。
【0015】
請求項2に係る超電導コイルの製造装置は、上述した課題を解決するために、コイル巻線部に固定材を供給する固定材供給装置と、この供給された固定材を前記コイル巻線部に塗り伸ばす固定材塗り伸ばし装置と、これら固定材供給装置および固定材塗り伸ばし装置を超電導線の巻線の進行に伴い超電導コイルのターン方向および層方向に移動させる手段と、前記固定材塗り伸ばし装置の端部での固定材のはみ出しや塗り残しを監視する監視装置とを備え、前記コイル巻線部に前記固定材を塗り付け、この固定材のはみ出しおよび塗り残しの状況に基づいて前記固定材の供給量を調整しながら前記超電導線を巻回することを特徴とする。
【0016】
請求項2の製造装置によれば、粘性の高い固定材を超電導線間の空隙に確実に充填することができ、塗り伸ばされた状態を監視装置により監視することで、固定材の過不足を調整し、適性量の固定材が充填されるのを一段と確実にすることができる。
【0017】
請求項3の製造装置は、請求項2記載の超電導コイルの製造装置において、固定材塗り伸ばし装置の取付部に設けられコイル巻線部に巻線された超電導線の巻線端部を検知する巻線端検知手段を備え、この巻線端検知手段にて検知した巻線端部で固定材供給装置および固定材塗り伸ばし装置の次の層への移行およびターン方向の逆転の制御を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項3の製造装置によれば、コイル巻線端を検知する巻線端検知手段によって、固定材供給装置および固定材塗り伸ばし装置の位置を制御することが可能となり、製造装置を自動化することができる。
【0019】
請求項4の製造装置は、請求項2記載の超電導コイルの製造装置において、巻回する超電導線をコイル巻線部に押し付ける機構を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項4の製造装置によれば、超電導線をコイル巻線部に押し付けることにより、巻回された超電導線同士の密着度を高め、超電導線の占積率を所定量にするとともに、不要に固定材が充填されるのを防ぐことができる。
【0021】
請求項5の製造装置は、請求項2記載の超電導コイルの製造装置において、固定材供給装置は、供給管と、この供給管内に回転可能に配置されコイル巻線部に固定材を供給するスクリューコンベアとを備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項5の製造装置によれば、スクリューコンベアおよび供給管によりコイル巻線部に供給し塗り伸ばされる固定材の供給量を正確にすることで、塗り伸ばされる固定材の不足や余りを回避することができる。
【0023】
請求項6の製造装置は、請求項5記載の超電導コイルの製造装置において、固定材供給装置は、固定材を撹拌する撹拌手段を備え、この撹拌した固定材を固定材供給管を介してコイル巻線部に供給することを特徴とする。
【0024】
請求項6の製造装置によれば、撹拌装置により撹拌した固定材を固定材供給管を介してコイル巻線部に供給することで、固定材中に泡やボイドの発生を防ぎ、固定材中の泡やボイドによりコイル巻線部に塗り伸ばされる固定材量に不足が生じるのを回避することができる。
【0025】
請求項7の製造装置は、請求項2記載の超電導コイルの製造装置において、固定材供給装置は、無端移動するベルトであることを特徴とする。
【0026】
請求項7の製造装置によれば、ベルトにより固定材を運ぶことにより、固定材を運ぶ途中での供給管などへの付着や付着した固定材の剥離により運搬途上で固定材量が変化するのを回避することができ、コイル巻線部に塗り伸ばされる固定材量を一定にすることができる。
【0027】
請求項8の製造装置は、請求項7記載の超電導コイルの製造装置において、固定材が収容されかつこの固定材にベルトの一部が浸漬される固定材容器を有し、この固定材容器に、前記ベルトによって運ばれる固定材量を調整する手段を設けたことを特徴とする。
【0028】
請求項8の製造装置によれば、固定材容器に設けた固定材量を調整する手段により、ベルトによって運ばれる固定材量を調整することで、コイル巻線部に塗り伸ばされる固定材量を適正に調整することができるとともに、固定材量の調整による固定材の無駄が生じるのを防ぐことができる。
【0029】
請求項9の製造装置は、請求項7または8記載の超電導コイルの製造装置において、ベルトは固定材供給機能の他に、固定材塗り伸ばし機能を兼ね備えていることを特徴とする。
【0030】
請求項9の製造装置によれば、ベルトにより固定材の供給と塗り伸ばしを行うことによって装置を簡素化することができ、装置の故障を減少することができる。
【0031】
請求項10の製造装置は、請求項7ないし9のいずれかに記載の超電導コイルの製造装置において、塗り伸ばし必要量より余分な固定材をコイル巻線部からベルトを介して固定材容器に回収することを特徴とする。
【0032】
請求項10の製造装置によれば、塗り伸ばし部で塗り伸ばす固定材量を適性に調整できるとともに、固定材容器に固定材を回収することで固定材の損失を避けることができる。
【0033】
請求項11の製造装置は、請求項2ないし10のいずれかに記載の超電導コイルの製造装置において、固定材供給装置および固定材塗り伸ばし装置と、コイル巻線部との間隔を測定する測定手段を設けたことを特徴とする。
【0034】
請求項11の製造装置によれば、固定材供給装置および固定材塗り伸ばし装置と、コイル巻線部との間隔を測定することにより、コイル巻線部と、固定材供給装置および固定材塗り伸ばし装置との位置を適正に保つことができ、距離が近すぎて超電導コイルを損傷させたり、距離が遠すぎてコイル巻線部に固定材を塗りつけることができなかったりするのを防止することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0036】
[製造方法の一実施形態]
図1は本発明に係る超電導コイルの製造方法の一実施形態を示す構成図である。なお、図6と同一または対応する部分には同一の符号を用いて説明する。
【0037】
図1に示すように、本実施形態では、超電導コイルの巻枠2に超電導線1を巻回する際、コイル巻線部4に塗布手段としての刷毛5によりエポキシ系樹脂などの樹脂からなる固定材を塗布しながら所定巻数巻回した後、樹脂の材質に応じ室温硬化あるいは加熱硬化して超電導コイルを製造する。
【0038】
上記固定材には充填材が混入されており、この充填材は球状もしくは破砕品を熱処理することで鋭角部分を溶融して丸みを帯びた形状となし、固定材の粘度が20℃で1〜100Pa・Sに調整されている。
【0039】
したがって、固定材中に充填材を混入させることにより、固定材の熱収縮率を超電導線1の熱収縮率に近づけた粘度の高い固定材を確実にコイル巻線部4全体に塗布することができる。
【0040】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0041】
コイル巻線部4表面に刷毛5により塗布する固定材の量を、巻線後に超電導線1間に形成される隙間の体積よりわずかに多くする。すると、このときわずかに余る固定材は、超電導線1の巻線テンションにより超電導線1がコイル巻線部4に押し付けられることで、巻線を終了したコイル巻線部4よりこれから巻線を行うコイル巻線部4にはみ出すことになる。この場合、これから巻線を行う部分にはみ出した固定材の量を観ながら刷毛5により刷毛塗りする固定材の量を調整すれば、これから超電導線1を巻線しようとするコイル巻線部4に常に適性な量の固定材を塗布することができる。
【0042】
このため、図6(A)〜図6(C)に示したように通常の巻線部より大きな超電導線1間で不可避的に発生し、かつ位置の予測が不可能な巻枠側面空隙3a,立ち上がり部空隙3bおよび渡り部空隙3cにおいても、固定材の塗布量を調整することにより、超電導線1に過不足なく固定材を充填させることができる。
【0043】
このとき、固定材に混入される充填材の形状を、球状または破砕品を熱処理し、鋭角部分を溶融して丸みを帯びた形状としたことで、固定材を塗布する時に超電導線1の絶縁被覆を傷付けたり、超電導線1間の隙間に充填材が引っ掛かり、固定材の充填が不十分になったり、あるいは充填材の混入率が局所的に異なったりする不具合を回避し、コイル巻線部4に固定材を確実に塗布することができる。
【0044】
さらに、固定材の粘度を20℃で1〜100Pa・Sに調整することにより、粘度が高すぎて固定材の塗布斑を発生させたり、逆に低すぎて固定材がコイル巻線部4への塗布後に垂れたり、不要に移動するのを未然に防止することができる。
【0045】
このように本実施形態によれば、コイル巻線部4に超電導線1が巻き付けられる場所に固定材を塗り付けることにより、超電導線1に熱収縮率を近づけた固定材を隙間なく、かつ超電導線1の充填率を低下させることなく、充填することができる。これにより、超電導コイルのサイズを設計通りに製作することができ、かつ超電導線1と固定材との熱収縮率の差による固定材中のクラックの発生または固定材中の空隙部(ボイド)を起点とするクラックの発生によるクエンチを回避することができる。その結果、超電導安定性の高い超電導コイルを得ることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、コイル巻線部4に超電導線1が巻きつけられる場所への塗り付けを刷毛5によって行うことにより、固定材の粘性によらず、コイル巻線部4の形状に対応した適量を塗り付けることができる。
【0047】
さらに、固定材の粘度を20℃で1〜100Pa・Sとしたことにより、固定材が固まってコイル巻線部4に均質に伸ばすことができなかったり、コイル巻線部4に塗りつけた後に固定材が垂れ落ちたりすることなく、固定材を所定量充填させることができる。
【0048】
そして、固定材に混入される充填材の形状を球状または丸味を帯びた形状とすることにより、超電導線1の隙間に充填材が引っ掛って固定材が充填されなかったり、塗付け作業により充填材の鋭角部分で超電導線1の絶縁被覆を傷付けたりすることなく、固定材を塗り付けることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、塗布手段としての刷毛5を用いたが、これに限らずヘラなどを使用してもよい。
【0050】
[製造装置の第1実施形態]
図2は本発明に係る超電導コイルの製造装置の第1実施形態を示す構成図、図3は図2の側面図である。なお、図1と同一の部分には同一の符号を付して説明する。以下の実施形態も同様である。また、図2においては、図3に示すコイルのターン方向移動装置および層方向移動装置などについては図が煩雑になるため省略している。
【0051】
図2および図3に示すように、本実施形態の製造装置は、コイル巻線部4に固定材6を供給する固定材供給装置10と、この固定材供給装置10により供給された固定材6をコイル巻線部4に塗り伸ばす塗り伸ばし装置20と、これら固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20を超電導線1の巻線の進行に伴いコイルのターン方向に移動させるターン方向移動装置21および層方向に移動させる層方向移動装置22とを備え、コイル巻線部4に固定材6を塗り付けながら超電導線1を巻回するものである。ここで、固定材6は、図1に示す実施形態と同様のものが使用される。
【0052】
固定材供給装置10は、固定材6を収容する固定材容器11と、この固定材容器11内に設置され固定材6を撹拌する撹拌手段としてのプロペラ状の撹拌機12と、この撹拌機12を駆動させる撹拌駆動装置13と、固定材容器11の下部に連設された固定材供給管14と、この固定材供給管14に回転可能に配置されコイル巻線部4に固定材6を供給するスクリューコンベア(スパイラル押出し器)15と、固定材供給管14の一端に配置されスクリューコンベア15を駆動する供給駆動装置16とを備え、スクリューコンベア15を駆動することで、固定材供給管14の他端からコイル巻線部4に固定材6が供給される。
【0053】
また、固定材供給管14の他端近傍には、塗り伸ばし装置20が設置され、この塗り伸ばし装置20によりコイル巻線部4に塗り付けられた固定材6が塗り伸ばされる。そして、塗り伸ばし装置20の根元には、測定手段としての角度検知器23が取り付けられ、この角度検知器23にて塗り伸ばし装置20の角度の変化を測定することにより、固定材供給管14とコイル巻線部4との間隔を測定するようにしている。
【0054】
さらに、固定材供給管14の塗り伸ばし装置20の近傍には、塗り伸ばし監視装置24が配置され、この塗り伸ばし監視装置24は塗り伸ばし装置20の端部での固定材6のはみ出しや塗り残しを監視する。
【0055】
固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20などは、上記のようにターン方向移動装置21および層方向移動装置22により適性な位置に移動されるとともに、バランス重り25によって重量的なバランスが維持されている。
【0056】
一方、図2に示すようにコイル巻線部4近傍には、巻回する超電導線1をコイル巻線部4に押し付けるための超電導線押付け器26が配設され、この超電導線押付け器26により塗り伸ばされた固定材6に巻線される超電導線1がコイル巻線部4に押し付けられるようになっている。
【0057】
また、塗り伸ばし装置20の取付部であって、塗り伸ばし装置20のコイル巻線部4の回転上流側には、コイル巻線部4に巻線された超電導線1の巻線端部を検知する巻線端検知手段としての巻線端検知器27が配設され、この巻線端検知器27にて検知した巻線端部でターン方向移動装置21および層方向移動装置22を制御して固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20の次の層への移行およびターン方向の逆転の制御を行う。
【0058】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0059】
固定材容器11に収容された固定材6は、撹拌駆動装置13を駆動することで回転する撹拌機12によって撹拌されることにより充填材と均質に複合される。このとき、撹拌機12は固定材供給管14内のスクリューコンベア15に向かって固定材6を送るように回転している。
【0060】
すなわち、固定材6は、撹拌機12により均質に撹拌されるとともにスクリューコンベア15に送られる。このとき、固定材6の送り量は必要量より多く送られ固定材6内に圧力が加えられることで、撹拌機12による固定材6を伸ばす動きと固定材6内の圧力により固定材6内の気泡やボイドが取り除かれる。なお、余分な固定材6は固定材容器11側面を上昇し元へ送り戻される。
【0061】
この送られてきた固定材6は、回転速度が調整されたスクリューコンベア15が回転することにより、固定材供給管14の他端からコイル巻線部4に供給されてコイル巻線部4に必要量が塗り付けられる。
【0062】
このコイル巻線部4に塗り付けられた固定材6は、塗り伸ばし装置20によりコイル巻線部4に平らに塗り伸ばされる。ここで、塗り伸ばし監視装置24によりその状態が監視調整されることにより、コイル巻線部4に生じた空隙にも固定材6が充分に充填されるとともに、コイル巻線部4に固定材6が不必要に塗布されることも防止することができる。
【0063】
この塗り伸ばされた固定材6に巻線された超電導線1は超電導線押付け器26によりコイル巻線部4に押し付けられる。これにより、塗布された固定材6により超電導線1が浮き上がり、所定の位置より大きな径に超電導線1が巻線されるのを防止することができる。
【0064】
さらに、コイル巻線端では巻線端検知器27が巻線端に到達したことを検知し、次の層への移行およびターン方向、移動方向の反転などの制御を行う。
【0065】
したがって、本実施形態では、ターン方向移動装置21,層方向移動装置22,角度検知器23および巻線端感知器27により、固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20の移動および位置制御を自動に行うことができるので、超電導コイルを自動的に製造することができる。
【0066】
このように本実施形態によれば、コイル巻線部4に固定材6を供給する固定材供給装置10と、この供給された固定材6をコイル巻線部4に塗り伸ばす塗り伸ばし装置20と、これら固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20を超電導線1の巻線の進行に伴いコイルのターン方向および層方向に移動させるターン方向移動装置21および層方向移動装置22とを備え、コイル巻線部4に固定材6を塗り付けながら超電導線1を巻回することにより、粘性の高い固定材6を超電導線1間の空隙に確実に充填することができる。
【0067】
そして、固定材供給装置10は、固定材6を撹拌する撹拌機12を備え、この撹拌機12により撹拌した固定材6を固定材供給管14に送ることにより、固定材6中に泡やボイドが発生するのを防ぎ、固定材6中の泡やボイドによりコイル巻線部4に塗り伸ばされる固定材量に不足が生じるのを未然に回避することができる。
【0068】
また、巻線端検知器27にて検知した巻線端部で固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20の次の層への移行およびターン方向の逆転の制御を行うことにより、固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20の位置を制御することが可能となり、製造装置を自動化することができる。
【0069】
さらに、超電導線押付け器26により、巻回する超電導線1をコイル巻線部4に押し付けることにより、巻回された超電導線1同士の密着を高め、超電導線1の占積率を所定量にするとともに、固定材6が不要に充填されることを防ぐことができる。
【0070】
そして、固定材供給装置10は、固定材供給管14と、この固定材供給管14内に回転可能に配置されコイル巻線部4に固定材6を供給するスクリューコンベア15とを備えたことにより、コイル巻線部4に供給し塗り伸ばされる固定材6の量を正確にすることで、塗り伸ばされる固定材6の不足や余りを回避することができる。
【0071】
本実施形態によれば、塗り伸ばし装置20の端部での固定材6のはみ出しや塗り残しを監視する塗り伸ばし監視装置24を備え、この固定材6のはみ出しおよび塗り残しの状況に基づいて固定材6の供給量を調整することにより、適性量の固定材6が充填されるのを一段と確実にすることができる。
【0072】
また、角度検知器23にて塗り伸ばし装置20の角度の変化を測定することで、固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20と、コイル巻線部4との間隔を測定することにより、コイル巻線部4と、固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20との位置を適正に保つことができ、距離が近すぎて超電導コイルを損傷させたり、距離が遠すぎてコイル巻線部4に固定材6を塗りつけることができなかったりするのを回避することができる。
【0073】
図4は本発明に係る超電導コイルの製造装置の第1実施形態の変形例を示す構成図である。この変形例では、前記第1実施形態の角度検知器23に代えて、固定材供給管14の下部に測定手段としての距離測定器28が取り付けられている。この距離測定器28は、固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20とコイル巻線部4の固定材6の塗りつけられていない部分との間の距離を測定している。
【0074】
したがって、距離測定器28により固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20とコイル巻線部4の固定材6の塗りつけられていない部分との位置を計測することで、固定材6による測定誤差を回避することができ、固定材供給装置10および塗り伸ばし装置20とコイル巻線部4との位置制御を確実に行うことができる。
【0075】
[製造装置の第2実施形態]
図5は本発明に係る超電導コイルの製造装置の第2実施形態を示す構成図である。
【0076】
図5に示すように、固定材容器30には固定材6が収容され、無端移動するタイミングベルト31の一部が浸漬されており、このタイミングベルト31はべルト駆動装置32と、このべルト駆動装置32により回転駆動する駆動ホイール33aと、固定材容器30に配置された従動ホイール33bと、コイル巻線部4の近傍に配置された従動ホイール33cとを備えている。そして、タイミングベルト31は、べルトテンション機34により所定の張力が付与され、緩みが発生するのを防止している。また、固定材容器30内には、塗布量調整器35が設置され、この塗布量調整器35はタイミングベルト31により運ばれる固定材6の量を調整する。
【0077】
さらに、タイミングベルト31とコイル巻線部4との間には、タイミングベルト31によって運ばれた固定材6をコイル巻線部4に塗り付ける固定材塗り付け器36と、コイル巻線部4に塗り付けた固定材6を塗り伸ばす塗り伸ばし調整器37とが配置されている。
【0078】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0079】
べルト駆動装置32を駆動して駆動ホイール33aを回転駆動させると、タイミングベルト31が回転することで、固定材容器30内の固定材6が塗布量調整器35によってその量が調整されつつコイル巻線部4に運ばれる。このコイル巻線部4では、固定材塗り付け器36によりタイミングベルト31により運ばれた全ての固定材6がコイル巻線部4に塗り付けられる。このコイル巻線部4に塗布された固定材6は、塗り伸ばし調整器37により塗り伸ばされるとともに、余分な固定材6がタイミングベルト31に戻され固定材容器30に戻される。
【0080】
ここで、固定材6は、塗布量調整器35により必要量より少し余分にタイミングベルト31に与えられる。固定材6はタイミングベルト31により、タイミングベルト31以外と非接触でコイル巻線部4に運ばれ、また固定材6はコイル巻線部4で垂れを起こさない粘度に調整されているため、タイミングベルト31からも垂れ落ちることがない。したがって、固定材塗り付け器36によって運ばれた固定材6の全ての量がコイル巻線部4に塗布されるため、常にコイル巻線部4に一定量の固定材6を塗布することができる。
【0081】
この塗布された固定材6は、塗り伸ばし調整器37によってコイル巻線部4に一定の厚さに調整して塗り伸ばされ、不要な固定材6はタイミングベルト31に戻される。このため、コイル巻線部4の空隙に関係なく一定した厚さの固定材6の上に超電導線1が巻線される。
【0082】
この巻線によって余った固定材6は、次のターンにはみ出すことになるものの、この部位は巻線直前に余った固定材6の量を含めて塗り伸ばし調整器37により一定した厚さに調整される。これにより、複雑な固定材6の塗布量を調整することなく、常に必要な固定材6をコイル巻線部4に塗り伸ばすことができる。
【0083】
このように本実施形態によれば、比較的簡単な機構で、コイル巻線部4に、必要量に調整しかつ熱収縮を超電導線1に近づけた粘度の高い固定材6を塗り伸ばして超電導コイルを製造することができる。
【0084】
また、タイミングベルト31により固定材6を運ぶことにより、固定材6を運ぶ途中での供給管などへの付着や付着した固定材の剥離により運搬途上で固定材量が変化するのを回避することができ、コイル巻線部4に塗り伸ばされる固定材量を一定にすることができる。
【0085】
さらに、固定材容器30にタイミングベルト31によって運ばれる固定材量を塗布量調整器35により調整することにより、コイル巻線部4に塗り伸ばされる固定材量を適正に調整できるとともに、固定材量の調整による固定材の無駄が生じることがなくなる。
【0086】
そして、塗り伸ばし必要量より余分な固定材6は固定材容器30に回収されるので、塗り伸ばし部で塗り伸ばす固定材量を適性に調整可能であるとともに、固定材6に無駄が生じることもない。
【0087】
なお、本実施形態において、タイミングベルト31は、固定材供給機能の他に、固定材塗り伸ばし機能を兼備するように構成すれば、装置を一段と簡素化することができ、装置の故障を減少させることができる。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る超電導コイルの製造方法によれば、コイル巻線部に塗布手段により固定材を塗り付けながら超電導線を巻回した後、固定材を硬化させることにより、熱収縮率を超電導線に近付けた粘度の高い固定材を過不足なく超電導コイルに充填することができるため、熱収縮差や固定材内のボイドに起因する固定材のクラックによりクエンチが引き起こされることがない。
【0089】
また、過度に固定材が充填されることで超電導コイルのサイズが大きくなることもないため、所定の形状の安定性の高い超電導コイルを得ることができる。
【0090】
本発明に係る超電導コイルの製造装置によれば、コイル巻線部に固定材を塗り付けながら超電導線を巻回することにより、粘性の高い固定材を超電導線間の空隙に確実に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超電導コイルの製造方法の一実施形態を示す構成図。
【図2】 本発明に係る超電導コイルの製造装置の第1実施形態を示す構成図。
【図3】 図2の側面図。
【図4】 超電導コイルの製造装置の第1実施形態の変形例を示す構成図。
【図5】 本発明に係る超電導コイルの製造装置の第2実施形態を示す構成図。
【図6】 (A),(B),(C)は従来の方法による課題を説明するための図。
【符号の説明】
1 超電導線
2 巻枠
4 コイル巻線部
5 刷毛(塗布手段)
6 固定材
10 固定材供給装置
11 固定材容器
12 撹拌機
13 撹拌駆動装置
14 固定材供給管
15 スクリューコンベア
16 供給駆動装置
20 塗り伸ばし装置
21 ターン方向移動装置
22 層方向移動装置
23 角度検知器(測定手段)
24 塗り伸ばし監視装置
25 バランス重り
26 超電導線押付け器
27 巻線端検知器
28 距離測定器(測定手段)
30 固定材容器
31 タイミングベルト
32 べルト駆動装置
33a 駆動ホイール
34 べルトテンション機
35 塗布量調整器
36 固定材塗り付け器
37 塗り伸ばし調整器
Claims (11)
- コイル巻線部に超電導線を固定材により固めて製造する超電導コイルの製造方法において、
前記コイル巻線部に前記固定材を固定材供給装置により供給し、
供給された固定材を前記コイル巻線部に塗り伸ばし、
前記コイル巻線部への超電導線の進行に伴い、前記超電導コイルをターン方向および層方向に移動させ、
前記コイル巻線部に塗り伸ばされる前記固定材のはみ出しや塗り残りを監視手段で監視し、
前記コイル巻巻線部に塗布手段により前記固定材を塗り付け、前記固定材のはみ出しおよび塗り残しの状況に基づいて前記固定材の供給量を調整しながら、前記超電導線を巻回した後、前記固定材を硬化させることを特徴とする超電導コイルの製造方法。 - コイル巻線部に固定材を供給する固定材供給装置と、
この供給された固定材を前記コイル巻線部に塗り伸ばす固定材塗り伸ばし装置と、
これら固定材供給装置および固定材塗り伸ばし装置を超電導線の巻線の進行に伴い超電導コイルのターン方向および層方向に移動させる手段と、
前記固定材塗り伸ばし装置の端部での固定材のはみ出しや塗り残しを監視する監視装置とを備え、
前記コイル巻線部に前記固定材を塗り付け、この固定材のはみ出しおよび塗り残しの状況に基づいて前記固定材の供給量を調整しながら前記超電導線を巻回することを特徴とする超電導コイルの製造装置。 - 請求項2記載の超電導コイルの製造装置において、固定材塗り伸ばし装置の取付部に設けられコイル巻線部に巻線された超電導線の巻線端部を検知する巻線端検知手段を備え、この巻線端検知手段にて検知した巻線端部で固定材供給装置および固定材塗り伸ばし装置の次の層への移行およびターン方向の逆転の制御を行うことを特徴とする超電導コイルの製造装置。
- 請求項2記載の超電導コイルの製造装置において、巻回する超電導線をコイル巻線部に押し付ける機構を設けたことを特徴とする超電導コイルの製造装置。
- 請求項2記載の超電導コイルの製造装置において、固定材供給装置は、供給管と、この供給管内に回転可能に配置されコイル巻線部に固定材を供給するスクリューコンベアとを備えたことを特徴とする超電導コイルの製造装置。
- 請求項5記載の超電導コイルの製造装置において、固定材供給装置は、固定材を撹拌する撹拌手段を備え、この撹拌した固定材を固定材供給管を介してコイル巻線部に供給することを特徴とする超電導コイルの製造装置。
- 請求項2記載の超電導コイルの製造装置において、固定材供給装置は、無端移動するベルトであることを特徴とする超電導コイルの製造装置。
- 請求項7記載の超電導コイルの製造装置において、固定材が収容されかつこの固定材にベルトの一部が浸漬される固定材容器を有し、この固定材容器に、前記ベルトによって運ばれる固定材量を調整する手段を設けたことを特徴とする超電導コイルの製造装置。
- 請求項7または8記載の超電導コイルの製造装置において、ベルトは固定材供給機能の他に、固定材塗り伸ばし機能を兼ね備えていることを特徴とする超電導コイルの製造装置。
- 請求項7ないし9のいずれかに記載の超電導コイルの製造装置において、塗り伸ばし必要量より余分な固定材をコイル巻線部からベルトを介して固定材容器に回収することを特徴とする超電導コイルの製造装置。
- 請求項2ないし10のいずれかに記載の超電導コイルの製造装置において、固定材供給装置および固定材塗り伸ばし装置と、コイル巻線部との間隔を測定する測定手段を設けたことを特徴とする超電導コイルの製造装置。
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